○
佐々木政府委員 それでは先ほどの
説明に引続きまして、その後の
経過を申し上げたいと思います。
第二回目の
電源開発調整審議会では、先ほど御
説明いたしましたような
基本計画の
策定方針を定め、同時に第一の
着工地点の詳細を申し上げて、爾後の
審議の
資料を提供したわけでございます。その際出しました
地点は、
天龍川の
佐久間地点、
庄川の
御母衣地点、
北海道の
十勝川の
糖平、
芽登地点でございます。
十津川は和歌山と奈良の県境にある川でございまして、これの
西吉野地点、それから岩手県の
北上川の
猿ヶ石、
胆沢地点という、この五
河川を選びまして、御
審議をいただいた次第でございます。その際なぜこの
地点を選んだのかという
理由があるのでございますが、当時
ちようど選挙のまつ最中でございまして、その
選挙の最中に、
開発に関して数個の
開発案が錯綜するとか、あるいは
調査がまだ不十分だとか、あるいは
中央行政機関と
地方行政機関との間に
意見の一致を見ないとい
つたような
地点に関しましては、この際
決定するのは後日に延ばして、新しい
内閣ができてから、かりに
電源開発促進法の第十三条に合致する
趣旨の
地点があ
つても、そういう
地点は新
内閣で処理してもら
つたらどうだろう
—開発会社が発足しておるわけでございまするから、
開発点をきめないというわけには参りませんので、とりあえずの
開発地点をきめまして、そして
開発会社の
業務に
支障を来さぬようにしたらどうだろうという、前
山崎大臣の御
趣旨がございましたので、その
趣旨を
委員の
方たちにはかりましたところ、それでよかろう、そういう
趣旨でとりあえずきめようということになりましたので、
各省間に
資料の提出をいただきまして、そして一番
法案の
趣旨に合致し、しかもそういう問題のない
地点を御提出願いましたところ、大体
五箇地点に関しましては
各省とも、また
地方機関といたしましても異存がないように見受けられましたので、まずこの
五箇地点を選びまして、御
審議をいただいた次第でございます。
第二回の
審議会までは以上のような
経過でございますが、第三回後の
審議会の
決定事項に関しましては、きようお配りいたしました、
三浦委員からの御
要求で出しました
決定事項の
内容にそれぞれありますので、それについてお話申し上げたいと思います。第三回の
審議では、ただいま申し上げました
地点の中からさらに、あまり問題のない
地点、たとえば
北海道の
十勝川の糠平、
北上川の
猿ヶ石、
胆沢、それから
十津川の
西吉野、この
三箇地点をまず御
決定いただきました。
十勝川は、
北海道では一番大きい
開発地点でございますので、大
規模の
開発地点ということに該当するかと思います。2と3の方は、どちらかと申しますと国土の
総合開発という面から必要な
地点でございまして、この
二箇地点はそういう
意味合いから
決定したのでございます。二番目の
庄川の
御母衣地点でございますが、この
地点に関しましては、
関西電力の方でこの
地点を
開発したいという御
希望がございましたが、
電源開発株式会社と
関西電力さんの方で
話合いが進められました結果、
電源開発株式会社の方でやることに対して協力しましようということで円満に妥結いたしましたので、この地区を
電源開発株式会社に担当さすということにきめたのでございます。ただこの
地点に関しましては
補償の問題が非常に問題でございまして、岐阜県でございますが、県知事の意向もございまして、相なるべくはこの
開発に着手する前に、この
補償の問題を
十分納得の行く方式、あるいは
程度において解決して、そして
開発にかか
つてもらいたいという
希望がございましたので、その
希望を織り込みまして、爾後
審議会の方でも
補償基準の問題を今いろいろ
審議しておりますし、
事務当局としてはいろいろ
考えておりますが、そういうものがまとまり次第、
補償の問題もなるべく
地元側の御要望に沿い得るがごとく措置しながら、この
開発をしたいという
趣旨を織り込みまして、この
地点の
開発を
開発会社にやらすというふうにしたわけでございます。
第四回の
審議会は
天龍川の
佐久間地点でございまして、この
地点は一
箇地点の
開発としては
日本で
最大のものでございます。一箇所で三十六万キロワつトでございますから非常に大きい
地点でございまして、この
地点に関しましても
中部電力と
東京電力が合同出資いたしまして、そして新しい
一つの
民間の
会社をつく
つて、そこの
会社でも
つて開発したいというふうに
事業の認可並びに
水利権の許可を届け出てお
つたわけでありますが、
促進法の第十三条第二項に、そういう
先願事項のあるものに関してはまずその
先願を優先しまして、そしてその
計画が妥当であるか、適切であるか、あるいはその
計画の
実施が可能であるかどうかということを確認しなければいけない。そしてその確認が満たされた場合には
先願を優先にして、その
地点は調べなければや
つて行けないというように
なつておりますが、先ほど申し上げましたように第三回の
審議会までにはその点がまだ十分でありませんでしたので、さらに
資料を整えまして、第四回の
審議会はこの問題を中心にして開催した次第でございます。それだけにまた非常に慎重に
審議をいたしました結果、大体その
先願の
事項に対しましては
実施が必ずしも容易じやない。むしろ
電源開発株式会社の方に
開発さした方が
—主として
資金面からの問題でありますが、困難なしに遂行できるのではないかという結論になりまして、
佐久間の
地点は
電源開発会社をして行わしめるというふうに
決定した次第であります。但し具体的な
工事の
実施方法等に関しましては、どうしても
中部あるいは東京両
電力会社の協力が必要な
地点でございますので、
関係官庁があつせんいたしまして、両者の間に具体的な
話合いをつけさすようにという
附帯決議をしましてこの
決定を
行つた次第でございます。爾後
通産省が主になりまして、
開発会社の
首脳部並びに
中部、
東京電力の
首脳部、三者間で協議を進めました結果、最近円満に何らの問題も残さずに妥結した次第でございます。それからこの
地点に関しましては、
佐久間の下流に秋葉という
地点がございます。この秋葉
地点もいろいろ問題があるところでございます。しかし第四回の調整
審議会におきましては、秋葉の
地点に関しましてはただいまお手元に差上げましたような
決定をなすにとどめまして、この最後
決定は今後の
審議会にまかせられたというふうなかつこうに
なつております。そこで新
内閣ができまして以来十一月二十八日に第五回の
審議会を開催したのでございますが、先ほどちよつと言い落しましたので附加いたしたいと思います。たしか第三回の
審議会でありましたが、このほかに
調査地点というものを選びまして、只見川、それから琵琶湖、熊野川、それから四国の吉野川、九州の球磨川、この五つはいずれも非常に大きい、しかもあらゆる
意味で問題の錯綜した
地点でありますし、さらに
開発工事に関しましてはそれぞれ数案あるとい
つたような
地点であります。ので、
開発会社がみずからその
調査に当
つて解決方策を見出すというふうにしたらどうだろうかということで、これを
調査地点に指定しております。第五回の
審議会はそれに引続きまして新
内閣のもとで
行つたのでございますが、十一月二十八日に開催されまして、この第五回の
審議会では、先ほど申しました天龍の佐久聞の下流
地点にある秋葉
地点をどういうふうにするかという問題と、従来から
工事に着手しているかあるいは
開発会社でやりたいと思う
地点であ
つて先願事項がございますので、その
先願事項をどう処理するかとい
つた、問題がある
地点を一応事務的には保留
地点と申してお
つたのでありますが、その保留
地点に関しまして
決定をした次第であります。その第一の秋葉
地点でございますが、秋葉
地点に関しましては、前から国鉄が東海道線並びに中央線電化の際に、この
地点の
電気を使用したいというので
調査を進めてお
つたのでございますが、この
地点は御承知のように
佐久間ダムに対する逆調整池として
開発することに
なつてお
つたのであります。逆調整池と申しますと、もちろん皆さん御存じだろうと思いますが、上の佐久問
地点でピーク時に、言いかえますと昼とか夕方の
電気を一番使いますときに、どつと水を流しまして、そうして夜は水を貯めるというふうな操作になるわけでありますが、そういたしますと、その
佐久間の
ダムだけでやりますと、下流の農業用水の点から見ますと、昼はどんどん流れて来るけれども夜はちつとも流れて来ないというふうで、コンスタントに常時同じ量の水をとるということが不可能でありますので、その下流にこういう逆調整池を設けまして、水の調整をしまして、必要な水の量は夜といわず昼といわず常に一定した量でも
つてこれを下流へ流すというふうにいたしまして、農業用水の実を上げるのでありますが、そういう
趣旨もございまして、この点の
開発をいかにし、できたものの運営、処分をどうするかということに対していろいろ問題があ
つたのでございます。その結果お手元に差上げました
資料に書いてございますような五つの条件が付せられまして、一応
建設工事は
開発会社がやるというふうにきめた次第であります。読んでみますと、「秋葉
地点は、
佐久間発電所の逆調整池として
開発し、その
目的に反しない範囲内において
発電を行うものとする。なお、
実施設計に関しては、地元
関係者の意向を聴いて
決定するものとする。」というふうにございます。この
意味は、秋葉
地点の
開発はあくまでも逆調整池として農業その他の水利、なかんずく農業用水を確保する
意味においてつくるのだということで、それを第一項にうたいました。ただその際、この秋葉
地点の
ダムをなお調整の実を上げるために、
二つにしたらどうだろうという議論もございますので、そういう点は
実施設計の面で地元の県あるいは農民側の意向を十分聞いた上でさらに
審議をしてきめたらどうだろうということにいたしました。それから
建設に関しましては、秋葉の
地点は今申しましたように逆調整池であります
関係上、どうしても
佐久間地点と同時に
工事が完成いたしませんと、両方とも動かないのであります。そこで、その他の
理由もいろいろございまするけれども、主として
工事を同時に完成ざせるという
意味合いから、これを一貫してやらせた方がよかろうというので、
開発会社に
開発をまかせたわけでございます。
それから
発電設備の設計とか
工事要員に関しましては、先ほど申しましたように、隻からいろいろ
調査を進めておりましたので、そういう既成事実というものを十分尊重すべきだというので、この三つをうたいまして、さらにこの
発電設備の完成後における処分運営等に関しましては、国鉄側の意向を十分尊重いたしまして、国鉄の電化の所要
電力を確保できるように措置しよう—これを確実に国鉄に譲り渡すというふうに、今から四、五年先の
行政処分事項を処分するわけには参りませんので、こういうふうな
決議にいたしまして、できた以後の処分、運営に関しては、国鉄側の意向を十分尊重してやらなければならぬというように書いてございます。
それから天龍の水を、水運とか流木とかあるいは水利とか、いろいろ総合的の面で、
電気あるいは農業水利の面ばかりでなしに、これを
運用する必要がございまするので、そういう総合
事業に関しては、
関係官庁でさらに協議をしてはつきりきめましようということで、この
地点の
決定を見たわけでございます。
次の球磨川、これは九州でございますが、
電源開発促進法にも、例示的に球磨川は
開発地点として出しておりますし、先ほど申しましたように
開発会社の
調査地点としてこの
地点は選んでございまするが、たまたま最下臨点の荒瀬という
地点がございまして、この
地点は県で
開発をしたいという
先願事項がございまして、この
先願をどう処分すべきかという問題があ
つたわけでございます。そこでいろいろ
審議した結果、この
地点に関しては、
先願を尊重して熊本県にやらせたらどうか、それで熊本県側では、この
地点はなかなか
補償の問題が大きい問題でございますので、模範的な、
総合開発にふさわしい解決をしていただいて、
開発会社が爾後の上流の
開発に際しましては、十分その解決を
基本にして、県の協力を得ながら、さらに円満にやれるようにするためにはかえ
つてその方がいいのではなかろうかという御議論が支配的でございまして、この
地点は熊本県にやらせたらどうだろうかというふうに、
先願事項を尊重したわけでございます。
北海道石狩川の幾春別川、芦別川の
地点に関しましては、これは従来から
総合開発の面からいたしまして、
建設省側で、現地の
開発局が主体になりまして、みずから
ダムの
建設を行
つてお
つたわけでございまして、もう
工事がどんどん進んでおりますが、
規模は割合に小
規模ではございまするけれども、
総合開発という面からして、
開発会社にやらせた方が妥当であろうということになりまして、この
地点の
決定を見たわけでございます。
第五回までの
電源開発調整審議会で
審議し並びに
決定いたしました
事項は以上の
通りでありまして、
審議内容の主たる点は今申し上げた
通りでございます。
次に、この前お配り申し上げました
資料の中で
資金計画の表がございますが、それに関しまして若干申し上げたいと思います。二十八年度に関しましては、もちろんまだ事務的に大蔵省当局と折衝の最中で、未
決定でございまして、来年度の予算の提出のときまでには本ぎまりになると思いますが、それまではまだ事務的折衝の過程でございまして、単なる原案でございますので、そのつもりでお聞取りを願いたいと思います。
二十六年度には六百三十五億、
電源開発のために
資金を使
つてございます。その内訳は、九つの
電力会社が五百十億、それから
県営等でや
つている
総合開発の面からする
電気事業がございますが、これは
一つは公共
事業費から一部を使いまして、一部は
資金運用部
資金が地方起債という形で、
発電設備の完成のたびに出ておるわけでございますが、この
資金運用部
資金から出ます金が二十五億、それから自家用の
発電でございますが、これは百億、合せまして六百三十五億の
資金が投入されてございます。それが二十七年度になりまして—この年から本格的な
電源開発の
段階に入
つたわけでございますが、ただいまの
見込みでは、九つの
電力会社は九百七十億、
県営の
電気事業に対しては
資金運用部
資金から五十七億、
自家発電には百四十一億、それから
開発会社の方は当初百十億という予算でおりましたが、そういうのを全部合せますと千二百七十八億ということに
なつたのでございます。但しこの
開発会社の方は、
法案が四月には上るだろうという予定でや
つてお
つたのでございまするが、実際
会社ができましたのは
法案の通るのが遅れた
関係上、九月十六日になりましたので、今後この百十億というものはとても使えませんので、ただいまの
見込みでは約七十億ぐらい、今年度の
調査あるいは
着工に使い得るのじやなかろうかというふうに
考えております。
それから二十八年度に対しましては、この前お手元に差上げました案では、
電力会社が千百五十億、
公営事業には百十億、それから自家用には百五十億、特殊
会社は百九十億という
資料を差上げてございますが、その後いろいろ
審議をいたしました結果、九
電力会社には千百七十五億、それから
県営は百十億そのままでございます。自家用の方は、ほかの三つのものに対して、それぞれ
発電をどんどん進めておりますので、現在
資金は割に申込みございませんし、実績もそれほど芳ばしくございませんので、来年度は七十五億というふうに現在大体
考えております。それから
電源開発株式会社の方は反対に、今後大
規模の
電力をそれぞれ担当して参ります
関係上、二百五十億ぐらい見る必要があるのではなかろうかというので、二百五十億ぐらいまでに一応見積りまして、合せて千六百十億という予算で、大蔵当局と事務的折喜衝を進めつつございます。
この中であるいは今後一番問題になるのではなかろうかと思われますのは、
県営の問題でございまして、時間をお借りいたしまして、この点もう少し詳しく御
説明申し上げたいと思いますが、各県から—半分以上の県は今
電気をや
つておるわけでございますが、各県からそれぞれ来年度やりたいという全部の
要求をそのまま集計いたしますと、約二百四十億近くになる次第でございます。その内訳を申し上げますと、継続
事業が八十五億ございまして、それに準継続と申しますか、公共
事業費が今までついてお
つて、来年度あたりから地方起債分をぼつくつけなければいかぬ、そうしませんと、
工事そのものがちんぱになるとい
つたような、どうしても来年度から金をつけなければいかぬ継続分がございます。公共
事業費の方から申しますと継続でありますが、地方起債の面から
考えますと、新規ということになりますので、かりに準継続分というふうに事務的には言
つておるのでございますが、この点も合せますと、百三十億近くになります。それ以外は全部
新規地点でございますが、それではそういう
資金に対して預金部
資金の方はそれに見合うほど出せるかという問題でございますが、御承知のように預金部
資金の方は零細な貯金が主でございますので、それほどふえません。そこで一方需要面のみがこういうふうに非常に飛躍的にふえて参りますので、その間の調整をどうすべきかという問題が非常に大きい問題に
なつて来るのでございます。大体今の
考え方としましては、まず先ほど申し上げましたように、来年度が一番
工事の最盛期でございますので、継続分のみは何としても早く
工事が完了するように努めて行きたい。準継続の分に関しましても、なるたけ見たい。しかし新規の分に関しましては、新規の分を大幅にとりますと、それだけ継続その他が食われるかつこうになりますので、新規の中でもやむを得ざる分は、と申しますのは、特に先ほど申しましたように、
需給関係が逼迫している—どこでも
需給関係は逼迫しているわけでございますが、とりわけひどく
需給関係が逼迫し、あるいは
料金差がはげしいというようなところは、この際忍んでもある
程度開発に手をつけべきじやなかろうかというふうな感じも持
つておりまして、大体ここに掲げましたように、百十億という線を切
つてみたわけでございますが、これをいかに確保するか、またこれで十分なのかという点に関しましては、今後いろいろ問題があるのじやなかろうかと思います。
資金の問題に関しましては大体以上の
通りでございまして、最後に先ほど
大臣からお話ございました
電力の五箇年
計画の問題でございますが、これに関しましては、
大臣も先ほどお話になりましたように、まだ正式にこれでよかろうというところまで最後的にきま
つておりませんので、詳しい
説明は省略させていただきまして、もう少し固まりましてから御
説明を申し上げたいと思います。非常に長くなりましたのでこれで終ります。