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1952-12-06 第15回国会 衆議院 経済安定委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月六日(土曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 遠藤 三郎君    理事 福井  勇君 理事 前田 正男君    理事 栗田 英男君 理事 吉川 兼光君    理事 下川儀太郎君       加藤 宗平君    佐藤洋之助君       横川 重次君    秋田 大助君       三浦 一雄君    柳原 三郎君       志村 茂治君    福田 赳夫君  出席国務大臣        国 務 大 臣 小笠原三九郎君  出席政府委員         経済審議政務次         官       小川 平二君         総理府事務官         (経済審議庁総         務部長)    西原 直廉君         総理府事務官         (経済審議庁調         査部長)    岩武 照彦君         総理府事務官         (経済審議庁計         画部長)    佐々木義武君         総理府事務官         (経済審議庁調         査部長)    須賀 賢二君  委員外出席者         専  門  員 圓池與四松君         専  門  員 菅田清治郎君     ――――――――――――― 十二月四日  物価安定対策等に関する陳情書  (第六七三号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  日本経済基本的政策に関する件     ―――――――――――――
  2. 遠藤三郎

    遠藤委員長 これより会議を開きます。  前会に引続き、日本経済基本的政策に関する調査を進めます。なお、本件の説明は前回の委員会におきまして終了いたしておりますので、本日はその説明に対する質疑に入ります。質疑通告順にこれを許します。前田正男君。
  3. 前田正男

    前田(正)委員 本日は、過般の経済審議庁長官からの基本方針の御説明に対しまする質疑を行いたいと思うのであります。  私がまず最初に伺いたいと思いますことは、日本再建におきましては、日本経済発展ということが一番大事な問題でなければならぬと考えるのであります。従来新政府は、国家最高機関であります国会におきましては、経済方針に対しまして、必ず本会議におきまして経済担当大臣から、その施設方針を述べたものであります。私は第一国会以来こちらに議席を占めておるのでありますが、私の今までの経験におきましては、必ずそういう機会があつたのでありますが、今度の新内閣におきましては、大蔵大臣からは財政演説外務大臣からは外交に対しまする演説がありましたけれども経済審議庁長官からは、本会議におきまして新政府方針というものを、国家最高機関である国会を通じて国民に述べなかつたということは、私ははなはだ遺憾であると思うの君あります。この点につきましては、新大臣は今後ぜひひとつ注意していただきまして、そういうことのないように特にお願いしたいと思います。特に、経済安定本部がこの経済審議庁になりましたときの経過を見ましても、政府におきましては経済安定本部というものは必要はない、これを単なる諮問機関にしようじやないかというような案を、前内閣のときは出したのでありますが、国会側におきまして、われわれの党も、また野党の方もみな協力されまして、日本再建ためにはどうしても経済総合企画官庁というものが必要であるということから、政府閣議決定をしておりましたところの単なる諮問機関にするという案を、国会の意向によりまして、総合企画官庁といたしまして残して発足したものであります。経済審議庁なつたからというので、あるいはそういう施政方針演説をやめられたのかもわかりませんが、われわれの国会側から見ますならば、経済審議庁はこれからの日本の、講和独立したときの新経済政策というものを力強く打出してもらうために、特に要望してできた官庁でありまするので、新大臣におかれましても、従来のような、占領政策に指導されておる——特に経済安定本部司令部連絡機関であるというような世評まであつたのでありますが、そういう気風を一新いたしまして経済審議庁において日本再建の基本的な政策を立てて行くんだ、こういう力強い考えで、私は新大臣が仕事をしていただきますように、切にお願いする次第であります。ここに今回の内閣のとりました処置に対しまして、私は遺憾の意を表したいと思うのであります。  次に、それにからんだような話でありますが、占領政策その他従来の政府がやつて参りました政策を見ておりますと、インフレを押えるということはなるほど必要であります。従ういまして超均衡財政というようなことも、もちろんこれは必要でありますが、ややもすればいわゆるドツジ・ラインといわれますような、海外からの使嗾を受けたような施策によりまして日本財政政策を推し進めて行く。その結果、われわれが見ておりますならば、日本経済産業政策は、このドツジ・ライン、いわゆる超均衡財政という線に押し込められまして、産業はその財政政策のもとに服従し、財政政策のもとに従つて産業政策が立てられて行く、こういうような経過をたどつて来ているのじやないかと私は思うのであります。しかしながら本来から言いますならば、財政経済というものは当然両立しなければならぬものでありまして、経済財政のもとに置かれるような考え方は、私は根本的に誤つておるのではないかと思うのであります。幸い国民各位の御協力によりまして、日本の国は生産も復興し、経済発展して参りました。そうして、私たち考えますのに、日本産業とか経済が膨脹して来ましたならば、それに伴つて必要な金融の増加というものが当然行われなければならないと思うのであります。国力が増加するということは、当然生産がふえあるいは建設事業が行われることである。生産がふえ、建設事業が行われますならば、その方向に使われるところの資金は当然相当額のものが寝かされて行く。生産がふえて来れば当然その工場とかあるいはその製品を取扱います商社とか、あるいはその資材をつくります方面とかに、おのおの金が寝かされて行くわけであります。また建設事業におきましてもしかりであります。ところが単に均衡財政を維持するというような観点から、そういう方面金融財政政策というものは、日本国力増強生産増強に伴つて拡大されていないと私たちは思うのであります。その結果、御承知だと思いますけれども手形濫発になつております。従来は六十日ぐらいの手形でありましたものが現在は百二十日くらいの手形発行されておる、そういうような現状になつておるのであります。しかも、その手形は、従来われわれは生産産業方面に対する手形というものは、商売というものは、御承知通り信用が第一でありまして、手形が落されなかつたというようなことはほとんどなかつたのでありますが、戦後あまりにも金融財政方面産業を圧迫いたしましたために、手形は長期の手形になるし、その手形が落されないというような不渡り手形濫発されておるというような現状でありと私は思うのであります。ここにおきまして、政府はことに新大臣通産大臣を兼任しておられるのでありますから、まず大臣のお考えといたしまして、日本の国政の今後の方針といたしましては、産業経済政策というものは、財政政策と少くとも並立した観点において政策を進めて行かれる御意見であるかどうか、従来のようなドツジ・ラインにより押えられた経済政策産業政策というものをやつて行かれるか、あるいは講和独立された現在におきましては、産業経済政策というものは、少くとも財政政策と並立された考え方で今後の政策を推進して行かれる方針であるかどうか、こういうことをまず第一にお聞きしたいと思います。
  4. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 お答え申し上げます。ただいま非常な有意義なお話でございまして、私どもまことに御同感に思います。本会議経済政策基本方針について演説がなかつたことは、これは多分私は当時まだ組閣早々でもあり、補正予算関係等もありまして、そうかと思いますが、今後は御注意のごとく、ぜひこれは日本産業その他に至る基本政策を述べるのでありますから、今後さようなとりはからいをいたしたいと存じております。  なお今御指摘になりました、産業財政政策のもとに屈従すべきでない。それは産業経済財政とは並立すべきものであるという御意見に対しましては、まつたく私は御同感でございまして、これこそ一方に偏すべきでないと思いまするが、しかしそれならば産業が、つまり私の申し上げますのは、並立すべきものであつて一方に偏重してはならない、この点は強く感ずるのでありますが、しかし産業もまたそれと同時に今ちよつとお話でございましたが、産業発展に伴う金融措置はきわめて必要なことと考えるのでございますが、インフレへ持つて行くようなことがあつては相なりませんので、この点に対する十分な用意は、これは前田さんの方でも御必要をお認めになつておる通りで必要だと考えておるのであります。従つてどももある程度、過日も申し上げたかと存じますが、財政投資などをしてもらつて産業開発を、電力とか石炭その他につきまして、基幹産業には財政投資も少し出してもらう、またして行くという考え方大蔵当局と話を進めてほぼ了解を得ておる点もございまして、大体仰せのごとく今後はいわゆる財政経済とが並立をして参るごとと考えております。  さらに手形濫発等についてお話がございまして、今少し金融が私は苦し過ぎるように思いますので、金融措置は必ずしも財政措置と一緒にならぬでもいいのでありますから、金融方面につきましての措置につきましてはよく金融当局方面とも話をしまして、もう少し必要なる金融については積極的な対策を講じてはどうかと実は考えておる次第でございます。
  5. 前田正男

    前田(正)委員 金融の具体的な問題につきましては後ほど御質問いたしたいと思いますが、もう少し全般の問題についてお聞きしたいと思います。現在日本経済に対しまして大臣はどう思つておられるか存じませんが、私たちが見まするならば、貿易は非常に不振であるのみならず、日本国家産業というものはある程度沈滞し、経済も相当萎縮されつつあるのではないか、操短が行われる、あるいはまた不景気の様相が相当現われておると思います。ここにおきまして、いろいろと過般大臣からも、経済基本方針とされて、この日本経済打開ために特に独立再建後の日本経済発展ために、根本的な施策方針を述べられたのでありますが、しかし、それを総合いたしますならば、どうしても私は単なる従来のやり方だけではこれを打開することは困難ではないか。私から見ますならば、日本経済には内外両方面において有効需要が少くなつて来ておるのではないかと思うのであります。そこでどうしても有効需要を喚起するということにわれわれは努力しなければならないのではないかと思うのであります。皆さん御承知通り日本価格は割高であります。この価格の割高なところにおいて、さらに操短を行うということは決して合理化にもならないし、価格を引下げることにもならないと思うのであります。しかしながらまた操短を行わなければ日本経済混乱を起し、重点産業混乱の中に陥つて行くということもまた事実でありまして、これまたやむを得ない措置であると思うのであります。そこでやはり現在国家日本の再生産をさらに叫び、そうして相当国力増強されて来たのでありますから、この増強されて来た生産力に応ずるところの有効需要を喚起して行くということにまず第一に主眼を置いていただきたいと私は思うのであります。  そこで貿易の問題は次にお伺いすることにいたしまして、まず国内需要の問題についてお聞きしたいと思うのでありますが、国内需要につきましても、私は単に海外貿易収支ということばかり考えないで、国内需要の喚起ということについても、もう少し努力されていいのではないかと思うのであります。幸いにいたしまして、経済審議庁におきましては、国内需要の上で一番大きな割合を占めると思われるところの国土総合開発事業を主管されておると思うのであります。そこでこの国土総合開発事業であるとかその他の有効需要を喚起する方法をいろいろ取上げなければなりませんが、これを行うにあたりましては、何といいましても、それに伴うところの財政措置が必要であります。しかしながら、この従来の均衡財政主義的な考え方をもつて、この国土総合開発事業を行おうといたしましても、私はなかなかこれは十分でないと思うのであります。そこでこの問題につきましては、たびたび世間でも問題になつておりますところの公債発行という問題が出て来るのじやないかと思うのであります。ちようど二十八年度の予算編成内閣でおやりになつておる最中であると思うのでありますが、国土総合開発事業、あるいは施設とかあるいは鉄道新線とか道路の問題とか、こういうような問題をおやりになる場合においては、どうしてもこの機会建設公債ないしは鉄道公債、こういうような公債発行の方式をとつて行かなければ私は思い切つた処置はできないじやないか、従来の政府財政措置だけでやつて行くということはなかなか困難ではないかと思います。もちろんそれは公債引受先財源というものが、預金部資金とか限られた資金で必ずしも公債が十分に発行され、消化されて行くとは私は考えられませんけれども、しかしながら、建設公債発行して行くという趣旨で行きますならば、従来の預金部資金わくとか、貸付だとかの、投資するわく以外に、さらにまた財源を探すということは必ずしもそう困難ではない。ただ建設公債とか、こういう公債発行して行かないという趣旨で行きますならば、従来の均衡財政わくで行かなければならぬのであります。公債発行して行くということならば、これはいろいろと打開の道がありまして、必ずしも私たちが期待しているほどたくさんの公債が消化されなくとも、幾らかなりとも財源というものは見出して行く余地があるのじやないか、しかし私は日本現状を見て、日本有効需要を喚起して行こうと思うならば、少くもただいま期待するほどの十分の額ではなくても、たとい幾らかでも金を集めて行くことができるならば、その金を集めて来て、そうして建設事業国土総合開発事業、そういつた方面にそうして行かなければならないときが来ておるのではないかと思うのであります。そこで国土総合開発電源開発、こういうようなことを担当しておられますところの経済審議庁長官とされては、二十八年度の予算編成にあたつて公債発行して行くという方針に対しましてはいかにお考えになつておるか、聞きたいと思います。
  6. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 国内需要を喚起するということについて、前段お話がございまして、私どももまことにごもつともに存ずるのでございまするが、しかし日本内需を喚起いたしまするためには、現在輸入しておる物資が、たとえば食糧にしても、綿花にしても、その他の原料にいたしましても、これは国の中で満たし得ないようなものでございまするので、やはり内需を喚起するためにも輸入が必要だというようなことになつて最初前田さんお話になつたように、貿易をどうしても盛んにするという以外に道がないので、やはりこの点はつり合いをとつてつて行く以外に道がないことは、前田さんもさだめしそういう意味でお話くださつたと思いますが、私も同様に考えております。  なお建設公債等を出したらどうかということについてのお話でございまするが、建設公債を出して、すぐに日本銀行が引受けて紙幣の増発を招くようなことに相なりますると、せつかく物価の安定を期し、また日本物価国際競争力を加えようとしておる途上において、そういうことが妥当であるかどうかということにつきましては、相当研究を要する問題があるのではないか。もしそれがひいて若干でもインフレの要因となつて、物の値段を上げますようなことにでもなりまするならば、前田さんよく御承知通り、現在でもすでに割高な物資がさらに割高になつて、あるいは輸出力を阻害するというようなことになり、かえつて日本経済の全体から見て懸念される点が多々ありまするので、建設公債については、一部にはそういう御意見もあり、相当長所もあるようには見受けまするけれども、現在の段階ではどうもそこまで踏み切りをつけることはどうかというように、実は私どもは率直に申し上げ得ると考えている次第でございます。
  7. 前田正男

    前田(正)委員 大臣の率直な御答介を伺つたわけでありまするが、貿易の問題につきましては、実はこれは貿易収支の問題についてはぜひとも考えなければならぬと思います。これは後ほどひとつ根本的にお話を伺いたいと思つておりますが、まず国内需要の問題については、今のお話でございますが、どうしても需要を喚起して行けばインフレになつて、かえつて割高になるかというと、私はそうではないのじやないかと思います。需要を喚起して、その結果金が流れてかえつてインフレになると言いますけれども、現在の日本といたしましては、生産合理化するとか、あるいは生産力というものをもう少し高能率的に働かすということが問題なのでありまして、現在のように需要を縮めて行きますならば、自然に物価というものは割高になる一方であります。私の考えでありますけれども日本生産力に対して需要が多いということならば、インフレになると思うのであります。しかし現在は日本生産力に対して需要は少い。そこで金を出されたからといつて、必ずしも私はインフレになるとは思わないのです。それが企業の合理化とか高能率生産ということになつて来まして、かえつていいのじやないか。操短をして行けば、それだけの経費というものはどうしても生産費に割込んで来るわけであります、かえつて困難になつて来るのじやないか、こう思うのであります。そういうような点から、この建設公債発行して、もう少しく需要を喚起して行くということについて、需要を喚起したら、金が流れてインフレになるというふうに、簡単に日本の現在の需要生産力というものの関係をお考えにならないようにお願いしたいと思います。しかし建設公債につきましては、内閣の御方針もありますから、その程度にいたしたいと思います。  次にまた基本的な問題について聞きたいと思うのでありますが、最近盛んに政府自衛力増強ということを申されております。そうして防衛生産ということを相当叫んでおられるのであります。しかし過般の通産大臣お話によりますならば、防衛生産というものは、単なる外需として見ておるのだというようなことが新聞に載つておつたのでありますが、私は現在軍需品をアメリカから注文を受けて、防衛関係生産をしておられるということは、なるほど一つ外需には違いないと思いますけれども、しかし政府自身日本国家独立とともに自衛力というものを増強しなければならぬということを述べておられる。従つて私は自衛力増強という点から見ますならば、単に防衛生産というものは外需にとどまらないと実は思うのであります。われわれの持つておりますところの自衛力というものは、それではいつまでも外国兵器を借りて、あるいはまた外国からの援助だけによつて自分たち兵器というものを使つて行くつもりなのがどうかという、こういう問題も当然起つて来ると思うのであります。自衛力増強するというのは、なるほど現在の保安隊というものを必要なときに使うということは、それは使えるだろうと思います。しかしながら今後の自衛力というものは、相当国際的な紛糾が起つたときに発動を見るのではないか。特に冷たい戦争の現在でありますから、国際紛争が起つたときに問題が非常に大きくなつて来ると思うのであります。そのときにおいて日本経済というものは、それでは自衛力を持つておる経済になつておるかといいますと、先ほど大臣お話になりました通り、私たちの国は相当外国から材料その他を輸入しなければならぬ。またそれでは日本の現在の生産工程を見ました場合に、すぐに自衛力を十分に満足し得るところの生産力を持つておるかというと、そうでもないと思うのであります。そこでこの自衛力増強ということに伴いましては、当然自衛力増強に必要な程度の自衛的な経済政策というものを立てて行かなければならぬと思うのであります。この問題は、従来は日本防衛に関しますことは、占領軍が責任を持つて、そうして占領軍日本経済政策というものを考えておつたように私たちは思います。しかしながら講和独立された現在といたしましては、政府自衛力というものを持たない。無防備で行くということなら別問題でありますが、政府は少くとも自衛力増強という根本方針を立てて行かれる以上は、今後の政府経済政府というものは、自衛力を持つたところの経済でなければならぬ、防衛経済でなければならぬと思うのであります。これに対しまして、大臣は今後の経済政策として、そういう自衛力増強防衛的な経済政策というものをおとりになる方針であるかどうかということを、ひとつお聞きしたいと思います。
  8. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 まず最初兵器産業のことでちよつと申し上げておきますが、あれは輸出一つとして現在見ておる。ちようど前田さん御承知通り、ことしは七億ドルほど——兵器注文だけではありませんが、国内での各種のいわゆる外貨の受入れに関するものがございますが、そういつた兵器もその一環として見ておるというふうに申し上げたのでございます。もちろん国内自衛力に必要なだけの兵器——これは兵器という言葉は語弊があるかもしれませんが、国内で必要なだけの装備に要するものをつくる。これは必要だと思いますが、しかしそれらの点につきましては、両方の注文を兼合せてよく見合いませんと、これも少し規模が大きくなつて来ますと、それがために大きな損害を受けることになるといけませんので、この点についてはあとで何か一ぺん特殊の立法でもして、許可制度をとつて行くことが必要じやないかというくらいにも考えておる次第でございます。  それから自衛力増強伴つて経済政策を立てて行くかどうかということなのでございますが、現在のところは自衛力は、予算の面から見ましたら千八百二十四億でありましたか、それ以上はちよつと今の日本財政均衡から見まして無理なんじやないか、かように考えますので、前大臣のときもたしかこの程度を越さないということをいつも申しておりましたが、もつとも財政がもつと大きくなりまして歳入がふえて参れば別でありますが、その点から見ますと、現在のところ産業に占めておる部門はそう大きくはございません。そこでこまかい数字的なことはあと説明してもらいますが、現在の自衛力増強部面兵器産業というものは、特需を受けますもの全部入れまして、一般産業に比較いたしますと二割五分程度じやないかと、私は大ざつぱに考えております。その程度でございますと、特にそれがため自衛力増強に伴う経済政策を立てかえるというほどでないように存じております。しかしこういうことをよく織り込みまして経済政策を立てなければならぬということについてのお話はまことに御同感でございます。
  9. 前田正男

    前田(正)委員 私のお聞きしたかつた問題は、防衛関係生産財政に占める割合とか、日本の現在の経済に占める割合ではなしに、政府日本の国は無防備でやつて行く方針でおられるのではなくて、国際的な有事の場合においては、自分の国は自分自身で守つて行くという根本方針をお立てになつておられるのでありますから、そういうことになりますと、今後の経済方針というものは、自分の国を自分の力で守るということに伴うような経済方針というものを立てなければならぬと思うのであります。ところが具体的な話になりますけれども、それが実は末端においては全然ばらばらでありましてたとえば電源開発にいたしましても、あるいは総合開発の問題にしても、自衛という立場から考えるならば、電源をどの辺に持つて行かなければならぬとか、あるいはまたこの間からちよつと問題になつておりますが、いろいろ従来持つておりました軍工廠とか、そういうものの払下げにしましても、これはやはり政府が国を守つて行こうという場合には、そういう従来のような考え方をとつておられたときとは当然考え方が違つて来るのではないか。やはりそういう設備を有効的に防衛使つて行かなければならぬ。さらに日本といたしましては大きな問題があるのでありますが、日本の現在の外航船というものは不足であります。外航船を増強するといつても一朝にしてはできない。だからそれを増強するべく努力されるけれども、しかし今の経済のやり方でおりますと、主なるところの石炭、鉄鉱石というものは、一番遠い海を渡つて来るところから入つて来るわけであります。これでは自衛力といいましても、一旦有事の場合には、自衛力も何もない。それは外国がどれだけの輸出を許可するか、せぬかということであり、またわれわれの船で運ぶ力がなければ、自衛力に一番大事な鉄が外国の船によつて支配される。外国の船腹によつて日本自衛力が支配される、こういうことになるのではないか。もちろん外国がどれだけの援助をしてくれるか知りませんけれども、われわれとしては非常に心もとないと思うのであります。政府自衛力という言葉を使われますけれども、なるほど保安隊の人たちの頭数をそろえるということは自衛力として必要だと思いますが、われわれから見ますならば、経済的な自衛力というものが一番大事な問題ではないか。従つてもしそういうことになりますならば、政府といたされては現在の手持ち外貨を放出するかどうかというような問題が相当大きな問題になつておるのでありますが、当然もつと手近なところから原材料を輸入するというような方向へ思い切つた政策転換をされる必要があるのではないか、あるいはまた食糧の問題につきましても、現在は相当の食糧を入れております。しかしその入れている方法が、われわれとしては自衛力的な観点から見まして、防衛的な方向から見まして、必ずしも有効であるとは思いません。もう少しくわれわれの手近な方面から輸入するということと同時に、国内生産増強に力を入れなければならぬのであります。あるいは大臣もお考えになつていると思いますけれども、食糧については相当の貯蔵食糧というものがなければ、自衛力経済ということは言えないのじやないか。それに対しまして、現在日本に外貨があるならば、貯蔵食糧というものをもう少し持つように努力したらどうであろうか。あるいはまた石油につきましても同じであります。これも単に外国からの供給力だけに依存しているということであつては非常に心もとない。われわれは国内とともに、もつとわれわれの近辺のアジア方面においてその資源を探すということも必要であると思う。同時に石油についても、この際相当手持ちのドルがあるわけですから、ある程度の貯蔵を行わなければならぬ。こういうふうな根本的な経済政策を、従来は占領軍がやつておつたかわかりませんけれども、われわれは独立講和に伴いまして、自衛力増強で、自分の国は自分の手で守つて行くという根本方針があるならば——この間基本方針を読ませていただきますと、従来やつて行かれようとしておりましたことをさらに積極的におやりになろうとする考え方でありまして、独立に伴いまして従来の経済政策を一変して、占領経済から離れた独立経済をやる。しかもその独立経済は、自分の国を自分で守つて行こうという気魄の入つたところの独立した経済政策であるように私は感じられないのであります。そこで政府自衛力増強ということを進める以上は、そういう金の問題じやなしに、政府施策とされて、防衛するところの経済をやつて行かれるような方針にかえて行かれる意図であるかどうかということをお伺いしたい。
  10. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 さつきの数字を訂正しておきます。財政の方は、私が申し上げたように約二割四分程度でございますが、工業生産、いろいろなものを合せますと非常に大きいので、それで一%かつかつということでございます。どうぞ御了承を願います。  それから日本は占領行政から離れて独立したのであるから、やはり経済も占領経済より独立経済に移行すべきであるというお話は、まつたく御同感でございます。これは今経済審議庁の方でいろいろ計画を立てているのでありますが、これについてはやはり外貨の利用などについても相当考えられております。しかしドルだけについて申しますと、ドル換算では御承知のごとく十億ドル強ございますが、ドル貨だけですと、現在のところ六億程度しかございません。そのうち三億ドルぐらいはもう使わなければならぬ部分が大体予定されておりますので、今後の事情にもよることでございますけれども、この外貨の利用については——私は過日もちよつとそういうお話を申し上げておいたのでございますが、これについては十分考えておりますけれども、どの程度にこれをどうするかということについて今具体的に検討いたしておりますから、その上で何らかの機会に話をさせていただくことにいたしたいと存じます。それで、油についても少し持つておらなければいかぬじやないか、あるいは食糧についても十分持つておらなければいかぬじやないかという点等は、私もまつたくそう思いますが、しかし今のところ、率直に申し上げて、なかなか経済が許しません。ただ方針としては私はまつたく御同感考えるのでございまして、今後経済審議庁でもそういう方針に基いてこれはやつて参ることは当然のことと考えておりますから、いずれそういうことが成案を得ましたら、御相談申し上げたいと思つております。なお今お話にも出ましたが、できるだけ国内でもつて資源を開発してやりますことは、きわめて必要でありますし、また手近なところでやれというお話については、東南アジア等の手近なところでできるだけそういつた資源の開発などに尽したい。これはインドなどに鉄の問題等でああいうふうな企画がされておりますか、そのほかにもそういうことをやつて参りたいという方針を持つておりまして、過日東南アジア方面に今後できるだけ転換するのだということを申し上げましたのはそんな意味であります。仰せになつた点は、私全体としてはまつたく御同感でございます。
  11. 前田正男

    前田(正)委員 大臣の御意見とされまして、今後自衛力というものを考え日本経済を持つて行こうという点については、私も当然だと思うのでありますが、どうも政府のやります経済施策を見ていますと、ばらばらで思想統一がありません。そこでくどいようでありますけれども大臣にひとつよくお考え願いまして、今後の経済施策をおやりになる場合におきましては、自衛力考えたところの経済政策という一つのまとまつた考え方において、いろいろの許可、認可だとか、あるいは外貨予算を立てられるとか、こういうふうな施策をお願いしたいと思います。また総合開発等の事業におきましても、そういう点を従来あまり考えてないように思います。ことに今度のちよつとしたストだけでも日本経済がゆがんで参つておるのであります。電源開発その他の総合国土開発というものは、自衛力に非常に大きな影響があるものでありますから、よくその辺のことを考えに入れられた御計画をお願いしたいと思うのであります。  そこで少しく具体的な問題についてお聞きしたいと思うのでありますが、まず今のお話貿易の問題からお聞きします。なるほどドルが少いということはよくわかつております。しかしながら今後外貨予算を立てられるときに、その都度原材料というものに対しては多少のゆとりを持つたドルの買付ができるよう外貨予算を立てられることが必要だと思います。ことに私がここでお聞きしたいと思いますことは、ポンドが非常に過剰になつておるわけでありますが、ポンド対策というものは昔からやかましく言われておりまして、ポンド地域に対しまする輸出制限等いろいろ行われたと思うのでありますが、従来日本が占領下にあつていろいろと外貨予算編成の上において制約を受けた場合は別でありますけれども、現在日本が国策的に見て、日本貿易の市場はもちろんのこと、さらに資源の輸入、原料の輸入先も東南アジア方面に求めなければならないというような現状は、先ほどお話通りでありますから、そういうことになればポンド地域との貿易の増進ということは何といつても大事だと思うのであります。そこでポンドとドルとの関係日本の外貨全体の保有率とかいろいろな問題がありますけれども、この際国策的な観点に立たれまして、ポンド方面との貿易を振興して、ポンド地域の開発により日本の資源を確保するという大きな観点から、この機会にポンド方面に対する輸出制限を解除をされたらどうかと私は思うのであります。それをやらなければなかなかポンド方面との間の貿易の根本的な対策というものは立たない。もしそれがいやならば、日本の為替レートというものをかえるよりしかたがないじやないか。為替レートをかえないで、しかもポンド地域方面に対する輸出制限をしておられるというようなやり方では、なかなか根本的な解決はできない。結局ジリ貧に陥るよりしかたがないと私は思います。従つてこの際ポンド地域に対する貿易の制限というものを日本の方から進んで解かない限りは、日本輸出制限をすればするほどポンド地域の方は輸出制限をいたしまして、現在の日本貿易は不振になつておる現状であります。そこでこの際思い切つてポンド地域に対する輸出制限を解除されて、さらにポンドの外貨投資ということを私はこの機会に行われたらどうかと思うのであります。まず第一に、ポンド地域に対する輸出制限の解除という問題、特に日本とポンド諸国との間において、今後お互いの貿易の制限をなるべくしないようにしてもらうということで、日本の方から誠意を持つて貿易を振興して行ごう、こういう手を打たれるかどうかということについてお聞きしたいと思います。
  12. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 ポンド地域に対する輸出制限のことについてのお話でございましたが、大体は事実上解除されておるような状態に今あるのでございます。しかし御承知のように、向うが輸入制限をいたしておりますので、たとえばイギリスとの間にある日英協定等を今進めておりますが、これも大体輸入制限について緩和する等のことで交渉を進めておる次第でございます。近く何らかの妥結を見るかと思いますが、見ない場合は今まで通りということが続けられるごとになろうかと思います。しかしこちらといたしましては、できるだけ向うから輸入をすることによつて輸出を促進する、こういう建前を現在のところはとつておる次第でございますけれども、向うが輸入制限をやつておるときにこちらは全然自由だということにしますことが、はたしてよいかどうかということにつきましては、もうちよつと考えさせていただきたいと思います。前田さんに率直に申し上げますが、私経済審議庁長官になつてまだ日が浅いのでありまして、事務の方ではもう少しいい考えを持つておるかもしれませんから、それを伺いまして私の頭で咀嚼して御答弁します。私が今申し上げておるのは、きわめて常識的な私の考えを率直に申し上げておる次第ですから、どうぞお含みを願いたと存じます。
  13. 前田正男

    前田(正)委員 大臣の率直な御答弁、まことにけつこうだと思うのでありますが、実質的には輸出制限というものはあまり効果はない。そうかといつて今交渉しておられる段階においては、なるほど向うが解かなければ解くわけには参らぬことは、日本の国としてはあたりまえの話でありますけれども、実質的には効果がなくて悪い影響を与えたということになれば、日本の方から進んで輸出制限を解いて、外国に対して公平同等な立場で向うの輸入制限を解いてもらいたいという話をして行くのが当然じやないかと思うのであります。大臣もこの点についてはよく御研究をお願いしたいと思いますが、しかし今お話のように、われわれの国といたしましては、こちらからの輸出は向うからの輸入に見合つてつて行かなければ、外貨の帳じり上合わないという問題が出ますから、当然向うの輸入を促進しなければなりません。ところが御承知のように、ポンド地域から輸入しようというものにつきましては、その品目、数量等について日本としてはなかなか問題があるのであります。そこでこれをやつて行きますためには、どうしてもこの機会に向うの方面において日本向けの資源を開発するとか、あるいは日本に輸入すべき品物の生産増強日本が協力するとか、こういうふうな態度をとつて行かなければ、ポンド地域方面に対する貿易発展はなかなか困難じやないかと私は考えるのであります。従つて東南アジア方面経済開発に対しましては、日本はできるだけの協力をして行かなければならぬと思うのであります。ところが御承知だと思いますが、日本から出して行きますものはどうしても技術が伴いまして、重工業製品的なものとかあるいは機械工業製品的なものとか、こういうようなものが相当多いのであります。これを出して行くについてまず第一に問題になつて来るのは、その決済の問題でありますけれども、東南アジアの方面日本の品物に対しましてすぐの決済というものはなかなか困難だ、これが実情であります。東南アジアというものはやはり金が足らない、そこでこれを打開するためには、無為替輸出をするということについて——日本も前には一度やつた例もあるのでございますが、今後は無為替輸出をやるということは非常にむずかしいのであります。またそういうことに対する制度というものは、これはゴアの鉄鉱石だと思いましたが、これはやりますについては、相当政府の中においてもいろいろと問題があつたのでございます。今後はそういう決済の長いものにつきましては、無為替輸出ということに対して、日本政府としてはこれをスムーズにやれるように政府政策として考えていただきたい。同時にまた、一方前から考えられておりますことは、東南アジアその他において合弁会社をつくろうという意見が非常に多いのであります。インドネシアその他においてはたくさんあります。そうしますと、どうしても当然日本といたましては無為替輸出でしました製品は——これはゴアの場合はたしか鉱石と決済するというふうなことになつて、前払いみたいになつておつたと思いますけれども、これから合弁会社になりますと、そういう機械設備等は投資ということになつて来る可能性があるわけであります。そこで日本海外に投資するという問題が出て来るのであります。ところがこの問題についてはどうも政府方針がはつきりしない。しかし私たちは、先ほどから申しますように、日本に輸入する品物を東南アジアから求めようというからには、どうしても向うの資源を開発し増産することに協力するよるよりほかに方法がないのであります。そこで当然この際無為替輸出の円滑なことと、同時に外国に対しまして、特に東南アジア、ポンド地域方面に対しまして投資をするということについて政府は根本的な方針を確立される必要があるのじやないか。政府の直接の投資というわけではありませんけれども、民間が投資しようという場合においては、少くとも政府はそれに対して便宜をはかろう、特に前から問題になつております場合は、ポンドなんかの手持ちも多いから外貨投資をしてもいいのじやないか、こういう話も前から出ておるのであります。そういつたような無為替輸出の問題とか、外貨投資を含めましたところの合弁会社に対する投資であるとか、こういうことに対しては政府は積極的な方針をとつて行かれるべきであると思いますが、大臣はどういうふうにお考えになつておるかお聞きしたいと思います。
  14. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 ただいまお話のございました東南アジアの開発につきましては、私どもは、お話通りに、資源開発について資金、技術等について協力、またその増産設備等、日本の方に品物がよけい入つて来るようなぐあいにいたすべきことについて力を尽すべきであると思うのでございまして、この点についてはかねてその方針がきまつてつて、先般新聞に、ある方が向うの方に具体的に話を進めに行かれるというようなことが出ておりました。しかしまだ実行されておりませんが、これは至急に実は実行したいと思つておる次第でございます。  それで今お話のございましたところの、それでは合弁による外貨投資はどうかということにつきましては、ポンドのところには多少例のの為替管理の問題が行われるということは前から御承知通りで、そうすぐうまく行かぬ点があるのでございますが、方針としては私どもぜひそういうふうに持つて行くように、向うと折衝して参りたいと考えておる次第でございます。それから無為替輸出の点は——これはちよつと古いことを申し上げて相済まぬのでありますが、どうも無為替輸出をやるためにキヤピタル・フライト、資本逃避になるおそれがある場合も相当ございますので、そうならぬ範囲でひとつ無為替輸出を認めて、輸入その他の代金で決済するということが明らかになつて来たら、そういうことにでもいたしたいと思うのでありますが、これは前田さん知つておられる通り、多少為替の自主性が違うものですから、キヤピタル・フライトになる点がないともいえませんので、こういう点を考慮した上で無為替輸出の点はとりはからいたいと考えておるのでございます。なおこれは国内の方の、たとえば会社の関係海外のものがやりにくいようなものがございましたならば、これは法律を少し改めることもいいでしよう。たとえて申しますと、輸出入銀行法というものを少し改正することによつて対外投資をするごとにいたしますれば、あれは長期の資金が得られるのでありますから、大体そういうふうに行けるのじやないか、こういうことも実は考えておるような次第でございます。
  15. 前田正男

    前田(正)委員 今のお話で、特に輸出入銀行法を改正するというようなことはぜひひとつお願いしたいと思つておるのでございますが、しかしこういう問題は、やり出しますと、今のお話の資本投下とか、いろいろ批判をすればきりのないことであります。手続からいえば非常にめんどうなことでありますが、しかし政府といたされては、この際日本全体の立場から見て、外国、特にポンド地域方面経済開発に協力しようという観点方針を強く打出されて、いろいろの不安の点とか、あるいは手続上の点とか、いろいろの点でめんどうがありましても、これを強力に推進して行くという方法で、その間いろいろな法律改正をするなら改正をするで、政府としてはこの方面の道が開いて来るように御努力願いたいと思うのであります。  次に貿易の問題についてさらに一、二点お伺いしたいと思うのでありますが、政府貿易商社の強化ということをこの際ぜひ考えなければならぬというような政策を御発表になつておりますが、まことにもつともなことであると思うのであります。特に日本の対外信用というものは、現在のところ有力なる貿易商社がほとんどないために非常に不利をしております。特に海外におけるところの、日本の品物を買いつけようというような総合企画的な方面にまで入つて行くということはほとんど行われておりません。ところが日本の今後の貿易というものは、——個々のこまかい雑貨品などの貿易もありますけれども、やはり大きな工業的なもの、機械工業的なものが相当大きく国際人不等によつて行われるということはどうしても非常に多いのであります。それにはどうしても向うの当局者が心配しているところへ事前に食い込んで行かなければならない、それには、相当の資料でありますとか、いろいろの図面であるとか、あるいは写真であるとか、こういうようなものを相当十分に相手方に引渡すと同時に、向うの要路者といいますか、当局の人とも相当腹を打明けた話合いを日ごろからして行かなければならぬと思うのであります。そういう方面において現在の貿易商社はほとんど欠けておりまして、せつかく日本のものを使いたいと思うけれどもできない。話によりますと、一つの国際入札についても、その資料だけでも何千万円もかかるというような話を聞くのでありまして、なるほど今の貿易商社の力ではとても及ばないことであるかもわかりません。しかし、政府貿易商社を強化されて、商品に食い込んで行こうという方針であるならば、それにしては、これはかねて問題になつておるのでございますが、日本の外交政策というものは、現在まで多分に向うの国との間の領事館的な仕事ばかりやつて行こうとしておつたような空気があつた。これは終戦後、初め在外事務所から始まつたからそういうことになつておると思うのでありますが、しかし日本の現在の貿易外交政策の相当大半の仕事というものは、日本経済発展ということに協力する仕事、協力しようという経済外交というものが相当大きな部門を占めるのではないかと思うのであります。そこで、貿易商社の強化について政府施策を講ぜられることはまことにけつこうでありますが、同時に、経済外交というものを外交政策の中に力強く打出して行かなければならぬ。従つて、昔はその担当の商務官というものがあつたのでありますが、そういうようなものを大公使館に置くというような制度もあわせて御採用願わなければならぬと思うのでありますが、大臣とされては、あるいはまた内閣とされては、こういう方面日本の在外大公使方面に対して商務官あるいは経済外交を推進するということについてはどういうふうにお考えになつているか、あるいはまた具体的な方策があるかどうかお聞きしたいと思うのであります。
  16. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 今お話になりましたところの、日本経済発展に貢献するような外交政策をやらなければいかぬというお話につきましてはまつたく御同感でございます。最近の大公使の人選でも、前田さん御承知通りよほど民間人をよけい取入れておるのでありまするが、なお商務官のような制度も、あれは以前相当効果を上げましたから、これは考うべき問題であろうと存じます。ただ、ただいまのところ商務官制度をすぐ採用するという決定は見ておりませんが、話はそういうふうに進めて参りたいという所存でございます。貿易商社を強化することは、往年の三井、三菱、鈴木商店というような大きなものがなくなつた今日、非常に力が欠けております。それとまた今まで一番大きな問題は、まだ通商航海條約などできませんで、そういう点でいろいろ不利な点を受けておると思うのでありますが、しかし現在のいわゆる独占企業とかいろいろな関係もありまして、現在の商社を強化することはさしあたり必要なんじやないか。現在の貿易商社をどうして強化するのかといいますと、私は税制などの改正を大蔵省の方面とも前から話合つておるのでございますが、どういうことをするのかといいますと、たとえて言いますならば、取引をキヤンセルされる場合がある、そのキヤンセル準備金とか、あるいは海外支店を設置するその準備金を新設するとか、あるいは貸倒れ準備金とかいもうのを大幅にとりまして、こういう準備金には一切課税しないといつたようなことをやつてもらうことも一つの方法ではないかと考えております。なおそのほかにもいろいろ方法はあろうと存じますが、いずれにいたしましても、商社が強化されませんと貿易の実が上りませんので、この点は力強く進めて参りたいと存じております。
  17. 前田正男

    前田(正)委員 次にお伺いしたいことは、大臣は現在の中共向けの輸出制限を欧州並にしようという考え方であるというようなことを、過般の国会の答弁か何かでお聞きしましたが、それは前からそういうことは政府としても交渉はされておつて、またそういう話もわれわれ聞いておるのでありますが、それは現在しようと思うのじやなしに、現在どの程度に進行されておるのか。現在独立国でありますし、あるいはまた欧州の方面で制限を受ける会議日本の人が参加することができるということが新聞に出ておるのでありまして、そういうことならば、当然欧州並にこの際制限を解除してもいいのではないかと思うのでありますが、その辺の現在の進行状況をお聞かせ願いたいと思うのであります。
  18. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 交渉の経過は実は私まだ全然承知しておりません。これは外務大臣の方へ伝えておきますから、外務大臣の方からでもひとつ経過の報告をしてもらうことにいたしたいと存じます。ただ前田さんにちよつと申上げておくのは、率直な結論だけを申し上げますと、中共貿易については、日本は何としても欧州諸国がやれる線までやつてもらいたいと思つているのですが、今日の国際情勢でそう行かぬ場合がかりにありましても、こちらに許されぬなら向うにも許さぬということが必要なんじやないか、向うにも許すのならこちらにも許す、どちらかにきめてもらいたいということで、今後の交渉を進めて行きたいと思つております。
  19. 前田正男

    前田(正)委員 次に現在行われておりますところのストライキのことでありますが、このストライキは日本経済に相当重大な影響を与えておると私は思うのでありますが、現在まで日本生産状況に対してどの程度の影響を与え、それに対して政府日本経済政策を遂行して行くために、このストというものが非常に悪影響を及ぼしておるというようにお考えになつているかどうか、その点をひとつ承りたいと思います。
  20. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 御承知のように、電力の方は、専用線を持つております大工場につきましては、これまではそう大きな悪影響を与えておりませんが、もちろん影響はございます。しかし専用線を持たぬ中小工場には相当大きな影響を与えておるのでありまして、私どもは衷心から双方の良識ある解決を希望しておる次第でございます。石炭の方はなかなか大きな影響を与えております。特に今のガスの規正を受けたりしておるような状況で、ガラス工業等は最も顕著な例であると思いますが、そのほか各種の方面に相当大きな影響を与えておりますので、これまた私どもも一日も早き両者の妥結を希望しておる次第でございますが、しかしそればかりにも処置されませんので、私どもとしましては、昨日ちようど予算総会で私申しましたように、各種のこまかい資料が必要で、ございましたら差上げますが、ちようどこれから三月末までの間に百六十一万三千トンでしたか、百六十六万三千トンでしたか、私の記憶がちよつと間違つておるかもしれませんが、いずれにしましても百大十余万トンの外国の石炭を輸入することによりまして応急的な手当をいたすことにいたしております。
  21. 前田正男

    前田(正)委員 大体わかりましたが、そのストライキの影響でありますとか、それからいろいろの経済の行き詰まりとか、いろいろな問題から実は年末には非常に大きな余波がほとんど中小企業に及んでおるのであります。ことに関西では繊維関係が中心でありまして、関西の繊維方面の中小企業は非常な打撃を受け、整理されてつぶれて行つておるという現状であると私は思うのであります。政府は中小企業に対しまして相当の施策を講ずるというふうに話しておられるのでありますが、ストライキは進行するし、さらにどの施策が年末も間近に控えましてこれだけ出て来るかというと、補正予算でこれから何億出すのだというふうなお話でありまして、それではたして現在の日に日につぶれて行つております中小企業の年末の救済に役に立つかどうかということについて私は非常に心配しておるのであります。そこで大臣も中小企業のためにはできるだけ働くというお話でありまして、私ども心強く思つておりますが、時間的になるべく早くこれをやつて行く必要があるのじやないか、何とか救済策を早急に講じないことにはいけないのじやないか。補正予算に対するその他の政府措置というようなこともありますけれども、もう少し金融方面、ことに日銀方面ともよくお話合い願いまして、この方面からももう少しく年末金融の緩和ということについて御尽力願わないと、政府施策はなるほどけつこうでありますが、それは実は今つぶれて行つておる中小企業をただちに救済するのには役に立たないとわれわれは感ずるのであります。そこで中小企業向けの金融の緩和について、当面の責任大臣でありますから、もう少し市中銀行あるいは金融業者とお話合い願つて、ひとつ御尽力をお願いいたしたいと思うのであります。
  22. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 前田さんが中小企業の金融について御心配になつておる点はまつたく御同感でございまして、特に年末に際しまして金融措置を急ぐということの必要を痛感いたしております。それで先般たしか私はどこかの委員会で申し上げたと思いますが、大体今預金部の金でいろいろ預けてありますのが四百六十億とかございまして、これはいずれも期限が来ておるのでございますが、これを回収せずに明年三月まで持つてつてもらう、つまりこの年末と、それからまた俗に旧正月と申しますものがありますので、三月まで持つてつてもらうというようなことにいたしますほか、ただいまお話になりました国民金融公庫などに対する出資の分と、それから貸出しの分とございますが、出資の分はどうも予算が通らぬとやれませんが、これも通ると見て、金を早く出してくれということは頼んでおりまして、大体了解を得ておりますから措置されるかと思つております。それから商工中央金庫の方は、大体この六月ころから毎月十億くらいずつこの資金貸出しがだんだんふえて行つておる状況でございますが、これは五十億くらい余力があるというふうに承知をいたしておりますので、その貸出しを効果あるようにやつてもらいたい。なお今度二十億あそこへ貸し出すことになつておりますのは、これはすぐとりはからいまして、そういうふうにひとつ効果あるようにやりたい。私も実は実業界出身でありますから、金が遅れて参つてもしようがないということは一番よく知つております。従いまして、これはりくつでなくて、ぜひ間に合うようにやつてもらいたいということを今極力やつております。なおそのほかにも、やはり中小商工業の日本における地位から見ますと、この年末には間に合いませんが、もう少し大きく問題を考えて行かなければいかぬじやないか。これはちよつと御参考までに申し上げますと、今日本の貸出しは二兆三、四千億あると思いますが、そのうち三百万円以下の中小企業に対する貸出しが七千四百億くらいあります。その割合を見ますと、市中銀行その他の貸出しが、絶対数はふえておりますが、パーセンテージはだんだん減つておる。たとえば十一大銀行の例をとりますと、二十五年は二五%から貸したものが一九%しか貸しておらぬというようなことでありますので、今ちようどお話がございましたが、銀行へもお話し、またその他の各金融業者の方にもそれらの点をよくお話申し上げて、やはり日本の重要な部分を占めており、またきわめて大切な中小商工業に対してもう少し御協力を願うようにぜひいたしたいと思つておる次第でございます。
  23. 前田正男

    前田(正)委員 今のお話で私も非常に満足いたしておるのでありますが、政府が預託その他の措置を講ぜられるということは聞いておつたのでありますけれども、実はそれだけはなかなか足りないので、日銀や市中銀行の方にも中小企業の年末金融についてはぜひ御協力してもらうように大臣からひとつお話願いたいと思つておるのであります。  なおここで一つお聞きしたいことがあります。それは国土総合開発の問題が非常にやかましく叫ばれておるのでありまして、先ほど申しました通り建設公債その他でできるだけこの方面の費用を十分とつてもらう必要があるのでありますがただこれについてもわれわれとしては不審に思う点が相当あるのであります。それは国土総合開発法が通過するにあたりましては、経済審議庁においてこの関係予算がちぐはぐにならないように極力事前審査もして、国土総合開発針画に基いてこれを行われるように私は望んでおるのであります。ところが実際問題として起つておる問題を見ますと、実は国土総合開発に必要な道路がちぐはぐに行われておる。最近は国道というものを政府が指定しておるのでありまして、一級国道を指定し、二級国道も指定しようとしておる。それに伴います国土総合開発というような、国家の直接管理して行こうという総合開発の地域に対しましては、当然重点的に道路政策というものをとつて行かなければならぬと思うのであります。予算は事前査定を受けることになりますが、これは道路審議会でやるのだから、道路審議会の考え方でやつて行けばいいのだ、こういうようなことであるが、日本国土総合開発というものは最高の方針でなければならないのに、それが別の審議会で考えて行けばいいのだ。あるいは鉄道についても同じでありますが、鉄道の新線の決定はなるほど鉄道建設審議会というものがありまして、そこで決定することになつてはおりますけれども、これは当然国土総合開発法に基いてそれに必要な鉄道は建設されて行くべきであり、国土開発とか、電源開発に必要な鉄道というものは優先的に考慮されて行かなければならぬと思うのであります。ところが予算はなるべく事前査定をするように、これは政府の反対もあつたが、われわれ無理して通したのでありますが、予算の調整はもちろんのこと、経済審議庁というものは、各省の権限の上に立つて国土総合開発観点から仕事を処理して行くという立場にあると思いますので、国土総合開発を遂行される二十八年度の政府方針におかれては、道路であるとか、その他建設的な事業であるとか、あるいはまた運輸省に関係する事業とか、いろいろ各方面関係する事業も、経済審議庁国土総合開発という観点から強力に進めて行くようにお願いいたしたい。アメリカその他の国がダムの建設とかいろいろのことに成功しておりますことは大臣もよく御存じの通りでありますが、その話を聞いてみますと、ダムを建設するまでの間の科学的な調査とか、あるいはそれに対する道路とか鉄道とかいつた工事の方に大半の力を注いでおつて、いよいよダムの建設が始まると、ボルダー・ダムなどは五箇年で完成したという話であります。しかしその間の調査とかいうことには十六年間の長い期間を置いて、必要な機械工場であるとか、そういう方面の整備を非常に急いだということを私は聞いております。これはアメリカの開発局だとか、TVAだとか、そういつた一つのまとまつた観点においてこういう施策が行われたのでありますが、日本においても幸い経済審議庁があり、しかも国土総合開発法という法律までできておりまして、それを担当しておられます。大臣でありますから、いろいろ各省の権限に属した事案もあると思いますけれども、もう少し総合的に建設事業、国土開発事業というものが行われるように大臣施策をお願いしたい思うのであります。この点について大臣からことに各省の大臣にもう少し協力してもらうように、またこういう仕事は円滑有効に遂行されるように御協力を求めていただきたいと思うのでありますが、大臣はいかようにお考えになつておるか、お伺いしたいと思います。
  24. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 ただいまのお話まつたくさようにやつて参らなければならぬと私ども存じております。国土総合開発ために相当な資金がいるのでございますが、そのうち事務当局が計算しましたものを、ちよつと資料として今くれたのでございますが、それによりますと、大体十箇年間で四千億円ぐらいいるということになつておるのであります。しかしこういう厖大な数字とほかのものを調和をとりつつやつて行くということが経済審議庁のかんじんな任務ではないかと思うのであります。さしむき特定地域の分につきましては、予算の上である程度確保したいということで、目下大蔵省に事務的に話を進めておるそうでありますから、二十八年度予算をごらんくださるときには、お話のような点が少し具体化して参るのではないかというように考えております。
  25. 前田正男

    前田(正)委員 私の質問は大分長くなりましたので、これで終りたいと思いますが、要するに予算方面においてもなるべく調和をお考えになると思いますが、これはさつきの防衛経済の場合と同じでありまして、単に予算だけでなしに、政府の認許可事項であるとか、あるいはいろいろな施策方面において、少し総合統一がとれていない。どうも従来の政府のおやりになりますことは、お考え方がおのおのばらばらであります。ところがそれを受けます方の、たとえば国土総合開発関係で、地元ではその補償の問題などにおいては、どこの省に属しておろうと、当然国家的に考えるのであつて、道路が開発され、鉄道が開発される場合でも、地元のこれを受ける側は一本に見ているわけです。そこで政府予算の問題はもちろんでありますが、認許可事項においてもお考願いたい。先ほどの自衛力経済におしても申し上げました通り、今後の旧軍工廠の利用の問題とか、あるいは外貨割当の問題とか、そういつた予算とは直接の関係のない政府の行政措置としておやりになることが、どうもばらばらであるようにわれわれは感じます。この点については、われわれ常に国民の多数の方からいろいろと政府のやり方がばらばらであるというふうな意見を受けるのでありまして、せつかく経済審議庁というものが、経済施策を総合的にまとめて行くために、特に国会側の希望をもつて修正されたものでありますから、独立後の経済施策を遂行していただくために、どうか国民の要望を代表する国会の意思をおくみとりくださいまして、政府方針も総合的に一つの線にまとまつた線で強力に独立後の経済施策を進めていただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終ります。
  26. 遠藤三郎

    遠藤委員長 下川君。
  27. 下川儀太郎

    ○下川委員 経済政策基本方針についてプリントをいただいたのですが、もう少し数字やあるいはパーセンテージの裏づけられたものをほしいと思います。ということは、われわれ一年生議員でございますので、研究あるいは調査その他についていろいろとさしつかえを生ずるので、この点特にお願いいたしたいと思います。同時に、先ほど前田君から中共問題が述べられというけれども、この基本方針の中の「東南アジア等との国際的経済提携を強化し、」この中にやはり中共貿易は強く打出して行くべきではないか、かように考えております。ということは、先ほど大臣が痛しかゆしの中共問題に関する答弁をなさいましたけれども、今後の基本的な経済政策の重大問題として、やはりこの基本方針の中に中共貿易の問題を十二分に打出して行くということがわれわれ望ましいのでございます。同時にこの東南アジアの経済提携の中に、機械等重化学工業品の輸出の増大を期するということが、載つておりますが、先般私二月ばかり東南アジアの方をまわつて参りましたけれども、この機械その他の工業品を向うに輸出するその反面、この中で欠けておる問題として、技術提携の問題が非常に省略されておりますけれども、えてして日本人は、機械を売る、しかし売り放しであつて、技術の指導がないということが言われております。その点もやはり審議庁あたりは十二分にお考えくださいまして、まず機械を売る前に技術を提供する、機械とともに技術が伴つて行く、そういう建前でひとつ貿易振興をはかつていただきたいと考えるのであります。  それから第八項に自衛力増強についてということがうたつてありますけれども、われわれは自衛力については、御承知通りこれは再軍備だということを主張しておるわけです。ところがこの経済政策の中で、自衛力の問題をどうして挿入されたか、われわれの建前は、やはり自衛力ということは、結局国内のいわゆる破壊活動とかあるいは暴力革命に備えるため自衛力ということはわかりますけれども、そのもたらすものはやはり貧困と暗愚が一つの暴力革命の原動力でありますから、国民生活の安定あるいはまた教育の振興ということをわれわれは主張しております。従いましてことさらに自衛力増強という面をこういう経済政策の中にうたわなくてもいいじやないか、かように考えておりますが、大臣のお考えを伺いたいと思います。  もう一つ電源開発に関連する問題でございますけれども、この資料を見ますと、東北電力の計画の中に、只見川が載つております。この只見川に関しましては、かつて東京電力が水利権を持つておつた只見川が、いつの間にか閣議によつて天くだり的に東北電力に許可されてしまつた。そういうスキヤンダルのもとに非常に政治問題化しておるということが雑誌や新聞に載つおりました。われわれ一年生議員といたしましても、非常にこの只見川の水利権の問題が不明朗になつておりますので、この際この問題についても明確な御説明を願いたいと思います。以上大臣及び当局側の答介を願いたいと思います。
  28. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 ただいまの機械を売るとともに技術の提供が必要だということは、まことに御同感でございまして、技術指導の人々については、向うの要望に応じまして、いつも派遣するようにいたしておりますが、なお不十分な点がございますれば、今後一層注意をいたします。いずれにしても機械を多量に売ろうとすれば、それに伴う技術のサービスがなければ売れるものではございませんので、この点は今後とも一層注意することにいたします。  それから自衛力増強をなぜここに取上げたかというお話でありますが、自衛力の漸増という言葉が言われておるのでございます。しかし漸増というと、将来国民生活を非常に圧迫しやしないか、また財政支出が非常に多くなるのではないかということや、ほかの産業とのつり合いなどのこともごいざますので、自衛力を漸増いたしました場合でも、国民生活を圧迫しないように持つて参る、また予算措置等につきましても、国民所得その他とよくにらみ合せまして、そして国民所得の増加や国民生活水準と調整をはかりつつ持つて参ることが非常に大切だ、かような観点からここに書き上げた次第でございます。自衛力増強といつても、どんどん予算的にふえて行くのじやないという意味を明らかにしたものでございます。その点で国民生活の上からきわめて重要だと考えて、この一項が載つておる次第でございます。  それから只見川の問題は、率直に申せば、私まだよく聞いておりません。いずれまた他の機会に述べさせていただきたいと思います。
  29. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 只見川の今後の扱いの問題でございますが、中上流地区に対するいわゆる本流案、分流案をどう処分すべきかという問題に対しましては、目下研究中でありまして、まだ事務的には結論はついておりません。しかし長い間ほつておくわけにも参りませんので、できるだけ合理的、科学的な線で至急電源開発審議会でおきめ願いたいと思います。なお上田本名の水利権の変更の問題に関しましては、水利権の許可に関しましては、主管が建設大臣の方になつておりますので、詳しい経過は建設大臣の方からお聞き願えればけつこうと思いますが、事業許可の方に関しましては、一応只見川全般の処理がきまる際にあわせて考慮したい。そこでもし電源開発株式会社が開発をやつた方がよろしいという結論になつた際には、水利権の再変更に対しては、東北電力会社としては異議を申し立てないという附帯條件をつけまして、事業許可をしておりますので、電源開発促進法の趣旨にのつとりまして、一応官報に公表いたしまして、その結果、法の手続に従いまして、東京電力の方からは意見の申立てを通産省の方にして来ております。法の建前からいたしますと、通産省の方でそれを検討いたしまして、どうしても解決がつかぬという場合には、審議庁の方へこれを持ち込みまして、電源開発審議会でそれをきめるという建前になつておりますが、まだ通産省の方からは正式に意見の申立てに対する処置の問題を審議庁としては受取つておりませんので、上田、本名の処理の問題に対しては最終的に態度をきめておりませんが、要するに中上流全般の処置の問題と、今般只見川全般の問題をどうするかという問題をきめる際に、その一環の問題として取扱うようにして行きたいというふうに考えて、全般の問題をどうするかということを中心に研究を進めております。
  30. 下川儀太郎

    ○下川委員 自衛力の問題につきましては、各省とも関連がありますので省略いたしますが、ただいまの只早川の問題に関しましては、新聞紙上及び雑誌等を見ますと、非常に政治的なスキヤンダルがあるというように聞いておるのであります。その点ただいまの答弁では明確になつておりませんが、そうすると、この公表事項の資料等に現われた東北電力の只見川の計画は、まだ決定しておらないわけですか。
  31. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 公表いたしました資料は上田、本名という地点に関するのみの公表でございまして、中上流、只見川全般の点はまだ先ほど申しましたように未決定でございますので、公表はいたしておりません。
  32. 下川儀太郎

    ○下川委員 そうすると、この東京電力と東北電力の係争中の水利権の問題でありますが、これはまだ未解決でありますか。
  33. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 係争中の問題はまだ未解決でございます。
  34. 下川儀太郎

    ○下川委員 この点おそらく皆さんの方にもいろいろと資料が送られておるだろうと思いますが、われわれ委員としても非常に不愉快にその資料を受取つておるわけですから、当局側も十二分に調査あるいは審議をいたし、明確な線を出していただくような要望しておきます。
  35. 遠藤三郎

    遠藤委員長 福井君。
  36. 福井勇

    ○福井(勇)委員 時間が非常に差迫つて来ておるようでありますし、本日の私の質問は主として機械工業に関する専門事項を相当深くつつ込んでおりますから、次会に譲りまして、次会はその関係官をお呼び願えれば、大臣、政務次官の御出席は、私の項目に関する限り必要はございません。ただ関係官の方々にどの程度の人を出てもらうか、参考に申し上げておきますならば、ちようど十二月三日の参議院通産委員会において、小笠原通産大臣が通産政策について御説明なつた中にも一部載つておりますが、兵器産業につきましては云々の問題があり、兵器製造及び販売に関する法律案の問題を大臣が取上げられておるのであります。私はこの基礎をなすところの機械工業の根本理念を深くひとつお尋ねしたい。特にこの前も申し上げた通り、ここにおられる前田代議士も専門技術者であり、たまたま今の下川さんはどういう方か知りませんが、技術の問題がずつと提案されました。私はそういう私の専門の立場において、今後の日本の繊維工業と機械工業というものを相当飛躍させなければならないという、国土総合開発に匹敵するようなこの問題をお尋ねしたいと思つておりますから、関係官にもそのような方をお願いしたいと思います。委員長にさようお願い申し上げておきます。
  37. 遠藤三郎

    遠藤委員長 承知しました。  他に御質疑はありませんか——。三浦君。
  38. 三浦一雄

    ○三浦委員 電源開発についての資料をお願いしたい。電源開発審議会ですでに決議をなしたと聞いておりますが、その決議事項、これは公表事項にあればよろしゆうございますが、なければ審議会の決議事項と、その審議会の速記録をひとつおまわし願いたいと思います。
  39. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 承知しました。
  40. 遠藤三郎

    遠藤委員長 他に御質疑はありませんか——。別に御質疑もないようでありますので、本日はこの程度にとどめまして、次会は公報をもつてお知らせするこことし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時四分散会