○市橋説明員 インドネシア貿易、特に中小企業の貿易につきましては、通産省としても常に努力をしておりますし、御
承知の通り、通商
協定が昨年の八月できまして、
日本へのインドネシア物品の輸入の促進という点において、
日本側が大いに努力しなければ、
日本側の輸出が進出しないという事実がございます。ただいま申し上げましたように、貿易
協定上は輸出が五千五百万ドル、輸入が四千万ドルとな
つておりまして、その差額がいわゆるスイツチ・トレード、三角貿易ということによ
つて相殺されるということにな
つたのでございます。それに輸入を増進することがすなわち輸出の増進になるという至上命令を与えられております関係上、インドネシアからの
日本への輸出品、なかんずくゴム、ボーキサイト及びコプラ等につきましては、非常な努力を払
つているのでございます。その輸入促進につきまして、
日本側として手を打
つている点をごく簡単に御説明申し上げますと、貿易促進ということがすなわちインドネシアからの輸入促進ということにかか
つておりますから、そのために非常な努力を払いましてその具体的な
方法としてまず第一番に、昨年通商
協定ができますと同時に、この問題を取上げるために、関係各省の連絡会——別に官制上つくつたわけではございませんけれども、特に関係各省の間に密接な連絡をはか
つて、インドネシアとの貿易を促進する、なかんずく輸入を増進するという方策をとるために、どういう具体的な処置をとるかということについて、連絡会をつくりました。そして特に外務省の方に音頭をと
つていただきまして、関係各省の連絡会がほとんど毎週行われております。それから特に輸入促進につきましては日銀、大蔵省、その他の
方面ともインドネシア通商
協定運営
委員会と称します連絡会を通じまして働きかけ、いわゆる別口外貨制度というものを採用いたしました。御
承知の通りにインドネシアの主要製品、すなわち生ゴム、ラテツクス、すずというものはマレーの製品と競合いたしております。それで当時まで価格、品質その他においてマレーの製品と非常に競合して、インドネシアからのそれらの輸入は非常に劣
つていたのでございます。それについて具体的に申し上げますと、取引の関係上シンガポール経由取引の方が非常に迅速に行われておりまして、インドネシアからの輸入についてはなかなか時間がかかる。その時間の関係上、貿易業者として金利その他の負担がよけいにかかるというようなことが欠点にな
つておりまして、その高い価格のものを特に買えということは非常に困難でございますが、インドネシアからのゴム、ラテツクス、すず等のマレーと競合する品目につきましては、特に安い金利をや
つて便宜をはかるという
方法をとりました。それからこの品目は大体コプラ、木材、ラワン材と申しますか、そういうものについても行われる。特にコプラにつきましては競争相手国としましてフイリツピンがございます。フイリピンは現在
日本の入超国にな
つております関係上、このフイリピンのコプラ輸入を
相当量インドネシアからの輸入に振りかえるという
方法をとりまして、フイリピンのコプラに関するAA制度すなわち自動
承認式の制度を停止しておりまして、インドネシアの方に集中的にコプラの買付をまわすという
方法をと
つております。それから昨年十一月、インドネシアの方に、
日本からコプラの専門家からなるところのコプラ買付使節団と称するものを四名、特に通産省の嘱託という名義をとりまして派遣いたしました。その結果は、ただいままでのところ
相当ヨーロツパ
方面に向けられておりましたところのコプラが、ヨーロツパ
方面に向けると同じ条件をも
つて日本に来ることにな
つておりまして、現在のところ徐々にこのコプラ・ミツシヨンの視察及びインドネシア
官民との協議の結果が現われていると思います。
それからさらに、これら外貨予算上の措置のほかに、スイツチ・トレードの実施等を着々進めております。先刻御説明申し上げましたように、千五百万ドルのわが方からの出超というものが
協定上とられておりますが、この千五百万ドルをスイツチ・トレードというものを行いまして相殺するということにな
つておりまして、現在までのところキユーバからの粗糖五万トンにつきまして約六百四十万ドルのスイツチ・トレードが行われました。それからつさらにアメリカ産の主として牛皮につきまして約百十万ドルの輸出レートができまして、そのほか約十二万ドルのスイツチ・トレードが行われまして、現在までのところ約七百六十二万ドルのスイツチ・トレードが行われておるわけでございます。そうしてインドネシア側におきましても、
日本への輸出を促進するため、いろいろなそちをと
つてもらえないかということになりまして、先般コプラ買付使節団とほとんど同時に、わが方から民間の経済使節団が派遣されまして、通産省といたしましても、この民間使節団がもつぱらインドネシア側からの
日本への輸入に対するいろいろな困難を除去するために、努力してくれるよう特に要請いたしまして、いろいろな便宜をおはかり申上げた次第でございます。そうして現在のところ、インドネシアの輸入促進という点におきまして、いろいろな施設が総合的に生れまして、よく行われておると私ども判断いたしております。実はこれはほんの試案でございますがインドネシアからの
日本への輸入というものは、貿易
協定は六月三十日に一応一年分を締め切ることとな
つておりますが、それまで
日本側の輸入促進政策によ
つて、どれくらい
日本側の輸入が伸びているだろうかということを、一応六月ごろと仮定いたしまして想像した結果、大体
日本側の輸入は
協定の四千万ドルを上まわる——あまり上まわるということは申し上げられませんが、少くとも一千万ドル弱は上まわるのではないかという見通しがついております。従いまして
日本からの輸出も、それに伴
つて相当数上るのではないか、大体六千万ドル以上、六千五百万ドルくらい上るのではないかと予想されております。一方、私どもが、外務省を経由いたしましてインドネシアからと
つております数字によりますと、インドネシア側としては、
日本からの輸出を、月に五百万ドルにとどめているのではないかという情報もございますので、これへ六千万ドル以上輸出を促進するということは、今年度は困難ではないかと思われるわけでございます。