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帆足委員 それではあと一点だけ。ただいま私が申し上げましたのは、アジア人をしてアジアの問題を始末せしめよというならばけつこうでありますけれ
ども、そう申したのではなくして、アジア人をしてアジア人と戦わしめよ。この
言葉の
意味するところのものは、常識のある方ならばすべての人が知
つておる。すなわちアジア人とアジア人と戦争させろ、白色人種の血の一滴をも
つてアジア人と戦わしておることはも
つたいないということまで言
つている不快な
言葉であります。私は岡崎
外務大臣が手がたく着実な道を選ぼうとしておることに対しては、常に敬意を表しておるのでありますが、しかし自主的な
意見を持
つて、祖国のためにこのきびしい時代にどのようにして国を救うかということになりますと、ただ
アメリカの言うことに唯々諾々としておりますのは、丁度会社の部長さんや課長さんが、社長の前だけ唯々諾々としてお
つて、社員の前ではばかに強いというお人柄の人もありますが、こういうような
行き方は社全体のために、また社長さんのためにも、あまり好ましくない
行き方でありまして、言うべきことは
相当強く言わねばなりません。今英国の
イーデン外相すらが、声をあげて再三再四警告しておるような問題に対しまして、
外務大臣からひとつも積極的御
意見がない。そうして天下に公表すべき問題と、直接話すべき問題があると申しますが、直接どういうお話合いがあ
つたかといえば、そのお話合いもない。これでは
外交はなきにひとしいと言わなければならないと思います。毎朝新聞を見まして、諸外国の論調を見、国の内外の情勢を見ますと、言うべきことは非常に多いのでありまして、その中から最も切実な
国民の願いをイギリスなり、
アメリカなりに、
日本の
外務省を通じて公表していただくことが、
日本の安全のために最も必要であると思います。
そこで最後に
一言伺いますが、今日は非常にむずかしい時代であります。また
日本は
アメリカの強い影響下にありますから、諸事困難でありますけれ
ども、ソ連、中国に対しましても、また多少の
国交調整を
考えるだけの叡知があ
つてよいのではないか。ソ連、中国は
交戦国であり、敵国であるから、もう話し合う必要はないというような表現は、か
つて蒋介石を相手とせずとい
つたような、軍部万能時代の
外交に通ずるものでありまして、話にくい相手ともなおかつ話をつけるというところに、
外交の妙があり、技術があり、誠意があるのでありますから、
日本を平和ならしむるために、すべての
日本国民が、戦争の火中のくりを拾うな、第二の朝鮮になるな、
アメリカが強かろうが弱かろうが、戦争の中に入
つては、この四つの島が焦土と化すということは、戦略論から見まして、これは自明の理であります。すべての
国民が心配しておりますこの問題に対して再々イギリス、インドが、
アメリカよ、もう少し慎重なれ、話合いで解決するように、一段の努力を払う
余地があるのではないか。また
社会党右派の方も、改進党の方も、再軍備平和論、無軍備平和論の差はあろうとも、とにかく平和のために、一段と強い
外交でこれを切り抜けねばならぬと叫んでおるときでありますから、
外務大臣としては積極的
意見を持
つて、われわれを啓蒙し、そして世界に主張せられて、
日本のための自主的
意見を述べられる必要があると思いますのに、ただいまの
外務大臣の
お答えでは、積極的
意見は
一つも出ておらない。満州爆撃というようなことが起
つたならば、確かに
日本も重大なる影響をこうむる。従いまして、イギリスの言うておることや、インドの叫んでいることには大きな真理があるから、
アメリカよ、もつと慎重なれということを、なぜ
外務大臣は叫ばないのか、われわれは怪しむものでありますが、それについての御
答弁を承りたいと思います。