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木村国務大臣 この際ちよつと申し上げて御了解を得たいと思うのであります。御承知の
通り、今問題にな
つております
警備隊の船は、沿岸の警備—あるいは密輸船の取締りとか、その他
国家の治安保持に従事する特殊の
船舶であります。従いまして普通の
船舶とはその構造を異にすべきものであります。と同時にこれに乗り組ませる船員にいたしましても、普通の船員とはその訓練、またその船内における住居の問題、取扱いの問題、これも普通の
船舶の船員とは異にしなければならぬ立場にあります。従いまして一般の
船舶に通用いたします
船舶安全法あるいは
船舶職員法とかいうものを
適用されますと、今申し上げます船の構造とか
乗組員の処遇の点から見て、非常に不便を来すということでありますので、
保安庁法においてこれらの
船舶安全法、
船舶職員法というものの
適用を
除外した次第であります。しかしながら先刻来しばしば
法制局長官なり
政府委員から申し上げました
通り、これをはずしたところで、
条約というものはかぶ
つて来るのでありまして、その方面においては、われわれはできるだけの手当をして万違算のないようにいたしたいと思います。その手当におきましても、今申し上げます
通り、一般の
船舶とは
関係のない特殊の
警備隊の用います警備船、これだけに関する問題でありますから、事は普通の人民の権利、
義務に
関係はいたしておりません。その点をひ
とつ御了解願いたいのであります。
さらに私がこの機会に各位に十分に御了解を願いたいのは、何分にも
日本の海岸線は、この前も申し上げました
通り八千海里もあり、米国に次いでの長い海岸線であります。戦前、戦時中におきましても、この海洋線を警備するためには相当数の
船舶あるいは艦艇を利用したのでありますが、不幸にして終戦後には
まつたく
空白を生じております。従いまして密輸入船も相当数入
つておりますし、あるいは漁民、漁船の拿捕事件も相当数あります。その他かたがたわれわれといたしましては、一日も早くこの沿岸の警備を十分にいたしまして、
国民に安心をしていただきたいというのであります。この
船舶も、われわれの
考えといたしましては、一日も早く
日本でつくつた船を用いたいのであります。また警備に十分に適当する
船舶をつくりたい。しかしながら時日の
関係もあります。また財政の
関係もあります。これらも勘案いたしまして、なかなか急速に参りません。一方において海岸の警備というものは急速を要するのであります。しかるにかかわらず今申し上げます
通り、財政的また時間的に申しましても、急速につくることができません。幸いにしてアメリカからこの船を貸してやろう、しかも無償で貸そうというのでありますから、五年の期間を限りまして、これを借りたような次第であります。われわれといたしましては、一日も早くこの船を動かして、沿岸の警備に当らして、
日本の治安の維持に努めたいと
考えておる次第であります。その点どうぞ御了承願いたいと思います。