○植原
委員 私の
質問は、どうかみんな誤解のないように、そうして
日本と
朝鮮との
関係をなるべく親善に導くように、日米間にも誤解のないように、日韓両国の間にもなるべく誤解のないように、それらを解いておきたいと思うための
質問でありますから、そのことを御
承知を願いたいのであります。アイゼンハウアーが選挙中に、自分が当選すれば
朝鮮を訪聞して、そうして
朝鮮問題を解決する一つの
方法にしたいものだ、私は選挙中としては、ずいぶん大胆な声明だと思います。その声明のためにアイゼンハウアーは当選して、この二日に
朝鮮を訪問することに
なつた。アイゼンハウアーのこの選挙中の
言葉から、またアイゼンハウアーとトルーマンとの
朝鮮問題に対する取扱いが違うだろうというような、いろいろの推測等が行われまして、共和党は何いたせ、なるべく今のアメリカの軍備を節約する、
従つて極東においてもでき得る限りは、アメリカすなわち国連の軍隊を少くして、
朝鮮の軍隊や、できるかできないかわからないが、できれば
日本のものもあるいは台湾のものも、使用したいというような印象を与えたおそれがあると思います。そのために
日本の警察予備隊、今の
保安隊を
朝鮮に送り出しはせぬかというような
質問もこの
国会においてあ
つた。それは要請されてもできない、してならないこと、これははつきりしておると思います。これはどうあ
つてもその点は明瞭にしなければいけない。たとい要請されても、現在の
憲法のもとで送れないし、
日本にはそういう軍備というものはないのだから、これは絶対に出せない、また出してはならぬものであるにもかかわらず、これは外務
大臣御
承知でしようけれ
ども、数日前に李承晩は何を申したかといえば、もしアメリカの政策によ
つて、
日本の軍隊が
朝鮮に今の状態において派遣されるようなことがあれば、むしろ
日本の軍隊は
朝鮮の助けになるよりは、あるいは
韓国の軍隊は
日本の軍隊を敵として戦うかもしれぬから、そんなものは来てもら
つては困る、こういうようなことをはつきりと李承晩は声明をしておりますが、これはおそろしく李承晩が
日本に対して誤解しておる。こういうことの誤解を考えますときに、私は、どうか今の外務当局において、できるだけ
朝鮮との
条約を早く結ぶように、いくら手間がかか
つても、しなければならぬのじやないか。なぜかならば、日韓両国の官憲間において何らの折衝がない、また民間においても、
戦争当時の誤解が存在してお
つた、そのままに放任されておる。この間、両
国民の感情がかなり疎隔しておる。独立
日本が一たび
韓国と
条約を
締結しようとしたけれ
ども、これは非常にむずかしい複雑なる事情があるために中断された。中断されて、今日までおる。そういうようなことが誤解に誤解を生んでいる。これは李承晩が何と言
つても日韓両国より接近しておる国はないのだから、どういう
立場にあろうとも、この両
国民の感情、
関係をよく導くことが、
日本の極東における最も重要なる政策の一つと私は思うております。こういう点から考ええましても、李承晩の声明のように、もしアメリカが
日本の軍隊を
朝鮮に派遣するようなことがあ
つても、
韓国はこれを受け入れないばかりかでなく、あるいは、むしろこれを敵として戦わなければならないというようなことが、たとい、どういう形で現われるにしても、これは、非常に喜ばしくないことだと思います。こういうことのないように、いくらこつちで
条約をや
つたつて、向うでか
つてなことを言えばしかたがないといえば、そういうりくつもありますけれ
ども、それはりくつで、どつちにしても、独立
日本が一たび
韓国と
条約を結ぼうとして、そうして途中で行き詰ま
つたからして、そのまますつぽかしてある。これはいくら失敗しても、次から次へと最善の努力をして、日韓両国の
関係をよくするように努めなければならないと思う。これらに対して怠慢とは申しませんが、お忙しくてこういう方面に十分心わたりの行かなんでおることが、あるいはそういう結果になりはせぬか、こういうふうにも考えます。またこれは
新聞でか
つてにしたといえば、か
つてにしたのでありまようが、最初から今度の旅行においてアイゼンハウアーは
日本に立ち寄らない。私は、どんなに懇請しても、立ち寄るべきでないと思うし、またアイゼンハウアーが
朝鮮に行く使命からい
つても、
日本に立ち寄るというようなことは、今日のアイゼンハウアーとしてあり得ざることで、どの方面から見ても、外交
関係、日米
関係、アイゼンハウアーの地位を考えれば、絶対にそういうことはあり得ないことであると思う。それを
日本の
新聞に大きく二回も三回も、アイゼンハウアーが
日本に立ち寄れば、総理はそれと会見するだろうと出たのですが、こういうことは、いつも
国民を惑わすと思うのです。しかるに、そういうておりながら、今度はアイゼンハウアーは李承晩と立ちがけの最後の瞬間まで握手したり、まことに接返して打解けておる話の状態が写真に出る、
新聞に出る、こういうことを見ますときに、大多数の
国民は、なぜ
日本の状態がこういうふうに置かれるかという考えを私は持つと思う。お役人はどうだか知らないけれ
ども、毎日々々
国民に接触しておる代議士の頭にはすぐ浮ぶ。純対にアイゼンハウアーは
日本に立ち寄るというようなことはないというふうに出ておればよろしいのに、あたかも
政府の方から出ておる
情報のごとくに、アイクが寄れば、総理は喜んでこれに会う。それは当然でしようけれ
ども、これは全然り得ざることです。どんなことがあ
つても、外交上から考えれば、アメリカの今までの大統領がまだ大統領にならない間に、外国に行
つて、外国の戦況を見るなどということも前代未聞のことであると思います。こういうことは歴史を知り、外交を知る者なら、あり得ざることだ、あり得ざることが、あるがごとくに
新聞に出て、一方は二日もいて、二回も会
つて話をする。立ちがけには、いいかつこうでシエーク・ハンドをしておる写真が
新聞に出る。一方は取残された感じになるということは、いい感じを与えないと思う。
情報機関をつくろうということをしばしば言われておるが、それに反対するとか賛成するとかいう
意味で言うわけではないけれ
ども、
情報機関をつく
つて、世界中の短波をと
つて日本の
国民を指導しなければならないという考えを持
つておる場合において、アイクが立ち寄れば、総理が会う用意があるというようなことは、
政府で出したのではない、
新聞がか
つてに書いたといえば、それもそうなるかもしらないけれ
ども、やはり火のないところに煙は立たないということと同じで、そういうふうな、
国民を
ほんとうに外交的に日米、日韓の
関係において正しくリードして行こうという心の配り方において、どうも足りないのではないかというふうにも考えられますが、日韓両国の
関係は現在においても、将来においてもきわめて大切である。この両
国民が打解ける
立場を外交上どうしてもつくらなければならない。また今日において
日本の外交上、日米両国の
関係が、私は
日本の外交のすべての基点であると思う。そういう
立場からいえば、ただ文書や外交上のことでなく、日米両
国民の感情に響くことに対しては、最善の注意を払わなければならないと思いますがゆえに、どうかこういう点に非常に深甚な注意、慎重なやり方をしていただきたいと思うて、あえてこの問題を取上げて
お尋ねするわけであります。