○山縣国務
大臣 ただいまのお尋ねの年金の支給に関しましては、たしか四月の三十日にあの法律ができまして、その後に政令をつくりましたり、いろいろな手続の基準をつくりましたりいたしまして、実際に遺族の方々に御通知申し上げて、いろいろ申込みを受付けるに至りましたのが、大体六月の末から七月であります。実は、私が就任いたしました際に、まずこの問題を検討いたしました。当時におきましては、日に三千件くらいがやつとで、とうてい三千より上は
行つていなか
つた。大体十一月の初めごろに十数万件が裁定をされて、通知を受けたが、遺族の方々は二百万内外おられる。これではとうてい間に合わず、年末を控えて遺族の方もお困りであり、せつかく法律をつく
つて、あたたかい国の手を差延べたのに、皆様に届いていないということでは困るというので、私は現場にも参りまして、
——御承知でもありましようが、
復員局でもやり、舞鶴でもや
つておりますが、その現場に
行つて、つぶさに手続のやり方を検討いたしました。御承知のように、遺族の方々から市町村、府県を通じて厚生省に参り、厚生省で裁定をいたしまして、その通知をいたしました後に、大蔵省あるいは郵政省の郵便局の窓口を通じて皆様のお手元に渡る。裁定につきましても、実は府県でいろいろ身分
関係その他を調べまして、そして厚生省に持
つて参りますが、身分
関係その他死因等が明確なものにつきましては、本省の方では、府県の方で確かだということを申して来れば、一応省略して、少しでも手続を簡略にいたすようにいたしました。それから、何分にもこれは相当の手続を要しますので、少しぐらい間
違つてもいいじやないかということも言われたのでありますが、事国家の会計に関する限りにおいては、やはり正確を期さなければいかぬということもあり、一方を通せば一方が通らぬというようなことで、いろいろ困りましたが、ただいま申しましたように手続を簡略にいたし、それからこの事務に従事いたしておる者は、なかなか厚生省の定員だけではまかないきれませんので、臨時雇いを相当便い、それでもまかないきれませんので、厚生省の中から他の者を流用し、転用いたしまして、手続の簡略化をはかるとともにさような
措置をとりまして、大体十一月を経過いたしました。そうして私は、裁定通知の
状況について毎日日報をとり、私が毎朝一番最初に厚生省から
報告をさせます書類は、この裁定通知でございます。そうしてや
つて参りまして、それでもなかなか行かぬ。遺族の方々がたくさん見えて、また
国会でもいろいろ陳情があり、苦情がありまするので、これは何とか年末にいたしたいというので、実は御承知の超過勤務でありまするが、各省の超過勤務は、従来大蔵省がなかなか厳重な
態度をと
つておりまして、なかなか出しません。しかし事裁定通知の事務に関する限りは、従来の超過勤務と違うからと、閣議で特に大蔵
大臣に申して、この点に対しては従来の超過勤務に対する大蔵省の
態度を適用しないで、ことにこの裁定通知の事務に従事しておる人は臨時の人が多く、また遺族の子弟の方が多く、あるいは未亡人の方もおられるので、さような
関係で、この超過勤務に対しては大蔵
大臣が特別の考慮を払うということにいたしまして、これを閣議できめまして、私が就任いたしましたときには一日三千件以下でありましたのが、その後ただいまでは二万一、二千件ぐらいにな
つております。そうして年末までに大体三十万件ぐらいがやつとであろうと思われておりましたのが、きよう現在では八十五万三千件に相な
つております。そうして、一時は遺族の方々からの苦情の種でありましたものも、最近は、私
どもの手元には、むしろ恐縮の手紙がたくさん参るくらいであります。しかし、なおこれでも満足いたしませんで、できるだけこれらに対しましては最善の
処置を講じて行きたいと考えております。