○岡田(修)
政府委員 各国の造船保護政策でございますが、お手元に資料をお配りしてあるかと思いますから、簡単に申し上げますと、一番重い保護政策をと
つておりますのは、アメリカあるいはイタリア、フランスでありまして、アメリカは自国の造船船価が非常に高いから、自国の造船船価と、それから英国あたりの造船船価の差額を国が補助しております。それから運航費につきましても、アメリカ船の船員の給料が非常に高い。
従つて運航費も高いから、その運航費の差額を補助する。それからちよつと話がこんがらかりましたが、建造費についてもその差額を補助してもら
つて、自分で負担する分につきましては、政府の金を融資するというふうな方策がとられておるのであります。それからイタリアにおきましては、船価の三分の一を国が補助してやるという方策をと
つております。またその船価の四〇%を政府が補償するというふうな方法をと
つております。イギリスは昔から自由な海運国でありまして、特段の補助政策がございません。ただ新造の場合に、初年度に五〇%まで償却を認める、こういうふうな制度がとられてお
つたのでありますが、これも今はなくな
つております。その他フランスあたりも相当高度の補助政策をと
つておるわけでありますが、全般的に申しまして、英国あるいはその他の欧米諸国の海運は、戦争の被害が日本ほどひどくない。それから戦勝国でございますから、戦後の立ち直りが非常に早かつた。しかも戦争直後に海運の景気が非常に出まして、それによ
つて非常にたくさんの利益を上げたわけです。それから英国の船主のごときは、戦争中の損害に対して政府から相当大きな補償金をもら
つております。こういうことが欧米の海運を非常に強いものにしておるわけです。しかも金利が非常に安い。新造するにしましても、その安い金利の金と、あるいは大
部分が金利のいらないもの——先ほど言いましたような自分のもうけた額、あるいは政府から補償を受けたものでつく
つておるわけです。
従つて相当の不況が来ましてもこれに耐え得るわけでございますが、日本の海運は、戦時補償の打切りで、当時の金で二十三億、現在の価値に換算しますと数千億のものが打切られた。しかも船価の非常に高い新造船、あるいは改造船ばかりで商売をしなければならぬ、金利がべらぼうに高い、こういう大きな不利な点も持
つておりまして、欧米の海運に追随いたしまするがためには、他の方から見ますると、現在の海運は相当の庇護を受けておるようでございますが、海運自体から見ますると、欧米の海運に追随しますがためには、相当高度の保護政策が必要である。かように考えられるのであります。なお詳しくは、お手元にお配りしました資料でごらん願いたいと思います。
それからタンカーの点でございます。これ実は大蔵省といろいろ交渉したのでございますが、最後的な話がなかなかつかなか
つたのです。時日も切迫いたしますので、タンカーの点につきましては、そのタンカーを建造する時期にな
つてあらためて
論議をしよう、こういう話をしているわけであります。しかし先ほども申しましたように、私どもの考えでは、せめても損失補償制度が実施されませんと、二十八年度に予定されております七万トンのタンカーは建造できない、かように考えているのでございます。このタンカーを建造いたしますがためには、どうしても次の
機会にこの金額の訂正を願うように持
つて行かなければならない、かような
関係にな
つております。