○石井国務大臣 お手元に(新)
日本航空株式会社法案要綱というものを差上げておきましたので、ごらん願いたいと思いますが、かねて
日本の航空問題に皆さん方の一方ならぬ御配慮をいただいております。今度の予算で、国際航空のためにできるものに十億円の出資をするという案が出ております。予算案が通過をいたしますれば、この十億円の出資をする会社をさつそくきめなくてはならぬわでありますが、先ほど来国際線につきまして出願が三つほどありました。この三つともに太平洋の南側を
通ります。すなわちハワイ径由サンフランシスコに行く線であります。これがそろ
つて三社ともその線を出願いたしております。北まわりの線、それから欧州線については、どこもまだ出願がないのであります。それで、これを一体どうしたらいいか、そのうちの
一つを許すか、どれも自分のとこるは十分国際航空に進出し得る準備ありということを申されまするが、国内線言えもなかなかひとり立ちが困難な
状態で、国際線に進出いたしまして、今まで幾多の経験と資力とを持
つて雄飛しておりまする会社と対抗して、
旅客並びに荷物、郵便の運送をつかさどり得るような会社になるのには、これは
相当強力なものでも初めは困難だと思うのであります。それで今の出願三社の
一つ一つをどれか選び出すということは、実際上なかなか困難で、それだけの力があるものとも思えませんので、いろいろ話合いをし、
研究をいたしました結果、新たにここに航空会社を
一つ設立いたしまして、これに出願の三社をすべて吸収する。
日本航空も吸収する、それから大阪商船も、飯野海運もこれも吸収いたしまして、でき上りまする会社に向
つて、政府は十億円の出資をするという形をとるということが一番好ましい
方法ではないか、国内と国際線とを一本にしないで、別々にしたらどうかということも
一つ考えられたわけであります。一月末の航空の発達過程から見ますると、まだこれは一本にして、二重な
資金の投資というようなこともせずに、力を合せて
一つの会社にして、国内線、国外線一本にな
つて、助け合いながら発達を期して行くということだした方がよろしかろうという結論に到達いたしたわけでございます。その
意味においてだんだんと話を進めたいと思いまして、実は本日の閣議において、この要綱によ
つて閣議の了解を得たものでありますから、とりあえず皆さん方に御心配を
願つておりましたので、ここにごひろう申し上げ、なおまたこれの会社設立には
相当な期間を要すると思うのであります。これに政府は十億円とだけ書いてありまして、資本金の高も何も書いてないのでありまするが資本金は大体最初二十億の予定でございます。民間十億、政府の出資十億ということにいたしたいと思
つております。そうして
日本航空会社をそ
つくりそのままこの中へ吸収してしまうつもりでございます。実際上の運び方は、そのほかの大阪商船、飯野海運等はどういう形で一緒にな
つて来るかというような技術的な問題がいろいろありますが、これはいろいろ
研究いたしております。大筋はそのようにいたしたいと思
つております。
これは政府の出資がありますので、このように法律を設けて御審議を願い、特殊会社の形になるのでありまするが、本体は
一般の商事会社とかわらぬ
経営の行き方をぜひしたい。そこは役人の声のかかつた、あるいは役人の古手の逃げ場所だというようなことでは、世界のはげしい
仕事の競争の上には、どんな優秀な人でも、実業界の経験のない人は困難だと思います。社長、副社長と申しますが、代表取締のような立場になる人は、この会社あるいは初めの創立
委員から持
つて来た人についてばりばりばり
仕事のできるような、そしてほかの兼業などでや
つていなくて、初めはもうこの
仕事に三年でも五年でも没頭して、日夜この
仕事に熱意を披瀝するような、りつぱな実業家を首脳部に充ててもらいたい、それを出していただいて、それを運輸大臣が認可するという形をとりたいと思います。そのほかの中の役員は、代表取締の人を運輸大臣が承認いたしますれば、それから先はその首脳になる人がみずから、この陣営なればという人を選んで、どこからひもがついている、どこからの代表者というようなことで、ただ形だけ整えて
仕事がうまく行かぬというような弊は、いろいろよく合併する場合には起る問題でありますが、そういうことのないうにや
つてもらいたいという希望を私は持
つております。それでできるだけ自主的な
経営になるように、役所からの監督というものは……。これは国民の金を出すのでありまするから、これを監督する
意味においての監督はやりますが、
仕事の上はそこの実際を預かる人たちの責任においてやるのだという線で運びたいというのが、今度の案の大体の眼目でございます。まだこれからいろいろの問題が起るる思いまするが、法律案として出しまして、十分御討議を願い、またこの会社がうまく運んで、
日本の自主的航空のスタートが切れまするように、皆さん方の御努力を切にお願い申し上げる次第であります。