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1952-12-16 第15回国会 衆議院 運輸委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十六日(火曜日)     午前十一時三分開議  出席委員    委員長 逢澤  寛君    理事 尾崎 末吉君 理事 關谷 勝利君    理事 田原 春次君 理事 正木  清君       岡田 五郎君    玉置 信一君       徳安 實藏君    永田 良吉君       山崎 岩男君    臼井 莊一君       河本 敏夫君    佐伯 宗義君       吉川 大介君    熊本 虎三君       竹谷源太郎君    楯 兼次郎君       松原喜之次君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 石井光次郎君  出席政府委員         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君         運 輸 技 官         (船舶局長)  甘利 昂一君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁税務部         市町村税課長) 松島 五郎君         大蔵事務官         (主計官)   柏木 雄介君         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ――――――――――――― 十二月十五日  委員山崎岩男君、伊東岩男君及び松浦周太郎君  辞任につき、その補欠として中助松君、佐伯宗  義君及び愛野時一郎君が議長指名委員に選  任された。 同月十六日  委員中助松辞任につき、その補欠として山崎  岩男君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十二月十三日  自動車運送事業免許制度廃止反対に関する請願  (早稻田柳右エ門紹介)(第八一九号)  大白川、只見間鉄道敷設請願田中角榮君紹  介)(第八五四号)  綿漁網鉄道貨物等級改正に関する請願(平川  篤雄君紹介)(第八五五号)  石巻港開発に関する請願内海安吉紹介)(  第九〇九号) 同月十五日  上川口港修築に関する請願長野長廣紹介)  (第九二七号)  日本国有鉄道職員等休職者に対する給与支給  に関する請願(楯兼次郎紹介)(第九三五  号)  高萩駅に急行列車停車請願山崎猛紹介)  (第九九五号)  帽子の鉄道運賃引下げに関する請願今澄勇君  紹介)(第九九六号)  湯本線敷設請願飯塚定輔紹介)(第九九  七号)  私鉄補助法制定に関する請願山口丈太郎君紹  介)(第九九八号)  二日市、夜明間鉄道敷設請願中島茂喜君紹  介)(第九九九号)  陸運事務所の定員並びに予算増加に関する請願  (山口丈太郎紹介)(第一〇一五号) の審査を本委員会に付託された。 同日  国鉄バス不当進出抑止に関する陳情書  (第  七八九号)  四国航空路開通促進に関する陳情書  (第七九〇号)  踏切施設の改善、交通障害物除去等に関する  陳情書(第七九  一号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  外航船舶建造融資利子補給法案内閣提出第一  八号)     ―――――――――――――
  2. 逢澤寛

    逢澤委員長 これより開会いたします。  外航船舶建造融資利子補給法案を議題とし、まず政府より提案理由説明を求めます。石井国務大臣
  3. 石井光次郎

    石井国務大臣 ただいま提案になりました外航船舶建造融資利子補給法案につきまして、提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  まず提案理由について御説明申し上げます。日本経済自立達成のためには、国際収支の均衡を保つことが基礎的要件でありまして、一方において貿易の伸張をはかるとともに、他方貿易外収入の大宗である海運拡充を一段と推進することが必要であります。そのためには、日本外航船腹拡充整備いたしますことは、喫緊の要事といわなければなりません。  戦後のわが国海運実情は、戦災によりましてその保有船腹の大半を喪失し、しかも海運再建の主軸となるべき戦時補償が一切打切られました結果、わが国が必要とする商船隊再建につきましては、その所要資金のほとんどすべてを、国際的に見てきわめて高利な借入金によつてまかなわざるを得ない状況であります。さらに建造船価の高騰、税負担加重等海運経営負担を増加しておりまして、このような脆弱かつ不安定な経営基礎は、最近のごとき世界的運賃市況の悪化に遭遇いたしますと、たちまちその欠陥を露呈せざるを得ないのであります。これらの事情は、わが国における今後の船腹拡充計画の遂行に重大な障害なつておることは御承知通りであります。  本来海運業については、その経営基礎をできる限り国際水準に追随せしめることが肝要でありまして、しかもさきに述べましたようなわが国海運実情をも考え合せますと、わが国海運国際競争に伍し得る基礎的条件を整えるためには、政府の積極的に施策がきわめて緊要であります。この法律案は、それらの施策のうち、最も急を要するところの利子補給制度を先ず実行に移すことを目的といたしておるものであります。  この法律案は、政府金融機関契約を結び、船舶建造のために金融機関必要資金融資するときは、その副資について利子補給金支給し、日本経済自立達成に資するために必要な外航船舶建造を促進しようとするものであります。  次にこの法律案概要について御説明申し上げます。まず政府は、金融機関契約を結び、外航船舶建造のために融資せられた融資残高について、その金融機関船舶設備資金等を貸し出す場合の利率と、財政資金利率の七分五厘との差額利率限度として、利子補給金支給することができることといたしております。  この利子補給金は、契約によつて政府から金融機関支給せられるものでりますが、金融機関は、当然にその受けただけの利子補給金に相当する利率だけ実際の利率引下げなければなりません。従つて実際の支給金融機関に対してなされるのでありますが、これによつて船舶建造した船主が、その船舶についての経費をそれだけ引下げられるという利益を受けるのであります。  予算上の措置といたしましては、今年度の補正予算に、国庫債務負担行為として、今年度の追加建造分貨物船約五万総トンについて、将来七箇年度にわたり総額三億三千五百五十三万八千円を要求いたしておりますが、これは財政法規定されております国庫債務負担行為限度である三年を越えますので、その特則を設ける意味から、利子補給金支給する年限八箇年度規定した次第であります。  なお付言いたしますならば、この利子補給制度は、昭和五年から実施されておりまして、昭和十四年に船舶建造融資補給及損失補償法として立法化され今日に至つておるのでありますが、昭和二十四年度以降は新しい契約ができないこととなつております。従いましてこの法律案におきましては、同法を廃止いたしまして、その利子補給制度のみを復活しようとするものであります。  以上が、この法律案提案理由概要でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを希望いたします。
  4. 逢澤寛

    逢澤委員長 次に海運局長より補足説明を求めます。
  5. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 ただいまの大臣からの提案理由で大体の要旨は尽きておるのでございますが、なお簡単に敷衍いたしまして御説明申し上げますると、御承知通り日本船舶及び欧米海運競争いたしまする場合、幾多の不利な点を持つておるのでございます。この不利な点を除きまして国際競争力を強化するということが、わが国経済にとつて必要な外航船腹拡充する前提と考えるのでございます。その不利な点といたしましては、金利が高いこと、新造船価が高いこと、外国では例を見ない船舶に関する税金を課せられておること等であります。その他幾多の不利な点がございまするが、そのうちでも特に日本海運にとつて不利でありますのは、金利が高いことでございます。先般本委員会でも申し上げましたごとく、北米小麦日本に運ぶといたしまして、その運賃原価十二ドル七十セント余りになるのでございます。そのうちの約三割の四ドル二十セントというものが金利で占められているという状況でございます。これを英国船二分五厘の金利計算いたしますると、その金利負担の部分がわずか一ドル二十セント、その間に三ドルの開きがある、こういう状況でございます。この金利の不利な点を少しでも軽減するということが、日本海運対外競争力強化の上においてどうしてもとらなければならない措置でございます。従いましてわが国財政が許すならば、欧州の金利にまで日本金利引下げるということが必要かと考えるのでございますが、今日の財政状況その他からいたしまして、とりあえず第一段階として、財政資金金利である七分五厘を対象にいたしまして、市中融資金利を七分五厘まで下げるという処置がとられたのでございます。これによりまして、先ほど例に引きました北米小麦日本への輸送の運賃原価について見ますると、約六十セント余り引下げになるという結果になるのでございます。もちろん運輸省といたしましては、日本外航船競争力強化をはかるためには、単にこの方策だけでは満足すべきではないのでございまして、先ほど申し述べましたいろいろの不利の点をこれと並行して是正するように努力したい、かように考え、せつかく努力中の次第でございます。  次にごく簡単に各条について御説明を申し上げます。  第一条はこの法律目的を書いてありまして、この利子補給目的は、ただいま申しましたように日本船対外競争力を強化して、外航船舶建造を促進するということが目的でございます。  利子補給金支給でございますが、これは「日本船舶を所有することができる者」、すなわち船舶法日本船舶を所有することができる者と申しますのは、日本人並びに日本人が全重役である法人、こういうものです。こういうものが「外航船舶建造日本の国籍を有する者又は日本の法令により設立された法人たる造船事業者に請け負わせる場合において、」支給する、こう書いております。外航船舶というものをこの法律では「遠洋区域航行区域とする船舶運輸省令で定める規格に適合するもの」、遠洋区域と申しますのは、大体西の方はラングーン以西、南は濠州、東はハワイ以東という区域であります。そういう区域を航行する船で、運輸省令で定める規格として、まだ省議決定というところまでは至つておりませんが、一応今までの外航船建造の行き方からいたしますと、大体四千五百総トン以上の船、速力は十二ノツト以上、一応現在の対象としては貨物船だけというふうな考え方でございます。油槽船を含むかどうかということは、この油槽船に対する利子補給まで行き得るかどうかということで、その場合省令をかえるなり、あるいは省令規定するというふうなことになつて来るかと思います。一応の目標としては貨物船だけというふうな考えでございまして、そういう船舶建造注文で「政令で定める範囲金融機関がその資金を融通するとき」、この政令で定める範囲金融機関としては、銀行法に基きまする銀行あるいは信託業法に基く信託会社、それから保険業法に基く保険会社、こういうものがその対象になると考えております。そういう金融機関政府が、その融資について利子補給金契約を結ぶということでございます。  それから補給金支給年限でございますが、先ほど大臣説明にありましたごとく、財政法では三年以内、三年以上にわたつたときは別の法律を必要とする、こういうのでございまして、この法律を御審議願うゆえんもそこにあるのであります。一応これではその契約をした年から八箇年度以内というふうにいたしております。大体船の建造に対する融資は、契約の日に四分の一払い、起工のとき四分の一、進水のとき四分の一、竣工のときにさらに四分の一というふうに払いまして、大体この法律対象では竣工後五箇年間に払う、こういうふうに考えております。従いまして契約のときから竣工後五箇年というふうに考えますると、多くのものが七年、長いもので八年、会計年度八箇年にわたるものがあるわけでございますので、八箇年度以内というふうにいたしたのでございます。  利子補給金総額は、これはその予算国会の議決を経た総額範囲内で契約する、こういうことに相なつております。  利子補給金限度でございまするが、その利子補給対象となる融資につきましては、その契約のときからその船が注文者に引渡された日後二箇月以内になされた融資について利子を補給する。従つて引渡された後半年後になつてさらに追加融資を受けたというふうな場合には、その対象にしないのでございます。融資の率でございまするが、その機関がそれと同種類の融資を行う場合、船舶融資でありますると、その船舶融資に対して、他の海運業者に一割二分なら二分融資をしておるというふうなのが通例である場合には、その一割二分と年七分五厘の差、そういたしますると幾らになりますか、四分五厘でありますか、かりにそういう例をとりますと、その四分五厘の範囲内で運輸大臣が告示で定める利率——運輸大臣は必ずしもその差額をそのまま支給するのではなくて、その範囲内で、運輸大臣予算を勘案して適当な率をきめて、その利率計算した額を支給するものとする、こういうのであります。一応財政資金金融機関利率差額を補給するというのでありますが、一面において予算に縛られておりますので、その差率範囲内で運輸大臣のきめた率で計算したものを補給する、こういうふうになつております。  それからその利子補給金計算をいたしまする場合に、その船の予定竣工日以後の融資残高が、その予定竣工日以後五箇年間に半年ごとに均等償還されるものとして、その計算残つた融資額について先ほどの率を適用する、こういうことであります。言いかえますると、たとえば千万円の金を借りておる、それが五箇年間の半年賦均等償還とすると、半年百万円ずつ返さなければならぬ。ところがその海運業者が五十万円しか返さなかつた、そういたしますると、九百五十万円残つておりまして、普通ならば九百五十万円に四分なら四分というものをかけるわけでございまするが、そういたしますと、わざと償還を遅らせるような事例にもぶりかりますから、たとい九百五十万円残つておりましても、それは百万円返されたものとして九百万円に対して適用する、こういうふうなやり方になつております。  それからこういうふうに利子補給金融機関が受けまするので、従つてその金融機関は、その利子補給を受けた額だけ引下げ利率で貸出さなければならない、こういうのが第六条に規定しておるのでございます。  第七条は、海運業者はこういう利子補給恩典を受けるわけでございまするから、この利子補給恩典に浴しておるような融資を受けておる海運業者に対しましては、むやみに利益を配当して償還を遅らすというようなことを防ぎまするために、運輸大臣配当金について勧告する旨の規定を置いてございます。  第八条は、運輸大臣がその海運業者経理内容をよく知るに必要な書類の提出をきめております。  第九条は、金融機関がこの法律規定あるいは政府と取結んだ契約に違反した場合には、利子補給金の全部または一部を支給せず、あるいは支給した補給金の全部または一部の返還を求める、こういうのであります。  それから附則で、昭和十四年に出しております船舶建造融資補給及損失補償法というものを廃止しております。この法律昭和十五年に施行になりまして、その存続期間が十箇年ということになつておりますので、従つて実際上の効力を停止しておるわけでございます。抜けがらのような法律でございますので、形式的にこれを廃止しております。しかしその法律でいたしました利子補給並びに損失補償契約が現在一部残つておるものがございます。そういうものについては、この附則の第三項でそのものを生かしておく、こういうふうにいたしておるわけであります。
  6. 逢澤寛

    逢澤委員長 これより質疑に入ります。通告がありますので、これを許します。關谷勝利君。
  7. 關谷勝利

    關谷委員 簡単にお尋ねをいたしたいと思います。この利子補給法案は、海運界にいわゆる国際競争力を養うための第一段階として行われるものであります。いずれの方の質問も同じようなことになつて来ると思いまするので、一番わかりやすくお尋ねをいたしたいと思いまするのは、国際競争力を養うために運輸省が考えておるほんとうの理想的な考え方というものは、どの程度までやつて行こうとするのが理想的であるか、これはもちろん現在ただちにその全部が行われるという問題でなくして、運輸省が、ほんとう国際競争力を養うためにはこういうかつこうにならなければならないのだ、こういうふうなことを箇条的にでもけつこうでありまするが、一応お示しを願いたいと思います。
  8. 石井光次郎

    石井国務大臣 この利子補給が第一に取上げられたものでありますが、このほかに、先ほども申し上げましたように、戦争前には損害補償制度があつたわけであります。そういうことをいたしますると、銀行が安んじて船舶建造の方に金を貸してくれるであろう、またほかの方よりもこの方が安全だという心持が加わつて金融の上に非常に助かるであろう、また結果から見まして国家に大きな負担が起るとも思いませんし、あるいは全然金銭的な負担がなくて済むことも考えられますので、続いてはその問題の解決もいたしたいと思うております。これは今度はできませんでしたが、おそらく次の国会あたりには提出し得るだろうと思うております。  もう一つの問題は、船舶建造に要しまする特殊な鋼材が、外国に比べて非常に高いという問題、これは皆さん方からよく承る問題であります。これも取上げていろいろ話合いをいたしておる途中でございますが、どんな形をとるか。何とかして国際競争に少しでもたえ得るような状態に、この使用いたしまする鋼材の値段をどの方法かで下げる道はないかということで、引続き研究、相談しようということを話しております。そういう問題もだんだん解決できますることを念願として、やつて行くつもりであります。そういうふうなところまで行きますと、一応外国との競争の基準ができるのじやないか。第一に利子補給といいましても、外国金利から比べれば、そもそも政府財政資金というものの金利から高いのじやないかという問題がありまして、ほんとうを言えばその問題からもつと解決すべきじやないかということは、みんなの頭に出て来ることであります。それは今の日本のいろいろな関係上、政府がそこまで踏んばり切れない状態におる。これも将来は何とか少しずつでも安くなるような状態にしなければならぬじやないか、そういうふうなことをいろいろ考えております。
  9. 關谷勝利

    關谷委員 大体おもな点におきましては、そういうふうなところであろうと私たちも考えるのでありますが、その他にもいろいろまだ取上げなければならないことがたくさんあるのでありますから、今大臣からそのおもなことにつきましての御答弁がありましたので、それについてお尋ねをいたしたいと思います。  利子補給の問題でありますが、農林漁業関係等におきましては、財政資金におきましては四分五厘というふうな低金利のものが今貸し付けられて、融資をせられておるのでありますが、これをここまで引下げるような交渉をせられたことがあるのか、またそういうふうなところへ最後的には持つて行こうとせられておるのか。先ほど海運局長お話によりますと、外国金利が大体二分五厘程度である。そのために金利の占める割合が英国あたりでは一ドル二十セントぐらいになる。それを日本と比べると、三ドル余り開きができて来るというふうなことで、非常にこれが競争力のがんになるというふうなお話もあつたようでありますが、そこまで行かないにいたしましても、他にも例があるのでありますが、この農林漁業あたりの四分五厘程度のところにまで持つて行こうというふうなお気持があるのかないのか、なおまたそれに対して交渉をせられたことがあるのかないのか、この点を伺つておきたいと思います。
  10. 石井光次郎

    石井国務大臣 この問題は正式には話し合つたことはまだないのでありますが、今お話のように、農林にもいろいろな利率のものかあるようであります。四分五厘よりも安いものが、いろいろな場合に出ております。何とかしてもう少しこちらの方も、国際金利があまりに安い、それとの競争問題なんだからということで話はいたしております。これはなおさつき申しましたように、私どもこの問題を頭に入れておりますので、進んでいろいろ御相談をして行きたいと思つております。
  11. 關谷勝利

    關谷委員 それから損失補償の問題であります。大体のことは承知いたしておるのでありますが、実はきようは大蔵大臣答弁を求めたいと思つてつたのでありますが、運輸大臣が今まで大蔵大臣と折衝せられた経過から見まして、これが次の国会では成立するという見通しであるのかどうか。その点ちよつと伺つておきたいと思います。
  12. 石井光次郎

    石井国務大臣 これはこの間私はこの委員会でも何かの問題で申し上げたと思いますが、この次の国会に出し得るようになると信じております。
  13. 關谷勝利

    關谷委員 それから私何かの機会にお尋ねをしたのでありますが、小笠原通産大臣が本会議の席上で、例の鉱石専用船建造によつて鋼材価格引下げたいというふうなことであつたのでありますが、そういうふうなことでは、とうてい鉄鋼の価格を下げるような結果は出て来ないので、私たち通産省がどの程度までこれが具体化しておるのか、それを報告をするようにと、私ははつきりと申し上げてあるのでありますが、通産省のこの専用船関係の事柄は調査をしたのかどうか。なおまたこの調査の結果に基いて、運輸省としての意見を通産省の方へ伝えてあるのかどうか。どのような経過なつておるか。この点ちよつと伺つておきたい。
  14. 石井光次郎

    石井国務大臣 これは通産省事務当局で研究しておる、運輸省の方にも連絡をとつてつておるというような話はどこかで出たことがあります。運輸省には一ぺんこういうことを考えておるがどうだという程度の、ほんの軽い雑談的な話がたれかのところに来ておつたが、それはとてもだめだという返事をしたというようなことはあります。私もその後こういうものはだめだということを一度通産大臣と話しておつた程度で、また通産省の方としても、前申し上げた程度以上に進んでいないようでありますが、これは今の問いに対して少しく怠慢な気味がありますが、なおひとつ強く要望をいたすつもりでおります。
  15. 關谷勝利

    關谷委員 それではその専用船関係は、あらためてまた次の委員会にひとつ説明を願いたいと思います。  そういたしますと、鋼材補給金は、補給金というふうなことではむずかしいというので、代案としてというようなものを当局としても考えておられるようでありますが、技術助成というのか企画助成というのか知りませんが、そういうふうなものが案としてはできておるようでありますが、それの見通しはどうであるか。これは一面できるのではなかろうかというふうにうわさもされておりますし、一面また非常にむずかしいというふうな話も聞いておりまして、まだはつきりとした見通しがついていないのではないかと思いますが、現在の過程においてどの程度見通しがつくものかどうか承りたいと思います。
  16. 甘利昂一

    甘利政府委員 鋼材補給金につきましては、先般来たびたび御説明申し上げておりますが、われわれとしましては現在の日本造船用鋼材が百三十九ドル、英国が約八十三ドル、差額が約五十六ドルですか、邦貨にして約二万円に相当しますが、その程度差額を何とかして縮めたい、その方法につきましてはいろいろ考えられますが、しかし現在の日本のような地理的事情にあります国においては、やはり鉄鉱石なり粘結炭その他の原料を遠隔地から運ぶというために、運賃が従来より相当かさむという点もありまして、たとい運賃が現在のように相当低い場合においても、その鉄鋼材に占める運賃の比率は約三・五%くらいでありますので、現在鋼材が五万円としましても、二千円足らずの引下げにしかならない、そういう点を見ますと、また一方二万円の差額のうちの約一万円に相当する部分が、寸法であるとかあるいは品質とかその他の特殊の規格による、いわゆる割増し料で占められておりますので、これらのものはとうていそう短期間には設備の改善あるいは合理化によつて下げ得ない、そういう見通しのもとに、こういう特殊鋼材については二万円あるいは少くとも一万円程度を技術の助成金として出してもらわなければ、とうていこういう高い鋼材外国並に下らない、こういうふうに考えております。また鋼材の船価に占める割合が二〇%以上にもなつておりますので、鋼材が下らない場合には日本の船価はどうしても外国のようにならない。現在においてもすでに貨物船で約二割、油槽船で約一割程度開きがありますので、これらの措置を講じなければ、たとい造船所が今後相当の合理化をやるにしても、これだけの差額はどうしても補えないというふうな考えを持つております。
  17. 關谷勝利

    關谷委員 今のはお考えはよくわかるのでありますが、私はそのお考えを聞いておるのではないのであつて、今どの程度まで進んでいるのか、どのような見通しなつて来ておるのか、そういうふうなことが実現する可能性が、多少でも見えて来ておるのかどうかという、その折衝経過お尋ねしておるのであります。
  18. 甘利昂一

    甘利政府委員 そういう趣旨のもとに各方面と折衝いたし、また国会の方にもそういう趣旨のもとに皆さんの御協力を求めておるのであります。まだ具体的には話はきまつておりませんが、しかし皆さんにもそういう趣旨については相当の御賛同を得ておりますので、われわれとしても次の国会には何とか話がまとまるように持つて行きたい。今後努力するつもりでおります。今のところまだ具体的になつておりませんが、しかし来年度予算には一応そういう趣旨のもとに助成金を組んではございます。
  19. 石井光次郎

    石井国務大臣 この問題はこの間補正のときに、大蔵大臣といろいろ話したままで、まだ進んでおります。今の技術補助というような方策をとつて、そういうふうな方面から援助するという話はいろいろ出おるようであります。私自身としてこの問題を話しておりませんが、さつきも申し上げましたように、この問題は大蔵大臣となおよく話し合おうということになつておりますので、ひとつよく話し合つて進みたいと思います。
  20. 關谷勝利

    關谷委員 大臣大蔵大臣に強力に主張をせられまして、実現するような御努力のほどをお願いを申し上げておきたいと存じます。なおまたこのほんとうの国際海運競争力を養いますためには、もうひとつ進んで行きますと建造補助というようなものもいろいろ考えられるのでありまして、私の時間も、長らく質問いたしますとほかの方に御迷惑であろうと思いますので、羅列をして申し上げまするので、一つ一つその大蔵省との折衝経過を、あるいはまた大臣の御意見等を伺つておきたいと思います。最終的に持つて行きまするならば、建造補助というところまで行くことが理想的な形でありまするが、そういうふうな建造補助というようなものは大臣として考えておられるかどうか。なおまた大蔵当局と折衝する御用意があるかどうか。  なおまた三億以上の国家再保の問題でありますが、船体保険の問題に対しまする三億以上の国家再保というのは、大蔵省との交渉がどのようになつておるのか。かつまた固定資産税等で非常に税金が高い。船舶税をつくれということは、税制の改革当時に私たちの強くこれを主張をいたしたものでありまするが、この固定資産税を船舶税というふうな特別なものにして軽減をするという点が、どの程度まで交渉ができておるのかどうか。これをどういうふうにして実現をしようとしておられるかどうか。  なおまた一面、この助成策だけにたよらずして、いろいろ企業の合理化もやらなければならないのでありまするが、それについていろいろがんになつておりまする電波法の関係で人員が外国船舶よりも多いというふうなこと、これも是正しなければならないというふうな御意見があるはずでありまするが、これに対しましてはどういうふうな手を打とうとしておるのか、どこまで電波法の関係を考えておられるのか。なおまた強制水先法の話もありましたが、こういうふうなものはどの程度まで進んでおるのか。なおまた内航船対策が外航船のいわゆる競争力を養うための一つの要素になつて来るのでありますが、これは別の意味からも考えられるのでありますが、内航船対策がどうなつておるか。大蔵省との経過等につきまして、この程度のものを実施いたしますと、大体国際海運競争力というものが外国にまで及ばぬにいたしましても、これがほぼ近いことになつて来る、こういうことになつて参るのでありまするが、これらの各点につきまして、簡単でけつこうでありますが、これの見通しをどのようにせられようとするのか、その目標あるいはまた現在の大蔵当局その他との関係省との折衝の経過見通し等につきまして伺つておきたいと思います。
  21. 石井光次郎

    石井国務大臣 建造補助の問題は、今の過程においてまだ私は考えておりません。その前にさつきからお話のあるような問題を片づけて行きたい、これも根本的な問題じやないかというお話もありますが、これはいろいろな国際的な関係もあるように聞いておりますし、十分研究をいたすつもりであります。  それからあとで局長に言つていただきますが、内航船対策を申し上げます。これは御承知のような経過をとつて、前に一ぺん老朽なものをスクラツプにする問題が朝鮮事変前にあつたことがありますが、そのときは予定に達せずそのままに終つたということ、今度また海運界が非常に不況のために、内航船も相当数量スクラツプにして、そしてほんとうにしつかりしたものにし、それがやはり外航船にもよい影響を及ぼすようにということのいろいろな方面からの申入れがあります。前の行きがかり等もいろいろありましようが、そういうことは別として、一体日本海運界をどういうふうにしてやつたら堅実なしつかりしたものになつて、そこからよい道を歩んで行くかということを考えると、この問題もぜひ取上げなくてはならぬ問題だと私は思つております。これはまだ大蔵省方面と折衝の段階に入つておりませんが、引続き話をしてみたいと思つております。
  22. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 船体保険の三億円以上を超過するものにつきましては、現在国が再保険をしておるのでございます。これが来年の三月で一応打切りになる、こういうことでございますが、これを打切りまして、外国に再保に出しますると、この前も御説明したかと存じまするが、大体三割以上の保険料支払いの増になる。約十二億から二十億近くの支払い増になる。これは日本海運界としてはたいへんなことでありますので、この再保の継続を大蔵省と話合いをしておるのであります。まだ最後のところまで行つておりませんが、国としてはこの再保で、今までのところ何ら損害をこうむつておりませんので、大蔵省としてもこの再保に承諾するもの、かように考えております。あるいは多少の条件をつけて、従来よりもきゆうくつになる点もあるのではないかと思いますが、まだそこまで行つておりませんで、私どもとしてはこれは継続し得るものと、かように確信しておるのでございます。  それから固定資産税を船舶に適用する問題ですが、これは従来とも地方自治庁とやかましく折衝しております。しかし地方自治庁としては、これは相当大事な地方の財源でありまするので、それと、またこれの改正が地方税の改正に及ぼすというふうな点を懸念いたしまして、今のところ行き詰まりの状況であります。しかし船舶に対し固定資産税をかけるということ自体が非常に不合理で、御承知通り固定資産税というのは、地方から利益を受ける、その応益によつて税を払う、こういう筋合いわものであります。ところが船は地方とのつながりが非常に少い。特に外航に出る船は、地方とのつながりがほとんどない。しかもこの固定資産税を払わなければならぬ。これは税の筋から言いまして、国税にすべきものであります。地方税という面からはずして、むしろ国税として船舶に税を課すべきである。同時にその税率を相当軽減すべきものであります。現在の固定資産税は、従来の船舶税に比べまして六倍以上になつております。他の一般の固定資産が二倍、多くて三倍というのに対して、船は六倍以上になつておる、こういうふうな不合理な点も、これを国税として取上げて、そしてどういうふうに税をとつて行くか、こういうふうな考えも成り立ちまするので、むしろ今後はそういう面で、強く政府として取上げて改正をはかるべきである、こういうので、大蔵省とも折衝を開始しておるような次第であります。これはまだ具体的なところまで行つておりませんが、そういうふうな行き方で今後改善に努めたい、かように考えております。  それから電波法を改正して無線乗組員の定員を減少すべきである。これは外国船ではすべて無線の定員は一人です。ところが日本船は電波法で三人です。この無線定員が非常に多いということが、日本船の乗組員の合理化をはばむ一番大きな要因になつております。今度オートアラームをつけた場合に、その定員をある程度減らし得るという規定ができたわけですが、これを機会に、相当無線定員の減員をはかる必要がある、こういうふうな考えのもとに、前国会以来この電波法の改正について、当時の電波監理委員会、今日の郵政省と打合せを続けておるのでございます。またこれはなかなかデリケートな問題を含んでおりまして、具体的な結論というところまで至つておりませんが、ぜひともこれは何らかの改善を見るようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。  それから企業の合理化の問題でございまするが、よくこういう時世になつたから海運会社の整理統合をはかるべきではないか、こういうことでありますが、整理統合に対して役所が積極的にこれをやるべきであるかどうか、ここに相当の問題があるわけであります。もう少し事態の推移を見た上で、官庁が乗り出すべきであるかどうかという態度をきめるべきでありまして、まだ官庁が海運会社の整理統合ということに、積極的に乗り出す時期ではないというふうな考えを持つておる次第でございます。これにつきましては、現在のところ情勢の推移を見守つておるという程度でございます。
  23. 關谷勝利

    關谷委員 大体今までの経過はわかつたのでありますが、これらの諸点を実現をしていただいて、そうして堅実な海運業ができまするように、ひとつ大臣その他当局者のせつかくの御尽力のほどを願いたいと存じます。  なお今みんなが一般に知りたがつておりますることは、八次の後期が、その資金がどうなつておるか、そしていつから着手をすることになるのか、その割当はどのような方法によるのか、なおまたこれに関連して九次船といいますか、その後の昭和二十八年度分の資金見通し、その着手がどういうふうになつているのか、またそれの割当はどういうふうになるのか、これが一般の聞きたいところになつておりまするので、この点につきまして、発表でき得る程度のものをひとつお示しを願いたいと思います。
  24. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 私からただいまの御質問に対してお答えいたしますが、本年度の後期建造船としての五万トンでございますが、この前の本委員会で御説明を申し上げました通り、その五万トン建造いたしますのに必要な本年度内の財政資金が二十八億でございます。同時にこの建造を進める前提として、ある程度の額の既往の市中融資を開発銀行に肩がわりする、こういうことを実現しなければならぬ。この一つの点につきまして大蔵省、審議庁、それから開発銀行と再々折衝し、大体この関係のところで肩がわりをある程度やる。まだ金額は確定いたしておりませんが、肩がわりをある程度やる。それからこの五万トン建造に二十八億を出す、こういう方針はきまつておるのでございます。しかしまだこの一十八億円の出し方といいますか、これは政府部内のことでございますが、いろいろの考え方がございまして、その考え方に大蔵省、審議庁、開発銀行の間に多少の食い違いがある。その食い違いをいかにして調整するか、その調整を今やつておるのでございまして、これも遠からず解決するのではないか、私どもとしては今週中にはその辺のところをはつきりして、来週には市中銀行その他にも話をし、船主の方に呼びかけるような段取りに持つて行きたい、かように考えてせつかく努力中でございます。この割当募集をどうするか、あるいは選考をどうするか、こういうことにつきましては、実はまだ開発銀行ともそこまで深く打合せをしていないのでございまして、先般もここで御説明申し上げました通り、今度は開発銀行の貸出し、こういうことに相なりますので、少し構想を新たにして船主の申込みをとる、こういうことになるかと思うのであります。  それからこの船主の選考につきましても同様、開発銀行の貸出しということでございますので、開発銀行がその貸出し先の資産、信用状況を十分調査して決定する。但し今運輸省といたしましては利子補給制度、それから建造許可、こういう関係がございますので、全然無関係というわけには行かない、利子補給建造許可の関係で開発銀行が審査されたその内容をよく聴取して、開発銀行のきめられたものに対して運輸省としては大体それに従わなければならない、かように考えるわけであります。一応運輸省として事前に連絡を受ける必要があるのではないか、かように考えておりまするので、その辺はまだはつきりとしたやり方をきめておるわけではございません。  それから来年度の建造計画でございまするが、これも来年度予算に関連し、あるいは来年度の財政投資に対する資金源をいかにして政府が確保するか、そのやり方に関係があるわけでございまして、現在、来年度三十万トン必ずつくれるか、あるいは二十五万トンになるかというところまで、まだ言い得ないわけであります。私どもとしては外航船建造の必要、また造船所の状況等からいたしまして、できるだけ多額の財政資金を確保したい、かように考えておりまするけれども、一面におきまして、来年度は本年度より以上に財政資金源というものが枯渇して来る、少くなつて来るというふうな見地から、相当の困難が、あるのではないか、かように考えている次第であります。
  25. 關谷勝利

    關谷委員 各方面と申しますか、造船関係の労組その他から非常に強い要望がありますので、八次の後期に対しましては、一月中に必ず着手ができるように、なおまた来年度のものにつきましては、それまでに準備を整えて、造船所等がアイドルを出さないように、四月からただちに着工のできるような御準備を願いたいと思います。これがどういうふうになつておるかということをお答え願いたいのと、現在差迫つておりますこの損失補償、あるいは鋼材のことにつきましては、早急に実現のできる段階まで折衝を願いたいということを申し上げまして、私の質問を打切ります。
  26. 逢澤寛

    逢澤委員長 お答えがありますか。
  27. 石井光次郎

    石井国務大臣 ただいま御注意の点は体しまして、折衝をやります。
  28. 逢澤寛

    逢澤委員長 次に河本敏夫君。
  29. 河本敏夫

    ○河本委員 ただいま提案理由説明によりますと、この法案は日本経済自立達成のために、国際収支の均衡を保つことがその基礎的な要件であることを強調せられまして、その具体的な方法として、第一に貿易の伸張をはかること、第二には貿易外の収入の大宗である海運拡充をはかることをあげておられますが、この点に関しましてはまつたく同感であります。最近世界的に貿易の規模が縮小いたしまして、各国とも共通に貿易の数量が減つておりますが、それが西欧諸国におきましては、わが国ほどはなはだしくないというその一番大きな原因は、西ヨーロツパ諸国におきましては、御承知のように貿易に対しましてもいろいろな国家補償、すなわち減税であるとか、あるいは低利の貸付であるとか、あるいは優先外貨制度、こういうものを実施しておるわけであります。それと同時に、やはり西欧諸国では外航船腹拡充商船隊の回復、こういうことにはいろいろな国家補助政策をとつておると思うのでありますが、その欧米諸国でとつておるところの海運に対する国家補助政策のあらましについて、海運局長から御説明を願いたいと思います。
  30. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 ただいま手元にその関係の資料を持つておりませんので、きわめて抽象的な答弁になるかと思いますが、お許しを願いたいと思います。なお詳細につきましては、後ほど資料をお届けいたしたい、かように考えます。  まず第一に米国でありますが、米国は御承知通り非常に手厚い海運保護の政策をとつておりまして、船舶建造につきましては、外国船との建造価格差額政府が補助する、こういう方策をとつております。それから航路補助につきましても、主要な定期航路について同様外国との経費の差、主として船員費関係差額でありますが、それを補助するという政策をとつております。なお経理につきましても、たとえば今日私どもが提唱しておりますような船舶建造留保金制度、船会社が利益を上げまして、その利益を将来の船舶建造のために積み立てるというふうな場合に、その積立金に対しての税を課さない、こういう制度をとつております。  それから欧州で非常に手厚い国はフランスとイタリアでございます。イタリアはたしか船舶建造費の三分の一を国が補助しております。あとの分につきましても政府財政資金を補給するとか、その他の非常に手厚い補助をしておるはずでございます。それからフランスもほぼイタリアに似たような措置をとつておるように記憶いたしまするが、今日のところ私資料を持つておりませんので、明確なことは申し上げられないと思います。  それから英国は従来補助政策というものを非常に避けて来た国でございまして、現在補助政策として特にとつておるものはないと思いますが、ただこの英国ですら終戦後から昨年あたりまで、船舶の償却につきまして初年度に一度に四割まで償却する。御承知通り終戦直後海運界が非常に景気が出まして、欧米の船会社が非常にもうけをした。従つてそのもうけによつて、その恩典によつて船の償却にすつかり振り向けた。今日の海運競争力の非常に強い基礎を築いた、こういうことになつておるのであります。今日海運市況が非常に悪くなりましたが、欧州の海運業者は泰然自若としておる。というのは英国のような——これはノールウエー、スエーデンあたりも同様の制度を持つておりますが、戦後につくつた新造船をそれによつてノールウエー等はたしか全額償却をいたしております。一挙に償却をして、非常に簿価の安い船、しかも相当の蓄積資本をもつて経営しておる。今日欧州の海運界を視察した人たちの語るところによりますと、英国の船主あたりはこの不況がもう少し続くことを望んでいる。この不況がもう少し続けば、ほかの国で船をつくることその他が減つて来る、こういうような考えを持つておるくらいであります。英国あたりは特にそういう補助政策をとらなくても、すでに十分外国競争し得る力を持つており、そういう力を持つていないフランスとかイタリアとかは、今申しましたような非常に手厚い補助政策をとつております。  もう一つ、少し横道にそれますが、たびたび申し上げますように、日本海運というものは、戦争によつて得た補償金というものを全部打切られた。その補償金が日本海運再建の柱になりましたのが、その柱が打切られた。それで戦後はすべて高利の借入金で再建しなければならぬ、そこに今日のような非常に弱い点があるのでございます。今日貿易が非常に不振で、確実に外貨をかせぎ得るのは海運であるという観点からいたしますと、私どもとしてはもつと海運に対する行政に力を尽さなければならぬという責任を痛感している次第であります。
  31. 河本敏夫

    ○河本委員 日本よりも経済基盤のはるかに強いヨーロツパ諸国におきまして、やはり経済の自立がその国の独立の基礎であるという点に強い認識を払つており、そのためには先ほど申し上げましたように、貿易に対してはいろいろな国家補助をやり、さらにまた海運に対しては徹底的な補助政策をやつておることは、ただいまの海運局長の御説明でも明らかであります。それで私はかねがね思うのでありますが、現在政府は、提案理由説明にもはつきり書いてありますように、海運に対する国家の助成の必要を認めておられ、そしてその海運を発達させるためには、経営基礎をできるだけ国際水準に追随せしむることが肝要であるということを特に強調しておられるのでありますが、そのやつておられることはどうも中途半端だ、かようにわれわれは考えるわけであります。ただいま關谷委員の質問にも一部ございましたが、今度の利子補給法案の一応の補給の基準を置いておりますのは、七分五厘ということになつております。財政資金利率の七分五厘との差額というような説明がありましたが、財政資金であつても、六分のものもあるし、五分五厘のものもある、あるいは農林漁業関係のように四分五厘のものもある。そのほか貿易関係外国為替特別会計におけるような貸出しを見ますると、三分見当のものもある。だから、同じように財政資金と申しましても、これは一概に律するわけに行かぬ。いろいろな利率があるわけであります。しかるに今回の利子補給法案限度は、財政資金の中でも一番高い七分五厘というところに一応の基準を置いておられる。こういう点は、この提案理由説明と私は根本的に矛盾しておるのではないか、かように考えるわけであります。それで財政資金には、先ほど申しますように、三分、四分五厘、五分五厘、六分あるいは七分五厘、いろいろな金利がありますが、そのうちでも一番高い七分五厘に一応の基準を置かれたということは、一体どういう理由から置かれたのか、重ねてお伺いしたいのであります。
  32. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 私ども海運を見ておるものといたしましては、金利ができるだけ安くなる、従つて財政資金もできるだけ安い金利を標準にして、それに対して利子補給制度を確立したい、こういう考えを持つておるのでございますが、しかし第一段階として、今まで船舶建造に対する見返り資金利率が七分五厘、こういうのでございますので、この七分五厘を目標にするということが一応妥当と考えられる線ではないか、そこへおちつきまするには、これに対する国家財政負担の問題、それから他産業との均衡の問題、こういうことも一応考えの中に入れて、まず七分五厘程度に一応おちつかせるのが適当ではないか。しかし財政資金金利はこれをできるだけ下げろという声が非常に強いわけでありますので、さらにこの七分五厘という財政資金金利を、五分あるいは五分五厘程度引下げるということが実現するならば、それにつれてこの補給率もさらに増す、こういうふうに行くのが一応の筋ではないか、かように考える次第であります。
  33. 河本敏夫

    ○河本委員 ただいまの海運局長の御説明では、日本財政状態を考えて一応七分五厘に置いたのである。しかし国際水準から見てもそれはまだはるかに高いしするので、将来はこれを引下げるべく努力をはかりたい、こういう説明でありますが、私は昭和十四年に制定されました船舶建造融資補給及損失補償法を見ますと、今度の法案は、この法案だけを見ますと海運政策は一歩前進のようになつているけれども、一方においてこの昭和十四年の損失補償融資補給を廃止した点においては、二歩後退であろうと私は思う。昭和十四年当時は、御承知のように臨時軍事費に莫大な金額が必要であつた日本財政状態も決して楽でなかつた。また当時の日本海運力というものは、現在の海運力よりもはるかに強かつた。その当時においてすら、この建造融資補給と損失補償というものをあわせてやる必要があつたわけであります。臨時軍事費に非常に莫大な予算を必要とした当時に比べると、現在の財政状態は必ずしも当時よりも悪くない、かように私は考えておりますし、今度の法律は、昭和十四年の法律から見ますと一歩前進、二歩後退というような意味もありますので、先ほど大臣お話になりましたように、今度の国会では間に合わぬと思いますけれども、昭和二十八年度には必ず建造融資補給と並んで損失補償もあわせ実行するように全努力を傾けてもらいたい、こういうことを特に要望するものであります。  それから次にお聞きしたいことは、先ほど固定資産税の問題につきまして質問がありましたが、この問題に関連しましては午後機会があつたら、地方自治庁にお尋ねしたいと思つております。先ほど海運局長より、船舶はその地方から何ら利益を受けておらぬ、だからそういうものに対して固定資産税をかけるということは、理論的にも間違いである、こういうふうなお話がありましたが、私は当然そうあるべきであると思います。従つて船舶のような国際的な商品というものは、固定資産税とは別個に、戦前のように船舶税という独立税をつくつて、これを市町村税ではなしに、中央の税金としてとる、こういうふうな考慮を払わなければならぬと考えております。現在の固定資産税の税率を見ますと、千分の十六ということが一応基準になつておりまして、これは二六%であります。現在は船舶に対しては、一六%ではなしに、ある程度の減税が臨時に行われておりますけれども、それもごくわずかだ。それで今度の利子補給でかりに三%ないし四%金利が安くなつても、一面において、外国で例のないようなこういう固定資産税というものが船舶に課せられておる。それを厳格にとれば一・六%をとる、こういうことであるならば、この利子補給ほんとうの意味というものはなくなると私は思うのであります。それでぜひともこの船舶の固定資産税というものは、その特殊性から勘案せられて、また固定資産税の立法の趣旨からもよく御考慮願つて、これを国の税金として、戦前のように船舶税として取扱う、こういうふうに運輸省は持つて行くように全努力を傾けて交渉していただきたい、こういうことを運輸大臣に特に要望しておく次第であります。詳細につきましては後刻地方自治庁に質問をいたします。  それから次に、先ほど船員の問題に関連いたしまして電波法の問題が出ておりましたが、私は船員法の問題につきましてちよつと御質問したいのであります。戦後、労働基準法や船員法なんかのために、船舶の乗組員の定員が非常にふえております。戦前と比べますと約四、五割もふえておる。現在外国の乗組員の定員と比べましても六、七割も多い。世界中で日本船舶の乗組員が一番多い、こういう状態でありまして、これまた船舶の特殊性を考えました場合には、労働基準法に盛られておるところの精神というものはある程度尊重しなければならぬと思うけれども、しかしながら、少くとも船員関係において外国とある程度競争し得るように、電波法と同時にあわせてこの船員法というものの取扱いを将来研究して行かなければならぬ問題であろうと考えます。大臣はお忙しいようでありますから、とりあえず、この船舶の乗組員が戦前よりも非常に多いし、現在外国よりも六、七割も多いという問題に対して、どういうお考えを大臣は持つておられるか、あるいはまた船舶に対する固定資産税に対して、根本的にどういうお考えを持つておられるか、その基本的なお考えだけを伺つておきたいのであります。
  34. 石井光次郎

    石井国務大臣 さつき海運局長からも申し上げましたように、固定資産税というものが、海運行政に及ぼします影響が非常に大きいということは了承いたしております。ぜひこれは何とか話をつけて——船舶税として国税にまわすことができるかどうか、いろいろな関係もあると思いますので、研究いたしまして、何とかしてこれをやめてもらう、やめないなら、どういうふうにしたら安くなるかということを研究し、努力をいたしたいと思つております。日本船舶は舶員が少くて、狭い部屋で割合勉強して、スペースをもつてつて来たというのが、今までの非常に特色的な、日本海運業の一つの力であつたということは私ども聞いているのであります。その後いろいろの関係お話のように、逆に貧乏な日本が人間を多く使わなくちやならぬというふうになつたのは、これはいろいろ法規の関係もありましようが、それぞれの向きと私どもとして話合いすべきものは話合いをつけて、そうして人と船の関係の合理化に努力をいたします。
  35. 逢澤寛

    逢澤委員長 それでは一時半に再開することといたしまして、暫時休憩いたします。     午後零時二十八分休憩      ————◇—————     午後一時五十三分開議
  36. 逢澤寛

    逢澤委員長 休憩前に引続き会議開きます。  質疑を続けます。河本敏夫君。
  37. 河本敏夫

    ○河本委員 外航船舶建造融資利子補給法案の質疑に関連いたしまして、船舶建造資金の問題につきまして、大蔵省の当事者の方にお伺いしたいと思います。御承知のようにこの法律は、日本海運拡充をはかることが、貿易の伸張とともに国際収支の均衡を保つ上においての基本的な条件である、従つて一面これは経済自立の根本である、こういうふうな趣旨で提案せられた法律案でございますが、今後の建造資金につきましては、われわれの承知しておりまする範囲では、建造所要総額の七割を開発銀行が貸し付ける、それから残りの三割に対しては市中銀行が貸し付ける、そして市中銀行の三割分に対してこういうふうな国家の一種の助成法案が出たわけでございますが、私の聞くところによりますと、財政資金とも、うべき開発銀行が貸し出しておるもの、これまではたしか四、五割であつたと思いますが、そういうふうなものに対して一般の船会社はその船を担保にする以外に、なお二割の増し担保を提供しておる。さらにそのほかに他の会社の連帯保証を要求いたしておるような例があるということでありますが、そういうことがはたして事実であるかどうか、事実であるならばどういうふうな理由に基いてそれをやつておられるのか、お聞きしたいと思います。
  38. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 お尋ねの点は、担保を非常に厳重にとつておる点と他の関連会社の保証をとつておる点と二点かと思います。最初の増し担保と申しますか、担保を非常に厳重に徴収しておるという点につきましては、開発銀行もできるだけビジネス・ベーシスで金融をいたしますから、私どもはどういう担保をとれというようには言つておりませんが、回収の確実を期するために必要な限度において担保をとつております。  第二のお尋ねの点は、おそらくチヤーターをいたしますオペレーターが、そのオーナーに対する保証をさせられておるという問題じやないかと思います。この問題につきましても、これは見返り資金当時からずつと続いてやつてつたのでありますが、一律に必ずオペレーターの保証をとるということはいたしており面せん。しかし先刻申し上げましたように、回収の確実性をはかるために、必要な限度においては保証をとらざるを得ない。逆に申し上げますと、その保証がないと金融対象にならないかもしれないというものについては、その保証をとることによつて信用力を補強する、それによつて金融が初めてつくというものもあり得ると思います。またおそらく今の設例の場合につきましては、大部分がそういう例に該当するのではないかと思います。この問題については、一律にオペレーターの保証をとるということはさせておりませんけれども、信用を確実にするという意味におきまして、必要な限度においてはオペレーターの保証をとることもまたやむを得ないというふうに考えております。
  39. 河本敏夫

    ○河本委員 ただいまの銀行局長説明によりますと、財政資金に関して開発銀行が保証をとつておるのは、その財源確保のためである、こういうふうな原則論がついてのお話でございましたが、その点についてはごもつともであると思います。しかしながら海運会社の現状をよく検討してみますと、戦前と戦後の状態はすつかり違つております。オペレーターと称せられる会社が十数社ほどございますが、その内容は戦前と戦後ではすつかりかわりまして、現在は各オペレーターとも資本金に対する数倍ないし十数倍の債務を擁しておる。内容が非常に悪い。よく調べますと、オーナーよりも内容の悪い会社がたくさんある。そのような会社に対してなお数十億の連帯保証を要求されておるということは、実際上無意味じやないか。  それからもう一つ、見返り資金についてはとつてつたというお話でありますが、見返り資金船舶に充当されるようになりましたのは、昭和二十四年度からであります。昭和二十四年、二十五年、二十六年の建造計画にはそのような例はなかつた。本年の二月、七次後期が問題になつたあの当時から、この連帯保証の問題が起つて来たと思います。それまではその問題はなかつた。  それからもう一つこの際申し上げたいのは、大体保証する方のオペレーターに、先ほど申し上げましたように、実質上の保証能力というものは現在なくなつている。と同時に財政資金融資期間は十五箇年になつています。十五箇年の長期間にわたつて、その間には経済界の変動も幾多行われることが予想せられる。その長期間にわたつて一つの会社が他の会社に保証するというふうなことは、私は財政資金の国家的な性質から言つて無理ではないか、こういうふうに感ずるのであります。また債権確保のためと言われておりまするが、海運界実情をよく知つている者に聞きますと、実際は債権確保になつておらぬ、その逆効果を来している、こういう例すら多いということを私は聞き及んでいるのであります。それでこの際根本的にこの問題を検討してみますと、国家がどうしても海運の回復をはからなければいかぬ、商船隊拡充をはからなければいかぬ、こういうときに市中銀行に対してすら国家が利子補給をして、その金融に非常な便宜をはかつている。しかるに一方七割に及ばんとするところの財政資金に対して、非常に苛酷な条件を課している。新造するその船を担保にしているほかに、なお二割に該当する物的な担保をとつておくということは、私はそれで十分ではないかと思う。そのほかに十五箇年にわたつて他の会社の保証を要求するというふうなことは、私はあまりにも条件が苛酷ではなかろうかと思うのであります。そういうふうな観点から、海運界の全般の空気といたしましては、そのような連帯保証というものは、今後やめてもらいたいという意向が非常に強いわけでありますが、そういう点につきまして銀行局長の重ねての御意見をお聞きしたいと思うのであります。
  40. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 お話の点につきまして海運業界から強い御要望のあることは、私どもよく承知いたしております。お話の点につきましては、あるいは見解の相違ということになるかもしれませんが、私どもとしてはオペレーターの保証をとることが信用の増強にならないとは考えておりません。少くとも保証があるだけのことは、やはり債権確保上非常に確実性を増すというふうに私どもは考えております。  それから財政資金を取扱つております開発銀行として、そういう保証までとるということは非常に苛酷じやないかというお話であります。この点もお話の点はよくわかりますが、私どもといたしましては、やはり租税その他で集められた資金を融通するのでありますから、できるだけ損が起らないように考えて行かなければならぬ。政府資金であるからと言つてその条件を甘くすることは、国に対する負担をできるだけ少くするという意味から言いましても、十分心がけて参らなければならぬと思つております。しかしながら個々の問題につきましては、保証がとれなくてもいいじやないか、保証がとれなくても信用はちやんとしているじやないかというような問題でありますれば、これは個々に判断して必要のないものはとらないようにさせる、そういうことは私ここでお約束できますが、オペレーターの保証をとることは不可であるというふうに一律に結論を下すことは、私はこの際としては適当でないと考えます。
  41. 河本敏夫

    ○河本委員 私がなぜこの問題を提起したかと申しますると、いわゆるオペレーターとオーナーと申しましても、その内容は非常にまちまちである。純然たる親子会社のような関係なつているところもありますし、もつと一時的なつながりで結ばれているところもある。あるいはまた部分的に自営をして、他の一、二隻をそのオペレーターに貸しているというふうな会社もあるはずです。だから非常にその間の事情が違つている。だから一応原則としてオーナーはオペレーターの保証をとるというふうなことをきめるということは、海運界実情にも合つておらぬ、こういうふうにも考えますし、それから債権確保の意味から言うならば、先ほど申し上げましたようにオペレーターの内容は非常に悪い。オペレーターの内容をとるということも一つの債権確保の手段ではありましよう。しかしながらそれと並んで、建造する当該船舶を担保に入れて、なおそのほかに二割の物的な増し担保をとつているのでありますから、その二割の増し担保を三割あるいは四割なりにふやすというふうなことを考慮して、全部これを一ぺんに廃止するということはむずかしくても、日本海運界をうまく発達さして行くという意味から、そういうような物的な増し担保を増加させるというような方法で、順次これを減少させるというようなお考えはありませんか。
  42. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 今お話のようにオペレーターの中でもおのおのやはり信用能力とか内容については、いろいろ差異があると思います。それからオーナーにつきましてもお話のようにいろいろ内容についての強弱があると思いますので、必ずしも私どもはオペーレーターの保証がどうしてもなくてはならぬとは考えておりません。その他の担保で十分にカバーできるならば、むしろ保証をとらなくてもいいと思う。要するに問題はこの造船資金に対する適当な担保が十分にあるかないかということにかかると思います。現に今のような設例のオペレーターとオーナーの関係につきましても、保証をとつておらぬのもあるわけであります。保証なくしても個々に担保力のあるものにつきましては考えて、保証をとらないで済むようにはいたして参りたいと考えております。ただ問題は、資金融資いたしました当初においては、そのオペレーターの保証があつたから初めて融資ができた、言葉は非常に悪いのですが、金融対象になり得たというのも相当あると思う。従つてその資金融資いたしました後に保証だけはずして、ほかの条件をまたそれに置きかえることをしないというのは、これは融資をいたしました当初の条件をまつたく変更するわけでありますから、それらの点についてはそれにかわるべき担保がなければ、すでに今までやつているものにつきましては、置きかえるということはなかなか困難である。個々によく検討いたしまして、具体的に処置いたしたいと考えております。
  43. 河本敏夫

    ○河本委員 銀行局長の御意見はよくわかりました。これに関連して海運局長の御意見をついでにお伺いしてみたいと思います。
  44. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 私どもは外航船舶拡充を進めて行きます上におきまして、財政資金の貸出し条件をできるだけ緩和するということは、非常に望んでいるのでございます。従いまして本問題につきましても、開銀当局にできるだけ妥当な線にまで緩和願うということを折衝しているわけでございます。しかしながらやはり貸す方と借りる方とに考え方の相違がございまして、必ずしも私どもの考えているような面が当局に受入れられるというふうには考えられない。なおこの点については十分の話合いをしたい、かように考えております。
  45. 關谷勝利

    關谷委員 銀行局長に河本委員からお尋ねするはずだろうと思つておりましたが、この八次後期、それから来年度の造船場計画に対する資金見通し、現存造船の労働組合関係からひんぴんとして陳情に大挙して出て来ているのでありますが、一月には必ず八次後期の五万トンは実行してほしい。なおまた来年度の計画に対しましては、四月の年度がわりと同時に、ただちに実現してほしいという要望が非常に強いのでありますが、海運議員連盟等からもただちに取上げて協力したいという回答をしているのでありますが、こういうような情勢に対応して、そういうようなことになるかならないかという見通しを、はつきりひとつ答弁を願いたいと思います。
  46. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 本年度さらに追加の五万トン建造の問題でありますが、各方面から強い御要望もあり、特に運輸省からはたびたびこの問題の解決方促進を要請されておるのであります。はなはだはつきりしたお答えがこの席でできませんことをあらかじめお断りをしなければならないのでありますが、御要望の点も十分によくわかる点が多々あるわけでありまして、現在大体そういう方向に実現できるかどうかの点を、開銀の資金繰りその他の点から検討を加えております。さらにかりに、まだこれもはつきり決定しておりませんが、政府資金で七割を持つ場合におきましても、あとの三割は市中にどうしても仰がなければならぬ、市中金融がつくかつかぬかの問題もこの際あわせて考えなければならない。この点も各方面から御要望もありますように、既存の市中における融資を開銀によつて肩がわりをされたい、そうすることによつて市中の金融のつきやすいような道を開いてもらいたいというようなことが、非常に強く要望されております。これらの点につきましても、この問題の一環としてあわせて現在検討いたしております。できるだけ早い機会に結論を得たいという努力をいたしております。
  47. 關谷勝利

    關谷委員 もう一つこれに関連をしておるのでありますが、午前中にはこれを運輸大臣に質問したのでありますが、運輸大臣よりも直接の銀行局長にこれをお尋ねするのが至当であると思いますが、市中金融関係ができましたので、この市中金融を円滑に進めまするためには、どうしても損失補償がこれに関連をして来るのでありまして、ぜひそういうふうに向けたいというのが国会の輿論でもありまするし、なおまた聞くところによりますると、大蔵大臣はこれに賛成しておるやに聞いておるのでありまするが、事務当局は非常に強硬に反対をしておるというふうなことも、一部漏れ聞いておるのであります。これの真相をひとつ銀行局長から御答弁を願いたい。
  48. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 私大蔵大臣が賛成されて、事務当局が強く反対しておるという事実は承知いたしておりません。大蔵省としてはこの際といたしましては、損失補償の制度は見合せていただきたいという結論になつております。これは大蔵大臣以下大蔵省全体の意向でございます。
  49. 關谷勝利

    關谷委員 銀行局長は将来においてもそういうふうな考えをかえないつもりでおるのかどうか、その点をお伺いしておきたい。
  50. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 今後の問題といたしましては、さつそく二十八年度の予算の審議において問題になると思います。将来の問題は将来十分研究をして参りたいと思いますが、今この際二十八年度でこの問題は必ず実を結ぶということもお引受けはできませんが、研究はいたしたい。
  51. 熊本虎三

    ○熊本委員 大蔵省から見えておるときに、二、三直接の関係ではないけれども、間接的には大蔵省が首を縦に振るか横に振るかが分岐点になるので、一、二承つておきたいと思います。  運輸委員会が始まつて以来、一般質問の当時から問題の焦点は二つになつておりまして、一つは陸運の関係でありますが、海運関係についても非常に熱心に質疑応答がかわされて、大臣初め政府委員から、第八次建造計画については目下具体的に進行中であつて、ただ事務的手続に支障があるから、いつからという確固たる日にちが明示されないという程度答弁を受けております。ただいま質問に答えられる銀行局長答弁を聞いておりますると、これはだんだんと逆転して参りまして、はなはだどうも確証をつかめないことになつてしまう。たとえば開発銀行の七割の融資につきましても、いろいろの手続その他について——最初の質問に対する大臣答弁からいたしますと、もう十日も過ぎておると思いますが、まだ元の通りであつて、さつぱり具体的でない。それから市中銀行に対する三割の貸出しでありますが、これについても大体今は担保物件の話があつたようでありますけれども、担保物件もさることながら、現状のような海運界の情勢の中で、単に開発銀行との利ざやの相違のみを政府が補償するということで、市中銀行は金を貸すだろうかということが非常な問題になりまして、私もその点をあまりついたので、關谷委員のごときはあれが社会主義的な議論かとひやかされたくらいに、大いに心配してついたわけでありますが、これについても大蔵省としては考慮がされておらない。本年度の追加予算は別にしましても、明年度あたりについてはこういう方針で臨みたいということすらもここで言明されない、こういうことになりますると、一体第八次建造計画もそうでありますが、明年度三十万トン以上の造船計画をもつて臨みたいという運輸当局考え方と大いに食い通うと思うのです。従つてこういう点につきましては、何といつても大蔵省が、やはり金繰りの点もあろうと思いますけれども、問題は敗戦日本再建、すなわち日本の将来の独立、再建の根本的な大乗的見地に立つてこれを組み立てなければ、単にその担当部面であります運輸省とかいうようなところがどんなに努力いたしましても、最後は結論を得ることができない、こういうことに相なるわけであります。従つて念のために伺つておきたいことは、開発銀行から出す予定の七〇%程度融資は、大蔵省の見る目では、いつごろ具体的になつて、そして第八次造船はいつごろから着工できるというお見通しであるか。それからもう一つは、市中銀行から三〇%程度融資をするという方針であるが、これに対して大蔵省は現在のような制度のもとで、必ずこれを融資せしめ得るという御自信とお見通しとを、金融関係面からして持つておられるかどうか、その点を承つておきたいと思います。
  52. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 先ほど關谷さんの御質問にお答え申し上げました通りでありまして、まだ結論に実は到達しておりません。なるべく早く結論を出したいと思つております。それから七割の点も、できるだけ七割程度政府資金でバツクをするというふうにいたしたいと考えておりますが、まだこの点も最終の結論に至つておりません。それから市中銀行から三割金融が必ずつき得るような自信があるかという御質問でありますが、これは自信がありません。方針がもしきまつた以上は、できるだけつき得るように配慮はいたしますが、私から市中銀行に三割分は貸せということを命令はできません。できるようにいろいろな措置は講じて参りたい。先ほどもちよつと申し上げましたように、肩がわりの問題等もその一環として考えて参りたいと思います。
  53. 逢澤寛

    逢澤委員長 熊本さんに申し上げます。どうせ順序が来ますから、通告順の方がありますから、関連質問はひとつ簡単に願います。
  54. 熊本虎三

    ○熊本委員 関連はあくまで関連ですから、許された限り、逸脱せざる限りは許してもらいたいと思います。しかしあまり長く時間を頂戴しても、私も言つておりますし、多くの同僚諸君も言つておりますから、多くは言いません。ただ言つておきたいことは、今の答弁を聞きますと、第八次造船計画まことに暗やみであります。いわんや二十八年度の計画については、ますます心もとなくなるという情勢でありますから、少くとも大蔵省は、ここでこうしますという答弁はできないにいたしましても、この重要案件について、その左右するかぎが大蔵当局の金繰りにあるということを忘れないようにしてもらいたい。そうして協力していただかなければ、だんだん造船界の将来を暗くするものであつて、それは単に造船界のみならずして、日本の将来を暗くするものである、こういうところに重要な責任をもつて処してもらいたいことを希望しておきます。
  55. 逢澤寛

    逢澤委員長 ちよつと申し上げておきますが、銀行局長は三時まででどこかに行くそうですから、銀行局長関係のあることをひとつ……。
  56. 關谷勝利

    關谷委員 これは根本的に銀行局長、並びに主計局からも出て来ておられるならば、そういう大蔵当局お尋ねをしておかなければならぬのですが、大体世界の各国は海運ということに対しましては、非常に徹底した助成策を講じておるのでありますが、海運国際競争力を養わなければ、とうてい日本海運界はやつて行けない。そのためにはどうしてもこれに匹敵するだけの助成策をやらなければならぬ。現在の海運界の情勢から申しますると、船会社というものは引合つておらない、そういうふうな状態であるにもかかわらず、日本の経済再建のためには、どうしても船腹を拡充しなければならぬ。これはおそらく銀行局長といえども認めざるを得ないと思うのでありますが、そういうふうなことになつて来ました場合に、この海運の助成策ということについて、今の大蔵当局はあまりにこれの認識が薄いのではないか、こういうふうな考えがするのでありますが、助成策というものは相当徹底しなければならぬのだという気持が、大蔵省にあるかないか。これが将来の日本海運界の、大きな国際競争力というようなことになつて来ますし、従つて日本の経済の再建ということができるかできないかというようなことにかかつて来ると思うのでありますが、この海運の助成策ということはやらなければならぬのだということを、大蔵当局は認めておるのかどうか。これに対する意見、これを銀行局、その他主計局も出て来ておられるならば、そういうようなところにもお尋ねをいたしたい。
  57. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 お話のように、各国すべて海運に対して相当特別な助成をいたしておることは、御指摘の通りであります。わが国におきましても海運、特に外航船の特殊の重要性にかんがみまして、特別の助成策はとつて参るべきものだと考えております。しかし問題は、どの程度の特別助成策をとるかという問題でありまして、これはおしかりを受けるかもしれませんが、今出ておりまする利子補給につきましても、私どもはやはり海運に対する特別な措置と考えております。もちろんそれで足りないというおしかりがあろうと思いますけれども、問題は特別措置程度の問題だと考えております。
  58. 關谷勝利

    關谷委員 まことにこの助成策に対しては、理解があるかのごとき御答弁ではありまするが、その実はまことに理解がない、認識が不足しておる、こういうふうに申し上げるよりほかに方法はないのでありますから、この点まことに私遺憾であります。ただ金利をわずか財政資金の七分五厘にした、それをもつて、これが助成策の一環と認識しておるのだ、こういう言葉でありますが、まことに私は不都合だと思うのであります。この七分五厘の市中金融利子補給をするにいたしましても、世界各国の二分五厘程度のものから見ますれば雲泥の差があつて、比較にはならないのであります。これをもう少しやつて行こうというふうなことも、私たちはこれが第一段階であるからそれでというふうなことで、今政府から提案せられたこれに賛成をしておるのでありまするが、この海運の助成策をやらなければならぬというふうな考えが、多少ともおありというのであつたならば、今まで過去においてこの損失補償というようなことをしても、国家が迷惑をした例はないのであります。喜んで私たちはこの損失補償というようなことには応じなければならぬ、こういうふうに考えておるのでありまするが、そういうふうなところは、先ほどの御答弁におきましても、まだこれはしないというようなことに大蔵当局が考えておる、こういうふうなことでありますので、私はたとい言葉の上では認識しておるとか、助成策をしなければならぬ、こういうふうに言つてつても、私は決してその実そうではないのだ、ただ一片の答弁として調子を合すために言つておるのでありまして、ほんとうの理解をしていないのだ、こういうふうに私は解釈するのでありますが、もし理解があるというのであつたならば、利子補給ももう一層つつ込んで安くしなければならぬというふうな考えも、自然に出て来るはずでありますし、損失補償も当然しなければならぬ、そうしてこれによつて今まで国家が損害をこうむつたことはないというようなことを考えたならば、なおさらやらなければならない。鋼材補給金等についても、もう少し理解がなければならぬというようなことが出て来るし、国家が三億円以上のものに対しまして再保をやるというようなことも、継続すべきものであるというふうなことが自然に出て来なければならないのでありますが、そういうような点に関連いたしましても、大蔵当局は非常に固執をしておるというふうに私たちは聞いておりまするが、まことに私たちは認識不足もはなはだしい。これでも助成策をする気持であるというふうに大蔵当局が言われるのであれば、私たちはそれでは実際に認識が足らぬと思う。もう一層助成策を推し進めて行く、これがほんとう日本の将来の経済再建に資するのだ、こういうふうなことに考えていただかなければならぬのでありますが、将来こういうふうな方面について、もう少し考えるのか考えないのか、この程度で推し進めて行こうとするのか、その点はつきりと御答弁を願いたい。
  59. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 主計局の方からお答え申し上げた方がいいかと思いますが、先ほど申し上げましたように、海運の重要性にかんがみまして、財政その他の許します限りにおいて助成策を講じて参りたいと思います。おしかりを受けましたが、海運についてはこの利子補給だけが実は助成策ではないと思う。見返り資金その他から相当政府資金を出しておる。もちろんこの金利が高いというおしかりがあるかもしれませんが、できるだけの財政的助成はいたしておるつもりであります。それでもなお足りません点も確かにあると思います。今後これらの点は二十八年度の予算の編成にあたりまして、十分に検討を加えて参りたい、かように考えておる次第であります。
  60. 柏木雄介

    ○柏木説明員 ただいま銀行局長からお話がありました通り、主計局としても同じような意見を持つております。
  61. 河本敏夫

    ○河本委員 先ほど銀行局長説明を聞いておりますと、損失補償については来年度も具体化するかどうかわからぬ、こういうふうなお話がございました。ところが午前中の運輸大臣のこの利子補給法案に関する提案理由説明の中で、来年度は多分損失補償を実行することができるようになるだろう、こういうお話がありました。大蔵省の当局運輸大臣の考えとの間に、相当大きな懸隔があるように思うのであります。そこで私がお伺いしたいことは、昭和十四年に船舶建造融資補給及損失補償法というものができまして、これが昭和十四年から十年間、昭和二十四年まで有効であつたわけでございます。この法律を制定された根本の趣旨を、この際銀行局長から承つておきたいと思うのであります。
  62. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 私その当時の事情は実はあまり詳しく存じておりませんが、たしかあの当時やはり海運拡充が非常に必要であるということで、三割の損失補償で興銀が主として金融をつけるための助成をいたしたのであります。その当時は御承知のように市中銀行が——特殊銀行でありますが、民間の金融機関たる興業銀行が自分の資金でもつて融通をいたしますのに対して、三割程度損失補償をつけたわけであります。現在は御承知通り財政資金で半額程度、今は半額になつておりませんが、今後は三割程度財政資金資金のめんどうを見て行くということに相なるわけでございまして、市中の金融機関は、損失の危険は三割程度に相なるわけでございます。それらの点から見ますると、必ずしも昭和十四年に損失補償制度をつくりました当時にできた損失補償の制度と、十分にかわり得るかどうかわかりませんが、おおむね似たような制度が開発銀行を通じて、あるいは見返り資金を通じて損失補償が出るということによりまして、ある程度はその目的が達成されておるのだというふうに私どもは考えております。ただそれが十分であるかないかにつきましては、いろいろ御意見もありましようし、運輸大臣としては強い損失補償に対する御希望を持つておられることは私ども十分承知いたして、大蔵省としてはまだこの点については最終的結論に到達しておらぬ実情であります。
  63. 河本敏夫

    ○河本委員 私は午前中にも申し上げたのでありますが、昭和十四年に船舶建造融資補給及損失補償法ができました当時の日本財政事情というものは、非常に多額のものを臨時軍事費にとられまして、必ずしも現在の日本財政状態よりよいとは限つていなかつた。しかもまた一方、船舶状態はどうであつたかと見ますると、昭和十四年当時はまだ戦争の災害はほとんど受けておりません。従つて明治の初期から数十年にわたつて海運界には大きな蓄積があつた。当時の船腹の状態はほとんど六百万トンになんなんとしておつた。その勢力は、実質は世界第二位になつておつた。このような当時の臨時軍事費の苦しい予算の中から、しかも十年間、それだけ充実しておつた海運界に対してすら、こういうふうな制度が必要であつたわけであります。それでありまするから、現在の海運界状態を私は考え合せますときに、なるほど財政状態は楽であるとは言えない。しかしながら当時の状態よりもはなはだしく悪いとは私は言えぬだろうと思うのであります。従つてこの法律が当時できました事情をもう一回よく御検討願いまして、どうしても日本海運界再建のためには、商船隊の回復のためには、利子補給と並んで損失補償が必要であるということを十分御認識いただきまして、そして運輸大臣は先ほども申し上げましたような御意見でもありますので、ぜひとも来年度これが実現するようにおとりはからい願いたいということを、特に要望しておきたいと存じます。
  64. 逢澤寛

    ○逢澤委員 長銀行局長に質問のあります方はこの際……。
  65. 松原喜之次

    ○松原委員 実はこれは大蔵大臣に聞いた方がよいことであるかもしれませんが、省内の空気というものが、ことに受持ちの銀行局長でよくおわかりであると思いますので、承るわけであります。大蔵省は低金利政策ということを打出しておられるようであります。そこで比較的低い金利がすなわち低金利政策だといえば、もちろんそれでおしまいでありますけれども、しかしながら日本の現状において、大蔵省が目ざしておるところの低金利政策というものは、一体どのくらいのところを目ざしておるのかということが第一点であります。  第二点といたしまして、その低金利政策と七分五厘以上の補給という問題であります。一体大蔵省はこの七分五厘以上の利子に対して補給することを承認しておられますが、従つてそれから予算等が出ておるのでありまするが、低金利政策と、一割二分というような金利との間に非常な矛盾があるのではないか、私はさように感じますので、その点に関するお考えを承りたいのであります。私がかように申すことは、議論になりますから長くは申しませんが、一体日本金融機関というものは、あの戦後保険会社にしろ、あるいは信託会社にしろ、銀行にしろ、戦争によつて受けた自分たちの損害というものは、ほとんど顧客に肩がわりしてしまつておるという状態のもとにおいて、今日金融機関は非常な特権的なよい位置を占めておる。そういう金融機関が高い金利の上に非常に楽な経営をやつておるというようなことに対して、低金利政策をとり、しかも金融機関監督の位置にあるところの大蔵省として、どういうふうな考えを持つておられるか。これは大蔵委員会で聞くべきことであるかもしれませんが、幸いに今日その機会を得たので、腹蔵なく御答弁をお願いいたしたいと思うのであります。
  66. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 お尋ねの点は金利政策全般の問題であると存じます。私どもは、日本金利国際金利に比較して非常に高い、従つて今後国際競争にたえて行きますために、条件が悪いということはよくわかつております。できるだけ金利は下げて参りたいということで努力をいたしております。ただ問題は、御承知のように日本の経済がいろいろな面で弱い、底が浅いとよくいわれますが、何といいましても、やはり資本が不足しておることが、日本経済の一番の弱点だと私は考えております。従いましてこの資本を蓄積といいますか、集めますことが、まだ日本の経済を強くするもとだと考えております。そういたしますと勢い集める方の金利、たとえば預金の金利にいたしましても、これはどうしてもある一定の高さを保つ必要がある。預金の金利は御承知のように今、日本では定期預金が六分という金利でありますが、アメリカでは定期預金が一分五厘、イギリスでも二分程度であろうと思いますが、そういつたような預金吸収のための金利自体が非常に高い。しかもこれは日本経済の持つております弱さに原因しておるのであります。この金利を下げるということは、資本を蓄積いたしますために非常に支障を来し、しかも金融機関は公共性を持つておりますけれども、やはり自分で採算のとれるやり方をして参らなければならぬ。その高い預金を元にして貸出しをいたしますために、勢い国際金利に比べて貸出し金利の水準が高くなるということは免れないことであります。しかしこれは程度の問題でありまして、今の状態が高過ぎるかどうかという問題につきましては、私どもは銀行その他の金融機関の経理の内容を見まして、堅実性を一方で維持しながら、できるだけ金利のさやを縮めて行く、そういうことに努力をいたして参りたいと考えております。戦後における金利政策の推移はいろいろな過程を経ましたが、インフレーシヨンで初めは非常に貸出し金利が高くなつた。その当時はまず貸出し金利を下げることに力を尽して来たのであります。その後逐次経済が正常化いたしますに従つて、資本の蓄積をしなければならぬという観点から、今度は貸出し金利をそのままにしておいて、預金の金利を引上げるという方向に転じて参りました。今年に入りましてから国際競争にたえるという点で、金利というものが企業に対して非常に大きな負担をなすことにかんがみまして、経理の許す限りにおきまして、今度は預金の金利を上げるかわりに貸出しの金利を下げるという方向に進んで参つておるのであります。もしさやがあつた場合に、そのさやを預金の金利引上げに使うべきか、あるいは貸出し金利の引上げに使うべきかは、そのときの経済情勢によつて判断しなければならぬと考えておりますが、現存では貸出し金利に余裕のある限り、貸出し金利引下げの方向に全力を尽す段階にあるというふうに考えております。ただ金融機関は御承知のように非常に大きな預金者をかかえておりまして、この預金者の利益を安全に保つということが何よりも大切な使命でありますので、内容の堅実性、つまり準備をできるだけゆたかに持つということに努めなければなりません。現在でもなお戦前の金融機関の内容から見ますと、まだまだ準備が足りないような状態でありまして、これらの準備を一方で厚くしながら、なおある程度の経理上の余裕があれば金利引下げに努める、こういうのが私どもの現在とつておりまする基本的な考え方であるわけであります。ただ今お話がありましたが、少し専門的になつて恐縮でありますが、低金利政策といいますと、今のような考え方の低金利政策以外に、もつと政策として積極的に低金利政策をとるかどうかという問題が別にある。これは日本銀行の割引政策、金利政策を通じて、あるいは国債金利をいろいろ政策的に操作いたしますことによつて、市中の金利を下げるあるいは上げるという、積極的な意味の低金利政策をとるかとらぬかという問題につきましては現在検討中であります。日本銀行の割引歩合を通じて積極的に低金利を促進する段階にあるかないかにつきましては、さらに幾多のいろいろな観点から検討しなければならぬところがあると考えております。それから今お話の七分五厘が、一体そういう一般の金利政策の中に占める地位から見てどうだというお話でありますが、この点は私は大体今の金利の水準からいいますと、政府機関金利が七分五厘というのは、一方的に見て大体妥当なところじやないかというふうに考えております。この点も低ければ低いほどいいという御意見もあるかと思いますけれども、金利の間のバランスから考えますと、大体七分五厘程度が適当じやないか。なお御承知かと思いますが、一般の市中のこれらの長期金利は、大体三銭一厘ぐらいであろうかと思います。だんだん下げて参つておりますけれども、現在三銭から三銭一厘ぐらいになつておるかと思います。
  67. 松原喜之次

    ○松原委員 今の銀行局長の前段の御議論は、私もその通りであると実は思つておるのであります。ただ問題はもつとつつ込んで、一体今低金利政策をやるかやらぬかきまつておらぬということでありますが、われわれが新聞等を通じて知るところによれば、低金利政策を看板としておられるのが最近の情勢であつたようにも思いますから、それで具体的に一体どんなところを目標にしておられるかということを聞きたかつたわけであります。  それから七分五厘は適当だというお話であります。なるほど現在の市中金利からいえばあるいはそうかもしれません。しかしながらその市中金利なるものが非常に不適当である。そうして日本の産業を非常に圧迫しておるというので出て来るのが低金利政策であると思いますから、従つてこの七分五厘については深甚なる考慮を払わなければならない事態ではないか。ことに造船金融等については特にそうではないか。またさらには全体としての一割二分の予想の市中金利というものも、低金利政策とにらみ合せてもつと考える余地があるのではないか、こういうふうなことをお伺いしたわけであります。  さらにまた銀行の準備金の問題がありまして、多少議論にわたるかもしれませんが、今や何か事が起ればすぐに国家の手でもつて保護してくれとかなんとかいうような問題が起る。ことに経済界の運命に重大な関係を持つこの金融業のごときは、何か事があれば必ず国家の手にすがるのです。また政府もこれは重大だというのですぐにそれに応ずるという傾向がある。こういう業種について何も、自由経済が相当行われておつたところの戦前ほどに準備も何もいらない、私はむしろそう考えておるのであります。金融機関の健全性ということについては、前の考え方と現在及び将来の考え方とは大分違つてもいいのじやないか、私どもはさように考えますから、金融機関経理内容が非常に健全でなければならぬということに籍口されて、金利引下げるという政策の支障になるような考え方をするのはおもしろくない、こういうふうな考え方を私はいたしておりますが、こういう点についてなおひとつお考えを承ればたいへんけつこうだと思います。
  68. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 御意見と見解があるいはわかれるかと思いますけれども、私どもはできるだけ政府なり国の財政による金融機関への援助あるいは救済ということはしないような事態に持つて行くべきだと考えます。従つて金融機関の内容はできるだけ堅実にしなければならぬ。一例をあげて言いますと、戦争前には普通の銀行で準備金、自己資本というものが大体一億数千万円あつた、現在のいろいろな指数から見ますると、大体三百億程度のものになる。現在では一番大きい銀行でわずかに六、七十億程度の自己資本である。そういつた点から見ましても、さらに経済界の変動に処して十分に耐え得るように、金融機関の内容を堅実にして行かなければならぬと思います。せつかくの御見解ではありますけれども、私は先生の御見解と違いまして、さらに金融機関の内容は堅実にして行かなければならぬというふうに考えております。
  69. 河本敏夫

    ○河本委員 私は次の問題に移る予定であつたのでありますが、先ほど銀行局長からあたかも七分五厘という金利が妥当であるかのような御意見が出ましたので、この点に関連して二つの点を御質問したいと思います。ただいま現在の内閣は低金利政策を積極的にとるかどうかということについて検討中である、こういうふうなお話がございましたが、その点は私は内閣の基本的な政策と銀行局長のただいまの御答弁とは、大きな食い違いがあろうと思うのであります。総理大臣の施政方針演説に見ましても、低金利政策を今後強力に推進して行くということを述べられておりますし、現内閣は機会あるごとに低金利政策を強調しておることは御承知通りであります。しかるにかかわらず、その当事者である銀行局長が目下研究中であるというふうな御答弁は、現在の内閣の基本方針と抵触しておる、だからあくまで低金利政策を強力に推進して行くというのが、その方針でなければならぬのであつて、研究中であるということは私はどうかと思うのであります。しからばどういうふうに推進して行くかという問題でありますが、われわれの聞いておるところによりますと、現在の銀行自体の企業の合理化によつて金利を下げ得る限度というものは、大よそ日歩二厘程度である、こういうふうに私は承知いたしております。日歩二厘というのは、大体年に直して〇・七%見当になるはずでございます。現在市中金融機関においては金利が一割以上に達しておりますが、その金利を企業合理化によつてかりに〇・七%見当下げ得ましても、それは大きな影響はない。低金利政策とは言えない。だからどうしても国家がこれに対して特殊な対策をこの際積極的に樹立する必要があろうと思うのであります。すでに内閣自体が低金利政策を強力に主張しておる以上、私は何らかの対策が樹立せられておらなければならぬというふうに確信するものでありますが、こういう点について重ねて御意見を承つておきたいことと、それからもう一つ、財政資金にとつては七分五厘が大体適当であろうというお話がありましたが、私はそれは高い、ということは、戦前の例を見ましても、大体日本金利というものは外国より幾らか高いということは事実であります。これは日本の経済というものが、外国と比べて遅れて発達したというところに大きな原因があつたろうと思います。しからばどの程度高かつたかといいますと、大体二割、三割高いというのが普通である。資金の需給関係で、金利が非常に高騰したような場合でも大体二倍見当というのが、私は戦前の実情ではなかつたかと思うのであります。そうして現在外国金利は、経済の相当発達しておる国では平均三%見当であると思います。そういうふうな点から考え合せまして、七分五厘というふうなことを一応の目標に置くということは、私はなおそれでもレベルが高いのではないか。どうしてもこの際五分なり六分に一応とめておかなければならぬのではないか。船舶の例で言いますると、先ほど銀行局長からちよつとお話がありましたが、戦前興業銀行融資して、その金利は大体五分二厘であつた。それに対して政府が一分五厘の補給をして三分七厘で低利資金が出されておつた。三分七厘になつてもある程度高かつた。高かつたけれども、当時なぜやつて行けたかというと、その当時の日本商船隊というものが数十億に上る内部蓄積を持つてつた。だから外国金利より幾らか高くてもやつて行けた。ところが現在蓄積というものがさつぱりない。しかも外国金利は三%であるというような状態を考えますと、七分五厘に目標を置くのが妥当であるというお考えは、少し誤つておりはしないか、この二点についてお伺いしておきたいと思います。
  70. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 金利政策について、先ほど松原さんの御質問にお答え申し上げたのでありますが、その際あるいは私の言葉がちよつと足りなかつたかと思いますが、低金利はできるだけ進めております。低金利政策という言葉を使つていいと思いますが、低金利はできるだけ進めております。現にこの十月から開発銀行の貸出し金利を下げまして、それから市中銀行の貸出し金利もできるだけ下げさして参りました。そういうことでできるだけ低金利に持つて行くことに努力をいたしておることはかわりございません。しかし先ほど、やや専門的になりますがとお断り申し上げたのは、日本銀行の割引政策によつて一般の市中金利引下げるという政策まで行くか行かぬか、こういう意味の低金利政策まで行くかどうかにつきましては今研究しておる。その他の低金利政策は進めておることは先ほどお答えした通りであります。  それから政府資金の貸出率としての七分五厘が高いか安いかという問題につきましては、これは御意見確かにごもつともだと思います。先ほども松原さんの御質問にお答え申し上げましたように、国際金利日本金利とは開いておる、これは間違いない事実であります。いいことではありませんが、現在開いておる。従つて国際金利に合せて、同じ金利のベースに置かなければならぬということを前提にするならば、それは国際金利よりも高いことは事実であります。しかしながら一般の日本の国内金利の水準とバランスをとつてみた場合におきましては、まず十分五厘程度が適当な水準ではないだろうかということを先ほど申し上げたのであります。外国金利は、御指摘もありました通り、今長期資金では四令から五分、五分ぐらいになつておると思います。もちろん短期は別でありますが、そのくらいになつておると思いまするが、それと比較いたしますと、七分五厘が高い二とはまさに事実であります。しかしこれは先ほども申し上げましたような事情によつて日本の経済全体の、何といいますか、弱い点がここに現われて来ておる。従つて私どもは、国内の金利とのバランスをできるだけとつて行くということが一点、それから海運とか貿易とかそういつた国際競争に直接にさらされる面につきましては、金利はできるだけ特別の措置をとつて国際競争にたえ得るように持つて行くことは、努力はいたします。いたしますが、今ただちにこれを五分にするとかいつたようなことはなかなかできない。そういう国際競争に密着しておりまする面につきましては、一般の金利におきましてもできるだけ優遇して行きたい。御承知のように一般の市中銀行の方でも、貿易手形にしても外国為替にしても非常に安い率で貸出しをいたしております。こういう努力は今後ともいたして行きたい、かように思つております。
  71. 田原春次

    ○田原委員 私はこの機会に銀行局長に一点だけお尋ねをしておきたいと思います。それは、本案は外航船舶に対する利子補給でありますが、何ゆえに内航船舶に対しても補給しないのかという問題も当然起るのであります。この問題はいずれあとでお伺いするとして、御承知のように開発銀行は、十月一日以後一割の利子を七分に下げておる。しかるに沿岸の鉄道その他にかわる重要な性質を持つておる内航船、わが船舶界における中小企業とも言うべきものに対しては、かえつて高率な貸出しをするということは矛盾しておるのではないか。外航船舶利子補給ならば、内航船舶に対しても開発銀行利子引下げをやるべきではないか、なぜこれを除外されておるか、その点をお伺いいたします。
  72. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 内航船に対する開発銀行利子引下げの問題でありますが、これはかねがね関係の業界の方方から強い要望も承つております。私どもはこの問題につきましては、開発銀行金利全体をできるだけ低くするということは好ましいことと考えております。先ほど来その問題でいろいろお答え申し上げておつたのでありますが、ただ内航船と外航船とを区別する理由は、外航船は国際競争に非常に密着をいたしており、国内の金利の水準とバランスをとつてつたのでは国際競争にたえ得ない。外国金利が非常に安いという点からたえ得ないという関係で、外航、特に国際競争に密着しておりますものにつきましては、特別に低い金利で出すのが適当であろうという観点に立つております。その他、内航船に限らず、開発銀行の一般の貸出し金利をできるだけ低くするようにという御要望は各方面からございますが、まだ国内の金融全体の問題を総合的に検討して、その是非については考えて参らなければならぬと思つておりますが、外航船につきましてだけ開発銀行金利を下げ、利子補給をいたしました理由は、今申しました国際競争に直接ぶつかつておるという点を重視いたしまして、そういう措置をとつたのであります。
  73. 田原春次

    ○田原委員 これは大体の方角はわからぬでもないのですが、内航船といつても、たとえば近隣各国、少くとも戦前の標準で行けば朝鮮、台湾ということは考えられぬことはないのであつて従つて内航船に限り利子補給をしないのみならず、低率にしないというりくつは、われわれにはのみ込めないのであつて利子補給問題は、国際競争の外航船であるということは了としても、どうしても内航船の融資に対する開発銀行金利だけは、同時に下げるのが適当じやないか、ぜひともそういうふうに進めてもらいたいと思いますが、来年度、少くとも近き将来、開発銀行に対してそういう指示をなすべきだと思いますが、伺いたいと思います。
  74. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 現在までのところでは、先ほどお答え申し上げましたような考えでおりますが、御要望も非常に強く承つておりますので、十分御趣旨をくみとりまして、研究をいたしたいと思います。
  75. 河本敏夫

    ○河本委員 今回の外航船舶建造融資利子補給法案がかりに成立いたしたといたしましても、大体市中金融に対して三分五厘ないし四分の金利引下げが行われるわけでありますが、これに関連いたしまして、わが国では外国に例のないような固定資産税というものが、船舶に対して行われておる。現在の税率からいうならばそれが千分の十六、一・六%に達しておる。この税率をこのまますえ置くというのであるならば今度の法律の趣旨と非常に相反する二つの法律が並んで存しておるということになりまして、私たちは非常に矛盾撞着を感ずるのでありますが、この際自治庁もお見えのようでありますから、まずこの問題に関連してお聞きしたいことは、現在船舶に対するところの固定資産税は、やはり税率通り千分の十六でやつておられるのか、あるいは何らか特殊な便法を講じておられるのか、お聞きしたいと思います。
  76. 松島五郎

    ○松島説明員 お答えを申し上げます。船舶は固定資産税のうちの一つといたしまして、一般の税率すなわち百分の一・六の標準税率の適用を受けているわけでございますが、ただ船舶につきましては、戦後における海運の振興の立場から、戦後新造船につきましては、実際課税をいたします場合に、評価額の半分程度に軽減をして取扱つておるわけでございます。従いまして実際は税率に換算いたしますと〇・〇八%になるわけでございます。それから戦標船につきましても、それが改造に要しました経費につきましては、これの約半額程度の軽減をして課税をすることにしておるわけであります。
  77. 河本敏夫

    ○河本委員 戦後の新造船と改造船に対しては、とりあえずその半額を徴収しておるというお話でありますが、そうすると千分の八ということになるわけですが、千分の八というと〇一〇八%でなくて、〇・八%だと思います。それで〇・八%で徴収せられまして、現在の税額は幾らくらいになつておりますか。
  78. 松島五郎

    ○松島説明員 今申し上げましたのは、市町村において半額程度税額において軽減をするようにという通達指導をやつておるわけでありまして、実際にそれが実施されておるようであります。従いまして本年度〇・八の税率を適用いたしますと、戦標船、戦後新造船、在来船等を全部含めまして、課税標準額で約七百億、税額にいたしまして、その千分の十六になりますから、約十億程度になると考えております。
  79. 河本敏夫

    ○河本委員 この際あわせてお伺いしておきたいのですが、戦前にはもちろんこういうふうな税はなかつた。戦前は船舶税という独立税があつたわけです。これは船舶に対する特殊性を考慮して、特に船舶税というものをつくつてつたわけですが、当時の船舶税と、それから現在の固定資産税による船舶の課税とで、どれくらいの差があるか、この点についてお伺いしたいと思います。
  80. 松島五郎

    ○松島説明員 ただいま資料を持つてつておりませんので、はつきりした数字を覚えておりませんが、大体戦後新造船が相当ふえておりまして、その分は課税標準の上で相当高くなりますので、従つてその分と従来の船舶税におきます税金負担額と比較いたしますと、必ずしも正確な比較にならぬと考えますが、たしかその当時におきまして船舶税は、附加税をあわせて三倍程度であつたと思いますので、大体三倍くらいになるかと思いますが、ここに正確な資料を持つて来ておりませんので、多少私の記憶に誤りがあるかもしれません。その点御了承いただきたいと思います。
  81. 河本敏夫

    ○河本委員 きよう午前中の海運局長の御説明では、船舶税と比べて固定資産税の方が約六倍に達しておるということでありましたので、私は大体海運局長の御説明が正しいのではないかと考えております。  それでは続いて問題の中心に入るわけでありますが、御承知のように今度の利子補給法案というのは、日本商船隊外国商船隊競争する場合に、非常に不利な立場に置かれておる。ところがこの海運というものは、貿易と並んで日本の経済再建の上での根幹である。どうしてもその特殊性から考えて、外国の商船と同じようなレベルに、その運航コストを持つて行かなければならぬというのが、基本の建前であります。それに対してその必要を認めまして、政府も今度の法律案をつくつたわけであろうと思いますが、私はこの法律案と現在の固定資産税、これとの間に大きな矛盾があると思う。この点についてどういうふうなお考えを持つておられるか。
  82. 松島五郎

    ○松島説明員 御承知通り固定資産税は市町村内に存在します、あるいは市町村と関係のあります財産に対しまして、課税をされるものであります。市町村の財源として認められているものであります。従いまして税として見ました場合は、いろいろ海運政策その他の問題から問題はあると思いますけれども、一方市町村の財政という建前から考えます場合には、やはりこれを全面的にどうするというような問題は、とうてい現在の市町村の財政の現状では不可能ではないかというふうに考えているのであります。ただそうだからといいましても、全然こういつた海運の振興というような問題に触れずに税を徴収するというようなことも、考えて行くべきではないというふうにも考えられましたので、昨年度来、ただいま申し上げましたような戦標船の改造、あるいは戦後新造船、その他一部の船舶について、それぞれ軽減の措置を講ずるというようなことによつて、適宜措置をして来たわけであります。
  83. 河本敏夫

    ○河本委員 ところがこの固定資産税は、地方からそれぞれの固定資産がいろいろ直接間接の利益を受けておる、だから税金をとるというのが、私は固定資産税の根本の建前であろうと思う。ところが船舶は御承知のように、その地方から利益を受けるというふうなことはほとんどない。まずないと言つてもさしつかえない。それだけではなしに、船舶は私が先ほどから申しておりますように、国内のいろいろな産業とは全然別個に考えて行かなければならぬ性質のものである。外国へ出て、外国の商船と競争しなければならぬ。だからその運航のコストが、外国の商船と同じレベルでなければやつて行けないというのは、当然の道理なのです。そこで私は今度の利子補給法案をつくつて、幾らかでもそのコストを下げようというところに根本のねらいがあると思う。一方固定資産税というものがこのまま存続しておつて船舶に臨時的な措置として〇・八%というふうに税率を減少せられておつても、一方では四%見当の補給をし、一方では〇・八%見当のものを徴収することになると、結局この法律案の根本の趣旨にももとると考えますので、地方自治庁はこの船舶の特殊性をよく勘案されて、戦前のように独立税である船舶税というふうなものに、船舶だけは変更して行かなければならぬ。もしそれが急速にできなければ、それまでの間は税率を半分に下げるとか、そういうふうな姑息な手段ではなしに、大体これが戦前の六倍見当になつておりまして、海運界の非常に大きながんになつておるわけであるから、少くとも現在の六分の一見当に、とりあえず臨時措置としてこれを低減する必要があろうかと思うのであります。そういうふうな御準備はありませんか。
  84. 松島五郎

    ○松島説明員 船舶税の問題につきましては、昨年度でありましたか、税制懇談会などの意見もありまして、一時船舶税というものも考えられたことがあつたのでございますが、これは諸種の事情、他の固定資産税等の関係を勘案いたしまして、一時中止になつたのでありますが、その趣旨は、評価基準を統一することによりまして、できるだけその線に近づくような評価を行い、課税するというようなことによつて、実際上ある程度解決し得るのではないかということを考えて、現在その方向に向つていろいろ努力をしておるわけであります。それからなお税率の問題につきましても、ただいま申し上げましたように、戦標船の改造並びに戦後新造船についてはそれぞれ措置をしておるわけでありますし、またその他の船舶につきましては、実際現在の評価基準に従つて評価をいたしますと、耐用年数その他の関係から、非常に負担しやすくなるように計算上出ておりますので、従いまして特別な措置を講じなくても何とかやれるのではないかということを考えているわけでございます。
  85. 河本敏夫

    ○河本委員 特別な措置をやらぬでも何とかやつて行けるだろうというふうなことではなしに、この法律案提出するのは政府全体がこういうことをせねばならぬという、その必要を認めてやつておるわけである。これは船舶建造費三割に該当するものに対して三%ないし四%見当の利息の低減をはかつておるわけでありますが、船舶全体にこれを考えてみますると、大体一・二、三パーセント見当の金利負担の軽減ということになると思う。一パーセントちよつと越えたばかりの金利負担をこれでやりながら、一方において〇・八%の固定資産税をとるということは、プラス・マイナス・ゼロということになる。多少の違いはあつても、私はそういうふうに言えるだろうと思うのであります。だから自治庁の言われるように、この問題が海運界に対して大した影響なしに、現状のまま何とかやつて行けるだろうというふうなお考えは、この法律案自体を認めないことである。つまりこの法律でやろうとしている海運界に対する負担の軽減をはかるということを、地方自治庁は逆にこの法律でそのままごつそり持つて行こうというわけでありまするから、現状のままやつて行けるというふうな考えは間違つておる。私はどうしても何らかの特別な措置が必要であろうと思いますが、重ねて御所見をお伺いしたいと思います。
  86. 松島五郎

    ○松島説明員 ただいまのお話にありました法律は、今後できる船について考慮されるもののようでございますが、私の方におきましてそれを固定資産税で取上げてしまうということを考えているわけでは毛頭ないのでございまして、すでにこの法律案ができる前におきまして、去年から〇・八%に軽減をするという特別な措置を講じて来たつもりでありまして、この法律で潤つたものをそのまま取上げてしまうという意思は決して持つていないことを御了承いただきたいと思います。
  87. 河本敏夫

    ○河本委員 どうも話が水かけ論になりそうなので、もう一回要点だけをかいつまんで申し上げますると、この法律で市中金融に対する利子補給を三%ないし四%やるというわけなのです。だから、船全体にこれを考えた場合に、建造費全体の金利の軽減というものは、約一・二パーセントにすぎないわけである。一方臨時的ではあるけれども、〇・八%という税金を固定資産税としてとるということになれば、この法律の趣旨というものはそれだけでほとんど失われておるというふうに考えてもいいわけなのです。だから、この法律船舶に対する負担の軽減をはかろうという趣旨は、現在の固定資産税がある限りそれは今後何にもならぬ、こういうことになるわけです。だから、運輸省自体がこの法律案を出すとともに、船舶に対する固定資産税の廃止、独立税創設という案をあわせ同時に提出しなければならぬ問題だと私は思うのでありますが、これ以上議論しても水かけ論になりそうなので、本庁へお帰りになりましたならば、大臣以下部長その他の方にお話なつて、そういうふうな議論があつたということをよくお伝え願いたいと思います。
  88. 逢澤寛

    逢澤委員長 次に永田良吉君。
  89. 永田良吉

    ○永田(良)委員 私は海運再建の見地から、ただいま日本各地にある海運局の配置状態についてひとつお尋ねしてみたいと思います。私は日本全国に幾つあるか、全部は知りませんけれども、特に私は九州の者でありますから、九州方面の海運局の配置について当局お尋ねしたいと思います。  現在門司に海運局があつて、これが九州全体、あるいは山口県も含んでおるかもしれません、管轄はどうなつておるか知りませんが、あそこでいろいろ指導をしておられる。そして全国の各海運局の人の数なんかも、表によつて拝見しますと、大体門司の九州の海運局などは二千何百人で、一番人数が多い。これはむろん門司は日本の関門で、ああいう大事な場所ですから、それくらい多いのは当然だと思います。またあそこにあるのが決して悪いとは言いません。当然あそこにあるべきものと思いますし、ますます強化されることは日本海運のために望ましいことと思います。但しあの北の方に一つあるために、九州の南方面の人がどのくらい不便を感じておるか、また皆さんが指導せらるる上や、いろいろ取締りの関係から、九州のみあそこに一つ置かぬでも、いま一つあれを増設されるか、あるいは配置について研究していただきたいと思うのであります。これらについてあまり詳しくお尋ねしても他に迷惑かと思いますから、さしずめこれはどういうお考えを持つておるか、まずひとつお示しを願いたいと思います。またそのあとでお尋ねいたします。
  90. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 九州の海運局に二千人あまりおるというのは、これは何かのお間違いではありませんか。おそらくこれは海上保安本部の関係だろうと思います。海運局の定員としては、たしか四百人か五百人程度ではなかつたかと思います。門司に海運局を置いておりますのは、非常に古い沿革がございまして、九州地方では門司が海運の中心である。大型船もそうでございますし、小型汽船、それから機帆船等もすべて門司付近が中心になつております。従つて行政効果を上げます上におきまして、門司に海運局を置くのが一番適当である、かような見地から置いておるのであります。その他のところにつきましては、たとえば先生のところの鹿児島には、鹿児島支局というものがありまして、そこにそれぞれ必要なる人員を配置して、官庁としてのサービスなりあるいは民間側の助成に努めておるわけでございます。ただ御承知通り官庁の人員あるいは官庁の予算というものが非常に制限されておりますので、十分民間側の要望に沿い得るだけの人的配置、あるいはそういう支局の設置ということもできかねる実情でございます。しかしその与えられた予算を最も有効に使うべく、現在の支局の設置あるいは人員の配置をしておる考えでございます。
  91. 永田良吉

    ○永田(良)委員 それは保安庁の関係もあつたかもしれませんが、いずれにしてもこういう海運であるとか、陸運であるとか、また空運にしても、あまり一地方にばかりこういう指導機関、監督機関政府が設置しておるということは、ある点においては、そういう能率を上げる意味からむろん必要であろうし、また実際から見て間違いもないと思いますけれども、私どもは戦後のいろいろな関係からみると、沖縄、大島、台湾等も失つて、また沖縄と大島は復帰論も起つておるけれども、いずれにしても南九州のごときは、海運界においてもいろいろな方面で非常な不便を感じておる。こういう地方はまだ将来やりようによつては、非常に南方に近いから、発展のためには指導上効果的だと思うのであります。私が地図を広げてみても、確かに海岸線の長い点から見ても、少し門司と比べて鹿児島方面の人はいろいろな点で不便を感ずる。むろん出張所とか支所がありますから、それでいいとも考えますけれども、できるものならば九州は将来海運界にとつては大事なところですからお考え願いたい。ほかにもたくさんあるじやありませんか。横須賀とか名古屋とか、私はよく知らぬけれども、神戸、広島、そういうふうに本州には六つも七つもある。ところが大事な九州には一つしかない。長崎も海岸線が長いのですから、西海岸と南海岸ともう一つくらいどうですか。そういう意味で私はこの希望を申したわけであります。
  92. 吉川大介

    ○吉川(大)委員 関連して……。先般も海運局のことについて私は質問を申し上げたのでありますが、たまたま今永田委員から出ましたから、さらに申し上げたいと思うのであります。現在の海運局の位置あるいは管轄区域ということに対しては、全面的に考慮すべきじやないかと考えるのであります。たとえば富山県が名古屋の管轄になつているということ、また秋田が塩釜の管轄になつているというようなことは、当時のいわゆる政治力によつて、あなた方の考えそれ自身が歪曲されたのじやないかと私は考えております。こういうことは全面的にひとつ、今ちようど話が出たのでありますが、行政効果を上げるという点からも、さらに研究さるべきじやないか、急速に御研究あつてしかるべしと思う。しかもすみやかにあなた方の意思も正しく発揮して、これを実現されんことを要望し、またお考えがありましたら承りたいと思います。
  93. 田原春次

    ○田原委員 関連して……。御承知のように今のような富山が名古屋とか、塩釜が秋田とかになつたのは、陸上行政に引きずられた海運行政の弱点から来ておる。それで農林省においては、われわれが長い開議論し結果、漁業に関しては海区というものが新たに考えられまして、たとえば瀬戸内海海区とか、必ずしも陸上行政に関連しないようにしておる。従つてそういう輿論が全国にあるならば、この際、最も近き将来において海運行政本位にわけて行つたらいいと思いますが、あわせてお考えを聞かせてもらいたい。
  94. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 ただいま御指摘の通り海運行政のみから見ますと不合理に考えられる点があるのでありますが、しかし海運行政も他の陸上行政、たとえば財務局の関連がどうであるとか、あるいは通産局の関連がどうであるとか、こういうものと相関連して考えなければならない点があります。従いまして海運のみの立場だけでこれをきめてしまうということもできないと思います。それから一度これをきめてしまいますと、いろいろのひつかかりと申しますか、なかなかりくつ通り、御指摘通りに処断できない点もございまして、今日まで来ておるのでございます。しかしそういう希望なりあるいは輿論が非常に強いというのでございますれば、私どもとしては十分検討して、さらにこれが合理的なる配置を考えたい、かように考えます。
  95. 永田良吉

    ○永田(良)委員 ただいまけつこうな御答弁を賜わりまして、まことに感謝にたえません。ぜひこういうところは御研究の上、ひとつ新しくつくるところはつくる、またかえるところは多少の改廃をしていただきたいと思うのであります。  次に私は、今の海運局と同じように、どうも私が一生涯考えても不合理な問題がありますので、これをこの際ひとつ皆様方にお尋ねしたいと思う。私は海運界において、今の外航船舶のいわゆる寄港地が、四国の東岸、九州の東岸方面において欠けておるということを非常に遺憾に思つておるのであります。東北の辺においては、釜石であるとか小樽とか函舘とか、相当の港湾もあり、また中部においても、阪神地方から門司に至るあの間はよく行つておるが、門司が最後であつて、もう九州は大分県も宮崎県も鹿児島県も、私の大隅半島なんか何もない。但しさきに電波の話もありましたが、私のところの佐多岬と宮崎県の南端の都井岬の燈台とこの二つは、話を聞いてみれば、南方とか太平洋から西日本に来る船は、みなあれを目標にするとかいうことを聞いております。しかるにあの辺に何も港湾の設備がない。こういう点から見て、重要港湾の指定については私は田舎者だから何も知らぬが、重要港湾等を指定してもらうことに関して、ああいう方面に海運当局としては何らかの方策とか考慮があるのか、これについてお尋ねしたいのです。これは遠く歴史を語るのはおかしいけれども、政治家というものは歴史を知らなければわからぬ。政治家は歴史からだんだん次のことを考えて行かなければならぬと思う。あの大隅のごときは、かつて明治九年にベルギー人のチクセンという人が来て、大隅半島に運河をつくるという計画もあつたのであります。ほとんど半年以上やつた。そうしてそれが十年戦争があつてやんでしまつた。なぜそういうことを起したかというと、ごらんの通り鹿児島湾は湾入がひどくて、大きな船舶でも何でも、佐多岬から入つて行くのには往復八時間かかる。これでは外国の船なんかがあそこに寄港するはずはない。ただ沖縄とか台湾、大島方面に行く小さい船は、あそこを基点として動きますけれども、外国航路の大きな船が、あそこにわざわざ入つて寄港して行くはずはない。そういうために南九州は工業も発達しない。これは皆さんのうちには、私が必ず大隅や鹿児島の選挙区のことを言うといつて多少御不平の人があるかもしれないけれども、政治は私は北海道のすみにあろうが、日本の南のすみであつても、お互に交通の上や産業の上において不備がある点を、こういう国会委員会の席上で陳情して、話を申し上げて、そうして吟味していただくところに国家の進展があると思う。決して私はただ自分の地方の利益のみをはかればいいという、そういう狭量で質問をしたり申し上げたりしておるのではありませんから、もしそうであつたらおしかりを受けたいと思う。私はやはり自分の地方のことは自分が最も研究して知つておるから申し上げて、そうして質問したいという意味から、申し上げておるわけですから、そういうわけであそこは運河計画もあつたのです。それが十年戦争でわやになつた。それから明治三十六年か、日露戦争のあのころにも、ここの計画をしたこともあります。それもとうとう沙汰やみになつた。こういう点から私は鹿児島港が南方の重要港湾としては役に立たぬということは、これは多少当局もお認めだろうと思う。しからば鹿児島港でなくて大隅半島の沿岸の東海岸では、始終あそこは外国の大きな船が沖の方を通るのですから、あの付近にちよつとした寄港地の必要があるのではないかと思う。こういう点について当局の御指導を仰ぎたいと思うのであります。この点について当局は何か考えておられますか、伺いたいと思います。
  96. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 港湾の建設は港湾局長の所管でございますので、私から責任ある御答弁はいたしかねまするが、私の考えまするに、港湾の建設というのは、要するにその港湾の背後地の経済実勢に従うべきではないだろうか、そこに外航船を入れるだけの大きい港をつくるだけの経済的力がないのに、港だけを先につくるわけに行かない。そういう力に応じたそうした港をつくるというのが、今までのやり方ではないかと思うのでございます。従つてそういう大きな港の建設、あるいはその港を、何といいますか開港の指定にするということも、やはりその港あるいはその地方にそれだけの経済的力をお持ち願うということが先決ではないかと思います。
  97. 逢澤寛

    逢澤委員長 永田先生にちよつと申し上げておきます。ただいまは外航船舶利子補給を議題として審議を進めておりまするから、なるたけこれに近い質疑をお願いしたいと思います。
  98. 永田良吉

    ○永田(良)委員 それではたいへんおしかりを受けたようでありますから、このことは質問いたしませんが、それならばさつきの話で、この地方にそれだけの物資がなければ港湾の設備は云々、これは私は開発されない地方にとりましては死刑の宣告であると思う。われわれは新しい植民地を占領された場合とか、いずれの地方であつても、港湾の開設があればその地方に産業も起るし、また物資も出て来るのです。それを一概にそんなきついことをおつしやつたならば、われわれの地方の南九州のごときは、とうてい開発ができるわけはないと思う。これはあまり苛酷な御意見だと私は思う。あなたは港湾局長でないからいいけれども、こういうことは多少慎んでいただきたい。これで私の質問は打切つておきます。
  99. 逢澤寛

    逢澤委員長 田原君。
  100. 田原春次

    ○田原委員 しからば私の方から二、三質問さしていただきたいと思います。  最初にお尋ねしたいことは、本案における外航船の定義、範囲いかん。これは御承知のように、鉄鉱石を輸送する鉄鉱船というものも計画にあるし、それから荷物といえば、南極の捕鯨船のとつた油等の内地輸送船もあるわけでありまして、つまり省別に言いますと、通商産業省関係及び農林関係のひとしく貨物を輸送する船がありますが、すべてを含むかどうかということを第一に質問いたします。
  101. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 この法律の表面では、漁船は別といたしまして……。
  102. 田原春次

    ○田原委員 漁獲物の輸送船は……。
  103. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 漁獲物の輸送船は、これはやはり漁船として取扱つておると思います。従いましてここではそういうものを除きました一般の商船を対象にしております。この法文の解釈から言いますと、専鉱船も当然入りますし、油槽船も入ります。専鉱船はただいま通産省云々とおつしやいましたが、船はすべて私どもの方の運輸省の主管でございます。しかし実際これをどういうふうな船だけに当てはめるかということになりますると、それは省令で、どういうものにこの法律を適用するかということを具体的にきめるわけでございます。一応私どもの今考えておりまするところは、けさほども御説明申し上げましたように四千五百トン以上、速力は十二ノツト以上の貨物船、こういうところが一応の線ではないか。但しこれはまだ各方面の意見を聞きまして、最後的決定をしなければいかん、かように考えております。
  104. 田原春次

    ○田原委員 この貨物船のスピード、速力ですね。これでどのくらいの、たとえば十九ノツトくらい出るようなものを計画の中に予定されておりますか。
  105. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 私どもといたしましては、今後の世界海運競争場裡に優位を占めまするがためには、できるだけ優秀船をつくる方がいい、かような考えを持つておるわけでございます。しかしこれは政府の方で命令するというわけに参りません。海運業者で、さらに優秀な船をつくりたいというものが出て参りますならば、当然そういうものを法律対象として助成すべきものである、かように考えております。
  106. 田原春次

    ○田原委員 この貨物船の中には、将来必要に応じて客船に内部がえをし得るものがあるかどうか、その場合貨物船として利子の補給があるが、客船については規定がないというのは、罰則その他のあれに触れて来るのか、これも大体方針を承りたい。
  107. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 ただいま申しましたように、この法律対象になりまする船舶は、そのときの運輸省建造政策で決定したい。従つて客船をこの対象にする必要があるという場合には、その省令にそれを付加いたしまして、この対象にいたしたい、することができる、かように考えております。
  108. 田原春次

    ○田原委員 本案の理由の一つには、貿易外収入の大宗である海運拡充云云ということがありますが、貿易外収入の他の一つの大きな実績は、海外移住者による母国送金でありまして、この点についてはたとえば昭和十五年には、当時の大蔵大臣の賀屋興宣氏の意を受けまして、北米、南米に、特に郷里送金のための国民使節が行つたこともある。その最大の成績は、一年間に二億円という貿易外郷里送金をしておりまして、当時の外航船の収入と相匹敵しておつたのであります。私が本日お尋ねしたいと思つておる点は、本案によりますと、五万総トンについて、将来七箇年にわたつてわずかに三億三千五百数十万円の利子補給にすぎない。しかるに昭和二十八年度の予算計画におきまして、昨日外務省、通商産業省、農林省、大蔵省の研究会の席上における発表によりますと、明年度南米のブラジル、アルゼンチンに総計八千人の移住者を送り出す契約が成立し、政府はこれに対しまして旅費その他の補給として十一億余円にわたる予算を計上しておるのであります。ところがこれを輸送する船を見ますとまつたく皆無でありまして、わずかに大阪商船のさんとす丸がこの二十八日に神戸を出帆するのでありまして、貨物船を急遽改造いたしましても五十八名しか乗ることができない。そこで五十八名の第一回移民を輸送して出発するにすぎないのであります。昨年、一昨年ブラジル、アルゼンチンに渡航しました者は、さような便宜さえなかつたために、オランダ船に便乗しておつたのであります。すなわち外貨を支払つて日本移民を海外に送つておるのであります。これは終戦後今日までにブラジル約二千人、アルゼンチン約千五百名の輸送賃をわれわれが外国の船に払つておる。そこでもし一面において外務省のこの計画の、明年度に八千人の移住者を輸送するとした場合、わずかにこの一隻のさんとす丸で、しかも直行いたしましても四十五日かかるのでありますから、一年に三往復できない、百六十人しか送れないのでありますから、自然昨年、一昨年同様オランダ船に便乗させるでありましよう。オランダ船は最高キヤパシテイーが二百名である。しかもオランダ船はブラジル、アルゼンチンに行くことを直接の目的にせず、ジヤワ各地を巡航した後に行きまずから、片道七十五日かかつておるのであります。船内の衛生上からいつても、また輸送量の増強からいつても、これは日本の移民政策に相反する。そこで少くとも場合によつたならば貨物船を一部改造する、あるいは片道ベツドを入れまして人間を送り、帰りには貨物を送るといつたような施設があるかということを私はさつき聞いたのでありますが、この点はつきりしない。そうしますとわずか五万トン貨物船の増強程度では、われわれはおそらく日本海運政策からいつても、これは単なる初年度の計画にすぎないと思うのでありますから、将来急速にふやす必要があるが、少くともこの内閣の続く限りにおきまして、明年度においてはたちまち困る。外務省の輸送計画には農林省も協力いたしまして、全国ですでにブラジルの中でもアマゾン行きが二百五十家族、それから中部ブラジル行きが二百家族の募集を締め切つておる。神戸においては移民訓練等も準備ができておるのでありますから、そうすると移民船の急速なる整備がない限り、国際競争貨物船をつくるということはわかるけれども、同時にその八千人を送るために要する船腹は外船を借りなければならないということになりまして、そのときに私は運輸省の造船政策に対する国民の非難なり誹謗が出て来ると思う。従つて先般この委員会て劈頭に政策の説明があつたときに、移民政策に対する移民船はどうかということを大臣に聞いたら、大臣は考慮しますと言つてつた。今日大臣はおりませんから、これはまた他の機会に譲るといたしましても、船舶に関する限りすべて運輸省がやるというならば、何ゆえに他の官庁とも相談をいたしまして、来年度ちぐはぐのないように、三等船客だけを輸送するに適する移民船をつくらせぬか。それができぬならば、先ほど言いましたように、往路を臨時代用のベツドでやり、帰路は貨物を積むというような、代用的な設備を奨励せぬか、これは十九ノツト以上出ますと三十八日ぐらいでブラジルに着くわけでありますから、年に完全に三往復半はできるわけです。かような点の矛盾がここに現われておるのでありますから、前の質問にもどりまして、国際貿易外収入としての移民計画に対する輸送政策が、はなはだおろそかになつておると思うのですが、この問題に対して一体どういう見解並びに将来の見通し等があるかという点に対し、答弁をいただきたいと思います。
  109. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 移民の輸送につきましては、私ども非常に深い関心を持つております。外務省とも非常に緊密なる連絡をとつておるのであります。とりあえず大阪商船が従来から南米航路をやつておりますので、大阪商船としては新造中のさんとす丸に、ただいまお話の五十数名の定員を持つような客室を設けたのでございます。同社においてはさらに来年度現在あります新造船を相当大きく改造して、五百人程度の移民を運ぶようなものにいたしたい、かような計画を持つておりまして、これに対しまして運輸省としてはこれが改造費補助もしくは財政資金融資、こういう方面について目下関係方面と折衝をしておるような次第でございます。なお運輸省といたしましてはこの法律に関連して、今度の国会に国庫負担行為として要求しておりますのは、貨物船五万トンでございますが、しかし来年度以降の計画として毎年三十万総トン程度つくつて行きたい。そのうち約三万総トンは移民船の建造に充てる、かような考えを持つております。しかしこの移民船の採算でございますが、ただいまお話がありましたように、行きは移民を積んで、帰りは一部その設備をとりはずして貨物を積む、これが移民船の構造であります。そういうふうな構造の船をつくつてやらせます場合に、普通の財政資金融資ではたしてどのような採算がとれるか、この点を目下精密に検討中であります。ただいまお話のありましたような移民の方の政策も、大体確定するような運びに至つておるようでございますので、早急にこの移民船建造政策というものを確立いたしたい、かように考えております。
  110. 田原春次

    ○田原委員 今政府委員答弁の中にありましたように、移民輸送船はあまり引合わないために、利子の補給程度ではなかなか建造に着手しない。しかしながら日本の運命といたしましては、人口、食糧問題の解決におきましても、どうしても解決をいたさなければならぬのでありますから、かような問題を考えますと、何ゆえに昭和十四年に制定されて施行されておつたが、十年の存続であるということで自然に効力を失しておるといわれ、休眠状態なつておる船舶建造融資補給及損失補償法というものをやめて、利子補給だけにとどめたかという点がわれわれにはわからない。但しこれは段階をつけるためには、まずこれをやつて次にということも言えるけれども、差迫つた国策から言うならば、どうしてこれを元の通りに復活しなかつたか、本案を出して旧法を廃止しようという理由が私にはわからないが、その点についても御説明を承りたい。
  111. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 旧法は午前中にも御説明申し上げましたように、十年の存続期間がつけてございまして、従つて昭和二十四年以降は実際上その法律が働けないという状態なつておつたのでございます。従いまして今度は事実上死んでおつた法律を、形の上でもこれを廃止するという措置をとつただけでございます。それでは今度どうして損失補償をつけなかつたかという点でありますが、実は政府部内でいろいろ協議をいたしましたが、私どもとしては今後外航船の建造を進めて行きます上において、利子補給のほかに損失補償という制度をくつつけることによつて、至急融資の円滑を期したい、こういう切なる要望を持つているのでございますが、一方において、必ずしも損失補償をつけなくても、外航船の拡充が何とかやつて行けるのではないか、こういう強い意見があつた従つてその点についての意見の一致を見ませんがために、とりあえずこの国会においては損失補償の点ははずして、意見の一致を見た利子補給法律だけを出した、こういう運びにしたわけでございます。午前中大臣答弁いたしましたごとく、損失補償の点につきましても今後なお政府部内で十分検討を遂げたい、かように考える次第であります。
  112. 田原春次

    ○田原委員 次に、本案による金融機関を、午前中の説明によりますと、銀行業法による銀行信託業法による信託業、保険業法による保険業の三者に限ると言われておりましたが、この銀行業の中には相互銀行法で設立された相互銀行が入るか。これはどういうふうになつておりますか、お伺いします。
  113. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 ただいままでの造船融資におきましては、相互銀行から融資を受けた例がないものでございますから、一応私どもの考えの中にはそういう相互銀行というものは入つていないのでございます。しかしなおこれに関する政令を出しまするまでに十分その点を検討いたしまして、必要のあるものならばこれを入れたい。私どもとしてはできるだけ造船資金を確保するために、その資金源を広くしておく必要があると考える次第であります。この点についてはなお十分検討いたします。
  114. 田原春次

    ○田原委員 資金源を広くするという意味において相互銀行が適するかどうか、われわれにもわからないけれども、一応相互銀行法ができたからお尋ねしたのであります。そうすると外国銀行日本にある支店等はどういうことになりますか。もし貸すと言つても、これは銀行業法によるものでないから借りることはできない。但し利子が七分五厘以下であつたらいいのであるかどうか。御承知のように急速巨額なる資金の供給となりますと、必ずしも国内銀行だけにたよれないこともあるのじやないかと思うが、その場合問題になりますから、方針はどうでしよう。
  115. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 外国銀行は一応その対象から除きたいと考えております。実際問題といたしまして、外国銀行から資金を借りまする場合に、多くは五分あるいは五分五厘程度でございます。七分五厘以下のものが多いのであります。従つて利子補給をふやす必要は出て来ないと思います。
  116. 田原春次

    ○田原委員 次に内航船の問題であります。先ほど銀行局長からの答弁は聞いたのでありますが、海運行政としての内航船を特に除外した理由、すなわち利子補給をせざる理由は一応わかりますが、しからばその代案といたしまして、開発銀行の内航船に関する利子を他の産業と一律に、年間一割だと思うのですけれども、七分五厘に下げさせるような努力をなぜされないのか。外船と内船とありましても、任務においては御承知のようにたとえば内航船舶でも外船の手伝いをする場合が非常にある。すなわち外国から引揚げる船、国内の主要港までは外航船で持つて来ますが、それから沿岸の船に移して郷里まで送り届けるというふうな船もないではないのであります。なお陸上輸送力の補強としてもやつているわけであります。従つて海運界における中小企業でありますこの内航船——商工組合中央金庫のごとき施設さえ陸上の場合にはあるのでありますから、これらに対して特に保護育成とは言わぬまでも、せめて低率の利子にさせて外航船との並行政策をなぜとらなかつたか。この点をお尋ねしておきます。
  117. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 私の聞いておりまするところでは、開発銀行で七分五厘という特別の金利を適用しておりまするのは外航船と電気、もう一つは社会政策的見地から貸付けをいたしている中小企業、この三者というふうに了解しております。外航船と電気は、国として最重点的にその拡充を進めるというふうな特別の政策として考えているのでありまして、内航船はそういう範疇からはずれるとともに、また中小企業という範疇にも入りかねるというので、この点について私どもも開発銀行に話を持つてつているのでございますが、そういうふうな開発銀行全般の方針に該当しないために、これにつきましては業界の要望に応じることができないというのが実情でございます。
  118. 田原春次

    ○田原委員 しからば開発銀行がいろいろな事情から、急速に小型船舶に対する融資金利が下げられぬならば、これらの小型船腹並びに外航船、すなわち全造船界に対する金融政策一般といたしまして、造船金庫のごときものを来年においてやるつもりがあるか。これをひとつ承りたい。
  119. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 海事金融金庫の構想は非常に古くからございまして、海運関係者では何とかこれが実現をしたいというので戦前から努力を払われており、戦後におきましても、船舶公団が解消いたしまするとともに、見返り資金融資という方法がとられました。それと並行して海事金融金庫をぜひとも設置する必要があるというので、相当活発なる動きがあつたのでございまするが、ちようどこの海事金融金庫の目的としておりまするところと同様の趣旨の開発銀行が設置せられましたので、その開発銀行の活動にまつのがこの際としては適当であるというふうな考えから、海事金融金庫に対する構想が一応引下げられているというのが現状でございます。私どもといたしましては、この開発銀行の機能を海運に十分に発揮活用して、その目的とするところを達したい、かように考えている次第であります。
  120. 田原春次

    ○田原委員 大臣の出席になる前に私、移民船のことを質問いたしました。大体の方角はわかつたのでありますが、この際大臣注文をつけておきたいと思います。昨日海外移住促進議員連盟というのが研究会を開きまして、大蔵省、農林省は農業移民について、通商産業省は工業技術移民、外務省は明年度の海外移民の件について、それぞれ意見を聞いたのであります。運輸省は遂にどなたも見えなかつた。今回のこの利子補給を見ましても、貨物船に今までは限定している。しかるに一面全国の造船業界におきましては、今年は幾らか仕事もあつたようでありまするが、非常に注文の山と川があるために、一定の計画が立たずに困つている面があるのでありまして、私は将来において移民船を考えなければ行き詰まる、非難さる時期が来るということを警告した。先般の説明会では大臣は了承したということでありますが、具体的にはこの点は明示にならなかつた。そこで先ほども申しておりますように、外務省では明年八千人の移民を送るというのでありますから、急速に代用船その他をやらぬ限りは、またまたオランダ船に外貨を払うことになりますので、これは応急方針と恒久方針をやはりあわせて考えておいてもらいたい、この点を特に注文をいたしまして、私の質問を終ります。
  121. 逢澤寛

    逢澤委員長 松原君。
  122. 松原喜之次

    ○松原委員 私の質問しようとしておつたことは、同僚委員からの質疑応答によつてほぼ尽きたようでございまするから、私は大体遠慮することにいたしますが、ただ一、二点小さな問題について疑問を持つておりますので、お答えを願いたいと思います。  それは今度の法案で、償還期限を一応五箇年半年賦均等償還にしたということ、前の補給及損失補償法では十五箇年年賦になつておりましたが、これが今度の法案では五箇年を原則としております。これは現在の業界の事情からいえば、それでけつこうやつて行けるからという意味でこういうふうにせられたのか、現在の海運業界の悲境等を知つておりますと、その間むしろ逆じやないかというふうな考えがいたすのでありまするが、この点についての事情を承りたいと思います。
  123. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 戦前におきましては船舶金融というのは、大体十五年程度の長期の金を借り得たわけです。ほとんどが興業銀行から貸出しでございましたが、興業銀行はそうした長期の資金を貸し出す資金を持つてつた。ところが今日におきましては、御承知通り興銀債は大体三年程度の期限であります。従つてこれの貸出しも現在では三年、来年あたりこれを五年程度にしたいという程度でありまして、その他の市中金融機関から借りまする場合にも、大体が三年程度でございます。五年というような金は今日のところは非常にまれであります。むしろこの法律で五年といたしましたのは、今後興業銀行あるいは長期信用銀行等が五年の金を貸してくれるだろう、こういう期待のもとに五年というふうにいたしたのであります。たといこれを十五年といたしましても、そういう長い金を貸してくれるところがないのが実情であります。せいぜい五年程度が実際の実情に合う最長期のものかと考えます。
  124. 松原喜之次

    ○松原委員 貸す側の事情はそうであることを了承しましたが、借りる側からいえば、もつと長期にすべく何とか措置しなければならないものではないかと、私はさように感ずるのであります。これについてぜひとも努力せられるのが望ましいと思いますが、それはそれといたしまして、次にこの要綱の第七のところに、「利益の配当の制限について勧告することができること。」こういうふうに説明してある、これに対応する条文があるのでありまするが、先般正木委員から、造船に対するいろいろの補助の問題については、わが党としてできる限りその多くして大きかるべきことを希望する、しかしながらその際においては単に利益配当の点だけのみならず、その他の点においても十分に監査せらるべきである、そのために、事情によつては民主的な監査機関を置く考えがあるかどうかというふうな質問をいたしたに対し、大臣からでありましたか、あるいは他の方でありましたか存じませんが、その用意があるというお答えであつたのでありまするが、その点について再確認をせられるかどうかを承つておきたいと思います。
  125. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 利益配当についての勧告だけではなしに、その他の経理のやり方について十分監督官庁として目を光らす必要がある、こういうことは痛感しておるのでございます。第八条におきましても、これがために必要なる書類の提出を求めることにいたしておる次第でございます。しかしこれについての監査機関を設けるということにつきましては、これがあまりに煩雑な監査をやるということになりますと、御承知通り海運業というのは非常に自由なる活動をとうとぶ、また自由なる活動をしなければ、その効果を上げ得ないものでございまするので、そういう煩雑なる監査機関ということは避けまして、官庁側で十分その経理内容を監督する程度にとどめたい、かように考えます。
  126. 松原喜之次

    ○松原委員 私の申し上げておるのは、この程度の補助制度をもつてして、そういう機関をつくるというような問題ではなくして、われわれの望んでおるのは、この海運行政の徹底的な完遂徹底ということを前提といたしまして、先ほど来關谷委員等からもいろいろ希望的質疑が行われましたが、われわれといたしましてはさらに徹底した補助政策をとるかわりに、その際には必ずそういう機関を設ける。逆に言えば、そういう機関を設け、かつ徹底的な政策を遂行してもらいたい。こういう考えでありまするから、そういう機会に必ずそういう機関をもあわせ考えて提案していただくように、こういう意味であります。
  127. 石井光次郎

    石井国務大臣 承つておきます。
  128. 逢澤寛

  129. 山崎岩男

    山崎(岩)委員 ちよつと本案からは遠ざかるきらいがありますけれども、事件の緊急性にかんがみまして、この際政府にお願い申し上げておきたいことがあるのであります。それはただいまの輸送難の問題でありますが、御承知通り炭労ストライキのために、国鉄の輸送関係というものは非常に削減されておるのであります。そのために受けておるところの地方の損害というものは、莫大なるものがあるのであります。そこでこの機会に内航船を利用しまして、鉄道関係において輸送することができない部面のものを、船舶を利用してすみやかにこれの解決をはかる方途を講ずべきである。こういう考えのもとに、私はこの間大臣にもお願い申し上げておつたのでありますが、この機会に海運局長さんにお尋ね申し上げておきたいと思うのでございます。御承知通りに北海道におけるところの収穫、東北六県におけるところの収穫というものは、ほとんど京浜の地方にこれが輸送されて来るのであります。しかも十二月とお正月をかかえておりまして、この機会に何としてもこれを解決しなければならぬ問題なのであります。北海道におけるところのただいまの滞貨の状態というものは、私は百万トンになんなんとするものがあると考えます。また東北六県においてもその通りです。また内地においても北海道向けの輸送はきわめて緊迫しているのでございます。たとえば内地におけるところのみかんのごとき柑橘類は、お正月を控えまして北海道にはなければならぬものなのです。そういうものを北海道に向けて輸送することができない状態です。また北海道方面におけるところの物資も、お正月を控えましてこの地方にどうしても売り込まなければならないものもあるのでございますけれども、御承知通りただいまの三割ないし四割の列車の削減のために、ほとんどこれはのどにつかえておるのであります。しかも生物が多い。みかんにしても腐つてしまう、りんごにしても腐つてしまう、鮮魚にしても腐つてしまうというような状態であります。青森県の状態ちよつと例に申し上げますと、ただいま駅頭において滞貨しているりんごは四十万箱で、千八百万箇のりんごを輸送する計画を立ててやつておりますが、今度の列車削減のために、ほとんどのどにつかえてしまつておる。しかも東北線も奥羽線もともに単線でございます。そのために単線運行でやつて、さなきだに輸送関係に円滑を欠いておるのに、ただいまの間引きのためにどうにもならない状態にある。こういう機会に船を利用しまして、木材であるとか、木炭であるとか、石炭であるとかいつたような、船を利用してさしつかえないような物資は、船を利用する方途を考えてもらわなければならない。この点に関しましては今年の三月、四月のころ、北海道の滞貨一掃のためには船舶利用をしなければならない、そのために船舶運賃と国鉄の運賃との間においてアンバランスがある、それを解消するためには政府補給金を出さなければならぬ、政府補給金によつてこのアンバランスを解決づける、それについて船舶を利用しようという方途を考えてくれて、ただいまの海運局長さんが真剣に取組んでくれたのであります。当時あるいは予備金からであつても一億五千万円くらいの金を出して、アンバランスを解消することにしようということになつて、運輸大臣大蔵大臣等においても非常に熱心に研究されておつたのであります。ところがそれが六、七、八月の気候のよい時期になりましたところが、北海道の滞貨も東北の滞貨もなくなつた。従いましてこの問題は自然解消的に解消になつてしまつた。ところが現段階においては、これは局長さんにどうしても骨を折つてもらつて、この問題を解決づけていただかなければならぬ。そうして船を利用することができさえすれば、列車の点においても相当生物を輸送することができると思います。この点について局長さんはどういうお考えを持つておられますか。またこれについてただいままでいろいろとごあつせんいただいているものと私は考えるのでありますが、その経過等について伺うことができればたいへん幸いだと存じます。
  130. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 北海道の滞貨処理につきましては、ただいまお話のありましたごとく、昨年の夏から秋にかけまして非常にこれが問題になつて、閣議でもこれが論議されましたが、一応ことしの夏場の状況を見て考えようじやないか、こういうことで経過して参りましたところ、ことしの状況は非常に良好で、滞貨はほとんどなくなつたというので私ども安心しておりましたところ、今回または今度のような事態に相なつたのでございます。私どもといたしましては、今回の事態は非常に突発的な事態でございますので、これにいかに対処するかということで思案しながら今日まで来たというのが実際でございます。船の実情から見ますと、今度の炭労ストで非常に多くの船が遊んでおりますが、その船の中には必ずしも石炭によらないで、油で走る船が相当量あるわけです。従いまして列車削減に伴う陸上貨物がこういう船に流れるということは、これらの船を十分に活用することになりますので、海運界としては非常に望ましいことであります。現に一部そういう貨物が海上に流れて来て、それを運んでいるようでございます。私どもとしましては、こういう炭労ストが長引き、列車削減がいよいよはなはだしくなるという事態に対しまして、何とか陸上貨物を海上に転移することをより一層強力に進めたいというので、運輸省内におきまして関係局、並びに現地におきましても関係局で打合せをさせまして、至急その措置を強化したい。そこでこれに対してすぐに国の補助策をとるかどうかという点につきましては、一番の難点は、御指摘の通り海上で運ぶ場合、全体としての輸送費が陸上に比べて非常に高い。従つて荷主としては多少の遅延があつても、陸の輸送を待つた方が得策ではないかというので、海に流すのを渋つておるわけです。従いましてこれを無理やりにでも海に流すという場合には、そこに国の補助ということが必要になつて来るのであります。しかし現在そういうふうにして国が補助をして、無理にでも海に流さなければならない貨物がどの程度であるか、どういう貨物がそれに該当するかということにつきましては、十分現地でその辺の検討をさせる必要がある。そうしてそういう貨物の種類並びに数量をつかんだ上で、それに対する国家の助成方策を考えなければならない。ところがこれをいたしますのには相当の時日がかかるわけでございまして、私どもとしてはできる限りの努力をいたしますが、はたして今日の間に合うかどうか。一面におきましてストに対する緊急調整という措置がとられんとしております状況でございますので、あるいは私どもの努力最中にそういう杞憂も相当解消するという事態になるのではないか、かような考えもいたすのでございますが、何はともあれ私どもとしてはできるだけの努力を今申し上げましたような線に沿つていたしたい、かように考えてせつかく力をいたしておる次第でございます。
  131. 山崎岩男

    山崎(岩)委員 この問題は炭労ストライキが解決つきましても、これは三、四箇月の間には解決する問題ではないのです。そこでこれはもう遅れたとはいいながら、この機会に何とかして処置を講じてやらなければならないと思います。御承知通り生物は船では腐つてしまつてだめです。りんごなんかは東京湾へ持つて来るのに機帆船で積んで来ると、船の熱のために腐つてしまう。みかんも魚もその通りです。ところが北海道の木材であるとか、あるいは石炭であるとか、あるいはまた木炭であるとかいうような、船で運んで一向さしつかえないものがある。そういうものを船で運んでいただけば、生物類はただいまの単線の東北線あるいは奥羽線を利用することができる。それが船で木材も何も運ばないでおいて、生物類と一緒にして貨車を利用するということになるならば、これはとても大問題であつて、解決のつく問題じやないと思います。ですから、ぜひこの機会に船を利用する方途を講じていただきたい。これは去年の閣議決定のところまで局長さんが運んでいただいたのですから、去年の状態に比べて本年がいかに悪い状態にあるかということを御勘案くださいまして、大臣におかれましても十分御活躍くだされて、この問題の解決のために当つていただくようにお願い申し上げる次第であります。
  132. 石井光次郎

    石井国務大臣 ただいまの問題は、私どもも初めこの石炭のために列車の制限をするときから気になつておりまして、いろいろ調べさせておつたのですが、今のお話にありますように、実際となりますとなかなかむずかしい問題があるようであります。しかしいずれにしても、せつかく片一方に品物があり、運ぶべき船があるというならば、その隘路は何かといえば運賃の問題である。こういう非常状態の場合に石炭が出て来て、汽車ですぐ運べるかどうかというような問題もあり、今のお話のように、なお今後数箇月間こんな状態等も想像し得るわけであります。これは引続き研究をいたして善処いたします。
  133. 逢澤寛

  134. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となつておりまする外航船舶建造融資利子補給法案に対しまして、希望を付して賛成をするものであります。  戦前は日本は六百万トンと記憶しておりますが、さようなたくさんの船舶を保有し、世界における第三位の海運国でございまして、しかも実質は英国に次ぐ外航船が就航いたしておつて、これが貧弱な日本経済に対しまして、非常な寄与をいたしておつたことは申すまでもございません。しかるに戦争の結果、ほとんどこれらの船舶を喪失いたしまして、哀れな状態に陥つたのでございまするが、今日の日本経済の復興のために、また国際収支の改善のために、しかも多量の原料を輸入し、これによつてつくつた製品を輸出しなければならない日本貿易の観点から、また多数の移民もこれから送らなければならない。かように外航船舶を多数必要とする現在におきまして、この海運政策の振興こそきわめて重大な喫緊の案件でございます。しかるに今回船舶建造融資補給及損失補償法を廃止しまして、単に融資利子補給程度による海運助長政策をもつてしては、とうてい国家の要求に応ずることはできないと思うのでございます。この海運政策につきましては、あるいは建造費の補助なり、あるいは造船材料の補給なり、あるいは航路の補助、あるいは融資利子補給等、いろいろ方策はあるわけでありますが、なおまた資本蓄積の少い日本におきまして、一私立造船船舶会社をして、たくさんの金がいる船舶建造ということが大きい負担でありますならば、国家でこれを建造して、民営でもつて運営さす、このような方式も考えられるのでありまして、政府におかれてはこの重大な海運政策につきまして、見通しのある計画のもとに、今後ぜひとも日本海運の振興をはかるべきことを要求するものであります。政府は至急この海運政策に関する根本的な政策を立案して、そしてこの要求に応じてもらいたい。かような希望を付しまして、とりあえず貧弱な、すずめの涙のような海運政策ではございますけれども、一応この利子補給法案に対しては、賛成をいたすものでございます。
  135. 石井光次郎

    石井国務大臣 今度の案は、日本の大きな造船海運国策という点から見ますと、まことにすずめの涙だという、お言葉の通りであります。私どもこのくらいのことではならぬと思つて、いろいろ案を考えております。またどうしてもつくらなければならない、そして民間で金がないというような状態なら、国でつくつて民間で運営させるというような線まで、考えなければならないではないかというようなお言葉でありましたが、私どもはどういうところまでやつて、われわれの考えておる造船の道が開けて行くか、十分努力をいたすつもりでございます。
  136. 逢澤寛

    逢澤委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。  これより討論に入りますが、通告者もありませんので、これを省略することに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 逢澤寛

    逢澤委員長 御異議なければさよう決します。  これより採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  138. 逢澤寛

    逢澤委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  なお報告書に関しましては、委員長に一任願いたいと存じますが、御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 逢澤寛

    逢澤委員長 御異議なしと認めます。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十七分散会