○
岡田(修)
政府委員 それでは
海運局
関係の所管事項につきまして御
説明いたします。
海運局では水上
輸送の改善
発達に関する助長の
行政と、同時に
海運局、
船舶局、船員局、港湾局、この四局にわたりまする事項についての調整の事務をや
つております。この調整の事務のために、特に
海運局の中に
海運調整部というのがございます。
海運局には
海運調整部のほかに現在四課ございまして、
一つは外航課で、
日本船の外航配船の
仕事を主としてや
つております。その次が
監督課、これは
海運会社の
監督並びに
資金のあつせんなどの
仕事をつかさど
つております。他は内航課、これは主として内地沿岸を動いておりまする小型汽船ならび機帆船を対象としての
仕事、そのほかに定期船課というのがございまして、これは内地沿岸の旅客定期航路を対象にした
行政をや
つておるのでございます。現在私どもの所管しておりまするおもな事項につきましては、お
手元に配付いたしておりまする
資料の中に掲げてございますので、これに従いまして簡単に御
説明申し上げたいと思います。
まず
資料は、赤紙の四と張
つてあるものでございます。第一に、外航船腹
拡充方策でございます。この題に入ります前に、簡単に現在までの船腹回復の
状況を申し述べますと、
終戦当時に
日本の保有船腹は約百八十万総トンといわれております。しかも実際動いておりました船腹は六十万ないし七十万総トンにすぎません。現在この船腹が約二百八十万総トンまで回復いたしております。このうち外航に出得る船、外航船腹と称しておりまするものが、
昭和二十四年末にはわずか十万総トンでございましたが、これが今日約百八十万総トンに相な
つております。
昭和二十四年度以降外航船腹の
拡充に
政府が本腰を入れまして以来、相当量の増加を示して参りまして、ただいま申し上げました数字のほかに、現在建造中のものがございまして、これが完成いたしますると、大体全体の船腹が約三百十万総トン余になるわけでございます。外航船腹も二百十万ないし十五万総トンになる予定でございます。しかしこれを
戦前の保有トン数に比べますると、開戦の年の暮れにおきます保有トン数が約六百万総トンで、従いまして現在まだその半分に達しておりません。それから
日本を
中心とする外航定期航路についてみましても、現在
戦前の四〇%でございます。これを少くとも
戦前の七〇%まで回復する必要があると
考えております。また将来の
日本経済の長期的見通しに立ちまする場合、どうしても
海運で外貸収入を少くとも二億四、五千万ドルは獲得する必要がある、こういう観点からいたしますると、今後数年間にこの外航船腹は、現在建造中のものを加えまして二百十五万トン余りのものに対しまして、なお百二十万トン余をつけ加える必要があるというふうに
考えておりまして、
運輸省といたしましては、二十八年度以降四箇年間に外航船腹百二十万総トン建造
計画を立てておる次第でございます。
この外航船腹
拡充方策の第一に
考えておりますのは、その前提として二十七年度に大体三十五万総トンの建造
計画を立てましたが、現在までに
貨物船は二十万トン、タンカーを十万トンの建造
計画を決定して実施しておるのでございますが、なお本年度の
計画として五万総トンの建造
計画が残されておるわけであります。この五万総トンの建造
計画を加えますると、先ほどの外航保有船腹が大体二百二十万トンでございますが、それに来年度以降の四箇年
計画として大体百二十万トンを加えますると、三百四十万総トンの外航船腹になるわけでございます。この本年度に残されておりまする五万トンにつきましては、目下これの所要の財政
資金につきまして、大蔵省それから開発銀行と折衝中でございます。従来この
船舶の建造につきましては、
貨物船について大体四割の財政
資金を融資する。油槽船については二割という
方針で参
つておるのでございまするが、今日
海運事情が非常に悪化いたしまする半面、すでに相当量の舶舶の建造によ
つて市中銀行から
海運会社に出ておりまする金が、非常に巨額に達しておる。従
つて今後市中銀行からの融資が多く期待し得ないというふうな
状況に直面いたしましたので、これからつくりまする
船舶につきましては、少くとも財政
資金を
貨物船については七割融資したい、かように
考えておるのでございます。そういたしますとこの五万総トンに対しまして、本年度約二十八億の財政
資金を必要とするのでございます。目下これについて交渉中でございますが、同時にこの財政
資金の融資比率を引上げますとともに、市中銀行からの融資分に対しまして、今後は利子補給をするという
方針を樹立いたしたのでございます。とりあえずこの五万総トン分に対する利子補給を、今度の補正
予算に計上されているのでございます。その利子補給の率は、市中銀行から貸し出される利率を財政
資金の七分五厘と同一ならしめるところまで補給する、こういう建前でございまして、大体市中銀行から出されます融資の金利が一割一分三厘程度というふうに踏んでおるのであります。従いまして七分五厘との差額三分八厘余を
政府が補給しているという建前のもとに、今度の補正
予算にこの五万総トン分に対して五箇年間に支給される分として三億二千万円余り国庫負担分として承認を求められている次第でございます。この五万総トンにつきましては、現在造船所の手持ち工事はほぼその能力一ぱいに持
つておりまして、造船所としては今が一番いい時期を迎えているのでございますが、来年一月以降になりますと、相当量の船腹が進水もしくは竣工いたしまして、造船所に相当のアイドルが出る。従いましてこの一月以降三月までの間にぜひともこの五万総トンを着工して、造船所のアイドルをなくすようにいたしたいと
考えている次第でございます。
それから来年度以降の
拡充計画でございますが、ただいま冒頭に申しましたように、
日本海運としては国際収支の改善並びに定期航路の
整備計画等から見まして、今後四箇年間に少くとも三十万トンずつ船をつく
つて行く必要があると
考えておるのであります。その内訳といたしましては、毎年三十万トンずつつくるわけでありますが、油槽船を七万トン、
貨物船を二十三万トン、合せて三十万トン、こういう
計画でございます。二十三万トンのうち少くとも三万トンは貨客船をつくる。これは御承知の通り南米方面に移民の
計画がぼつぼつ実施されおりますので、移民を運ぶ船を持つ必要があり、さらに北太平洋航路におきましては、在米方面の国民の帰還とか、その他相当
交通量がふえておりますから、いわゆる中級の旅行客を対象にした貨客船をつくる必要があると
考えているのでございます。二十八年度もその構想をも
つて進めておるのでございまするが、それに対する
計画を進めまする上におきましてまず第一に必要な財政
資金の額、同時に市中銀行からの融資の額という問題があるわけでございます。
貨物船につきましてはただいま申しましたように七割、貨寄船の場合は少くとも八割、油槽船の場合は今日なお市況が相当程度維持しておりますので、船価の二割というところに押えたいと存じているのでございます。そういたしました場合に、来年度の所要の財政
資金は二百六十三億、これに対しまして本年度の
計画の残りが来年度に相当響くわけでございます。これに対する財政
資金がさらにこれにつけ加わるわけでございまして、私どもといたしましては来年度の造船に要する財政
資金を二百九十億というふうに
考えておるわけでございます。どうしても二百九十億の造船に対する財政投資を
拡充したい、かように
考えておる次第でございます。今日まだこれに対する財源がどの程度に確保し得るか見通しが立
つておりません。来年度一般
予算並びに財政投資に対する財源調達のために、
政府が特別の方策を講ずるというふうな政策にかか
つておりますので、今日まだそれの見通しがついておりません。
それから市中
資金でございますが、これには来年度の新規のために百二十億と書いてありますが、このほかに前年度からのずれがございまして、同様市中
資金も二百三十億余りが必要になる、かように
考えておるのであります。ところが先ほど申しましたように、今日
海運会社が市中銀行から受けております負債が、本年の三月末で約三百九十億ございます。これが来年の三月末には六百五十億くらいになるのじやないか、かように
考えております。それから財政
資金で
海運会社に融資されておるものが来年の三月末には、これまた六百五十億程度になるのではないかというように
考えておりまして合せて千三百億の負債に相なるわけであります。そこへ持
つて来て今日の市況で
海運会社の市中金融機関に対する返済が予定通り行かないというような
状況もございますので、この市中融資を確保いたしますためにも、相当の方策を講じなければならないわけであります。その方法としてまず
考えられますのは、お
手元に配りました
資料に書いておりますように、
船舶の建造に対する市中金融機関からの融資に対しまして、今度の追加五万トンに実施しましたと同様の利子補給
制度を来年度以降の建造においても実施するということと同時に、その融資に対してもし市中金融機関が損失をこうむつた場合には、
政府がそのしりを見てやる、いわゆる損失補償
制度を確立するということが必要になるわけであります。この
船舶建造に対する利子補給、損失補償
制度は、
戦前にも実施してお
つたのでございます。
昭和十四年に同様の
法律をつく
つて実施してお
つたのでございますが、
終戦になりましてそれが打ちやめにな
つております。それから諸外国の
船舶建造に対する助成方策を見ましても、この損失補償
制度というのは相当多くの国で実施しておる方策であります。
船舶融資の特殊性から見て各国とも採用しておることは事実でございますので、ぜひともこの
制度の確立をする必要がある。特にわが国の現在の造船金融の
状況からいたしまして、こういう
政府のてこ入れを必要とするというふうに
考えておるのであります。
なお特に
海運会社の市中借入れを容易ならしめる方策といたしまして、すでに
海運会社が市中から借り入れております借入金を一部開発銀行に肩がわりをするということがございます。これについては今まで随時実施しておるのでございますが、本年この肩がわりに対する大蔵省並びに開銀の
方針のやや転換がございましたがために、一応ストップの形にな
つております。しかし市中金融機関に対する
海運会社の負担軽減、また市中金融機関に対する借入れを今後さらに進める上におきまして、どうしても財政
資金への肩がわりを推進する必要があるわけであります。
それから現在
海運界で非常に問題にな
つておりますのは、
日本海運の海外
競争力の強化の問題であります。
日本の
海運は御承知のように戦争でほとんどすべての船を失
つてしまつた。現在相当船腹
拡充をいたしましたが、このいずれもが新造もしくは多額の金をかけて改造した船であります。従
つて元の船の価格において諸外国と比べものにならない高いものであります。さらに新造船価だけを比べましても、
日本の新造船は、鋼材その他の材料が高い
関係で、英国あたりに比べて二割程度高価である。従
つてこういう新造船をも
つて外国
海運と
競争いたしますがためには、この船が経済的に外国船と
競争し得るだけの
基礎を与えてやらなければならぬ。その船価高につきましては後ほど
船舶局長から
説明があると思いますが、鋼材に対する補給金を交付して、その船価の低減をはかるという方法が
考えられておるわけでございます。
なおこの対外
競争力の上におきまして一番大きなウイークポイントでありますのは、金利が高いということでございます。英国あたりでは二分五厘の金利、あるいは大きな他よりの借入金よりも、自己の蓄積資本で船をつく
つておる。従
つてその新造船に対する金利も二分五厘以下であるというのが通例でございます。
日本は、財政
資金の七分五厘と市中金利の一割一分余を平均いたしましても、一割近くの高利の金利でございます。この金利が高いということが
日本海運の対外
競争力における一番の大きなウイークポイントでございますので、この金利をできるだけ下げる必要がある。従
つて財政
資金は現在は七分五厘でございますが、これを少くとも五分くらいに下げる、さらに市中金利を財政
資金と同じようにするために利子補給
制度を確立してもらいたい、こういう
要望が強いわけでございます。その一部が今度の補正
予算で実現したわけでございますけれども、
海運会社の経営の強化という
意味におきまして、この利子補給
制度を今後の建造船のみならず、過去の新造船に対してもさかのぼ
つて実施するという問題が残されておるのでございます。
それからもう
一つは、現在市中から借り入れておりますのがいずれも三年の短期の借入れでございます。造船融資は
戦前におきまして十五年ないし二十年の長期融資が通常の例でございますし、また造船融資の性質からいたしましてもそうあるべきものでありますが、これが三年の短期のものであります。開発銀行への肩がわりも、そういう短期のものを長期の金に切りかえる。単に目前の償還が苦しいという
意味のみならず、短期の融資を長期のものに切りかえるというふうな
意味においてその
必要性を認めておるわけでございまして、この開銀の肩がわりということが経営強化の
一つの問題にな
つておるわけでございます。
それから現在船体保険につきまして、三億円以上のものは国が再保いたしております。これが一応大蔵省との話合いでは本年をも
つて打切りになる予定でございます。そういたしました場合には、この船体保険にロンドンあるいはニューヨークの保険会社に売りに出さなければならぬ。そういたしますと、
日本の船腹は戦争中につくりました標準船のような素質の悪い船をかかえておりますので、もう
一つは
日本海運の現状がよく外国に知られておりませんために、少くとも保険料の三割以上の引上げを来す、といたしますと、
日本海運会社の負担は十三億ないし二十億程度の負担増を来すわけでございます。これは市況が非常に悪化いたしております今日、
海運会社として耐えられない負担でございますので、この
国家再保をさらに今後数年間継続する必要がある、さように
考えておるのでございます。現在国は再保をいたしておりまするが、目下のところ損はごうむ
つておりません。ある程度の剰余金を持
つておるわけであります。今後そう多額の損害が出ることが予測されませんし、国としては損失をこうむることはほとんど
考えられないのではないか。従いましてこの
国家再保については、ぜひとも今後継続する必要があるというので、目下折衝中であります。それから
海運に対してもう
一つ外壁との比較において不利と思われます点は、
船舶に対する税の問題であります。現在
船舶に対しまして固定資産税が適用にな
つております。千分の十六でございますから、たとえば現在
貨物船の一番安いものにいたしましても、新造いたしますると十億かかりますが、千六百万円というものは、その船がかせいでもかせがなくてもかかるわけであります。こういう
船舶に対する高額の税金というものは、外国にはまつたく例がありません。高額というよりは、こういう固定資産税のようなものが実施されていないわけであります。しかるに
日本はそういう高額の税を課しておるというのが、
海運に対する大きな弊害にな
つておるわけであります。これを今後少くとも
戦前にありましたような非常に税率の低いものにして、しかも船の本質に合つたような税に改める必要を感じておるわけであります。なお
海運に対する
事業税が、現在収入を課税標準としておりますが、これは一般運送業が、電気とかあるいはガスとかこういう簡単に消費者にその税を転嫁し得るものと同一に見られておる建前から来ておるのでありますが、
私鉄はいざしらず、
海運はまつたく自由
競争の企業でありますので、本質的にガス、電気の
独占的
事業とは違うわけであります。従
つて他の一般産業に課せられると同じ収益課税方式に改める必要があるので、目下自治庁ととれについて交渉中でございます。
それから
海運につきまして、
海運自体の経営の合理化をはか
つて、経費の節約を大いに推進すべきである。それがためには店費、船員費、港費、こういう費用についての節減をはかるべきでありますが、特に
日本の船員は、給料は外国船員よりは低いのでありますが、乗組定員が外国船に比較しまして相当多い。この乗組定員について再検討を加える必要があるわけであります。さらに後段に出て参りますが、現在ある数港では強制水先
制度をしいておりますが、この強制水先
制度が
海運経営にある程度の拘束を与えておる。この強制水先
制度についての再検討をする必要があるという問題があるわけであります。
次に内航船過剰対策でございますが、現在国内沿岸だけしか動けない船腹が相当多数ございまして、その
中心をなすものはいわゆるE型と称する戦争中につくりました重量トン千五百トンの船であります。国内の荷動きとそれらの船腹量を対比いたします場合に、どうしても二十万総トン余りの船腹が過剰になるわけでございます。今後数年間の経済趨勢を見ましても、その過剰
状態が解消し得るという見通しはないわけであります。しかもそれらの船は相当質も悪く、他に使い道もないという
状況でございまして、この内航船を何とか処理して参りたいということが、小型汽船船主の痛切なる叫びでございます。これにつきましては
昭和二十五年でありましたか、当時
船舶運営会で経営をいたしておりました船を全部船主に還元をいたしました。当時
昭和二十六年でありますが、朝鮮事変の前で、内外ともに非常に市況が悪かつた。約百万重量トンの船が繋船されてお
つたのであります。これに対しまして、
政府としては約六十万重量トンの船腹を買い上げる方策を立てまして、実施に移したのでございますが、たまたま朝鮮事変が起りまして、それらの小型汽船が朝鮮事変のために使用されるという事態が起り、従
つてその買上げ方策を幾分緩和をいたしまして、そして六十万重量トンの
計画で、実際実施いたしましたのは二十万重量トン程度にすぎなかつたわけであります。
計画通り実施いたしておりますと、今日こういう事態は起らなか
つたのでございますが、不幸にして朝鮮事変のためにその
計画が緩和された。それが今日のがんにな
つておるわけでございます。内航船が過剰であることは、同時に外航船腹の活動にも制約を来すわけでございます。御承知と思いますが、外航船腹は外航に就航して帰
つて来ると、次の外航をかせぎますまでに一週間ないし二週間の余裕があることが多いのでございます。そういう間内航を一航海あるいは二航海かせいで、車さらに外航に出るのが
海運経営の妙味でございますが、この内航船腹が過剰でございますと、そういう外航船腹の運営の妙味が発揮できない。従
つて日本海運全体として非常に大きなマイナスになるというふうな見地もございまして、この内航船腹の過剰に対しましても、このまま放置できない
状況に立ち至
つておるのでございます。とい
つていかなる方策を講じるか、非常に困難な問題でもございますので、まだ具体的な方策の樹立に至
つていないのでございますが、至急何らかの代案を
考えたいと
考えております。
それから離島航路
整備につきましては、現在離島航路に就航しております船が、多くは非常に老齢の船である、あるいはその安全性をほとんど欠くに至らんとしておるようなものであるのが多いのであります。離島民の生活安定あるいは民生向上というふうな見地からいたしまして、この船の改善の必要があるというので、前
国会で離島航路
整備法が通過成立したのでございますが、今度の補正
予算で、この
法律に基きまして離島航路に就航する船の新造二隻、改造一隻に対する
予算案が成立したのでございますが、それはそれらの船を新造もしくは改造した場合に、市中から借り入れた額の四分に相当するものを利子補給しよう、こういう建前でございます。その利子補給の額がただいま申しました隻数に対して成立したわけでございます。来年度の
予算におきましても相当数のものを改造もしくは新造せしめる、かように
考えております。同時にこの
法律の成立に関連して附帯決議が出されまして、これらの
船舶に対しては、開発銀行からも融資をはかるということにな
つておるのでございます。その後の開発銀行との交渉において、その点も現在のところやや順調に進んでおるということを、御報告申し上げる次第でございます。
次に、水先料並びに強制水先
制度について今問題が起
つております。水先料につきましては、現在の水先料金が非常に安い、これを上げてもらいたいという
要望が、水先人の方から強く出ております。それから船主側から、現在佐世保、関門、阪神、横浜、これが強制水先
制度である、この強制水先
制度は不当であるから、これを廃止してもらいたいという
要望があります。あるいはこの水先というものに対する概念をお持ちにならない方もあるかと存じますので、簡単に申し上げますと、船が出たり入つたりします場合に、水先パイロットをその船に乗せるわけでございます。多くの港は自由でございまするが、今申しました四港については、必ずこれを乗せなければならないという
制度にな
つておるのでございます。これは
終戦後できた
制度でございます。そこで今両方の主張がございまするので、私どもとしては、水先料の引上げをある穫度やりますとともに、この強制水先
制度につきましても、これを廃止するか、緩和するかということについての根本的な検討をしておるのでございますが、廃止しないにしましても、強制水先
制度につきましては、相当これを緩和するという方向に進みたいと
考えておるのでございます。水先料の引上げについては、現在も相当低いものでありますので、これはある程度引上げる必要があるかと
考えております。
次に、木船に対する
国家再保険
制度であります。これは戦争前に、機帆船に対する
国家再保険
制度が実施されてお
つたのでございますが、
終戦後に司令部からの圧力によりまして、この再保険
制度が廃止にな
つたのであります。ところが一方において、この木船と同様の
性格である漁船に対しまして、
国家再保険
制度が現在行われておるのでございます。また木船
事業の実態からいたしましても、木船
事業は多くが非常に零細な
事業である。そのほとんど全部と言
つていいかと思いますが、保険に入
つております。従
つて、
事故に遭遇して船が失われまする場合に、一家路頭に迷うという事例なきにしもあらずと
考えるのでございます。さもなくば非常に高利の金を借りて船を新造するという
状況でございます。木船
事業の保護育成という見地から、この保険
制度を普及する。それには国が再保の援助を与えるという必要があるかと
考えまして、目下大蔵省と交渉中でございます。次の
国会には、ぜひともこれが視案の運びに持
つて行きたい、かように
考えておる次第でございます。