○守島
委員 収容所の
状況は、ある意味においては満足すべきものと思います。またある意味においてはなかなか満足できない、不満足な点がございます。満足な点は、収容所におります
日本の役人の態度が、収容された
人たちに対して圧迫的、命令的というような態度でなくて、よく
話合いをつけて、納得させて収容所に収容されている人人を取扱う、それには向うの
説明もございましたが、私自身もそれを相当認めました。不満足な点は主として金の問題です。財政の裏づけがないから、設備が十分でない、そういうものもございます。金の問題でございますから、出入国管理庁だけではなかなかできないと思いますけれ
ども、これから申し上げます点を御考慮くださいまして御
答弁を求めると同時に、将来改善をはか
つていただきたいと思います。
第一にここで申し上げますことは、
場所が相当狭い。それから既設設備を
使つております。旧海軍の
建物で焼けないものを
使つておるのだそうでございますが、狭過ぎます。そこで向うから密入国をしてつかま
つた人、まだ
調査の十分に届いていないような者、それからまたそれと並行いたしまして、
日本で刑事
事件に触れて刑務所に入
つておる人、その人を将来朝鮮に送り返す、それを向うが受付けない、あるいはまたその手続が済まないで置いてある、いろいろな人が入
つております。それを端的に申しますと、多少の区別がつけてございますが、ごちやごちやに入れてある、これは相当危険なことであると思います。そういうふうな
犯罪的傾向のない人はなるべく歓待して、そして自由にやらせる必要があると同時に、いつ逃げ出すかもわからない、またことによ
つたらば暴行でもやりかねぬような人が相当ございます。ときには暴力行為に出るそうでございますが、そういう
人たちによ
つて例の朝鮮に起りました巨済島
事件、あれほど大きくないにしても、あれに類似したことが将来起らないとも限らない、その点をよほど考慮しなければならぬと思います。たとえば、今相当大きな
建物を
簡單に区切
つて収容してある。またその区切り方もきわめて
簡單であ
つてほかの部分に自由に入れるようなことに
なつておりますので、私
どもの一応の考えといたしましては、もう少したくさん
建物をつくり、そうして普通の人は広いところに自由に置いておいて運動にも出られるようにする。そうでない人は別のところに住まわして一般の人に思想的
影響を及ぼさぬように、やはり刑務所から出て来た人ですから、刑務所に入れるような別な措置をとることが非常に必要だと思いますので、その点についてあとで
政府の御見解を承りたいと思います。
次に、これは全部の収容者に適用されることでございますが、冬季における暖房の設備が
一つもない。火ばちを與えることは非常に危険なことである。火事を起す危険がありますから。しかし何とか暖房の設備をしなければならぬ。これは予算の
関係上今できぬそうでありますが、ぜひや
つてやらねばならぬ。私は九州の者でございますが、いくら九州でも、冬暖房とまでは行かないにしても、何か火の気がなくては生活することが非常に困難である。今申しました
通り火ばちを渡すことが危険であるとするならば、金はかかるにしても何か暖房のことを考えてやらなければならぬ。これをあとで御
答弁願いたいと思います。
もう
一つは病院のことでございますが、収容所には
ちよつとした医療設備がございます。專門の医者が一人と看護婦が五人、歯科医が一人、これは非常勤でございます。収容されている人の病気は一応見ることができますが、ほんとうの病気にかか
つた場合、これを収容する
場所がございません。現在では
市内の市立病院なり、あるいは個人持ちの病院に頼んで入れているそうでございますが、これは相当めんどうくさい。ことに逃亡の危険、あるいは
犯罪でも犯すような人は一々監視の者をつけておかなければならぬ。人員が少い際これはなかなかできぬ。同時に十分なことができぬ。それからほかに與える
影響も相当考えなければならぬ。私
どもの考えといたしましても、今収容されている者が千人くらいに
なつておりますか、どうしてもやはりあそこに專属の病院をつく
つてやることが絶対的に必要であろうと思います。これも御
答弁をお願いいたします。
それからやはり病院のことに
関係するのでございますが、向うで聞かされてなるほ
どもつともと思いましたのは、朝鮮で伝染病が流行した場合に、密入国者あるいは水難、そういうことで収容された人には当然検疫を施す。これを実行しなければならぬが、それをや
つておられますか、や
つておられませんか。私はや
つておらぬということを聞きます。やるとすればそういう設備もしなければならぬ、そういうことでございます。
それからもう
一つは、収容されている人は財政的に非常に困
つている。
経済的な活動をしないものですから新しい収入がない。ことに困
つているのは、刑務所に入
つてお
つた人が引継がれて収容所に入
つている。これは出るときに、刑務所に入
つたときの着のみ着のままを渡されて――夏刑務所に入
つた人は夏の着物を与えられ、冬に
なつても冬の着物がない。ところが供給することもできない。また夏密航して来た人は冬になると着物がない。あるいは三箇月なり六箇月収容されているとぼろぼろに
なつて、裸にならなければならぬような
状態である。ここのところをよほど考えなければならぬ。こういう人に対してある
程度服装を整えさせることは、
日本の
政府として当然考えなければならぬことであろうと思います。
それから小づかいが少しもない。そこで私
どもは何か商売をさせたり、仕事をさせたり、アルバイトさせたりしたらいいじやないかというような話をいたしましたら、たとえば小刀で細工をするようなことをやらせると危険である。わら細工あるいはかんじんより細工というようなことも考えられないこともないが、設備もないし、
費用もないし、知恵もなくてそこまで行
つておらぬということでございますが、そういう点も
政府が考えてやらなければならないと思います。三箇月も六箇月も仕事もなしにきわめてシンプルな生活をしていると、思想も当然狂暴になる。そういう点どうお考えに
なつているか、御
答弁を承りたいと思います。
それから今の収容所の
範囲をもう少し広くする必要がある。
簡單な運動場がありまして、バスケツト・ボールをしたり何かしたりすることに
なつておりますが、あまり狭過ぎる。そしてひどい言葉でいいますと木もはえない。まるで砂漠みたいな運動場であります。あれに多少の気持を使いまして、居心地がいいようにしてやることがやはり
政府のやるべきことであると思います。その点をどういうふうにお考えに
なつておるか御
答弁を願いたい。
最後に佐世保で見て参りましたことを申しますれば、佐世保におきましても
駐留軍、アメリカの海軍に対していろいろ不平がございますが、全体の問題としては、佐世保は非常によく行
つていると思います。佐世保の
人たちの一般の考えを私の感じとして申しますれば、戦争中は
日本の海軍基地であ
つた。ところが
日本海軍がなく
なつて将来どうなるだろうというところに朝鮮
事件が起
つて、アメリカの海軍が入り込んで来る。そうして
経済状態もたいへん潤う。そういう点はむしろ感謝をする。そうしてアメリカの海軍はいつかよそに行くのじやないか、本国に帰
つてしまうのじやないだろうかということを非常に心配しておるような
状況であります。私は必要がなくなれば引揚げる、これはやむを得ぬことであるという話をいたしましたが、ただ事実を申し上げますと、そういう心配をしておりますと同時に、さつきから各地のいろいろな問題が申されましたが、私の言葉で言わせますと、結局アメリカ軍が中身のないたんすをたくさん持
つている。将来たんすがいるかもしれぬからたくさん
接収していて、実際に着物を入れようという人になかなか渡さぬという
状況でございます。一例を申しますと立神の岸壁及び倉庫、これは実際に必要のないものですが、しかも
駐留軍がそのまま押えていて使わせない、こういう例が相当ございます。それから石炭の貯蔵場、これが相当
面積があいているにもかかわらず、
日本側にはごく一部しか
使用を許さぬ、こういう問題がございます。さらに佐世保の船舶工業株式会社のドツク、これも大部分は
駐留軍に
接収されて、実際必要がないにもかかわらず、あいたままにしておる。ああいうものを使わしてくれるとたいへん助かる。そこで
現地でもずいぶん交渉しておるらしいのですが、なかなかうまく行かぬということでございます。佐世保の一般の言を聞きますと、結局佐世保は、大した貿易もできぬだろうけれ
ども、将来やはり貿易で行かなければならぬし、もう
一つはドツク工業で行かなければならぬ。そうするとアメリカが引揚げてしまうまでの途中に貿易あるいは船の注文を培養しておかぬと、一ぺんに引揚げられると、あくる日からだめに
なつて困るから、今から少しずつそういうことを考慮して使えるようにや
つてくれというのは、向うとしては穏当な考えと思います。その点は別に御
答弁はいりませんけれ
ども、
報告いたしまして困難なことだろうと思いますけれ
ども、
外務省で十分お世話をなさるように希望いたします。最後に申しますが、一般の
市民の方とアメリカ軍との
関係は、暴行
事件ということもなきにしもあらずだけれ
ども、私の観測では佐世保は相当円満に行
つておるという
印象を得て参りました。
大村の入国管理庁の収容所について述べました私の
意見並びに希望について
政府の御
答弁を、
簡單でよろしゆうございますが、得れば幸いでございます。