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衆議院法制局参事(
三浦義男君) お
手元に、
常会の
召集に関する
規定の
改正試案というのを差上げてございますが、これは実は非常にむずかしい問題でございますので、表わし方につきましていろいろ苦心をいたしております。
参議院の
法制局の方と、
衆議院の
法制局の方と連絡して、たびたび打合せをしておるのでありますが、まだ必ずしも満足する案というまでに至
つていないわけでございます。しかしながら一応ここで御論議のありましたような点をまとめてみれば、こういうことになるかという意味におきまして、案を差上げたのでございます。
第
一案の「第二条
常会は、毎年十二月上旬にこれを
召集する。但し、その
会期中に
議員の
任期が満期に達する場合においては、十二月上旬より前に、時宜によ
つてはそれより後にこれを
召集することができる。」こういうようにいたしまして、
召集の時期を、十二月上旬を
原則にいたしまして、その前と後になるようにしたわけでございます。後にいたします場合におきましては、憲法上、毎年一回
国会を
召集するということがございますから、結局十二月の末までには
召集しなければならぬことになると思います。これは、時期につきましては明示いたしませんで、適当に前後においてきめる、こういうことにしておるわけであります。
第二案は「第二条
常会は、毎年十二月上旬にこれを
召集する。但し、その
会期中に
議員の
任期が満限に達する場合においては、十二月上旬以外の時期においてこれを
召集することができる。この場合において、その
召集は、
会期終了の日が
議員の
任期満了の日前六十一日以内になるようにしなければならない。」として、十二月上旬に
召集することを
前提といたしました書き方をしております。
但書の方におきましては「十二月上旬以外の時期」と書いてございますが、その後段におきまして「この場合において、その
召集は」云々という点とあわせて読みますると、十二月上旬より前に
召集するということを
前提として
規定しておることとなるわけでございます。
それから、これによりますると、御承知の
通り公職選挙法の第三十一条において、「
衆議院議員の
任期満了に因る総
選挙は
議員の
任期が終る日の前三十日以内に行う」とあります。つまり
任期満了前三十日以内というのは、
在職中に行うことが
原則とな
つておるわけであります。ところが同条の第二項におきまして、「
前項の
規定により総
選挙を行うべき
期間が
国会開会中又は
国会閉会の日から三十日以内にかかる場合においては、その総
選挙は、
国会閉会の日から三十一日以後三十五日以内に行う。」こういう
規定があります。これは第一項において
任期満了前三十日以内に行うという建前を
とつた場合におきまして、
国会が
開会中であるとか、あるいは
閉会の日から数えて三十日以内にそれがひつかかる場合におきましては、
国会が
閉会にな
つて、その後に行う、こういう
規定であります。これと第二条の
規定とは関連を持たして考えてあるわけでありまして、第二案によりますと、二つの場合が予想されることになるわけであります。
任期満了の日前六十一日に
会期が終了するように
召集いたしました場合におきましては、先ほど申し上げました
公職選挙法第三十一条第一項の
任期満了前三十日以内に行うというその
規定から、三十日を除いて考えますると、あと三十一日あるわけであります。
ちようど任期満了の日前三十日以内が、
会期終了の日から三十日と数えますと、
ちようど六十一日でありますから、そこでダブりません。従いまして、この場合におきましては、
公職選挙法第三十一条第一項の
規定により、
議員の
任期満了前に
選挙を行うことができることとなるわけであります。それは第二条の
改正試案を大幅に読みました場合であります。
もう一つ、そうでない場合におきましては、
会期が終了いたしましてからすなわち
閉会の日から三十一日以後三十五日以内に行う、こういうことになるわけであります。この場合におきましては、
召集の仕方により
任期満了前に
選挙が行われる場合もあれば、
任期満了後に
選挙が行われる場合もあります。いずれの場合においても、
公職選挙法第三十一条第二項によりまして、
国会閉会の日から三十一日以後三十五日以内ということになります。
従つてこの第二案によりますと、
選挙が行われるのは、
在職中の場合もあり、
任期が済んでから後の場合もあり、
召集の日のきめ方によ
つて、両方の場合があるということになります。
それから第三案は、これは
参議院の方から
説明をしていただくといいと思
つておりますが、これについては私どもの方ではまだ多少の疑問を持
つております。第三案は「第二条
常会は、毎年十二月上旬にこれを
召集する。但し、その
会期終了の日が
議員の
任期満了の日以後又は
議員の
任期満了の日の前三十四日以内になる場合においては、十二月上旬以外の時期にこれを
召集することができる。この場合において、十三月上旬より前にこれを
召集するときは、その
召集は、
会期終了の日が
議員の
任期満了の日の前三十五日から六十一日までの間になるようにしなければならない。」というのでありまして、この案によりますと、常に
任期満了前の適当な時期に
選挙が行われる、こういう結果になると考えております。
いろいろ案があると思いますが、こういう三案が一応考えられると思います。