○
菊川孝夫君 もう一遍だけ……。私も議論したくはないけれども、それはそういうつもりで今の
一松委員の御
意見を御無理御尤もとして聞いて、
基準監督局長はひつ込んでもら
つては困るのでありまして、やはりそうな
つて来ると、政治の問題にまで発展して来るのだろうと思います。そういうことにな
つて来ると、国の政治、立派な政府があ
つて物資も相当統制してお
つた時代においても待合や
料理屋は檜作りで赤坂、新橋
あたりに建つ、
一般のまじめに働いておる人は未だに防空壕に住んでおるというような状態では、本当に政治あり、政府があるのかと言わざるを得ない。そういうところまで発展して来るのでは
ちよつと理論の飛躍ではないかと思うのです。要は使われておる人と自由業者との間には自分の意思によ
つてやるということと、強制されること、これは使われた以上はどうしても強制されるのだ、
従つていわゆる
賃金或いは雇用
関係等において強制されて、鞭で打たれて働くということにな
つてはいかん。そういうことでは
人間の上に
人間を作るということにな
つて、民主主義
社会において許すべからざることが自然のうちに公然と生まれて来るから、それは
取締らなければならん、こういうことが原理だと思う。そこに大きな食い違いがあ
つて、例えば学生が入学試験或いは学期試験のときにおいて徹夜で勉強するのもいかん、勉強時間は八時間ときめて、その時間以上は勉強しもやいかん、運動しなければいかんということを言い出したり、或いは政治家が演説をやるのも八時間
労働でやる、それ以上演説をや
つたら
労働時間超過だというようなことを言い出したのでは議論の飛躍にな
つてしまいまして、議論の余地はないと思いますので、ただ
自由意思によ
つてやることと、それから人から強制されて、いわゆるそういう無理な
労働を強いられておるというところに大きな違いがあるだろうと思います。自由にやることは自分の健康その他を
考えてやるようにすればいいし、それで
生活できないという場合には
生活保護法等の
手続き、或いは
社会保障等でやはり政治の裏付けで行くべきである、それが政治じやないかと思うのであります。そういう点を履き違えないように、大政党の幹部たちがそういうような
常識論をお吐きにな
つた場合に、一応御尤もの点があるだろうと思うけれども、私はやはりそういうのに余りに拘束されんように、勿論貴重な御
意見として十分聞かなければならんことは事実でありまして、欠陥のある点は直さなければならんでしよう。併しながらそれに余りにとらわれ過ぎまして、この
基準法を完全に
実施されておるかどうかということを今後
監督して行く立場にあられる
基準監督局において手を加えられて、それに押されるというようなことにな
つたら私は重大な問題だと思うのであります。なぜそういうことをくどく申上げるかというと、今度の改正の際に、例の十六歳の坑内
労働というやつがあるわけです。これは成るほど技術養成ということだけで本当の……私はこの間出張のみぎりに特にこれが問題にな
つておりましたので、
労働委員の有志がさそい合
つてそうして或る炭鉱を視察して参りました。そういう相当歴史も古い、それから大
企業の炭鉱におきましては、実際問題として本当に鶴ばしを振う坑夫を養成するためにやるのじやなくて、そこへ
行つてこの地質は手を付けてもいいかどうか、危険状態でないかどうか、或いはガスの虞れがあるかどうかというようなことを検査するのになかなか熟練が要る。
従つて若いときからそこへ入れて
訓練さしておいて、こういう
連中はそんな長いことそこで働かせる、筋肉
労働をやるために養成するのじやなしに、技術者として養成するためにやりたいのだ、決してあなた
がたの心配するようなことはございませんし、いつ検査されても、仮にこの改正案が通
つても完全に改正案の趣旨に副
つた運用をやります。いつでもおいで下さいと
言つておる。こういう所を僕らは心配するのではなしに、そうではなしに、お隣りに又小さい山があ
つて、婦人を使つちやいかんという所でも公然と婦人がもつこを担いで腰をかがめてしま
つてえびのようにな
つて坑内に入
つて、毎日々々どんどんや
つておる。こういう所は見て見ぬ振りをしておるが、一方優秀な山に入るとそうであります。これなら我々も大体納得できなくもないようなところもあるのであります。
従つてここに大きな違いがあるのではないかと思うのであります。今回の改正案に
ちよつと
質問が離れたようでありますけれども、決して離れておるのじやないのでありまして、そういう点を十分こういうところの運用をしつかり
考えよというのだ
つたら
一松さんの御
意見もわかるのでありますが、
一松さんはそうではなしに、小さい所はそれでも満足してや
つておるから見て見ぬ振りしてというような円満なる状態ということにな
つたら大問題だ、こういうことを申上げておるのでありますから、この点はき違えのないように、
監督局長においてもこれは又十六歳の問題のときに論じることがあると思いますから、この場合は一応これで以てこの前の
保留にな
つてお
つた点についての
関連質問を打切りまして、次のかたに譲ります。