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国務大臣(
吉武惠市君) これはそう一々の例をとつて申上げるのもどうかと思いますが、御指摘のように電車がとまる、とまることは公共に
支障を来たすということは当然であります。それで直ぐこの緊急調整を発動するということであるならば、これはもう私鉄は
争議してはならんということと同じでありまして、そういうことは
考えておりません。多かれ少かれ国民に障害を及ぼすことはこれは
争議の性質上あり得る。でありますから、
公益事業については、あの
クーリング・タイムその他の制限はございますけれ
ども、それまでも否定しておるわけではない。ここに規定しておりますのは、放置すれば国民生活に重大な損害を来たすという、例を挙げれば、まあ終戰直後に行われた二・一ゼネスト、これは実際に行えなか
つたから、どれだけの国民に損害を與えたかはわかりません。わかりませんけれ
ども、あの当時の御計画を御覧になれば、全国の鉄道は全部とまつてしまう、或いは電気は消えてしまう、役所も全部
仕事がとまつてしまう、こういう
状態が若し行われるとするならば、これは私は国民生活に重大な損害を及ぼすものである。これも憲法二十
八條の保障したところの基本権であるから、
政府はどうにもなりませんということでは私は済まんのじやないかと思う。それから昨年の石炭の
争議でございますが、石炭の
争議が仮に行われたとする、その石炭の
争議は全国的な規模で行われれば相当影響がございます。影響がございますが、併し普通の場合、石炭の
争議が全国に行われたといたしましても、それが直ちに国民の生活に重大な損害を及ぼすかというとそうではない。それでには石炭の
争議はいいかというと、昨年の秋、非常に電気の危機のとき、水がなくて、一週間のうちに工場も二日も三日もとまる。或いは家庭でも電気を何時間もとめなければならんというときに、もう雨は一滴でも欲しい、火力でやるにも石炭が足りないというときに、若し全国的な規模において石炭
争議が数日も行われて行くということになりますると、これは私は国民に非常な不安を起させる、重大な損害を及ぼすということでありまして、私はそのとき自体の
状態で判断すべきものだと思う。そういう事態が全然ないかと言われると、まだ私は心配の点はあるという気がいたします。