○菊川孝夫君 私は、今回
政府が提案されました
労働関係調整法等の一部を
改正する
法律案以下の
労働諸立法と重大な
関連がございますので、
総理大臣に特に第一に
独立後の
労働政策に関する
基本方針をお伺いいたしたいと思うのであります。と申しますのは、
占領期間中は何と申しましても、
労働問題が非常に深刻且つ重大なる
段階に
なつた場合には、常に
占領軍の介入によ
つて解決と申しますか処置せられたということが、これは事実でありますが、併しながら、
独立の結果一応そういうことがなくなりました以上は、
日本人みずからの手によ
つて解決しなければならんことは申すまでもございません。そこでその
解決をいたすに当りまして、敗戦の結果何と申しましても
日本がもうほかの資源が殆んどなく
なつたんでありまするから、一番大事なものは人間の働く力、それから持
つておる技術、これが一番
日本にと
つて貴重な財源だと申しますか、資源だと言
つても過言ではないと思うのであります。従いまして、この資源を十分活用して行くのは、何と言
つても政治家にと
つて一番大事な問題だと思うのでありますが、だからと言
つて戦前のように力で抑えつけてこれをこき使おうとした
つてなかなか困難あり、且つそれは危険なことでありますからして、どうしても
協力させる、喜んで
協力させるという政治のあり方でなければならんと思います。この点については
総理も御異存がないと思うのでありますが、さてその
協力をさせる方向をどうして
協力させるかということは、一番大事な問題だと思うのでありますが、この点について、
総理はどういうふうにして
協力させようか、どういうふうに
協力させんとするか、
政府の
政策について
協力させんとするかと
考えておられるか。特に今回出されました
労働法の
改正は、むしろ私をして言わしむれば、
占領中には
労働問題が深刻な
段階に
なつたときに二・一
ゼネスト当時に発せられたマッカーサー元帥の命令を常に援用して、そうして
占領軍の指令が出されたのでありますが、ところがそれがなくな
つたのでこれに代るようなものをこしらえようとして、今回
緊急調整という
労働大臣の権限によ
つて処置しよう、こういう意図の下に即ち強力な権力を発動して抑えつけよう、こういう意図の下に今回の
改正がなされた。勿論そういうふうな危惧の念を
労働階級に与えたということはいなめない重実だと思うのであります。従いましていたずらにこの際猜疑心を起こさして摩擦を起こさせるようなこういう
法案を出されましたことは時宜を先ず第一番に得ていない。それから十分に説明してそうして皆が納得しないような、或いはどうしても現行法によ
つて解決できないという
事態が、今我々想像して近くはそういうものは起りつこない。又現行法によ
つても
解決できると思うにかかわらず、この際こういう
改正案を出されたということは、むしろ刺激をしてしま
つて協力をさせるというよりもむしろ離反をさせるという結果になりはしないか。このことを最も恐れるのでありますが、この点について
総理に
一つ明確な御
答弁を願いたいと思います。
第二点といたしまして、人口問題、失業問題、これは何とい
つても一番大事な、
日本民族にと
つて一番大事な問題だと思います。
従つてこの人口問題、失業問題を
解決しない限りにおきましては、
思想問題も
解決できない。これが横たわ
つております以上いくら
総理大臣が
国会におきまして共産党の議席を睨んでそうして強硬な
答弁をされても、むしろ共産党にと
つていわゆる基盤というものはだんだん拡大されて来るのだ、むしろそういう基盤ができて来るのではないか。私はそう
考えられるのでありますが、これが
解決に当
つてどういうふうに
解決して行こうと
考えておられるか、この点を第二点としてお伺いしたいのであります。
第三点といたしまして、
協力を求めるには信頼感ある政治でなければならぬと思うのでありますが、最近の官吏の汚職、高級公務員の汚職
事件が連日これはもう
労働争議の新聞記事よりも多いのであります。而もあとを絶たない。なお又
国会には往々にして違憲
法案が出て参りまして、それも批判の対象にな
つている。なお又選挙を前に控えまして選挙見通しから盛んに
地方におきましてこの選挙の問題と
関連いたしましていろいろ金がばらまかれている、こういううわさも事実飛んでいるのであります。そういたしますと、その金の出どころはどこから出ているかということになりますと、非常に
労働者にと
つてはやはり
疑惑の念を持つであろうと思うのでありますが、これらのものが
国民が納得するように
解決されなければならぬと思うのでありますが、これについて
総理はこれらの粛正又は
解決をどういうふうにされようとするか、この点についてお伺いしたいと思います。
第四点に
労働運動の国際性、これはどうしても
労働運動はもう国際性を持
つているということはいなめない事実だと思います。
従つて国際自由労連から過般
総理大臣あてに寄せられました書簡、これに対して今度国際自由労連があの書簡には一向手紙を出したけれ
どもその返事も来なかつた、今度はILOの大会で
政府の
代表と十分論議を
一つしようじやないかという申入をして来ているのでありますが、
日本の
労働組合からもアメリカの大統領にこういういろいろの
日本の実情を説明する書簡を出しましたところ、アメリカの大統領名ではなかつたけれ
ども国務次官補の名を似て丁重なる回答が寄せられているのでありますが、それにもかかわらず、国際自由労連に
総理が直接お出しになることができなければ、
労働大臣名或いは外務次官名等を以て回答を出されるのは礼儀であろうと思うのでありますが、国際自由労連との
関係をどういうふうに調整して行くというふうにお
考えにな
つているか。
それからもう
一つ。今朝の新聞を見ますと、今後の
日本の
労働組合並びに
民主主義勢力が
弾圧を受けるような民主的な活動を制限されるというような傾向にあることに対しては、我々は重大な関心を持
つているということを英国
労働党の執行
委員会が
決定して、これは世界の新聞にそれぞれ報道をされております。国際自由労連からのこの手紙、英国
労働党の発表も狙
つているところは、私は今回の
労働法の
改正並びに破壞活動防止
法案がむしろ刺激するようなことであ
つて外国までも私は刺激しているのではないか。かように
考えるのでありますが、これらに対して十分やはり説明をし理解を求めるような措置は必要だと思うのでありますが、この点について
総理の御
答弁をお願いしたいと思います。