○堀木鎌三君 午前中からいろいろ各方面に
亘つて各
委員から触れられましたので、それらに
関連いたしまして成るべく重複を避けたいと思うのですが、重要な点については幾分重複いたすのも止むを得ないと、こう思うのですが、何と申しますか、
独立後の
労働政策というものの重点がどこにあるのかということで
考えてみますと、どうも
政府の御説明は、経済自立という問題を非常に大きく掲げられておる。経済自立を急ぐ
余りに、もう一本の柱の
労働者の基本的権利というものに対する尊重というものとの調和性をどこに求めるかという点については、私は幾分欠けるところがあるのじやなかろうか。経済自立の問題は、まあ今の内閣としても又国としてもこれは大切なことであることは私うなずけます。それは通産大臣も熱心に説くでしようし、大蔵大臣も熱心に、経済閣僚というものはこの頃は馬鹿の
一つ覚えのように経済自立、経済自立と言えば何でも通るというふうな
考え方に近いのじやなかろうか。私は
労働大臣に望みたいことは、そういうふうな、無論
国家として経済自立は非常に大切だということについて私は否定しようとは思いません。併しその空気、それだけですべてを流そうという空気が起
つて参りますと、その前に
日本の民主化のバツクボーンとしてのこの
労働者の基本的権利というものがとかく軽視される傾きにな
つておる。
吉武労働大臣は
労働省にも
労働行政にも長く御経験にな
つておる。私はこういう大臣が来られたときに、せめて守
つてもらいたいのは、ほかの大臣の
言つておるようなことでなしに、その間に立
つて一体
労働者の
福祉をどうするかということをお
考え願わなければならない。この
労働省の官僚は無論
労働者の
福祉と、職業の確保を図ることであり、
労働組合法の
目的は労使の対等な地位を確保して、その間に立
つて労働者の正当な地位を占めよう、そうしてやることが経済の興隆に寄與するのだ、こういう
考え方を、それこそ
労働大臣そのものが熱心に守
つて頂かなければならん問題だと思う。そう言いますと
労働大臣だから決してそれを否定されない、いやもうその通りだとおつしやるにきま
つている。御答弁は殆んど要らないのです。ところがおやりになること
自体は決してそうではないと私は思います。今日は初日ですから私
余りたくさん具体的実例を挙げません。挙げませんが、まあ一例を取
つて見ますれば、
公労法の
関係から
先ほど非常に御用意があ
つて、雄弁に御答弁なす
つていらつしやるが、十六條の問題でも法の制定のときはそういう精神ではなか
つた。併しながらこれが第一次裁定が出て見ればこれは大変。それで大蔵大臣が予算総則をつけて、予算総則に人件費の総額の制限をする。或いは公社法を
改正する。そうして予算との結び付きをつける。これは明らかに
団体交渉権の内容を収縮せしめるものである。私はそういう解釈をするなら
吉武さんと五日でも六日でも、この問題だけでもや
つて御覧に入れるが、そういうことを
言つておるのじやございません。併しそういう事柄が起
つて来ること
事態は、
団体交渉権を與えると称しながら
団体交渉権の内容を奪
つてしまう。だから
企業体の首脳者は
団体交渉能力のない無能力者に化してしまう。これは明らかにあなたの内閣でおやりにな
つておる。今度の場合でも
緊急調整の問題をつかまえて見ましても、今
労働法及び
労働関係調整法等で與えてあることでも、まだ十分に利用されていないというか、活用されていない
状態においても、それを活用するということを
考える前に、やはり
緊急調整の問題をお出しになる。これらについては別個にいたしますが、こういうふうなことを
考えて参りますと、おつしやることと実際に行われることとは従来とも違
つておる。じや今回はせめてあなたが来られたのだから、よほど違
つた方一向に出るだろうということを我々期待した。そうすると成るほど
国家公務員に対して
現業的の
性格のものには
公共企業体
労働労
関係法の適用があり、地方公営事業についてもその線に準じて、法規ができるということなんですが、内容を見ますと、
労働者が普通持つべきものが非常に制約されておるというふうな点が十分
考えられる。それから従来の我々が
労働法に
関係して来てや
つて参りましたことで、今回特に
考えられることは、やはりこの
労働関係法規について、成るほど法令
審議会をお開き願
つた。これは私も議会で主張して、
労働省で御採用にな
つたとは言いませんが、
労働省がその線に沿
つておやりにな
つたことはわかる。併しこれだけの
改正について、各
関係方面の
意見を広く聞くという従来行われてお
つた公聴会の
制度が行われていない。それから
先ほど別な
委員から
お話になりましたように、成るほど労使双方が
一致を見なければならないものについては、
公益委員会の
意見を参酌して取入れたというように私は思う。これは素人ならそう
言つてもいいのだが、
労働法規に明るい
吉武大臣が、例えば
緊急調整の問題についてもどういうところにポイントがあるか、
労働大臣の
発動というものが一方的に
国家権力を持
つておる者だけの判断で行われないというところに私は
公益委員の
意見の重点がある。これはほかの人が、素人が言うならいいのですが、
吉武さんが言うのは少しおかしい。それからもう
一つですね。そういう問題に
関連して申上げますれば、この労使間の問題について権力の直接の介入を避けようということは、これは従来
労働関係の問題について非常に守られて来たことなのです。これは労使双方とも避けよう、労使双方とも都合のいいときは
国家権力を利用するが、都合の悪いときは
国家権力でやられちや困るという傾向はありますよ。併しとにかく基本線としては、
労働問題については労使直接の介入を避けよう。ところが
労働者の官僚、あなたのそばに座
つている官僚は、これはなかなか労使間に介入したい。それから賀来試案なんというものがその法令
審議会に出たことは明らかなのです。そういう点から見ると、今度はどうもそういう
関係から
労働大臣も権力に介入したいという気が起
つて来のかも知れない。こういう気も私はする。そういうふうな実例を挙げますと、実は私
ども従来
労働問題を扱
つて来た者から見ると違
つた形にな
つて来ておるのです。ここで私はその点について、今日は初日でもありますし、
余り細かいことに入りませんが、そういう点についてあなたとしてはどういう
考えでおられるか。この
労働法規関係の
改正については広く朝野の
意見を求めるということ、そうして
改正について国民が納得するという手段
方法を講ずるということは、私はもう非常に
労働省がや
つて来たいい慣行であり、民主的な慣行だ。手続的にそういう点が取られた。それについて
吉武さんは他の
委員に対して別な機会に非常に事急を要する、こういうことを言われるのだが、それについてはその急を要することが又今度はわからなくな
つて来る。そういうような点につきまして、
労働大臣の
意見をこの際承わ
つておきますことが、私
どもこの
法案を
審議する上に立
つて非常に必要なことだと思いますので、それらについてのお
考えを承わりたい、こう思うのです。