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1952-02-15 第13回国会 参議院 労働委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月十五日(金曜日)    午後二時一分開会   —————————————   委員の異動 十二月十五日委員森田豊壽君、原虎一 君及び赤松常子辞任につき、その補 欠として上原正吉君、野田卯一君、島 津忠彦君及び村尾重雄君を議長におい て指名した。 十二月二十七日委員島津忠彦辞任に つき、その補欠として安井謙君を議長 において指名した。 一月二十五日委員高田寛辞任につ き、その補欠として早川愼一君議長 において指名した。 二月四日委員松政二辞任につき、 その補欠として九鬼紋十郎君を議長に おいて指名した。   理事補欠 一月二十五日委員村尾重雄君を委員長 において理事に指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中村 正雄君    理事            波多野林一君            村尾 重雄君            安井  謙君    委員            上原 正吉君            九鬼紋十郎君            早川 愼一君            重盛 壽治君            堀木 鎌三君            堀  眞琴君   委員外議員            原  虎一君            上條 愛一君            赤松 常子君   国務大臣    労 働 大 臣 吉武 惠市君    国 務 大 臣 岡崎 勝男君   政府委員    特別調達庁長官 根道 廣吉君    労働省労働基準    局長      龜井  光君   事務局側    常任委員会專門    員       磯部  巖君    常任委員会專門    員       高戸義太郎君   説明員    最高検察庁検事 松本 武裕君   —————————————   本日の会議に付した事件行政協定による労働條件に関する件 ○ポツダム宣言受諾に伴い発する命  令に関する件に基く労働省関係諸命  令の廃止に関する法律案(内閣送  付) ○労働関係法規改廃問題に関する調査  の件 ○労働行政の実情に関する調査の件  (労働省機構改革に関する件)  (備前興業事件他二件に関する件) ○理事補欠選任の件 ○議員派遣要求の件 ○本委員会の運営に関する件   —————————————
  2. 中村正雄

    委員長中村正雄君) これより委員会を開会いたします。原君より委員外議員発言を求められておりますので。この際許します。
  3. 原虎一

    委員外議員原虎一君) ちよつと特調のかたにお伺いしますが、これは簡單に申上げますれば、基地労務者アメリカ軍に雇われるのであるか、又従来のごとく日本政府がこれを雇つた形をとつて仕事の面におきましては米軍指図を受けて働く、こういう形になるのでありますか、この点を一応明確にお聞きしたいと思います。先ずその御答弁によりまして、次に起きて来る問題を現在の現実から将来について御質問申上げてみたいと思います。その基本的な問題を先ず御答弁願いたいと思います。
  4. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 御承知のごとくこの米国政府側日本側におきまして労務提供に関する契約がございまして、この契約は一応今年の六月まで継続する建前になつております。その間におきまして現在行政協定交渉が進行しつつあります。行政協定においてこれに著しく変更が加えられるというような決定がありますれば格別でございますが、現状のままでいたしますと、少くとも六月までは現在の状態が続くということが一応予想されるわけであります。併しながら何分にも現在行政協定としての最後決定に至つておりませんので、私といたしましては直接雇用なり、間接雇用なりの問題がございますが、若し直接雇用になりましたときの、いろいろ却つて起るだろう不便な問題というものもあるだろうということを考慮いたしまして、そういうことのないように最善の努力をいたしたい、こういうふうに考えております。
  5. 原虎一

    委員外議員原虎一君) 岡崎国務相がお見えになりましたから、もう一つ重ねてお伺いいたしますが、その他お聞きしたい点もありますが、関連いたしますからお伺いします。只今申しましたように、行政協定に基きまして駐留米軍基地その他で働く日本労務者ができると思うのであります。そうした場合におきまするところの雇い主は誰になるのか、アメリカ政府がみずから雇つて賃金をこれに支払うのであるか、従来のごとく日本政府が一応雇つた形をとつて労務者を提出するのか、仕事指図米軍に受け、それに従つて働くという形になるのであるか、その点を明確に願いたいと思うのであります。
  6. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは私も専門家でないのでよくわかりませんが、筋から行きますと、占領下と違うのですから、筋途から言えば直接雇用というのが本筋であろうと思つておりますが、組合側要望もあり、又実際の便宜のこともあろうと思いますので成るべく今働いている組合等要望に副つて、余り理窟ばらずに一番便利な方法をとりたい、こう考えております。
  7. 原虎一

    委員外議員原虎一君) そういたしますと、まだそれが明確にする段階に至つておらないという解釈をするよりほかにないと思いまするが、併し吉武労働大臣は大体これは現在のごとく国が雇つてそうして使用者米国になる、こういうふうな御意見のように伺つておりますが、この点はどういうことになりますか、お伺いしたいと思います。仮にそうなりますと、そうなつた場合におきますところのいろいろな弊害、現に起つております問題が続いて行政協定後においても起ることが予想できる、そういう問題に対して如何に処置して行かれるか、具体的に申しますれば、果して基地というものはどの範囲の大きさのものであつて、而もその基地内で働く労働者労働権というものはすべて日本憲法に基く労働三法によつて律せられるのか、全然治外法権的に扱われて行くものであるか、こういう点をもお伺いしたいのでございます。  続いて第二点は、アメリカ政府以外の使用者、即ちアメリカ会社アメリカ人個人に使用されるものは当然これはアメリカ会社が使用人となり、雇い主になると思いますが、例えば具体的に申しますれば特需工場であります。特需工場の中にも御承知のごとく日本国有財産施設としてその下に働く特需工場もありますれば、民間工場の、民間会社施設の下に会社アメリカ特定機関との契約によつて働く特需工場もありまするが、これらに働くところの労働者はどういう形になつているか、この点を御答弁願いたいと思います。
  8. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 只今の御質問の第一点は、米軍との雇用関係がどうなるかということだと思うのであります。これは只今岡崎国務大臣からお答えいたしましたように、直接使用するものとの間に雇用関係が生ずるというのが筋合いだと思います。併しながら先ほどお話がありましたごとく、組合どもそういうことよりも現在のように特庁が間に入つてつたほうが便宜だということであれば、便宜な方法をとることもいいじやないだろうか、かように考えておる次第であります。  労働三法適用につきましては、いずれの場合にいたしましても国内法適用があるべきだと存じております。なお米国個人会社が使用する場合は当然その使用関係の生ずるところに雇用関係があると考えます。従つてそれに対して国内労働法適用さるべきものと存じております。
  9. 中村正雄

    委員長中村正雄君) ちよつと原君に申上げますが、岡崎国務大臣は次の予定があるそうですから、岡崎国務大臣に対する質問であれば又次の機会にお願いしたいと思いますが、如何がですか。
  10. 原虎一

    委員外議員原虎一君) 岡崎国務大臣は何時までいいのですか。
  11. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 二時三十分までだそうです。
  12. 原虎一

    委員外議員原虎一君) それではあと五分間ぐらい……次の機会に詳細は譲るといたしましても、一、二点明確に願つておきたいと思いますが、十二月の十三日頃に岡崎国務大臣日米防衛会議というものを設ける、これは岡崎国務大臣構想として発表された。これに基きまして、日本アメリカとを結びますところの行政協定を細かにきめて行く、即ちこれが行政協定実施機関として伝えられる専門委員会とは全く別個なものであり、防衛のための日本経済計画の立案も含めて遥かに高度な機能を持たせるもので、日本武装計画をも検討するというふうに記事は報道いたしておりますけれども、ダレス氏との会見後この岡崎構想というものは如何なる変化を来たしたのでありましようか。この点を明確に御説明願いたいと思います。
  13. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) その新聞記事は私も見ましたが、根も葉もないことであります。当時そういうことはないということを会見でも申しましたが、不幸にしてそのほうは新聞に出なかつたと記憶しております。従つてそういう構想はないとお考えになつて頂きたいと思います。
  14. 原虎一

    委員外議員原虎一君) これは明確に言われますので、それでは新聞の名前も挙げて申上げますが、十二月十三日の読売新聞であります。五段抜で報道したものが全然嘘であるということに相成るわけであります。それからこの行政協定で予想されますのは、いわゆる名称は何でありましようとも、アメリカ軍基地でありまするが、基地内におきまするところは常識的に考えましても、これは治外法権的なものになる。然るにそこの基地内で働くところの労働者には労働三法適用できるものであると吉武労働大臣答弁された。希望であるか、必ずそういう基地になるのであるか、この点を一つ岡崎国務大臣から御答弁願いたいと思います。
  15. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 基地基地でないか、これは別問題としましてすでに行政協定話合いの中でアメリカ軍日本法律を尊重し、且つアメリカ軍に属する人々は日本法律を守るという原則が打立てられておりまして、この点はまだ起草委員会にかかつておりますから、正確な文章はできませんけれども、そういう趣旨話合いは成立したということをすでに新聞に発表しております。それで一つ承知を願いたいと思います。
  16. 原虎一

    委員外議員原虎一君) それは存じておりまするが、そうなりました場合に一切基地内に働く労務者労働用題日本法律によつて律せられるということが確信を以て労働大臣は言えるのであるか。又そういうふうに協定を結び得る自信があるか、若しそうでないとしまするならば、それに対処する別な方法を考えなければならない。その場合において、今私はその十二月十三日の新聞を引例いたしましたが、日米防衛会議というようなものがありますれば、ここで基地内におきますところのいわゆる米軍日本労働者の間における紛争を処理することもできまするが、ただ希望としては日本憲法に基く労働三法適用されるという希望的なことを言つておいて、いざできた行政協定の中ではそういうことは一切問題にならんというような行政協定を作られては迷惑であります。我々が行政協定進行過程においていろいろなものを聞かんといたしますけれども政府はすでに安保條約において白紙委任状を取つたのであるからそういうことを発表する必要はない、これで逃げております。併しそれでは私は許されないじやないか、この点を労働大臣行政協定交渉進行過程において、その衝に当る岡崎国務大臣と如何なる連絡をとられつつそれを進められておりますか。内容が言えなければその点の経過、こういう点を一つ御報告を願いたいと思います。
  17. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 先ほど申しましたように国内法適用されるような努力をしておりますし、今岡崎国務大臣お話下さいましたように、今のところ向うも国内法を尊重して行くつもりである、こういうことで進行しております。かように御了承願います。
  18. 原虎一

    委員外議員原虎一君) まだほかにありますけれども、ほかに労働大臣に急ぐ人は……。
  19. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 今のに関連して質問が一点ある……。
  20. 中村正雄

    委員長中村正雄君) ちよつとお待ち願いたいのですが、先ほど御承認得ましたように、政府委員出席の都合で議事は順序を変更してやるようになつておりますので、今労働大臣衆議院行つてすぐこちらへ帰つて来ると思いますので、一応先に予備審査に廻つておりまするポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く労働省関係命令廃止に関する法律案議題といたします。最初に提案理由説明を求めます。労働大臣
  21. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く労働省関係命令廃止に関する法律案につきまして、その提案理由を御説明いたします。  今般、日本国との平和條約の効力発生に伴いまして、ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件を廃止することといたしたいと存じておりますので、これに基く諸命令につきまして引続きその効力を存続せしめるか否か再検討することが必要となつたわけでありますが、労働省において主管するものといたしましては、労務充足に関する件、労務者就職及び従業に関する件及び労働に関する団体主要役職員への就職禁止等に関する件の三件があります。これらは、いずれも次に述べる理由により効力を存続せしめる必要がないものと認められますので、この際廃止いたしたいと考える次第であります。  即ち、先ず第一に、労務充足に関する件でありますが、これは連合軍最高司令官の指令に基きまして連合軍最高司令官又は各地の占領軍指揮官によつて指示される労務を、指示せられた期日及び場所において提供するため制定されたのでありますが、今般日本との平和條約の効力発生に伴い占領軍は存在しないこととなり、本省令制定理由は消滅いたしますので、廃止すべきものと考えられるのであります。  次に、労務者就職及び従業に関する件につきましては、同じく連合軍最高司令官の命によりまして、労務者に対して賃金労働時間その他の労働條件について国籍、宗教、社会的地位によつて差別することがないよう措置するため制定せられたものでありますが、現在労働基準法第三條中にこの省令に規定する事項と同一の内容が規定せられておりまして、この省令を存続せしめる必要はありませんので、この機会廃止することを適当と考えるものであります。  最後に、労働に関する団体主要役職員への就職禁止等に関する件につきましては、これ又、連合軍最高司令官の命によりまして労働者を戰時組織から解放して、労働者自体に自由な自治組織を与えようとする趣旨に基きまして、戰時中日本業報国会、大日本労務報国会日本海運報国団及び協調会における主要役職員の職にあつた者が、労働に関する団体就職することを禁止するため並びに東京労働自治連合会及びこれに類似する団体を解散せしめるため制定せられ、その後一般公職追放者をすべての労働組合役職員地位から排除する等のため若干の改正を加えられたものでありますが今日におきましては、右に述べました本省令制定趣旨はすでに達成されたと認められ、又我が国労働運動の現況から見まして、本省令廃止いたしました場合においても本省令により指定を受けておりますような戰時中労働団体或いはそれらの指導者が再び自由にして民主的な労働団体の発展を阻害するとは考えられませんので、本省令は引続き存続せしめる必要は認められないのであります。  以上本法案提出理由の概要を御説明いたした次第でありますが、何とぞ御審議上速かに可決あらんことを御願い申上げる次第であります。
  22. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 本案の質疑は次回に譲りまして、次の議題移つて異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 中村正雄

    委員長中村正雄君) ではさよう決定いたします。   —————————————
  24. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 労働大臣が大体三時までは時間が許せるそうでありますので、重盛君の御質問行政機構改正なり労働三法改正に関してではないわけですか。
  25. 重盛壽治

    重盛壽治君 そうではないのです、それは新たに又やります。
  26. 中村正雄

    委員長中村正雄君) ああそうですが、では一応重盛君から質疑要求がありますので発言を許します。
  27. 重盛壽治

    重盛壽治君 今原さんから質問がなされたようでありますが、私も岡崎さんを帰えしてしまうと余り質問してもぱつとせんようだが、特需工場関係労務者の原さんの質問に対しては日本のいわゆる勞働三法適用するんだ、こういうような見解をあなた表明せられておる。それから実際にはこの特需関係ばかりでなくして進駐軍全般労務者の場合でももつと窮屈な取扱を受けておるわけです。JLCなどに言わせますと国内法でなくしてそれは米国の軍令とみなしてあるんだというようなことを言われておるが、ただ労働大臣日本勞働三法が優先するんだという考え方だけでは、これは労働大臣たるものは成つたその日からそういう考え方をするのは当然であつて、それに対してどういう処置をとつているかということを今も原議員のほうから聞かれたようだが、どうもその点が明確に言われてないんだが、こういう点に対して実際やるという点に対してどういう折衝がなされ、それからどういう努力がされたかというその内容、本当に皆が聞いて成るほどああいう労働大臣説明ならば大丈夫だ、日本労働三法適用されて日本労務者は喜んで働き得るようになるのだというような安心感を与えられないような説明だと思うので、その点をもう少し明確にしてもらいたいのが一点。  それから更に最近いわゆる不当彈圧によつて、これは別に委員長の手許に出してあつて別機会十分審議をして頂きたいと思うが、帝石とか或いは電産、三越東日本重工というような不当彈圧があるのだが、これらに対する労働省処置見解はその後どうなつているか、これに対する善後策を講じて頂いたかどうか。更にもう一つ宇部窒素、いわゆる合成化学の中に特に宇部窒素中心として百四十数名の犠牲者を出したということを聞いておるが、この内容について労働省はどういうふうに調査なさつて、どういうふうな考え方を持つておられるか、この点を一応三点取りあえずお聞きしたいと思います。
  28. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) いわゆる駐留軍労務関係は先ほど申した通りでございまして、それ以上は私も存じません。岡崎君が折衝しておりますし、岡崎君からもそういう趣旨のことを聞いております。  それから第二に御指摘になりました不当彈圧というお話でございますが、どういう事例であるか私存じませんが、三越につきましても、しばしば又本会議でも問題になつておりました京都の市電の争議の問題にいたしましても、私どもはこれは不当彈圧とは考えておりません。
  29. 重盛壽治

    重盛壽治君 労働大臣何か聞き違いをしておられるのじやないかな、特別の特需工場に働く人たちの問題ばかりでなく、進駐軍全般に対して労働三法が明確に実施されておらん、労働大臣はそれは私自身も当然なことと考えておる、考えているだけじやなくて、その実際についてどれだけお知りになつておるか、そういうことをお聞きしたいし、それからさつき原委員の言われたように本当にそれをやろう、強く推し進めて行くというその考え方に立つて具体的にどういう措置をされたか、もつと露骨に申上げますならば、今度来ておる労働関係ラスク氏と一緒に来ておるバロウ氏ならバロウ氏にあなたが会われまして、日本労働政策に対しては行政協定の中で、これは岡崎氏が所管だから当然そつちでやつておるのだろう、その程度では私はわからん、岡崎氏に例えば質問するならば、これは労働大臣所管に属する問題でありまして、私の関せざるところであります、という答弁より私は聞いたことがない。或いは請願書を持つて行きましても、陳情書を持つて行きましても、労働大臣所管であるということ以外余り出ていないので、バロウ氏なんかにあなたがお会いになつてどういう話をなされたか、こういう具体的なことをお聞きしたいのであります。
  30. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 私はそういう外人と直接会いまして折衝したことはございません。行政協定坂極につきましては、もつぱら岡崎君が当つております。岡崎君には先ほど申しましたような趣旨のことを申述べ、岡崎君もそれを了承をして折衝に当り、而も先ほどここで御答弁いたしましたように私も了承しておるわけであります。それから従前特需関係等においていろいろな問題があつたということでありますが、それは多くのうちでありまするから、そういう事例があるかも知れないと私存じますが、今まで指摘されましたような事件につきましては調べてみますると、私どもは別にそれに触れた違反の行動とは存じないのであります。併し現在は占領下でありまするから、占領政策から来るいろいろな制限はあり得るだろうと思います。併し独立後は占領政策から来るいろんな制限というものはこれは当然なくなるものであると私は確信をいたしております。
  31. 中村正雄

    委員長中村正雄君) ちよつと重盛君に申上げますが、三時に衆議院に参るので、あなたのほかに質疑通告があるわけでありますので……
  32. 重盛壽治

    重盛壽治君 細かい問題に私は入りません。不当弾圧の問題、或いは一般の問題については入りませんが、併し大臣が時間がないからということで労働委員会審議する時間が与えられないのなら、労働委員会の使命は抹殺されることになつて……
  33. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 私は各位の発言通告がありますから、その範囲質問を許したのであります。あなたのみに時間を与えるわけには参りませんから御考慮願いたい、こう申したのであります。
  34. 重盛壽治

    重盛壽治君 継続質問です、いけませんか。
  35. 中村正雄

    委員長中村正雄君) よろしい、重盛君。
  36. 重盛壽治

    重盛壽治君 それで最後に私は希望吉武さんに申上げておきたいが、あなたは今占領下に置かれておるのだからこれはしようがないが、将来当然こういうことが考えられるといういわゆる理論的に言つておられまするけれども、御承知のように岡崎氏とそれからラスク氏とのいわゆる行政協定の取極は急に迫つております。相当重要な段階まで来ておるように考えますので、どうか吉武さんの言われたような趣旨を十分に岡崎さんに伝えて頂きたいということと、先ほど言いましたように決して岡崎さんを私は誹謗するのではありませんけれども、例えば労働者の問題に関しましては日本労働省中心にして、あなたがたの事業に迷惑をかけないように処理いたします、と岡崎国務相が一言言えば事足りる問題ではないかということを私が申上げましたときに、さようなことは断じてそれは言えないのだということを聞いておりまするけれども、若しそういうようなことも言えなくて、そうしてラスク氏の言ういわゆる一方的な形によつてのみこの労働問題が解決されるとしますならば、非常に重大問題だと考えますので、労働大臣としてはただ言うてあるからやるだろうという常識を一歩越して、非常に重大な瀬戸際に来ておりますので、閣議の席上において、或いは特に岡崎国務相との間でこの問題を十分取り上げて取組んで、日本の全労働者が安心して働けるような方向付けをして欲しいということを希望して私の質問を終ります。
  37. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 重盛さんは御希望だけで済んだのですが、私さつきから労働大臣岡崎国務相とのお話を聞いていて、実は法律上非常に疑わざるを得ない、理論構成上から行きますると、岡崎国務相は、米軍日本国法律を尊重するという約束をしているから心配ない、こう言う。でそれから日本国内法規が如何なる場合においても、米軍に雇われている場合に如何なる役務に従事している場合でもすぐに国内法適用されるという法律理論は出て参らないはずです。で大体確かに今までは占領下であつて一つの基本的なものはあるわけです。併し今度は占領下でなくなるから大丈夫だとおつしやることも理論的に成り立たないのです、法律理論構成から言えば成り立たない。岡崎君が行政協定なる條約で以てアメリカ日本の国の法律を尊重すると言つたことは、これは條約上のアメリカ義務であります。と同時に日本アメリカ駐留軍仕事を円滑ならしむるための責任を負つていることもこれは行政協定上、條約上明らかな義務であります、法律上の義務であります。これは日本国民には直接関係ありませんが、日本政府がそれを負うことは明らかなのであります。でありますから、そういうふうな二つの條約上の問題と、それからすぐに国内法規の問題が出て来るということは法律上考えられない問題であります。そうすると労働大臣が、必ず国内法規労働三法が如何なる場合にも、場合によれば米国駐留軍が駐留する目的には従つているが、戰争目的のためにする緊急軍務のために使役するというふうな場合に、どういうことが起るかということは労働大臣として当然御想像にならなければならない。で行政協定の問題は岡崎国務相の問題だと言われますけれども岡崎国務相の問題であると同時に、私は労働大臣の問題であると思う。(「異議なし」と呼ぶ者あり)労働大臣がその場合に、確かにアメリカ日本国内法規を尊重するが、同時に日本政府アメリカ駐留軍の主要目的、その便益を供与し、そうして主要目的を円滑に遂行ならしめるところの條約上の責任を負つておる、それと今労働者の権利を確保するということを如何に調和し、如何に確保されるか、これは労働大臣の私は御責任だと思う。その点について御明確な御答弁がない以上は誰も安心することはできない。そういう論理上の区分の上に立つて労働大臣としてなさることをここで御表明なさつて、初めて労働委員は安心することができる。どうも先ほどのやりとりでは私は隔靴掻痒の感がありますので、関連いたしまして御質問申上げる次第であります。
  38. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) お話のように、米軍国内法適用になると私どもは思いますが、当然にはそうならないのだということでありまするけれども、それは別の取極をすれば格別でありますが、別の取極をしない限りは、そうあるべきことが当然であると私ども考えておる。従つてそういうふうに努力をし、やろう、こういうことを申上げているのでありまするから、どうも私が先ほど申上げたことに一向矛盾があるとは私は存じません。それから労務の提供の義務が当然にあると言われまするが、そういうことを取極めるのが今度の行政協定でありまして、それは私どもとしても労務の提供の便宜供与は当然やるべきだ、かように存じており、その線に沿うて折衝しているわけであります。従つてこれらの問題につきましてはまだ決定をいたしておりませんから、決定的なことをここで言えとおつしやつてもこれは申上げかねるのでありますけれども、大体の考え方は先ほど申上げましたように、米軍が直接雇用すると或いは間接に雇用するという形式を取ろうと、いずれの場合におきましても日本国内法適用されべきものであり、そうしたいと思つて努力しているという以外に私は申上げることはできないと思います。
  39. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 余りくどくど申上げるのも、私通告もしないで関連して質問しておりますから、改めて申上げますが、矛盾しているとは言わないのです。論理的のギヤツプがある。つまり論理的なギヤツプがあるので、若しもあなたが本当に国内法規が全部如何なる場合でも適用ありとなさるならば、労働組合等の意向もあるから、特調で以て従来通りやりましたような形式でしようという心配は起つて来ないはずであります。そういう心配があるということは実際問題上あるから皆心配する。それはなぜなんだ、それは今まで占領下にあつて占領行政に従つているからである。今度はそれに代つて行政協定なる條約によつて日本政府がどういう義務を負うかということが明らかになつていないから起る。その点についてあなたがはつきりして、方針がきまつておれば、そうしてそれが実現するということがはつきりすれば、実際のところをいいますれば何ら心配は起り得ないものである、こういうふうに私は考えます。今進行中だから話ができないと言われるのでありますが、実際問題として行政協定は日ならずして締結されるということはこれはもう明らかな事実であります。そういたしますと、もうすでに今の国会において日本政府はどうするのだと、こういう国民の権利義務関係ある問題についてははつきりしたことを御表明なさるのが大臣の責務である。そういう点について私はむしろ現在おできにならないならば、行政協定の成立前に国会に対して御表明なさるのが当然である。殊に行政協定の問題に関しましては、総理大臣以下、行政協定の具体的問題について国民の権利義務に重要な変化がある場合にはそれを国会に諮るのだと、それは従来から言つているわけであります。それをうやむやにして行政協定ができてから、こういう條約ができたのだということを言われても我々は納得するわけに行かない。だからその点については更に一段とはつきりした御表明があるのが大臣としての責任だ、私はこう考えるのであります。でありますから、矛盾があるとは申上げない、ギヤツプがある。論理的なギヤツプがあるからその間をお埋めになるのが労働大臣の御責任である。だからすぐお埋めになつてここで御表明なさるべきであるというこれが私の考え方であります。それに対して労働大臣の重ねての責任ある御答弁をお願いしたいと、こう思います。
  40. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 私は先ほど申しましたように、独立後において米軍に使用される場合、それに国内法適用あるべきであり、適用をすべく努力をしている、こういうことに、私は言葉を返すようでありまするけれども、論理的な矛盾を実は感じてはおりません。実際又組合のほうと私会いまして話をしておりますときにも、論理的の問題では実はないのでありまして、それは実際問題として直接雇用し得るという形式をとるよりも、間接の雇用の形式をとつてもらうほうが便宜である。だから便宜なほうの方法をとつてもらえないだろうかということを言つておられるわけであります。従いまして、それに対しては私どもも若し組合がそういう便宜な方法を御希望であるならば、我々は論理的な問題に走るよりも、それに副うように努力をいたしましよう。而も又努力をいたしつつあるわけであります。これは堀木さんがどういうところを指しておりますか、抽象的なお話でありまするから私わかりませんけれども、(「勘が悪いのだ」と呼ぶ者あり)私どもとしては実際の趣旨に副うようにいたしておるつもりでおります。なお日ならず締結されるだろうと思いますが、日ならず締結されるからと申しましても、本極りになるのは最後でございまして、まだ目下は進行中でございまするので、ちよつと今のところこれが確定的だというふうには申上げかねます。
  41. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 労働大臣は風を見てものを言われておるような傾きがありますが、併しあとの機会にこの問題は留保いたします。
  42. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 一応行政協定に関する労働條件に関しては御質問したい委員のかたも相当いらつしやると思いますので、次の機会に譲つて、一応今問題になつておりまする本日の議題に取上げておりまする一つでありますが、労働関係法の改正の将来の見通し、及び行政機構改革に関しまして、労働省が社会省となるというようなことが新聞に発表になつておりますので、こういうことについて各委員からそれぞれ質疑通告がありますので、一応小さい点は政府委員に聞くといたしましても、その二点につきまして労働大臣から現在の状況なり見通しにつきまして発言を求めたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 労働関係法につきましては、二つに実は分けて考えられますが、組合法と労調法関係法律の問題と、もう一つ労働基準法関係のある問題等に大雑把に分けますと分れるのであります。従いまして、組合法或いは労調法と指定はいたしてはおりませんが、そういう労働関係のほうは労務法制審議会にかけて目下審議中でございます。それから労働基準法関係労働基準法関係のほうの審議会にかけましてこれ又審議中でございます。昨年の秋以来労働関係のほうの法制審議会も数度に亘り審議を続けられまして、極めてまじめに審議が続けられております。目下のところ労働組合のほうから出されております意見は一度新聞にも出たようでございますが、労働組合として主張されるであろうという問題が相当慎重に審議されて出ておるように思います。又経営者側から出されておる意見も一度新聞にも出ておつたようでありますが、これ又経営者側から御覧になつて尤もだと思われる意見が出ておるのであります。従つて申立に当つておるかたがたがその間に苦労されまして、何とかこれを一本にまとめようと努力をされておりまするが、数度に亘つて折衝されておりまするが、まだその域に達しておりません。併し大部分の点は漸次調整ができまして、最後に一、二の問題についてまだ意見の一致を見ないのであります。併しこの最後の一、二の点は相当重要な点でございまするので、実はなかなかこれが一致するということもむずかしいような状況でございますが、中立委員のかたはなお努力を続けられまして、何とか調整をしようというところでございます。私どももできるだけ法制審議会の意見の答申を待つて立案をしたいと思つているわけでありまするが、余り遅れるということになりますると、今までの審議の過程における意見を見まして私のほうで立案もしなければならんかと思いますが、併しそう一日、二日を争つて出さなければならないとも思いませんので、まあできるだけ審議会の意見が早く出ることを実は希望し、それを待つているような次第であります。なお労働基準法関係の問題につきましては、これは余り労働関係のほうの委員会ほど深刻な意見の対立もございませんので、双方から意見が出ましてだんだんと調整されつつある状況でございますが、これもまだ結論には達していないのでございます。  それから機構改革の問題は、実は二日前に一応政府の立案者の意見が取りまとまりまして、関係閣僚に説明がございまして、その後まだ慎重考慮中でございまして、どういたしまするか決定をいたしておりません。私の関係する問題といたしましては、労働省とそれから厚生省とは一緒になつて社会省ということの機構の案が出ているわけでありますが、私といたしましてもごの問題は相当重要な問題でございまするので、目下慎重に考えているような状況でございます。
  44. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 前の労働関係法の改正について、巷間政治的な考慮から今国会は改正を見送るということが盛んに流布されているわけなんですが、なお法制審議会等の結論その他の時期の関係もあるわけですが、大体今政府でお考えになつておりますのは、審議会の答申によつてやられることは一応の基礎でありましようが、本国会には出すのか出さないのか。又審議会の審議経過もありましようけれども、遅くなつてもいつ頃提案になるか、その見通しについてお話願いたいと思うのです。先ほどほかの委員会でありますが、今国会の提出法案の中に労働関係法も含まれておりますが、未折衝、それから提出時期は不明というふうに内閣から報告がありまして、全然見通しがつかないわけで、関係大臣として遅くともいつ頃お出しになるか、或いは出さないか、その点についての明確なる一応答弁を願いたいと思います。
  45. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 私としては、どうしても独立後における労働関係といたしましては、現状のままでは済まないように思いまするので、是非提案をしなければならないだろう、こう考えております。併しながら提案をする時期につきましては、先ほど申しましたように、私としてはできるだけ法制審議会の答申を待つて出したいと思つておりまするので、そのほうの進行状態もございまするので、今いつ頃ということはちよつと申上げかねますが、先ほど申しましたように、余り遅れるようですと、私のほうで今までの過程を見て出さなければならんかと思いますが、併し法制審議会もそう長く延びることもないだろうということで待つている次第であります。
  46. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 労働関係法の改正行政機構、二つの問題につきまして、御質問があればお願いします。
  47. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 労働大臣の、独立後どうしても労働三法改正しなくちやならないという考えに立つて今国会に是非提出したい、こういうお考えの基礎をお伺いいたしたいと思います。
  48. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 私は先般本会議でも申しましたように、独立後の日本の経済の自立ということは相当むずかしい問題でありまするし、又これなくしてはただ名のみの独立に終ると思うのであります。従いまして、経済の自立の上に一番大事なことは、やはり労使間の円滑に行くということであろうかと思うのでありますが、従つて現在のところ大体組合のかたがたも経営者のかたがたも御理解を得まして円滑に進むものとは思いまするが、なおやはり一抹の不安がないわけでもございません。その場合にできるだけ争議の手段によらないで解決のできる途があるならばその途を講じておくことがいいのではないかと、かように考えております。併しながら労資間の調整の問題は、これは原則はどこまでも自主的に解決して行くべきものであることは当然でございまして、それによつてどもは不当に労働運動を抑圧しようという考えはございません。
  49. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 今承わると、独立後の経済自立の問題から労資間の円滑なる何といいますか、運用ということから考える、そしてその問題で争議行為についてのお話があつたわけでありますが、その争議行為についてはどういうふうな御観点から改正しなくちやならんとお考えになつているのでありますか。
  50. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) どういう観点かは先ほど申しましたように、できるだけ争議によらないで合理的な機関にかけて調整のできる方法を考えたい、かように考えております。
  51. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 そうすると、お話は争議権の制限になつて参ると思うのであります。それは何らかの機関にかけて争議行為を制限するということにどうもお話の筋では考えられるのですが、その争議行為の制限をどういうふうな程度になさろうとお考えになつているのでありますか。
  52. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 争議の解決の原則は、先ほど申しましたように、どこまでも自主的に解決されるべきものであると存じております。併しながら自主的に解決のできない、而もその問題が一般の公共の福祉に重大な影響のある場合においては、ただ自主的に解決できないからといつてこれを放置することを許されないだろうと思うのであります。そういう際にそれを合理的な機関にかけて解決をする途を開くということは独立後において必要なことでなかろうか、かように考えております。
  53. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 だんだんわかつてつたんですが、吉武さんは前の大臣と違つて労働法はよくおわかりになることは私もよく知つている。私も不束かながら労働法は三年以上もやつておりますけれども、今お話の程度ではお互いに専門家同志の間では満足を得ないお話であることはあなたもよくおわかりになると思う。それならば我々に対して争議行為をどういうふうに制限するのだ、制限したいのだということをはつきりおつしやるべきである。私も素人じやありません。これは吉武さんも知つておられるはずだ。その程度の答弁で引下がるわけはない。だから是非お話願いたい。
  54. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 私は先ほど、申しましたように、この問題は法制審議会に目下かかつておりまして、法制審議会で愼重に審議されておるのであります。で私は法制審議会の結論をできるだけ尊重してやりたいとこう思つております。法制審議会のまだ結論の出ないうちは、私が勝手にどうも意見を申上げることはどうかと思いますので、今暫らく御猶予をお願いいたします。
  55. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 堀木君以外の委員のかたで御発言ありませんか。
  56. 重盛壽治

    重盛壽治君 これは大体堀木さんも言われておるのだが、先ほどの問題にも関連するのだが、労働大臣の今のようないわゆる常識的な答弁をしておると、特にさつきの問題などはさまつてしまうのだな、当然きまつてしまうんだから、当然常識的には国内法でやるのだろうと考えておつたけれども、実は行政協定の中でこうきまつてしまつたと、それでは間に合わんことになる。それと全く労働組合の問題も同じで、特に労働省はただ労働者法律で拘束するということでなく、逆に育成発展せしめて、そして日本労働力をどう有効適切に使つて行くかということの指導をするのが労働省の任務であるならば、法律で争議行為を拘束するというような形を考えるならば、若し考えられるとするならば非常に危險な時代逆行の考え方だと思うので、やはりここではつきり先ほどの問題に対しても今の問題に対しても、四囲の情勢、或いはあなたがた吉田内閣の埓内において出す場合があるかないか。少くとも労働大臣にこう考えているという決意をはつきり見せてもらわんといかん、私はこう考えるのである。はつきりと意見を聞きたい。
  57. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  58. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 速記を始めて下さい。
  59. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 私の答弁が常識的な答弁と言われますが、私は実はどちらかというと常識的に物を考えるつもりであります。余り理窟に走ることは却つてよくございませんので常識的に物を考えますが、今お話になりました常識的答弁というのは言葉をきれいにおつしやつたので、いい加減の答弁をするということだろうと思いますが、そういう意味でございますれば私はそういうつもりでは申しておりません。私の申上げることは常識的かと言われればその通りでありまして、私は常識外のことを申上げておるわけではございません。言葉は少いし御不満かと思いまするが、私の気持は今までに申上げました中で十分お素人でない重盛さんのことでありまするから御了解になつていると思うのですが、私は組合についてはお話のごとく健全な民主的な組合が育つことは今後の日本の経済の自立の上において必要だと考えております。ただ政府がどの組合は育成し、どの組合は育成しないというふうに余り干渉がましいことをすることは、却つて自主的な組合の発展を阻害することになりまするから、そういうことはいたしませんが、私ども労働行政のとり方といたしましては、お話のごとく健全な、民主的なしつかりした労働組合が早く確立をすることを実は念願して止まないわけであります。なお法律の問題もございますが、私は就任以来たびたび新聞等においても申上げまするごとく、一片の法律を作つて、それでものが解決されるという考えは持つておりません。法律を作つて解決するなら法律技術者さえ雇つておけば政治というものはもう行えるはずでありますが、そうならないのが現状であります。従いまして、法律は最小限度にとどめて、どこまでも運用に私は重きを置いて行きたいと思つております。
  60. 重盛壽治

    重盛壽治君 ちよつと一言、大変に終いのほうは結構ですが、(笑声)そういうことであるならば、先ほど委員長も聞いたと思うのですが、ただ審議会に任せておくということでなくて、相当内容も把握しておるし、それからそういうことならいつ頃までに完成する、しない場合には、例えば審議会が三月一ぱいまでに上げない場合には四月になつたら自分の手でやろうという考え方があるかどうか。  それからこれは細かい点だが、二、三の点で意見が一致していないということは、はつきりこういう点が一致していないと言つても差支えないと思うが、その点を聞いておきたいと思う。
  61. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 時期については先ほど委員長からもお話がありましたときお答えした通りでありまして、率直に私の気持を申上げたところでありますから、何月何日とこう言われましてもちよつとそれは私にも申上げられない。まだきまつておりません。できるだけ今国会に出したいというつもりは持つております。併しそれには審議会の答申もできるだけ待つてから出したいということでありまするので、大体御了承行くのじやないかと思う。私自身も同月何日頃まで待つて、それ以上は待てないというそういう窮屈な考えを持つていないのであります。それから審議会で問題になつておりまするのは、私も余り詳しく一々にタツチしていないので、大体審議会に任しておりますが、私がじつと見ておりまする点で、大きい点で二つ食違いがございます。その一つ組合側は現在の国鉄であるとか、その他公務員の現業或いは非現業までも争議権が持ちたい、争議権を獲得したいという希望を強く述べられております。なお一方強制仲裁のごときものは困るという二つの点に強い希望が持たされております。なお経営者側の関係から申しますると、その二点に対して、現在の公務員については現業についてもまだ争議権を持つことは困りはしないか、それよりも公企業体のごときものによつて解決すべきじやないであろうかというふうな意見の模様であります。と同時に独立後においては、最恵の場合強制調停のごとき制度が必要ではないのではないか、かような意見が述べられておるようであります。大体私が今記憶にありまする点は、この二点が大きな問題の食違いじやないかと思います。
  62. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 一応労働省関係につきましての具体的なことは労政局長も来ておりますので、あとに廻しまして、大臣がほかに御答弁願わなければならない点がありますので、大臣から今労働関係法の提出見込みにつきましては一応のお話がありましたが、それ以外に今国会に労働省が出そうと考えております法案の概要について労働大臣から説明願います。
  63. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 ちよつとその前に堀木君の質問に関連して……、只今堀木君の御質問に対する御答弁の中で、提案の基礎は何かということに対する答弁の中で、労使間の円滑を図ることが目的である。従つて争議権によらないでこれを調整する方法を考えておるのだという御答弁があつたのでありまするが、そうするというと、提案の一番の基礎といいますか、根拠といいますか、そういうものは結局争議権の制限といいますか、そういうことに大体なつて来るのじやないかと思うのでありますが、若し、争議権の制限ということが労働大臣によつて考えられておるとしますというと、労働法規の改正法案というものは非常に憲法上も問題になりましようし、又労働組合の立場に立つ者に対しても非常に大きな影響を与えるのじやないかと思いますが、その点と、それからそれに関連してゼネスト禁止の問題でありますが、これは昨年の秋以来たびたび前労働大臣からもいろいろ説明があつたのでありまするが、その点に関しては今労働大臣としてはどのように考えられておるか、その二点をちよつと関連してお尋ねいたしたいと思います。
  64. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 争議権の制限の問題でございまするが、争議権は一応憲法で保障されておる問題でありまして、これはむやみに制限せらるべきでないことは当然であります。従つて私が先ほど申しましたように、独立後はできるだけ争議によらないで解決をしたい、併し争議はどこまでも原則は自主的に解決せらるべきものである、この趣旨は私は貫いて行きたいと思うのであります。併し過去の経験に徴しまして、自主的に解決をするけれども、解決しない問題も多々ございますし、又争議によつて解決される問題もございますが、その中には放つておいたのでは国家公共の福祉に重大な影響のあるものもあるのであります。その問題をただ憲法に争議権が保障されたからといつて、これを放置するということは、これ又憲法の私は精神ではないと思う。従つてそういう公共の福祉に重大な影響のあるものにつきましては、これを合理的に解決をするの途を開くということが必要ではなかろうかと、かように申上げている次第であります。  なおゼネスト禁止の問題は、これは法務府において従来治安上から考えられておつた問題でございまして、これは私から答弁をすることはできない状態でございますので、法務総裁にでもお尋ねになつたらどうかと思います。
  65. 原虎一

    委員外議員原虎一君) 労働大臣にお伺いしますが、行政機構の改革についての先ほど御説明がありましたのですが、労働大臣としてはいわゆる労働省と厚生省とを合併して一つの省にするということに対して如何なるお考えであるか、簡單に申しますれば、反対なりや賛成なりや。私どもが聞き及ぶところでは賛意を表されたということを聞いておるので、この点を明確に願いたい。  それから労働法改正案については、改正案を提出される時期はいろいろの関係があつて申されませんが、大体国会でどのくらいの審議期間を要する法律改正案であるか、この点のお考えを御説明を願いたい。参議院と衆議院においてどのくらいの審議期間があるものになるということをお聞きしたい。  それからもう一つは元に戻りまするが、時間がありませんから、この点だけをお伺いしたいと思いますが、特需工場契約を軍と結んでおりますが、その中にこういう契約條項が入つております。「この契約に基き作業遂行及び業務遂行のために業者に雇われた従業員即ち給仕或いは職員(労務者、書記、役付、監督、支配人)は若し契約官がかような人々の免職或いは雇用拒絶を書類で通告したならば如何なる職にあろうとも業者がこれらの人々を現職にとどまらせたり雇つたりすることはできない。」要するに独立した雇主である特需工場なり会社なり、個人であろうが、雇主に対して雇用権を自由自在にできる、こういう契約條項が入つておる。これは占領下にあるという点で、労働組合は知りながらこういう点は歯を食いしばつて我慢しておる。事業主が意気地がないからこういう條項に判を押した契約の下に働いておる。こういうことが独立後には起きないと思いまするが、先ほどの御答弁で行きますれば、堀木委員が心配されておりますように、理論的にギヤツプがある。特需工場において今後独立後行政協定においてはそういうことは絶対に排除できるという方法にやつて行ける確信をお持ちであるかどうか。この点を大臣から御答弁願いたいと思います。三つであります。
  66. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 労働省と厚生省が合体をして社会省になるという案が出ておりますが、これにつきましては先ほど申しましたように、私としては慎重に考慮をいたしておる途中でございまして、まだ賛成とも反対とも申しておりません。  それから第二に改正案の国会の審議期間でございますが、これは衆議院及び参議院において御審議になることでございまして、ちよつと私の方でも見当が実はつかないのであります。  それから第三の特需工場と軍との契約のことでありますが、これは先般本会議でも質問の出た問題でございまして、これはどこまでも注文をするものと注文を受けるものとの間の契約であります。その契約国内法を拘束するということはないのであります。国内法範囲内において行われるだけであります。その点は誤解のないように願いたいと思います。
  67. 原虎一

    委員外議員原虎一君) ちよつと御答弁大臣としての答弁でなしに学者の答弁でありまして、生きた事実があるものに対して労働省は処理していない。国内法を無視した契約であるからそういうことは相成らんということを労働省はちつとも政治を行なつていないじやないか、学者の答弁なら私はそれで納得しますけれども、労相の答弁としては相成つておらない。この点は私は基準監督局長にも会つたこともありますし、こういう事実は何と大臣が言われましてもあるのです。併しながらそれは今占領下にありますから、今私から申しましたように労働者も資本家も歯を食い縛つておる。こういう事実が行政協定ができた暁には断じて起させないという確信を持つて労働大臣はお臨みになつておるかどうかということをお伺しておるのであります。
  68. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 私は決していいとは思いませんが、併しそれはどこまでも注文をする人と受ける人との間の契約であります。どういう契約をしたからと言つてその契約が一々法に触れれば別でありますけれども、法に触れたときにそれは監督をする。従つてそういう契約に基いて法に悖つた違反行為をすれば、そのときにそれはいけないということはこれは言えるのであります。ですからそのことを私は申上げるのであつて契約したからと言つて契約がすぐ違反になるというわけには参らんと思います。
  69. 原虎一

    委員外議員原虎一君) 重ねて申上げますが、契約それ自体は法に触れないと言われるが、それに基いて労働者がびしびし処理されている。その事実を労働者が如何ともなし得ないじやありませんか、それを私は申上げておるのです。その契約国内法に反するものだから無効であると言つて労働組合がこれを無効として争えない、争つても勝てない現状にあるという事実をあなたが御存じないはずはない。でありますから行政協定ができれば、独立国家になればそういうことは起きないようにする確信があるかどうかということをお聞きしておるのであります。
  70. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 私が今まで調べましたところでは、法に違反したようには聞いておりません。法に基いて解雇しておつたように存じております。若し違反の事実がございましたならば、事例をお出し頂きたいと思います。
  71. 原虎一

    委員外議員原虎一君) こういう場合の解雇は、法律違反で行われるというふうに簡單に考える労働大臣はないと思います。労働問題は如何なることによつて圧迫を受けているかということは御存じのはずである。これは法律違反であるからいかんというふうな簡單な首切りをされるのではない。併しながら現実において特需工場主はこういう條文を楯にしてそうして首を切つている。事実が欲しいと言われれば幾らでも出します。労働省関係局が知らないとすればそれは局の怠慢です。私に言わせれば知つているはずであります。そういう詭弁では、私は真劍なこの労働問題を、その独立する場合において行政協定が如何になるかと心配しておる我々に対する答弁としては余りに詭弁ですよ。私はそういう事実が労政局長や労働課長等がないとここで答弁できるとは言えないと思います。私はそういうことは責めない。こういう事実があるから今後起きないようにしてもらいたい。行政協定の中に労働大臣はそのために骨を折つてもらいたいという気があるからこそ申上げておるのです。甚だ声は大きいが、余り詭弁的の答弁で私の真意を汲んでもらえないので情けない。私は労働大臣とつちめるという考えでない。こういう事実がある。而も首を切られた人間を連れて来いと言われれば連れて来ます。それは労政課などでは知つておるはずです。それを労働大臣は余りにどうも官僚的で大臣としての答弁とは思えない。
  72. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 私は決して詭弁を申上げておるわけじやございません。筋途を通して申上げておるわけであります、どんなことがあつても解雇してはならんということはないのでありまして、一定の事由があつて解雇することは止むを得ない。解雇が法に触れる不当の解雇であれば法はこれを守るでありましようが、その解雇が法に違反しない解雇であるならば止むを得ないということになります。私は決して詭弁を申しておるわけではございません。
  73. 原虎一

    委員外議員原虎一君) そこまで労働大臣が言われますならば、事実を以てお聞きいたしましよう。事実を知らないのです。労政局も労働課も知らない、そんな労働省ならそれは全く厚生省と一緒になつてもよろしいですよ。(笑声)これ以上は申しません。
  74. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 他に提出する法案の説明を願いたいと思います。
  75. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 他の法律といたしましては、保險法の料率を若干減じたいと思つております。これは大体諮問委員会の議も経ておりますので、近く提案いたしたいと思つております。
  76. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 他にありませんですか。
  77. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 今具体的には考えておりません。
  78. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 他に御質問ございませんか。   —————————————
  79. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 次に理事補欠選任に関する件を議題にいたします。自由党の一松議員が委員辞任いたしましたために理事一名が欠員となつております。従つて理事の互選を行いたいと思いますが、理事の指名につきましては委員長に御一任願つて異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 中村正雄

    委員長中村正雄君) では御異議ないと認めまして、理事安井謙君を指名いたします。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   —————————————
  81. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 次に委員外の議員の発言を求められておりますので、この際許します。
  82. 上條愛一

    委員外議員(上條愛一君) 私の御質問いたしたい点は、岡山県の正織興業会社労働基準法違反の告発に関する問題であります。これは正織興業の茶屋町工場において基準法違反が存在いたしておりますので、本年の一月二十五日に労働組合から岡山地検に告発状を提出いたしたのであります。なぜ基準監督署を通ぜずして直接に岡山地検に告発状を出したかと申しますると、これは昨年の十一月にすでに労働組合から基準法違反の問題を監督署に告発いたしましたけれども、今日まで何らの対策、処置を講じておらないのでありますので、今回は直接岡山地検に告発状を提出いたしたのであります。提出いたしました内容につきましてはお手許に資料を差上げてありますので、簡單に申上げまするが、一つは昨年の六月頃チーズ現場において従業員の食事時間を基準法によりますれば四十五分と規定せられておりますのを、約三分程度にとどめておるのであります。これが職場におきまして一番から四十二番までの成績表を作りまして、食事時間もはしよつて就業することを奬励しております。又それのみならず見廻りが参りまして、食事時間が余り長くなりますると、現場に追いやつておるという実情であります。これが一つであります。  それから次には昨年の三月から五月にかけまして、紡績の機械が新たに備付けられました関係から、約三十名の女子従業員に対しまして、午前五時から深夜の十時半に至る作業をなさしめておるという事実であります。  それから第三には、寄宿舍の寢室におきまして、十二疊半の広さでありまするので、これは基準法によりますれば七十燭光の電燈を付けなければなりませんのに対して、四十燭光にとどめておるという事実であります。それからその次には冬の防寒設備でありまするが、これに対しては火鉢等何らの処置が講ぜられておりません。ただ就寢後において湯たんぽを入れることが許されておるのでありまして、就寢前における防寒の設備は何らないという実情であります。それからその次には流水式の手洗裝置は勿論のこと、最小限度の手洗設備すらも設備されておらない。これらの諸点を挙げまして一月二十五日に岡山地検に告発状を提出いたしたのであります。  なお私の問題といたしたい問題は、岡山地検へ告発の手続をいたしましたので、岡山地検におきましてはその実情調査を岡山の基準局に託したのであります。そして二月四日に岡山基準局に組合の代表が参りまして問いましたるところ、すでに告発状による調査は完了いたしておる、而も事実はこれを認定いたしておる、併し正織興業におきましては、一月の十七日から今日なおストライキが継続されておる会社であるのであります。従つて基準局長は、争議中の企業の基準法違反を取上げることは、労使の一方に加担する憂いがあるので、局の立場としては争議中の告発はできん、こういう意見を申されたのであります。それで翌日の二月の五日に、岡山地検を訪れましてこのことを質しましたるところ、鈴木検事は基準局に調査を命じてあるので、そのほうと連絡を坂つてお答えをしようということでありましたので、翌六日に岡山地検へ尋ねに参りました。そうしたところが、鈴木検事は基準局と連絡を取つたのであるが、やはり争議中であるのでこれは処置を見合せたいということに決定いたした、こういう報告であつたのであります。それで私のお尋ねいたしたい問題は、このような基準法違反の問題は基準局みずからが取上げた場合におきましては、このような意向が或いは認められるかも知れませんけれども組合自体がこれを告発いたしておる問題でありまするので、争議中であるからいつ争議が片付くかもわからない、争議中であるからということを以て岡山地検から命ぜられましたるその調査を提出しないということは、これは職務怠慢であつて、又越権的措置ではないか、当然取調べが完了いたした場合におきましては、これを遅滞なく岡山地検に提出するということが当然ではないか、こう考えられるのでありまするが、この点について中央基準監督署は如何なる御見解を持たれておるか、承わりたいのであります。
  83. 龜井光

    政府委員龜井光君) 只今お話のございました正織興業の事件につきましては、お話の大体の事情そのままでございまして、昨年十月十七日に労働者から申告がござましたので、直ちに所轄の倉敷労働基準監督署の監督官が実地の臨検をいたしまして調査をいたし、違反の事項を発見いたしたわけでございます。なおその後これに関しまする詳細な調査をいたしまして、一応内容を全部完了はいたしたのでございまするが、只今お話のございますように、たまたま争議中でございましたので、検察当局と連絡をいたして告訴すべきか、すべからざるかという問題の連絡をいたしたのでございます。勿論その場合には調査の事項につきましては、内容を十分検察当局にも連絡をいたしておるのでございまして、何ら連絡しなかつたという先ほどのお話は、私らの受けておりまする報告では出て参らないのでございます。ただ今申しまするように、丁度争議中でございましたので、これを直ちに告発することがこの争議の問題との関連において円滑に処理されるかどうかという問題で見送つてといいますか、見守りながらその動きを見ておつたのでございますが、最終的に検察当局と打合した結果、時期としまして告発すべき段階に来ておるという結論になりまして恐らく今日か明日正式告発の手続をとつておるはずだと思います。
  84. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 最高検察庁から検事のかたが見えておりますが、何か御質問ございませんか。
  85. 上條愛一

    委員外議員(上條愛一君) これはあとで私又検察庁に御質問いたしたいと思いますが、続いて基準局長にお尋ねいたしたいと思います。これは私ども中小企業の組合運動に携つておりまして実情を見ますというと、中小企業における基準法違反というものは、これはもう常識的になつておるのであります。至る所にあるにもかかわらず、これが今日取締が嚴格に行われておらない。その原因は基準監督官の不足に基くものであるか、或いは基準監督署というものが基準法違反に対して熱意を以てこれを実施するという機構になつておらないのであるかどうかという点を承わりたいのであります。
  86. 龜井光

    政府委員龜井光君) 中小企業におきましていろいろ違反の事実があるというお話でございます。その原因が基準監督官の数が少いために手が及ばないかどうかという御質問でございます。この問題につきましては、我々としまして基準監督官の数そのものにつきまして検討を加えるよりも、むしろ如何にすれば基準監督官がその本来の業務でございまする草鞋を履いて現場において監督をして行く業務に十分精力を集中し得るかどうかという問題を検討いたしておるのでありまして、現在の監督署の事務の内容を検討いたしますると、相当内部事務といいますか、机の上の事務が非常に多いのでありまして、そういう面に相当の精力が割かれておりまして、そういう関係で外に直接出ます監督の不足を来しておるというのが実情でございますし、又予算の面で旅費その他につきましてもそれらの制約が今まで加えられて参つておるわけであります。そこで私としましては、できるだけこの内部事務、監督官の行います机の上の内部事務はできるだけこれを少くいたしまして、第一線において直接監督をし得る余力をできるだけ作つて行きたいというふうに今研究をいたしております。又予算につきましては、来年度予算は本年度予算に比べますると、監督官一人当りのいろいろな予算が若干増加をされて参つておりますので、この面からも今後是正をされて行くのじやないかと、かように思つております。  それから第二点の問題はこういうふうに監督が十分に行かないのは、機構の上で、或いは監督官の熱意が足りないのじやないかというお話でございます。この問題は私ら監督官の質の問題と関連するのじやないかと思つております。従いまして今までの監督官というものが監督官試験を受けて、それに合格しまするとすぐ監督官になれる、従つて年の若い、社会的な経験の少ない監督官というものが試験制度の結果生れて来ておるのであります。従いまして、この問題は監督官の質の向上ということに関連しまして、監督官試験というものにも延いて今検討を加えておりまして、できるだけ質のいい監督官を今後採用して行くという方法と、更に又現在の監督官につきましても再訓練を施しまして、その資質の向上を図つて、熱意という問題ではなくして、その質の問題からいたしましてこの問題を解決して行きたい。熱意におきましては何ら私としまして熱意がないということは言えないと思うのでございまして、ただ組織の面、或いは先ほど申しました内部事務の点でいろいろやりたいができなかつたというふうなこの態勢を何とか早く是正したいというふうに思うのであります。  それからもう一つ申上げたいと思いまするのは、監督は結局労働基準法で守られておりまする労働條件を維持向上させるがための手段として監督を行うわけであります。従いまして、監督のための監督、いわゆる摘発主義というのを我々としましてできるだけ避けて行きたい。摘発した結果において何ら労働條件が維持改善されていなければ意味のないことでございますので、專ら違反の是正という点に重点をおきましてこの行政運営をして参りまして、その是正の段階におきまして、極く悪質なものにつきまして、それを司法処分に附して行くというような大体の考え方でやつておるわけでございまして、従つて違反があつたらすぐ司法事件に廻わすというふうには我々としてしたくないという考えであります。
  87. 上條愛一

    委員外議員(上條愛一君) 私は必ずしも告発せよということを申上げておるのではないのであります。現在中小企業を中心にして到る所に違反があるにかかわらず、これを減少ぜしめ、若しくは根絶せしめるということが実際に行われておらんのであります。これが少数の工場でありまするならば我々はこのようなことを申上げるのではないのであります。中小企業の多数というものが現に基準法違反が続出しておるにかかわらず、これを少くとも処置できないという現状は、これは今申上げたような理由で捨ておくべき現状ではないと我々は考えておるわけなんであります。殊に私ども繊維産業における中小工場の現状を見まするときに、繊維工業は外国からもチープレーバーと称されて攻撃を受けておる現状であります。そこで我々労働組合の存在しておりまするところにおいては、大工場におきましては私ども数度の賃金引上げによりまして、他産業並みに労働條件を引上げんとして苦慮いたしております。併しこれらの大工場における労働條件が中小企業においては遥かに労働條件が低劣でありまするので、これに引きずられて容易に向上することが困難な実情にあります。又中小企業相互間におきましても、労働組合のあるところにおいて労働條件の改善をいたそうといたしまする場合において、全国の同種業者において労働基準法すら守られておらないという状態でありまするので、その組合の存在しておるところのみを引上げるということがなかなか困難なる実情にあるのであります。そこで私が労働省に申上げたい問題は、現在の繊維産業のチープレーバーを打破しようといたしまするならば、最低限度において労働基準法を嚴守せしめるということから始めなければならないというのが私どもの考えであります。今日大工場においては相当この労働條件がよくなつておりますが、繊維産業全体を総決算いたしますれば、遥かにこれはチープレーバーでなおあるのであります。従つて労働省といたしましては、この労働基準法を少なくとも実施せしめるということが労働政策の第一の條件でなければならないと考えるのであります。然るに今日中小工場その他において労働基準違反が続出しているにかかわらず、今日まで有効適切なる措置が講ぜられないということは、これは甚だ労働基準局の怠慢であると言わなければならないと私どもは考えているのであります。殊に染色工業の実情を申しますれば、これは赤松議員が先般実際に食堂から持ち帰つたこれは食器であります。これは汁も飯も両方盛つているものであります。このような食器を用いている所は極く少ないとは思いまするが、これは御承知通り金鑄物でありまするが、熱い汁を盛りまするというと、これは唇が火傷いたします。若し飯を盛りますならば、冬などにおきましては冷たい飯を盛りましてこれを食うということになれば、これは非常に冷たくて食べられるものではないのであります。こういう実情の工場というものは少くはまだないようであります。それで私どもはこの労働基準法適用されているかどうかという問題は、これは日本労働階級にとつては重要な問題であると考えているのであります。然るに今旦至る所に労働基準法違反が続出しているにもかかわらず、これに対して労働省が何ら適切有効なる処置を講ぜず、殊に労働組合から告発したるような事件に対して、明らかにそれを認めているにもかかわらず、これを遷延せしめる、或いはこれに急速な措置を講じないというようなお考えでは、今日の労働基準法の違反を絶滅せしめて行くというようなことは困難であると我々は考えているのであります。従つて労働省においては今申しました事情もありましよう。併しこれらの事情は速かに克服して、これは予算が足りないならば予算を提出すべきであると我々は考えます。それから机上の仕事が多くて現地に赴くことができないという、いわゆる基準監督官の不足でありまするならば、これは補うべきであると我々は考えております。先般の臨時国会における行政整理の問題でも労働基準監督官を減らしている。あのときも私は減らすべきではない、むしろ増加すべきではないか。これは国家の重要な問題ではないかということを申上げたのでありますが、徒らに今日のような現状に放置せしめるということは、これは労働省のとるべき策ではないと考えるのでありますが、この点について急速に労働基準法適用を実施せしめるような明確なる御方針がありまするならば、この際お示し願いたいと考えるのであります。
  88. 龜井光

    政府委員龜井光君) 只今お話のございましたごとく、女子年少者の問題は、とかく日本がチープレーバーというふうな諸外国からの戰前のそしりをそのまま引継いで現在も疑惧の目を以て見られておりまするだけに、我々としましても監督行政の重点としましては、本年度におきましても又来年度におきましても、当然重点を置いて運用したい、かように思うのでありまして、いろいろお前の趣旨につきましては、今後十分注意をいたしまして、できるだけ速かにこれらの事案が円滑に処理されて参るように努めたいと考えております。  なお基準法違反の中で、女子の労働時間及び休日労働等の法律違反の件数を法施行当初より見て参りますると、大部分減つてつておるのでございまして、例えば全体の実質的な違反件数の比率で見ますると、昭和二十三年は三・九五%、それが二十四年になりますと、三・四五%、二十五年は少し殖えまして三・七六%になつておりまするが、それが本年におきましては三%というふうに低下して参つておりまして、これらは私らが女子年少者の保護の問題を監督行政の重点として施行して参りました本年度の実績としまして、効果を挙げて参つて来ておるのじやないかということを裏付けると思うのでございまして、来年度の基本方針としましても、この問題を重点的に処理して参りたいと、かように思います。如何なる方法によつてこれを処理して参るのが適当であるかという問題については、先ほども申上げましたように、監督官の質の問題、或いは監督官が本当に監督し得るように内部陣を整備いたしまして、精力を現場におきまする監督に集中し得るような態勢を急速にとつて行くというふうに考えております。
  89. 中村正雄

    委員長中村正雄君) ほかにありませんか。
  90. 上條愛一

    委員外議員(上條愛一君) 時間がありませんから……。
  91. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 検察庁のほうはいいですか。
  92. 上條愛一

    委員外議員(上條愛一君) 検察庁のほうはあとで……。
  93. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 一つ一つずつ片付けましよう。あなたの場合は時間もありませんので、成るべく簡單に願います。
  94. 上條愛一

    委員外議員(上條愛一君) 簡単に申上げたいのであります。これは岡山県の備前興業の茶屋町工場に起りました事件でありまするが、これは一月二十八日にすでに岡山地方検察庁の鈴木検事の名前を以て岡山地方裁判所に告訴が提出されておる事件でありまして、男が八名、暴力行為等処罰に関する法律違反で公訴せられた。それから婦人七名が二千円以上五千円以下の簡裁略式命令を以て罰金刑に処せられた事件であります。事件内容はお手許に差上げてある参考資料に書いてありまするが、概略かいつまんで申上げますれば、ここは十二月の七日からストライキに入りまして、本年の一月一日、約二十四日間のストライキが行われた工場であります。このストライキ最中に十二月の二十一日でありまするが、従業員全体約百数十名が、争議が片付きませんので、解決の促進の意味において相賀という取締役、織物部長の宅に陳情に参りまして、奥さんにお目にかかつて、御主人に早くこの争議を解決するようなふうにお取計らいを願いたいという意味で部長宅を訪問いたしたのであります。ところが父親が出まして、妻は電気器具を買求めに倉敷に行つたから留守であるということで面会を拒絶いたしたわけであります。ところが事実は奥さんを見たものもあり、それから電気工夫が当時三名入つておりまして、電気工夫に聞いたところが、奥さんはおるという話でありました。それで電気工夫が中へ入りますときに、枝折戸が空いておりましたので、枝折戸から中庭へ入つて奥さんの母親に面会を求めたのであります。母親が出て参りまして、やはり留守を使いました。そこで多少のいさかいがあつたようであります。ところが最後交渉の結果、代表者だけ奥さんにお目にかからせるというので、中庭に入つた婦人組合員を皆出しまして、男の代表者数名が中庭から縁側へ参りまして奥さんにお目にかかつたのであります。お目にかかるときは火鉢も出して頂き蒲団も敷いて面会いたしましてお願いをいたしましたところ、他の重役の意向もあるのであるから、自分の主人だけでこの問題の解決は困難だと思うけれども、その点はよく主人に伝えようということで、引揚げて参つておるのであります。ところがこの公訴事件を見ますというと、一つはつまり母親に対しまして生命、自由、財産の脅威を受けるような脅迫をいたしたという暴力行為の第一條によるところの事実、それからいま一つは家宅侵入の、住居侵入の刑法第百三十條による処罰、この二つであります。ビラは成るほど私も実地に部長宅を訪れまして見ましたけれども、塀の廻りに多くのビラを貼つた事実はあります。それから中庭へ入りまして便所の附近にビラを貼つた事実もあります。併し何びともその家には上つておらないのであります。事実はこれだけの事実であります。これだけの事実に対しまして即刻倉敷警察署と検察庁が十日間に亘りまして全部の従業員を喚んで調べたのであります。そして婦人組合員に対する調べ方なども手錠をがちやつかせて調べております。又或る取締りの警察官のごときは、婦人に対する最大の侮辱を加えた処置をとつておるのであります。私の検事総長にお尋ねいたしたい問題は、いずれは取調べの根拠があつて取調べておらるると思う。かように思いまするが、このような事件に対してこのような大掛りの取調べ方をいたし、且つこれらの人々に対して、殊に女子に対しまして、このような問題に対して簡裁略式命令を以て七名に対して罰金刑に処するというような、このような処置というものは、これは一つは国家権力の濫用の傾きがあるのではないか。殊に労働運動に対する不当な弾圧のごとき印象を強めるのではないかと考えらるるのであります。  いま一つ事件は、これは同じく備前興業の乃木工場に起りました事件でありますが、事件を簡単に申上げまするならば、争議最中におきまして裏切り的の行動をとりました婦人の組長級の人が七名、争議が終りましてから後におきましてもこの態度が改められなかつたのでありまするので、争議が終りましてから一月十二日に、寄宿舎の三つの部屋にこの七名のかたがたを訪れまして、そうして態度を改めて仲好く一緒にやつてもらいたいという話合いをいたしたのであります。そのときに七人のうちの一人が押入れに隠れておりまして、陳情の人々がその部屋を引下つたあとで、廊下に出られませんので、窓を明けて去つたのであります。それを新聞紙上、ラジオ等においてでかでかに報道いたしまして、寄宿舎のつるし上げ事件として報道いたしました。殊に婦人の組合員の五名の名前を挙げてラジオ及び新聞でニユースにおいて宣伝せられたのであります。ところがその事件に対しまして直ちに検事局の検事五名その他を合せまして約十五名の人々が会社に出勤いたしまして、約十数時間に亘つて取調べを行なつております。これは幸いにいたしまして不起訴になつたようでありまするが、その新聞紙上に名前が出ました西部という女の子のごときは親の指示によりまして会社をやめております。事件はそれだけでありまして、私も寄宿舎の部屋を廻つて見ましたが、窓から出たというのは普通の高さの窓でありまして、それは脅迫によつて何も窓から出たのではない。暴力を振つたわけでもない。許可を得まして部屋に入つて、そうして素直にその話合いをいたしたに過ぎないのであります。このような事件に対しまして、検事局がこのような大げさな取調べをするということは、私は繊維産業においては婦人組合員が約八割を占めておるのであります。それらはいずれも結婚前の年少者であるのであります。こういう中小企業の争議に対しまして検察庁がこのような大かがりの取調べを行うということは、私は労働階級に対して明らかに国家権力に対する信頼を失うことになるのではないかと考えるのであります。これが三越のような、或いは京都市電のような大きな争議になりまするならば、このような問題が起りますならば社会的な問題になるのであります。ところが岡山の一角に起りましたこのような微々たる中小工場における彈圧に対しましては、これは社会的には何らの力を有しないのであります。併しながら私どもの考える点は、このような御処置をなさるということになりまするならば、これは労働階級が国家権力に対して信頼を失うのみならず、このような不当の彈圧をすれば今後は国家権力と対抗して行かなければならないという意識を強めて、これは国法の今後の実施の上に重大なる影響を及ぼすのではないかと考えるのであります。  いま一つ御配慮を願いたいと考えまする点は、このような婦人労働者、年少の婦人労働者の中小工場でありまして、労働組合号運動はこれはなおはしりであります。糸ぐちであります。多数の中小企業におきましては労働組合は存在いたしておりません。これは一つには中小企業においては封建的色彩が強い経営者が容易に労働組合を作らせまいとあらゆる努力を払つております。従つて民主的労働組合をこの中小企業において組織することは困難である実情であります。このような芽生えの労働組合運動に対しまして、このような処置がとられるということになりまするならば、自覚したる人々は先ほど申上げましたごとく国家権力に対する不信用を強めるということになります。それから自覚せざるところの婦人労働者というものは萎縮いたしまして、正当なる労働組合運動を再び行おうという意識を消滅せしめて参ると考えるのでありまして、私は現に備前興業の場合におきましても、あらゆる告発されました人々と面会をいたしまして、殊に罰金刑に処せられました七人の婦人のかたがたにお目にかかりました。ところがこれらの人の一番心配いたしますることは、このような罪科を負わされるということになれば、結婚の場合に非常に支障を来たすのではないか、又父兄の諸君が非常に恐れをなしておるのであります。こういうことになりまするならば、折角中小企業において民主的な労働組合を作つて、基準法の第二條に規定されておりまするごとく、労使は対等の地位において労働條件の取きめをなすべしとこうきめられております。労働組合を作るということすら今後は困難にますますなると考えるのであります。併しこのような民主的な労働組合運動が中小企業において困難ということになりまするならば、その結果はどうなりましようか。このような悪條件で、基準法すら実施されておらないようなこの中小企業の低劣なる労働條件のままに放置して、而も国法に許されたる労働組合すら組織しようという熱意を従業員が失うということになりまするならば、これは要するに左右のフアツシヨ的勢力を擡頭せしめて中小企業を共産主義の温存の場所とせしめるという危険がないとは保しがたいと私どもは考えるのであります。従つて検察庁は、このような法律に触れたという理由は立つであろうと思いまするけれども、その法を適用する場合におきましては、それらの職場の実情、それらの労働者の生活状態、又労働争議の実情等を十分に勘案せられまして、これは御処置を願うということが当然ではないかと私は考えるのであります。この問題の直後に私は岡山の検事正をお訪ねいたしまして、この問題のことについて懇談をいたしました。そのときに検事正の申さるるには、あのように部長宅に、自分の家にでもビラを貼られるというと私どもも気持が好くなくて憤慨する、こういうお言葉でありましたので、私は申上げた。私といえどもそれは自分の塀にビラを貼られて気持がいいとは考えません。併し気持が悪いということ、個人が憤慨するということと、このような問題に対して国家権力がこのような発動をして取調べをしなければならないかどうかということについてはおのずから別個の問題ではないかと我々は考えておる。で私の検察庁にお尋ねいたしたい問題は、今回岡山検察庁のとられました、この備前興業茶屋町工場並に乃木工場に対してとられましたこのような御処置が妥当であるとお考えになるかどうかという一点。それからいま一つは妥当でないとするならば、このような取扱が今後起らないようなふうな御配慮が願えるかどうかというこの二点についてのお尋ねをいたしたいと考えるのであります。
  95. 松本武裕

    説明員(松本武裕君) 私最高検の労働係の松本検事であります。備前興業の茶屋町工場の問題でございますが、現在事件は裁判所に係属中でございまして、その法律関係とか、或いは証拠関係の問題は法廷で論議さるべき問題だとこう考えます。ただ私のほうは書面で報告を受けたのでございますが、現われました起訴状によつて判断いたしますと、かような事実に対してかような程度の処分をするのは妥当であると私は考えております。  なお婦人組合員に対する取調べの方法でございますが、さような不当な調べがあつたかどうか存じませんが、若しあつたとしますると、その点仰せの通りまさしく不当な調べであると存じます。なおこの争議中に検察庁が取調べをいたした点でございまするが、私らの建前といたしましては、若し如何なる事件でございましても、違法行為が発生いたしますと直ちにこれを調べるというのが建前でございまして、ただ事件内容によりましては、例えば争議中に捜査に着手いたしますといろいろ悪い影響を与えるという点も顧慮いたしまして、調べを差控える場合もございまするが、本件のごときは個人の私宅に多勢押し掛けて相当個人の法益を侵害いたしておる、更にこれを若し放置いたしますと、同種の事件が更に起る可能性がある、現に他の工場で同種の事件の例もあつたようでございます。さような点を考えまして、検事としましては直ちに捜査に着手し、そうして処分したのだろうと思うのでございます。  次にこの備前興業の乃木工場でございますが、女工のつるし上げ事件と申しますか、そのほうの関係でございますが、これも報告書によりまして現われた事実を見ますと、一部の女組合員が暴力行為に該当するということは明白だと私は考えております。但しいろいろな事情を斟酌しまして起訴猶予、不起訴処分にいたしたのでございますが、この調べをいたしましたときはすでにストライキも済んだあとでございまして、争議を彈圧するという形ではないと思います。又報告によりますると、被害者の五名の女の工員が自分らは毎日つるし上げに会つて非常に不安を感じている、速かに救援してもらいたいということを詳細に書面に認めまして検察庁に直接出したものだそうでございます。従いましてかような場合、検察庁が直ちにこれを捜査するというのはあながち不当ではなかろうと思うのでございまして、ただ数名、報告によりますと、検事二名、副検事一名、検察事務官二名でございまするから、合計五名でございますか、五名の検察庁の職員が寄宿舎に参りまして、朝から晩まで調べたと申します点が相当刺激したと考えるのでございますが、何分大勢の関係者を至急に調べる必要があるという建前から宿舎に行つて調べますると何かと便宜でございまするし、又現場、つるし上げしたという部屋を実際に見ました上で事情を聞くということは非常にわかりもいいという関係、或いは又女の工員を大勢検察庁なり或いは警察に呼出しますと、相当目立ちもいたしまするし、却つて又女工員としてはさような所に出ることをいやがるという面も考えまして寄宿舎に行つて一日のうちに調べたのではなかろうかと、これは私の想像でございます。そういうような点を考慮いたしますと、あながちこれは不当とは申しがたいと私は考えるのでございまして、私らも現地で仕事をいたしております場合は、例えば、学校内で或る事件が起つたという場合にわざわざ学校に行きまして、学校の生徒を多数調べたという経験もございまして、あながち不当な扱いでなかろうと思うのでございます。
  96. 上條愛一

    委員外議員(上條愛一君) 簡單にもうちよつと今のお答えに対して御質問を更にお許しを願いたいと思いますが、私は決してこの備前興業の茶屋町の事件について、その内容についてかれこれ申上げておるわけでは毛頭ないのであります。これはそれぞれ公判において論議せらるる問題だと思いまするが、ただ問題はこのような問題に対してあのような大掛りの処置をせられるということが妥当かどうかということを申上げているわけでありまして、これは書面によらずして検察庁はできまするならば、現地についてよくお取調べをなお願いたいと私は考えるのであります。それからいま一つは五名のものが書面を以てということを申上げた、單にその五名のものが書面を以て出したということが自発的にやつたかどうか、或いは会社の使嗾によつてこれは行われたかどうかというようなことは重要な問題だと考えるのであります。殊に御了承願いたい問題は、備前興業においては争議が片付きましてから後の仕事振りというものは争議前よりも一割程度の能率を上げておりまして、会社の当局のかたも、全繊同盟の労働組合の指導がよろしいということを申しておる実情であります。これはお調べ願えばすぐにわかる事実でありまして、殊にいま一つ申上げたいのは、備前興業の社長の龜山さんは岡山県における公安委員の一人であります。従つて岡山においてはこのような大掛りの彌圧があつたのはこれに基く影響が強いということを專ら噂をせられておるのであります。私は決してそのような噂を真実と受取つておるわけではありません。併しこのような問題が検察庁、警察で取上げられましたその背後においては、会社自体の処置が相当とられておるということだけは明らかな事実であるのでありまして、従つてこの寄宿舎の問題にいたしましても、十分この点を御調査を願いたいと考えるのでありまして、單に書面を以て五名の者が出したというような形式的のことを以てこのような処置がとられるべきことが妥当であるかどうかという問題については我々は甚だ不満を持つておるのであります。私は検事正にも申上げたが、このような事件は兄弟げんかをしたことと同じじやないか組合内部の問題であつて、これが、何か暴力を振つたとかいうような問題であるのではないのであつて、ただ話合いでお互いに同じ寄宿舎に住んでいる人々が話合いをしたという程度であるに過ぎないのであるのに対して、どこからどのような径路を経てこのような問題を取上げたかということは今わかりましたが、五名の書面に基くと申しまするけれども、この書面が必ずしも本人の自発的のものであるかどうかということが重要な問題であると考えられるのであります。かい摘んで結論を申上げますならば私の検察庁にお願いいたしたい問題は、そのような形式の問題にあらずして、実際にこのような処置がとられるということが労働組合運動に対して妥当な処置であるか、今後このような処置が今後の争議においてとられるということになりまするならば、これは労働組合運動を萎縮せしめ、正当な民主的の労働組合運動を萎縮せしめて、そして日本における民主的の労組の発展の上に悪影響を及ぼすと考えられまするので、検察庁は十分この点について御配慮を願いたいということが私の質問の要旨でありまするので、御了承を願いたいと思います。
  97. 松本武裕

    説明員(松本武裕君) 一言申上げますが、先ほど報告書と申しましたが、報告書が基本でございますが、幸い昨日広島の検事長が上京いたしましたので、検事長からもこの事情をよく聞いた上の回答でございます。なおこの五人の被害者の申告でございますが、果して自発的になされたものかどうか存じません。検事としてはわからんのでございます。これはさような申告がありましたので、捨てては置けないと考えて調べたところが、大した事件でもなかつたというので不起訴になつたのだろうと考えております。一般に私らのほうといたしまして、争議中の事件に成るべく刺激せんように注意するということは常に考えておるのでございまして、他の争議中の例にお考え願いましても、むしろ一面から何で検察庁なり警察が乘出さんのだというふうにお叱りを蒙むるほど自重いたしておるつもりでございます。決して争議を彈圧するとか組合の運動を彈圧するという気持は毛頭ないということを申上げておきたいと思います。
  98. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 先ほど皆さんの御承認を得ました委員発言赤松君につきましては、時間も非常に経過いたしておりますので、次回に発言をお願いすることにいたしたいと思いますが、如何ですか。
  99. 赤松常子

    委員外議員赤松常子君) ちよつと一点だけ極く簡単に。私も蕨綿業工場に起きました悪質な労基法違反事件について御質問申したいのでございますけれども、時間が過ぎましたので私の発言は、次回に保留いたしたいと思つておりますが、ただ一点、時期の問題がございますので御注意申しておきたいと思うのでございます。それは埼玉県の戸田町にございます蕨綿業工場に起きた違反事件でございますが、最近に起きましたのが十二月でございまして、一月九日に浦和の山田監督官が調査行つておられます。前後三回行つておられますようでした。私が参りましたのは一月の下旬に参つたのでございますが、たまたま違反事件がございましたけれども、この設備の改善につきましては一向に取上げられていないということでございました。時間外労働であるとか、休日労働は禁止されたようでございましたけれども、寄宿舎の設備の問題、いろいろな不備な点の改善などは少しも坂上げられていないという実情を私見て参つたのでございますが、こういう実際のことに対するその後御指導をどうしておいでになるのでございましようか。これは早くして頂きたいとも思うわけでございますので、ちよつと……。
  100. 龜井光

    政府委員龜井光君) 詳しいお話はこの次に廻しまして、今の御質問にお答えいたしますると、先般社長に私どものほうへ来て頂きまして、その後の改善の状況を直接お聞きいたしました。埼玉局の報告と共に直接お聞きいたしたのでございますが、この資料にもございますように、時間外労働、それから深夜業その他のものはすべて解決されております。それから施設につきましても、寄宿舎は近く棟上式をしまして、三月一ぱいには完成するということを社長ははつきり言明いたしております。この問題も御心配なく近く解決するのじやないか、かように考えております。   —————————————
  101. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 次に村尾重雄君から議員派遣の要求が出ておりまするので、次に行きます。
  102. 村尾重雄

    村尾重雄君 時間がありませんので極く簡單に申上げますが、御承知のように、昨年のマリク声明があつてからのち、朝鮮事変が終結するのではなかろうかということから、非常に世界的に需要が減退したことと、又その他世界的に経済変化に伴つて日本の繊維産業が、その他の産業もそうでありましようが、非常に危機に立つておるような状態に相成つておるのであります。特に北陸三県のうち福井県下の人絹、並びに絹の機業というものが今日の現状では惨憺な状態になつておるということは、それぞれ福井県下の業者なり、その労働組合からも国会並びに政府の大蔵、通産省、中小企業庁等にいろいろと陳情が今日度重ねてなされておるということを聞いておるのであります。そこで、政府においても、又衆議院通産委員会、参議院の通産委員会においてもそれの対策をいろいろ講ぜられて、聞きますところによりますと、一月の三十一日だと思いまするが、参議院通産委員会で、福井県下の事情、並びに北陸関係県下の事情調査のために議員が派遣されるということを伺つたのであります。ところが、その機業の非常に悪いということは、労働條件の立場から見ます場合に、これ又最悪な状態を呈しておる有様なんでありますので、これは單に通産関係だけでなくして、やはり労働委員会からもこれに伴うて労働事情の調査が非常に必要ではないか、こう思いますので、非常に私説明は簡單でございますが、実は提議申上げたようなわけなんであります。
  103. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 只今提案のありました福井県に対しましての労働事情調査のための議員派遣の要求ですが、如何ですか、派遣することにいたしまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 中村正雄

    委員長中村正雄君) それでは派遣の議員数、並びに氏名、日時等につきましては、各委員に御相談申上げますので、委員長に御一任願うことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 中村正雄

    委員長中村正雄君) それではさように決定いたします。   —————————————
  106. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 次に次回の委員会の開会ですが、前の国会からの先例もありますので、当分重要な法案のない間は毎週金曜日ぐらいに開くことにいたしまして、又重要なことがありましたら御相談申上げまして臨時に開くということにして、次回の委員会は来週の金曜日ということにいたしまして御異議ないでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 中村正雄

    委員長中村正雄君) それではさよう決定いたします。  本日はこれで散会いたします。    午後四時十五分散会