○原虎一君 これは重ねて恐縮でありますが、
吉武労働大臣の
考え方は、御説明の通りに仲裁
委員会が
地方公共団体の、或る
意味では
予算権を侵害するという
意味になる。併しその仲裁裁定が労使双方を拘束するということと、
地方の最高機関たる議会がこれに承認を與えるか與えんかということは、私は別個に
考えるべきだと思う。一応仲裁裁定は労使双方を拘束するが、そこで民間会社と違
つて、この
使用者側、即ち
公共団体は議会の承認を経るまでその施行ができない。ここに初めて長を相手に仲裁裁定ができる、長を相手にすべての問題を調査し、処理する知識と気持に仲裁
委員をしてならしめる
ところの私は基本的なものがあると思うのです。それなくして議会を相手にやる、議会は数十人の
委員の決定を待たなければ、その議会の長といえ
ども意思表示はできないのでありますから、そういうものを対象に仲裁
委員がものをきめなければならんということは、仲裁
委員は蔵林敬三氏の言を待たなくても、のれんに腕押しと申しますか、
労働組合側は
法律によ
つて代表者が
責任を以てものに当り、
理事者側のほうはこれは議会の長か、団体の長か、どちらに
責任があるかわからない。結局議会の決議を待たなければ拘束を受けないというのでは、仲裁
委員会というものは、これは一体仲裁
委員会が何を相手に、何を根拠に、何を信頼して自信を以て仲裁裁定ができるか、
従つて仲裁裁定も議会がきめるのだからいい加減でよろしい、長は議会がきめるのですから、それぞれ仲裁
委員の諸君や
つておいて下さい、議会の長は議会の皆さまが集
つてきめるのだからいい加減にや
つておいて下さい、こういう結果になることは、今まで国の公労法の適用の経過においても明らかだと思う。従いまして岡野
大臣は御存じないから、
労働大臣の
解釈が正しいとお
考えにな
つておるかも知れませんが、
地方の
公共団体の労使
関係はこの
法律でうまく行くとは
考えません。必らず
地方の
公共団体のいわゆる公営事業の問題は、仲裁まで行かなければ大体解決付かないのが原則であります。その仲裁があやふやな問題になるということは仲裁裁定を履行さすために、そのための
争議がもう髪一筋の、法を破るか破らんか、髪一筋の問題が起きて来ることは火を見るよりも明らかであります。そういう不完全な
法律をなぜ作
つたか、なぜお直しにならなか
つたか、私は繰り返して申しますけれ
ども、長が飽くまで仲裁裁定を履行するために努力する手続きをする
責任があるという條文を入れることは、なぜ悪いか。そうして
予算上、資金上できないということをきめるのは、最高の機関である
ところの議会であります。こういう場合長が仲裁裁停の履行のために議会に持ち込みましても、議会がそれはできないから半分しかやらないと言うこともできれば、全部やらないと言うこともできるのです。又それを殖やしてやることも議会はできるのであります。長が仲裁裁停の履行をするための手続上の
責任を負わなくてもいいというふうな
法律があることは、公労法よりかまだ改惡であります。この点が公労法によ
つて今まで審議し、今まで参議院
労働委員会が、公労法の第十六條でありますか、この問題を五年間に亘
つて研究してそれぞれの
関係者、当事者から
意見を聽取した結論がすでに出ておるのであります。その結論は明らかに私が申しますように出ており、それは改進党の堀木
委員がおられれば堀木
委員なんかも小
委員としてその條文修正を作られた、そこに参議院の意思は明らかにな
つておるのでありますから、
労働委員長は然るべく……、この
法案の一番大事な
ところはここであります。折角
団体交渉権、
団結権を與えながら、仲裁裁停が議会の承認を経なければならんということのために、そのために
ストライキが起きないとも限りません。ハンガー・トライキなんか絶えず起きるということは想像できるのであります。
地方の長の家を夜夜中に訪問するというような問題が起きて来るのであります。そういう不備な
法律を本参議院が作
つたのでは、天下
国民に対して相済まん、どうか
労働委員会はその点を十分に意に留められて御修正あらんことを切望いたします。