○岩間正男君 幻想という
言葉がはやり出して、濫発されて困るのでありますが、もう少し慎んで、
日本用語については
吉田内閣は研究する必要があると思う。実際に……。実に的確でありません。
日本用語をはつきりや
つてもらいたい。これは余談でありますけれども……。
そこで私は先ほどからいろいろな要素を挙げたのでありますけれども、この中で新たに問題にな
つておりますところのマ声明によるところの一億五千万ドルのいわゆる新特需といわれる問題であります。これによりますというと、兵器製造禁止がこれは一方で解かれた。そういうことによりまして
日本の今後の兵器生産というものがこれは期待される。こういう形で
吉田内閣の政策は進められていると思うのでありますけれども、大体この兵器生産というものに対しましては、一体こういう期待を持
つていいのであるか、殊に私は問題にしたいと思うのでありますけれども、まあ蔵相は先ほどから
日本のこういうような経済の好況というような一時的な、誠に頼りにならないところの好況を謳歌されておるのでありますけれども、我々はここでやはり
一つのこういう
財政経済の倫理性とでもいうような問題について考えてみなければならないと思う。大体特需に期待する或いは兵器生産、こういうような問題が起
つておるのでありますけれども、一体この兵器の蔭では、例えば朝鮮の戦域におきましては百数十万の人々が爆撃にさらされている。そうして家を失い財を失い、或いは死傷しておる。又
米軍においても十数万の人々が死傷しておる。こういう点から考えますときに、
日本のこのような兵器生産というものは、これは法理的にはいろいろ問題があるところでありますが、この点は一応おくにいたしましても、一体果して
日本国
憲法の精神に副うものであるかどうか。こういう点から考えて、こういうようなはかない戦争を期待し、戦争依存の経済政策をと
つて行くということが、果して真に正しいところの途であるかどうか、殊に私は
憲法の前文に問題があると思うのであります。念のために読み上げたいと思う。
憲法の前文にな
つていることを今読みますというと、もう反古にな
つておかしいという考えが
日本国内にあるかも知れない。或いは
政府の諸公も持
つておるかも知れませんが、これは大変な間違いと思いますので、仮に読み上げてみます。「
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の
関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであ
つて、平和を愛する諸
国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている
国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。われらは、全
世界の
国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」これが
憲法の前文の精神で、
憲法全体に流れている精神、いわゆる平和
憲法に流れているところの精神であります。こういうものに対しまして、これを徹底的にこの精神を貫いて行く、こういうことになるならば、我々は兵器生産というものは、非常にこれは倫理的に考えても大きな問題を持つだろうと思う。ところがこういうことを期待し、こういうものをどんどん増加することによりまして、そうしてそれによ
つて好景気を調うということは、丁度欧州第一次大戦のときに、我々は遠いどこかで戦争が起
つて、この戦争によ
つて日本には成金が非常に発生したのであります。あれを謳歌しておる姿に正に彷彿たるものがある。こういうことが果して許されるものであるかどうか。この点が非常に私は大きな問題であると思いますので、
総理はあなたが、先ほどから問題になりました倫理性の問題とも
関連しまして、この兵器生産というようなものをどうお考えにな
つておりますか、この点改めてお聞きしたいと思うのであります。