運営者
Bitlet
姉妹サービス
kokalog - 国会
yonalog - 47都道府県議会
nisalog - 東京23区議会
serelog - 政令指定都市議会
hokkaidolog - 北海道内市区町村議会
aomorilog - 青森県内市区町村議会
iwatelog - 岩手県内市区町村議会
miyagilog - 宮城県内市区町村議会
akitalog - 秋田県内市区町村議会
yamagatalog - 山形県内市区町村議会
fukushimalog - 福島県内市区町村議会
ibarakilog - 茨城県内市区町村議会
tochigilog - 栃木県内市区町村議会
gunmalog - 群馬県内市区町村議会
saitamalog - 埼玉県内市区町村議会
chibalog - 千葉県内市区町村議会
tokyolog - 東京都内市区町村議会
kanagawalog - 神奈川県内市区町村議会
nigatalog - 新潟県内市区町村議会
toyamalog - 富山県内市区町村議会
ishikawalog - 石川県内市区町村議会
fukuilog - 福井県内市区町村議会
yamanashilog - 山梨県内市区町村議会
naganolog - 長野県内市区町村議会
gifulog - 岐阜県内市区町村議会
sizuokalog - 静岡県内市区町村議会
aichilog - 愛知県内市区町村議会
mielog - 三重県内市区町村議会
shigalog - 滋賀県内市区町村議会
kyotolog - 京都府内市区町村議会
osakalog - 大阪府内市区町村議会
hyogolog - 兵庫県内市区町村議会
naralog - 奈良県内市区町村議会
wakayamalog - 和歌山県内市区町村議会
tottorilog - 鳥取県内市区町村議会
shimanelog - 島根県内市区町村議会
okayamalog - 岡山県内市区町村議会
hiroshimalog - 広島県内市区町村議会
yamaguchilog - 山口県内市区町村議会
tokushimalog - 徳島県内市区町村議会
kagawalog - 香川県内市区町村議会
ehimelog - 愛媛県内市区町村議会
kochilog - 高知県内市区町村議会
fukuokalog - 福岡県内市区町村議会
sagalog - 佐賀県内市区町村議会
nagasakilog - 長崎県内市区町村議会
kumamotolog - 熊本県内市区町村議会
oitalog - 大分県内市区町村議会
miyazakilog - 宮崎県内市区町村議会
kagoshimalog - 鹿児島県内市区町村議会
okinawalog - 沖縄県内市区町村議会
使い方
FAQ
このサイトについて
|
login
×
kokalog - 国会議事録検索
1952-03-25 第13回国会 参議院 予算委員会 第27号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十七年三月二十五日(火曜日) 午前十時三十一分散会
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
和田
博雄
君
理事
中川
以良君 山本 米治君 小林 政夫君 杉山 昌作君 内村 清次君 堀木 鎌三君 東 隆君
木村禧八郎
君 岩間 正男君
委員
愛知 揆一君 石坂 豊一君
池田宇右衞門
君 泉山 三六君 大島 定吉君 楠瀬 常猪君
左藤
義詮君
白波瀬米吉
君 杉原
荒太
君
鈴木
直人君
中川
幸平君 宮本 邦彦君
平林
太一
君 岡本
愛祐
君 小野 哲君 片柳
眞吉
君 加藤 正人君 楠見
義男
君
新谷寅三郎
君 中山 福藏君
荒木正三郎
君 岡田
宗司
君
吉田
法晴
君 波多野 鼎君 松永 義雄君 山下 義信君 山田 節男君 駒井 藤平君
鈴木
強平君 西田 隆男君 岩木 哲夫君
深川タマヱ
君
国務大臣
内閣総理大臣
外 務 大 臣
吉田
茂君 法 務 総 裁
木村篤太郎
君 大 蔵 大 臣
池田
勇人君 運 輸 大 臣 村上 義一君 労 働 大 臣 厚 生 大 臣 吉武 惠市君 国 務 大 臣
大橋
武夫
君 国 務 大 臣
岡崎
勝男君 国 務 大 臣 岡野
清豪
君 国 務 大 臣 周東 英雄君
政府委員
内閣官房長官
保利 茂君
警察予備隊本部
次長
江口見
登留
君
地方自治政務次
官 藤野 繁雄君
法制意見長官
佐藤
達夫君
法務
府
法制意見
第一
局長
高辻 正己君
大蔵大臣官房長
森永貞一郎
君
大蔵省主計局長
河野 一之君
大蔵省主計局次
長 石原 周夫君
海上保安庁長官
柳沢
米吉
君
事務局側
常任委員会專門
員
野津高次郎
君
常任委員会專門
員
長谷川喜作
君
—————————————
本日の会議に付した事件 ○小
委員長
の
報告
○
昭和
二十七年度
一般会計予算
(
内閣
提出
、
衆議院送付
) ○
昭和
二十七年度
特別会計予算
(
内閣
提出
、
衆議院送付
) ○
昭和
二十七年度
政府関係機関予算
(
内閣提出
、
衆議院送付
)
—————————————
和田博雄
1
○
委員長
(
和田博雄
君)
予算委員会
を開会いたします。 今朝の
理事会
でこの
委員会
の
運営
は次のようにきまつたので御了承願いたいと思います。十一時から
総理大臣
の
総括質問
をいたします。十一時まで先ず楠見小
委員会委員長
の
報告
を聞きまして、それに関しまする
委員
のかたの
質疑
をいたすことにいたしております。では楠見小
委員長
の
報告
を求めます。
楠見義男
2
○楠見
義男
君
昭和
二十七年度
予算
と
憲法
に関する小
委員会
における
審議
の
状況
について御
報告
申上げます。 小
委員会
は
昭和
二十七年度
予算
の
内容
において
憲法
第九条及び第七十二条に
違反
する虞れありやなしやの点について疑義ありといたしまして、この点についての
審議
を深めるために、本
委員会
の委託を受けまして一昨二十三日設けられたのでありますが、今日この
委員会
においてその
審議
の
状況
を御
報告
いたすことに
理事会
の御決定がありましたので、
従つて
何分にも時間的の制約があり、それにもかかわらず問題の
重要性
に鑑み、各
委員
の極めて熱心なる
質疑
は一昨日に引続き、昨日も午前十時より午後九時まで行われたのでまして、その結果につきましては、本
委員会
の御期待に副い得たかどうかは甚だ心許ないところではありますが、以下その
審議
の
状況
について御
報告
申上げたいと存じます。 各
委員
と
質疑応答
を重ねました
政府委員
は、
木村法務総裁
、
岡崎
、
大橋
両
国務大臣
、
佐藤法制意見局長官
、
柳沢海上保安庁長官
及び
江口警察予備隊本部次長
でありまして、それに
奥野参議院法制局長
の
意見
を随時
質疑応答
の形で徴したのであります。なお
審議
に際しまして、
憲法
第九条及び第七十三条との関連において、本
委員会
において
論議
せられましたところの諸点は、一応小
委員会
におきまして、おおむね総ざらい的に重ねて
論議
され、その基礎の下に更に掘下げて
質疑
され、又九条、七十三条に関連してその他の
関係
深き
事項
につきましても
質疑応答
が行われたのでありましたが、それらのすべてを
報告
いたすことは時間の
関係
もありますので、詳細は
速記録
によ
つて
御承知願うことといたしまして、ここでは主として直接
憲法
第九条及び第七十三条に関連する
事項
で、而もその
論議
のうち若干のものについてのみ申上げることといたしたいのでありますが、その点御了承おき願いたいと存じます。なお結論的に申しますならば、当初より
質疑
を持
つて
おられた
委員
のかたがたにとりましては、その熱心なる
質疑
にもかかわらず、時間の
関係
もあつたのでありましようか、依然その疑義は明らかにせられなかつたようであります。このことをあらかじめ申上げておきます。
質疑応答事項
は、当然委託せられました
憲法
第九条及び第七十三条
関係
でありますが、先ず第一の
憲法
第九条
関係
について申上げますと、
本条
に関しましては、申すまでもなく、問題の
中心
がその第二項の
戦力
の意義、
限界等
の問題について
論議
が集中せられたのは当然であります。即ち本
委員会
においても
論議
せられましたように、例えば
戦力
の中には潜在的のものをも含むのではないか。
警察予備隊
の
装備
は
戦力
か、単なる
警察力
か、
戦力
と
戦力
ならざる力との
限界
はどこに置くか。
武器
もその
目的
によ
つて戦力
となるのではないか。又
警察
の
限界
と
武器
の種類との
関係
はどうかというような点、或いは
憲法
第九条第二項において
戦力
を保持しないというその
規定
に
違反
するということは、
戦力
の漸次
発展
して行くということ、即ちその
方向
に意識して向うときに
違反
の事実が起るのではないかということ等でありましたが、これらの点につきましては、
政府側
の
答弁
は、これ又本
委員会
におけると同様に、
戦力
を抽象的に
近代戦
を遂行する上において有効適切なる力、而もその力は客観的に、総合的に判断される力と
定義
付け、その
具体的説明
についてはこの
定義
の抽象的なる
範囲
を出でなかつたのでありますから、この点については
質疑応答
も終始同じところを行つたり来たり、或いは
中心点
の廻りをぐるぐる廻る
状態
で、本
委員会
以上に、全く新らしい
発展
を見なかつたのであります。ただ一、二ここで附加えておきたいと思いますことは、
一つ
は
戰力
の
構成要素
に関して、
日本
の
警察予備隊
の力は、それ
自体
では
戰力そのもの
でなくとも、いわゆる
非常時
において
米国軍隊
と一体とな
つて
活動した場合、それは
近代戰遂行
上有効なる力となることは当然であるから、この場合の力は
戰力
と言えないかという
質疑
に対し、
佐藤法制意見局長官
の答えは、
憲法
の
戰力
とは、
日本
国独自の力のみを対象とするとのことであり、同様の
趣旨
の
質問
に対する
奥野参議院法制局長
の
意見
は、
米軍
との
協力行為
により、
武力
を用いる場合には、
憲法
第九条の
戰力
に該当するものと思われるという
趣旨
でございました。 もう
一つ
附加えて申上げたいと思いますことは、
安全保障条約
の言うところの
自衛力漸増
ということと、
警察予備隊
や
海上保安庁関係
の
増強
とは対応するのかという
質問
、別の見地からいたしますれば、
米国駐留軍
の
漸減計画
と我がほうの右のごとき
漸増計画
との
対応関係
はどうかとの
質問
に対し、
大橋国務大臣
の
答弁
の
要旨
は、
警察予備隊
や
海上保安庁
の
増強
が
自衛力漸増
ということに当るかどうかは確信はないが、いずれにしてもこれらのものは
実力組織
である。そうして直接には
自衛
を
目的
としたものではなく、
国内治安
及び
海上治安
を
目的
としたものであるが、併し
自衛
の必要が生じた場合、その
実力
が
便宜自衛
のために利用されることは十分考えられる。即ち
自衛
のために用いられ得る力であるという
説明
でありまして、この点は昨
日本委員会
での
自衛力漸増計画
の
説明
の冒頭に当り述べられたと同
趣旨
でありますが、更にこの点について、
大橋大臣
はそう言うけれども、本
委員会
における今までの
審議
の過程において、
総理
や
大蔵大臣
は、
警察予備隊
や
海上保安庁
の
増強
は、
自衛力
の
増強
と
言つて
いるではないかとの追及がありました。これに対して
大橋大臣
は、
総理
や
大蔵大臣
がもう少し詳細に
答弁
せらるれば
自分
と同様の
答弁
をせられたであろうとのことでありました。又
米軍
の
漸減計画
と我が方の
漸増計画
との
関連性
についての
答弁
は、両者には
関係
がない、
日本政府
としては、自主的に
計画
は持
つて
いるが、それを先方がそれによ
つて
漸減するかどうかは不明である、併しその漸減の判断にはなろうと思う。又このことは、
総理
が
自分
の国はできるだけ
自分
の力で守るために漸増するのであるという点とも異なりはしない。又
明年度
において、事実
警察予備隊
及び
海上保安庁関係
で
増強
するが、これは先方の
漸減計画
に即応してやるのではないとの
趣旨
の
答弁
でありました。 なお、
海上保安庁関係
の
漸増計画
につきましては、昨
日本委員会
における
警察予備隊
に関するいわゆる
自衛力漸増計画
と同様の
計画書
の
提出
は遂になかつたのでありますが、この点についての関連しての
質疑
の中の若干をここで申上げますと、同様に
戰力問題
が
中心
でありますが、
明年度
において
海上警備隊
というようなものを設け、
大型艦艇
も逐次増加して行くというふうに漸次拡充して行くと、結局どうしても
戰力
の
方向
に向
つて
行く、
従つて憲法
第九条第二項問題に近付く、そこで逆の立場から
言つて
、一体
戰力
にならない
範囲如何
との
質疑
に対し、
答弁
の
要旨
は、漸次拡充して行くから
戰力
の
方向
に進んでいることは認めるが、併しそれは現状の不十分な
装備
から
警備隊
に必要な
装備
に向うのであ
つて
、その
限度
としては、第一に、その任務に必要なる
限度
であり、第二は、
憲法
第九条第二項の
限度
である。この理論上の見解に加えて、実際上の問題としても、
政府
は
戰力
の
限界
までの必要を認めておらず、更には財政がそれを許さんとのことでありました。又新らしく
計画
されておる
海上警備隊
に関して、
政府
からこの
警備隊
は特命に応じて出動するのであるが、その出動の
事例
として、密入国や
海上漁業
に対する
妨害行為取締り
に当り、特に
相手国
が多数集合の場合、
武器
を持
つて
おる場合等の
説明
がありましたのを契機といたしまして、種々
質疑
が行われたのでありますが、
相手方
も
武器
を持
つて
おる場合、こちらが
威嚇射撃
をし、
相手方
がこれに対し射
つて
来、そこで射ち合いが行われた場合、それはどういうことになるのか、
憲法
第九条第一項の
武力行使
に該当する慮れはないか、少くとも
国際紛争
の第一段階としての
状態
となる虞れはないか等の
質問
に対し、事実上射ち合いが行われることは理論上あり得るが、これは
正当防衛行為
であ
つて
、戰闘
行為
、戰争という性質ではない。それ
自体
は
実力
で以て
相手方
の
意思
を当方に従わせるという、いわゆる
国際紛争解決
の手段ではない。ただかかる事実
行為
が
国際紛争
を生ずる因となるのであるから、我が国としては、その
海上警備隊
の行動については、それだけに特に慎重を期せねばならんことになると思うとの
答弁
でありました。
海上警備隊
の
関係
につきましては、このほか
講和回復
後のマッカーサー・ラインの問題或いは
警備隊所属艦艇
の
搭載火器
、
速力等
の点についての
質疑
がありましたが、これは省略いたします。 次に
憲法
第七十三条
関係
について御
報告
いたします。この
関係
につきましては、
問題点
は申すまでもなく、第一は、今回の
行政協定
は
条約
であるから、
憲法
第七十三条第三号の
規定
によ
つて
、
国会
の
承認
を要するのではないかという点、第二は、
安保条約
に言うところの
駐留軍隊
の
配備
を規律する
条件
を逸脱して
行政協定
が結ばれていないかどうかの点、第三は、
行政協定成立
に伴い、その
実施
上における
事例
で
憲法違反
の虞れありやなしやの具体的の
問題等
であります。 先ず第一の
国会承認
の要否の問題でありますが、この点につきましても、
戰力問題
と同様、
政府
は終始一貫、本
委員会
におけると同様の態度を持し、
従つて論議
としては、本質的にそれ以上何ら
発展
を見なかつたと申しても過言ではありませんでした。即ち
行政協定
は
安全保障条約
第三条がなかつた場合は当然
国会
の
承認
を要する
条約
であるというが、この条文の文言、即ち「
軍隊
の
配備
を規律する
条件
は、両
政府
間の
行政協定
で決定する。」というこの文言それ
自体
からは、当然に七十三条除外ということは言えないではないかとの
質疑
に対し、
岡崎国務大臣
は、条文だけではそんな
解釈
もできぬではないか、
政府
としては、
安保条約
第三条の
規定
によ
つて包括的承認
を得たものとするという
解釈
をと
つて
来ており、事実上
臨時国会
における
特別委員会
でもしばしば言明して来たことでもあり、又
国際慣行
にもあるところであるという
趣旨
の
答弁
でありました。又
国際慣行
の点について、この種の
行政協定
は新
憲法下
初めての
事例
であり、両
政府
間の
協定
に委ねるということは、
条約締結権
に関連いたしまして、アメリカにと
つて
は意味があるけれども、
日本
にと
つて
はそれは
条約
として素直に
憲法
の
規定
に
従つて
、その
取扱い
を
解釈
すべきではないかとの
質疑
に対しましては、それぞれ国によ
つて取扱い
は異なるが、
日本
の
憲法解釈
上からも、
安保条約
第三条の
規定
があれば、それによ
つて
改めて
承認
を要しないという
法理論
の上に立
つて
おるとの前言を繰返されたわけであります。かくのごとく、この点については、両論は
並行線
を続け、側面的に
条約不可分論
や、
条約
乃至
行政協定
の
国内法
としての効力発生
問題等
々について種々熱心な
論議
が重ねられたり、或いはその一部の
実施
上、立法的、
予算的措置
を
国会
にかける必要があるならば、その親の
協定自体
をも
国会
の
審議
にかけるべきではないかとか、或いはそれよりも
内容
も示さずに委任を総括的に受けたというのはおかしいではないか、或いは仮に白紙委任されておつたとしても、その後
国会
が
承認
を求むべきであると決定した場合は、
政府
は進んでその
措置
に出すべきではないか等々のいろいろの
意見
或いは
質疑
が行われ、又それに対する
応答
がありましたが、前申述べましたごとく、遂にこの両論の
並行線
はいずれもその
方向
を些少なりとも変更することはなく過ぎたのであります。 第二の
安保条約
に言うところの、
駐留軍隊
の
配備
を規律する
条件
を逸脱して
行政協定
が結ばれていないかどうかの点についての
問題点
は、主として
行政協定
第二十四条の
関係
でありますが、一体最も新らしい
国際慣例
たる
北大西洋条約
には、この第二十四条のごとき
規定
はないのではないか。そもそも一体
軍隊配備
の
条件
とは何ぞや。又第二十四条に予定するところの
非常時
においては
日本国家主権
の発動又はその制限の問題が起ることが予想されるのであるから、問題は極めて重大である等の
論議
に対し、
岡崎大臣
の
答弁
は、
北大西洋条約
は初めから
締約国
の或る一国が攻撃された場合、他の
締約国
に攻撃あつたものと認める精神からできているいわゆる
軍事協定
で、今回の
行政協定
と性格がまるで異な
つて
いる。又二十四条は祕密
協定
乃至
了解事項
があるのではないかという疑惑に対し、具体的に何も拘束していないことを明らかにしたに過ぎんのであ
つて
、中身は何もきめていないから
本条
によ
つて
は何も起らない。そのときにな
つて協議
をするというだけであ
つて
、その結果は重大かも知れないが、問題が起ればそのとき
国会
その他に対し適当なる
措置
を講ずるつもりであるとの、従来本
委員会
におけると同様の
趣旨
の
答弁
を繰返されたのでありました。 第三の問題、
行政協定成立
に伴い、その
実施
上における
事例
で、
憲法違反
の虞れありやなしやの具体的問題についての
論議
は、例えば
予備作業班
が作業を始めるに当り、問題が具体的にな
つて
来るに
従つて憲法違反
の虞れがだんだんと余計明白にな
つて
来るように思われた。例えば農地の
買收等
の問題について然りであり、而も
岡崎
・
ラスク両氏
の交換の書簡において、施設及び区域の
継続使用
が
承認
されている結果、国民に
選択意思
をなからしめることになると解されるが、
講和発効
後
所有者
が是非返還してもらいたいと希望した場合どうなるかとの
質問
に対し、
交換公文
の
趣旨
に
従つて政府
は手当をすることに努めているが、この書簡は直ちに
国会
を拘束するものではない。なおでき得る限り
所有者
と合意の上解決したい。併し
所有者
の
意思
に反して使用する場合は別に法律を作り、それにより
措置
することといたしたいとの
趣旨
の
答弁
がありました。 以上のほかにいろいろの議論、
質疑応答
がいろいろの角度から行われたのでありましたが、時間の
関係
もあり、最前申上げました
通り
、詳細は
速記録
に譲り、この
程度
で小
委員会
の
状況
の
報告
を終らせて頂きます。
和田博雄
3
○
委員長
(
和田博雄
君) 只他の小
委員長
からの
報告
がありましたが、お手許に昨日
政府
が約束しました
海上警備隊
についての
資料
が出ておりますので、
あと
時間が、十一時から
総理
の
質問
を始めるとして五分しかありませんから、一応この
説明
を
政府
から
簡單
に聞きまして、
総括質問
が済んだ
あと
で小
委員長
の
報告
についてのいろいろな
質問
をしたいと思いますが、さよう取計ら
つて
よろしうございますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
和田博雄
4
○
委員長
(
和田博雄
君) それではさように、取計らわして頂きます。
大橋武夫
5
○
国務大臣
(
大橋武夫
君) 昨日
提出
いたすことができませんでして誠に遺憾に存じておりますが、本日
委員長
に対しまして
海上警備隊
に関する
状況
の
計画
を
資料
を以て申上げております。それにつきまして多少補足的に
説明
をさして頂きたいと存じます。 まず第一に
人員
でございまするが、
海上保安庁
の現在の
状況
といたしましては、
船舶
四百五十一隻約五万トンでございまして、このうち五十トン以上のものは百六十四隻、約四万トンということにな
つて
おります。これに附随いたしております現在の
人員
の総数は一万三千人余りでございまするが、
昭和
二十七年度
予算
におきましては、六千八名の
増員
を要求いたしている次第でございます。このほかになお
海上保安庁
といたしましては、
予備費
その他の費目の
使用
によりまして、
海上
における偵察のために航空機、と申しましても、これは極く小型の
ヘリコプター
でございますが、
ヘリコプター
十機
程度
を早急に
装備
いたしたい、こういう
計画
を持
つて
おります。これに伴いまして、
予算案
に示してございます以外に
ヘリコプター
を
装備
いたします際には、約二百人の
増員
が必要となるものと予想をいたしております。次にこの
増加分
についての
編成等
について申上げまするが、
予算案
に示されました六千人の
増員
は、六十隻の
船舶
の
要員
及びこれが管理のため必要な
陸上要員
に充てることとな
つて
おるのでございます。次の
装備
のところに、その六十隻の
船舶
の
内容
について若干の
説明
を加えてございまするが、この
船舶
につきましては、千五百トン
程度
のものを十隻、二百五十トン級五十隻、こういうものを
米国
より借受けたいと存じまして、
只今交渉
をいたしておるところでございます。これらの
船舶
につきましては、号砲として用いるための小口径の大砲を備えたい、こういうふうに考えております。恐らく
希望通り
のものが手に入り得るのではないかと考えておる次第でございます。これらの新らしい
船舶
六十隻及び六千人の
人員
は、その全部を以ちまして、現在の
海上保安庁
の
管轄下
におきまして特殊の部隊を組織いたしたいと存じます。これは
海上警備隊
と名付けまして、
差当り
二、三カ所に
根拠地
を置きまして、その
根拠地
において平時は訓練を行い、特別の必要がありまする場合には
海上警備
並びに
救難等
のために
出動
をいたす、こういうふうに
運営
をいたして参りたいという
計画
を立てておる次第でございます。なおこれ以上の今後の
増員
につきましては、第四項に掲げてありまする
通り
、今後も
治安
の
状況
において必要ある、こう認められ、且つ
財政
の事情がこれを許すという場合におきましては多少の
増強
を行いたい、こういうふうな考えをいたしておりまするが、併しこれについての具体的な
計画
は
警察予備隊
同様にまだ何ら定まつたものはございませんような次第でございます。一応
簡單
ながら御
説明
を申上げます。
和田博雄
6
○
委員長
(
和田博雄
君) これより
総理大臣
に対する
総括質問
をいたすことにします。
平林太一
君。一人の持時間は二十五分でございます。時間を厳守して頂きたいと思います。
平林太一
7
○
平林太一
君 現に
行政協定
の問題をめぐ
つて
、
政府
に対する攻勢が頗ぶる活溌に展開されております。私はこれらが挙げて憂国の至情に出でた
祖国
の
独立
に備える言論である限り、敬意を表して傾聴いたしたのであります。これが又過去六年有余、つとに
占領軍
に協力しながらも、
独立国
としての矜持を堅持せる
日本民族
の真骨頂の流露である限り、大いに歓迎の意を表した次第であります。ただ併しこの問題は
国際法
や
憲法
の
解釈
に関する極めて専門的な
事項
を多分に包蔵しているのみならず、高く且つ広い
視野
に立
つて
考察すべき遠大な
国際政治
の問題であることを指摘したいのであります。つとに第十七条、第十八条、第十九条による主として
刑事裁判権
の問題のごとき、もとよりこれが
国民的感情
に触れる微妙な問題であることは千万承知の上でありますが、それにしてもこの問題は本来問題それ自身が価する以上に過大に評価されているのではないかという強い印象を受けるのであります。自国の
防衛
を
他国
の
軍隊
に依頼することを名譽と心得る
日本
人は一人もないはずであります。昨日まで
武力
を以て
世界
を震がいせしめた
日本
が、
祖国
の
防衛
を
他国
に依存せざるを得なく
なつ
たのは、
無条件降伏
に伴う
徹底的武装解除
であ
つて
、当時の戰勝国は
日本
とドイツからさえ
武力
を取上げておけば
世界
は平和になり人類は安全であるという大きな誤りを犯したというべきであります。それはともかくとして、国防を
外国
に託し
外国軍隊
の駐屯を許す以上、これに対し
裁判管轄権
や課税に関する
特権
や
免除
を与えると品いうことは、
万国公法
に基く
国際
上の通義であると信ずることを私は承知せざるを得ません。かかる
特権
や
免除
を総括して、一部の学者は
治外法権
と
言つて
いるのでありますが、然らはこの
意味
の
治外法権
が属人的であり
国辱
であるならば、
平和条約発効
後
日本
に駐在する
外国使節
、
日本
の領海や港に入る
外国軍艦
に
特権
や
免除
を許与しなければならないことも、当然
国辱
と言わざるを得ないことになるのであります。我々は広い
視野
に立
つて
この問題を眺めなければならない理由は、ここにあると私は断定せざるを得ないのであります。故に私はこの際ただ
一つ行政協定
と
憲法
第七十三条との
関係
について
総理
の
見解
を質したいのでありますが、これは
行政協定
の
内容
が、
安全保障条約
第三条の授権の
範囲
又は
委任
の
限度
を逸脱したものと仮定して、この
協定
が果して
憲法
第七十三条にいう
条約
のうちに含まれるか否かという問題であります。
憲法
第七十三条に
条約
は
事前
又は事後に
国会
の
承認
を経ることを必要とするとあるけれども、この
条約
という
言葉
の
定義
が掲げてありません。そこでこの
条約
という
言葉
は、
日本
が
外国
と結ぶ一切合切を含むとも
解釈
されれば、又そうでないとも
解釈
ができるのであります。ところが私はここにこの疑問を解く
一つ
のかぎがあることを発見するのであります。即ちこれは
事前
又は事後に
国会
の
承認
を求めよという昭々たる
憲法
の
規定
であります。この
事前
又は事後という
言葉
は
条約
の調印前又は調印後という
意味
ではなく、批准前又は批准後という
意味
であることは当然でなければならないのであります。かように
解釈
しなければ、
政府
は常に調印前の
条約
案を
国会
に
提出
しなければならなくなるからであります。やはりそれは調印後にして批准前のことでなければならないのであります。果して然らば
政府
が必ず
国会
の
承認
を求めなければならない
国際
上の約束は、批准の形式をと
つて
締結されるもののみに限られているという結論になるのであります。勿論これ以外の形式をとる
国際
化の約束といえども、
国会
に
提出
して悪いという禁止
規定
は
憲法
にないのでありますから、
政府
の自由裁量によ
つて
これを
国会
に
提出
することは毫も妨げないのみならず、民主主義の政治論から申せば歓迎すべきことであります。併しこれは
憲法
上の要求ではない、
憲法
の要求は批准を必要とする
国際
上の約束のみが
国会
の
承認
を求めるべきであ
つて
、これ以外の
国際
上の約束は
政府
の時宜によ
つて
承認
を求めてもよければ、求めなくても
憲法違反
ではないという
解釈
であります。
行政協定
の場合は私を以て言わしむれば、すでに今日批准を必要とせざる
国際
間の約束、取極であると申すのであります。 以上は
憲法
の
解釈
に関する重要なる問題なりと存ずるのでありますが、故に、この際一定せる
政府
の
見解
、
総理
の御所懐を明らかにせられて、多くの
国民
の納得を求められたいのであります。一先ず御
答弁
を要請いたします。
吉田茂
8
○
国務大臣
(
吉田
茂君)
行政協定
と
憲法
七十三条第三号との
関係
につきましては、従来しばしば
政府
としては
見解
を述べて来つたのでありますが、
見解
は初めより一定いたしているのであります。即ちこの
行政協定
は
安全保障条約
の
規定
によ
つて
見ても、これは両
政府
間の
協定
でありまして、いわば事務的
協定
であるのであります。
国際
間の約束とか或いは
条約
とかいろいろそれには種類があります。これは曾て枢密院が存在しておつたときにも随分議論があつたので、どれまで
条約
というか或いはことごとく枢密院にかけなければならぬかということは、過去の戰前において枢密院においても問題にな
つて
来たのでありますが、併しながらその都度
政府
の
説明
するところは、今日私どもが
説明
をいたしておることと同様であります。で、これを
憲法
の
規定
によ
つて
国会
にかけるべき
条約
であるかどうかということは、
政府
としては
行政協定
は
憲法
の
規定
によ
つて
国会
の
承認
を経べきものではない、但しこれが法律となり、或いは又
予算
に
関係
ある場合には、その都度
国会
の協賛を経べきであるが、併しながら
行政協定
そのものはあくまでも
国会
の協賛を経なければならぬというものではないという
見解
を堅持して来たのであります。又これが正しいと考えるのであります。 又
条約
であるからとい
つて
事前
に
国会
に
報告
をし、又相談をするということはできる限りはいたしたいと思いますが、併しながらこれをなすことによ
つて協議
を渋滞せしむるとかいうようなことが交渉上なきにしもないのでありますから、
政府
としてはできるだけ
国会
と協力をし連絡をとりたいと考えますが、交渉の次第により性質によ
つて
はできないこともあることを御了承を願いたいと思います。細かいことは
岡崎国務大臣
から
説明
させます。
平林太一
9
○
平林太一
君 只今
総理
が詳細は
岡崎国務大臣
よりこれを
答弁
せしめるというお話がありましたが、
岡崎国務大臣
のなお詳細なる
見解
を明らかにせられたいと思います。
和田博雄
10
○
委員長
(
和田博雄
君) 本会議へ今
岡崎国務大臣
が出席しておりますので。
平林太一
11
○
平林太一
君 本会議に御出席中で御不在ということでありますからいずれ後の機会にいたします。只今
総理
が当初より首尾一貫してこのことに対しまする
見解
を重ねて只今表明せられたのでありまして、定めし全
国民
も了解納得の行くことと存じます。又私も深く同感の意を表する次第であります。 次に申上げたいことは平和
条約
及び日米
安全保障条約
、同
条約
第三条に基く
行政協定
の取極、締結、この一貫せる日米両国の
関係
はこれによ
つて
太平洋の平和に一礎石をなし、これがまた国連憲章を基本とする
世界
の平和に大いなる貢献をもたらしたるものと了承いたすのであります。従いまして私は、アメリカ合衆国はこの際平和
条約
第三条についてみずから
関係
各国に与う限りの時期におきまして了解を求められて、
講和発効
後速かなる機会にこれを改訂せられることを望んでやまないのであります。即ち北緯二十九度以南、琉球諸島等の南西諸島及び小笠原群島を含む領水、領域の
関係
諸島の、現在
講和発効
後におきましてアメリカ合衆国を施政権者とする信託統治制度を我がほうに返還せられることを私は強く要望いたす次第であります。
政府
は
行政協定
取極に当りましてその
内容
に深く立脚するにつきましても、互信互譲、我、彼に信を与え、彼、我に信を与うることにおいて至大の成功を收めたるこの
協定
の成功に鑑みましても、当時この問題に対して話合いをせられたることありや否や承わりたいのであります。若しそれ今後においてこの用意がおありになるや否や、
総理
に御所懐を承わりたいと存じます。
吉田茂
12
○
国務大臣
(
吉田
茂君) この問題は
行政協定
の問題とは離れておる問題で、平和
条約
の交渉が行われた当時、日米両国
政府
の間にはごく率直な話合いと申しましようか、
意見
の
交換
を行い来つたのであります。
米国
政府
としては沖繩その他の所は、それは戰略上の
意味
で又東洋平和を確保するためから、止むを得ず
委任
統治と申しますか、
日本
の主権から離してそうして
委任
統治の下に置くということは、これは全く戰略上の意義であえてこれらの領土を望むものではない、故にでき得るだけ
日本
側の要望を容れるということで平和
条約
の
規定
のようなことに
なつ
たのでありますが、
日本政府
及び
日本
国民
の希望、或いは考えているところ、これは十分
米国
政府
に伝えているのであります。今後どうなるか、これは今後の問題でありますが、併し
意思
は今申したようにあえて領土を望むわけではない、戰略上の必要から、その必要が存する間だけの問題であるということは絶えず申しておるのでありまするから、これは
日本
の
国民
の希望はやがて徹底する時期があると私は確信いたします。
平林太一
13
○
平林太一
君 只今この問題は
行政協定
とは別個の問題であるという御
答弁
でありましたが、私も同様に感じております。併しながら私はこの際別個であるということほどに極めてこれは重要に、
国民
感情の融和、親和を深く考えるにつきまして考えなければならない問題であると思うのであります。駐留軍を我がほうに迎えまして、そうしてこの駐留軍を迎える我が
国民
の態度、又彼の態度、これらは非常に微妙なる間に政治の衝に当る
総理
といたしましては、いわゆる
国民
感情、民情に対しまして深い御考慮を御必要とせらるるにはあらざるやと思うのであります。従いましてこの信託統治の問題は、すでに駐留軍が我がほうに駐留いたすというのでありますから、只今
総理
のアメリカ側の御
意思
に対する御
説明
がありましたが、それであればあるほどにこれはむしろアメリカ側から進んで駐留軍の駐留の機会を通じまして我がほうに処置いたすべきであると思うのであります。そのことがいわゆるアメリカの意図しておりまする平和の上に日米両国の大いなる固い強い体制ができるのであるということを深く信じまするので、この点は変らず私はこの考えを持
つて
おります。今後とも機会あるごとに
総理
におかれてはアメリカ側に我々
国民
の
意思
のありますところを誤解のないように伝えまして、速かなる機会に我がほうに返されることを十分御
措置
あらんことを要望いたしておく次第であります。 次に申上げたいと存じますることは再軍備に関してであります。
和田博雄
14
○
委員長
(
和田博雄
君)
平林
君、もう時間が
あと
ありませんから。三分ぐらいであります。
平林太一
15
○
平林太一
君
総理
はしばしば再軍備をするか否かは
政府
が決定するわけではなく
国民
自身が決定することであるという、極めて含蓄ある声明を行な
つて
おられるのであります。そこで
総理
は再軍備は行わないと繰返されている理由は、主として
日本
の再軍備を恐れている東洋の友邦諸国の思惑を深く考えられ、対外的影響を考慮せられた結果であることを想像せざるを得ないのでありますが、さればとい
つて
日本
を丸裸のまま
国際
的烈風の真只中に放置することは民族の運命を担う責任ある政治家のなし得ないところであります。オーストラリアのケーシー外相は、
日本
を最も狙
つて
いるのは中共である、中共は自己に最も欠けている工業力を
日本
征服によ
つて
償わんとしていると述べているのであります。かかるジレンマに陥
つて
いる
総理
の苦衷はこれを了とするのであります。併し一方においてソ連の平和攻勢は相当に功を奏し、しきりに国防否定論が特に近来若いところの
日本
を双肩に担うべき青年の間に横行しているのであります。
政府
といたしましてはこれら青年に正しい進路に導く努力が必要ではないか。現にソ連ですら昨年のサンフランシスコ会議において、自己
防衛
のためと前提して
日本
に許すべき陸海空軍の軍備の規模を示している事実があります。
政府
は周囲から発する国防意欲を待つことなく、積極的にこれを指導善導する必要を認めないかどうか。スターリン
憲法
にも
祖国
の
防衛
はソ連邦各市民の神聖な義務であると
規定
するのみならず、赤軍の軍務に服することはソ連邦各市民の名譽であり義務であるとも明記してしるのであります。この
規定
はひとりソ連にのみ適用する原理ではなく、地球上の七十有余の
独立国
全部に対して適用ある普遍的な原理でなければならないのであります。
総理
のこの際御所見を承りたいと存ずるのであります。
吉田茂
16
○
国務大臣
(
吉田
茂君) 自国の
独立
安全を自国の
国民
の国力によ
つて
これを守るということは当然であり、又
日本
国民
として自国の安全
独立
を自
国民
によ
つて
、自国の国力によ
つて
守る、或いは自国
国民
の力によ
つて
守るということは、これはソ連のみならずいずれの国も
国民
としてこれを名誉と考え義務と考えており、殊に
日本
においてその考えをなしているということを私は信じて疑わないのであります。併しながら敗戰の今日、
日本
が各国が軍備を競
つて
非常な莫大な国費を費しているときに、
日本
がそれと同じように国力を傾けるということは、これは国力がこれを許さないのであります。たとえ
国民
の愛国心が自国を守る熱意に燃えているといたしたところが、敗戰後の
日本
が莫大な国費をこの軍備に費すということは、これは到底堪え得ないものであり、又これを無理をすることによ
つて
とんだ
状態
に陥る、或いは
国民
の国力のせつかく興らんとしている国力を再び中途においてこれを破壊するというようなことにならんとも限らないのでありますから、ここで
安全保障条約
というものを結んでいわゆる集団的攻撃に対して集団的防禦の方法を講ずることは、あえてこれをいたしたところが
日本
国の不名誉になるという筋合のものではなくて、今日のヨーロッパにおいても同じく集団的攻撃に対しては集団的の防禦の方法を講じているのでありますから、
日本
が日米
安全保障条約
を結んだからとい
つて
日本
国民
の不名誉とのみ言うべきものでないことは、これは
国民
も了承いたしていると思います。無論この
日本
の国力の上から考えてみて共同
防衛
の線で一応
独立
安全を守り、国力が回復したならば
日本
の
独立
安全は
国民
の手において守る日の近からんことを希望いたしますが、現在においては如何ともできがたいために
安全保障条約
を結んだのであります。今申した
通り
これを結んだからとい
つて
日本
国民
の義務を減ずるわけでもなければ名誉を傷つけるわけでもないと考えるのであります。お話の
通り
独立
安全は
国民
の手において守ることを名誉と考え義務とすることは当然であり、
国民
の愛国心は必ずこの点において一致いたしておると私は信じて疑わないのであります。
荒木正三郎
17
○
荒木正三郎
君 先ず最初に
行政協定
の問題についてお伺いをいたしたいと思うのでありますが、この問題につきましては、
予算
審議
の当初より
国会
の
承認
を必要とするのではないかということについて活発な
質疑
が行われて来たものであります。併しこれに対する首相並びに
関係
大臣の
答弁
には今以て私どもは納得の行かないものがあるのであります。
政府
の
説明
によりますると、
行政協定
は
安保条約
第三条に基く施行細則的なものであり、事務的な取極であるから
国会
の
承認
を必要としない、こういうことであります。併し
行政協定
が果して
政府
が言われるように單なる施行細則的な、或いは事務的なものであるかどうか。私どもは然らずと考えているのであります。何故ならば
行政協定
の中味を見ますときに、国家の主権が制約されたり、
国民
の権利義務に拘束が加えられているのであります。こういうような国家の主権が制約されるというような
内容
を持
つて
いる
行政協定
を事務的な取極であるというふうには
解釈
ができないのであります。これは明らかに事務的な
範囲
を超えておる、こういうふうに考えるのでありまするが、先ずこの点について首相の御
意見
を更にお伺いしておきたいと思うのであります。
吉田茂
18
○
国務大臣
(
吉田
茂君) その点はしばしば繰返しておりますが、私の
説明
について不満足であるというならば
佐藤
法制意見長官
からお答えいたします。
荒木正三郎
19
○
荒木正三郎
君 私は
吉田
首相に対しまして事務的な
範囲
を超えておるのではないかと、こういう点をお伺いしておるのであります。
従つて
事務的な
範囲
内のものであるかどうか、この点を明らかにして頂きたい。こう思うのであります。
佐藤達夫
20
○
政府委員
(
佐藤
達夫君) お尋ねの点をも含めまして一応御
説明
申上げます。
荒木正三郎
21
○
荒木正三郎
君
簡單
に私は事務的な
範囲
内のものであるかどうか、
簡單
にこれを結論をおつしや
つて
頂きたい。
佐藤達夫
22
○
政府委員
(
佐藤
達夫君) わかりました。申すまでもありませんが
安保条約
第三条におきまして、駐留軍の
配備
を規律する
条件
については、別に両国
政府
間の
行政協定
で定めるということを調いまして、この
配備
を規律する
条件
について
行政協定
が定められることを予定しているのであります。この
配備
を規律する
条件
という観念に今回の
行政協定
がはまるかどうかということに御指摘の疑問があるのであろうと存じますが、私どもはこの駐留軍の
配備
を規律する
条件
という中にすべて含まれるものであ
つて
、それを逸脱する部分は毛頭ないというふうに確信いたしております。
荒木正三郎
23
○
荒木正三郎
君 それではこの
行政協定
の中味は單なる施行細則的なものでない、又事務的な
範囲
内のものでないということは、首相自身もしばしば
言つて
おられるように、又本
委員会
においてもこの
行政協定
に伴
つて
、
日本
が支出しなければならない
予算
についても現に
審議
をいたしておるのであります。單に
予算
だけの問題でなしにこの他にも
国会
の
承認
を要すべき
事項
が多多あるのでございます。こういうふうに
行政協定
の
内容
の中には
国会
の
承認
を必要とする
事項
が含まれておるのであります。そういたしますと、これらの
事項
を含んでおる
行政協定
そのものは單なる事務的な取極でなしに、施行細則的なものでなしに
憲法
第七十三条にいうところの
条約
であるというふうに解せざるを得ないのであります。こういう点について重ねて明らかにして頂きたいと、かように思うわけであります。
佐藤達夫
24
○
政府委員
(
佐藤
達夫君)
政府
といたしましてはたびたび御
説明
しました
通り
に、
行政協定
は若しも
安保条約
がなくしてこれが締結されたものといたしますれば、これは当然
憲法
七十三条によ
つて
承認
を経べき事柄のものである、そういう性質のものであるということでございまして、次に然らばその
安保条約
におきまして、
行政協定
の
内容
事項
として予定しておるものは何かということは、先ほどのお答えいたした駐留軍の
配備
を規律する
条件
ということになるわけであります。ところで駐留軍の
配備
を規律する
条件
というものは、客観的に過去の幾多の先例或いは確立した
国際慣例
というものから、駐留軍がある以上は当然そうすべき
条件
というものはもうすでにわかりき
つて
おる常識の事柄であると存ずるわけであります。従いまして費用の分担の
関係
等も当然その中に予想され含まれるべき性質のものであると存じます。而してその
関係
のことを……。
荒木正三郎
25
○
荒木正三郎
君 結論だけおつしや
つて
下さい。
佐藤達夫
26
○
政府委員
(
佐藤
達夫君) 然らば国内でどう処置するかということは、この
行政協定
の最後の二十七条であつたかにおきまして、立法機関に対して必要な
措置
を求める、ということを
協定
自身に謳
つて
おるわけであります。
荒木正三郎
27
○
荒木正三郎
君 なおこの問題につきましては、只今の
説明
では
行政協定
は
条約
である、ただ
安保条約
があるから
国会
の
承認
を必要としない、こういう只今御
説明
であつたと思うのです。ところが先ほど首相は
行政協定
は七十三条にいう
条約
ではない、こういうふうに
答弁
をせられておるのとは明らかに食違いがある。かように考えるのでありまするが、
吉田
首相は今の
政府委員
の
答弁
と食違いがあるところをどういうふうにお考えになるか御
答弁
を願いたいと思います。
佐藤達夫
28
○
政府委員
(
佐藤
達夫君) 私がそばにおりまして拝聴いたしましたところでは、
総理
のおつしやつた御
趣旨
は、この
憲法
七十三条によ
つて
更に
承認
を求めるようなものではないという御
趣旨
だと私は了解しております。
荒木正三郎
29
○
荒木正三郎
君 それでは先ほど
平林
委員
の
答弁
の中において、
条約
といえども交渉の性質によ
つて
は
国会
に諮らないこともある、こういう発言がございました。これは祕密
条約
を結ぶことができる、こういうふうに
解釈
して差支えないものかどうか、首相からお伺いしたいと思います。
吉田茂
30
○
国務大臣
(
吉田
茂君) これは私の
説明
をいたしたのは、従来枢密院においても
国際
の協約と、何て書いてあつたか忘れましたが、両国の間における協約は、約束はすべて
国際
約束と書いてあると思いますか、枢密院の規則にある
国際
の約束、それはすべて枢密院に持
つて
来いという議論は盛んに行われたのであります。これに対して
国際
の約束或いは
条約
といいますか、それはことごとく枢密院に持
つて
行かなかつた先例があるということを申したのであります。又
条約
の中にも
条約
という名前で実質は單に事務的のものも随分あるのであります。故にそういうようなものに、
条約
というよりは両国の間の約束というようなものの中にも必ずしも
国会
にかけなければならんものばかりではないということの例として申したのであります。而してこの
行政協定
は
憲法
の七十三条の、いわゆる
国会
の協賛を経なければならない
条約
でないということを申したのであります。
荒木正三郎
31
○
荒木正三郎
君 それでは次の問題に移りたいと思いますが、
自衛力
の
漸増計画
による
警察予備隊
及び
海上
保安隊の強化は
憲法
第九条にいう
戰力
に該当するのではないか、この問題であります。昨日
政府
から
自衛力
の
漸増計画
についての
説明
がございました。それによりますと、大体
警察予備隊
の規模、それから編成、
装備
、訓練の
状況
を概括的にこれを見まするときに、先ず
人員
におきましては十一万人に
増強
するということが言われております。これは平時編成の十個師団に該当するものである、それだけの
人員
の規模を持
つて
おるというふうに考えられるのであります。又第二番目の問題といたしましては幹部の問題でありますが、これも追放解除に
なつ
た旧軍人が主に占められておる。この数はすでに一千人に及んでおるということであります。第三に予備隊の指導に当
つて
いるアメリカの離間団もやはりアメリカ軍の将校であるということであります。更に
装備
の点については、現在予備隊が保持いたしておりますところの
武器
はアメリカ軍より貸与されたものであるということであります。
大蔵大臣
はこれに対しましてその額は数千億円に上るだろうという
説明
をまあいたしておるのであります。更に訓練の方面から見ましても、個人訓練のみならず部隊訓練に重点が逐次置かれつつある。而も一人の予備兵の訓練のために
使用
する弾薬が一カ年二千発に及んでいるということも
説明
されているのであります。そこでこのようなことを総合的に判断をいたしますと、これは明らかに私は再軍備であると言わなければならんと思います。首相は僅か二千億円ぐらいの金では再軍備はできないじやないか、或いは
木村法務総裁
は原子爆弾を持
つて
おらないから再軍備にはならないじやないか、こういうふうな
説明
でありまするけれども、これでは到底私どもの納得できがたいところであります。 そこで私はこの際お尋ねいたしたいことは、
警察予備隊
とか
海上
保安隊の
装備
、編成、訓練、そういうものがどのように強化されてもこれは再軍備にはならない、或いは
憲法
第九条にいう
戰力
とは
関係
がないのである、こういう主張が成り立つかどうか、こういう点について首相の
見解
を伺いたいと思います。
大橋武夫
32
○
国務大臣
(
大橋武夫
君)
海上警備隊
並びに
警察予備隊
の
装備
編成につきましては昨日申上げ、又今朝それを補足いたしました
説明
の際にも申上げたような実情でございます。而してこれらの
装備
、編成又訓練は、いずれも
警察予備隊
の任務といたしまする我が国の平和と秩序を維持し、
国内治安
を確保する、こういう任務から申しまして、必要の
範囲
内において
装備
をいたし、又その
目的
のために編成をし、訓練をいたしているのでございます。それ以上のことを
目的
としてこれらの
装備
、編成、訓練をなしておるものではございません。又
政府
といたしましては、今後におきましても、
装備
、編成、訓練、いずれも
国内治安
確保の
目的
の
限度
内においてこれを
実施
して参るという方針をと
つて
おるのでございます。従いまして、これが再軍備となるということは断じてあり得ないと確信をいたしております。
荒木正三郎
33
○
荒木正三郎
君 今日は
総理
に対する
総括質問
であると私は心得ておるわけなのであります。
従つて
できるだけ私は
総理
から
答弁
を求めたいと思いますので、然るべく取計らいを願いたいと思います。 次に、中国との国交、平和回復の問題についてお尋ねをいたしたいと思いますが、
政府
は台湾にある
国民
政府
と現在和平に関する交渉を進められておるのでありまするが、これは台湾
政府
を中国の
政府
と認めて和平交渉に当
つて
おられるのかどうか、その点を先ずお伺いしたいと思います。
吉田茂
34
○
国務大臣
(
吉田
茂君) これは私のダレス
書簡
において明らかにいたしておる
通り
、台湾、澎湖島における現に統治の実体をなしておる台湾
政府
と善隣
関係
に入りたいという考えから、
条約
の交渉に当
つて
おるのであります。中国全体とか、中国を代表するという
意味
合いではないのであります。
荒木正三郎
35
○
荒木正三郎
君 そういたしますと、
吉田
首相は台湾
政府
は中国の
政府
ではない、こういう認定を下しておられるか、そういうふうに
解釈
して差支えがないでしようか。
吉田茂
36
○
国務大臣
(
吉田
茂君) これは平和
条約
にあります中国、いずれの中国
政府
……何と書いてあつたか記憶がありませんが、平和
条約
における中国全体を代表した
政府
、そのいずれの
政府
を中国を代表する
政府
と認めるかどうかは
日本
の自由であると書いてありますが、その
意味
合いではないのであります。澎湖島若しくは台湾、現実に統治の実権を握
つて
おる国と善隣の
関係
に入るというだけの考えであります。
荒木正三郎
37
○
荒木正三郎
君 そういたしますと、
吉田
主相もしばしば中国その他の国とも国交を回復したい、こういうふうに
言つて
おられるのでありまするが、その中国の正統なる政権というものは、いわゆる台湾ではないということになりますと、これは北京
政府
を指す、こういうことになるのか、その点。いわゆる中国の正統なる政権はいずれを認むべきか、こういう問題について首相のお考えをお伺いしたい。
吉田茂
38
○
国務大臣
(
吉田
茂君) これは将来の実際の事実問題でありまして、或る政権が中国全体を代表するような事態が生ずれば、成るべくこれと善隣
関係
に入りたいという考えは変
つて
おりませんが、現在中国北京
政府
とは何らの交渉も持
つて
おりません。又交渉に入ろうという希望も承知いたしておりません。
荒木正三郎
39
○
荒木正三郎
君 現在
世界
の各国は、中国の政権を或る国は台湾を正統なる政権と認めておる、又他の国は北京
政府
を認めておる、こういう事情にあることを考えるとき、
日本
も又いずれを選ぶべきかという問題に当面しておると私は思うのであります。そういう際に中国が今のように二つの
政府
があるからきめにくいのだ、こういう態度では、私は
国際
的な事情から
言つて
許されないのじやないか、こういうように考えるわけであります。そういう点から考えましても、将来
吉田
首相は中国政権をどう認めようといたしておるのか、お伺いしたいと思います。
吉田茂
40
○
国務大臣
(
吉田
茂君) 将来の事態の
発展
によることであります。
和田博雄
41
○
委員長
(
和田博雄
君)
あと
五分ですから、そのつもりで……。
荒木正三郎
42
○
荒木正三郎
君 それでは、最近
国際
自由労連を初めといたしまして、
世界
の民主的な労働組合は
吉田
政府
の施策に対して重大な関心を払
つて
おることは、
吉田
首相も御存じのことであると思うのであります。極く最近
国際
自由労連は
吉田
内閣
の施策、特に反民主的な傾向に対しまして強い警告を発しておるのであります。更にアメリカの最大の組合と言われるCIO、AFLにおきましても、その機関において正式にこれらを批判する決定をいたしているのであります。又これを国内的に見ましても、
日本
最大の組合であるところの
日本
労働組合総評議会は、
吉田
内閣
の累次に亘る労働強化、低賃金、言論集会に対する圧迫等の諸政策につきまして、強い反対の意向を表明しているのであります。私は今後
日本
を再建するに当りまして、国内的にはこれらの労働者の理解と協力なくしては
日本
の十分なる再建は果し得ないと考えているのでありまするが、又
国際
的に見ましても、
日本
が
国際
社会の一員として
世界
各国との友好
関係
を増進する、こういう場合に、
世界
の労働組合から強く非難されるような政策を堅持してお
つて
、果してそういう
目的
を達し得るかどうか、甚だ疑問と考えているのであります。そういう点に鑑みまして、
政府
の今までと
つて
おられた施策に対して反省するところはないかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
吉田茂
43
○
国務大臣
(
吉田
茂君) 労働大臣から……。
吉武恵市
44
○
国務大臣
(吉武惠市君) 荒木さんの只今の御
質問
の中に、
世界
自由労連からいろいろの
意見
を申出ているということでございますが、これは
日本
の事情を十分に理解せられないところから出ていると私は思
つて
おります。今回労働三法を改正するにつきましても、御承知のように労働基準法は中央労働基準審査会にかけまして、十分
意見
を聞いているわけであります。過日労働側、
使用
者側及び公益側の三者から成りまする
委員会
で
意見
が完全に一致して、答申が出ておりまするので、
政府
といたしましては、その
意見
を十分尊重いたしまして、改正をするつもりでございます。毫も労働者の権利を抑圧をするというような考えは持
つて
おりません。而も
日本
の労働基準法は大体
国際
会議で決定されました諸
条約
を基にしてできておりまして、
国際
的に見ましても、決して
日本
の労働基準法は劣
つて
いるとは私は存じないのであります。なお、労働
関係
法につきましても、労務法制
審議
会に諮問をいたしまして、一応の答申が出ました。この答申は過日も申上げました
通り
、最後の答申は、重要
事項
は労働者側の
意見
、或いは
使用
者側の
意見
につきましても、それぞれこれをかけまして、極く事務的なものが答申されておりますが、
政府
といたしましては、この労務法制
審議
会の
審議
の過程において
論議
されました
事項
を十分参考にいたしまして、立案するつもりでございます。
和田博雄
45
○
委員長
(
和田博雄
君) もう時間がありませんから……。
荒木正三郎
46
○
荒木正三郎
君 ちよつと
説明
が長かつたですから、締括りとして最後に……。(「議事決定
通り
に願います」と呼ぶ者あり)
和田博雄
47
○
委員長
(
和田博雄
君) なかなか時間が詰
つて
おりますので、時間だけはお守り願
つて
……。
荒木正三郎
48
○
荒木正三郎
君 私は最後に
吉田
首相に対しまして、一言申上げておきたいと思います。
和田博雄
49
○
委員長
(
和田博雄
君) それは荒木君、許可しておりませんから……楠見
義男
君。
政府
のほうも
一つ
簡単に要領を得た
答弁
をしてもらいたいと思います。
楠見義男
50
○楠見
義男
君 私はただ一点だけお伺いしたいのでありますが、それは我が国の人口問題についての
政府
の対策如何という問題であります。この問題は本
委員会
における
予算
審議
の過程におきましても、餘り詳細なる
論議
が行われなかつたのでありますが、実は非常に重要な問題であることは改めて申すまでもないのでありまして、この重要なる理由についてはここに改めて
説明
するの煩を避けたいと思いますが、要するに経済自立と言い、
国民
所得増加と言い、生活水準の向上と言いましても、結局この狭い国の中において、一方において年々百五十万人
程度
の人口増加、これを我が国人口の現状に対処して確たる而も恒久的な方策がなければ甚だ心許ないと思うのであります。例えば最近新聞紙の報ずるところによりますと、農林省において相当厖大なる食糧需給五ヵ年
計画
を目下作成中であるかのごとく伝えられておりますが、この場合の結果におきましても、又曾
つて
経済安定本部がいわゆる経済自立五ヵ年
計画
をお立てに
なつ
たその場合におきましても、依然その
計画
達成時における食糧の要輸入量は一向減少をしないようであります。戰前の我が国の産業別人口配分
状況
の実際に徴しましても、曾
つて
は御承知のように毎年家族を合せて百五十万乃至二百万の増加人口が商業とか、ときによりましては鉱工業等の部門にそれぞれ吸収されておつたのでありますが、今日の見通しからいたしますと、必然的に今後生ずる産業の近代化、合理化等に伴
つて
、従来とは逆の場合も予想されるのでありまして、現状を以て推移いたしますると、決して将来楽観を許さんと思うのであります。又いわゆる海外移民の問題も、
講和発効
後の今後においては
一つ
の問題として生ずるでありましようが、過去の満州開拓の例に徹しましても、御承知のようにあれだけ日満両国が国策として大規模に取上げて実行いたしました結果は、十年経
つて
も漸く十万戸に達しないというような
状況
でありました。
従つて
海外移民の問題も事柄
自体
は非常に重要でありますけれども、決して過大評価できないと思うのであります。このような一、二の実例に徴しましても、問題は極めて重大でありまして、ひとり当面の対策にとどまらず、将来長きに亘
つて
恒久的に而も総合的な対策が必要であると思うのでありまするし、
政府
もこの点については十分な案をお持ちにな
つて
いると思うのであります。
従つて
私はこの点については必ずしも
総理
の
答弁
は要しませんが、
政府
のそうした構想、或いは又具体案等について、詳細御
説明
を煩わしたいと思うのであります。
吉田茂
51
○
国務大臣
(
吉田
茂君) お答えをいたします。この問題は御
意見
の
通り
重大なる問題であります。移民問題については私は今日ここで以てとやこうや申すことは差控えますが、その他の問題についても私はどこの国でも人口問題に対する最後的な解決は非常にむずかしいのではないかと思います。又どこの国でも案が立
つて
おらないのではないかと思います。併しながら、さればと
言つて
日本政府
は案なしに行くかということは許されないことでありますから、今お話のような食糧政策であるとか、或いは産業の振興であるとかいうようなこと以上に取上げて、ここにこうするというような最も名案は、これはどの
政府
でも立ちにくいのではないかと思います。併し詳細のことは主管大臣からお答えいたします。
吉武恵市
52
○
国務大臣
(吉武惠市君) 人口問題は只今
総理
からもお話がございましたように、
日本
といたしましては極めて重大な問題であると存じます。ただ御指摘になりました毎年百五十万ということでございますが、二年ほど前の
状況
はそういう
状況
でございましたが、この二年間に大分減りまして、大体毎年百二十万台のような見通しを持
つて
おります。そこでこれをどうするかという問題でございますが、何と申しましても、
日本
における生産規模の拡大によりましてこの人口を養
つて
行くということが最も重要であろうと思います。幸いに大体今年は生産指数も一三八ぐらいでありますが、安本等とも協議いたしました見通しといたしましては、三十年には一九〇ぐらいに伸びるのではないかと、かように存じております。なお御指摘の食糧増産の面におきましても、土地改良その他におきまして極力この面に力を入れて行きたいと思います。 なお人口調節の問題にいたしましても、これは積極的にというわけにも参りませんが、目下母体保護の立場から、これの普及徹底というものにも本年度の
予算
に若干
予算
を組みまして乗り出そうといたしております。これらはいずれも重要な問題でございまして、目下
政府
としては民間のこれらの方面の権威者とも協議いたし、研究を続けている次、第であります。
岡本愛祐
53
○岡本
愛祐
君
総理大臣
は先ほど荒木君の
質問
に
答弁
をされまして、
行政協定
は
安保条約
の
実施
細目のようなものであるから、
憲法
の七十三条の
条約
には当らないんだというふうな御
答弁
がありました。その御
意味
は、これは
憲法
七十三条に書いてある
条約
じやない、
行政協定
という別のものだという御
意味
でありますか。或いは
条約
ではあるが、
憲法
七十三条但書によ
つて
、
国会
の
承認
を受けなくてはならないような
条約
ではない、こういう御
意味
でありますか、どういう御
意味
でありますか、はつきりして頂きたい。
吉田茂
54
○
国務大臣
(
吉田
茂君) これはしばしば同じことを繰返すようでありますが、
安全保障条約
においてはすでに原則がきま
つて
お
つて
、その原則を施行するために……
行政協定
の
目的
は主としてそこにあるのであります。併しこれが
行政協定
が
条約
であると言いましたところが、
安保条約
の三条でありますか、
規定
がある以上は、
憲法
にいわゆる
国会
の
承認
を要しなければならない
条約
ではない、こう私は考えるのであります。
岡本愛祐
55
○岡本
愛祐
君 それなら大体わかりました。私は
行政協定
は
安保条約
の一部であり、
憲法
第七十三条に書いてある
条約
ということには当るものである、これは疑いはないと思
つて
おります。ただ
国会
は
安保条約
を
承認
するに際しまして、同
条約
第三条の
規定
において駐留
米国
軍の
配備
を規律する
条件
を決定するために
政府
間で取極の決定をなし得る権限を一定の厳格な
条件
の下に
政府
に一任することを
国会
が
承認
したものである、こういうふうに考えております。それで改めて右
行政協定
そのものについて
国会
の
承認
を要しない、そういう
意味
なら私はわかるのであります。
総理大臣
もそういう御
意味
であるかどうか、もう一度伺
つて
おきたいと思います。
吉田茂
56
○
国務大臣
(
吉田
茂君) 御
意見
の
通り
と私も考えております。
岡本愛祐
57
○岡本
愛祐
君 御
意見
の相違じや困るので、御
意見
の
通り
ならいいと思います。平和
条約
が近く効力を発生する見通しが付いたようであります。もう一国、例えばパキスタンが批准をすればいよいよ
条約
が効力を発生する、こういう
状況
にな
つて
参
つて
おります。そこでまあパキスタン相手ではわかりませんが、
政府
はどのくらいの時期にパキスタンが批准をし、そうしてこの六カ国の批准書がアメリカに寄託されまして、そうして効力が発生する、その時期はいつであるとお考えにな
つて
おりますか。
吉田茂
58
○
国務大臣
(
吉田
茂君) お答えをいたしますが、いつ幾日ということをはつきり申上げるだけの
資料
はありません。又パキスタンがいつ批准をするか、この点についてもはつきりしたことは私は材料を持
つて
おりませんが、併し全体から考えてみて先ず四月の中旬には
条約
の効力の発生ということになるであろうと期待をいたしております。
岡本愛祐
59
○岡本
愛祐
君 四月の中旬頃には
条約
が効力を発生するだろうというお答えでありました。そこでその後その効力を発生した当事国との間に通商航海
条約
というようなものがだんだんと結ばれて行かなければならんと思いますが、それは今
国会
中にそういうものをやる必要があると思うのですが、そうすると
国会
の会期を延長しなければならんというようなことが
政府
でありますか、自由党のほうであるか伝えられておりますが、それはどうお考えにな
つて
おりますか。
吉田茂
60
○
国務大臣
(
吉田
茂君) 通商航海
条約
はわけて主要国との間には成るべく早く取極めたいと只今準備を進めております。予備交渉といいますか、話合いを進めております。さてその見通しはどのくらいの間にできるか、或いは従来の
条約
をそのまま踏襲するというようなこともあり得ることだろうと思いますが、その
協定
の期限については今ここに私は申す材料を持
つて
おりませんが、
政府
としては成るべく早く速かに主要なる国と、少くとも主要なる国との間には通商
条約
を締結いたしたいと目下頻りに努力いたしております。
岡本愛祐
61
○岡本
愛祐
君 四月の中旬に
条約
が効力を発生しまして、
国会
の会期は五月早々に切れるということになりますと、当然会期の延長が必要になるのではないか、こういうふうに思われるのであります。まあその問題はそういたしておきまして、次に国連に対して
条約
が効力を発生した後、速かに加盟を申込まれるという
政府
のお考えがありますか。そうしてその加盟を申込む前に
国会
の
承認
を得られるおつもりでありますか、その点をお答え願いたい。
吉田茂
62
○
国務大臣
(
吉田
茂君) 国連の
関係
については、まだ
政府
は国連と交渉を開始するだけの資格といいますか、
関係
に立
つて
おりませんから、予備交渉もいたしておりません。これは想像いたしますのに、主として
米国
側が
日本政府
に代
つて
話をしてくれているものと想像いたします。併しその何は、どういうふうな
条件
というようなことは、これは国連のほうの希望もあり、文
意思
もあることでありましようから、そのどういうふうな
条件
で、どういう時期というようなことは私は今日ここで以て申す材料はないわけであります。
岡本愛祐
63
○岡本
愛祐
君 それではう
一つ
お聞きいたしますが、
米国
軍以外の連合軍が
条約
発効後も
日本
に留まる希望があ
つて
、
日本政府
といろいろ
協定
をしなければならんというふうに伝えられておりますが、それはどういうふうな
関係
に立
つて
おりますか。又その
協定
は国連当局とするのでありますか、国連軍として留ま
つて
いる英国のほうとするのでありますか。又その
協定
は
行政協定
というのでありますか、或いは
条約
でありますか、その点を伺いたい。
吉田茂
64
○
国務大臣
(
吉田
茂君) ちよつと聞えませんでしたが、国連軍が
日本
に駐留することを言われるわけでございますか。つまり
米国
以外の国、濠州軍などが
日本
にいる、この
関係
はどうするかという……。
岡本愛祐
65
○岡本
愛祐
君 そういうわけです。
吉田茂
66
○
国務大臣
(
吉田
茂君) これは自然国連との間の
関係
になりましようから、国連からしてこうしてもらいたいとか、ああしてもらいたいとかいう交渉はあるだろうと思います。只今のところは何らの交渉はまだないのであります。
岡本愛祐
67
○岡本
愛祐
君 そのときに国連のほうと
日本
といたします取極は、
行政協定
という名前でやられるのであるか、
条約
であるか、又どういう名前であるか、それをお聞きしているのです。
吉田茂
68
○
国務大臣
(
吉田
茂君) これは
行政協定
という名前にしようとか、或いは
条約
にしようとかいうような何らの只今のところでは交渉はないのであります。いずれ国連からして申込みがあつた上で以て考えようと思います。
岡本愛祐
69
○岡本
愛祐
君 次にお伺いいたしたいのは、アメリカの上院で、平和
条約
を
審議
するに当りまして、平和
条約
の第二条の(C)項、即ち「
日本
国は、千島列島並びに
日本
国が千九百五年九月五日のポーツマス
条約
の結果として主権を獲得した樺太の一部及びこれに近接する諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。」という条項を
審議
いたしまして、これはソ連に領土権を認めたものではない、こういう議論が議員の各人から出され、又
政府
もこれを肯定しております。そうでありますから、この平和
条約
がアメリカその他との間に効力が発生しました後に、
政府
は速かに堂々とこの一旦放棄した千島並びに南樺太を
日本
に還してもらいたいという
意思
を
世界
に訴えるために声明でもせられる御用意がありますか。それを伺いたい。
吉田茂
70
○
国務大臣
(
吉田
茂君) 上院の平和
条約
審議
の際に、お話のような議論があつたことを新聞では承知いたしております。併しながら
政府
の公電としては何らの留保なくして
条約
は批准されたというだけの話で、詳細の材料については
政府
としては承知いたしておらないのであります。樺太等の問題については将来のことに属しまするし、まだ
独立
もいたしておらず、又ソ連との
関係
も微妙でありますから、ここでお答えすることは差控えたいと思います。
岡本愛祐
71
○岡本
愛祐
君 次に行政機構の改革についてお尋ねをいたします。
政府
は初め大々的に行政機構の再編成をお考えにな
つて
おつたようであります。ところがいろいろな事情から僅かに
一つ
の府、十一省というような、誠に小さな改革にとどまつたということであります。それでそれを近く
国会
に御
提出
のようでありますが、一方には衆智を集めた行政制度
審議
会というようなものを
政府
が作られて、又改めて検討するというふうにお考えにな
つて
おるというふうに我々は聞いておるのでありますが、それはどういう
関係
に
総理
はお考えにな
つて
いますか。
吉田茂
72
○
国務大臣
(
吉田
茂君) 行政機構の改革は短い期間の間に、何と言いますか、拙速を尊ぶというのではなくて、十分慎重
審議
して各省の間の
関係
、或いは又複雑にな
つて
おる
関係
等を整理して、そして成るべくさつぱりした機構にする。そうして行政の簡素化を図りたい、こういう趣意から出発したのであります。大小の規模についてはおのおの只今研究中であります。大きい規模で、或いは小さい規模でといろいろ議論がありますが、
政府
としては成るべく慎重に今申した行政簡素化の線に沿うて結論に達したいと努力いたしております。併しいずれのときにおきましても、行政機構の簡素化とか、或いは又行政機構が複雑になることを避けるためには絶えずこれを監視しておる必要があり、又研究しておる必要がある。実情に適するようにいたすためには、或る
委員会
を設けて絶えずこの問題を常時的に研究さしておく必要を認めますから、そこで今お話のような
委員会
を設けたいとも考えております。
和田博雄
73
○
委員長
(
和田博雄
君) もう
あと
二分しかありませんから…。
岡本愛祐
74
○岡本
愛祐
君 では、最後に地方自治に関する
総理大臣
の御所見を伺いたいと思います。いろいろ申上げたいのですが、時間がありませんから
簡單
に私がお尋ねしたいことだけを申上げます。
政府
は地方行政、地方自治のあり方につきまして、地方行政調査
委員会
議というものを
吉田
内閣
が一昨年の一月にお作りになりました。そうしていわゆる神戸
委員会
と称せられまして、神戸正雄氏が議長にな
つて
苦心の結果三回に亘
つて
……。
和田博雄
75
○
委員長
(
和田博雄
君) 岡本君
一つ
簡單
にお願いします。
岡本愛祐
76
○岡本
愛祐
君 その取りまとめた結論を
政府
並びに
国会
に勧告して参
つて
おります。ところが、その勧告を一向に採用されないで、別の見地と申しますか、から地方自治法の一大改正を今度やられるようであります。これはどういう
意味
であるのか。私は折角設けられた神戸
委員会
の勧告、この線はやはり尊重されなければならない、法律にもそう書いてあります。それはどういう
関係
に立
つて
おりますか、お尋ねしたい。 それからもう
一つ
、なお
政府
は更に地方制度調査会というようなものもお作りになるように言われております。それならば地方制度調査会で衆智を集めましてよく御研究にな
つて
からこのような大きな改革はなさるべきだと思うのですが、それをどういうふうに
総理
はお考えでありますか。
吉田茂
77
○
国務大臣
(
吉田
茂君) 詳細なことは主管大臣からお答えいたしますが、今の神戸博士の
委員会
の
報告
書は当局において十分参考にしておるはずであります。
和田博雄
78
○
委員長
(
和田博雄
君) 十二時五十五分から本会議の採決がありますので、午前はここで暫時休憩にして、午後は一時二十分から始めたいと思います。 それからこれは
一つ
委員
のかたも、
政府
のほうも、時間が非常に制約されておりますので、
一つ
要領のいい
質問
をし、核心に触れた御
答弁
をして下さるようにお願いいたしておきます。そうしないと徒らに時間が延びて来て
委員長
は甚だ処理に困ることになりますから、その点を
一つ
十分お含みおきを願います。(「名
委員長
」と呼ぶ者あり) 午後零時二十七分休憩 —————・————— 午後一時三十三分開会
和田博雄
79
○
委員長
(
和田博雄
君) 午前に引続き
委員会
を再開いたします。
質問
を続行いたします。山田節男君。
山田節男
80
○山田節男君 本
国会
の開会の劈頭におきまして、
吉田
総理
は施政演説の中で、一昨年以来の、殊に昨年の春以来の経済的な
発展
につきまして、非常にまあ楽観的な、自信のある演説をなさつたのでありますが、それと同時に、
大蔵大臣
並びに周東長官もこれを裏打ちするかのごとく極めて楽観的な、又一面において自信のある施政の御演説があつたわけですが、それに基いて立てられました来たる
昭和
二十七年度の
予算案
を本
委員会
において検討いたしたのでありまするが、その後
国際
情勢等の変革、変動と申しまするか、急激なものがございます。例えば貿易の見通しでございます、
総理
並びに周東安本長官の御演説では、将来の貿易は極めて朗らかなお見込でありましたけれども、最近になりまして、英国、濠州、ニュージーランド等が、対日の輸入を極力削減し、又或るものはこれを杜絶しようというような情報も参
つて
おります。又御承知のように、ポンドが一億ポンドも集積いたしまして、非常な、今
日本
の貿易上におきましても、大きな問題を投げかけております。なお外資の導入に対しましても、過日のマーカット少将の声明がございました。これは明らかに
日本
の現在の政治経済に対する苦心の現われと思うのでありますが、かようなわけで、こうして二十七年度の
予算
をお立てに
なつ
た後におきまして、そういつたような情勢の変化がございまする上に、この
予算
を各大臣から責任ある御
答弁
を得まして、いろいろ研究して見まするというと、なかなか
総理
が施政演説で述べられたような御希望を実現し得るかどうか、甚だ疑わしい諸点が幾多出て来ておるのでございますが、その中の若干の点を更に今日
総理大臣
に御
質問
申上げて、
国民
に安堵感を与えたいと思うのでございます。 第一には、これは本
委員会
で非常に問題になりましたが、例の
自衛力
の漸増と来たるべき補正
予算
、或いは二十八年度の
予算
における見通しでございます。
池田
大蔵大臣
は、この二十七年度の
予算
におきまする
防衛
支出金、
警察予備隊
、
海上保安庁
、安全保障諸費その他合せまして千八百二十億円でございますが、
池田
蔵相は、これはもう最大
限度
である、
吉田
総理
は、これは最小
限度
だとおつしやつたけれども、
大蔵大臣
としては、これはもう最大
限度
である、
従つて
、補正
予算
においても殖えようとは思わないし、極力これを最大
限度
として行きたい、のみならず、これは
吉田
内閣
の建前である増税をしない、むしろ減税をして行く、而もこの
財政
は飽くまで超均衡であり、民生第一主義である、かように言われておるのでございますが、これは私どもとして誠に喜ばしいことと存じまするが、
大橋
国務相から
自衛力
の
漸増計画
についての昨日の
行政協定
に関する小
委員会
、
予算委員会
の小
委員会
の
資料
として出されたものを見ましても、やはり今後の
治安
或いは
財政
事情を考慮して、この漸増のスピードをこれ以上、十一万以上の
増員
を考えたい、かようなことを
言つて
おられるのでございまするが、今日
国民
が一番心配しておりまする点は、この
自衛力漸増
、
安全保障条約
で義務付けられておりまするこの
自衛力
の漸増によりまして、将来増税するのではないか、それがために
国民
生活が犠牲になるじやないかという不安を持
つて
おるのでございますが、重ねて私は
総理
にこの
大蔵大臣
の声明なり、或いは
総理
のたびたびの御声明につきまして、もう一度
一つ
この席上で御確認願いたいと思うのであります。
吉田茂
81
○
国務大臣
(
吉田
茂君) しばしば
国会
内外において申しておりまするが、
日本
の国力に応じた
防衛
をいたすべきである。今日
日本
の国力としては、現在の
防衛
費が最大限と言い、最小限と言うのは、物の裏表を
言つて
おるだけの話でありまして、同じことなのであります。とにかく増税はいたしたくない。又
防衛
費もなるべく倹約いたしたい。これは一に外界の事情によるわけで、
日本
に対する侵害の
程度
がどうであるかという外界の事情によることであり、又
日本
の
財政
負担能力に適応した
防衛
をいたしたいと思うのであります。現在においては、いずれにしても、この
予算案
において御覧の
通り
、この上増税いたす考えもなければ、又
防衛
費を増加する考えもございません。
山田節男
82
○山田節男君 次には外資導入の問題でございまするが、過日も御
質問
申上げたのでありますが、更にはつきりしたいために重ねて御
質問
申上げます。先ほど申上げましたように外資の導入は
吉田
内閣
のこれは重要な政策でございます。これを持ちましてこそ、
吉田
内閣
の
日本
の自主的な経済産業政策が確立できるという、これは非常に重要な政策でありまするが、今日におきましては、先ほど申上げましたように外資導入が極めて困難である。その原因は、これは単なる
日本
におきまして
国内法
の、
外国
の投資に関する法律を改正したくらいのことで解決し得るようなそんなやさしい問題ではないと存じます。即ち先ほど申上げましたが、この
日本
の金融
財政
、インフレーシヨンの問題、或いは政治の安定を欠いておるということ、殊に
日本
の産業資本家が朝鮮の特需以来、動乱以来示しております
通り
、極めて杜撰な経営であります。
大蔵大臣
は資本の蓄積ということを
言つて
おられますけれども、この特需で栄えておる会社が三割、五割、六割というような配当をいたすような情勢であります。かような極めて、
吉田
首相の
言つて
おられる自由主義経済に基く無統制な経済が、このアメリカの資本家たちに対しまして極めて不安な情勢を与えておるのだと思うのであります。そこでどうしても
吉田
総理
といたしまして、又我々としましても、
日本
の経済の自立のためには外資を或る
程度
まで導入しなくてはならない、かように思うのでありますけれども、先ほど申上げましたように、マーカツトの声明は
日本
の外資導入の態勢が整
つて
いないという、これは
一つ
の大きな私は証明であると思うのであります。
吉田
総理
は、こういう
日本
の産業の外資導入の必要性に鑑みまして、今後この外資導入の態勢のためには、単に
国内法
のそういう外資に関するような法律を改正するのじやなくて、それ以上の
外国
が信用し得るように、アメリカが好んでいわゆる高き所から低き所に水が流れるような態勢になれば外資は入
つて
来ると思うのであります。これは絶対に必要だと思うのでありますが、
総理
はこういう外資導入の受入態勢のためにもつと合理的な、又もつといい
意味
の統制経済、これを立てるような考えはないか。又それによ
つて
、又その他の方法によ
つて
日本
の金融なり、或いは
日本
の殊にこの産業政策というものを信用させるようにしなくちやならんと思うのでありますが、これに対しまして
総理
としての具体的な心がまえを
一つ
お伺いしたいと思います。
吉田茂
83
○
国務大臣
(
吉田
茂君) 外資の導入は決して容易なことではない。又我々も安易な楽観的な考えを持
つて
おるのではないのであります。併しながら外資導入は
日本
の経済安定のためにもどうしても必要なことであり、この外資導入については極力
政府
としては努力いたす考えであります。又
米国
政府
或いは
米国
民として
日本
の経済自立を念願すると言いますか、希望してできるだけの援助をいたしたいという気持は十分あると私は考えます。故に
日本
の国情が安定し、又今お話のような
日本
の
財政
経済に対して十分安心が行くならば、
米国
の資本家或いは
米国
の
政府
は
日本
に対する経済援助と言いますか、外資の導入については十分の努力をいたしてくれるものと私は確信いたします。 詳細な点は
大蔵大臣
から御
説明
いたします。
山田節男
84
○山田節男君
大蔵大臣
からは更に又機会があつたら伺いたいと思いますから省略いたしたいと思います。それから第三には、これは甚だ私としてどうも
吉田
総理
に対して僭越な申入れかも存じませんが、私は
日本
が戦争に敗けまして以来、戦後
国民
一般が虚脱の
状態
に入りまして、これはどの敗戦国におきましても道徳の頽廃するということはこれは通性でございます。併しながら
日本
の終戦以来六カ年間のずつと思想、風潮を見ますときに、全く人心地に落ちると申しますか、道義というものが低下して参りまして、これが競馬であるとか、競輪であるとか或いはキヤバレーであるとか、カフエーであるとか、東京温泉であるとか、或いは犯罪も悪質なものがどんどん殖えて参り、又官吏の汚職問題も頻発いたしておるような次第でありまして、全く今日この道義の点におきまして誠に憂うべき
状態
にあると思うのであります。又政治上におきましては、これは甚だ失礼ではありますけれども、今回の自由党ができまして衆議院の絶対多数をお持ちにな
つて
おる、このことがむしろ悪用されまして、政治道徳の頽廃ということが非常に私は顕著にな
つて
来ておるものと存ずるのであります。今日東京を見ましても極めて軽薄ないわゆる。パンパン文化のような工合にな
つて
おるのでありまして、私は一昨年西ドイツ或いはイギリス、アメリカ等を廻
つて
来ました。特に戦勝国であるイギリスが厳粛なる耐乏生活をしておる。又西独におきましては実に臥薪嘗胆でございます。我々が見まして実に
日本
は戦争に敗けたのではなく、勝つた国であるように思われるのであります。これあればこそ西ドイツにおきましては、一九五一年におきましてあの四千八百万の人口でありますけれども、三十五億ドルの輸出をしております。かような私は
日本
が人心地に落ち、道義も全く地を払う、かような事態に直面しまして、
吉田
総理
は絶対多数党の総裁としまして、而もあなたは功成り名を遂げられた一立派な地位にあられるかたであります。いよいよ
独立
を迎えようとする
日本
といたしまして、
吉田
総理
は絶対多数の政党を持たれ、又
憲法
で保障されたヒトラーにも比すべき独裁権をあなたは持
つて
おる。併しながら今日あなたの政治の根本には道義の精神がない。アデナウアーにしてもチヤーチルにしても道義の精神がある。トルーマンも然りであります。併しあなたの過去三年半の政治を見まして、道徳、道義というものを打出していない。全く自由党の自由経済の唯物主義のかたまりだと思います。こういうことがいろいろ
日本
の
国民
の道義頽廃に拍車をかけておると思うのでありますが、
吉田
総理
はこういうことをどうお考えにな
つて
おりますか。あなたこそ
一つ
乗り出して一国の宰相として、政治道徳の権化として、
国民
の士気の頽廃しておるのを振興するというようなお心がまえはないか。若しおありならばどういうようなことをおやりになるつもりか。これを
一つ
伺いたいと存じます。
吉田茂
85
○
国務大臣
(
吉田
茂君) 御
意見
によると自由党が絶対多数を持
つて
おるから道義が頽廃したというようなふうに聞えるのでありますが、私は自由党が絶対多数を取ることによ
つて
政界は安定し、政情が安定する。政情が安定することによ
つて
日本
の
国民
の心理が虚脱
状態
にあつたといたしましても、安定することによ
つて
漸次道義と申しますか、良心的な気持が回復し得るのであ
つて
、若し自由党が安定勢力とならなかつたならば、もつと激しい道義の頽廃を来たしたと私は確信いたします。私は自由党の絶対多数を持
つて
おることが、今日道義頽廃の原因であるとは断じて信じないのであります。
山田節男
86
○山田節男君 私はこれは少し
総理
が感違いしておると思う。私はそれがいわゆる道義頽廃にな
つて
おるとは申したのではないのであります。私はそういつたような大政党の総裁であり、又
総理大臣
であらせられまして、殊にあなたが御努力に
なつ
た平和
条約
、或いは
安保条約
も近く発効するのであります。そこで私は今次の世相を見まして、
総理
が先頭に立
つて
精神作興をやるのだとお叫びになれば、
独立
後の
日本
はあなたの御希望のように立派な国となるのでありますが、この重要なチャンスを御認識になれば、今まではあなたの政治には道義というものを強く打ち出していない。トルーマンにいたしましても、アデナウアーにいたしましても、それらのステイトメントには道徳政治というものがあります。これがあなたの三年半の政治の中において一番欠けておる点と思います。ですからあなたのような立派なかたがそうして陣頭に立
つて
頂けば、今日の実に頽廃しておる思想を明朗にできると思うのです。あなたその勇気をお振いになる元気があるかどうかということを私はここにお願い申上げておるのです。
吉田茂
87
○
国務大臣
(
吉田
茂君) 若し私がヒトラーであるなら、お話のように私が陣頭に立
つて
指揮もいたしまして、振興になるのでありましようが、
日本
国民
は私一人によ
つて
振起せられるのではなくして、
国民
の
国民
的精神によ
つて
振起せられるのである。これは私一人の責任ではなく、諸君も又参議院におかれても、各政党におかれても同じ気持を以て協力せられることによ
つて
初めて
国民
の精神が振興せられると考えるのであります。(拍手)
山田節男
88
○山田節男君 時間がございませんからそれ以上御
質問
申上げませんが、どうぞ
総理
の地位のウエイトというものが、これは勿論我々協力すべきでありますけれども、
総理
がそういう点をちよつとでもお出しになれば、そういう空気がおのずから開けるということを私は申上げたいのであります。 次には蒋介石政権と目下
条約
について折衝なさ
つて
おりまするが、過日この本
委員会
におきまして、
岡崎
国務相が、
日本
はこの毛中共政権と外交交渉をする権利を保留するものであるということを言われたがために、一時台湾政権との
条約
折衝が危機に陥つたように聞いておるのであります。然るに昨二十四日のニッポン・タイムスを見ますると、
岡崎
国務相が過
日本
予算委員会
で言つたことは、これは
一つ
のホーム・コンサンプシヨンのために言つたのである。即ち本事実は蒋政権を代表とする中華民国のみを認めるのだ、かように蒋政権代表の葉全権も申しておるのであります。
政府
は、果してこれが事実であるかどうか。話の途中で、
日本
側のほうでは非公式にこの
国民
政府
の中華民国のみを認めるということはすでに取消されているのか、取消した上でこの
条約
が成立されるべく交渉しつつあるのかどうか。又外電の報ずるところによりますと、この交渉はアメリカの当局者が介入しているやに聞くのでありますが、そういう事実があるかどうか、この点をお聞きしたい。
岡崎勝男
89
○
国務大臣
(
岡崎
勝男君) この
予算委員会
で私の
答弁
が、中共に対する外交を処理する権利を保留すると申したと、こういうお話でありまするが、恐らくこの
予算委員会
に出席の諸君は、私がそういうことを言つたことがないことは十分御承知だと思います。全然そういうことはないのであります。外電でそういうふうに伝えられて来たことは私も見ました。早速そういうことはないということを外電の
関係
の社にも申しておりますし、又台湾に行
つて
いる全権のほうにも念のため伝えておきました。そんなことは全然ないことは、もうここで弁明する理由は、必要はないと考えております。 なお台湾と
日本
の間の只今の交渉にアメリカが介入しているという事実があるかというお話でありまするが、そのような事実は全然ありません。最近倭島アジア
局長
が現地に参りまして帰
つて
参りましたその
報告
によりましても、アメリカの代理公使は全然この問題に
関係
をいたしておらない、又
日本
の全権もアメリカの公使に面会したこともまだないというお話であります。
山田節男
90
○山田節男君 最後にこれはテレビジヨンの問題でありまするが、
吉田
総理
はこのテレビジヨンを早く
日本
に置け、これは勿論我々も望ましいのでありますが、このテレビジヨンは極めて金のかかるものでありまして、放送いたしますにしても、或いは受像いたしますにつきましても、恐らくはこの施設だけでも東京から福岡まで数百億円の金が要ります。又これを公営にするか、民営にするか。公営にした場合に、これも年々二千円、二千五百円取らなければならん、こういうような金のかかるものを、又全然完成の域に達していないものを
一つ
早くこれを備えようというお話でありますが、これは
日本
が只今申上げましたように耐乏生活をいたし、又一面におきましては経済の振興を極力やらなくちやならん、こういうときにテレビジヨンをやるということは、これは先ほど申上げましたように、
日本
が非常に軽挑浮薄になりまして、何でも新らしいものが欲しいというような、こういうような
一つ
の現われと思うのでありますが、又今日
日本
にテレビジヨンを設けましても、これは裏長屋に電気蓄音機を置いたようなものであると思うのでありますが、
吉田
総理
はやはりテレビジヨンを一日も早く実現させたいというおつもりなのかどうか。この点をお伺い申上げたいと思います。
吉田茂
91
○
国務大臣
(
吉田
茂君) 私はテレビジヨンが成るべく早く
日本
において実現するようにと申したことは曾
つて
ないはずであります。のみならず、逆にテレビジヨンの発明をした人、その人でありましたかちよつと忘れましたが、曾
つて
私の所へ手紙をよこしてテレビジヨンをやりたいがということでありましたが、併し
政府
としては
予算
もなし、又今日
国民
としてもテレビジヨンのごとき高価なものを各家庭が備えるということはどうであろうか、実現はむずかしいという返事をしたことを記憶しております。それから現存テレビジヨンについては電波監理
委員会
その他において、
日本
に持
つて
来ることがいいか、導入することがいいか悪いかということを研究しております。私としては
意見
を、今お話のような成るべく早く
日本
でやるようにということの
意見
は申さないのみならず、むしろこれに対して反対の行動と言いますか、処置をとつたということを、ここに申しておきます。
山下義信
92
○山下義信君
一つ
だけ伺いたいと思います。去る二十一日リッジウエイ総司令官は三新聞代表者の会見におきまして、ソ連は極東、シベリア、樺太、ウラジオなど
日本
海に面した諸地域に厖大な軍事力の
配備
を終り、いつ何時でも軍事行動を起し得る態勢を整えておる、
国際
情勢は緊迫しておる云々というお話をなさつたということであります。
国会
におきまする
自衛力漸増
、或いは
戰力
に
関連
いたしまして
憲法
の問題、
行政協定
等の問題がいろいろ
論議
せられ、慎重に御検討相成つたのでありまするが、肝心の
国際
情勢の検討につきましては私どうもいささかまだ不十分である、不十分というよりはむしろ本当にそういうことが
国会
で
論議
されていない点を反省いたすのでございまするが、本日の毎日新聞におきましてもこの点が指摘せられてあつたように思うのでございます。先般私は本
委員会
におきまして、直接侵略に対する脅威ということについて
政府
はどういうふうに見ておるかということを
木村法務総裁
に伺いました。ところが
木村法務総裁
は、その点は当分の間懸念はないと、極めて何と申しますか、非常に安易なお考え、御観測のようで、御
答弁
は極めて
簡單
に相成つたのであります。
国民
は
国際
情勢の、殊に極東情勢の
状況
につきましては非常に関心を払
つて
おるのでございますけれども、
米国
側或いは諸新聞の報道等はしばしば私ども見聞いたすのでございまするが、それを、
政府
からそれらに対しまして何らかの御
説明
御発言を承わつたことがないのであります。毎日新聞も
政府
当局、殊に
吉田
首相がこの点について
国民
に対する
説明
が足りない憾みがあるということを指摘しておるように思われるのでございます。私ども直接侵略の脅威云々という問題が根本であるわけでございまするから、或いはいつも首相がおつしやるように、今
政府
としては、いろいろ
日本
としては諸情報を持
つて
おらんということだけで御
説明
が今日までなかつたのでございまするけれども、こういう点に関しまする
国民
の関心に対しまして、若干の御
説明
を得ますれば結構と思うのでありますが、如何でございましようか。
吉田茂
93
○
国務大臣
(
吉田
茂君)
米国
軍等から朝鮮その他における共産軍の活動等については漸次
報告
を受け、又
説明
を受けております。併し御承知の
通り
日本
としては外交機関は持
つて
おらず、お話のような情報収集の機関もないのであります。
従つて
他から聞いたところを以て
説明
をするとか、或いは又ソヴィエトその他も現在
占領軍
の一部にな
つて
おるのでありますから、ソヴィエト軍はこういうふうなことをしているとか、或いは朝鮮における
状況
はどうというようなことは、一に新聞或いは連合軍の情報を聞いておるだけの話で、
政府
としてこうであるああである、こういう確信を以て正確な情報をお話する地位にないのであります。ただ朝鮮の
状態
から考えて見ても、又その他アジアにおける共産軍の活動等から考えて見ても、決して安易な考えを持
つて
おりませんが、然らばこういう事実がある、ああいう事実があると
言つて
事実を以てお話するだけの位置にないのでありますから、いずれ
日本
も
独立
をいたし、そうして外交機関等が整備した場合には特別情報を収集してお話をいたしたい、こう思います。
鈴木強平
94
○
鈴木
強平君 私はこの際
講和発効
に伴う国内態勢整備の問題についてお伺いをしたいと思います。
予算
も二十七日を契機といたしまして一応
審議
を終るのでありますが、従いまして今後
国会
に
講和発効
に伴う国内態勢整備、主なるものを申上げまするならば、行政機構の改革とか、労働三法の改廃とか、或いは団規法とか、或いは過度経済力集中排除の法律、或いは独禁法などにつきましもいろいろ改正が行われるのではないかと思いますが、
政府
は今のままの姿で直ちにさような重要な法律案を
国会
に迅速にお出しになりますか、お伺いしたいと思います。
吉田茂
95
○
国務大臣
(
吉田
茂君) 只今諸法律の改正法案については準備いたしております。成るべく速かに
国会
に
提出
いたしたいと考えております。
鈴木強平
96
○
鈴木
強平君 先日来新聞紙上を賑わしました労働法規の問題や、或いは行政機構の
問題等
出ております。特に行政機構改革の問題につきましては、
政府
の責任あるかたがたからも御
意見
を聴取しましたけれども、新聞その他に詳しく出ておりますが、先ほども岡本
委員
からも指摘されておりましたが、時間がないのでおやめに
なつ
たと思
つて
おるのでありますが、
政府
は講和
条約
を結ぶ前にどうしても国内態勢を整えなければならんという観点から、先ず第一に国内の行政機構を整備して行く、行政の簡素化、合理化を図る、地方の自治団体或いは各種団体に模範を示したい、さようにすることが新
日本
建設の第一歩であるということを
総理
みずからも言われております。漸くにいたしましてこの法案が出て参つたように思うのでございますが、現在伝えられておりますところの一府十一省、この案で御満足であるのでありますか。或いは出先機関の整備の問題、各種
委員会
その他部局の統合廃止の問題につきましても、伝えられるところのような
程度
であ
つて
は我々は納得行かないと思うのでございますが、新聞紙上ではすでに閣議でも御決定に
なつ
たように聞いております。又
総理
もこの問題については相当お骨折りをしておられるように聞いておりますので、かような案で
国会
にお出しになるのであるか、お伺いいたしたいと思います。
吉田茂
97
○
国務大臣
(
吉田
茂君) 所管大臣の
法務
総裁から詳細お答えをいたします。
木村篤太郎
98
○
国務大臣
(
木村篤太郎
君) 国内整備につきましては、先ず行政機構の改革は重要な位置を占めておると
政府
は考えておるのであります。そこで只今我我の考えておる行政機構についての最終案というものはまだ決定されておりませんが、大体新聞紙上で伝えられておるところとは大差はないのであります。最も我々が重点を置きましたのは、何と申しましても終戰以来いろいろの
委員会
ができておるのであります。殊に行政的性格を持つた
委員会
で、果してその責任の所在をどう持
つて
行くかという不明なものもありますから、でき得る限り行政的性格を持つた
委員会
はこれを廃止いたしまして、ただ審判的性格を持つた例えば公正取引
委員会
というようなものはこれを存置いたしたい、こう考えております。なお御承知の
通り
各省におきましては外郭いわゆる外局というもの、何々庁というものがたくさんあるのでありますが、これはできるだけ整理いたしたいと考えております。その他各部局について相当能率的にこれを廃除、統合して、能率的に
運営
いたすことに考えておるのであります。併し根本的にあれするのには、どうしても行政事務の整理をやらなければならんと考えております。併しこの行政事務は法律が非常につなが
つて
おるのでありますから、それは再検討いたしまして、第二段階にこれを研究して実行に移したいと考えております。
鈴木強平
99
○
鈴木
強平君 時間がないので、私といたしましては
総理
からのお答えを願いたいと思います。併し
簡單
で結構であります。これは新聞の輿論ばかりでなく、一般の
国民
から見ても今度の行政機構の改革に当りましては、非常に不満の声が強い、
吉田
首相があの
通り
にこれこそ
自分
の身命を擲
つて
もやりたいというようなお考えの行政機構の改革がかような
程度
に追詰められたゆえんのものは、言うところの選挙が近くであるとか、或いはすでに組閣以来三カ年を経ております。平時なら十年乃至十五年の時間を経ておると思う。従いまして、一般
国民
におきましても、
政府
に対する考え方が、信任の
程度
がはつきりしておらない、そういう点に私はあると思います。
従つて
我々が要望したところの本筋の通つたような改革案は未だ出ておらない。かような案が若し
国会
に出るならば、我々みずから真先に反対して潰さなければならない。何故ならば再び
吉田
内閣
が第四次
内閣
を組織しようと、或いは他の政党が組織しようとも、かような骨筋の通らない行政機構の改革案が出て
国会
を通つたならば、育ちに次の
内閣
、他の
内閣
でこれを変えるようにしなければならないと思います。
従つて
国家百年の大計をなすべきような行政の改革でなければならんと思
つて
おります。
政府
はここに行政
審議
会を作
つて
徐々に改正するように逃げ道を開けておくということは以てのほかであると思います。私はふだんから
吉田
首相の行政手腕を高く買
つて
おります。又
国民
も高く買
つて
おると思います。何故に、かようなお考え付きはいいのにかかわらず、結果においてはかように歪められたか、こういう点について
吉田
首相御自身としての御心境があると思いますので、御心境を伺いたいと思います。
吉田茂
100
○
国務大臣
(
吉田
茂君) 行政機構改革の
政府
案が筋が通るか通らないかは、
提出
した上で以て御判断を願いたいと思います。私は行政改革というのは、絶えず
政府
としても行政の簡素化を管理しておらなければいかず、又一どきに急激にこしらえ上げるということは無理な点がありますから、何と名前を付けるかまだ考えておりませんが、方法としては
委員会
を設けて絶えず行政簡素化の線において、
政府
の行政機構を保持して行くような
意味
に考えますから
委員会
を作る。その
委員会
を作つたからとい
つて
、行政機構の改革を延ばすわけではないのであります。又行政機構の改革は選挙と何ら
関係
はないのであります。一に戰後の
政府
機関として成るべく簡素にして、そうして統一ある行政機構に持
つて
行かなければならんという必要からのみ考えておるのであります。
鈴木強平
101
○
鈴木
強平君
吉田
首相は曾
つて
私たちの部屋にもお見えにな
つて
、何としても
講和発効
後の
日本
を若返らして、そうして
外国
と自由な貿易をするのには、国内の無駄を省いて、そうして身軽にしなくちやならん、これは最も急ぐ問題である、恐らく何人もこれに異論はないと思
つて
おります。併しこれを徐々にや
つて
行
つて
よろしいことであれば、もはや論ずる価値はないと思います。
講和発効
の機会に新たなる
日本
再建のために、少しぐらい無理な手も打たなくちやならんと思
つて
おります。併しながらかような手が打てないということは、どこかしら国内の行政に納得の行かない点があると思います。先日首相は自由党の大会におきましてやや
国民
も最近は弛緩しているように思われる節があると論ぜられております。勿論世論調査におきましても、いつも答えのない三〇%、四〇%の人々のおることは、やはり弛緩しておると言われても止むを得ないと思
つて
おります。併しながら果して
国民
の一部のみが弛緩しておるのでありましようか。
政府
においても、或いは与党においても、官僚においても、弛緩の
状態
においては私は一、二を論ぜられないと思うのであります。かような立派な考えが歪められるゆえんのものは一体どこにあるか。人心が弛緩しておる、且つ又新らしい新鮮な世論を
国民
が望んでおると思うのであります。言い換えますならば、現存問題にな
つて
おりまするところの解散を一日も早く断行するところに新らしい政治が生まれて来ると思うのでございます。而も四月半ば過ぎれば、批准も終
つて
条約
は発効するように聞いておりますので、この際
政府
におきましては、はつきりと民心をつかんで行くという観点に立
つて
、自由党の幹部自身もラジオ討論会においても解散を翼
つて
おる。勿論反対党は全部挙げて解散を翼
つて
おります。決議案さえ出しております。
日本
の国力を、いつもよくなるように受けて立つ、たとえ世論は上らないでも受けて立つ、首相は
日本
の政治について、解散であろうとも受けて立つという気持で以て、ここに書いてある
通り
に、あらゆるむずかしい法律案も、端的に、よい気持の上に
国会
においては
論議
せられて通過するであろうと思います。特に労働法規の問題のごときは、労働組合側から申しますならば、
実力
を行使してまでも反対するというようなことを
言つて
おられる。或いは行政機構改革に当りましても、今のような案が出ても必ずしも
国会
は通るとは言えないと思うのであります。この際非常な決意をして頂きたいと思うのでありまして、与党は参議院にもおりますけれども、参議院においては、重要な法案が通らない場合に、衆議院のように三分の二以上の絶対多数を与党が持
つて
おるのならいざ知らず、そうでない場合におきましては、やはり重要な問題が参議院を通らないことは、言い換えますならば世論がこれを支持していない、かような観点に立ちまして首相の解散に対する心構えをお尋ねしたいと思います。
吉田茂
102
○
国務大臣
(
吉田
茂君) 解散は始終反対党諸君から迫られますが、私は施政の方針その他において申上げております
通り
、ここに一年間は
独立
後の
日本
においては国情が安定して、そして幾らか経済回復、国力の回復を考えるべ、政争に一年を費すということはよろしくない、故に解散はいたさないということをしばしば繰返しておりますが、今なおその決意を持
つて
おります。
鈴木強平
103
○
鈴木
強平君
総理
のさように重要なときに空間をおかないで、そうして十分に
国会
を
運営
させて行く、非常に御立派な考えであると思うのです。併しながら選ばれておる、選出されております
国会
議員の考え方は別にあるのではないかと思うのです。而も先日の第六区の選挙におきましても、何故に各党があの
通り
に争つたか。言い換えますならば、若しこれが任期一ぱい済んだ暁におきましては、選任されておりまする現任の衆参議員といえども……いや、代議士といえども、新たに党から立候補する場合公認になるということを考えますならば、任期一ぱい済んだ場合に誰がなるか非常な紛糾を来たすのではないかと思います。併しながら、事、解散となりますならば、優先的に現任議員が推されることは議会史始ま
つて
以来の常道でございます。ということでありまするならば、恐らく任期の前に与党、野党一致して解散決議をすらしなければならんというような情勢に至るのではないかと思うのであります。さような場合におきまして、
国会
の最長老でありますところの
吉田
首相の判断が誤ま
つて
おつたということであ
つて
は、私はならないと思うのであります。従いまして、情勢の変化によ
つて
は解散も止むなしというようなお考えではないかと思うのでありますが、もう一言重ねてお伺いしたいと思います。
吉田茂
104
○
国務大臣
(
吉田
茂君) 解散はせずにこのまま参るつもりでおります。
鈴木強平
105
○
鈴木
強平君 去る十九日に参議院におきましては教育施設確保に関する決議案、言い換えまするならば、終戰以来
占領軍
に占領されました学校施設その他に関するものを未だ占拠されてお
つて
、今度の
講和発効
に伴う機会においても或いは解除されないのではないか、すでに数件解除されたものが予備隊にこれを編入されておる。誠に教育施設の問題が
独立
しながらも
他国
の軍事施設に使われておる、教育が最も反対な
方向
に歪められるということがあ
つて
は甚だ重大問題だと思うのでありますが、参議院が決議いたしましたその後におきまして、如何ようにお取計らいにな
つて
おりますか、なお今後のお見通しをお伺いいたしたいと思います。
岡崎勝男
106
○
国務大臣
(
岡崎
勝男君) 只今そういう問題についていろいろ研究し、又話合いも行な
つて
おりますが、御懸念のようなことは……まだ話合いは結了いたしておりませんから正確にここでこうだと申上げることはまだ早いのでありますが、御懸念のようなことは恐らく全然ないであろう、こう申上げて差支えないと考えております。
鈴木強平
107
○
鈴木
強平君 それでは我々が決議いたしました四十数件の教育施設につきましては全部解除されると解して差支えないのでございますか。
岡崎勝男
108
○
国務大臣
(
岡崎
勝男君) これは只今申したように、まだ話合いを一部いたしておりまするが、
日本
命体について話合いをまだいたすところまで行
つて
おりません。従いまして、や
つて
見なければはつきりしたことは申上げられませんが、
政府側
としましてはそういうものを第一の優先順位に置いております。
先方
もこれを了解しております。従いまして期間的には多少のズレがあるかも知れません。又極く一、二の例外等がある場合もあり得るかも知れませんが、先ずそういう心配も殆んどないであろうということだけは原則的にはここで申上げられるのであります。
和田博雄
109
○
委員長
(
和田博雄
君)
あと
五分です。
鈴木強平
110
○
鈴木
強平君 次に
治安
の問題についてお尋ねしたいと思いますが、最近学校の内部におきましても、学校側と
警察
側との
意見
の違いがあり、多くの問題を孕んでおります。併しながら最も大きな問題におきまして、言い換えまするならば
予算
においても千八百億田以上の
予算
を
防衛
費に充てておる。そうしていわゆる
警察予備隊
も、この際施設もそうして人間も殖やされる、而ような観点に立ちまして、一体国内の
治安
といたしましては国外から来るものは何であるか、国内の
治安
の相手の国なり……或いは相手の団体は何であるか、
論議
は種々いたしておりますが、はつきりつかんでおりませんので、一体何を相手としてあのような厖大な
予算
を組まなければならんのか、はつきりして頂きたいと思います。
木村篤太郎
111
○
国務大臣
(
木村篤太郎
君) この内地の
治安
の問題でありまするが、相当激烈なる出版物が配布されておることは皆様御承知の
通り
であろうと思いますが、殊に破壊的暴力的な、非常な
計画
的な文書が祕密に発行されておるの外あります。それと一連の
関係
した事象がしばしば各所に現われおります。殊に最近に至りましては、各税務署の事務所あたりも多数襲撃されておるしいう事実があります。新聞紙上に現われていない事実も我々は
報告
を受けておるのであります。それらの事象を総合して考えますると、相当な我々は決意を持
つて
これに対処して行かなければならんと、こう考えております。殊に国外からの密航者がありまして、それと連絡をと
つて
相当に危険な
計画
をしているという事実もあるのであります。これらに対して十分なる警戒とこれに対する手段を我々も考えなければいかんと思
つて
おるのであります。
和田博雄
112
○
委員長
(
和田博雄
君)
鈴木
君、あなたの持ち時間は二十五分までですから……。
鈴木強平
113
○
鈴木
強平君 私のお尋ねするのは、その相手は何であるか、かように厖大な
予算
を組み、そしてかように我々が設備を完備するゆえんのものは、相手は何であるか、それをお尋ねしておるわけであります。
木村篤太郎
114
○
国務大臣
(
木村篤太郎
君) それは
外国
との連絡を持
つて
、いわゆる教唆干渉による内地の反乱、擾乱を考える、そういうことを予想してや
つて
おることであります。
鈴木強平
115
○
鈴木
強平君 それはいわゆる世に言うところの極左であるか極右であるか、どちらであるか、なおそれに関してはつきりと
言つて
頂くほうがいいいと思うのですが、若し世に言うところの何からしい団体があるならば、それを
言つて
頂いていいと思うのですが。
木村篤太郎
116
○
国務大臣
(
木村篤太郎
君) この取締の対象にな
つて
おるのは、勿論極右も極左もであります。必ずしもどちらとも言えません。極右もこの対象にな
つて
おりますし、極左もこの対象にな
つて
おります。
和田博雄
117
○
委員長
(
和田博雄
君)
あと
三分しかありませんから、時間を厳守願います。
鈴木強平
118
○
鈴木
強平君 先日も自由党の
左藤
委員
から共産党の非合法化の問題が論じられたのであります。何か時間がないようで、特に
総理
が出席しておられないので、話を打切
つて
おられます。一体純真な学生の前で、或いは溌剌たる労働者の前で、共産党が非合法化されないで、共産党らしい行動は新聞紙上ではけしからん或いは云々と、かように言いながら、一面においてこれが堂堂たる合法政党であ
つて
は、青年の指導もできなければ、国内の対処もできない。又
国民
は多額な税金をかけてかような
意味
におきまするところの
防衛
費を出すことは肯じないだろうと思う。さような点は、
政府
ははつきりと
意見
を述べられ、はつきりと法律化することが必要だろうと思いますが、どうお考えにな
つて
おりますか、
総理
の御
見解
を承わりたい。
吉田茂
119
○
国務大臣
(
吉田
茂君) 共産党非合法化の問題は、
政府
としてもかねて考えておるところでありまするが、私は理想としては、
国民
の自覚によ
つて
、例えばイギリスにしても、アメリカにしても、
国民
の自覚によ
つて
、共産党の議員数というものは非常に少く、現に減りつつあるのであります。
国民
の白覚が先ず第一であり、
国民
が共産党の、或いは共産主義の恐るべきことを十分自覚するようにいたして、そうして法律を用いて非合法化というようなことにならずに、
国民
自身の自覚によ
つて
この問題が解決できたら結構であると、これが理想であると思うのであります。
岩木哲夫
120
○岩木哲夫君 特に
総理大臣
にお尋ねいたしたいことは、先日リッジウエイ総司令官が三新聞の代表者に声明されたことと、
池田
大蔵大臣
が衆参両院を通じて繰返して言われたことに対して、重大な齟齬があるのであります。それは御承知の
通り
、進駐軍が駐留軍とな
つて
行く場合の移転建築諸費は、リッジウエイ総司令官は
日本政府
にはびた一文も厄介はかけないという
意見
でありますのに対して、
池田
大蔵大臣
は現在の安全保障諸費五百六十億中三百何億はこれらに要するのだと
言つて
、全く相反することをこの議会においてしばしば繰返されております。この点は特に先日の本
委員会
におきまして私が
池田
大蔵大臣
に二度も重ねましたところ、
池田
大蔵大臣
の御
意見
は、間違いないと二度も重ねて言われたのでありますから、もう取消されることはないと思うのであります。そこで
総理大臣
にお尋ねいたしたいのは、若しリッジウエイ総司令官の言われるごとく、進駐軍が駐留軍とな
つて
移転諸費を要しないというようなことに
なつ
た場合には、現在の安全保障諸費の
池田
大蔵大臣
の
説明
のこれらに要する三百幾億のものは当然要らないことになるのであるかどうか、この点は当時の責任者として恐らくや
総理大臣
が
関係
御当局と折衝された基本的な問題であろうと思いまするが故に、この際
総理大臣
の御
見解
を承わ
つて
おきたい。
吉田茂
121
○
国務大臣
(
吉田
茂君) 私はリッジウエイ総司令官の言われたことについては承知いたしておりません。詳細は
大蔵大臣
からお答えいたします。
池田勇人
122
○
国務大臣
(
池田
勇人君) リツジウエイ総司令官と新聞社の幹部との会見の様子は、私もあなたの
質問
がありまして後に見まして、新聞によ
つて
同じとは言えませんが、一番詳しく載
つて
おつた或る新聞は、
自分
としては駐留軍の移転について
日本
のほうに負担をかけないことを希望すると、而してこれはアメリカの
国会
で
予算
をきめることだというふうに言われておることを私は見たのであります。従いましてこれは、英語を使
つて
恐縮でございまするが、リッジウエイ将軍の個人的希望、パーソナルデザイアと私は考えておるのであります。従いまして私は、
予算
を編成いたしますときには、岩木君御承知の
通り
に、こういう
内容
で
予算
を組みますということは、最高司令官、スキヤップの
承認
を得ておるのであります。私は今まで
説明
しておりますように、駐留軍を六大都市その他の都市から出てもらう場合におきまして、賞金その他を建てる必要があることを考えまして
予算
を組んでおるのであります。従いまして、アメリカの
国会
で若しそういう移動に伴う経費を全部向うがリッジウエイ将軍の願
つて
おられるように議決して出して下さるならば、何を好んで我々出しましようか。そこではつきり申上げまするが、私はただ周辺に移動するための経費を見込んで出しておるのであります。
岩木哲夫
123
○岩木哲夫君 そうしますと、リッジウエイ将軍の個人的御
見解
にしても、若し要らないという工合に、アメリカがそういう議会の決定になりますれば、それでは今回の
予算
の五百六十倍中
大蔵大臣
の指摘する三百幾億のものは要らないということに
解釈
されると思うのであります。そこで私は次にお尋ねいたしたいのは、かような不確定な要るであろうと想定されることを前提として、貴重な
国民
のこの血税を、而も厖大に盛つたという根拠については、甚だ
予算
編成上の責任重大であると、又
日本
の
防衛
財政
の土に将来性に鑑みましても、かような
財政
の盛り方というものは、
国民
に与える不安、疑惑というものは私は深刻であろうと思うのでありますが、一体これは
大蔵大臣
はどういう考えで、そういう思うというような想定でかかる厖大なる
予算
を編成をされたか、この辺を承わ
つて
おきたい。
池田勇人
124
○
国務大臣
(
池田
勇人君) あなたは、アメリカの
国会
で移駐に伴う経費が出ることを確実だという前提の下でお話のようでございまするが、私が、
予算
を作りそうしてスキャップの
承認
を得るときには、これが向うも必要であるというので
承認
いたしておるのであります。私は只今のところ、駐留に伴う経費は先般もお話申上げましたように、ああいう
内容
で必要であると考えて御
審議
願
つて
おるのであります。
岩木哲夫
125
○岩木哲夫君 これは必要であると考えられても、
大蔵大臣
の
財政
の盛り方の構造と、リッジウエイ将軍との、個人的
見解
にしても重大な齟齬があ
つて
、これは政治的にも決して等閑に付すべき問題ではないと思いますが、今この時間は……この問題は又別の機会に譲ることにいたします。 それから次にお尋ねいたしたいのは、
総理大臣
にお尋ねいたしたいのは、
自衛力
の漸増について昨日及び本日に亘
つて
警察予備隊
、
海上
保安隊等の数字的なことを承わりましたが、私たちがこの
日本
の
安全保障条約
を結び、
日本
の
自衛力
を
増強
しようということは、当面するこうした
内容
の技術的のことではないのでありまして、どうして
日本
のこの島を守るかということについての
自衛力
の
漸増計画
は、いやしくも或いは三年
計画
或いは五カ年
計画
等の相当基礎に立つたものでなくてはいかん。又この基礎がない限り、アメリカ駐留軍の
漸減
、撤退ということは望まれないのであ
つて
、何らこれらの
計画
なくして
自衛力
の漸増に対する本年度
予算
が将来どのような形でどう変るのかということは、
国民
としては重大な問題として注目しておるわけであります。
吉田
総理大臣
は、
日本
の
自衛力漸増
は一体何カ年
計画
くらいでどういう構造を考えられておるかということを承わりたいのが第一点と、もう
一つ
は、今日
警察予備隊
その他を見ましても、いわゆる人海作戦……
言葉
が悪ければ取消しますが、労務
軍隊
或いは土持ち
軍隊
などのような
自衛力
の地上部隊編制方針に重点が置かれておる。
日本
のこの島を守り
日本
の空を守るということが
自衛力漸増
、
自衛力
増大
計画
の規模でなくてはいかん。
従つて
自衛力漸増計画
は空海軍……軍という
言葉
を使いますと又
総理大臣
は御警戒なさるか知れませんが、いわゆる空軍勢力、海軍勢力というものが
漸増計画
の基本的構造でなくてはならんと思うのでありますが、こうしたことについて
総理大臣
の特に御
見解
を承わりたい。
吉田茂
126
○
国務大臣
(
吉田
茂君) 今日軍備等は非常に巨額の金を要するものであり、各国の例を見ましても
予算
は厖大なる金額に上
つて
おります。
日本
が今回敗戦後の
日本
として、国力の消耗した
日本
として、何カ年
計画
とかいうようなことを立てるような、国力において余力のないことは御同意であろうと思うのであります。今日は成るべく国力を消耗せず、国力を蓄積して、そうして
日本
の自立を図るべきときであるのであります。故に
安全保障条約
というようなものを結んで、理想を申せば国力を以てみずから
独立
安全を守るということができれば結構でありますが、これができない現在の
状況
でありますから、この際
財政
に余裕があればとにかく、今の国力を以て何カ年
計画
を立てる、或いはイギリスその他におけるがごとく何カ年
計画
を立ててやるというような計算は立ちにくいはずでございます。今日
日本
としては成るべく国費を消耗せずして
日本
の安全を図るという地位にあるのであります。今日然らば
漸増計画
は何かと言えば、
差当り
のところ十一万に
警察予備隊
を
増強
する、その
程度
にとどま
つて
、先は先と言わざるを得ないのでありますから、その先は即ち
安全保障条約
によ
つて
日本
の
独立
安全を保護する、この
計画
以外に立てられないのであります。然らば
米国
軍は永久に
日本
におるか。
日本
におりたくないのであります。成るべく早く引揚げたいという希望であり、又
日本
がみずから
独立
を守る域に速かに達することを希望して、
日本
の
防衛
力の漸増を希望し、又
米国
軍の駐留の
漸減
を希望しているわけであります。
岩木哲夫
127
○岩木哲夫君 その
総理大臣
の御指摘なさる、
米軍
は成るべくおりたくないという、早く引揚げたいということには、即アメリカ軍の
漸減
に対して
日本
の
自衛力
が漸増という、こういう工合に噛み合わさないと、
日本
の安全保障或いは
日本
の
防衛
というものは維持されないのだ。そこで
差当り
は
警察予備隊
その他こうした方法をとるということについては私はもつと基本的な
日本
の
防衛
組織というものは、
軍隊
に……いわゆる
警察予備隊
に要る金をもう少し半分に減らしても海空軍の
増強
ということこそ
防衛
の本質的な問題ではないか、かように思うのであります。
従つて
アメリカ軍が早く引揚げたい、おりたくないということは、即
日本
の
自衛力漸増計画
が成り立たないと、いつまでもおりたくないと言われるアメリカ軍が、それじやいつまでも
日本
にいるという印象は、非常に
日本
の
防衛
精神の振起の上に私は問題であろうと思うのでありますが、こうしたことにつきまして重ねて承わりたい。
吉田茂
128
○
国務大臣
(
吉田
茂君)
日本
の国力がますます減ると考えればそうい考えもできましようが、私は
日本
国民
として、
日本
の国力はますます将来殖える、国力は増進するという確信を持
つて
いると思います。故に
防衛
力の
漸増計画
は立ちましようが、現在においては今申す
通り
国力の培養ということが肝腎でありますから、この線で参ります。
岩木哲夫
129
○岩木哲夫君 多少まだお聞きしたい点がありますが、次に移りたいと思います。
政府
は、国連軍司令官とでありますか、国連各国とでありますか、
日本
に駐留する、或いは駐屯することでありますかどうか知りませんが、こうしたことを近く取極めようということを、先般来の
委員会
で
岡崎国務大臣
も言われているのでありますが、一体これはどういう
条約
を根拠として国連軍の
日本
駐軍に対する
条約
を結ぼうとされているのでありますか。又それは
日本
の義務のどういう義務を
意味
するものであるか。国連が
日本
を
防衛
するということは、仮に日米
安全保障条約
というものと、更にその上に被さるもの、ダブるものとは申しませんが、被さるようなものと
解釈
を受けて……どうもこの点が明瞭でない。更に国連軍との駐屯
条約
ができたときに、これらの
財政
措置
というものは、
日本
の
国民
の権利義務及び
財政
措置
というものは、又
安全保障条約
による今回の
行政協定
と別箇に
財政
措置
が必要とされるのであるか、ちよつとこの辺を承わ
つて
おきたい。
岡崎勝男
130
○
国務大臣
(
岡崎
勝男君) これは平和
条約
及び
安全保障条約
の
承認
の際に、同時に認められました
日本
国とアメリカ合衆国との間の
安全保障条約
の書名に際し
吉田
内閣総理大臣
とアチソン国務長官との間に
交換
された公文というものかあります。その中にアチソン国務長官からの手紙と
吉田
総理大臣
の返書とがあります。それによりますと、途中を略しますが、「一又は二以上の加盟国が」——これは国連の加盟であります。
日本
国内及びその附近において
軍隊
を支持することを
日本
国が許し且つ容易にすることを確認いたしております。そのときに
使用
するものは施設及び役務とな
つて
おりまして、又その費用につきましては、
日本
の施設及び役務の
使用
に伴う費用は現在
通り
又は
日本
国と当該
国際
連合加盟国との間で別に合意される
通り
に負担されることとします、こうな
つて
おります。この
交換公文
に基きまして、今後国連軍との間にどういう取極めをいたすかを話合うつもりでおります。
岩木哲夫
131
○岩木哲夫君 どういう取極めをいたすかを話合うというだけのことは、もう先般来三度に亘
つて
承わ
つて
おるのであります。私はその
交換公文
によ
つて
仮にそういう約束がありましても、その国連軍とこうした
条約
を結ぶにつきましては、そうした
簡單
なことで更に
日本
の領土にアメリカ軍以外のいろいろの
軍隊
が
日本
に駐屯する、これが
日本
の国権、
日本
の主権、或いは権利義務、その他
財政
上に及ぼすいろいろの波及した問題を考えますと、ただ
交換公文
のみでかような
条約
を結ぶという根拠が果して
憲法
上成立つのかどうか。又これによ
つて
財政
負担というものは、又
日本
国民
の権利義務というものはどのように制約され、或いは拘束されるようなことになるのか。やはりその見通しを一応承わ
つて
おきたいと思うのであります。
岡崎勝男
132
○
国務大臣
(
岡崎
勝男君) これは先ほど本院の本会議におきまして決議案が上程されたときの、理由書にも書いてあります
通り
、
条約
というものは單にトリーテイという名前のものばかりではなくて、
協定
もあれば、
交換公文
もあり、すべてのものが
条約
……
国際
間の取極めは
条約
であると、こういう理由書をお書きに
なつ
たと思います。この
交換公文
も
条約
の一部として
国会
の
承認
を得たものでありまして、
条約
と同様の効果を持
つて
おるものであります。又平和
条約
におきましてもその二条において同様の
規定
があります。元来国連は
世界
平和維持のために努力しておるのでありまして、そうして各国共に犠牲を払
つて
、その貴重なる平和を維持しようと努力しておるのでありまして、
日本政府
といたしましても当然これにその能う
範囲
内の協力をいたすことになるのは当り前と考えております。併しながら国連軍は今おつしやるように
日本
の
防衛
のために駐屯するのではないのでありまするから、アメリカの
安全保障条約
に基く
軍隊
の駐屯とはおのずから差別がありまして、主としてフアシリテイと称せられる便益を供与することになるのであります。又費用も今までのところは国連軍の活動に要するものは全部ドル払いとな
つて
おりますが、今後も別の
協定
がない限りはそうなるということは、只今読上げました
交換公文
に明らかであります。従いまして
国民
に直接の負担のあるようなことはないと考えております。
岩木哲夫
133
○岩木哲夫君 その場合にアメリカ駐屯軍が、又国連軍としての二枚羽織を着る。そういつた場合に国連
警察
軍として外地行動をする。
日本
の駐屯地以外の外地行動、朝鮮、或いはビルマといつたような外地行動をするといつたような場合には、一体この
日本
の
安全保障条約
、
行政協定
というものはどのような義務、拘束力があるのか。この辺の明確性を持たないと都合のよいときには国連軍、都合の悪いときには駐屯軍、駐留軍と、こうした結果、
日本
の権利義務、或いは
財政
的支出の面におきましても極めて混淆する虞れがあると思いますが、この辺の明快なる
措置
がとれますかどうか。又こうしたことは今
交換公文
で
国会
の了承を得ておると言われますが、国連憲章の第二条によるあらゆる協力につきましては、あらゆる協力の
意思
を表示したのであ
つて
、この
内容
、
条約
に対することを認めたのではないので、
従つて
これらは当然
国会
に付議せなくちやならんと思うのでありますが、如何でありますか、お伺いいたしたいと思います。
岡崎勝男
134
○
国務大臣
(
岡崎
勝男君) 只今都合のいいときは駐屯軍、都合の悪いときは国連軍でありましたか、その逆でございましたか、おつしやいましたが、我我はたびたび繰返しますように、アメリカ側でも
日本
側でも、この
協定
なり
条約
なりは両国の信頼と、そうして好意に基かなければ運用されないものであるということを双方で確認しておるのでありまして、都合のいいときにはこうやるというような、そういうやり方を考えるべきものでないし、又そういうことは決してあり得ないと信じております。現に現在でも、
日本
の
占領軍
として来ておりまする
軍隊
が、同時に国連軍として活躍しておりまするが、その間の計算は明確に逢
つて
おりまして、国連軍としての活動に要する費用は全部別払いにな
つて
おります。さようなことでありまするから、この点は何ら御心配はないと考えております。
和田博雄
135
○
委員長
(
和田博雄
君) 岩木君もう
あと
三分ですから……。
岩木哲夫
136
○岩木哲夫君 ああ、そうですか、それではちよつと…、国連加入になりますと、自然
安全保障条約
は廃棄になると思うのでありますが、この点を承わりたいのが一点と、それは
岡崎国務大臣
でも結構ですが、一緒に
総理大臣
にお聞きいたしたいことは、
昭和
二十四年八月に
吉田
内閣
は石炭国管を解いて、いわゆる自由制度にいたしたのであります。その当時の閣僚は現在の
吉田
内閣
におられませんから、
吉田
首相がこの事情を一番詳しく……又当時の責任者として、このときに、司会部のマッカーサー元帥及びマーカット少将等との会談のときに、将来石炭価格が上らないように努力する、上つたならば、上るような結果が起つたならば再び統制をして、或いは電力の問題、
日本
の基礎産業の問題について善処する、こういうことが当時の約束にあつたと認められるのであります。この当時のそういつたような司令部の
見解
の記録も持ち合せておるのでありますが、ところが今日又
吉田
内閣
は、これは石炭の問題と違いますが、電力の九分割を元の一本に直そうとしておる。これと同じような問題であ
つて
、石炭が自由にな
つて
から当時の炭価トン当り三千六、七百円のものが今日七千七、八百円にも高騰しておる、倍近くにも高騰しておるという事態にある今日一般の
日本
の生産工場の、或いは家庭生活の、或いは電力の問題にいたしましても、
日本
の今日のインフレなり、高物価、或いは生産コストの問題に対して極めて重大なる問題を投じておるのであります。そこで
吉田
内閣
はその当時、石炭の価格が上るような場合に
なつ
たならば統制をするということを司令部に約束されておると思うのでありますが、今日石炭がかような
状態
にあり、非常に石炭価格が上つたために、例えば全国長者番付でも二十番中十四人がことごとく石炭業者である、こういう事態は如何に石炭の価格が異常の高騰によ
つて
、又利益も得られ、これが、
日本
経済に生ずる影響というものは甚大なるものがあるのであります。こうした
状態
に鑑みまして、
吉田
総理大臣
はこの石炭の統制の問題は……自由の問題は将来どう対処せんといたされておるのか、この辺を承わ
つて
おきたいと思います。
池田勇人
137
○
国務大臣
(
池田
勇人君) お話の
通り
に、石炭の統制撤廃をいたします場合に、若し将来石炭が急激に価格が騰貴いたしまして、そうして統制の必要がある場合においては、統制をするという話合はあつたと聞いております。併しその後の石炭の上昇
状況
はしかく認めておりますように、統制を再びしなければならんほどの上り方ではなかつたのであります。三年前の問題から比べますると今では相当上
つて
おりますが、これは石炭ばかりでございません。ほかのものも上
つて
おるのであります。
政府
は只今石炭を統制しようという気持は持
つて
おりません。最近石炭業者の収益の
状況
がよくなりましたことは石炭が相当増産された、一人当りの一カ月の出炭量も昔に比べまして倍以上に
なつ
たところがある。そういうような
関係
と産業の殷賑によりまして、需要が相当上
つて
来たことにあるのであります。私は石炭の価格は今非常に高過ぎるということは考えていないのであります。 なお、今回電力開発会社を設けまして、又昔の自発を再現しようとしているというお
言葉
でございまするが、そういう考えは
政府
は持
つて
おりません。
東隆
138
○東隆君 私は行政機構の改革と地方制度のことについてお聞きをするつもりでありましたが、先ほど民主クラブの
鈴木
さんから行政機構の改革についての
質問
がありました。それでその問題は
簡單
にしますが、ただ一点実は
鈴木
氏に対するお答えの中に、何か
委員会
のようなものを作られて、そうして行政機構の改革を進めるのだ、こういうお話があつたわけであります。
総理
の一月二十三日の演説には実は「行政機構
関係
について申述べますが、
政府
は講和の成立を機として、現行の複雑厖大な行政機構に根本的検討を加え、極力行政の簡素合理化と共に国費の縮減を行い、簡素且つ能率的な行政機構に改めるがため、国家行政組織法及び各省設置法等の改正法律案を本
国会
に提案して協賛を得る考えでございます。」とこうあるのでありまして、これは私はいろいろ先ほど
鈴木
君からもお話がありましたが、行政改革を通していろいろ複雑な問題ができて参つたので、
総理大臣
は考え方を変更されたのでないか。そして先ほど
法務
総裁は
内閣
にあるいろいろな庁であるとか、或いは
委員会
を整理すると、こういうようなことも言われておる場合に、新たに又そういう
委員会
をこしらえて、慎重に而もゆつくりとおやりになるのだ、こういうふうに聴取れたのであります。それでこの辺に大分いろいろ事情があると思いますのでその点を伺います。
吉田茂
139
○
国務大臣
(
吉田
茂君) これは先ほど申した
通り
何らの事情はないのであります。行政簡素化は飽くまでも徹底してやりたいと思います。これは絶えず徹底して考えて参らないと、ややともすれば複雑化するから行政機構政革を一応いたした後に、更に又絶えず行政の簡素化を図る、若しくは複雑化することを防ぐために
委員会
を設けて監視する、こういう構想であります。
東隆
140
○東隆君 行政機構改革についてはこの
程度
にして、地方制度の改革についてお伺いをいたしますが、巷間自治法の改正のことが盛んに言われておるのであります。地方自治法はこれは民主主義の理念の下に勿論作り上げられている法律だ、こういうふうに考えておりますが、私は民主主義の基本的なものとして、而も大衆的で民主的な団体には、凡そ四つの民主主義的な原則が働いておる、こう考えておるのであります。甚だ廻りくどいようなことを言うようでありますが、第一にそれはワンマン・ワンボート、一人一票で以て市長や役員を選挙するというこの
一つ
の選挙を通してや
つて
行くというこの原則は、これは私は民主主義の原則を貫く上において非常に大切なことだと、こう考えるのであります。その次には、構成員が発議権を持
つて
いるということ、イニシアテイーブを持
つて
いるということ、これも重要なことと思います。その次には私はリコールという、首切りの権利を構成員が持
つて
おらんければ、これは民主主義の団体でない。こう考えておる。もう
一つ
民主主義の団体は、これは利潤の追求をやらない。こういう私は四つの原則が民主主義の団体、而も大衆的な団体、そのうちには民主主義の
憲法
の下における自治体も、それから
日本
の国でも、私はこの今申上げた四つの原則というものは、完全に当てはまると思います。同時にこれは労働組合にも協同組合にも完全に当てはまるものだと、こう考えておるのですが、これはお認めになりますかどうか、お伺いをいたします。
吉田茂
141
○
国務大臣
(
吉田
茂君) 岡野
国務大臣
からお答えいたします。
岡野清豪
142
○
国務大臣
(岡野
清豪
君) お答え申上げます。只今の四つの原則はその
通り
でございます。同時に私たちは
独立
後の
日本
に対しまして行政の簡素化をして、本当に民主主義の地方自治行政をや
つて
行きたいと思いまして、近いうちに地方自治法の改正を提案いたして御
審議
を願いたいと思います。それにはそういうふうな原則が十分尊重してございますことを御承知願いたいと思います。
東隆
143
○東隆君 今の四つの原則は、私は先ほど申上げましたように自治体にも協同組合にも、それから労働組合にも働くのだ、こういうことを申したわけでありますが、英国のシドニイ・ウエツブという人は、協同組合は任意加入の自治体である、自治体は強制加入の協同組合である。こういうことを
言つて
おるのであります。勿論先ほど申上げましたような四つの原則が、完全にその中に働いているわけでありますが、そのことについて私は、非常にこれは民主主義の
憲法
の下における
日本
の自治体法を初めとして、民主主義的なあらゆる団体に非常に大切なことだとこう考えておるわけでありますが、その考え方について御
意見
がございましたら承わります。
岡野清豪
144
○
国務大臣
(岡野
清豪
君) 大体お説の
通り
了承しております。
東隆
145
○東隆君 巷間に伝えられております自治体法の改正の中に、東京都の区長は現在選挙できめられておりますが、この区長を公選制をやめてそうして任命をする。こういうことが伝えられておりますが、これは私が先ほど申上げました民主主義の原則から
言つて
、非常に間違つた昔の官治制度に帰る一歩であると、こういうふうに考えますが、如何ようにお考えになりますか。
岡野清豪
146
○
国務大臣
(岡野
清豪
君) 自治法の改正案につきまして区長を任命制ということにしたいという腹案を以て考えております。併しながら私どもの考えといたしましてはこれはお説と甚だ残念でございますが違
つて
おりまして、決して民主主義の原則を破つたものではない。これは一応区議会の
承認
を得まして、そうして知事が任命するということにしておりますわけであります。
東隆
147
○東隆君 私は非常にその間の問題についていろいろなことを考えさせられるのでありますが、賀茂川の水と山法師は朕の意にかなわぬというようなことをさるやんごとなき人が
言つて
おるのでありますが、選挙はこれは俗に水物だと、こういうようなことをよく言うのであります。それで何かこれは知事選挙で思う
通り
に行かなかつたり、或いは選挙のなんかでも
つて
思う
通り
に行かない、こういうようなことがたびたび現われて参ります。そういう
関係
で私はまあ手つとり早いところで
一つ
一角を崩して、そうして民主主義の原則を
一つ
壊して昔の官僚政治の、官治政治の一角を取戻そうとしているところの運動があるのではないか、こういうような気持が私はされてならないのであります。そういうような私の
意見
はこれは間違
つて
おるかどうか伺います。
岡野清豪
148
○
国務大臣
(岡野
清豪
君) お答え申上げます。区長を任命制にするのは、今後官治政治をや
つて
行く第一歩じやないかというような御
質問
だと存じますが、私はそう考えませんで、今回の区長の任命ということにつきましては、いずれ自治法を出しましたときに十分その理由を詳しく申上げまして、お時間がございませんでしようから私は
簡單
に申上げます。そういう
意思
でや
つて
いるのではなくて、区長任命ということにつきましては、あれは都というものが一団とな
つて
そうしてや
つて
行く、同時に今区における役人というものは殆んど全部が都の役人でございまして、区長と約二百人ぐらいな区の役人がついているだけでございまして、そうして事毎に都と区との間に紛争が起きて過去二年間ぐらいやかましい問題にな
つて
おるのでございます。でございまするから私といたしましてはあれはいわゆる直接選挙を間接選挙の区長にすると、こういう
意味
でやつたわけでございます。これは詳しいことはいずれ自治法を出しまして、御
質問
を受けまして御納得行くような御
答弁
を申上げたいと存じます。
東隆
149
○東隆君 私は岡野さんとは大分観察を異にしておりますが、この次に私は都道府県知事の任命、こういうような問題もこれは起きて来る可能性があるのではないか、こう思いますので実は非常に心配をしておるわけで、その点についてはつきりと都道府県知事は公選制で行くのだとこういうことを言い切れるかどうか。これは
総理大臣
にお聞きをするのであります。
吉田茂
150
○
国務大臣
(
吉田
茂君) 岡野
国務大臣
からお答えいたします。
岡野清豪
151
○
国務大臣
(岡野
清豪
君) 都道府県知事の官選制が出るんではないか、それが出ないということをはつきり言えというような御
質問
でございますか。
東隆
152
○東隆君 そうです。
岡野清豪
153
○
国務大臣
(岡野
清豪
君) 御承知の
通り
に……。
東隆
154
○東隆君
総理大臣
が……。
岡野清豪
155
○
国務大臣
(岡野
清豪
君)
総理
も私も同じ
意見
でございます。若しなんでございましたら私のほうが詳しうございますから……。只今のところではそういうことを考えておりません。
木村禧八郎
156
○
木村禧八郎
君 私はこれまで長い時日を費してこの
予算案
をいろいろな角度から検討して参りましたが、その検討の結果、到達いたしました結論に基いて総括的な
質問
をいたしたいと思うのです。その
質問
の要点は三つなんであります。我々のこの
予算
審議
を通じて到達した結論として結局この
予算案
は、又この
予算案
の担
つて
いる
日本
経済の再建
計画
、講和後の
日本
経済の自立
計画
というものを、或いは又講和
条約
に基く
日本
の安全保障、或いは
独立
、こういうものは私は三つの幻想の上に立
つて
いると思うのです。或いは又希望的観測であると
言つて
もいいと思うのです。そこでその三つの幻想乃至は希望的観測について
総理
はどういうふうに考えられるか。それは現実のものであるか幻想であるか。私は幻想と考えますが、若しこれが幻想であれば大変なことになると思うのです。その
一つ
は、この平和
条約
、或いはそれに基く
安全保障条約
、或いは
行政協定
、それからできます予備
作業
、こういうものを通じて一体
日本
の安全は保障されるかどうか、或いは又
日本
の
独立
というものは確保されるのか、
日本
の安全が保障され、或いは
日本
の
独立
が確保できると考えられていることは幻想ではないか。いろいろ
行政協定
或いは
戰力
の
問題等
について
審議
をいたしましたが、結局我々の到達した結論はそうなんです。幻想ではないか、例えば安全保障とい
つて
も、朝鮮のような形において安全保障されたのではたまらないのであります。今度の
行政協定
、或いは
安全保障条約
を通じて我々が考えられることは、一方の陣営にはつきりと入
つて
、他方の陣営を敵とするという形において、そうして
日本
の安全は本当に保障できるかどうか。それからこの
行政協定
等を通じて
日本
の
独立
というものは本当に確保できるのかどうか、これは幻想ではないか、その点
総理
に先ずお伺いしたい。
吉田茂
157
○
国務大臣
(
吉田
茂君) 確保できるという確信を持
つて
安全保障条約
を作つたのであります。
木村禧八郎
158
○
木村禧八郎
君 前の対日
理事会
のイギリスの代表のマクマホン・ボール氏は、
日本
の講和というものは、これは單に
日本
とその他の国の講和だけではない。結局問題は米ソの問題である。
日本
の講和は米ソの問題だ、
従つて
日本
の講和を考えるときには米ソの対立を如何にして緩和するか、そういう
方向
において考えるべきだ。若し米ソの対立を深めるという形において講和をやつたらば、それは本当の
日本
の安全を保障する講和ではありませんし、今度の平和
条約
、或いは
安全保障条約
、それに基いて
日本
を軍事基地化する、或いは又再軍備への傾向が見られる、こういう形を通じて米ソの対立が深まる
方向
において
日本
の講和というものは結ばれて来るのではないか、私はそう思うのであります。その点
日本
の安全というものは朝鮮のような形において国連の
警察
軍が
出動
して
日本
が戰場になる、そういう形において安全が保障されるという、そういう形で
総理
は
日本
の安全保障というものをお考えかどうか。
吉田茂
159
○
国務大臣
(
吉田
茂君)
日本
の安全保障は、日米
安全保障条約
の線で考えております。
木村禧八郎
160
○
木村禧八郎
君 それでは第二に伺います。第二の幻想についてお伺いいたします。その前に私は
総理
に要求したいことがあるのですが、十四日のこの
委員会
におきまして、
総理
は外資の問題につきまして、私に二回も事実と反する
答弁
をされております。即ち一回目は、「昨日マーカット少将によ
つて
確かめたところによりますと、新聞に出たマーカット少将の声明でありますか何かは、全く少将のあずかり知らざるところであるそうであります。」こういうふうに一回目は
答弁
されております。第二回目は、「私はマーケット少将に確かめたところが、あの声明は
自分
のあずかり知らざるところであるとはつきり申しておりました。」こういうふうにいわゆるそのマーケット声明について、私が
総理
に
質問
したときに御
答弁
なす
つて
おる。ところがその後において
池田
大蔵大臣
が、マーケット少将に会われて、そうしてこの外資導入について三つの方針といいますか、指針というものを示された、その指針を見ると、マーケット少将があの新聞に声明された
趣旨
と同じであります。あれを要約したものであります。それならばマーケット少将は全然あずかり知らない、こういうふうに私に御
答弁
されたことは、私は事実と違つた
答弁
をされておると思うのです。それで私は、あの場合に、マーカット少将があずかり知らないというので、あずかり知らないものを
質問
するわけに行きませんので、私は
質問
しなかつた。これは事実に反する御
答弁
をなさ
つて
おるものでありますから、私は取消されるか、訂正されるかして頂きたいと思います。
吉田茂
161
○
国務大臣
(
吉田
茂君) 私は訂正する必要を考えません。
木村禧八郎
162
○
木村禧八郎
君 それでは、事実に反する御
答弁
をなさ
つて
もよろしいのでございますか。それは事実がはつきりしておるのでございます。
池田勇人
163
○
国務大臣
(
池田
勇人君) 私はこの問題につきまして、先の
委員会
でも申上げましたが、その後マーカット氏とも会いまして、
総理
があずかり知らざるところだと、こう言われたというのは、マーカットの声明に対して新聞が如何に書こうともあずかり知らず、こういう
意味
で
総理
はお答えに
なつ
た、こう私がマーカツトにも言いましたら、それはその
通り
だろうと言いましたから、
総理
も取消さず、私はマーカットと
総理
の両方の意向を知
つて
おるので、新聞に如何に書こうともあずかり知らない、こういうことだと思います。(「
日本
語に反する」と呼ぶ者あり)
木村禧八郎
164
○
木村禧八郎
君 そんな不誠意な御
答弁
では……。あれは渉外局の発表であります。渉外局の発表を否定されるようなことを言われて、而もそれがそうでなかつたわけなんでございますが、そうですね。事実と違つた御
答弁
をされて、それがわかつたら取消した
つて
いいだろうと思うのですが、事実に反した
答弁
をされてもかまわないのだと、
総理
はそう考えていると私は了承して、そういうふうに考えて、私は
質問
を続けます。 第二の幻想は、講和後において
日本
にこの講和
条約
との
交換
条件
といいますか、新聞にはそういうふうに出ておりますけれども、やはり相当のアメリカの外資或いは援助、こういうものがなければ、
日本
の
国民
生活水準を下げないで
日本
経済を再建することは困難である。そういうふうに私は考えておつたろうと思うのです。朝鮮戰争が、これが仮に終つた
あと
でも、アメリカは
日本
に相当の援助を与えなければならない。そうしなければ
日本
の自立を、
国民
生活水準を下げないでやるということは非常に困難である。相当外資というものを期待して、そうして講和後の
日本
の経済の自立というものを考えていたんじやないかと思うのです。それが幻想に終つた。私はそんなに
簡單
に、アメリカの最近の経済等を考えれば、そんなに
簡單
に外資というものは入
つて
来ない。そこでこれは余り過大に外資というものを期待したその幻想が裏切られたんじやないか。私はそう思うのですが、それで、
日本
の経済はそういう外資を当てにしないで、そうして
国民
生活水準を下げないで、今後自立できるとお考えにな
つて
おりますかどうか。
吉田茂
165
○
国務大臣
(
吉田
茂君) これはしばしば
説明
いたしておりますが、今の
予算
は外資に
関係
なくでき上
つて
おるものであります。而して外資は、私は必ずアメリカが
日本
の経済
独立
、自立を助けるという考えがあり、それを希望している以上は、必ずいずれかの日に参ると思います。
木村禧八郎
166
○
木村禧八郎
君 私はまあそれが幻想に終らなければ幸いだと思うのです。それで外資が来なければ、どうしても私は講和後の
日本
の経済を考える場合、
防衛
費の大きな負担、電源開発のための大きな資本投資等々、いろいろ考えますと、
国民
生活水準が下がらないで、そうしてこういう負担を私はし得ないと思うのであります。幻想でなければ幸いだと思うんですが、私はどうも幻想の上に立
つて
日本
経済の再建を考えている。この幻想が若しか幻想で、実現しない場合は、これは大変なことにな
つて
来ると思うんですが、時間がありませんから次の問題に移りたいと思うんです。 第三の幻想は、東南アジア開発によ
つて
講和後の
日本
経済の自立ができるとお考えにな
つて
いるんではないかということであります。
総理
はサンフランシスコの講和調印の当時においても、中国の経済、中国との貿易というものを、一般に余りに過大評価している、こう言われておりますが、私は
総理
は逆に東南アジア開発というものを過大評価しているんじやないかと思う。前に私のほうの党の千葉信君が本会議において
総理
にこの中共貿易について
質問
した時、
総理
は戰前の
日本
と中国との貿易は大体五%
程度
であ
つて
、大したものじやなかつたということを
答弁
されておる。一体何の数字によ
つて
そういう御
答弁
をなすつたか、私はその点お伺いいたしたいのです。
吉田茂
167
○
国務大臣
(
吉田
茂君) 戰前の統計によ
つて
私はお答えしたのであります。
木村禧八郎
168
○
木村禧八郎
君 どの統計かわかりませんが、常識から
言つて
、戰前においては中国との輸出入貿易は、大体輸出入それぞれ四〇%或いは三七%ぐらい占めていた。東南アジアの貿易は戰前においては大体一五%
程度
です。むしろ中国との……中国といいましても満州或いは関東州も入
つて
おるのであります。そこのほうのウエイトが大きいのであります。東南アジアのほうのウエイトは小さい、戰前には……。それをですね、どういう事実、どういう根拠に基くのですか、これは私は事実に反したそういう御
答弁
をなす
つて
おると思う。そういう根拠がなくて、そうして千葉君の
質問
に五%
程度
だから大したことはないと、過大評価だと、こういうふうに言われているんです。その点如何ですか。
吉田茂
169
○
国務大臣
(
吉田
茂君) あなたの言われるのは満州をこめての中国貿易でありましようが、満州においては
日本
の投資もあるから、二〇何%以上の統計が出ておるのであります。中国だけの計算ならばだ、六%乃至七%に及ばないのであります。
木村禧八郎
170
○
木村禧八郎
君 それはですね、まあ常識として現在では満州を含めて考えるのが妥当だと思うのですが、
総理
の経済学においては(笑声)又特別らしいですから……。一応中国貿易はまあ余り当てにしないと仮にしても、そんなら東南アジア開発によ
つて
日本
の経済の自立、これが達成できるかどうか、これが私は重要な問題だと思うのです。東南アジア開発は大体まあ今日まで専門家の言われるところでは、アメリカも
日本
も一応採算というものを、コンマーシャルベースでは駄目だ、採算というものを一応無視してやらなければ開発は困難だと言われている。ところが今要請されているのはコンマーシヤルベースなんです。それを東南アジア開発とうものは一体どういうのか。これは
日本
の講和後の自立経済の運命を賭けた問題です。中国との貿易を一応諦め、断念して、そうして東南アジア開発に
日本
の講和後の経済の自立の運命を賭けているのです。その東南アジア開発がうまく行かないと
なつ
たならばこれは大きな問題だと思うのです。そこで東南アジア開発はいろいろ新聞に報道され、楽観的な報道、或いは悲観的な報道、いろいろ伝えられますが、
総理
は中国との貿易を犠牲にして、そうして東南アジア開発によ
つて
日本
の経済の自立が一体達成できるとお考えかどうか、この点お伺いいたします。
吉田茂
171
○
国務大臣
(
吉田
茂君) あなたの幻想と私の幻想とはよほど違
つて
おります。私の申すのは、終戰後今日まで、中国なくして
日本
の経済はできておつたから、故に中国によらねば
日本
の経済は立たんという幻想は持たないのであります。(笑声)
木村禧八郎
172
○
木村禧八郎
君 私は、
総理
はサンフランシスコ会議において中国との経済を過大評価してはいけない、過大評価するものでないということを言われたことは非常に軽卒だと思いますし、当時世論もそういう批評をした向きもあつたのであります。今後
日本
経済の自立を考える場合、実際問題として今の原材料の問題をお考えにな
つて
も、しばしば各
委員
が御指摘されているところでありますけれども、わざわざ安いところの、アジアのすぐ近くに安い原材料があるのであります。それを遮断して、その貿易を遮断して、高い東南アジアに貿易を求める。それもうまく行けばいいのです。うまく行けばいいのですけれども、専門家の間では、アメリカも
日本
も一応採算を無視してやらなければ今開発はできないのに、コンマーシャルベースによ
つて
開発を、要求されていてはこの開発はうまく行かないのじやないかと思うのであります。で
総理
の幻想は私の幻想と違うとまあ言われますが、それでは
総理
の幻想も幻想で終らなければ幸いであります。私は本当に講和後の
日本
の経済を心配するからそう
言つて
いるのでありまして、これまでの
予算
の
審議
を通じていろいろな角度から考えた結果、どうも今までの新聞、雑誌、ラジオその他の報道は余りに講和後の
日本
の経済を楽観し過ぎている、希望的観測に基き過ぎている、幻想に基き過ぎている。もつとこの幻想をなくして、そうして本当に地についた考え方をしてや
つて
行かなければいけないのではないか、こういう観点から
質問
をしているのであります。東南アジア開発がうまく行かなければ一体どうするか。これが今後の
日本
の自立経済の運命を賭けた問題です。その場合アメリカから外資でも援助を受けなければできない。その外資がなかなか入
つて
来ない。そうすればそんな
簡單
に
日本
の経済は
国民
生活水準を下げないで自立できるということは考えられないと思う。私は
総理
は非常に、非常にと
言つて
は言い過ぎかも知れませんが、講和後の
日本
の経済を楽観している。主観的には品では楽観していないと言われますが、客観的にいろいろな施策を見ますと、私は楽観していると思う。そうではございませんか。
吉田茂
173
○
国務大臣
(
吉田
茂君) どうもあなたと前提が違
つて
いるから、いつまで議論しても尽きないと思いますからお答えいたしません。(「その
通り
」と呼ぶ者あり)
木村禧八郎
174
○
木村禧八郎
君 やつぱり例によ
つて
例の御
答弁
が出て来たわけでありますが……。(「聞くほうも例によ
つて
例のことしだ。」と呼ぶ者あり)最後にお伺いいたしますが、今後日米経済協力というものを推進して行かれると思うのですが、その場合アメリカが各国と結んでいるような日米経済
協定
というようなもの、こういうものを締結される
計画
がおありかどうか伺いたい。
吉田茂
175
○
国務大臣
(
吉田
茂君) 今のところはそういう話はまだ具体化しておりません。
木村禧八郎
176
○
木村禧八郎
君 具体化していないそうですけれども、そういう
計画
はおありになりますか。アメリカは各国と経済
協定
というものを結んでいるのですが、
計画
はおありなんですか。
吉田茂
177
○
国務大臣
(
吉田
茂君)
計画
が今後具体化するかどうかは今後の問題であります。(笑声)
木村禧八郎
178
○
木村禧八郎
君
計画
はおありのようであります。 次にお伺いいたしたいのですが、これは二十七年度
予算
と
憲法
九条及び七十三条に関する小
委員会
で問題に
なつ
たのでありますが、
岡崎
国務相は
行政協定
の二十四条は
安保条約
三条の
範囲
を逸脱しておらない、こういう御
答弁
でしたが、私はその
範囲
を逸脱していると思うのですが、この
行政協定
二十四条について
総理大臣
の御
見解
を承わりたい。
岡崎
国務相の御
答弁
は伺いましたから、
総理大臣
の御
答弁
をお伺いいたします。
吉田茂
179
○
国務大臣
(
吉田
茂君) 逸脱しておらないと考えます。(笑声)
木村禧八郎
180
○
木村禧八郎
君 この二十四条は
岡崎
国務相は、本来ならば余り当然のことであ
つて
入れなくてもよかつた。世間で余り祕密
協定
かなんかあるのじやないかといろいろ疑念を抱かれるからこういうものを挿入した。そういうふうに非常に
簡單
に扱
つて
おられるようですけれども、この二十四条の
規定
こそが非常に私は重要であ
つて
、
行政協定
を結ぶに当
つて
、これは
北大西洋条約
に基く
軍事協定
、この日米
行政協定
と非常に似ているのですが、
北大西洋条約
に基く
軍事協定
の中には、こういうものは入
つて
おらない。
従つて
私は明らかにこれはいわゆるアメリカの駐留軍が駐留する
条件
の
範囲
を逸脱しているとこう思うのですが、ただ逸脱していないという御
答弁
だけでは満足できないのです。どういう理由によ
つて
、どういう根拠によ
つて
これが逸脱していないか、その点をお伺いいたします。
吉田茂
181
○
国務大臣
(
吉田
茂君)
岡崎国務大臣
からお答えいたします。
岡崎勝男
182
○
国務大臣
(
岡崎
勝男君)
北大西洋条約
は
条約
そのものが、加盟国の一国が攻撃されたならば全部の加盟国が攻撃されたと思
つて
、これに当るという精神で以て全部が作られたのであります。
従つて
こういうものは
条約
そのものの中に入
つて
おる。それから今度のは、ただ
政府
が協議をするということだけを書いているのでありまして、協議の
内容
等がないのでありまするから、重要とは私は考えておりません。併しながら私が申した
通り
、念のためにこういう
規定
を入れておるのであります。併しながら
行政協定
の
範囲
を逸脱したとは到底考えられないという
趣旨
であります。
岩間正男
183
○岩間正男君 先ほど木村君は、
吉田
内閣
は三つの幻想に立
つて
経済政策を進めておるということを言われたのでありますが、私はこの幻想という
言葉
を、
吉田
内閣
の経済政策の中にありますところの戦争依存或いは戦争期待の性格、こういうふうに置き直してみることもできると思うのであります。
政府
の現在とられておりますところのこの
財政
経済政策を見ますというと、金融の面から、又
財政
の面から又生産の面から見ましても、非常に日米経済協力の線が最近物凄く強化されて、そのしわが中小企業或いは民族産業、或いは労働階級にこれは物凄く押し寄せられているのであります。こういう点から考えまして、明らかに
吉田
内閣
のこういう政策の中に横たわ
つて
おる性格、この性格を我々は今日大きな問題として考えざるを得ないのであります。で
吉田
総理
の過般行われましたところの施政方針演説の中の一端を見ますというと、例えばこういう問題につきましても、「
外国
貿易は一昨年以来とみに激増し、輸出入総額は一兆二千億余円、三十五億ドルに達し、
世界
の軍拡景気に刺戟せられ、ますます活況を呈しつつあるのであります。」こういうことを述べておられるのであります。まさにそういうような軍需景気、軍需産業、こういうものに期待を寄せられるような
言葉
をはつきりと吐かれておるのであります。又同じように
池田
蔵相の
財政
演説を見ましても、「
世界
的な軍備拡張に伴う
国際
経済の好況と我が国の地理的
条件
に基くいわゆる特需の増大とによるところが多いのであります。」と述べまして、
日本
の現在のこの戦時的な
一つ
の景気を謳歌しているのであります。こういう点から考えまして、一体このような
財政
並びに経済政策というものは、一体永続性を持つものであるかどうか。そういうようなはつきりした確信の上に立
つて
これを進めておられるかどうか、この点先ずお伺いしたいと思います。
吉田茂
184
○
国務大臣
(
吉田
茂君)
大蔵大臣
が代
つて
お答えをいたします。
池田勇人
185
○
国務大臣
(
池田
勇人君)
財政
演説で私が申述べました
通り
に、
日本
の経済はますます安定と
発展
の度を加えております。過去三年間の実績を御覧下さればおわかりと思います。
岩間正男
186
○岩間正男君 大変これは、
自分
で自慢のお話でありますが、併しこれは我我はそういう点をいろいろ検討して見ますときに、いろいろな不安定要素の上に立
つて
いる。それが最も端的に現われておるのは、何と
言つて
も
国際
収支の面じやないかと思うのです。で
国際
収支の面をまあ覗いて見ますというと、今年度の貿易尻は、これは言うまでもなく、最初の安本の
計画
よりしまして五億ドル赤字ということにな
つて
おります。殊にドル地域におきましては、これは七億ドルの大きな赤字にな
つて
おる。それでこの貿易尻を埋めるためにどういうようなこれは収支のバランスをここで安本では
計画
に載せておられるかと見ますというと、先ず特需に対して三億の期待を持
つて
おる。又
米軍
の
日本
国内での消費、これが二億一千万ドル、でこの中には相当半分以上の、恐らく一億五千万ドルに達するであろうと言われるいわゆる特婦である、或いはパンパンという名前で呼ばれますけれども、こういうような者の挙げる収益によ
つて
いるのであります。又更に駐留軍によるところの、このたびのこれは駐留費の負担、この中から払われるところの労務費、役務費、こういうものに対しまして、これは相当多額の
一つ
の期待を寄せているのであります。更に最近はマ声明によるところの、新特需によるところの新しい兵器生産或いは車両の生産、こういうような期待がもたれるものに対しまして一億五千万ドル、こういうようなもので
国際
収支のバランスをこれは合せておるのであります。そうしますと約七億ドル以上の厖大な、約十億ドル近いところのものが、今挙げました特需とか或いはパンパン、とか、或いは労働者を犠牲にするような労務費、役務費、こういうような不安定経済の要素の上にはつきりこれは立
つて
おるのであります。 そこで蔵相は只今非常に安定な
日本
の経済であるというようなことを漏らされたのでありますが、我々の見るところでは非常にこれは不安定な、実にどうなるか、
世界
の情勢如何によ
つて
はどうなるかわからない、こういう面に立
つて
おると思うのであります。こういう点から考えまして、これは首相にお伺いしたいのでありますけれども、一体こういうような不安定要素というものは永続性があるとお考えにな
つて
おりますかどうですか、これは
総理
にお伺いしたいと思うのであります。
総理
に御
答弁
を願います。
吉田茂
187
○
国務大臣
(
吉田
茂君)
大蔵大臣
からお聞きを願います。
池田勇人
188
○
国務大臣
(
池田
勇人君) 一国の経済はそのときどきの
国際
情勢に支配されるのであります。私は今特需
関係
或いは連合国人の費消する、国内において消費する金額等で、
日本
の外貨の勘定は受取超過の勘定であるのであります。而もその受取超過たるや、各国にその例を見ないような受取超過であるのであります。
日本
の経消が不安だとかいうのは国内の一部の人で、そうして
国際
的にはソ連
関係
だけ……自由国家群は、
日本
の経済が年と共に安定しておるということを認めております。
岩間正男
189
○岩間正男君 蔵相の只今の御
答弁
では、
国際
情勢によ
つて
変るということを言われたのでありますが、先ほどの非常に安定しておるという話と私は矛盾すると思うのです。それから又、現在のこの
国際
収支が受取勘定にな
つて
おる、こういうことでありますが、これは幾分受取勘定にな
つて
おりますが、その受取勘定の中の要素を私は先ほどから分析して申上げたのでありますが、特需とか或いは実にこれは余り望ましくないパンパンというような形でや
つて
おります。そこで私はお聞きしますけれども、それでは大体現在伝えられておりますところの
世界
の情勢の中で、
日本
と直接
関係
を持つものは、これは朝鮮の休戦の問題だと思う。更にアメリカにおけるところの最近伝えられておりますところの軍拡の経済の行詰りと申しますか、中だるみと申しますか、約五百億ドルもこれは前年度の
予算
が使えないという問題、更に兵器生産が軌道に乗らない。この目標を二、三年先に延ばさなければならないという、そうしてそういうような問題の中には、兵器がどんどん一方では進歩して行く、そこで規格が合わなくな
つて
、古い規格では何遍もやり直さなければならない。例によ
つて
戦車のごときは千何回もやり直した、こういうようなことで以て、結局商業的な採算を本体とするところのアメリカのこういう兵器生産においては、なかなかこれが採算に乗らない、こういうような問題が起
つて
おることが報ぜられておりますけれども、この二点に対しまして
吉田
総理
はどういうふうにはつぎりこれは見通しを持
つて
おられますか。この点は
日本
経済の前途にと
つて
非常に重要でありますし、私が今問題にしておりますところの
中心
の問題とも大きな
関連
を持つのでございますから、この点の見通しをお伺いいたしたいと思います。
吉田茂
190
○
国務大臣
(
吉田
茂君) 主管大臣からお答えいたします。
岩間正男
191
○岩間正男君
総理大臣
から……。
吉田茂
192
○
国務大臣
(
吉田
茂君)
大蔵大臣
からお答えをいたします。(笑声)
岩間正男
193
○岩間正男君
大蔵大臣
は経済的な見通しだけで……私は
国際
情勢の見通しを聞いておるのです。
池田勇人
194
○
国務大臣
(
池田
勇人君) 只今特需
関係
その他の
関係
で外貨の収入が急激に増加したのでありまして、朝鮮動乱がとまつた場合にはどうかということになりますと、いよいよ朝鮮の復興、東南アジアの開発に向
つて
行くのでありまして、将来楽観は許しませんが、
国民
の協力によりまして、外貨の収入を殖やすようにや
つて
行きたいと思います。而してアメリカの軍需生産その他の
関係
は、あなたのいわゆる幻想でありまして、私はそう考えております。
岩間正男
195
○岩間正男君 幻想という
言葉
がはやり出して、濫発されて困るのでありますが、もう少し慎んで、
日本
用語については
吉田
内閣
は研究する必要があると思う。実際に……。実に的確でありません。
日本
用語をはつきりや
つて
もらいたい。これは余談でありますけれども……。 そこで私は先ほどからいろいろな要素を挙げたのでありますけれども、この中で新たに問題にな
つて
おりますところのマ声明によるところの一億五千万ドルのいわゆる新特需といわれる問題であります。これによりますというと、兵器製造禁止がこれは一方で解かれた。そういうことによりまして
日本
の今後の兵器生産というものがこれは期待される。こういう形で
吉田
内閣
の政策は進められていると思うのでありますけれども、大体この兵器生産というものに対しましては、一体こういう期待を持
つて
いいのであるか、殊に私は問題にしたいと思うのでありますけれども、まあ蔵相は先ほどから
日本
のこういうような経済の好況というような一時的な、誠に頼りにならないところの好況を謳歌されておるのでありますけれども、我々はここでやはり
一つ
のこういう
財政
経済の倫理性とでもいうような問題について考えてみなければならないと思う。大体特需に期待する或いは兵器生産、こういうような問題が起
つて
おるのでありますけれども、一体この兵器の蔭では、例えば朝鮮の戦域におきましては百数十万の人々が爆撃にさらされている。そうして家を失い財を失い、或いは死傷しておる。又
米軍
においても十数万の人々が死傷しておる。こういう点から考えますときに、
日本
のこのような兵器生産というものは、これは法理的にはいろいろ問題があるところでありますが、この点は一応おくにいたしましても、一体果して
日本
国
憲法
の精神に副うものであるかどうか。こういう点から考えて、こういうようなはかない戦争を期待し、戦争依存の経済政策をと
つて
行くということが、果して真に正しいところの途であるかどうか、殊に私は
憲法
の前文に問題があると思うのであります。念のために読み上げたいと思う。
憲法
の前文にな
つて
いることを今読みますというと、もう反古にな
つて
おかしいという考えが
日本
国内にあるかも知れない。或いは
政府
の諸公も持
つて
おるかも知れませんが、これは大変な間違いと思いますので、仮に読み上げてみます。「
日本
国民
は、恒久の平和を念願し、人間相互の
関係
を支配する崇高な理想を深く自覚するのであ
つて
、平和を愛する諸
国民
の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている
国際
社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。われらは、全
世界
の
国民
が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」これが
憲法
の前文の精神で、
憲法
全体に流れている精神、いわゆる平和
憲法
に流れているところの精神であります。こういうものに対しまして、これを徹底的にこの精神を貫いて行く、こういうことになるならば、我々は兵器生産というものは、非常にこれは倫理的に考えても大きな問題を持つだろうと思う。ところがこういうことを期待し、こういうものをどんどん増加することによりまして、そうしてそれによ
つて
好景気を調うということは、丁度欧州第一次大戦のときに、我々は遠いどこかで戦争が起
つて
、この戦争によ
つて
日本
には成金が非常に発生したのであります。あれを謳歌しておる姿に正に彷彿たるものがある。こういうことが果して許されるものであるかどうか。この点が非常に私は大きな問題であると思いますので、
総理
はあなたが、先ほどから問題になりました倫理性の問題とも
関連
しまして、この兵器生産というようなものをどうお考えにな
つて
おりますか、この点改めてお聞きしたいと思うのであります。
池田勇人
196
○
国務大臣
(
池田
勇人君) あなたのおつしやつたマ声明の一億五千万ドルは、将来
日本
に注文するということだけでありまして、
内容
は誰も聞いておりません。あなた一人が兵器生産を幻想されておるようであります。まだこれはわかりません。而して外貨が只今十億ドル近く溜つたということは、
日本
のためには非常にいい。これを
日本
の経済力
増強
のために使
つて
行こうと思
つて
おるのであります。今お読みになりました専政を排し隷従を排するということ、これはどつかの国で専政、隷従をや
つて
おるようでありますが、こういうことは私は絶対嫌いでありまして、
憲法
の精神に
違反
していないと思います。
岩間正男
197
○岩間正男君 極めて驚くべきことをあなたは御
答弁
に
なつ
た。これは
吉田
内閣
全体の
意見
でありますか、
総理
に伺います。失言じやないですか。
吉田茂
198
○
国務大臣
(
吉田
茂君)
大蔵大臣
の
説明
は私の
説明
と御承知を願う。
岩間正男
199
○岩間正男君 確認したいと思う。
吉田
内閣
が全部そういうことを考えておるか、一方において戦争を放棄して、そうして真に平和に徹底するということを謳
つて
おきながら、そういう
憲法
の下に……この
憲法
によ
つて
成立したところの
内閣
でありながら、而も一方におきましては多数の殺戮を
目的
とするこういう兵器製造、こういうようなものがどんどん進められおる。これは何も新しい、特需だけの問題ではありません。現に進められておるいろいろなものが、兵器という名前が附こうが、附くまいが、そういうものがナパームやらその他のものが作られておることは、これは紛れもない事実である。こういうことによ
つて
日本
に好景気を期待する、こういうことが差支えない、こういうことになれば、これは一体どこを基準にして倫理とかそういうことが言えるか。 こういう点と
関連
してもう
一つ
お聞きしたいのでありますが、例えばこういうような
日本
の、これは地方の
財政
のほうを見ますと、地方
財政
は非常に苦しい。そこで止むを得ず最近におきましてはこれは大きな期待を特飲、遊興飲食税、こういうものに求めております。これは全体的に見ましても相当なパーセンテージにな
つて
おります。更に東京だけを見ますと、一五%以上が特飲、遊興飲食税に求めております。それで口先では特飲街とか赤線区域を取締るとか、道義的に悪いと
言つて
おりますけれども、
財政
的な基礎をこういうものに求めて、それによ
つて
、学校を建てるとか、いろいろなこれは政策をや
つて
おるのですから、どうしてもこれを禁止することは痛し痒し、こういう態勢におかれておるのであります。立川においてもこういう態勢が非常に出ております。例えば競輪、あの立川の競輪場が新設されて、我々はその反対陳情を受けて戦つたのでありますが、とうとうできた。非常に不法なやり方で以てこれはできた。一億の財源をこれに求めておる。これによ
つて
学校を新設するというようなことでやつおる。併しこれはパンパンの街である。三千人以上のパンパンを持
つて
おる立川においては何ら問題にならない、全然問題にならない問題としてこれは見逃されておるのであります。こういう形で以て進められておる政策、そういうような経済的な、財源をそういう面に求めておるのでありますから、それは口先だけでこれを取締る或いは行き過ぎを矯正するとか口先だけで
言つて
も始まらない。こういうような政策に対しまして、私は非常に現在の腐敗と堕落の根源は正にこの経済政策にある。その根本は
吉田
内閣
そのものの中にあるのだ。こういう態勢の中にあるのだということを私は指摘せざるを得ない。私の申しましたことに対しまして、一体
総理
はどういうふうに考えられますか、この点は重要でありまして、どんなに
総理
が、愛国心とか道義心とか、或いは一方におきましては祕密外交で、
国民
には何ら知らせないであらゆる問題を決定しながら、個々の立場になりまして、
国民
の協力が薄いとか協力をしないとか、こういうことを言つた
つて
も、これは問題にはならないと思う。こういう点のもとを正すということが一番重要でありますから、こういうような点と
関連
して、現在とられておるところの政策について、これは
総理
の御
意見
を承わりたいのであります。これは蔵相じや答えられないでしよう。倫理問題も蔵相にお任せですか、
総理
は徹頭徹尾あなたはお答えにならないか。
吉田茂
200
○
国務大臣
(
吉田
茂君)
大蔵大臣
から
答弁
いたします。
池田勇人
201
○
国務大臣
(
池田
勇人君) 道義を振興することは、午前中から
総理
がおつしやつた
通り
であります。遊興飲食税りつきましてお尋ねでございますが、これは我々は遊興飲食には課税いたしまして、それでできるだけ少くしようという戦前からの政策を踏襲いたしております。
岩間正男
202
○岩間正男君 パチンコもあなたがやめるとおつしやつたけれども、パチンコはますます殖えておりますが、これはどういうわけですか。
池田勇人
203
○
国務大臣
(
池田
勇人君) パチンコは望ましくないということはここで申上げたのであります。従いましてパチンコが行き過ぎにならないように、
関係
当局で考えております。
和田博雄
204
○
委員長
(
和田博雄
君) 岩間君、
あと
五分です。
岩間正男
205
○岩間正男君 それではもう
一つ
。私はこれに
関連
しましてお聞きしておきたいと思うのでありますが、やはりこれは文化政策の一端でありますが、これは映画の政策であります。映画政策であります。現在の
日本
映画を見ますというと殆んどこれはアメリカの映画です。その
内容
はどうかというと、八〇%までがギャングのものです。ギヤング……これは戦争を挑発するには非常に工合がいいだろうと思う。ところが来年度の映画の輸入
計画
を見ますというと、アメリカの映画は昨年の上半期は七十五本であつたのが七十八本にこれは殖やされ、イギリスは七本半であつたのが七本に減らされ、フランス映画は七本半であつたのが六本に減らされ、イタリー映画は、二本半であつたのが、二本に減らされ、そうしてソ連映画のごときは今まで三本であつたのが、ここで全部切られる、こういうような映画政策をと
つて
いる。勿論映画の質についてはここで
論議
する気持はありませんが、フランス映画、ソ連映画、イタリー映画を見たいというのは
日本
の映画フアンの心理だと思う。如何にアメリカ映画というものが最近ひどいものであるかということは、これは実証されている。ところがこういうふうにして本当に映画のフアンの見たいもの。こういうのはしりぞけられておりまして、一方ではこれは
日本
に対する思想対策の問題があるのであります。一方ではこれを独占する態勢におきまして、向うでは大体今五百万人くらい動員できなければ、アメリカの映画というのは向うで採算が取れない。ところがそういう映画は年に約二、三百本作
つて
も僅かに十二、三本だ。それ以外の映画はどんどん
日本
に流されている。この害は至るところにありまして、富士銀行のギャング事件が起りますというと、すぐに模倣する者が至るところに起
つて
来る、こういう態勢であります。こういう態勢で、これは文化の上からも、いわゆる反共工作というような形で以て遮断されている。或いは
世界
のそういう優秀な文化を我々は取入れて、そうしてこれに対して飽くまでも栄養を吸収して、
日本
の真の
独立
を図るということが大切だと思うのでありますが、こういう文化映画政策、こういうものに対しまして一体首相は正しいとお考えにな
つて
いられるのでようか。
池田勇人
206
○
国務大臣
(
池田
勇人君) 映画の輸入につきましては、外貨の面から大蔵省で相当制限いたしております。こういうことと、片一方ではこれはやはり営利事業でございますので、
日本
人の好む映画が入
つて
来るのはこれは止むを得ないことで、どこの映画は何本しか入れない、どこの映画はたくさん入れる、こういうふうな方針でや
つて
いるわけではございません。
和田博雄
207
○
委員長
(
和田博雄
君) もう
あと
一分しかありませんから。
岩間正男
208
○岩間正男君 最後に、これは是非とも
総理
にお答え願いたいのでありますが、台湾の
条約
の問題は午前から問題に
なつ
たと思うのでありますが、併し中国とは飽くまで国交を回復しないということを
言つて
おられるのでありますけれども、併しながら実際台湾
政府
とこれはああいうような
条約
を結ぶ、こういうようなことになりますというと、これは非常に現在の、別の
政府
を
中心
とするところの中国に対しまして私は悪影響を与える、むしろ悪影響を与えることが
目的
であるかのように、こういうような
条約
が締結されておると思うのであります。その中で祕密条項があるかないか、ないということを繰返されておるのでありますが、私は特にここでお聞きしたいのは、一月七日のテレプレス電によりますと、香港電が最近台湾から香港に到着した米人消息通の談として次のように伝えている。
和田博雄
209
○
委員長
(
和田博雄
君) 岩間君時間がありません。
岩間正男
210
○岩間正男君 即ちこのほど台湾に赴任した米大使館のジヨンズ参事官がランキン米大使に対し訓令を手交し言明を発表した、その中で、「台湾にある米当局の最も重要な任務は、国府と
日本
の軍事同盟
条約
を締結することにある。」こういうような、これは時間の
関係
で
あと
全部読めないのであります。軍事同盟の締結、これが
目的
であるような、こういう情報が伝えられておるのでありまして、こういうような情勢に対しまして、
総理
は一体はつきりとこの
条約
にはそういうものはない、こう言い切れるかどうか、お答え願いたいと思います。
吉田茂
211
○
国務大臣
(
吉田
茂君) そういう祕密
条約
、軍事同盟の締結を
目的
として台湾の間と交渉はいたしておりません。
和田博雄
212
○
委員長
(
和田博雄
君) これにて
総理大臣
に対しまする
総括質問
は終りました。 午前の当
委員会
の決定に従いまして、
政府
が配付しました
防衛
力漸増についての
資料
について
質問
を続けたいと思います。そこで
政府
の
関係
各大臣は残
つて
いて頂きたいと思います。
内村清次
213
○内村清次君 私は次の三点から
大橋
国務相に
質問
を申上げたいのであります。 第一は昨日
説明
の
自衛力漸増計画
、これをお配りになりましたが、これは全く私たちの期待に反した
計画書
であります。 〔
委員長
退席、
理事
小林政夫君
委員長
席に着く〕 而も又この期待に反したということは、現にこれは
政府
は両
条約
のこの条項によりまして、すでにアメリカとはやはり
条約
条文
の
規定
によ
つて
漸増計画
を約束しておられる。勿論私たちはこれには不賛成であります。反対でありまして、而も又このような
漸増計画
というものが平和を乱すものであるというような観点につきましては、これは確固たるものがあるわけでございますが、併しこれを約束をされた
政府
の立場から考えて見ますると、
条約
条文
の中においては明らかにこの
自衛力
の漸増というものが約束しておられる。それが今回出されておるところのこの
計画書
によると、僅かにこれは
予算
書にもあるように十一万の
漸増計画
、
警察予備隊
の
漸増計画
、これだけしか考えておらないのであります。来年度及び又再来年度についてはこれは
治安
及び
財政
事情の推移によ
つて
考えるというようなことだけしかこれには謳
つて
いないのです。これは私はやはり
条約
を決定されましたときの
政府
の立場からも
国際
的信義によ
つて
おらんような
状態
になりはしないか、このことが第一点。 それから第二点は、
政府
のほうではすでに自立経済五カ年
計画
を発表しておられるが、この発表に基きますと、五カ年
計画
は過程におきまして、この両
条約
というものが
吉田
総理
の祕密外交によ
つて
これは昨年から急に活溌にな
つて
来ておる。そうしてこれが締結をされておるのであります。その以前に五カ年
計画
というものは発表されておる、この
計画
の年次におきましてこの
自衛力
の漸増ということを一方考えて行かなくちやならん。そうして行きますると、
財政
事情が許すか、或いは又
治安
の問題は、
国際
情勢の変化に上りましてこれは突如として起
つて
来るでありましようが、大きな
治安
の問題というものはこれは起
つて
来るでありましようが、この
財政
事情の変化ということは、やはり一方には産業
計画
と併せてこの
自衛力
の
漸増計画
がなされるであろうということは、これは我我どもが考えておるのでございまするが、この
予算委員会
で最も必要であろということは、その点を是非聞かなくては、一体それでは
政府
の産業五カ年
計画
はやり直さなくちやならない。私たちは一貫したところの産業五カ年
計画
で、これで即ち国の
財政
というものがどうな
つて
行くか、不安定のままに陥るのではないか、或いは又安定の軌道に乗
つて
行くかどうかということを、
予算委員会
で本年度の出されたところの
予算
を
中心
として考えなくてはならない。この産業
計画
というものが、これは
政府
が出し直すなら別でありますが、出し直さずにして、そうして我々にこの
漸増計画
と含めて考えて行けということは、
予算
の
審議
に大きな支障を及ぼすという点が第二点です。 第三点は、これは
大橋国務大臣
も御承知と思いますが、この輿論機関でありまするところの新聞には、こういうような予備隊三十一万に
増強
というような記事というものが、これは只今までたくさん出されておる。而も又この輿論機関のこういう報道というものが、これは
政府
が宣伝をして
国民
思想というものを引ず
つて
行くための宣伝であるかどうかは、これは
あと
で
答弁
をお伺いしたいのですが、問題は、私がこれを収録いたしてみますると、各社、これはもう東京タイムスから、毎日、読売、朝日、時事、産業、東京日日と、こういうような十二月から二月までのこういう
漸増計画
の出されたところの記事というものは相当多数に上
つて
おります。それではこの輿論機関でありまするものは、これは自主的にそういうことがなされるであろうという仮定において、自主的にその機関
自体
がこういう新聞に載せるのであるか、この点がどうも私たちはわからない。ただ問題は、これによ
つて
政府
の意図というものが
国民
思想に及ぼすところの
状態
というものに対して、私たちは大きな、何と申しまするか、不審に考えるわけです。この点に対して
政府
は若しもこの
計画
がこれだけであ
つて
、ほかには
計画
がないというようなお心持であるとしたならば、こういう宣伝というものは、又機関の、即ち新聞掲載というものに対してはどういう考えを持
つて
おられるか、この点を私はお伺いしたい。
大橋武夫
214
○
国務大臣
(
大橋武夫
君) 昨日並びに今朝
提出
いたしました
資料
につきまして御期待に反したという点がありましたといたしますれば、これは極めて残念に思いまするが、併しながら
政府
といたしましては御要求の
趣旨
に従いまして、現在
政府
の持
つて
おりまする
漸増計画
をお答えいたすほかには途がなかつた次第でございます。成るほど講和
条約
と同時に締結せられました
安全保障条約
におきましては、
米国
政府
が
日本
の
自衛力
の漸増ということについての努力を期待するという
趣旨
は掲げられてあるのでございます。併しこれはこの期待に即応いたしまして将来において
日本政府
が漸増について自主的に
計画
を立て、又これに努力するであろうというふうな期待を示されたわけでございまして、
日本
といたしましては、この
趣旨
に従いまして来年度においても
財政
上許す限りの
漸増計画
を先ず第一に立てたわけでございます。これ以上のことにつきましても、もとより
政府
といたしましてはかような
漸増計画
というものを将来作るということになりまするならば、これはいろいろの施策の基礎になりまする事柄でありますから、できるだけ早く立てたい、こう思うのでございまするが、併しそれにはとにかく今後の
治安
の実情並びに特に
財政
事情というものについての見通しというものが基礎にならなければ、この
計画
の立てようがないわけでございまして、只今といたしましては、そういう点につきまして基礎的な研究をいたしておる段階でございまして、具体的な
計画
といたしましては、この
資料
として
提出
した以外には全然持ち合せておらない次第であります。 なお、新聞に予備隊の
増強
についての記事がたびたび出おるという御指摘でございまして、この点は私どもも新聞によ
つて
読んでおるのでございますが、これはどういうニュース・ソースから提供されたものであるかは存じませんが、併しながら
政府
が何らかの作意によ
つて
、宣伝的意図を以てかような記事が掲載されるようなことを企てておるという事実は全然ないのでございまして、
政府
といたしましては、かような
政府
にないところの
計画
が、如何にも
政府
が隠し持
つて
おるがごとき形で新聞に載せられるということにつきましては誠に困つたものである、こういうふうに考えておるのでございます。併しながらこれは新聞のことでございまして、
政府
といたしましては内心甚だ迷惑には思
つて
おりますが、如何ともできない次第であります。
内村清次
215
○内村清次君 只今の御
説明
によりますると、やはりこれだけ出しただけである。そういたしますると、漸増という問題は、これは
日本
の自由性から考えられるところの漸増ということは一年先のこともわからないが、これはどうしてもアメリカからの注文によ
つて
、そのときの情勢によ
つて
漸増というものが成り立
つて
行くというお考え方でありまするかどうか、これが第一点であります。 第二点は、先ほど新聞の記事というものは、非常に
政府
は困つたものであるという話ですが、これに対しては
政府
として困つたならば困らないような方法をおとりになるお考え方はないかどうか、この点について……。
大橋武夫
216
○
国務大臣
(
大橋武夫
君)
自衛力
の漸増ということにつきましては、
政府
といたしましてはこれは
日本政府
が国内の
治安
並びに
財政
事情を基礎にいたしまして自主的に決定すべき建前である、かような考えを持
つて
おるわけでございます。但し現在の実情におきまして、各種の
装備
のうちには、国内において生産せられるものもございまするが、併し火器等につきましては、
米国
から借りなければならないというものも相当あるわけでございまするから、その
日本
側の立てましたところの自主的な
計画
が
日本
側だけの力で実現されるかどかうということになりますると、そこに又
先方
から貸してくれる
武器
という
関係
も出て来るわけでございます。併しながら何と申しましても
計画
を立てる
日本政府
が、その
計画
自体
を自主的に決定し、それに対する資材或いは
武器
の補給、こういう順序でございまするから、
日本政府
が主になるべきものと、こう考えております。 それから新聞の記事につきましては、私どもはでき得る限りの機会におきまして、さような事実を打ち消すように努めておるわけでございます。
左藤義詮
217
○
左藤
義詮君 政令二百六十号で
警察予備隊
が発足しまして以来、米人の顧問というものが予備隊の中にお
つて
、これが
武器
の保管をしておる。一々
武器
を
使用
するのにもその手を煩わさなければ鍵がもらえない。号令のかけ方から訓練の仕方までいろいろアメリカ式にや
つて
おるということにな
つて
おつたのでありますが、今度その
武器
が全部予備隊の本部において総括的に拝借ができることに
なつ
たというこの間御
説明
でございましたが、それにもかかわらずなお顧問というものが予備隊に残置されておるというような御
説明
でございましたが、さよういたしますと、その顧問或いは顧問団というものは、新らしく発足いたします講和成立後の
独立
の
日本
としては、どういうような法的根拠でこれが予備隊におるのでありますか。何か
条約
をお結びになるのか、
協定
をなさるのか、或いは単なる予働隊の雇用
関係
であるのか、又はその権限はどういうような権限を持つのか、身分は果して駐留軍の現役の軍人が来るものであるのか、或いは顧問団として一括して来てそれが各隊に配属されるのか、各隊ごとに顧問が行くのか、又予備隊の指揮命令系統には全然タッチしないわけでありますのか、非常事態のような場合にもやはり顧問というようなものに御協議をなさるのでありますか。従来は
武器
の
関係
でありましたから止むを得なかつたものでありますが、その点が今度解消をしても、なお顧問というものを
独立
した
日本
の愛国心によ
つて
国内の
治安
を守
つて
行こうとする予備隊にどうしてそういうものを持たなければならんのか、その点を
一つ
よく御
説明
を頂きたい。又同じようなことが
海上警備隊
にもやはり顧問のようなものが置かれるのであるかどうか、この点もやはり併せお答え願いたいと思います。
大橋武夫
218
○
国務大臣
(
大橋武夫
君) 現在の
米軍
顧問の制度は、発足当時から司令部の民事局が主として予備隊の顧問的な任務を担当する、こういうことにな
つて
おります。従いまして民事局の嘱託の下に各駐屯部隊にまで顧問が駐屯いたしまして、そうして
武器
の管理並びに
武器
の操作についての
日本
側の指導者に対する顧問的な役割をいたしておるのでございます。特に予備隊発足当時にありましては、
日本
側の管理機関が完成せずに、先に隊員が募集せられました
関係
上、或る
程度
まで予備隊の管
理事
務にまで立入
つて
いろいろ協力を願
つて
おつたこともありますが、併し
日本
側の各隊におきまする幹部が大体昨年の三月末を以て配置を完了いたした
状況
でありまして、昨年の四月以降におきましては、すべての部隊の管理はことごとく
日本
側の幹部の責任である、こういうことにな
つて
おつたのでございます。従いまして訓練、指揮等は一切
日本
側の幹部の責任で行う、ただ指揮、訓練等に当りまして必要なる技術的な指導を幹部が顧問から得て、そうしてこれを隊員に対して
実施
をする、こういう形で参つたわけでございます。ただ兵器についてのみは、先般申上げましたような
関係
がございまして、この
武器
の点は近く保管の責任を
日本
側の機関に移したいというような司令部側の意向もございまするので、只今その方法について司令部当局との間に事務的な打合せを開始いたしておる次第でございます。 〔
理事
小林政夫君退席、
委員長
着席〕 この顧問の現在の法的な性格と申しますか、これはやはり
一つ
の占領に伴う制度であると心得ておるのでございますが、
講和発効
後においては、占領に伴う制度というものは一切廃止せられまするからして、従いまして
米軍
顧問というものも一応そこで解消するものと考えられるのであります。ただ何分にも多数の米式の、
米国
からの
武器
を借りておりまするし、又最近におきまするこの
武器
の操縦その他の技術というものは非常に複雑にな
つて
おりまするので、当分の間は、さような技術的な面につきまして引続き顧問の指導を受けるということが予備隊の整備の上から
言つて
非常に適切でもあり、又必要でもあると、こう考えておるのでございます。併し
講和発効
後における
米軍
顧問を、それならば如何なる形において予備隊の顧問として受入れるか、その法的な形、又法的な根拠、こういうものにつきましては、まだ
米軍
側においてもはつきりした考えもないようでありまするし、
日本
側におきましても目下いろいろ研究をいたしておる
状況
でございますので、いずれ何らかの
措置
がとられると思いますが、併しこれにつきましては、法的な根拠に基いてどうこうするということは、必ずしも必要ではないんではないか……。
日本
側において実際上何か聞きたいことがある、或いは確かめたいことがある、そういう場合に、事実上そういうことについていろいろな技術的な知識を求める、或いは技術的な指導を受ける、こういう事実上の問題でも解決できれば、それが一番よろしいのではなかろうかと、こういうふうにも考えておるわけでございまするが、併しこの点につきましては、なお事務当局といたしましても検討をいたしておる次第であります。なおこの
米軍
の顧問とな
つて
もらう人は、無論
米国
の軍籍にある人であると存じますが、それが駐留軍に属する人であるか、どういう人であるか、これについてはまだそこまで話が進んでおりません。それから勿論そうした事実上予備隊の訓練なり或いは研究なり、そういうことに必要な知識経験について事実上の指導を受けるということが
目的
でございますからして、これらの
米軍
顧問が予備隊において直接隊員に対して指揮命令をするというようなことは、如何なる
意味
においても考えられないところでございます。これは平生においてはもとより、非常事態の発生いたしました場合におきましても、かような顧問が直接に
警察予備隊
を指揮するというようなことは
政府
としては考え得ないと、こういうように思
つて
おります。
左藤義詮
219
○
左藤
義詮君 複雑な兵器の操作について技術的な指導を受けるとおつしやるのですが、この間挙げられた
武器
の種類、航空機の種類から申しますと、そんな複雑なものはないと思います。又そんな複雑なものがあつたならば、
戦力
の問題が又蒸返されるのでありまして、航空機等の若干の
要員
をアメリカにや
つて
訓練を受けさせる、その人たちは
日本
人の技術水準から言いましても、それでや
つて
行けるわけでありまして、今のお話では、そういうようにどこかに顧問がお
つて
、そこに幹部が指導を受けに行くのか、或いは各管区、或いは部隊に従来のように顧問が行
つて
、起居を共にしながら指導するのか。これは予備隊が将来飽くまで
独立
自主の精神において
日本
を守
つて
行く上においても、非常に大事なことと思いますのです。もう近く講和が発効しようというのに、未だ研究中ということでなしに、この点については相当私は予備隊が飽くまで自主
独立
の精神を貫いて行くように、又いろいろ野党の諸君の言われるような疑いを受けない……その点で若し又話がついていないのだつたら腰を据えて交渉して頂きたいと思うのですが、その点につきまして各部隊へ臨むのであるか、個人の顧問として、而もそれが現役軍人として駐留軍の一員として臨むのであるか、或いは駐留軍のどこかへときどき技術上のことについて御指導を受けに行くつもりであるか、その
見解
を先に
一つ
……。
大橋武夫
220
○
国務大臣
(
大橋武夫
君) 兵器の操作につきましてはそう顧問の必要はないのではないかという御
意見
でございましたが、成るほど兵器そのものはそう大して複雑な兵器はございません。併しながら最近の兵器の実際上の
使用
というものはいろいろな単純なる兵器総合されまして、これを総合的に活用して、そうして
目的
を達するというようなわけでございまして、兵器の構造そのものはそれほど複雑ではございませんが、この各種の兵器を組合せて
使用
して行くということは、この
使用
する技術というものはかなり新らしいことでもございまするし、又相当研究を要することなのでございまして、これらの点につきましては実際相当期間これらの兵器を総合的に運用いたしました顧問の経験と知識というものは予備隊を訓練いたします上からいたしまして非常に貴重なものであると、かように考える次第であります。従いましてそうした面におきまして顧問の援助を受ける必要は十分にあるものと、又それが予備隊の発達のために望ましいとこう
政府
としては考えておるのでございます。もとよりかような顧問は
日本
側の自主的な判断によりまして、
日本
側の必要と認めまする事柄について事実上の協力を受けるというのが建前でございまして、いつまでも顧問に依頼いたしまして、予備隊がいつまでも依頼心を基礎にしたそういうようなあり方については御
意見
の
通り
厳重にこれを避けるべきであると、こう
政府
といたしても考えておるわけでございまして、特にお示しになりましたような今後の予備隊の
運営
については
政府
が責任を持
つて
、
日本
側の機関が責任を持
つて
自主的な心がまえで当らなければならないという点につきましては全く同感に考えておるのでございます。なお顧問の実際の勤務の場所、即ち原隊に配属されるか、或いは管区隊或いは相当なる隊の部隊にまで行
つて
末端まで行かないか、その辺のことにつきましては、なお研究をいたしておる次第でございまして、この研究に当
つて
の根本的な心がまえはお示しのごとき自主的な考えを持
つて
おるつもりでございます。
和田博雄
221
○
委員長
(
和田博雄
君) よろしうございますか。波多野君……。
波多野鼎
222
○波多野鼎君 最初に千五百トン級十隻というのがございますね。いわゆるフリゲート艦と言うのか知れませんけれども、どんな性能のものですか。
柳沢米吉
223
○
政府委員
(
柳沢
米吉
君) 大体千五百トンクラスのものがスピードにしますと、大体十七、八ノットくらい、それでこれは今まで
海上保安庁
といたしましては、大洋におきまして難破船ができましたときに、現在持
つて
おる船は七百五十トン
程度
しかありませんので、非常に救助に苦難をいたしております。従いましてトン数の少し大きいものが欲しいということを考えておつたのであります。こういう船を国内において造るということと、借りられれば借りたほうがいいのじやないかということを考えておるわけでありまして、現在交渉中のものでございますが、これの性能は大体今十七、八ノツトの性能を持
つて
おるものでございます。
波多野鼎
224
○波多野鼎君 難場破船救助用ですか、その他に何か使うのですか。難破船救助だけですか。
柳沢米吉
225
○
政府委員
(
柳沢
米吉
君) この船は大体
目的
といたしましては、常にパトロールさせまして業務を行いますのには少し大き過ぎる。従いましてこれをパトロールさせますと油の消費その他から申しまして不経済になるのじやないかというふうに考えております。そこででき得れば、この船はこの前の十勝沖の地震というようなときに相当に難破船ができる、或いは被害をこうむるというようなときにはこの船を
出動
させてやる、又先ほど申しましたような大洋におきまして荒天時に難破が起きましたときには、これを用いたい。なお不法入国その他のもので普通の巡視船で手が廻らないような場合にはこういうものを出して行くというふうな考え方をいたしております。
波多野鼎
226
○波多野鼎君 十隻ばかりでいいのですか。大体
日本
の沿岸に相当配置しなければ……そういう
意味
のものにならば方々に置かなければならないと思いますが……。
柳沢米吉
227
○
政府委員
(
柳沢
米吉
君) 大体
海上保安庁
としましては今までに
船舶
を或る
程度
造
つて
頂いております。それで普通業務につきましては、その
船舶
で或る
程度
、まだ欠陥がございますが、やれるのじやないか。併し先ほど申しました大型のものがどうしても必要にな
つて
来る、これは大体十隻ほどあれば急に応じて出て行けるのじやないかというふうに考えております。
波多野鼎
228
○波多野鼎君 まあ、我々船の知識がないのでわかりませんが、機会があればいつか一遍見学に行
つて
よく聞いて見たいと思いますが、その点はやめまして、借受けるというのですがね。例の対日援助資金がいつの間にやら
日本
の借金にな
つて
おる。我々
国会
においては借金とは考えていないで感謝決議ばかりや
つて
いたのですが、いつの間にか
大蔵大臣
は借金と言い出した。併しあれは、
憲法
上国が債務を負うには
国会
の議決を要するというあの条項とどういう
関係
になるか。これは又別に聞きたいと思
つて
おりますが、この借受けるというのはどんな契約なんですか。これは又返さなければいけないとか何とかいう大変なことになるのじやないですか。
大橋武夫
229
○
国務大臣
(
大橋武夫
君) 船のことはなお打合せて申上げますが、
警察予備隊
で借りておりまする
武器
につきましては、これは正式に借受けるという形ではございません。現在は
占領軍
が
日本
において保管をいたしておりまする
占領軍
の
武器
を、
警察予備隊
が事実上
使用
を許されておる、こういう形でございまして、借受けという
言葉
は必ずしも当るかどうかはわからないと思うのであります。従いましてこれに伴いまして
日本
側でどういう責任を負うか、賠償の責任を負うか、そういう問題はこれは又別途に考えらるべきであ
つて
、借受けに伴
つて
当然に賠償の義務があるというふうな性質を持
つて
おるものではないのでございまして、そういう
意味
において義務を負担するということは、このことから直接には出て参
つて
おらん、そういうような
関係
にな
つて
おります。
波多野鼎
230
○波多野鼎君 いや、それはどういう……何か契約書でも取交しておりますか。そういう了解はありませんか。
大橋武夫
231
○
国務大臣
(
大橋武夫
君) 現状におきましては何らの了解もございません。ただ
米軍
の顧問が
日本
側のキヤンプにおいて保管のための倉庫を持
つて
おります。そこでその倉庫は、その倉庫において保管してありまする兵器を個人の隊員に直接貸して使わしておる、こういう
状況
でありまして、今までの例から申しますと亡失した例もございます。亡失した際においてはこれは管理者たる
米軍
の将校の責任として
米軍
将校が
米国
政府
に対して会計法上の責任を果す、こういう形にな
つて
おるだけであります。但しその点は司令部といたしましても、現実に
自分
が
使用
しておらない品物について、他人の保管中と申しますか、他人の
使用
中に損害又は亡失があつた場合に、その責任を
米軍
の将校が負担をするということは不合理である、
従つて
この方式は変えなければいけない、こういうことに相成りまして、そこで現在では
日本
側の予備隊の機関に一括して兵器を引渡して、予備隊の責任において
使用
をしてもらいたい、こういう
意味
でございます。但しこの場合におきましても、その亡失或いは損害に対しまして
米国
が損害賠償を要求するという
意味
においてそういう制度の改革をするというのではなく、従来
米軍
の将校が自己の責に帰することが困難な事情の下に責任を負わされておつたその顧問の責任を解除する、こういう
意味
においてそういう方式を採用したい、こういう申入がありまして、現在この申入を基礎にいたしまして、双方で如何にするかということを協議いたしておるような事情でございます。
波多野鼎
232
○波多野鼎君 それはそれでまあいいと思うのだが、現地の予備隊が借りて保管並びに
使用
しておるわけですね、それに対して
あと
で賠償しろと言われた場合に丁度今の援助資金と同じことで、これはもう賠償するのは当然だと
大蔵大臣
が言い出すと
国民
は非常に迷惑しますから、何か的確な契約がしてあるかどうかということを聞いておる、返さんでもいいとか、或いは賠償しなくともいいとか、返す場合に原状に回復して返すとか、そういうことをしなくとももらいつ放しだとか、その辺のところはどうなんですか、あいまいなままじや困る。
大橋武夫
233
○
国務大臣
(
大橋武夫
君) 現在におきましてはただ
使用
をいたしておるのでございまして、貸借というような正式の
関係
はないわけでございますから、従いまして賠償といつた問題は生ずる余地はないわけでございます。今後
米軍
から借受けるものについて、どういう形式にするかということは今向うと打合せ中でございまして、その結果或いはこちらが受取を出して借るか或いは又補償の責を負うか、そういう点は、これから打合せをしなければならんことであります。
波多野鼎
234
○波多野鼎君 どうも何もかもこれからと言われるけれども、もうじきですよ。平和
条約
が発効しますれば、私はじきだと思うのだが、十分打合せて的確に
国会
に
報告
して下さい。そうでないと、
あと
で又文句が出て来ると思います。船のほうはどうですか、船は大きいが……。
柳沢米吉
235
○
政府委員
(
柳沢
米吉
君) 船につきましても只今
大橋大臣
からお話のありましたようなことでございます。なおこの船につきましてのいろいろのあれも現在向う側と打合中でございます。
和田博雄
236
○
委員長
(
和田博雄
君) 事実上の
使用
ですか、
使用
許可ですか。
大橋武夫
237
○
国務大臣
(
大橋武夫
君) 現在においてははつきりした契約で貸借をするというような形式ではなく、事実上受取
つて
使用
をするというふうな形にな
つて
おるわけでございまして、それは飽くまでも
米国
の法規に従いまするというと、
米軍
の将校がその責任において
日本
において管理をしておる、
米国
の管理下にある
武器
、これを事実上、
日本
の
警察予備隊
に
使用
をさしておる、こういうわけでございます。従いましてこの物品の
米国
法律上の保管義務者というものは飽くまでも
米国
の将校でありまして、その人が
米国
における会計法規上の責任までを今負わされております。この責任を負わすということは不合理であるから、それを解除する方法として
日本
側の機関に引渡すということによ
つて
責任を免かれるようにいたしたい、そういうことの申出が数日前にございまして、その申出を基礎といたしまして、只今いろいろな手続又はその場合の法律
関係
等をこれから事務的に打合せる、こういう段階でございます。いずれも打合せが終りました上は成るべく速かに
国会
に御
報告
いたします。
波多野鼎
238
○波多野鼎君 今の問題で一番大事な点は、
米軍
の将校が管理責任者であつたのをその地位を解いてやつた、責任の地位を解いてやつたということは、
日本
の現地部隊なり、それを
使用
する人が責任者の地位に立つたということなんですがね。その責任者としてどういう法律上の義務を負わなければならんか。又国の機関ですから国が又どういう法律上の責任を果さなければならんかといつたようないろいろの問題が起きて来るのです。そういう点を明確にしておかないと、いつの間にか借金しておつたということになる。それをくれぐれも要求しておきます。
宮本邦彦
239
○宮本邦彦君 私はここで以て
漸増計画
について実際に大きな問題として数数起
つて
来る問題であると考えられるのは、この演習場その他の土地の問題じやないかと思うのであります。で、お話によれば、まあ財産権保護の
意味
で以て特別な立法をなされるということを承わ
つて
おります。まあそのほうはそれにいたしまして、この演習場その他について現在
岡崎国務大臣
ラスク氏との
書簡
で以てきめられておる
予備作業班
の、取りあえず任務を
一つ
承わりたいと思うのであります。
岡崎勝男
240
○
国務大臣
(
岡崎
勝男君)
予備作業班
はアメリカ側に
使用
せしむべき施設及び区域について、
行政協定
発効前に話合いをし、できるだけ早くきめるものはきめる、こういう任務を持
つて
おります。
宮本邦彦
241
○宮本邦彦君
予備作業班
によ
つて
作成されましたところのものは、
警察予備隊
のほうの施設
関係
とは仕事の
関係
で連繋はあるものですか、ないものですか。
岡崎勝男
242
○
国務大臣
(
岡崎
勝男君) これは
行政協定
の第二条及び
交換公文
に書いてありますように、演習場とか射撃場というような種類のもので、常に使わないものは、アメリカ側が
使用
しない場合には、
日本政府
若しくは
日本
国民
がこれを
使用
することができると
規定
しております。この一部は、演習場等について
警察予備隊
がそれを
使用
することもあることを考えております。
宮本邦彦
243
○宮本邦彦君
予備作業班
の仕事が完了しまして、合同
委員会
に引継がれますというと、一切のそういつた問題の処理解決その他は合同
委員会
によ
つて
責任を負われるのでございますか。
岡崎勝男
244
○
国務大臣
(
岡崎
勝男君) 合同
委員会
は法律的な、何と申しますか、きちんとした権能は持
つて
おりませんが、この
行政協定
によりまして特に施設、区域等を決定することにな
つて
おります。従いまして合同
委員会
がきめるのでありまするが、若し
意見
の合わない場合には、今度はずつと高いところのつまり両国
政府
間の協議に譲ることになります。
宮本邦彦
245
○宮本邦彦君 そうしますというと、大体においてその法律の必要なもの、或いは法律によ
つて
規定
されるものは、そういつたものによ
つて
処理され、合同
委員会
で決定できないものは、更に上の機関に諮るということはよくわかりますけれども、合同
委員会
によ
つて
大体の方針とかそういつたものは決定されると承知いたしてよろしいわけでございますか。
岡崎勝男
246
○
国務大臣
(
岡崎
勝男君) 合同
委員会
は勿論この基準を考えて、それに基いていろいろの問題を処理して行くわけでありまして、つまり原則のようなものは合同
委員会
の双方で案を持寄
つて
、大体の標準をきめまして、それに基いて実際の処理をいたします。こういうことになります。
宮本邦彦
247
○宮本邦彦君 合同
委員会
につきましてはそのくらいにいたしまして、私は
警察予備隊
の
漸増計画
に関しまして昨日承わりましたところの演習地については
一つ
お伺いいたしたいと思います。昨日承わりましたところの
計画
を拝聴いたしますというと、大体千名単位くらいで以て
一つ
の単位ができる、その単位の所要面積が二十万坪乃至二十五万坪、それからそれ以上のものは、大きな方面監部と言いますか、方面部隊と言いますか、そういうものは数百町歩乃至数千町歩、こういうようなお話でありました。今朝の新聞を見ますというと、林野庁のほうと協議されて、できるだけ国有林或いはそういつた林野
関係
から物色するというような御方針のように農林大臣の談話として発表されておりますが、これは誠に私ども結構なことだと思
つて
おるわけでございますけれども、実際問題として三十万坪乃至二十五万坪の千名
程度
の人たちの部隊訓練のためには、なかなかそういつた工合にうまいわけに附近に山林は求めがたいのじやないかと私は思
つて
おります。こういう点について過日の農林
委員会
で実は私この点について
質問
いたしましたが、今日は農林大臣、農林政務次官はおられないようですから、
委員長
のほうからお伝え願えれば結構です。
和田博雄
248
○
委員長
(
和田博雄
君) 承知しました。
宮本邦彦
249
○宮本邦彦君 農林省当局のほうではできるだけ
警察予備隊
のほうと協議をして、そうしてそういうところを避ける。けれども万止むを得ないときはそういうところも、農耕地或いは開拓地も使わなければならん、こういうお話であります。私もその
通り
だと思うのです。やはり二十万坪乃至二十五万坪の土地をわざわざ遠くの山の奥へ行
つて
求めるということは、これは部隊訓練上恐らく不可能なことじやないか、そういうことがしばしば起るのじやないかということを考えられるわけなんです。ところがこれに対して、実際問題としてどのくらい費用がかかるかという
質問
をいたしましたときに、大体農家二戸当り百数十万円乃至二百数十万円、こういうお答えがあつたのです。そうしてこれらの補償をすると同時に、できるだけ北海道その他に入植させて、そうして生業の安定を図るということを言われておつたのですが、私はこれは非常に認識が不足じやないか、こんな考え方で以てものを考えられちや困るということを実は私強く考えているものなのです。大体におきまして今日開拓地に入
つて
おるかたがたは、これは戦後入つた人たちなのです、そうして大体開拓地に入つた人たちは、今日私調べて見ますというと、三十五歳或いは四十歳前後の人が多いのでございます。これがすでに若い壮年期を五カ年間あの原野に入
つて
粒々辛苦、本当に肉、骨を削
つて
開拓地を完成しておるのでございます。その人たちにもう一度北海道へ行
つて
五年間或いは七年間この苦労をもう一度やれということは、これは恐らく不可能なことじやないか、私はそういうふうに考えておるのです。で、この点について北海道その他に再入植させるというような御方針を承わつたのでございますけれども、これは非常にむずかしいということを申上げておきたいと思います。で、私は
一つ
の試案を持
つて
おります。私は長いこと開拓の経験がありますけれども、大体において開拓地に入
つて
直ちに成功し得るというような開拓地は内陸湖面の干拓地、或いは南方と言いますか、九州或いは中国あたりの干拓地ならば、大体いいところならば入りまして一年で完成農家になります。かか
つて
も二年間くらいで大体完成農家になりますけれども、北海道あたりに参りますというと、五年乃至七年はもう一度骨を削り肉を削るような苦労をしなければならないと思うのです。こういつた問題に対して
警察予備隊
関係
或いは農林省
関係
がもう少し真剣にな
つて
考えて頂きたいと私は思うのでございます。当然今申しましたように相当の面積が今後も潰れて行くのじやないかというふうに私は考えております。現に私の知
つて
おります数字を申しますと、再接収されましたところの農地に
関係
しておる農家が大体七千戸を越しております。それから目下再接収の準備の段階にあるような折衝中のものが大体二千戸近い農家があるのじやないかと思うのです。すでに今日判明しておるものがそれだけあります。で、是非私はこういつた点について
一つ
十分な御
計画
をお願いし、そうしてできればそういつた細部にまで、この施設
計画
に当ります相互の連絡を緊密にしてや
つて
頂くことの希望を申しまして私の
質問
を終りたいと思います。
波多野鼎
250
○波多野鼎君 今の問題に
関連
してですが、最近連合軍
使用
中の飛行場の拡張
計画
が方々で進んでおるようであります。私の知
つて
いるところでもそういう
計画
があ
つて
、測量をどんどんや
つて
いるので、附近の農家はもう恐慌
状態
に入
つて
おります。而も新聞で見ると、それは農家に対する補償は従来の接収地域に対しては今考えておる
限度
の補償はしない。今後接収されるものについてのみ農林省が考えているような補償をするというようなことを
言つて
おりまして、そのために又非常に心配しているようであります。今後というのはいつのことなのか、土地収用法の改正もまだ行われておらないし、或いはその他そういうものの賠償についての新らしい法律もできておらない。そうしますとそういう法律ができる、或いは土地収用法の改正が行われる
あと
で接収されたものについてのみ一定額の補償をされるのであるかどうかということですね。現在測量されているものは……、非常に困
つて
いるのはああいう土地収用法の補償はどういう方法でやるのか。
予備作業班
で多少研究していると思うのですが、どうなんですか。
岡崎勝男
251
○
国務大臣
(
岡崎
勝男君)
予備作業班
は新聞でも御承知と思いますが、北海道及び東北地区を視察して大体の施設及び区域について見当をつけております。その
報告
によりますと殆んど新らしく接収と言いますか、収用すると言いますか、
使用
する土地は今のところないのであります。ただ一、二飛行場の附近に多少の拡張をする所がある、その
程度
であります。それから関東地方、だんだん南に行きますが、先ほどの御
質問
に原則とだけ申しましたが、原則の中には、例えば今の施設なら学校とか何とかというものがたくさんあります、それから飛行場とか演習場とかというところには先ず農地を避ける、それから住宅のある所を避けるというような原則が掲げられております。演習地等もできるだけ農家のある所、或いは農地のある所は避けるという方法で来ております。ただ今都心から離れるということになるのでありますから、地方の部隊におきましてはいろいろ測量をしているのですが、これは
予備作業班
できめなければ幾ら土地を測量しても、或いは既成事実を作ろうとしても駄目であるということを
言つて
いるのでありますが、最近測量ということは余りなく
なつ
たようでありますが、この要ではいろいろとそういうことがあ
つて
人心甚だ落着かない場合もあつたのであります。この点は更によく徹底して、
予備作業班
できめるまでは幾らどうや
つて
もこれは駄目だということを徹底させたいと考えております。できるだけ人心の不安は除くつもりであります。 又補償につきましては、
差当り
の考えは、普通の売買で必要な場合は土地を買
つて
行く、併しどうしても買えない場合で、又どうしても必要な場合もあるかも知れんというので収用というようなことを考えなければならんだろうというので法案を研究いたしております。原則はやはり普通の売買で行きたい、こう考えております。
波多野鼎
252
○波多野鼎君 収用される場合の補償をしなければならんという場合ですね。収用して補償しなければならんという場合、農林省が新聞でちよいちよい発表しているあの
限度
のものは考えておられるのでありますか。
政府
全体として……。
岡崎勝男
253
○
国務大臣
(
岡崎
勝男君) 農林省としてと言いますか、新聞にちよいちよい出ているのはいろいろなものが出ておりましてよくわかりませんが、大体今農林省等の
意見
を聞いておりますが、農林省の
意見
はこれはまだここで申上げるわけには行かんと思います。いろいろまだ研究しているようでありますが、大体農林省の
意見
に
従つて
そういうものをきめようとする、これはまあ農地等についてでありますが、そう考えております。
波多野鼎
254
○波多野鼎君 最後にもう
一つ
だけ……。司令部が、司令部というのか、現地軍が現に使
つて
いる飛行場の拡張
計画
をや
つて
いる場合には、これは
予備作業班
の決定を待たずにやるものですか、それとももう現在だから
予備作業班
のほうに問題を移して、そちらのほうで決定してから初めて現地軍も拡張工事に入るということになりますか。その手続はどうなりますか。
岡崎勝男
255
○
国務大臣
(
岡崎
勝男君) 今のところは法律的には現地部隊でやれるのであります。つまり
独立
のときまではできるわけでありますが、すでに
予備作業班
が働いておりますから、今現在におきましては、
予備作業班
がやるということにな
つて
おりまして、現地軍はやらないということにな
つて
おります。
小林政夫
256
○小林政夫君 私はこの
資料
を要求した一人としてこの
資料
ではどうも満足しないということだけ今大臣に述べておきます。その詳細については、小
委員会
等においても言及されたところでありますし、ここで重ねて
質疑
はいたしませんが、
意見
については討論のときに申上げます。
資料
を要求した一人としてこの
資料
では満足をしないということだけ申上げます。
鈴木直人
257
○
鈴木
直人君
独立
後
防衛
隊がトラックその他の軍用車両が相当
日本
の道路を走るわけでありますが、その際には交通規則は
日本
の交通規則そのままを適用されるということになりますか。
岡崎勝男
258
○
国務大臣
(
岡崎
勝男君) 駐留軍のことでありますれば
日本
の交通規則を全部守るわけでございます。
鈴木直人
259
○
鈴木
直人君 若し交通規則に
違反
したという場合にはそれを取締る官憲、その方法はどういうことになりますか。
岡崎勝男
260
○
国務大臣
(
岡崎
勝男君) これは
警察
でありまして、その場所々々によりまして国警なり、自治体
警察
なりがつかまえまして、そうして
先方
に引渡して
先方
の処罰を求める、こういうことになります。
鈴木直人
261
○
鈴木
直人君 それから
警察予備隊
に顧問が現在おるそうでありますが、それはアメリカ側のどういう機関に身分が所属しておりますか。
大橋武夫
262
○
国務大臣
(
大橋武夫
君) 現在の顧問団はすべて総司令部の民事局の管轄にな
つて
おります。
鈴木直人
263
○
鈴木
直人君 将来
独立
後の新らしい
防衛
隊に顧問ができたという場合には、その身分上の所属はアメリカのどういう機関に属しますか。
大橋武夫
264
○
国務大臣
(
大橋武夫
君) この問題はなお当方におきましても、
先方
におきましても研究をいたしておるのでございますが、特に顧問として
米国
から正式に派遣してもらうということは当方としても考えておらないわけであります。便宜駐留軍の将校で手のあいた人に事実上必要な知識経験において協力を仰ぐ、こういう事実上の
関係
になるのじやないかと存じますが、なおこの点は今研究をいたしております。
鈴木直人
265
○
鈴木
直人君
海上警備隊
に属する部分については、同じように顧問がつけられるようなことになりますか。
大橋武夫
266
○
国務大臣
(
大橋武夫
君) これはアメリカ海軍の人から協力を受けるというようなことになるかと存じます。
和田博雄
267
○
委員長
(
和田博雄
君) ほかに御発言がなければ、
政府
に対する
質疑
はこれで一応全部終つたことにいたします。本日はこれにて散会いたします。 午後四時五十九分散会