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1952-03-24 第13回国会 参議院 予算委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月二十四日(月曜日)    午前十時二十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     和田 博雄君    理事            中川 以良君            山本 米治君            小林 政夫君            内村 清次君            堀木 鎌三君            東   隆君            木村禧八郎君            岩間 正男君    委員            愛知 揆一君            石坂 豊一君           池田宇右衞門君            大島 定吉君            楠瀬 常猪君            左藤 義詮君            杉原 荒太君            鈴木 直人君            中川 幸平君            平林 太一君            宮本 邦彦君            岡本 愛祐君            片柳 眞吉君            楠見 義男君            新谷寅三郎君            中山 福藏君            荒木正三郎君            吉田 法晴君            松永 義雄君            山下 義信君            山田 節男君            吉川末次郎君            駒井 藤平君            鈴木 強平君            西田 隆男君            岩木 哲夫君            深川タマヱ君   国務大臣    法 務 総 裁 木村篤太郎君    大 蔵 大 臣 池田 勇人君    文 部 大 臣 天野 貞祐君    通商産業大臣  高橋龍太郎君    運 輸 大 臣 村上 義一君    労 働 大 臣    厚 生 大 臣 吉武 惠市君    国 務 大 臣 大橋 武夫君    国 務 大 臣 岡崎 勝男君    国 務 大 臣 岡野 清豪君    国 務 大 臣 周東 英雄君   政府委員    法制意見長官  佐藤 達夫君    法務法制意見    第一局長    高辻 正己君    大蔵省主計局長 河野 一之君    農林省農政局長 小倉 武一君    通商産業省通商    繊維局長    記内 角一君    通商産業省機械    局長      玉置 敬三君    運輸省海運局長 岡田 修一君    航空庁長官   大庭 哲夫君   事務局側    常任委員会專門    員       長谷川喜作君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十七年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十七年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十七年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 委員会を開会いたします。  前日に引続きまして一般質問を続行いたします。
  3. 松永義雄

    松永義雄君 通産大臣並びに安本長官及び岡崎国務相、お三省に対して紡績操短に関連して御質問いたしたいと思うのでございます。  私が申上げるまでもなく、操短ひとり紡績に限られたことではないのでありまして、鉄鋼その他のものについても操短が行われ、或いは行われんとしつつあるのであります。生産制限によりまして、如何なる方面に悪影響が向つて行くかということは、このことは言うまでもなく中小企業の倒壊を見る、或いは労働者街頭に放り出されて、今更ここに女工哀史をひもとくまでもないのであります。戦前においてはしばしば紡績操短が行われまして、そのたび、ごとに紡績会社はぐんぐん伸びて行つて、そして日本生産界において紡績界は優秀なる地位を占めるに至つたのであります。そうしてその結果、中小商工業者はその犠牲になると共に、工場に雇われている糸姫は職場から追い出されて、いわゆる中産階級以下の犠牲によつて操短というものが行われておつたのであります。ところがこのたび初めて終戦後紡績操短が行われることになりまして、これに対して通産大臣は、張る二月に紡績操短をなしたらばいいという勧告を発せられたのであります。一体その勧告はどういうような法律根拠で出されたのか。即ち大臣権限として勧告を発せられたのか。次にこの勧告目的は一体何であるか。勧告の理由は奈辺に存するか。先ずその点をお伺いいたしたいと存ずるのであります。
  4. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 操短勧告をいたしました事情を先ずお答えいたします。二月の紡績綿紡生産が十七万五千梱に達しております。そうしてだんだん滞貨が殖えて来ておる。現在の市価で大体一梱九万円ぐらいなところだろうと思うのですが、そうしますというと、米綿だけでやりますと、大体生産原価に相当するのです。パキスタン綿でやりますというと、相当の、一万五千円ぐらいな赤字になるのであります。で、需要方面を見ますというと、内需、特需、輸出方面にどういう数字が出るかということを調べて見ますというと、只今のところで私のほうで出ました数字は、大体十五万梱、一カ月十五万梱になるのであります。或いは十五万梱はまだ多過ぎるというような意見もあるのであります。これを放置しますというと、市価はずんずん下つて行きます。そうしますと、昨年の夏起りましたように、海外の契約品キャンセルが続出して、ますます市価は暴落することは火を見るよりも明らかなのであります。そうして四割の操短を、私ども勧告した四割という数字が非常に多いようにお考えになるが、大体四割の、これは紡錘数ですから……紡錘数の四割の操短をいたしまして、生産は大体昨年と同じ程度生産されることになるのであります。私どもは無論操短ということは望ましいことでない、成るべく避けたい。それから本年の綿花の輸入米綿を百二十万、インド綿パキスタン綿を五十万と抑えておるのでありますが、現在パキスタンの五十万というのは入つていない。計画通りに入るとしても、百七十万梱しか原綿がないのでありますからして一月、二月のような生産状態でありますというと、この十月頃になるというと原綿はなくなつてしまう。四割の操短どころでなくて八割、九割、極端に言えば十割の操短をしなければなりません。そうするというと、必ず市価は暴騰する。そういうことを考えて四割の操短勧告したわけなのであります。重ねて申しますが、紡錘数で申しますので、紡績紡錘数はこのニカ年足らずの間に七割殖えておる。四割の操短をして大体昨年と同じ生産ができることになるのであります。そうしてこれは飽くまで行政措置として勧告をしたのであつて、これを守らなかつたものに法的にどうするというようなことはできないのであります。その場合に通産省として考えられることは、ただ綿の輸入の資金の割当を、そういう紡績会社に対して抑えて行くことができる。そのくらいなこと以外には方法がないのであります。
  5. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 松永君、御要求の大臣が皆揃つておりますから……。
  6. 松永義雄

    松永義雄君 そうすると、只今の御質問の中で法律的根拠については別にないように……。ただ別に強力な統制にはならんという御説明であつた。そういうふうに聞いてよろしいのでございますね。
  7. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) その通りで、全く行政措置であるのであります。
  8. 松永義雄

    松永義雄君 新聞を拝見しますと、更に十五万梱まで基準生産額に低下せしめなければならんということを語られているのですが、その通りですか。
  9. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 只今勧告をいたしておりますのは、三、四、五の三カ月間四割操短、大体十五万で抑えよう。それが過ぎましては、三カ月の経過を見まして、或いは操短を緩めて、四割というのを、二割にするか或いは五割にするか、その結果を見て適当な措置をしたいと思うのでありまして、更に十五万梱を操短をするというようなことは今考えてはおりません。
  10. 松永義雄

    松永義雄君 この十五万梱に抑えるというだけでも約二割の紡績工場従業員休職を押付けられている。如何にも協定を見るというと、整理をしないということになつているのでありますけれども、事実は時の経過従つて自然に淘汰をして行こうという意図が現われています。で、如何にも巧妙に会社側が出ているようでありますが、この休職ということが結果において首切になるのではないか。更に只今十五万梱が三カ月間というお話でありましたが、場合によつては十三万梱まで下げるのであるというように、新聞紙を判断して見ますと、この先一体紡績工場従業員はどうなつて行くかということになるのでありますが、一体この休職問題について、労働大臣からお答え願えれば仕合せだと思います。
  11. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) お話のごとく、紡績につきましては操短をいたしておりまする結果、一部に休職をしている部面がございます。これにつきましては、労働基準法等に基きまして、六割の休業手当というものが支給されておりまするので、長く続くということになりますと、失職をするということになるかも知れませんが、そうなれば、又更に失業保険等の支給という問題は起つて来ると思いますが、併し紡績は御承知のように熟練工は簡単に離したくないし、又離しても困るわけでありまして、目下のところでは失職をするというよりも、一時休業で繋いでおきたいというところで進んでいるのであります。そこで新らしく就職をいたしまするものにつきましては、そういう事情もございまするから、これは一時新規採用というものはとめておいて、従いまして今のところではそう離職をするということでなしに、新らしい就職を抑えるということで、一部休業状況はございまするが、行けるのではないだろうか、かように存じている次第でございます。
  12. 松永義雄

    松永義雄君 紡績会社はずるいのであつて景気が悪ければそのまま追つ放しちやう。万一よくなれば、又再び抱身込むといつたような態度をとつておるのでありますが、紡績会社というものは、私が申上げるまでもなく、現在五割、六割の配当をいたしております。このことすらいささか我々のほうの第三者から見ましても行き過ぎであるし、思い上つているのではないかと思うほどである、景気のいいときには、そういうような五割、六割の配当をしておきながら、少し悪くなるというと、労働者休職或いは首切りの結果を来たすようなことをあえてして、そうして自分の採算をとろうなんというのは、誠にけしからんのでありますが、一体通産省としては、こうした紡績会社配当ということについてどういうふうに考えられるか、その点を一つ伺いたい。
  13. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 紡績業者が非常な利益を挙げたことは、私は非常に喜ぶのでありますが、ただあなたの今御指摘なつたような、余りに高配当をしておる、そういうような点につきましては、個々の紡績会社については私ども遺憾に思う点もあります。併しそれを私通産省としてどうすることもできないのでありまして、今度の操短措置というものは、決して紡績業者利益を保護するための措置ではなくて、国の経済、先刻も申しましたように、これを放置するというと市価は暴落して輸出キャンセルが続出するというようなことで、又もう一つは、これを放置しておきますというと、本年の十月頃には原料はなくなつて、全部工場は閉鎖しなくちやいけない。そういう場合の労働者に及ぼす影響考えましても、放置することはできないと私は考えます。
  14. 松永義雄

    松永義雄君 一体紡績会社けしからん。毎日の経済記事を見てもおわかりになる通りに、紡績界はえらい不況だと言つておるけれども、株の値段は僅か二、三十円しか下つておらない。而も配当減は一割ぐらいで済むだろう、そういつた相場が出ておる。紡績会社としてはちつとも……まあほんの僅かしか影響を受けておらないのに、労働者側に対してはこうしたひどい目に合わせるというような措置は一体どういうことか。先ほどあなたは、何らの権限はなくて勧告したとおつしやつた。こういうことだつて、若しそれだけ親切があるなら、紡績会社に対して配当率をもう少し下げろとか、資本蓄積資本蓄積大蔵大臣はしよつちゆう言つておる。もう少し堅実に経営をして、ほうぼうへ迷惑をかけないようなことをさせるように注意する必要があるのじやないか。一つ通産大臣の決意、覚悟を聞きたい。
  15. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 御意見は参考として承わつておきます。
  16. 松永義雄

    松永義雄君 それから、物が下ると、こう言つておるのですが、輸出を抑えておる傾向があるのですか、どうですか。例えば紡績輸出を抑えておるとか、すべて輸出を抑えておるという方針内閣がとつておるという噂が立つておるのですが、それはどうですか。
  17. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 輸出は、これはポンド累積の問題からでありますけれども、昨年程度に抑えております。併し現在は抑えておるのでなくて、輸出がないのであります。事実上は通産省紡績繊維類輸出の申請を許可しなかつた例は一つもないのであります。
  18. 松永義雄

    松永義雄君 ポンドの問題について先行きポンドの不安を恐れて、そうして輸出を差控えておるというようなことはないのですか。これは安本ですか、どこですか、お答え願いたい。
  19. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 通産省考えとしては、ポンドが現在一億以上累積しておりますが、この程度で更に累積することを避けたいというのが今の私ども考えておるところであります。そのための措置としては、繊維品と鉄の輸出を昨年程度に抑えて行こう。ほかの品物については何ら措置をとつていないのであります。併し繰返して申しますが、現在の輸出状況は、実際には何にも抑えていない。併し昨年以上輸出はできていないのが現状であります。
  20. 松永義雄

    松永義雄君 岡崎国務相にお尋ねいたします。日英支拂協定及び日本インドネシア貿易協定はどういうふうになつていますか、殊に綿糸、綿布に関連してお話を伺えたらいいと思います。
  21. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 日英間の話合は、今通産大臣が言われましたように、ポンドが初め予想したよりも多く溜りつつあるという現状を、何とかこれを改訂しなきやならんという意味で話をいたしております。インドネシアのほうにつきましては、今までのやり方につきまして、先方で通貨の価値を奮ましたので、いろいろの点で又調整すべき問題がたくさんあると考えて、このほうもいろいろ今研究いたしております。
  22. 松永義雄

    松永義雄君 日本及びインドネシア関係において、インドネシアのほうでは何とかしてポンドで拂つて行きたいというようなことを固執するために、日本インドネシア協定が停頓しておるということになつているようですが、そうなんですか。
  23. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 必ずしもそうだということでもないようでありますが、インドネシアのほうも、ドルはほかの国と同じように持高が少いのでありまして、そのために一部輸入制限制限と正確に言つたら間違いかも知れませんが、輸入を抑制する措置も講じておるようでありまして、いろいろの問題について今後の独立後の情勢考えまして研究いたしております。
  24. 松永義雄

    松永義雄君 物価のことでちよつとお聞きしたいのですが、綿糸は現在戰前に比較してその値段が四百六七十倍くらいになつておる、こういうことを言われておるのですがもう少し下げたほうがいいのではないか。下げて若し経済が成立つという見通しが立てば下げたほうがいいのじやないか。売れない、売れないといつて内需要について騒いでいるようですが、もう少し安くなるというと、我々でも買つて見ようかという気持になる。今のような値段では需要量があつても手が届かないから買えないというような状態になつて来ると思うのですが、価格の点についてどういうふうにお考えになりますか。
  25. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 先刻御説明いたしましたように、現在の市価が一梱九万円、それで米綿を使いますというということんとんで、インド綿を使いますと、相当赤字が出ているのでありますから、現在の市価はずつと下げる余地はないだろうと私は考えております。
  26. 松永義雄

    松永義雄君 時間がないから少し飛んで行きますが、原糸が四割操短になつて来ると、その原糸を製造している大紡績会社は、紡機と織機とを持つている。その結果として中小企業織機をやつているところへ原糸が行かなくなるようなことになるのではないか。原糸割当をどういうふうになさつて行くつもりであるか。
  27. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 四割の操短ということは先刻御説明しておいたのですが、まだ誤解があるように思うのですが、二月の最高の生産が十七万五千梱、それを十五万梱にするのでありますから、実際の操短は一割何分にしか満たないのでありまして、四割というのは錘数錘数というのは先刻も御説明したように、非常に七割も錘数が殖えて、実際その増加した錘数の大部分は動いてはいなかつた。二月にもなお、只今の御質問は十七万五千梱という数字を何しましたのは、確か昨年の十月は十五万梱くらいの生産であつたのですが、十二月、一月、二月になつて非常に増産して行つたわけなのでありますから、十五万梱を抑えて中小企業影響があるとかいうふうには私は考えておりません。
  28. 松永義雄

    松永義雄君 只今は、大臣の御答弁においては影響もないようなことをおつしやつておるのですが、すでに中小企業にはいろいろの事情からも手伝つて影響の来ることを恐れて、心配しているようであります。大企業会社のほうでは原糸を抑えて、そうして中小企業のほうへは廻さんということになつて来れば、自然中小企業労働者街頭へ放り出されなければならん結果になる。そのように大企業のみが操短によつて利益して、そうして中小企業は非常に不利益を受ける、労働者は困る、世間伝うるところによれば、六割の賃金で一万円くらい一梱で儲けるというような放言さえ行われておる。そうした一体魂胆を以て会社が経営して方針を立てておるというのに対して、紡績会社が平生非常な大きな金を儲けておるのに、それに痛痒を感じないで、そうしてどんどん錘数を増加して、そうしてここで困つたからと言つてその方面だけ勘考して頂くというならば、大会社には都合がいいかも知れないが、中小企業若、労働者はえらい迷惑だ。併し安本長官にお伺いしたいが、今後増錘は進めて行かれるのですか、或いはこの辺でやめるというおつもりですか。
  29. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 増錘の問題  についてお尋ねでありますが、これは御承知通り戰前は千二百万錘からあつたわけであります。終戰後二百万余錘に減じて、非常に貿易界としても、日本国民経済の上から見ましても、困つた状態にあつたわけであります。従つて当時の状況としては、今後の国際間の情勢もあり、東南アジア地区等における二、の需要関係も考慮いたさなければなりませんが、せめて半数近くまで先ず持つて行くということの狙いで計画は進めており、先ほどから御指摘のありましたように、朝鮮事変等で非常に景気がよかつた。それは手放しで全部使つたわけでなく、むしろ将来に備えて、あの当時は一般からも歓迎された点で、設備の増加に使い、そうして今日漸く六百四十万余錘なつたわけであります。これでも戰前の半分であります。私は今のような状態から、何も千二百万錘に殖やさなければならんとは思いませんけれども、併し今日のようなちよつと紡績界輸出が停頓しておるからといつて、もつとこれを切下げて減して行くという考えは如何なものであろうか。勿論十分研究しなければならんと思いますが、減して行くというようなことを必ずしも将来考え余地はない、もつと大きく東亜における市場のことも考えつつ、それに適合した数に考えて見ることが必要じやないか、こういうように思います。
  30. 松永義雄

    松永義雄君 もつと聞きたいことがたくさんあるのですが、時間の制限がありますから、紡績のほうはこの程度にして、岡崎国務相にお聞きしたいのですが、できる限り簡單質問しますから、簡單にお答えを願いたい。  それは行政協定の中に、期間が満了したるときは云々、日本は賠償する義務がないという規定があります。なお末尾のほうに、行政協定効力期間は、効力安保條約の効力従つて存続すると、こう規定してある。ところが期間の点については、行政協定にも安保條約にもないのでありますが、そういう規定期限規定有効期限規定のないのはどういうわけですか。
  31. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 今のお話は、施設及び区域の問題についてだろうと思いますが、これは不要になればいつで返還する。そのために特に返還を目的として合同委員会等日本中の施設区域等について注意を拂う、こういうことにしておる、従つて要らなくなればいつでも返す。ところが軍隊等施設とうものはは、たとえ一年や二年で不必要になるといたしましても、永久的の構築をいたすのが常でありますので、返還した場合には構築物等が残る可能性が非常に強いのであります。それでそれについての規定として、こういうことを作つたのであります。
  32. 松永義雄

    松永義雄君 行政協定及び安保條約に期間の定めがないようですが、これに対して合意によつてきめるような規定があるんですが、その「合意」とはどういう意味ですか。どういう場合に合意が起きるのですか。
  33. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) ちよつと條文を御指摘願いたいのですが。
  34. 松永義雄

    松永義雄君 「この協定およびその合意された改正は、」と、こう書いてあるんですが、こういう規定はそうすると私の或いは誤解かも知れませんが、例えば米軍が撤退するというような規定の場合があつて行政協定だけの中の意味について言うのでありますかどうですか。第二十九條です。「この協定及びその合意された改正は、安全保障條約が有効である間、有効とする。」と、こう書いてあるんですが、「寮全保障條約、が有効である間、」というその「間」というものは、一体いつこれが消えるのかどうか、消滅するか、そういう期限が切れるのか、つまり有効期限はいつか、安保條約及び行政協定有効期限はあるのかないのか。
  35. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 安全保障條約の有効期間というものは、これは国際情勢にもよることでありまするし、日本の国内の状況にもよることでありますので、今から期間をはつきり示して置くことは困難と考えておりましてそのため第四條で国連の措置又はこれに代るべき安全保障措置ができた場合に、そうしてそれを日米両国政府でこれはできたと認めた場合には、この安保條約は不必要になりますから効力を失う、こういうことにいたしております。併しながら行政協定のほうは、念のために若し両国政府で要らないということになれば、いつでも効力を失うということを書いただけでありまして、これは根本の第四條が元でありまして、この四條がなくなれば、もう当然に行政協定はなくなつてしまう。これは当り前の話であります。併しそれ以外にも両国政府合意した場合にはなくなしてもよろしい、こういうことを念のため書いてあるのであります。
  36. 松永義雄

    松永義雄君 岡崎国務大臣に対する質問は終ります。  その次に法務総裁にお尋ねしたいのですが、この専属裁判権及び専属逮捕権及び民事の賠償と申しますか、それから軍事警察及び日本警察との関係、この四点についてお尋ねいたしたいと思います。第一点の専属裁判権についてはアメリカ軍の軍属その他の人々がすべての犯罪に対して米国側専属裁判権を持つ、こう規定してある。然るに米比軍事基地協定並びに英米軍事基地協定、一九四七年の基地協定によりますと、叛逆罪或いは米軍にとつて安全に関する犯罪については専属裁判権がある、こう書いてあつて、すべての犯罪については規定しておらないのであります。日本の場合においては、先例に徴して見ると非常に不利益な感じがするのでありますが、どうでありますか。それから時間がありませんから、箇條書に御質問いたすんですが、第二の専属逮捕権の問題、駐留区域内及び地域内においては、行政協定によると日本側には逮捕権がないようであります。然るに米比協定並びに米英軍事基地協定によりますと、許可を得ればその区域内において逮捕できるような規定になつております。そのように先例に徴して日本側が非常な不利益規定になつておるようなふうになつておりますが、一体これを締結されたときにどういうようなお考えであつたのか、非常に日本にとつて不利益だと思うのでありますが、そのようになつているかどうかを一つ念のため聞いて置きたいと思います。
  37. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 御承知通り米比の間の裁判権については、基地内において行われた犯罪については米人たるとフィリピン人たるとを問わず、すべてアメリカの裁判権に服するということになつておるのであります。これに反して日本と今のアメリカ側の行政協定におきましては、いわゆる軍事施設及びその区域内においての犯罪は、日本人の犯罪についてはアメリカ側は裁判権を持たないのであります。ただアメリカの軍構成員、軍属並びにその家族のみに対してアメリカ側は専属裁判権を持ち、日本人に対しては全然アメリカ側は裁判権を持つておりません。この点が米比協定日本行政協定とは大きな差があるのであります。逮捕権にしましても、勿論この施設及びその区域内においてはアメリカ側が専属裁判権を持つております。併し日本側が必ずしも全然排除されたわけではないのであつて、アメリカ側の承諾を得れば日本側においても逮捕権が持てるのであります。いわんや又アメリカ側においてはその裁判権を放棄することができるということになつております。全然放棄するということもできる。この点において必ずしも今度の行政協定米比協定に比べて見て不利益とは考えておらないのであります。
  38. 松永義雄

    松永義雄君 答弁にならないんですが、すべての犯罪において区域外において米軍の軍属が犯した場合に専属裁判権がある、こう書いてある。ところが米英協定には叛逆罪であるとか、或いは軍事的性質を帶びておる犯罪に限つて米軍側が米軍側の軍属に対する裁判権がある、こう規定してあるが、どうであるかということを聞いておるのである。それからついでに時間がありませんから、質問を進めて行きますが、非戰闘行為によつて公務執行中にアメリカ側の軍属の人が日本人に対して死傷或いは財産上の損害を及ぼしたときには日本側が取扱つて、そうしてその損害額を算定して、そうしてその半分ずつを負担するという規定になつております。日本側に何も過失がないのに、これを日本側が半分負担しなければならんというのはおかしいように思うのでありますが、日本側が何も過失がなくても、やはり日本側が半分負担しなければならんという規定でありますか。
  39. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) アメリカ側の軍構成員が公務執行中に日本側に加えた損害については、これは損害額を査定してそうしてどの部分について日本側が負担しアメリカが負担するかということは明らかになつていないのでありますが、それは機関においてそれぞれ分担額をきめるわけであります。今松永君の仰せになりました日本側でどれだけ分担額を負担するかわかりませんが、その分担額を負担するというのは面白くないじやないかというような御意見に承わるのでありますが、このアメリカ駐留軍が日本に駐留するということは要するに極東の平和と安全、従つて日本の平和と安全に寄與するために駐留するのであります。アメリカ側の利益のためじやない。日本はこれによつて大きな利益を受けるのでありまするから、日本側もその構成員が公務執行中に加えられた損害については一部負担することは当然の義務と考えるのであります。
  40. 松永義雄

    松永義雄君 非戰闘行為というと演習というような意味も入るのですか、簡單一つイエスかノーか。
  41. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 演習中はいわゆる公務執行中の行為であると考えられます。
  42. 松永義雄

    松永義雄君 それから基地の附近といいますか、区域外の犯罪について日本側が逮捕できることはこれは当然でありますが、アメリカ側の軍事警察も又区域外の安全に対して脅威を與えるような場合においてはこれを手伝うことができるというようなことになつているのですが、その場合日本の警察と軍事警察とはうまく行くときもあるでしようし、ことによると摩擦も生ずることがあると思うのでありますが、それはどういうふうにして調整して行かれるのですか。
  43. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 無論その場合には打合せをすることは当然であろうと考えますが、アメリカ側の警備員が主として働くのは、アメリカ側の軍構成員、家族及び軍属、それらのための規律を主としてこれを警備員によつて保護するわけであります。一般犯罪については、恐らく日本側において主として日本の警察官が行動することと考えます。
  44. 松永義雄

    松永義雄君 非常に具体的な問題になりますが、例えば区域内にどろぼうに入ろうとして日本のチンピラがうろうろしているといつたような場合に、日本人側の警察がこれを捕えよう、アメリカ側の軍事警察もそれを手伝おうというような場合に、はつきりした大きな特別な安全に脅威を與えるような場合なら別ですけれども、そういつた個々の場合においては一体どういうふうに仕事をうまく調整して行かれるかということ、一切それでは日本人は近付かないで委しておいたほうがいいか、日本側の警察が活躍したほうがいいか。
  45. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 無論協力してやるのでありますが、日本人がアメリカ側の施設内に忍び入つてどろぼうするというようないわゆる現行犯の場合においては、これは見つけたほうが先に挙げます。恐らく日本側の警官が見つければ日本側で逮捕するのが当然であります。或いはアメリカ側で見つければアメリカ側が逮捕するのが当然であります。
  46. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 松永君に申上げますが、あと五分しか時間がありません。
  47. 松永義雄

    松永義雄君 もう一遍さつきのに戻りまして、返答がないからして。米英協定にしても米比協定にしても叛逆罪、或いは軍事的性質の犯罪については、アメリカ側の軍属はアメリカ側の裁判権に属する、その他の場合については何といいますか、被駐留国側の裁判権に属するというふうには、すべての犯罪ということにはなつておらないで、その犯罪制限が加えられている。ところが日本側のすべての犯罪について、区域外における米側の軍属が犯した場合にはアメリカ側の専属裁判に属するということになつている。北大西洋條約の協定にも同様な規定があると存ずるので、過去及び将来についてこのように違つた規定になつているのに、日本側だけがこの行政協定において不利益を受けているような感じがするのですが、どうですかもう一遍その点を。
  48. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 勿論北大西洋條約が批准されて、そのほうが日本にとつて利益だということになりますれば、日本の選択によつて北大西洋條約と同じようなことにはなりましようが、現在のところにおきましては先ほど申しました通りであります。この米比の関係でも一九四五年の米比協定においては今の日本と同じような協定になつているのであります。必ずしも私は不利益とは考えておりません。
  49. 松永義雄

    松永義雄君 国務相にちよつと。
  50. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 岡崎君は済んだあとで又。
  51. 松永義雄

    松永義雄君 簡單ですから。この行政協定改正できるということが書いてあるのですが、何か両国側で希望があつたときには改正ができるのですか。
  52. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 勿論両国間の話合が、いわゆる合意が成立すればこれは改正できると思います。
  53. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 農林省関係は今呼んでおりますが、今安本が来ておりまして、大蔵大臣は大蔵委員会に出ておりまして今すぐ参りますから、安本長官から始めて頂きたいと思います。
  54. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 講和の発効に伴い、国家の自立自衛と昭和二十七年度予算の性格との関連を初めとして、来年度予算に関する概括的且つ基本的問題についてはすでに各委員によつて方面から検討が加えられ、政府の所信が明らかにされましたので、このような問題に関してはこれ以上の質問は行う煩を避け、私はここで主として内政問題、特に私が平素深い関心を持つている農村問題について二、三の質問を試みて政府の所信を明らかにし、且つその努力を促すと共に国民をしてよらしめるところあらしめる資としたいと存じます。  政府は一方において外米輸入懇請のため根本君をビルマに派遣しております。然るに内地においては御承知通り農業協同組合等にある手持でん粉等の重圧に苦しんで、このままでは破たんにひんするほかないのであります。食糧政策の矛盾と申さなければなりません。かようなことを是正して一貫した食糧政策を確立してこれを強力に実行いたす方途を明らかにされたいと思うのであります。若しさようなことがなかつたとしたならば、今年いも類生産に悪影響を来たす虞れがあるので、この点について先ず所信を承わりたいと思います。
  55. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 農林大臣に対するお尋ねと思いますが、便宜私からお答え申上げます。御指摘通り日本の食糧問題の解決としていつまでも輸入食糧に依存するということは、これは不利なことである、これは御指摘通りであります。従つて内地における食糧の増産、殊に戰時中に非常な役割を果したいも類等の増産に関しても、それが増産奨励策を考える必要があるということに対しては私ども同感であります。ただ今日約二千万石近くの米、麦が輸入されておりますので、これを直ちに国内生産に置き換えることは物理的に不可能であります。従つて或る程度輸入は確保しつつ漸減さする方針の下に今年も特に土地改良その他の農業増産施設に対して約百億を増加して専心これに当らしめるということに一つの方途を講じたゆえんはそこにあるわけであります。従つてこの増産政策の土地改良の一面を一例としてとつたのでありますが、この内容についてはもとより土地改良による二毛作関係の奨励ということが大きく入つて来るわけであります。その間に処しまして、地方的な適地適作でもつてやはりいも或いは麦等の生産について御指摘のような面から考えて奨励方策を講じて行く必要がある。そのつもりでおります。
  56. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 なおでん粉対策については食糧長官にも追つて質問したいと思います。  第二に農林業生産の確立でありますが、先に本院で行われました農林業振興基本政策の確立に関する決議に対しまして先般吉田総理大臣から本院議長に報告がございました。あの報告程度では問題の掘下げ方が甚だ十分でないという農村の声であるのであります。その予算的裏付も又不十分なように考えられたのであります。農林省顧問会議において食糧増産計画指摘されましてあわてたような次第もあるのであります。只今周東長官の御答弁は実に当を得る答弁でありますが、この際もつと日本農業の振興に対する基本政策を確立する必要があり、又その予算的裏付を確保されるようにしなければならないと思います。更にこの振興政策に対して明解なる御意見を願いたいと思います。
  57. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 池田君、農政局長が参りましたから。
  58. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 御指摘のように私どもも又食糧政策を通じての面からの農業政策ということに対しての施策が完全なものとは思いません。併しとにかく講和発効を目の前にひかえつつも、新らしい負担増加ということが相当にありますので、その間に処してどの程度に重点的に持つて行くかということが問題であります。その中で常に食糧対策というものが一つの重点を置くべき課題として取上げられていることは事実であります。基本の方策としていろいろ御不満もあろうと思いますが、私ども政府としての考え方は一面におきましてはどこまでも主食の増産、これは日本の国民生活の立場からいたしまして米麦増産を考え、又戰時中に効果のあつたいもを、のど元すぎれば熱さ忘れるというような意味合で余りこれを虐待するということは、将来に備えて非常な問題であります。この点にすいては新らしくいもというものに対する用途開拓、これは非常に多いものであります。こういう面からいも作の増産も続けさせつつこれらの点を通じてでん粉食糧政策について増産計画を立てると共に、何と申しましても蛋白、脂肪の食糧を併せ、質的に考える必要がありますので、本年の予算措置といたしましても特に畜産物に関する奨励、無畜農家というものを解消するための有畜農業の奨励のために、特別な施策を講じたわけであります。従いまして、これらをやるについてはやはりあくまでも農村における農業協同組合というものの育成強化ということを通じて、これらの零細農家をして、一面予算的助成と共に活動しやすいように協同組合の力によつてこれが切り抜けを考え、これに対しましてあくまで、昨年出しました協同組合の整備計画というものが実行されているようでありますが、これらについてもまだ金融面から見まして随分欠陷もあるようであります。将来これらについては助成をいたして行きたいと思いまするし、それらを通じてやるにいたしましても、財源的処置をどこに求めるかということで、従来百二十億ぐらいでありましたのを本年は八十億ふやして二百億の農林漁業金融資金というものを政府資金として出すことにいたしました。これらがしつかりと活用できるように、実はその農業協同組合の受入態勢と相待つてこの金を動かして行きたいと思う。不幸にしてその金が出すことは出しますがなかなか完全に消化されないような状況にあつたわけであります。こういう面からもう一つつて行く。それから私は、他の御質問に出ているかと思うが、その農業生産資材に対する処置を講じて行かなければならんと思う。肥料、農機具等の問題について十分の処置を並行してやつて行きたいと考えております。
  59. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 只今農業協同組合の内容の充実というお話がございましたから、これに関係して更に農林漁業協同組合再建整備補助費として本省関係において七億七千三百九十六万二千円、水産庁関係において一億一千八十六万八千円計上されております。御承知のごとく再建整備の補助を支出して育成に当りつつありますが、実際はますます再建整備をしなければならない一途をたどりつつありますということは、農村漁村の組合の組織の上において欠陥がございます。敗戰後官庁命令によつて組織替えをいたしました農業図体には幾多の無理が残されておりまして、経済方面の十分なる活動ができて收入の確実なるものは次第に内容が整つて堅実に発展して来ましたが、指導面を抱えて支出が多く、特別なる援助のない組合は経営困難に陥ります、再建整備も思うように成績が上らないりであります。この際農地改革によつてますます零細化した農村漁村に対しましては、農家安定政策を常に主体としておとりになる政府とし、又只今は農来協同組合に融資をしてその内容を堅実にするという御答弁の建前からいたしまして、この際立体的経営指導を強力に主張するといたしまして、協同組合の指導面強化に対し政府の新たなる助成政策か、或いは政府がこれに対して、指導面に対する特に何かの構想がありますか承りたいと思います。
  60. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) お尋ねの趣旨はよくわかりますが、これは戰前におけるがごとき、政府が指導権を持つて導くという行き方は今日はあまり歓迎されないのであります。強権力を以て指導するという形よりは、むしろ協円組合の整備計画等に出した助成金等を通じて、組合の自覚による協同組合の育成ということが私は必要だと思うのであります。もとより組合の関係におきましては全国指導組合連合会というものがありまして、これが質的に組合の総合指導に当つておるものと思います。政府といたしましてもこういう方面と連絡はいたして事実上の勧告あたりはいたしましよう。昔のように政府は監督権を持つて指導して行くという形はとりたくないと思います。
  61. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 池田君、大蔵大臣がお出になりました。
  62. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 大蔵大臣の御説明の中に、我が国の経済力の増強のため主要支出としては食糧の増産に重点を置いておりますと、これは誠に適切なるものと思います。而して公共事業費の前年度と比較して増額を見ましたことは政府の努力を多とし敬意を表するものでありますが、災害復旧事業費を見まするときに過年度の残事業が約二千二百億あります。そのうち国が千五百億支出いたすこととなつております。二十七年度は特に災害復旧事業費を増額してその三〇%を復旧する計画があるとの説明でありました。残りの七〇%は今後何年間に完成するお見込がありますか。地方災害地を視察してみますと、農家のかたがたが無理な借入金をして耕地の復旧をなして増産に努めているのを見受けるのであります。然るに二、三年もたちまして、今日まで掛声のみで未だ援助費を支給されておりません。借金の利子だけ支拂うのにもなかなか苦しい様子を見るのであります。政府は速かにこの問題を解決いたされたいとの声を聞くのであります。大臣は残余の復旧費助成につきまして如何なる方策を計画しておりますか、大臣に承わりたいと思います。
  63. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 一般公共事業費につきましては、お話通り昭和二十七年度には相当増額をいたし、災害復旧につきましても、従来は災害の起りました年には大体一二%程度の復旧費しか見ていなかつたのであります。キティ台風のときには一七%、ルース台風のときには大体二五%の当年度復旧計画で増額いたしましてやつておるのであります。お話通りに過年度災害というものは相当多額に上つておるのであります。災害の復旧が終らないうちに災害が起る。そういうようなものを累計いたしますと二千億近くに相成るのでありまするが、建設省におきまして過年度の災害を十分精査し、昭和二十七年度から三カ年計画で復旧する。従来の四年乃至五年計画を三年に縮めまして復旧することに方針を決定いたしましたので、今後におきましては災害の復旧は相当はかどるものと思います。
  64. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 池田君、食糧庁長官も見えておりますから。
  65. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 もうあと二つ三つで。肥料対策についてちよつと聞きたいと思います。最近農家の経営の上において痛切に感ずるものは、肥料供給の適切なる二とを欠くことであります。地方によつては春の施肥を前にして入手に困難を来たしている市町村も見受けるのであります。農産物の販売価格と肥料価格を比較するときに、一層の感を深うするものであります。今年一月の共同通信委託調査の統計をみますと、一〇〇%の数字を基準としますならば、食糧の一三六・四%に対して農家の購入する生産財は一七一・九%肥料に見まするに、硫安は一五三%、石灰窒素は一七六・五%、過燐酸は二二〇・四%という数字を出しております。農家の経営はこの見地から考えますと次第に困難に陷りつつありますと申さなければなりません。而も特に必要なときに入手できないということは、生産面から見まするならば、政府の意図する増産計画から考えまして誠に当を得ないような結果に陷ることを恐れるものであります。政府の肥料管理につきましてはまちまちであるという点を考えなければならないと思います。今回の行政機構の改革に際しまして、国民の実際に役立つ増産目標を達成する方途に最も必要な肥料は、農林省主管又は専管にして統一するのが適当であると考えるのであります。而して又肥料の価格におきましても、常に農産物の販先価格と均整のとれるような方法を以て取扱わなければならないと信じます。この点につきまして、行政機構の改革に当つて肥料を農林省主管或いは専管といたしまして、実際肥料におきましては、気候、風土、土地その他によりまして、或いは硫安の必要な所もあり、或いは石灰窒素の必要な所もあり、或いは化学肥料と有機質肥料との共同施肥によらなければ増産の達成はできないという所もあります。かような見地に対して肥料行政の一貫を計る考えがあるかどうか。この点を一つ安本長官でも、或いは農林関係或いは通産大臣からでも一つ明快なる答弁を得たいと思います。
  66. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) お答えいたします。肥料の農家経営に及ぼす重大性から考えて、一挙に肥料行政を單一化して農林省に移したらという御意見であります。御意見は十分に尊重いたしまして機構改革のときに研究いたしたいと思います。ただ肥料の問題に関しては、今のあとの御直間でありますが、農林省に制度が統一されれば合理的に整備ができるような御意見でありますが、これは別途の立場において農業指導の面において適期適肥ということの立場から指導すべき問題だと思います。それから今日におきましては、昨年からの電力危機のためにかなり、二十七肥料年度と申しますか、昨年の七月一日から今年の六月末日までの当てる肥料の数量の心配があります。ところが幸いに一月以降における豊水期等の関係で、又危機等における火力電力の対策が適当でありましたために、今日は恐らく六月三十日までに二十七肥料年度における肥料の予定生産量を十分に充して、増産計画十五万トンの硫安の増産も可能であるような状況でありまして、肥料の数量においての心配はございませんようであります。価格につきましてはお話のように成る程度御心配の点は尤もでありますが、これにつきましてもかなり先高見越といいますか、電力の異常な減退、昨年秋における状態からいたしまして生産が落ちるであろうという立場から先高見越、先物数量不足というところから大分買集めた傾向があります。そういう点から上つたようなところもあります。先ほど申上げましたような電気事情のために生産を取戻しております。最近は肥料は横ばい若しくは値下りの状況である、殊に硫安、過燐酸については心配はない数量である。そういう状況でありますのでこれ以上の値上りは先ず今日のところないと思いまするし、春肥については十分の手当ができております。
  67. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 只今安本長官から肥料対策について、又見通しについての御説明がありましたが、通産大臣にお伺いしたいことは、二十日の新聞紙を見ましたときにおいて、政府は台湾向けとして硫安三万五千トン……。
  68. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 池田君、通産大臣は今ちよつと来ておりませんが。
  69. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 いませんか。それじや安本長官なら同じことでございますから、留保しておきましよう。  次に行政機構改革に伴う農林関係において、或いは林野庁、畜産、蚕糸局の合併等の問題が地方に伝わりまして、関係の地方職員並びに関係団体等には未だ職員が不安で、どうなるのだと言つて日常その職務に対しましてしつかり執務ができないような状態であります。この際農林関係におきましての行政改革において、これらの不安が伴うかどうかというようなことが明かにされる上においては、その日常業務に対して一層精励の誠を得る二とができるだろうと思いまして、主管大臣から若しできたらこの点を明かにされたいと思います。
  70. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今行政機構の改革につきましては検討いたしておりまするが、お話の畜産局と蚕糸局を一緒にするということは考えておりません。又林野庁につきましては庁として外局になつておりますが、これを内局のほうにしようという考え方が強いようであります。そういう状況に相成つております。
  71. 和田博雄

    委員長和田博雄君) もうよろしうございますか。
  72. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 大体結構です。
  73. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は主として教育に関係した問題についてお尋ねをいたしたいとかように考えているのでありまするが、その前に大蔵大臣に二、三の問題についてお伺いをいたします。  その一つの問題ま対日援助費の問題でありますが、大蔵大臣はしばしばこれは債務と心得ているということを言われているのでありまするが、本年度の予算におきましては平和回復善後処理費として百十億円組まれております。この中には賠償その他の費用も含まれている。こういう説明でありまして、その中に若干の対日援助費に対する返済の費用が含まれているような説明でありまするが、この問題は果して債務として返済する義務があるかどうかということは、この際明確にしておく必要があろうと思うのですが、この問題につきましてアメリカのほうで何らかの意思表示が今日までに行われているかどうか、こういう点についてお伺いしたいのであります。
  74. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) この問題は今国会におきましても、又先の国会、その前の国会におきましてもたびたび議論になつたところであります。アメリカ側の意思表示といたしましては正式にはマツカーサー元帥が三年ほど前に言つておられます。これは日本にくれたのではないということを言つておきます。私はその後アメリカの当局者との話におきまして、これを拂う準備は必要であるということは聞いております。而うして又外国の例を見ましてもイタリアにおきましてはこれは全部免除になりましたが、最近ドイツとアメリカ、又ドイツとフランス、イギリスとの関係を見ましても私は、西ドイツは支拂義務を確認し、而も又金額も決定した、こういう状況から見まして日本といたしましては対日援助は債務と心得る。今後の折衝で債務と確定いたしましたならば議会の協賛、議会の御審議を得たいと、こういう今心積りで進んでおります。
  75. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この問題は会7日までに対日援助として出された金額は相当多額に上つているわけであります。でこの問題を債務として返済するかどうかということを明確にしておく必要は、今後の日本の財政計画を立てる上からいつても非常に重要な問題であるというふうに考えるわけであります。特に講和條約の発効も近いと言われております。従つて独立後これが返済の義務の如何、その額はどの程度か、こういう問題については今のうちに明らかにしておく必要があると思うのです。先ほど大蔵大臣の説明ではアメリカ側としても支拂う準備の必要はあると、こういうふうに言つているということでありますが、これがアメリカ政府の公式な見解であるかどうか。そしてこのことを日本に要求して来ているのかどうか。そういう点についてもう少し明確にお伺いしたいと思います。
  76. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) アメリカ側と私との話は非公式な会談で、向うの意見であります。正式に支拂うべしという要求はまだ来ておりません。この問題は外債のように債務の確定したものではございませんが、日本が援助を受けておりますので、我々は先ほど来申上げておりますように債務と心得て、そうして向うの話がありましたならばそれをどの程度どういうふうな方法で拂うかということにつきましては自分自身としては検討を加えておりますが、まだ皆さまがたに御披露申上げる段階に至つておりません。
  77. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そういたしますと、この問題についてはつきりする時期は大体講和発効以前においてはつきりすると、こういうふうに了承して差支えないでしようか。
  78. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 講和の効力発効はごく最近でございます。私はそれまでにそういう幾ら幾ら支拂うべしという話はないと実は想像しております。講和成立後におきましてのことになると思います。
  79. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 その次に賠償の問題でありますが、昨日も吉田君からこの問題についていろいろお尋ねしたわけでありまするが、本年度の予算においては大体平和回復善後処理費の百十億円の中に賠償費として計上されている。これは私ども考えましても非常に額が少いように思うのですが、大体賠償についてはどういう見通しを立てておられるのか。その辺の見通しについて先ずお伺いしたいと思います。
  80. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 平和回復善後処理費は昭和二十七年度百十億円、これに加うるに昭和二十六年度の平和回復善後処理費百億円があります。合計二百十億円を予定いたしているのであります。で私は賠償のことは平和條約第十五條の精神によつてやるべきでございましていろいろなことが新聞に載つておりまするが、あくまで平和條約第十五條の精神に基き賠償要求国と共存共栄、隣保協力、この精神でやつて行きたいと思つております。而して大蔵大臣として賠償の分はこのくらいの金額を予定しておりますということは只今申上げないほうがいいと思います。
  81. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この賠償の問題については日本側としても誠意を以て当らなければならないということは当然であると思うのですが、一方日本経済の自立という点から考えておのずからそこに制約があると思うのです。こういう経済自立というような立場から考えれば、大体日本が賠償し得る限度というものはおのずから明らかになつて来るのじやないかと思うのです。こういう点を明確にしないで賠償の問題を交渉をしてもそれは円滑に進まないのじやないかということを考えるわけでありますが、そういう点からいつて日本経済自立をそこのわない範囲内において、而も誠意を以てこの賠償の問題を解決する、こういうことであれば大体日本経済力としてどの程度の賠償が可能であるか、こういう基本的な立場というものを明確にしておく必要があるのじやないか。このことが却つて賠償問題を円滑に解決して行く最も近い道になるのじやないかというふうに考えますので、これは日本経済自立の上から見て、賠償能力というものをどの程度考えておるのかということは、私は発表しても何ら差支えのない問題であるというふうに考えるのでありまするが、こういう点についてどういう所見を持つておられるか、お伺いしたい。
  82. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 平和條約第十五條に載つておりますように、今日本といたしましては、金銭賠償はできない、賠償は日本経済力維持、存立可能な範囲内で行われる、こういうことになる、これが第一です。而も存立可能な範囲内で行われるにいたしましても、他の外債とか、或いは対日援助、こういう日本の債務に影響があつてはいかん、こういう條件もついておるのであります。従いまして、二百十億を予定いたしておりまするが、賠償を拂うために外債の支拂いに非常な影響があつたり、対日援助に影響があつてはいかん、こういう條件になつておりますので、この一応の額がきまりましても、この三つのアジャストにはかなり問題があるのでございます。而して又一国との賠償がきまりましても、賠償要求国はフィリピンのみならず、インドネシア、或いはビルマ、その他相当あるのであります。一国できまりましても、他の国がどういう要求をするかもわかりませんので、今ここで賠償はこれだけしか抑えん、こういうふうなことを今きめるわけには行かんと思います。又、日本経済力が伸びて行けば、これは事柄は違いますが、賠償と東南アジア開発への援助、事柄はごつちやにしちやいけませんけれども、そういつたようないろいろな関係もございますので、私は日本が誠意を持つて当る、勿論他の要求国におかれても日本の実情を十分お考え頂きまして、両者誠意で解決して行けばそうむずかしいことではないと考える。ただこちらからこれだけしか抑えませんと言うことは、これは先方の気持もあることでございまするから、こちらからこれだけの額ということを言うべきじやないと思います。
  83. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 賠償の問題は、今後の善隣関係を維持して行く、或いは回復して行くという点から言つて極めて重要な問題であろうと思うのです。そういう立場からどうしてもこの問題の早急な解決を図つて行くということは極めて重要な問題であると思う。こういう問題については日本経済事情その他から率直に日本の実情を訴えて、十分相手国の理解を深めてこの進捗を図らなければならない、こういうふうに考えておるわけであります。そういう点から言つて、私はやはり日本経済財政の事情を勘案して、その上に立つて十分相手を理解する、理解させる、こういうような方途を立てなければならん。こういうふうに考えておるわけなんです。そういう意味から言つて、ただ交渉をするというだけではうまく行かないじやないかということを感ずるわけであります。それはまあ多少意見にもなりますが、その次の問題といたしましては、講和條約が発効いたしまして、日本が独立国になる、その際に外国軍隊が日本に駐留するのは先ずアメリカ一国と私は考えられるのですが、併し事情によつてはその他の国も日本に駐留することがあり得るのじやないかというふうなことを考えますが、この問題については政府のほうではどういうふうにお考えになつているか。これは大蔵大臣にお尋ねするのはどうかと思うのですが、この問題はいわゆる便宜供與の問題とも関係をいたしますので、お差支えなければ大蔵大臣からお答えを願いたい。
  84. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 日本に他国の軍隊が駐留するということは重大問題であります。安全保障條約によりまして、米軍は駐留することになつておりまするが、その他の軍隊は日本に駐留することはないと確信いたしております。ただ問題は、平和條約成立後九十日間は従来の連合軍はおれることになつております。その範囲内においてはおるでありましよう。私は今日本政府は、米軍と同様に他の国の軍隊が駐留するということは政府として考えておりません。
  85. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでは朝鮮問題が解決しないという場合に、現に朝鮮の事変においてアメリカ以外のかなり多数の国の軍隊が朝鮮で行動しておるわけです。これらの軍隊は日本にその基地を求める場合があり得ると思うのですが、そういう場合に駐留という言葉の解釈は別といたしまして、アメリカの軍隊以外の軍隊が日本に一時的にもせよ駐屯する、或いは現にその軍隊が日本の土地におるということは私は或いはあるじやないか、こういうふうに考えるのですが、そういうことは全然ないと、こういうふうに承知して差支がない問題であるか。
  86. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 御想像はお任かせいたしますが、他国の軍隊が日本に駐留するということは大問題であります。これは條約よりほかにないのであります。安全保障條約の前文の国連にできるだけ協力するということは、私はアメリカ以外の国の軍隊が日本に駐留することを意味しておる言葉ではないと思います。従いまして、私といたしまして、若し軍隊が駐留する、或いはいろいろな行動をとる場合において、これは国際條約によつてきめなければならん、今のところはそういうことはないと私は考えております。
  87. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 勿論アメリカ以外の軍隊が一時的にもせよ日本に駐留するという場合には、当然国会の承認を得なければならん重大な問題であるということは私が言うまでもないと思います。併し、現に朝鮮において国連軍が行動をしておる、これらの軍隊は現に日本に基地を持つておるわけです。そういたしますと、講和條約が発効し、なお朝鮮問題が解決しない場合は、アメリカ軍隊以外のこれらの諸外国の軍隊で現に日本に基地を持つておる軍隊は一切日本からは撤退する、こういうふうに考えて差支えないものかどうか、お伺いいたします。
  88. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 平和條約にある通りでございます。又今までお答えした通りであります。
  89. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでは明確でないと思いますので、一切日本からは撤退すると、こういうふうに解釈して差支えないでしような。
  90. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 平和條約から言つて、それは当然のことであります。九十日間はおれる。九十日以上はおれない。これは当然のことでございます。
  91. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この問題については、これらの国連軍に対しては、日本は何らかの便宜を與える、こういうことが平和條約にあるわけです。この便宜供與というのはどういう範囲を指すのか、お伺いしたい。
  92. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) その範囲につきましては、外務大臣お話になることでございまするが、財政的に便宜供與についてこういうふうな金を用意しておるというのは一文もございません。
  93. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それではその次の問題といたしまして、安全保障費の問題でありますが、この内容から見ますと、大体その五百六十億円の大多数の金は或いは警察予備隊、或いは海上保安隊の費用、或いはアメリカの駐屯軍の費用、こういうふうに分類される内容を持つておると、こういうふうに考えるのでありますが、そういたしますと、ここに一つの項目を設けないで、それらのそれぞれの所属する費目に当然計上されて然るべきであると考えるのでありますが、その点別にせられた理由、それをお伺いしたい。
  94. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは予算の説明書に書いてあります通り、又ここで御説明申上げた通り、主たる費用はアメリカの駐留軍が都会地より田舎の方面に移転します費用が主たるものでございまするが、中には海上保安庁の強化の問題、或いは治安機構強化のための経費等を含んでおります。今後の情勢によりまして、海上保安庁或いは治安機構のほうへも廻し得る含みを予算総則に書いておきました。今後の情勢によりまして支出をして行こう、こういうのでございます。
  95. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そういたしますと、この安全保障費というのは駐留軍の負担金であると、こういうふうに解釈しても差支えないわけですか。
  96. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 駐留軍の負担金と申しまするか、とにかく今都会地におる米軍をよそへ移つてもらう、で、移つてもらうために我々はこれだけの金を準備しておる、こういうのでございます。駐留軍の費用につきましては、防衛支出金としての六百五十億円を計上しておるのでございます。
  97. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そういたしますと、安全保障費の性格というのは一時的なものであつて本年度限りのものである、こういうふうに解釈されますが、そう解釈して差支えないわけですか。
  98. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) この問題も従来からお答えいたしておるのでございまするが、主たる経費が駐留軍を都会地から出てもらつてそうして大体よそへ移つたり何かする費用でございまするから、二十八年度にも二十九年度にもこういう金が続くとは思つておりません。それでは二十八年度は全然ないかと申しましても、これは移動の時期その他によつて違うことでございますが、大体私は安全保障諸費というものは、二十七年度が最も多く、二十八年度からは相当減つて来ると考えております。
  99. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それではこれは大蔵大臣にも関係があるのですが、主として教育上の問題について若干の質問をしたいと思います。大蔵大臣は六三建築については本年度を以て一応完了したとこういうふうな説明をされておるわけであります。ところが私どもの持つておる資料からいたしますと、なお相当教室を建築するのが残つておるというふうになつておるのでありますが、特に私どもの資料と申しますのは、文部省から提出された資料によりますと、六三建築はなお十五万坪は建てなければならん、こういうことになつておるわけです。大蔵大臣の説明では一応完了したと、こういうふうになつておりますが、その食い違いですね、なぜこういうふうな結果になつておるのか、そういう点をお伺いしたいと思います。
  100. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は、一応完了したという言葉でも御了承願え得るように、昭和二十四年度におきまして、六三制実施についての校舎の建築は一応の計画があるのであります。一人当り〇・七坪という計算で三年計画昭和二十七年度におきましてそれで一応完了する、ただ二十四年の計画をいたしました後におきまして、兒童数の増加、移動等によりましてこれを補正、是正しなければならん点があるのであります。この分は昭和二十七年度では困りますから、一応当初の計画を完了して後に考えましよう、こう言つております。従いまして、今のお話の点、十五万坪かどうか正確には覚えておりませんが、この分につきましては昭和二十八年度において考慮してもいいじやないか、こういう問題であるのであります。
  101. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 文部大臣見えましたから……。
  102. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 只今大蔵大臣の説明で事情は明確になつたのであります。なお六三建築は残つているということが明確になればいいのでありますこの六三建築と並んで重要な問題はいわゆる小学校その他の施設の整備の問題であります。これは六三建築の重要性と並んで遜色のない重要な問題であると思うのです。その二、三を挙げますると、一つには老朽校舎の問題があります。これはすでに建築以来四十年、五十年を経過して現に非常に老朽の域に達しておる、而もこれを使用することは危険である、こういう状態に達しておる校舎が相当数に上つておる。これは文部省の調査によりましても四十万坪は使用を禁止すべき程度に達しておる、こういう説明でありました。それからその他に寒冷積雪地帶の屋内体操場の問題であります。これは私はこの冬に北陸地方を視察いたしましたが、大体一年の半分は雪が降つておる、こういう関係で屋外の運動場を使うことができない。こういうところでは屋内体操場は非常に必要な施設となつておるのであります。ところがそういう施設についても完備といいますか、こういう施設を持つておらない所が非常に多いわけであります。その他、戰災都市における戰災を受けた校舎の復旧、こういうものはなかなか整備されておらない。こういうふうに考えて参りますと、六三建築以外の教育施設の整備ということは非常に緊急性を持つた問題であると私は考えておるわけであります。これらの復旧についてこれを地方の自治体に任すということでは到底なし得ない実情にあると思うのであります。どうしてもこれらの復旧については国庫の補助を必要とする。でなければ到底復旧し得ない事情にあるのではないかというふうに考えておるのですが、この点について文部大臣はどういうふうな所見を持つておられるのか、お伺いしたいと思います。
  103. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) それは私どもも非常に苦慮しておる問題でございます。でありますからして何とかここに新らしい一つ考えを出して、金庫とか、こういうような考えを出すとか、そういうようなことによつて解決したいと思つて、今その方法を非常に考えておるところでございますが、義務教育費国庫負担法を考えるのも又それと関係を持つて考えておるわけであります。
  104. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは私が聞いておるところでは、二十七年度の予算編成に当つて大蔵省に対してかなりの要求があつたということを聞いておるのですが、ところが大蔵省側ではこれらの要求を全部削減したというふうに聞いておるのですが、これは予算編成の途上の問題であつて、今ここでお尋ねすることは適当であるかどうか私はわかりませんが、大体私はこれで大蔵大臣に対する質問を打切るわけなのですが、教育費に対する理解が私は少いと思う。こういうふうに非常に緊急差追つて施設の整備をする必要があるというのに、本年度の予算の上においてこれが計上されておらないということは、私は教育に対する理解がないのか、更に言えば私はこの問題についてはやはり日本の再軍備のために非常に多額の金が割かれておる。そのために教育費がこうして削られて行くのだ、こういうふうに解釈しておるわけなんですが、大蔵大臣はこれについてどういう考えで教育の問題を処理されておるか、お伺いしたいと思います。
  105. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 再軍備ではなしに、防衛力強化の問題でも総理大臣はこの席上で千八百二十億円は最小限度だ、こう言われましたが、私は最大限度だ、適正な金額だ、こう言つておるわけであります。大蔵大臣はあらゆることに皆理解がないといつて叱られるのでありますが、これはやはり国民の金を預つておる以上は要求通り出せません。そこで教育の問題につきましても、私は日本の教育費はほかの国に比べてそう少いとは思つていない。而も又昭和二十五年、六年、七年と、こうずつと経過を御覧になりますと、私は今まで昔の大蔵大臣よりも相当教育費には出しておるつもりでおります。これは統計的に御覧下されば、私は文部大臣のおつしやることは殆んど全部今まで聞いておるのであります。従いまして理解がないというお叱りはこれはいたし方ないかも知れませんが、自分としては文教には相当力を入れておるつもりであります。そこで今お話になりました雨天体操場の問題も今度の予算に或る程度入れておりますが、併し老朽の小学校校舎を今までの方針を変えて政府が補助する、補助金を出すということにつきましては、大蔵大臣としては只今のところ反対でございます。やはり六三制は特殊の事情で出しましたが、普通の小学校の老朽校舎の改築を国庫で金を出せというのだつたら、私は只今のところまつぴらとお断りをせざるを得ません。併しお話通りに全国相当に老朽の校舎がありまして立入禁止をしておる、我々も身を以て知つておるのであります。そこを何としても建て直さなければならんというので、この点は起債その他で十分我々としては面倒を見よう、御援助申上げよう、こういう考え方をいたしております。
  106. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 教育に非常に理解があつて十分金を出しておる、こういうお話でありましたが、本年度の教育予算を見ましても、そういうふうには考えられないのであります。で、一つの例を挙げましても、大体本年度の予算というのは、二十六年度の当初予算に比べて大体三〇%の予算増を示しておるわけなんです。ところが文教予算については多少名目的には増加せられております。併しこれは教職員の給與とか、或いは單価の値上りというようなものも十分に見込まれるだけには達していないというような実情であつて、教育費が非常に考えられておるのだということは私は言えないと思う。屋外体操場の問題についても相当な予算を組んでおるということでありますが、僅かに九千万円であります。これでは大体日本の半分近い地域が寒冷積雪地帶としてあるわけなんです。それに九千万円程度の雨天体操場の予算を組むというだけでは九牛の一毛にも私は足らないと思うのです。それから老朽校舎についてはこれは十分お考えを私は願いたい。この問題については国庫が補助をしてその復旧を図るということは反対だという、私は甚だ意に満たないものがあります。と申しますのは、この老朽校舎というものは普通の状態において私はできたのではないと思います。長い間戦争が続いて、そうして殆んど修理もされておらない。戦争が終つてからも六一二建築その他のほうに手が廻り、そのほうに手が取られて、いわゆるその他の校舎については殆んど手がつけられておらない、それが非常に積り積つて今日では多数の老朽校舎が出ておるわけなんです。これを自治体が自分の力で復旧する、軍に起債だけでこれを復旧するということは到底私はなし得ないことだと思う。こういう特別な事情考えるとき、どうしても国庫が或る程度のやはり補助をするという考え方が教育に理解のある考え方ではないかというふうに思うわけであります。これは多少意見になりますが、この点は十分考え直して頂きたいということを要望しておきたいと思います。  その次に育英資金の問題と、これに関連をいたしまして授業料の値上げの問題であります。文部大臣は従来とも育英制度の拡充については非常に熱意を持つてつている。こういうので逐年育英資金の増加は見ております。併し生徒に対する育英資金の一人当りの單価というものは何ら改善されておらない。昨年から本年にかけてかなりの物価騰貴を来して、学生の負担も相当嵩んでおる実情であります。従つて現在行なつておるように大学生に対して大体千九百円、それから高等学校の生徒に対して五百円、この單価を上げる必要があるというふうに考えるわけなんであります。若しこれが予算の上から困難であれば、私は授業料をこの際上げるべきでないと考えるのであります。育英資金の單価を据え置きにしておいて、一方では学生からの授業料を大幅に引上げる、これは三千六百円の授業料を六千円に引上げるというのですから、非常に私は大幅な引上げになると思う。こういうことは考え方が一貫していない、こういうふうに考えるのでありまするが、授業料値上に対して文部大臣はどういうお考えでこういう措置をとられておるのか、お伺いしたい。
  107. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 授業料は成るほど倍近くになりますけれども一般考えから言えば、今六千円というのは或る人たちに対しては大変お気の毒ですけれども、併し一般に言えば決して高いとは言えないと思うのです。これはもう六千円にするということが私は多いとは考えません。又一方において育英資金についてはいつもこういう二つの原理があるのです。深く狭くやるか、或いは広く浅くやるか、これは非常にむずかしいことなんです。だからしてそれをどの程度にやるかということがいつも問題なんですが、私はどつちかと言えば、これは人を殖やして行くほうがいいのではないか、据え置くということは残念ですけれども、人を殖やすほうがいいのではないかという考えで人を二万人ぐらい殖やしたわけでございます。従つてその月々の額は据え置いたわけであります。
  108. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 労働大臣も岡野国務相も来ておられますから……あなたの御要求の大臣出ておられますから……。
  109. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今の文部大臣の説明は人数を殖やしたという説明が行われましたが、これは私は疑問に思うのです。来年はいわゆる大学の四年制が完成する年であつて、その分だけ殖えたのだと、こういうふうに理解しておるわけであります。従つて今まで大学が三年生までしかなかつたのが来年度から四年生ができる。こういうことによつて学生の自然増加による当然の増加であるというふうに考えておるわけなんであります。これは育英資金を受ける学生の範囲を拡張した、こういうことにはならないと思うのですが……
  110. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) その通りでございます。けれどもそういうような拡張が自然的になされなければならない、そのほかにも少しは殖やしておりますが、なされなければならない場合はやはり單価を上げて行くということはできないから、單価は元の通りにしてあるわけであります。
  111. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 学生の授業料については六千円程度は極めて普通である。こういうふうな御見解のようでありまするが、これは現状において学生の七割乃至八割程度がアルバイトを要望しておるのです。こういう実情から言つて、これは普通の学生にとつては相当な負担過重になる、こういう点は私どもとしてはどうしても賛意を表することがきないのでありますが、いろいろ問題がありますので、この程度にとどめておきます。  次に簡單にお伺いしておきたいのですが、学校給食の問題でございますが、これは昨年度は一切の材料費というものをとにもかくにも国の負担で支出しておつたのであります。ところがこれを今度は僅かに二十五億円程度のいわゆる小麦の材料費だけを政府でやつておる、こういうことになれば、父兄の負担というものは相当増加すると思われるのです。今日でも給食費が高いというので困つておる家庭も相当あるように聞いております。それがなお来年度に至りましては五割程度も給食費が値上りをするということになれば、單に家庭の負担が殖えるというばかりでなしに、円滑な給食は行われにくいのではないかというふうに思われますが、この点については文部大臣はどういうふうにお考えになつているかをお聞きしたいと思います。
  112. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 大学の月謝のことをちよつと申しますが、私は今も申したように個人々々に対しては非常にお気の毒な人があると言つたのです。けれども全般の私立学校の月謝とか或いはその他の物価とかということを考えると、年六千円ということはいたし方がない。こう申したのであります。  給食については月々百二十円くらい殖えることになるのは非常に私も残念だと思いますが、併し今のところそうしてやるよりほかにいたす途がないから、よんどころなくこういう処置に出たわけでございます。そうでなければ続けることが到底できないために、よんどころなくこういう処置に出たわけでございます。なお申すまでもなく、これは学校給食ということを強制するわけでも何でもございませんから、若し事情止むを得ない所ではこれはやらないということになるわけです。どうも事情いたし方がないと思います。
  113. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この学校給食は私は児童に與える心理的影響も考慮する必要があると思います。これは占領下にあればただでもらえた、ところが独立をすれば早速金が要るんだ、こういう印象は独立後の政策としてやはり考えられなければならん問題があると思うのです。この対象がいわゆる被教育者である児童であるという点から考えて、国家予算から言つて何ほどの額でもないと思うのです。そういう点でこの金が出ないということは私どもには了解しがたいのです。一方では二千億に上る防衛費を出して、そうして僅かに七十億くらい更に予算をとれば完全にできるというこういう僅少な予算を犠牲にするということは、私先ほども申上げましたように、これはやはり教育に対する理解、愛情というものが薄い、こういうふうに判断せざるを得ないと思うのですが、どういうふうにお考えになつておりますか。
  114. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 学校給食の重要性ということについては、私も十分認識しておるつもりでございますが、併しいろいろの響からこうするよりいたし方なかつたと私としては申すよりほかに仕方がないと思うのであります。
  115. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 次の問題は義務教育費国庫負担の問題に関連をいたしまして、私は最近の新聞で承知をいたしたのでありまするが、この問題について文部大臣考え方と岡野国務大臣考え方とにかなりの相違があるというふうに見たのでありますが、この点文部大臣は従来から、義務教育は何がしかを国庫において負担をして、そうして教育財政の確立を図つて行かなければならん、こういう意見をしばしば述べておられるわけなんです。これに対しまして岡野国務大臣の見解はどういう点が違つておるのか、これを私は岡野国務大臣からお伺いしたいと思います。
  116. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上けます。先ず第一に私の立場を御了承願うことを申上げますが、私は地方自治の番犬でございます。日本の民主化と申しますことは、先ず地方の自治が確立するということがこれが一番大事なことだと私は考えておる次第であります。その観点からいたしまして、只今の平衡交付金制度と申しますものは、地方に財政的のいわゆる自主性を持たせた、こういうことで実は組立てられておるわけであります。すでに御承知でもございましようが、中央集権時代には三百六十幾種の国庫負担金とか国庫支出金とかいうふうに国から地方に金を出しておつたわけでございます。併しながら地方に対して財政的の自主性を與える、即ち地方行政を自主独立の立場から行なつて行くというためには、中央から指図をしたり干渉をしたりするようなことは成るべく避けたい。併しながらそれを避ける点におきまして、国家がこういう行政を地方でやらなければならない、こういうことがありますならば、それは地方の税収で足りない場合には国庫が足し前をしてそうしてやる。その意味におきまして、警察とか消防とか教育とかいうようなことは、国家として非常に大事なことでございますから、そういう方面について十分地方に財源を與える、併し地方の財源がそれで足りなければそれに併せまして、平衡交付金として幾ら幾らくらい、その地方団体では幾ら幾ら要るだろうという算入をしまして、それに併せて金を出して地方に委託します。併しながらこれをやります場合に、丁度私が学生の子供を持つておるとしますると、子供が靴が要るから靴代をくれと言つたからそれじや靴代を幾らやる、下宿料が要ると言うから下宿料を幾らやろう、月謝に幾ら要るから月謝を幾らやる、まあ親交としては、まだ子供でございますから十分監督しなければなりませんので、その靴代の請求書並びに受取書も見なければならんし、又下宿料もちやんとはつきりやらなければならんということでございます。併しながら一人前の人間になつてつて行く、併し月給だけではまだ足りないからやはり親父が少し補助してやらなければならんという場合、月給ではこれこれの生活はやつて行けない、それにはやはり足し前をして行く。足し前にはどのくらい……それは交際費はどのくらい要るだろうとか、娯楽費にどのくらい要るだろうとか、奥さんの化粧代に幾らくらい要るだろうということを大体親父が勘定しましてそうしてやりますが、併しこれは学生みたいに子供ではございませんから、一人前の者になつたのでございますから、それだけの勘定はしてやりますけれども、併しこれは自由に使つたらいいのである。そうしますというと、子供のほうにおきましては、娯楽費とか化粧代だとかいうものがありましても、細君が病気になれば病気の費用にそれを使う、自由自在に使つてよろしい、こういうことになるわけでございます。私といたしましては、三百六十もあつたところの国庫負担金とか又補助金というようなものを整理しまして、そうして三百くらいを全部抹消しまして、そうしてそれを平衡交付金に代えて、それを地方に対して国庫の金を渡してやる、そういうようになつておるので、地方の自治行政が自主性を以て独立して行ける、こういうことになる、という財政的の見地でございます。その点におきまして、私は教育に限らず、ほかの国家からやつてもらいたいというような仕事に対して算入して渡しておる金を一々紐付きにして、又元の中央集権的の行政に立ち帰るということには主義として賛成がいたしかねる。無論私は文部省でいろいろお考えになつている……教育というものは国家の非常な重大な行政である、それに対して熱心にこの教育が十分できて行くようにというような御趣旨でいろいろお考えになつておることに対しては敬意を表しまするし、同時にこれはいいことだと、こう思いまするけれども私の立場から申しますれば、平衡交付金ができました趣旨から行きまして、若し根本的に平衡交付金というものに検討を加え、そうして地方の自主性を失わないように、同時に何とかできることがあればそれは検討してもよろしいけれども只今つておりますような立場におきましては、私の考えといたしましては、先ず地方の自治の番犬といたしまして、地方平衡交付金法の趣旨をいつまでも尊重して行きたいと、こう考えておる次第でございます。
  117. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この問題は地方自治とも関係のある問題でありますので、相当愼重な検討が必要であるということは言うまでもないと思います。ただ併し義務教育に対しまして国家が財政的な援助をする、負担をすると、こういうことが地方自治を侵害する、或いは中央集権的になると、こういうふうに解釈することは私は行き過ぎではないかというふうに考えておるわけであります。特に平衡交付金の制度というのは、まだ実施されてから二年余りしかたつておらないのであります。それ以前は教育費については半額国庫負担という制度があつたわけであります。その当時から平衡交付金制度になつた今日の実情を見るとき、やはり非常にいろいろの欠陷がそこに生れ来ておるわけなんです。例えば教育費か他の費目に圧迫されておる、或いは教育費が衛生とか或いは土木とかそういうような費用のために圧迫されて、財政基準額に計上されている費用さえ使われていないというような実情もあります。又私が持つている資料によりますと、教職員の待遇一つにいたしましても、自治体の財政的な事情によつて非常な差ができて来ている。例えば現在公務員の給與ペースは一万六十円と聞いておりますが、その本俸は大体八千五十円くらいになると思うのです。その八千五十円というのが公務員のいわゆる本俸の大体基準になつているわけです。ところがこれを実際に見てみますと、全国の四十六都道府県のうち三十県くらいはこの基準の八千円に及んでおらない、これはなぜそういうような結果が来ておるかと申しますと、いわゆる地方の財政の貧困ということから来ているわけなんです。そういたしますと、ここに或る所では大体一万円くらいのベースの所があります。或る所は七千円くらいの所もあつて、いわゆる国家がきめている基準にまで達していない所が相当ある、こういうことは私はやはり教育財政が確立されておらない一つの結果として現われて来ている問題ではないかと思うのです。そういう点からこの問題を補助金を出せば、国庫負担すれば地方自治の侵害になるのじやないかというふうな観点からだけこの問題を考えて行つた場合、現に起つておる教育界のいろいろな欠陷を是正して行くことができないというふうに考えるわけであります。この問題については多くの問題を内包しておりますので、短い時間に私は盡すことができません。これは改めてお伺いすることにいたしまして、これは私は早急に文部省と自治庁が十分な協議を遂げられて、そうしてこの問題の解決に当つて頂きたいということを要望しておきたいと思います。  時間がありませんので、二、三の問題について質問だけを一括してお伺いしたいと思います。その問題は教育委員会法によりますと、本年の十月には市町村にまで教育委員会を設置しなければならん、こういうことになつておるわけです。これについてはやはりこの教育委員会法に則つて、そういうふうにして行くお考えがあるかどうか、それを承わりたいと思うんです。で、これと関連をいたしまして、教育、公務員特例法には、教員組合の結成單位を、今年の五月十日までに府県單位に結成することができるという規定があるわけであります。この規定が設けられたのは、教育委員会が都道府県に置かれて、そうして教職員の給與が都道府県において負担をされるという建前の下に、教員組合の結成も、当然給與の責任者である都道府県教育委員会にあるのであるから、結成單位も都道府県であつて然るべきである、こういう見解において参議院において政府提出案の修正をいたしまして、五月十日までになつておるわけであります。この問題は当然教育委員会法とも関連をいたしまして、更に時期を延長すべき、延長する措置がとられなければならんというふうに私は考えておるのでありますが、そういうことをお考えになつておるかどうか。  それから過日の本会議におきまして、教育施設の返還を速かに政府は努力すべきである。いわゆる駐留軍乃至は警察予備隊にこれを流用するということは相成らん、こういう決議を参議院の本会議に上げたわけであります。これに対して文部大臣は十分に善処をして、その決議に副うような方途を講ぜられておるかどうか、こういう問題についてお伺いをいたします。なお若干の問題もありまするけれども、これは他日に譲りまして、以上お伺いして私の質問を終ります。
  118. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 第一の点につきまして、この教育委員会法の改正について設置單位を落しましたが、その設置單位は、各市町村まで教育委員会を義務的に作るというのは私はどうかと思つております。  それから第二の点は結成單位のことでございましたが、これはお考えのことは私は御尤ものように思いますけれども、これは文部省だけですぐきまるということではございませんから、なおよくいろいろなこと折衝中でございます。  それから第三番目にお伺いになつたのは、教育施設の返還の問題でございますが、これは勿論これが早急に返還してもらわなければならんと思いまして、今折角努力をいたしておるところであります。
  119. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 午前はこれで暫時休憩いたしますが、午後は一時半から始めます。    午前零時三十九分休憩    —————・—————    午後一時五十五分開会
  120. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 予算委員会を午前に引続き再開いたします。  この際平林太一君から先般二月二十七日の発言に関して発言を求められておりますので、許可いたします。
  121. 平林太一

    ○平林太一君 去月二十七日の当日における私の予算案に対しまする発言中の一部分に対しましては、私自身訂正することの必要ありとしまするので、この点につきまして委員長において然るべく訂正御取捨あらんことをこの際申上げておきます。
  122. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 私は航空事業と海運事業に関しまして主として運輸大臣及び大蔵大臣に対してお尋ねをいたしたいと存じます。  先ず航空事業に関してでありますが、平和條約におきましては、我が国が航空機の生産、保有、使用等をいたしますについて何らの制限を持つておらないのであります。この講和條約の発効に伴う措置といたしまして、政府は只今各国との間に通商航海條約或いはこれに代る協定のようなものを結ぶべく交渉を進めておられると思うのでありまして、航空関係につきましては、條約の十三條に経過的な規定はございまするが、やはりこの通商航海條約と同じように、これにつきましても各国との間に航空に関する協定を締結すべく交渉をしておられると思うのでありますが、この点は現在どういうような状態になつておりますか。先ずそれをお伺いしたいのであります。
  123. 村上義一

    国務大臣(村上義一君) お答えいたします。航空問題につきましては、御承知通り、現在はこの航空機の自由活動が相当制約を受けているのであります。特に外国との間に相互乘入れをするということについては、全然禁止されているのであります。講和條約が発効いたしますれば、初めて相互の乘入れについて交渉し得るということに相成る次第であります。で、平和條約中にも、外国航空会社、現在十社あります。なお今後にも日本に乘入れるであろう連合国の所属会社ということだけがきめられているのであります。それらの会社は講和発効後四年間は認められているという次第であります。勿論日本といたしましては、講和條約が発効しますれば、直ちにこれに対処して日本航空機の外国乘入れについて交渉を始め得ることに相成る次第であります。日本航空機の外国乘入れにつきまして目下検討を進めでおるような次第であります。先ず最初米国航路を開設したいという大体意向を以て今調査をいたしておる次第であります。
  124. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 そういたしますというと、只今のところでは、まだ各国との間に航空に関する協定の予備交渉というようなものも行われていないという程度ですか。その点もう少しはつきり……
  125. 村上義一

    国務大臣(村上義一君) 現在では予備交渉もまだ開始されておらないのであります。近く先ず以て日米間に実現をして、これを範として他の諸国に及ぼすという考えを持つておる次第であります。
  126. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 それではこれから御意見をお伺いいたしますことは、或いは予備交渉、或いは講和條約が発効いたしましてからの本交渉までの間の心がまえをお聞きするようなことになるかも知れませんが、只今も運輸大臣が言われましたように、占領行政下では外国の航空機が司令部の許可によりまして日本に乘り入れておるのでありますけれども、條約の十三條には、條約発効後四年間は現状通りで行くのもいいし、それに対して日本政府は相当の便益、今まで持つていた権利を與えるようにしなければならんと書いてあるのでありますけれども、四年後の、この四年間という期間が経つてしまつたあとの外国の航空会社に対する日本政府の態度でありますけれどもこれにつきましては、只今のところは日本政府は何か方針を樹立しておられますかどうか。一つ方針を持つておられますかどうか。航空機の日本乘入れというものは今後も自由にしてよろしいというお考えでありますかどうか。この点大きな根本方針になるかと思いますので運輸大臣からお答え願いたいのであります。  なお、今もお話がありましたように、これは戰争の前からでありますが、或る国の航空機が外国に乘入れをするという問題は、これは非常に重大な問題としまして各国間に非常に問題を起したことは御承知通りであります。仮に四年先のことを考えて見ますると、外国会社の航空機が或る程度日本に自由に入つて来られるその場合に、日本との間に協定を結んで、日本としてはその外国にも当然双務的に乘入れる権利を留保しておくべきであるということが考えられるのでありますけれども、そういう双務的な協定を結ぶということを二つの方針としてお考えになつておりますかどうか、この点を先ずお伺いしたいのであります。
  127. 村上義一

    国務大臣(村上義一君) 現在のところは、航空機の製作、修理、又運航、すべて禁止されておるのであります。講和條約が発効しますれば、自由なる航空活動をなし得ることになることは御承知通りであります。ただ国際民間航空條約の規範を守ればいいという関係に相成ります。只今指摘になりました四年後においては、これは勿論レシプロカルに、相互に乘入れるということをしなければならないと思うのであります。その四年までの間でも、講和條約発効後四年間の期間内でも、日本の航空機が外国に乘入れるということは協定さえできればできることであると信じます。従つて講和條約発効後、日本の航空活動が相当になりますれば、国際ラインとして先ず以て最も交通の頻繁な米国に対して協定を結んで、日本の飛行機が米国内に空路を持ち得るということにして行きたいと思うのであります。
  128. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 大体のお気持はわかりましたが、今日人の運送というものがだんだん航空機に変つて来つつあることは御承知通りであります。只今日本の旅客が外国の航空会社に拂つておりまする運賃、これはドルで考えましても恐らく一年間には数千万ドルになるのではないかと思います。更に郵便物を航空機で運んでおる、これにつきましても年間、十数億円の金をドルで以て外国の航空会社に拂つておる現状でありますから、私はやはり船と並んでこの民間航空事業というものにつきましては運輸省において十分に考慮せられたい。又一日も早くこの民間航空事業が興りまして、外国に航空路を持つように配慮せられたいということを考えるのであります。その場合には、只今も御答弁がありましたが、双務的にお互いに乗入れの権利を留保して、日本に航空機を乗入れておる国に対しては、日本からも航空機を乗入れ得るような双務的の協定を締結せられることを希望する次第であります。  それからこれに関連いたしまして、若しそういうふうな状況なつた場合には、飛行場とか、或いはピーコン、その他の航空保安施設は、やはり日本としましては国がこれを施設するということを原則にせられるのでありましようか。或いはその行政協定によりまして、日本の飛行場或いはそういう保安施設が或る程度アメリカの駐留軍に使用されることになつておるわけでありますけれども、これとは全然別個に民間航空事業に対する特別の飛行場或いは航空保安施設というものをお作りになるのでありますか。或いはその行政協定等でどこまでそれが論議されたか知りませんけれども、アメリカの駐留軍の使用しておりまする飛行場或いは航空保安施設、そういつたものも日本の民間航空事業が興りました場合には、これを共用することができるという了解でも取り交わされたのでありましようか。この点がよくわかりませんので、明らかにして頂きたいと思うのであります。
  129. 村上義一

    国務大臣(村上義一君) 最初にお話しになりました点につきましては、お示しの通り、今羽田空港を利用して日本人で外国に往還する人は年間一万人を越えておると思います。乗客の航空運賃だけでも相当巨額に上つておるのであります。のみならず、郵便物でありますとか、更に商品見本、又商品で貴重品に属するものといつたようなものは相当航空便の貨物として好適なものであると思うのであります。お示しの通り、是非日本航空事業の発達と相待たんければなりませんが、成るべく速かに日本の航空機を以て輸送するということにいたしたいと考えておる次第であります。  なお第二の点でありまするが、今行政協定の準備作業班で、更にその分科会で航空事業についても話合いが進んでおるのであります。今日まだ明確に決定はいたしておりませんが、とにかく純粋の、純然たる民間航空場として羽田、その他を使用したいということを申入れておるのであります。なおその以外のエアー・ポートも共用するということで進んで行きたいと考えておるのであります。勿論日本の民間航空、日本及び諸外国の民間航空のみに専用し得るならば勿論それを望みます。どうしても駐留軍においても使用することが必要だというエアー・ポートにしましても、共用で進みたいという考えで今交渉が進行しつつある次第であります。勿論民間航空場になりますれば、お示しのごとくラジオ・ピーコンにしましても、その他諸般の施設日本政府において当然なすべきことであると思つております。又そういう方針で今進んでおる次第であります。
  130. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 航空事業については大体運輸大臣の御意向もわかりましたので、この程度にいたしますが、昨日小野君の質問に対しまして、運輸大臣から昭和二十七年度の、来年度における船の建造量、或いはこれに関する建造資金の見通しについて詳細な御説明があつたのであります。併し承わりましたところを結論的に申しますと、要するに建造量についても、その所要資金についても、今まだ十分な確たる見通しがついてないというように私は拝聽したのでありますが、その通りでございますかお伺いをいたします。
  131. 村上義一

    国務大臣(村上義一君) まだ政府資金は、見返資金百四十億円でありますが、この政府から融資します資金につきましても、現に当院で御審議中に属しておるのであります。更に又市中銀行からの融資にいたしましても、打診はいたしておりますが、従つて相当の確信に近いものを持つてはおりまするけれども、まだ具体的に正式に話を進めておるのではありません。又勿論市中銀行の融資といいますのは、申上げるまでもなく、船会社と市中銀行間の取引に属するものであります。まだこの両者間には話は進んでおらないという現状であります。的確にお答えできないことは遺憾でありますが、止むを得ない次第であります。
  132. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 もうやがて新年度が参るわけでありますが、これは具体的にはどの船主が船を造るとか、どの銀行が融資するであろうということはきまりませんでも、全体として、例えば四十万トンは必ず建造をするのである。それに対する所要資金は、手持資金ではこうする、見返資金ではこうする。市中銀行からの融資はこの程度にしているというようなことはもうきまつていなければならないと思うのでありますが、只今お話のようにまだそれが決定しないということは、非常にこれは私遺憾でありますけれども、成るべく早くこれはおきめ願わないと、来年度の計画にも支障を来たすかと思うのであります。前国会におきましては前の運輸大臣の山崎さんから、これから外航船を大いに充実しなければならない。そのために年間貨物船で三十万トンぐらい、近海の船及びタンカーを含めて大体十万トンぐらい年間に建造する考えを持つているというようなお話を伺つたと思うのでありますけれども、その後僅か三カ月ぐらいしか経たないのでありますけれども、又昨日お話のように大体今度は、二十七年度は三十万トンぐらいしか作れないであろうというようなことになりますと、非常に方針がぐらぐらして関係者も困るだろうと思うのであります。私から申上げるまでもなく運輸大臣はよく御存じのように、この二十七年度を考えましても、外貨運賃で外国の船に支拂うべき運賃が一億ドルを超えるであろうと思う。日本の必需物資の運賃を三億二千万ドルぐらいと考えましても、その三分の二ぐらいまでは外国船に拂わなければならないというような状況でありますので、しばしば政府から言われますように、自立経済を達成するのには外航船を早く作るというのがこれはもうどうしても急務であると考えられるのであります。従つて三十万トンしかできないというなら三十万トンでも止むを得ないかも知れませんけれども、将来に対する輸出入物資、それを運ぶ船の量というようなものをもう少し計画的にお考えになつて、そうして目標をおきめになる必要があると思うのでありますけれども、運輸大臣はこれらの点につきましては、昭和二十七年度を、どういうふうな目標を以つてお進みになるおつもりでありますか。この点を伺えれば非常に結構であります。
  133. 村上義一

    国務大臣(村上義一君) 現在貨物船は、昨日もちよつと触れましたが、外航適格船は百五十万トン、今の輸入物資の三二%を積取つている。又はタンカーは三十四万トンで輸入の五三%を積取つているということを申上げたと記憶いたしまするが、方針といたしましては、この三年後には、是非日本商船隊整備目標であります輸入物資の五〇%を日本船で積取る。又タンカーの方面は九〇%を日本船で積取るという点に目標を置いておるような次第であります。ただ二十七年度においてはどれだけ作るかということをもうきまつておらなくちやならんはずだという今お示しでありまするが、とにかく新年度に入らんければ、又予算の御審議を終えなければ的確なことは申上げかねるということを先刻お答えいたしたような次第でありますが、少くとも三十万トンは二十七年度において建造したい。その内訳は二十五万トンは貨物船、五万トンはタンカー、こういう考えを持つているのであります。なお、昨日も触れましたごとく、その以外に、若し外資の協力を得られるならば、タンカーの建造をその以外にやりたいということも申上げたのであります。かくのごとくいたしまして、是非この二十七、八、九、三カ年間に日本船で積取る五〇%—九〇%という目標に到達いたしたいという方針で進んでおるような次第であります。
  134. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 私は、言葉尻をつかまえる意味ではございませんが、先ほどから繰返して運輸大臣からお話があるようでありますが、今予算を提出しておるので、予算がきまらないと具体的な十分な計画はできないというような意味のお答えがございましたが、私はむしろ予算をお出しになる以上は、それに関する計画というものを持つておられて、出しておられるのじやないかと思うのです。従いまして、来年度の予算をお出しになつておりますので、これには財政資金をどういうふうに使うとか、見返資金をどういうふうに使うとかいうこともあるわけでありますから、それに伴つて来年度の建造はこういう方針で、資金はこうするというようなことは、予算をお出しになるときにきめてお出しになつておるものと考えるのであります。そういう意味においては今日なお具体的ないろいろな事情があつておきまりにはならんというのであれば止むを得ませんけれども、当然私は予算をお出しになるときにそういう計画も添えてお出しになるのが当り前であると考えておりますので、お尋ねをしておるわけであります。内容的に考えますると、運輸大臣は大体年間に二十七年度に、三十万総トンぐらい造つて行けばここ三年ぐらいの間には大体輸出入貨物の半分くらいが運べるだけの商船隊が整備されるだろう、こういうお話でございますが、私はさようには考えないのであります。卑近な例をとつて考えて見まするが、現在お話のように貨物船が百七十万総トンほどございますが、その中で戰争中に造りました粗製濫造船、いわゆる戰漂船というのが六十五万トンくらい入つております。又終戰後各国からドルを出して買つた船が総トン数で二十万トンぐらいあります。これらの購入船はその殆んど大部分が船齢二十年乃至二十五年の非常に古い船でありまして、これがいつまでも持つということは考えられないのでございます。貨物船の百七十万トンの中で、八十五万トン乃至九十万トンというものは、ここ数年のうちにはこれを新陳代謝しなければいけない船だと私は考えております。タンカーについても同様でありまして、現在タンカーが三十七万総トンぐらいございます。この中で先ほど申上げた戰標船と購入船がどのぐらいあるかと申しますと、二十四万トンに達しておるのであります。終戰後造られた新らしい船は十二、三万トンぐらいに過ぎないのであります。その二十四万トンは、今後数年の間に新陳代謝をしないと、これは理屈ではなくしてもう物理的に、もう使えなくなつてしまうという船なのでありますから、こういう大体百万トン程度、百十万トンか百二十万トンか、その程度の船というものは、今後数年の間にはどうしても新船に置き替えませんと、これは日本の海運はもつて行かないのであります。そういう点を考えますと、先ほどお話になりました三十万トンというものは相当の造船量のように見えますけれども日本海運の構成内容からいたしますると、これは実に少い数量になつておるのであります。私はそういう点から言いますと、外航船を揃えるということのほかに日本海運の内容からいたしまして、年間に少くとも二十万トン程度は、この三十万トンのほかにお造りにならないと、ここ数年のうちには古船で使えなくなる船が続々出て参りまして、日本の船腹はその場合にはうんと大きな減少を来たすことになりはしないかということを慮れるのでありますが、運輸大臣はこの点につきまして、どういうふうにお考えになつておりますか。
  135. 村上義一

    国務大臣(村上義一君) 昨日かなり詳細に新造計画及びその資金計画について申述べましたので、重複することを避けておるような次第であります。昨日も申上げました通り、外資の協力を得て輸送船を別個に造りたいということを只今も申述べましたが、この数量は、先ず五万トンは間違いないと考えておるのであります。合計で十万トンの輸送船を建造したいという考えを持つておるのであります。なお昨日も申述べましたごとく優秀なる外国船が手に入ることを船主が希望されるならば若干数購入をしたいということも申上げたのでありますが、この数量は、大体七万トン乃至十万トンを予想いたしておるような次第であります。従つて二十七年度におきまして、四十五万トンくらいは日本の商船隊に威力を加え得ることに持つて行きたいというふうに考えておる次第であります。なお戰漂船の改造につきまして、又今日までに購入しました外国船が非常に年齢もたつていて遠からずスクラップにする必要があるというお話でありまするが、これは私も全く同感であるのであります。是非共この三年間に輸入物資の五〇%積取り、又オイルにつきましては九〇%の横取りということに実現しまして、そののちにこれらの中古船に代替する、つまり代る新船を建造して行くことにすればいいのじやないか、こういう考えを持つておる次第であります。
  136. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 運輸大臣の今の御答弁でお話はわからんことはないのでありますけれども、今までに外国からの購入船と言われますけれども、優秀なそうして安い船がそう日本にどんどん売られるということは、これは期待するのが無理であると考えるのであります。やはり主力は国内造船によらなければならないということは運輸大臣も御承知通りであります。そういう観点から見ますると、来年度は国内において三十万総トンを造るので、一方購入船等と併せて考えると、大体新陳代謝を考えても四十万トン程度充実することができるので、これで三年たてば輸出入物資の半分くらいは運べるだろうという見通しは、これは相当に甘い考えじやないかと考えるのであります。外国から船を買うといたしましても、多少余裕のあるポンドで以て買うというようなことをおやりになれば多少の見込みはありましようけれども、併しこれは日本で造ります場合に使います諸原料に対する外貨と比べますると、相当のやはり多くの外貨を使わなければならないということは事実であります。やはり本来の政策からいえば、日本国内で船を造つて行く能力があるのでありますから、その能力を使つて日本で船を造るということが本筋でなければならないと考えるのであります。その意味から言いますと、三十万トンでいいというのではなくて、これは前国会で山崎運輸大臣が主張になりましたときにも、少くとも四十万トン程度を造つて行かないと私は間に合わないと考えておるのであります。併しこれは具体的には非常に細かい数字上の争いになりますので、私は意見を述べるにとどめておきますけれども、運輸大臣は是非私の申上げたようなことを勘案されまして、三十万トン程度で安心をされないで、もつといろいろの事情を勘案されて、この国内の建造量というものを極力引上げて行くことに努力をして頂きたいと思うのであります。なおこの機会に、ついでに大蔵大臣一つお伺いいたしますが、この海運問題につきましては御承知のように、いつでもその船舶建造資金の問題が付きもののようになつておるのであります。私は非常に狭い視野からものを眺めるようにお考えになるかも知れませんが、特にこの海運問題を研究して参りますると、現在の状態では、国もどうしても運輸大臣が言われますように、ここ数年間には外貨獲得の意味でも船隊を整備しなければならんというような、いわば一つの国としての大きな政策の上に乗つておる船舶建造でありまするが、こういう海運に対しまして、どうも率直に言いますと、銀行等の金融業の力が余り強過ぎるのじやないかということを感じるのであります。このままで参りますと、或いは金融業者がほかの産業の経営に干渉したり、或いはこれが支配力を持つような結果になりはしないかということを心配するのであります。而も金融業も営利事業でありますから、いつでも必ずしも国家目的に対して優先して金融するとは考えられないのであります。大蔵省では只今銀行局長の通牒を以て、金融業者に対して自主的に不急不要の融資を抑制するようにという措置をされておられるようでありますけれども、その結果は、或いはこれは逆の見方もあるかも知れませんが、その結果は更に前に申上げましたように、金融業のほかの産業に対する何と言いますか、優越性と言いますか、その優越性が強められると同時に、こういう重要産業に対する融資の不円滑であるというその責任の所在について、非常にこれを不明確なものにしておるように考えられておるのであります。大蔵大臣は昨年の通常国会でありましたが、私が質問をいたしましたところ、資金規正はやらないというようなお話がございましたが、今申したような局長通牒というようなもので、或る程度賄おうということになつておりますならば、むしろ主管大臣である大蔵大臣が全責任を持つて、資金の融通につきまして何らか法令の根拠を持つた規正をする措置をとられるのが至当であると思うのでありますが、大蔵大臣は、この点につきまして只今どういう御方針でおられますか、伺いたいのであります。
  137. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 金融のあり方につきましての所管大臣意見は、日頃一万田氏を通じ、且又市中銀行の経営者に意見としては指示しておりますが、お話のように、法的に金融の規正をしようという考えは持つておりません。
  138. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 重ねて伺いますが、そうしますと、只今出しておられます銀行局長の通牒、これは金融業者に対して單に注意を喚起したという程度のものにお考えになつておるのでございますか。実際はこの銀行局長の通牒によりまして金融界が動いておると言つても過言ではないと思うのであります。法的な措置はとらないと言われますが、法的でなくて、そういたしますと重要産業に対して所要資金を確保する意味の資金規正は、法的でなく、他の何らかとる御方針がありますかどうか。
  139. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お話のように銀行局長により不要不急の方面への長期資金は差控えるように、こう指導しております。この程度でございます。
  140. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 私の意見になりますから、これ以上申上げませんが、私は今の状況で参りますと、これは運輸大臣なんかは十分御承知だろうと思うのでありますが、資金の見通しを付けたものに対して造船の許可を與えるというようなことをおつしやられますと、一方金融業者と海運業者が話合いをいたしまして、その話合いのついたものが優先的に船舶の製造の割当を受けるということになりまして、その間に責任官庁である運輸大臣が海運政策はかくあるべきだと考えましても、それが実行する方法がないということになるのであります。極端に申上げますと、如何にも金融界が海運政策を実行しておるかのような印象を與えられておるのであります。私は意見といたしましては、こういう重要産業に対しまする資金の融通を円滑ならしめますためには、どうしても資金の規正をやらなければならんのではないかと考えておりますので、その点を申上げておきます。  それから運輸大臣に更に海運関係の問題につきまして二、三お尋ねをいたしますが、海運業は御承知のように、これは世界的に自営運航というものを建前にいたしておりまするもので、一つの経営單位としましてはやはり余り大きくつてもいけませんが、やはり最小限と申しますか、一定量の船腹を必要とすることはこれは常識であります。どんな小さな海運業にいたしましても、運航をいたします場合には、営業方面とか、計理方面或いは船員の関係方面とか、そういうような部内が必要でありまして、小さなものでも数十人のやはり専門家が要るのであります。従来言つておりましたが、海運会社では職員一人について一千総トンの船を動かすのが一番いいということが常識的に言われておりましたが、政府は船舶の建造に当りまして、今もちよつと触れましたが、ただ銀行から融資の約束をしてもらつたものにだけ船の割当をするというように、非常に変態的な措置をとつておられまするので、こういうふうな海運政策というものが少しも船舶の割当に当つて考慮されていないかのごとき感じを受けるのであります。最近各地の航路同盟が日本船の加入を承認したり或いは加入を懲通して来ておるのでありますが、そういう同盟におきましては、いろいろありますけれども、傭船を認めないで、自社自営で動かしておる船会社の加入を求めるという航路同盟がたくさんあるのであります。でありますから、この船の割当に当りましても、こういう対外的な関係も考慮されまして、いわゆる悪平等に陷らないように、そうしてただ單に銀行からそういうふうな確認書と申しますか、資金を融通してやるという確認書を持つているものだけに許すということでなしに、もう少しこの点について海運政策上必要な考え方を取入れる必要があると思うのでありますが、運輸大臣はこの点についてどういうふうにお考えであるか。
  141. 村上義一

    国務大臣(村上義一君) 只今お話は新船建造についての割当方式の問題だと思うのです。船舶建造割当につきましては、従来最も公正に、又日本海運に最も有効な船舶を建造せしめようというよう方針でいろいろ苦心努力を重ねて来たのでありまするが、特に二十六年度におきましての建造計画は、丁度定期航路が続々再開せられます機運に再会いたしたのであります。で、定期航路の適格船が而も不足しておるという事態に直面しておりましたので、造船合理化審議会の意見に基きまして、定期航路の傭船に主力を集めたのであります。又船舶運航上より能率的だと考えられますオペレーターを優先せしめる、今新谷さんがお示しになりましたごとくオペレーターを第一に優先せしめるという方針をとつて参つた次第であります。二十七年度におきましては、同じような方式をとることが果して妥当であるかどうかという点に若干疑問を持つておるのでありまして、海運会社はいずれも引続いて新船の建造で、相当な大会社でも資金調達力に限度があることは申上げるまでもないのであります。自己資金の造成力なり、或いは担保余力というような関係上、資金調達力なども相当割当については考えて行かなければならんと思うのであります。従つて極めて最近の機会に造船合理化審議会の意見をも伺いまして、最も適切な割当方法を定めたい、こう考えておる次第であります。まま割当方法を法律を以てきめたらどうかというような意見も耳にするのであります。法律を以て割当方式をきめて画一的に決定するということは、実際問題として非常な困難があるばかりでなく、又種々のその間に面倒もあると思うのであります……起つて来る慮れが多分にあると思うのであります。法律できめる、画一主義をとるというようなことでなしに、折角船舶建造の合理化審議会なるものも設置せられており、各方面のエキスパートによつて構成されておということは御承知通りでありますから、よくこの審議会の意見を伺つて決定いたしたいと思つております。
  142. 和田博雄

    委員長和田博雄君) もう時間が一杯でありますから、最後の御質問だけ許します。簡單にやつて下さい。
  143. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 それでは簡單に伺いますが、先般も運輸大臣から伺つたのでありますが、日本の海運の競争力という問題であります。これは非常に専門的な問題になりますから、具体的には余り触れませんが、要するにこれは日本の船の船価とか運航費とかというものを比較すればすぐわかることであります。今日イギリスの平均船価が定期船である場合におきましても、トン当り二万八千円、不定期船ではこれは一万二千円くらいの程度であると聞いております。運輸省の提出した資料によりますと、これに対して日本船は船価が六万八千円ということになつておるのであります。新造船なんかにつきましても、日本の船価はイギリスに比べますと二割程度高いのではないかと考えます。それから先ほど来問題になりました建造資金の利率になりますと、日本が一割程度であるのに対しまして、イギリスは二分五厘程度でありまして、これがどういうふうに競争力に響いて来るか、これは運輸大臣のほうで計算されればすぐわかることでありますけれども、私はこういつた一連の関係を持つた事柄につきまして各国がやつておりますように直接間接にいろいろな施策を講ぜられて、そうして今後国際海運市場に変化がありました場合に、先ず日本船が脱落するというようなことがないように、今から措置をとられる必要があると思うのであります。そのためには今申上げましたような諸点を綜合的に包含した特別立法をされて、日本船を少くとも国際的水準に維持させるために必要なことをお考えにならなければならないということを痛感するのでありますが、この点については運輸大臣はどういう御意向でありますか。又若しそういう御意向があるといたしますと、それはいつ頃そういう施策を実現せられる御見込ですか、お伺いしたいと思います。
  144. 村上義一

    国務大臣(村上義一君) 只今お示しの通り日本船は英国に比較しまして、その船価におきまして、又更に金利の点におきましても極めて割高であるのであります。従つて競争上極めて不利な立場にあるということは、誠に遺憾に堪えない次第であります。一朝市況が悪化する、運賃の低下が発生するというような場合には、日本海運は誠に苦しい立場に置かれると思うのであります。海運に対しまして政府が直接補助金を支給するという直接補助の政策は、列強でも、御承知通り強く警戒をいたしておるところでありまして、若し実行すれば、恐らく強力な反撃を受けることと思うのであります。却つて不利益を招く結果になると思うのであります。又国際海運の健全な発達という見地からも好ましくないと思うのであります。併しながら税を減免するとか、或いは金融の援助をするとか、金利の引下げをするとか、というような間接の援助の方法は、欧米各国もひとしく採用しているところでありますから、あらゆる面に立ち遅れのこの日本海運を育成しますためには、日本においてもできる限り力を注がなければならんと考えているのであります。この意味におきまして、船舶建造には御承知のように見返資金の融資をするとか、又市中金融の斡旋をするとか、又税の間接減免につきましては不十分ではありまするが、船舶の償却における耐用年数の短縮を措置するとかいつたような施策を最近にも講じているような次第であります。世界各国は現在いろいろ施策を集中して船腹拡充と最優秀船の建造に邁進いたしているのであります。各国ともにこの三、四年分の、特に英国、スウェーデン等でありまするが三、四年分のすでに注文を抱えているというような次第でありまして、未曾有の世界的の盛況であるということができると思うのであります。我が国もこういう国際情勢に遅れをとらないように、只今申しましたような諸施策は勿論のこと、更に進んで総合的な海運再建方策を早急に樹立いたしたいので、目下懸命に検討を重ねているような次第であります。で、いつ樹立できるかというお尋ねでありますが、潰憾ながら今のところいつまでに樹立できるということをお答えすることはできませんが、早急に樹立いたしたいと念願いたしている次第であります。
  145. 内村清次

    ○内村清次君 大蔵大臣にお尋ねいたしますが、国際関係経済変動がありまして、それが直接日本経済に及ぼして来て、現在見通しとして不況が続いている。これに対しまして、作目大蔵大臣左藤君に対する景気挽回策を述べておられますからして、1の点は触れずに、ただ私は今回のこの予算の基礎でありまする産業面の税收入というものが、これがどういうふうにこの不景気影響を受け、産業界のいわゆる全收入面に及ぼすところの影響というものがどのくらいの深刻さを持つているかという点について大蔵大臣にお伺いいたしたいのです。今回の税收入は、これは昨年度に比較いたしますると七百六十八億の租税收入の増を考えているわけであります。この基礎になつたものは、これは私たちの立場から申しますと、国民の所得が四兆九千億から五兆三百億になつたというその基礎自体についても、まだ不審を抱いているのでありますが、こういう問題も今回の不景気の問題と関連いたしまして、生産の停滞というような状況もすでにもう現われて来ておりますからして、こういう点では考えが違うのでありまするが、問題はこの七百六十八億の自然増收というものが、これが確実になされるかどうかという点、この点を一つ明確にして頂きたい。
  146. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) こういう問題は、先の国会でも内村さんから補正予算について、こんなに收入が得られるか。昨年の春の見通し收入……その後の金詰り、霊力危機、いろいろな悪條件があつて、補正予算の千五、六百億円の自然増收は水増しでとても得られないだろうというお話がありましたが、千五、六百億の自然増收をこの前補正予算のときに御決定願いましたが、最近の状況では千五、六百億の自然増收ではなしに、千九百億円くらいの自然増收になるのであります。即ち補正予算に対しましてなお三百億ばかりの今7年度の増收を期待できる状態であります。内訳を申しますると、勤労所得を主とした源泉徴收のほうでは百七、八十億円を見込まれる、又收益の悪いという法人におきましても、この三月期の決算が、收益率は相当悪くなつておりますが、利益金額というものは余り動かないということであります。そういたしますと、これ又二百五、六十億円の法人税の自然増收を見込んでおります事業体を主体といたしました申告納税のほうは、これは予算を、補正予算で余り殖やさなかつたのでありますが、やはり事態が悪いのでこれは二百億円ばかりの減收であります。こういうふうに見て行きますと、今年度におきましては相当の自然増收を、千五、六百億円見込んだのが千八百億になつた、私は来年度の問題になりまして、資本の増加等によりまする收益率の低下というものは、これは或る程度止むを得ないかも知れませんが、利益金額にいたしますとやはり伸びて来ると思います。それから收入の相当の部分を占める申告納税のほうも、来年度の国民所得のうち勤労所得につきましては、一割程度の増を見ておりますので、六千三吉億というものは十分確保できる、例えば酒などにいたしましても、相当の増石を見込んでおりまするが、その後の情勢によりまして三割増産のほうも相当やつておりますので、本年度酒の自然増收もありますが、来年度も予算よりもよく取れる、こういう見込になつておりますので、或いはあれや、これやで来年度の租税收入に御心配をかけるようなことは万々ないと思います。私は他の機会に申上げておりますが、租税收入というものはできるだけ確実な見込をすることを以てモットーとしておるのであります。大蔵大臣になつてからいつも水増しと言われるが、自然減收を起したことはございません。常に課税の適正を図つておるのであります。私の見通しといたしましては、予算上、予算に計上いたしました租税收入は十分確保できると確信しております。
  147. 内村清次

    ○内村清次君 勿論これは、大蔵大臣がこの前の臨時国会のときにおきましても、私はこの点は質問いたしましたが、そのときの條件といたしましては、やはり朝鮮動乱の影響が相当響いて来る、又一昨年においても相当明るい見通しも確かにあつたのであります。国際情勢におきましても、基礎的には……相当確実な軍拡の気配もあつたのでありますけれども、基礎的には確実な営業をしておつたのであります。最近の見通しにつきましては、これはもうポンド関係輸出制限というやつも相当これは長期に亘りはしないか、いわゆるこれらの英国の方針もそうであるし、オーストラリアの方針もそうであるし、相当長期に亘る、それから又アメリカの軍拡の中だるみというやつは現実の問題で相当国論も沸騰いたしておりますし、而も又大統領選挙もある。こういうような情勢で、その中だるみも相当続きはしないか、こういうような條件を勘案いたしてみますると、すでにこれを安定本部ではこの生産指数の変更をですね、考えておるようでありまするが、この点も大蔵大臣は、昨日のお話のときに安定本部がそれは調べておるんだから、いわゆる一四〇%の生産指数というものは下廻る、こういうような見通しを持つておられる。やはりこれが国内事情からいたしましても、いわゆる蔵相が見通しておられるところの自然増收というものは、非常にこれは危いものではないかと、こういうような結論に私たちは達しておるんですが、この大蔵省で調べられました前年度の税收自体につきましてこれは三月の十三日ですが、二月現在で、前年度が八二・四%で百敷十億増になつてつて、先ほどの大蔵大臣の三百億の自然増收があるんだという確信、これは何回も聞いております。何回も聞いておりますが、この確信というものは五月には、その三百億の増收がなされるという確信の下に言つておられるのかどうか。それからこの現在の徴收の状態から見まして、申告所得あたりは特に五二%五というような状態ですが、これは一体どれくらいのパーセンテージが上つているかという点、それから申告所得に対しましてですね、いわゆる滞納関係の分に対する、この何か大蔵省としてお考えになつておられることがあるかどうか。又こういうような制度そのものというものが、やはり独立後におきましても、なお存続される意思があるかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
  148. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 三月十日現在で申上げますと、租税の收入全体では昨年の三月十日では八七%、今年の三月で九六%、而して昨年は四千四百五十三億の租税收入で百数十億円の自然増收、今年は去年よりも一〇%上廻つている。これは四月に入つて参りますると、今年の三百億円程度の自然増收は私は確実だと思う。税目別に申上げますと今申上げた通りでございます。  それから御指摘の申告納税のほうは、昨年の三月十日では六〇%、今年は五七%、これは二月末の納期でありまして、三月中に入つて来ますのでこの五七%というのは七五・六%乃至八。%ぐらい行くと考えているのであります。併しそれにいたしましても申告納税では千二十億円に対しまして二百億円余りの増收です。併しそれに法人税並びに個人の勤労所得のほうで、それに倍程度の自然増收が出て来る、こういう結論であるのであります。なぜ申告納税が減るかと申しますと、御承知通りに個人経営が相当法人経営になる。法人経営になればそれが法人税になる。又今まで事業主の人は今度は勤労所得ということになりますので、こういうような企業形態の変化に基いて租税收入の各部目別の変化が出て来るのであります。全体といたしましては相当の増收はもう確実に今でももう九六%、四月一ぱいがありますので、三百億程度は先ず動かないと思います。  それから滞納の問題でありまするが、これは滞納は大体八百億円ございます。で、これは法人の滞納もありますし、源泉徴收の勤労所得の滞納もありますし、事業所得税のものもある。併しこれは八百億円の滞納というのは、昭和二十二、三年頃からの分がずつと溜り溜つておりまして、最近のものは余りございません。従いまして先の国会において滞納の分を一応整理するのに、この滞納の原因と申しますると、初めは景気がよくて儲かつてつたのだが、いよいよ税金を納めるときに金がなくなつた場合、或いは税務署のほうで見込違いで決定して滞納になつた場合、或いは儲かるし金もあるのだけれども、とにかく金繰りの都合上滞納した、この三つがあります。そこで税務署のほうから見込違いで決定したものは早急に取消しをどんどんやつております。又その当時の決定はよかつたのだが、その後において損をしたために納まらない、こういうものにつきましては整理期間というものを置きまして、三年間別にして置いて、そうしてその間で調査に調査を重ねて、これはもう納税資力がないというものは落して行く。こういうものがまだ三年経たんために残つておるのであります。こういうことで一昨年来からずつと整理をしておりますが、そのうちこれは後片付けがつくと思う。税務行政は二、三年前とはよほど違つて参りまして、かなり改善のあとが見える状態であるのであります。
  149. 内村清次

    ○内村清次君 申告所得はどうですか。申告所得の制度はこれはずつと続けるのですか。
  150. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 申告所得の制度はこれは続けて行かなければならんと思います。ただ申告の方法で、それを税務署が決定する場合に、昔のような所得調査委員会を設けてやるか、或いは今のような協議団によりまして、決定後におきまして協議団にかけてやるか、而もその協議団の機構をどう拡充するか、こういう問題がございまするが、何と申しましても協議団の制度は昨年からやつたことでございまして、今その成績を検討しておるのでありますが、今後一年間の状況を見まして、申告制度に改善を加うべき点が多少あると思います。今検討を加えております。
  151. 内村清次

    ○内村清次君 労働大臣が所用があるようですから、大蔵大臣はこれだけにしておきます。今回の予算書の中に特に目に立ちますものは、これは私たちといたしまして非常に考えておることは、この緊急失業対策費が約一億円以上少くなつている、この理由といたしましては特に明確でないわけですが、この状態一つ労働大臣からお伺いしたいと思います。
  152. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 失業対策費が一億ばかり減つている、極く僅か減つているのでありますが、これは実はこの失業者の状況は二十五年の朝鮮動乱の前までは相当ございましたが、それからだんだんと減つて参りまして、朝鮮動乱の前の完全失業者は四十八万ばかりあつたのでありますが、昨年の七月あたりになりますと三十七万くらいで、その後又だんだん減つおりまして、昨年の暮には若干殖えておりますが、四十万そこそこでございしてそう心配の状況にございません。なお来年度は公共事業費におきましても、昨年の予算の一千億は千三百億に増しておりまするし、電源開発等の予算がございまするので、大体心配はないと思つているわけであります。従いまして極く数字的には一億くらい減つておりますけれども、予算としては大体前年度を踏襲しているわけであります。
  153. 内村清次

    ○内村清次君 そうしますと労働大臣はまあ現在の失業者の数というものが、これはもう顕在、潜在を合せましてどれくらいわかつている分はあるかという点のお調べはできておりますか。
  154. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 先ほど申しましたように完全失業者といたしましては二十五年の七月前の状況が四十八万ございましたのが、昨年の七月が三十九万になりまして、その後漸次減つて来ております。現在のところは大体四十万そこぐらいに考えております。それから潜在失業者の問題は実はこれはなかなか捕捉しがたいのでございまして、ただ従来失業者の多かつたときには、農村に帰りまして農村に吸收されていたのでございますが、最近はその農村におりました数がだんだん減りまして、都会地の非農村部面にだんだん殖えて来ておる状況を見ましても、就職状況は漸次よくなつておる、かように見られるのであります。なお、日傭いの労働者状況から見ましても、二十五年の十一月が四十五万くらいの登録がございましたが、それが今日では三十五万くらいに登録が減つております。この点あたりから見ましても失業者の状況は漸次改善されつつあるというふうに存じております。
  155. 内村清次

    ○内村清次君 これは登録関係もありまして、労働省自体の統計面に現われたところの数字というものが一応は物を言つていると思いますが、私たちはそういう労働大臣が言われておるような、非常に先年よりも本年は失業者の数は少いのだと、同時に又こういう対策費用というものを減額しても、他にその財源というものがあるのだと、こう一概に楽観的な見通しということはこれは危険ではないか。これはやはり一連の政府の政策関係ともこれは関連いたしておる問題ですが、やはりもうすでに或いは綿紡、人絹や或いはゴムというようなところの操業も短縮がなされておる。で現実とあなたのお考えというものがちよつと遊離しておるような感じがするものですが、この点は確かに本年度は失業者は少くなるのだという見通しが、断定ができるかどうか、この点前と関連して……。
  156. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 極く最近の状況としては紡績その他において不況の状況はございます。全然心配がないわけではございませんが、全般的に見まするというと、二十五年の朝鮮動乱前の状況からその後の状況を見ますると、漸次改善されて行つておるわけであります。先ほど申しましたようにそれはただ推定だけではございませんで、日傭労務者の登録の状況も四十五万から三十五万くらいに減つておる、又この常傭の求人者の状況を見ましても、動乱前は人を求める数が十六万くらいのものでありましたのが、昨年の十一月頃には二十四万も求人者がある、こういうような状況であります。これらから見ましても漸次改善されておることがわかる。それから失業の状況も、失業保険の受給者の状況をとつて見ましたが、これも朝鮮動乱の直前は四十万人ぐらいございましたのが、昨年の暮では二十三万ぐらいになつている。これらのいろいろな点から考えまして、失業者の状況というものは漸次改善されている。ただ御指摘のように極く最近の紡績状況は若干心配いたしておりますが、これもそう長くはないのじやないか、かように存じております。
  157. 内村清次

    ○内村清次君 それでは労働大臣は、本年度の学校を出たかたがたの就職の斡旋をされたその数字はどのくらいになつておりまするか、勿論就職を希望しておらないというようなものはわかりませんが、とにかく就職を希望して、そうして就職ができなかつたという数字があるかどうか、この点を伺いたい。
  158. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 今年の学卒につきましては、まだ就職中でございまするので、はつきりしたものはございません。併しながら大体新らしく出る就職者につきましてはそう心配をいたしておりません。ただ紡績につきましては午前中も申上げましたように、毎年若干の新規採用者がございますが、これは一時休業している部面もございまするので、差控えているという状況にございます。全般的にはそう心配しておりません。
  159. 内村清次

    ○内村清次君 最近労働問題といたしまして、特に目に立つて来ていることは、これはすでにもう労働大臣もお耳に入つているごとと思いますが、例えば軍の管理工場におけるところの労働三法適用の問題や、或いは非常に労働者に対するところの不当労働行為の発生と、こういう点が頻繁に行われて来てるという事態は、これは労働大臣は御確認されておりますかどうですか。
  160. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) この問題は先般参議院の本会議でも御質問がございまして、お答えをしておつたのでございまするが、若干問題のあることは了承しております。併しながら調べてみますると、それぞれの理由があるのでございまして、法律の上におきましては法律は勿論適用さるべきであり、適用されているのでありますが、恐らく東重工あたりの問題を御指摘になつていることと存じますが、これも調べてみますると、やはり工場としては不適当であるということで解雇になつているわけであります。その内面におきましてはいろいろ軍との関係もあつたようであります。いろいろありましたけれども、軍と工場との間にいろいろ契約があつたようでありますが、それはもう内部関係でございまして、幾らどんな契約があろうとも、その契約が労働法に優先するというわけのものじやございませんので、我々としては法律の建前は飽くまでも守らるべきものだと考えているわけであります。
  161. 内村清次

    ○内村清次君 そうしますとこの行政協定によつて当然今後の労働者対資本家の対立というものは労働三法によつて、国内法によつて規律されて行くということはこれは明らかでありまするが、実質的におきましても労働大臣としてはこれは厳重に監督をして行くという点は、これは確信してよろしうございますか。
  162. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 勿論でございます。
  163. 内村清次

    ○内村清次君 最近山口県の宇部の工場が一カ月以上に亘つて労働争議をいたしておりますが、労働大臣のお耳に入つておりますかどうか。
  164. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 聞いております。
  165. 内村清次

    ○内村清次君 この点につきまして内容も聞いておられるならばよく御存じでございましようが、これは勿論労働大臣として只今意見を求めることはこれは無理かも知れませんが、こういう事態につきまして、これは労働大臣のはつきりした意見ということでなくて、こういうような実質的な事態というものは、これは相当労働大臣といたしましても関心を持つて頂きたいと思うのですが、何か調査か何か直接に労働省から派遣されたというようなことはありませんか。
  166. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 私の聞いておりまするところによれば、この宇部窒素の問題は企業合理化の面で相当の整備縮小をしなければならないというところから整理をしているのであります。この中には勿論退職希望者もございまするし、中には成績がよくないということで整理されている問題でございまして私どもの調べましたところにおきますると、別に不当労働行為があるとは考えられません。而もこの問題は一地方の問題でございまするので、目下山口の地方労働委員会が間に入りまして斡旋をしておるようでありまして、暫く私といたしましては地労委に斡旋を任せたい、かように考えております。
  167. 内村清次

    ○内村清次君 最後に一点お尋ねしますが、今回の労働法令の審議会の答申案のうちで、特に労働者の基本権が遂に妥結をしなかつたと、こういう事態は昨日の吉田君の質問の中にもあつたわけであります。私は特に公共企業体の労働関係にある人たちの罷業権の問題というものは、これは勿論占領政策中の考え方と、それから独立後の日本の労働組合のあり方と、こういうことは根本から一つ政府は頭を切換えて臨んでもらいたいと思うのですが、この公共企業体の関係の罷業権の問題に対してはどういうようなお考えを持つておられますか。
  168. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 公共企業体の罷業権の問題は、これは占領下であるとないとにかかわらず、その性質上これは罷業権を認むべきじやないのじやないかと私はかように存じております。併しながらこれらの企業体の従業員に対する労働條件というものは、何らかの合理的な機関によつて決定されて行くということは私望ましいと思つております。従いまして罷業権は認めないけれども、そういう合理的な機関によつて解決するという方途はこれは考慮すべきであろうとかように考えております。
  169. 内村清次

    ○内村清次君 その点ですが、この罷業権は認められないとこういうようなお考え方自体が私はお考えを変えなくてはいけないではないかと思う。勿論労働大臣も御承知通りに、労働組合品こそ本当に最近の民主的な運営というものはこれは私は相当進歩して、六年側の間進歩しておるのだと思うのです。で、勿論公共企業体自体の重要性ということ、公共性ということは十分頭に入れた運営というものがなされておるのだ、それを憲法二十七條の問題を今なおあなたがこれを拒否して行くというお考え方は、これは一つ考え直しをして頂いて、そうして勿論企業の重要性によつて今後のいわゆる罷業にならばいような民主的な運営、労資の関係、こういう関係を規正して行く。又国は国の立場からこれを規正して行くというようなことにお考え直しはできないものであるかどうか、その点を一つ……。国務大臣吉武惠市君) 御指摘のように、今日の公共企業体等におきます労働組合の状況は非常に改善されたと私も思つております。併しながら、この公共企業体は御指摘のように公共性の非常に強いものでございまするから、罷業権を認めたと申しましても、なかなか罷業のできるものではないのであります。そうして大体罷業権というものは労働者の労働條件の維持改善というためにあるのでありますから、それが目的であるならば何も罷業権でなくても合理的な機関を設けまして、それによつて公正に解決して行くということができれば、それで目的は達せられるのじやないかと、かように私は存じております。
  170. 内村清次

    ○内村清次君 運輸大臣一つお尋ねしてみたいと思います。勿論これは大蔵大臣とも関連する問題でもありますが、そのときによつて大蔵大臣を指定して行きたいと思います。運輸大臣質問に当りまして、実はすでに新谷君あたりからもお話になつておりますが、私が一番心配をいたしておりますことは、今回の政府の造船に対するところの三十万トン建造、これが先ほどからの御答弁におきますると、やはりつまるところは市中の銀行の金融というものが起つて来る。この点はもうすでに御答弁済みでありまするが、内地関係の造船能力というものが建造計画よりも上廻つておる、こういうところと、それから現在まですでに政府の計画によつて中小のドックを持つたところの造船所というものが潰れてしまつておる。こういうような潰れたままでもう企業を転換して行くという考え方は、それは或る一部にはあるようですが、又できれば一つ将来の造船の進展を考えてやはりその企業を持続したいというような希望が旺盛のようでありまするが、こういう中小の造船関係に対しましてどういう対策をとつておられるかどうか、この点を一つお伺いしたいと思います。
  171. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 成るたけ簡單一つお願いします。
  172. 村上義一

    国務大臣(村上義一君) 造船能力につきましては、現在日本の内地船の建造及び若干の外国注文船の建造は大体において適当な状態にあると思うのであります。船台の使い方につきましても、二十七年度の新船の建造につきましても大なる支障を来さない。併しながら直ちに着工し得るかどうか、着工し得るということは困難だろうと思いまするが、数カ月のうちには着工し得るという実情にあります。で、今までに業務を停止し、廃止した造船所をどうするかというお尋ねであります。とにかく従来海軍工廠というものもありまして、あの厖大なる日本の海軍を維持して行つた造船所をすべて維持して行くということは、実際の問題として至難であろうと思うのであります。
  173. 内村清次

    ○内村清次君 それではお話の辻棲が合わないようになるのでありますけれども大蔵大臣実は。
  174. 和田博雄

    委員長和田博雄君) あなたの持時間もあと十分ですから、その間におやりになつて、大蔵委員会のほうでちよつと待つてもらいますから……。
  175. 内村清次

    ○内村清次君 ああそうですか。運輸大臣は鉄道関係に御造詣が深いですが、今回の予算を見ましても二千億の予算が組まれておつて、約三百億ばかり前年度よりも多いのですが、各項目を見てみますると、私はこれでいいのであろうか。国鉄の即ち今後のあり方というものが、これでいいのであろうか、こういうふうに心配しておる一人でありますが、運輸大臣はどうお考えでありますか。
  176. 村上義一

    国務大臣(村上義一君) 御承知通り昨年運賃率の引上げをいたしました。收入の増加をしておるということはもとよりのことであります。今内容を見てこれでいいのかという御質問でありまするが、いま少し具体的なお話を伺いたいと存じます。
  177. 内村清次

    ○内村清次君 これはもうすでにあなたはよくその御造詣が深いのですから、一体国鉄の予算をお見になりまして、これで国鉄というものは復興して行くであろうかということをお聞きしたわけですが、まあ具体的にとおつしやれば、これは国鉄のほうから国鉄は復興したでしようかというようなパンフレットもこう出ておるのですが、この中を見てみましても、国鉄というものは決して復興しておらないのだと、国鉄は即ち蛸の足を食つて国鉄は自然に衰亡しておるのだという、このパンフレットが出ておるのです。でこれの特に又この復興面におきましての問題は施設関係施設関係がどうしてもこの工事勘定の四百億の金では、これでは復興しないと、こういうふうな結論が出ておるのですが、そこで大蔵大臣にお尋ねしたいのですが、今回の大蔵大臣の御裁量によりまして、国鉄のほうの借入れましたところの金というものは、前年から四十億だけ減つておるのですね。この減つておるという四十億というものは、どういうお考え大蔵大臣は国鉄のこういう、復興ができておらない、蛸の足を食つておる現在の状態に対してお考えが及ばないのか。私たちはまあ残念に思つておるわけですが、どういう理由でしよう。
  178. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 国鉄の資金運用部からの借入は前年百五十億円で今年百十億だと思います。御承知通りその資金源の資金運用部におきましては、千億以上の金を各会社或いは地方等に出すのであります。昭和二十七年度におきましても、前年度五百億円の地方債の枠を六百五十億円にするとか、或いは農林漁業金融のほうに相当の金額を出すとか、国民金融公庫が各方面から非常に種々の要求がありまして、どうしても去年これだけ国鉄に出したから、どうしても今年はこれ以上出すというわけのものでもないので彼此勘案してやるよりほかない。例えば電通関係のほうも私は昨年百六十億円だつたと思いますが、今年は減つて百三十五億円になつておる。鉄道と電通との関係を見ましても、これはもう電通のほうはこれで回復しただろうか、復興しただろうか、という報告のパンフレットが出ないほど復興には遠い。国鉄なんかはそれに比べますと、或る程度復興の兆しさえ相当強く出ておるのじやないかと思います。而して百十億円にいたしました関係は国鉄の料金を引上げました関係上、又その他の点から申しまして、工業勘定の金が相当あるのであります。従つて資金運用部からの四十億円の減は工事勘定のほうで減らさないように償却その他の資金が廻つておると考えております、正確な数字は覚えておりませんが、大体この程度施設の改善等をやつて頂かなければ、それはもう各会計から、農林漁業金融へ二百億円出すのを削つて国鉄に出すということにはなかなか困難だ。殊に昭和二十六年度は金融債として三百億円予定しておつたのを大蔵省関係の金融債は全部予算から削つてこれをほかへ出しております。大蔵省は今後貯蓄を増強すれば、そのとき大蔵省関係の金融債はもらえるでしようというので、私は三百億円の既得権を大蔵省は全部零にして、そうして各会計へ国鉄とか、電通とか農林漁業こういうところに出しておる状況であるのであります。出るところは一つよりほかありませんから、そう金はございませんので、或る程度はお考え、願いたいと思います。
  179. 内村清次

    ○内村清次君 その点が私は二千百億とかいうような厖大な、防衛関係費の余波というものはやはりそこに来ていやしないか、見返資金は先細り、予備金のほうは先ほど言われたようにそれを絞つて、金融債のほうの三百億もこれは切つてしまわざるを得ないような状況になつておるのでありますが、併しこの鉄道関係といたしましては、施設でもはつきり言つておりますように、現在修理を復興して行かなければならないような推定価格が、これが九千二百二十億円、これを新品価格にしたならば一兆七千五百十九億円の金が要るのだ、こういうような状態で、毎年三百五十億或いは今回は四百億になつておりますが、こういうような金では蛸の足を食つておるのと同じになり、その復興というものはなすつておらない。こういうようなふうの本当に、真に迫るという状態があり得るのです。それをやはり大蔵大臣のほうは自分の手許に金がないのだ、金のないということは先ほど私が言つたような状態でやはり逼迫されておるのだろうと思うのですが、それでは鉄道債券の発行を許すというようなお考えはないのですか。
  180. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 内村さんは防衛費が千八百一十億円要るから国鉄が復興できないとこういうようなお考えでございますが、防衛費のほうは一般会計でございまして、国鉄のほうは独立採算制で自分のところへ入つたものは自分のところの施設に使用するとこういう恰好になつておるのであります。ただ昨年は二十億円だけ例外的に出しただけでありまして、建前といたしまして国鉄は国鉄、電通は電通で独立採算制で行くという皆さん認めたあれでございますから、一般会計のほうでたくさん金が要つたから国鉄へ出せないということは、建前がちよつと違つておると思います。而して蛸の足を食うということでございますが、国鉄は厖大な資産を持つておる。これは何千億円というものであります。これの修繕費その他が要りますので、一応私はこういう事業会計におきましては、償却をして金をためておかねばならん。改善その他に持つて行かなければならない償却資金も、実は昭和二十六年度では二百億円足らずか百九十億円であります。この二十七年度におきまして、三百億を越える償却資金を計上いたしましたのです。それでこれを工事のほうに向けております。こうなつて来るのでございますから、昨年度に比べまして、昨年度は百七十億円もの償却金とそれから資金運用部からの百五十億円とこうなつております。今年は三百億円余りの償却金と百十億円の資金運用部でございますから、工事勘定においてそう支障はないかと考えております。  そこで一つ鉄道公債を出したらどうかという御質問でございますが、鉄道のほうで金が足らないから、自分のところは鉄道公債を出そう、それから電通のほうは電通のほうで俺のほうも電話をたくさん付けたいし、かからん電話をよくかかる電話にしよう、そのためには電通公債を出そう、それから又各会計が、事業会計がそういうような公債を出すことにいたしますと資金計画ができません。私はその緊要な産業につきましては、やはり一本で資金運用部に金を入れる、で資金運用部から出して行く。従いまして最も急を要します電力開発につきましても、これは貯蓄債券を出しまして六十億を予定いたしております。これで電力回復のほうへ持つて行こう。併しそれ以前において電通とか鉄道には戸数十億円出す、こういうのであります。各機関がまちまちに公債を出しますと、條件が競争になつたり、資金の元というものが、国債市場、社債市場の統制がむずかしくなりますので、それで鉄道公債とか或いは電通公債を個々に出すということは御遠慮願いたい、こういうので認めないのであります。
  181. 内村清次

    ○内村清次君 大蔵大臣……。
  182. 和田博雄

    委員長和田博雄君) もう時間がありませんから。
  183. 内村清次

    ○内村清次君 大蔵大臣のそれは一般会計と特別会計は違うのだと、それはよく存じております、存じておりますがね、とにかく一般会計から私たちは、それは国有鉄道でありますから、勿論独立採算ではありますが、そういう資本的な問題に対してはやはり面倒を見てやらなければ、戰災を非常に受けたところの復興を早くさそうという気持があれば……。その点の考え方は残つております。残つておりますが、私が申しますのは、いわゆる一般会計の中でも産業の投資というものが七百二十億も今回は少くなつておる。そういうようなところの埋め合せとして、政府の資金計画というものがやはり無理をしておるからである。こういう鉄道関係の復興に対しての資金繰りというものが、やはり大蔵大臣は昨年よりも四十億も少くされた。こういうことはもう明らかなことでありまして、四十億も少くされるということは、これは本当に情がなさ過ぎるじやないか、鉄道の復興に対しての熱意というものがないのじやないか。一体ごの動脈を、経済を再建するのだとか、或いは又文化を発達させるのだとか、こういうようなお品を持つていらつしやる大蔵大臣だつたならば、なぜごの現状を打開するような方法をおとりにならないか。国鉄は、それはコストを考えておる、運賃も考えておるでしよう。おりましようが、その運賃の問題で、独立採算というものは現在は非常にむずかしいような状態でしよう。それではどうですか。大蔵大臣はまだ国鉄のほうは運賃を上げてもよろしいのだと、運賃値上論のほうに御賛成ですか、どうですか。
  184. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は税金をたくさん取つて国鉄のほうへ出すという考えはございません。然らば一般会計のほうで産業資金を出しているじやないか、投資をやつているじやないか、これは收入のないところの機関を以てやつておるのでありますから、止むを得ず一般会計から出して将来の産業復興に費する、そうして事業会計のほうは主として資金運用部から出すことにいたしておるのであります。昨年より激つたと、一昨年はどうか、こう来なければなりません。昨年より減つたということは、先ほど申上げましたように、国鉄で自分で賄い得る償却資金、即ち償却積立金と申しますか、これが百九十六億から三百四億か何億に殖えた。百十一、二億殖えました。それを見合いにいたしまして、去年は百九十億と百五十億、合せて三百四十億、今年は償却の三百億と資金運用部の百十億、四百十億その他、こういうことで行つておるのであります。従いまして国鉄が今どうしても施設を改善し強化するためにやつて行けないとすれば、運賃を上げるよりほかにいたし方ありますまい。国民の税金を取つて出す気持はございません。  そこでどうしても殖やさなければならんかという場合において、資金運用部のほうの金がどれだけ国民の貯蓄増強によつて集るかということを見合いにして、これは運賃を上げなくても、国鉄のほうの増收によつてカバーできるかも知れません。結局私は先ほど申上げましたように、資金運用部でこれだけしか集らんから、大蔵省関係の金融債三百億去年あつたのを、これは私のほうはやめましようといつてやめて、その他の会計べ出した。然るところだんだん租税收入も維持し、貯蓄の状況もよくなつて参りました。そこで私は昨日も発表したように、金融債とは行かんけれども中小企業或いは産業資金などに百五十億今月中に出そう、こういうことを声明したのも、その状況によつて出し得るようになつたからで、初めからこういう仕事をしたいから金をどんどん出すということは、これは金が集らなかつた場合にはインフレになりますから、大蔵大臣としては、初めははつきりした見通しのつくことを見てそうしてその後の状況経済界の状況、金融界の状況によつてできるだけ強化拡充したい、こういうのであります。ですから私は運賃を上げて国鉄の設備改善に充てることがいいか悪いかということにつきましては、私はそういう最後の手段に訴える前に、もつと鉄道の收入を殖やし、或いは貯蓄によつて鉄道のほうへ廻せるか、こういう問題を研究するのが必要じやないか。私は国民の一人といたしまして、国鉄の増強のために増税するということは私は賛成いたしません。徐々にやつて行きたい、こう考えております。
  185. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 皆さんにお諮りいたしますが、これで大体一般質問質問通告者の質問は、棄権されたかたもありますので、ほぼ済んだわけでありますが、先般当委員会から政府に要求しておりました防衛力漸増計画に対する回答が実は書面6参つたわけであります。これの説明を大橋国務大臣から聞きたいと思うのでありますが、今小委員会を開いておりますので、その関係もありますし、その間理事会をちよつと開きたいと思いますので、暫時休憩いたしまして、四時に委員会を開いて説明を聞きたいと思いますが、よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  186. 和田博雄

    委員長和田博雄君) では四時まで休憩いたします。    午後三時四十六分休憩    —————・—————    午後四時十五分開会
  187. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 委員会を再開いたします。  只今理事会を開きまして今後の運営につきまして相談しました結果を御報告申上げます。  今日は今お手許に配付いたしました「自衛力漸増計価について」のこの資料の説明を求めまして、この自衛力の漸増計画の資料は戰力の問題に重大な関係のあることでありまして、御承知のように戰力と行政協定の両問題につきましては、只今委員会が開かれておりますので、当委員会としましては本日はただ説明を聞くごとだけにとどめまして、小委員会の報告を明日の午前に聞きまして、その際当委員会としまして只今お手許に配付しました「自衛力漸増計画について」の質問をいたすことに理事会として決定いたしましたので、さように取計らいましてよろしうございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  188. 和田博雄

    委員長和田博雄君) それではさように取計うことにいたします。  大橋国務相からこの資料の説明を求めます。
  189. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 先般和田予算委員長より政府に対しまして自衛力漸増計画の全貌について資料を提出するような御要求を頂いたのでございます。政府といたしましては、警察予備隊は直接戰争を目的としたものではなく、国内治安の必要から編成をいたしておるものでございまして、これが直ちに御要求になりました自衛力そのものに該当するや否や、多少研究の余地があるとは存じておりまするが、併し今日国内におきまして自衛のために持ち得るといたしまするならば、この警察予備隊が差当つて考え得る唯一のものと存じまするので、それについての今後の拡充計画を御説明することが適当であると存じましてこの資料を提出いたした次第でございます。  この警察予備隊につきましては御承知通り一昨年八月、七万五千人を以て発足いたしまして、今日まで人員を充足いたしたのでございますが、今年度におきましては諸般の情勢に鑑みまして十一万に増強する必要があると存じまして、予算案として御審議を願つておるのでございます。これに伴いましては当然に現行警察予備隊令を改正する法律を必要といたすのでございまするが、これも近く提案の運びに相伐つておるのでございます。この十一万の増強以上になお今後の国内の治安並びに財政事情等ま考慮いたしまして、必要であり又許され得るならば、政府といたしましてはなお増強いたしたいという考えを持つておるのでございまするが、併しながら何分将来のことに属しまするので、今なお研究の段階にありまして、具体的計画として資料によつて申上げる程度に達しておらないのでございます。即ち現在具体的計画といたしましては、人員は十一万の増員以外に決定いたしたものはございません。  次に編成でございまするが、現在の警察予備隊の編成といたしましては、全体を統括いたしまする総隊総監部の下に四つの方面隊並びに総隊総監部の直轄部隊、こういうふうなものから成つており、又管理補給諸部隊というものがあるわけでございますが、今回増強される三万五千を以ちまして只今の構想といたしましては、方面総監部一つを増員いたしたい、この方面総監部を増員いたしますると、これによりまして約一万五千の人員を必要といたすのでございます。で残余の約二万名は現在管理補給諸部隊並びに直轄部隊が不十分でございまするので、この増強に充てる計画をいたしております。なお特に幹部の指揮能力及び技能の向上を図りまするために学校等の整備をいたして参りたい。同時に今後の警察予備隊の幹部は、できるだけ警察予備隊自体で新らしく養成する必要があると心得ております。今日までの幹部といたしましては、一般隊員から募集をいたしました者の中で、試験によつて選考をいたし幹部に任用いたした者、又従来の官庁その他の実務の経歴から見まして幹部の資格ありとして幹部に任用いたしました者、並びに昨年八月以降におきましては、逐次追放解除になりました陸海軍旧軍人の中で中佐以下の階級にあつた人々約一千人、こういう人たちを以ちまして幹部を形成いたしております。もとより今回の増員に際しましては相当多数の幹部を採用する必要がありまするから、これらの幹部に直ちに任用いたしまする者につきましては、同じような分野から選考をする必要があると存じておるのでございます。併し将来に備えまして、警察予備隊みずからの手によつて新らしい幹部を教養する必要があるこう考えまして、特に新らしい幹部の養成のための教育施設に全力を注ぎたい、こう考えている次第でございます。  第三の装備について申上げます。現在警察予備隊において米軍から貸興せられておりまする武器といたしましてはカービン銃、ライフル銃という機関銃、バズーカ並びに若干のピストル、こういうことに相成つております。これらの武器はいずれも米軍貸與にかかるものでございまして、ここ暫らくはこういう状態を以て行かなければなるまいと存じております。殊に三万五千名二十七年度において増員される者に対する武器の装備も又米国から借受ける以外に方法はない。こう考えているのであります。ただ警察予備隊が実際米軍より貸與を受けておりまする武器を借りるやり方というのは、従来は総司令部の民事局所属に警察予備隊に対する米軍の顧問団ができておりまして、これは中央から現地部隊にまでこの顧問団が駐在いたしまして、現地部隊についてまで指導をいたしているのであります。そこで武器は米軍の顧問団が全面的に管理をいたし、その現地の顧問がその責任において保管をいたしてありますものを警察予備隊の隊員の個人に使用せしめる。こういう形をとつておりましたので、従いまして武器の保管並びに管理という面につきましては、日本側の諸機関は何ら責任を負うことなく、又保管の事務についても關與いたしておらなかつたのでございます。併しながらこの方式につきましては米軍側においても甚だ不便である、こう考えておられまするし、又日本側といたしましても、隊員各個人が直接に米軍顧問団から使用の許しを受けるというやり方は、監督上又部隊の管理上不適当でございまするので、日本側の機関が米軍から一括して中央において引渡しを受け、これを今後は各部隊に、日本側の機関に対して管理の責任を命じ、そうして管理者より部隊において借受けて使用する。こういう形にいたしたいと思いまして、これらの点につきまして只今米軍側と事務的な打合せをいたしているところでございます。武器以外の車両、通信機等につきましては、現在においてもすでに国内生産のものを使用いたしているのでございまして、これは今後も又こういう方法を続けて参るつもりでございまするが、現在の状況では部隊として必要とするものは未だ十分充足いたしておりませんが、二十七年度予算の実行に伴いまして、大体車両、通信機等については十分なる装備を完成し得るものと考えているのでございます。  なお今日警察予備隊といたしまして最も不便に感じておりますのは、適当なる演習場の施設を持つておらないということでございます。特に演習のための訓練につきましては、米軍の使用いたしておりまする演習場を借受けて使用する、或いは又他の公共団体等の管理いたしておりますのを一時借受けて使用するというような状況でございまして、これにつきましては速かに固有の演習場を持つて自由に演習を実施するということが必要であるわけでございます。従来警察予備隊の訓練といたしましては、一昨年八月以来数次の予定を立てまして訓練を続けて参つております。当初は各個訓練即ち個人個人の動作の仕方であるとか或いは武器の操縦方法、こういう訓練でございましたから、そう広い演習場を必要としなかつたのでございますが、昨年の春頃から漸次部隊單位の訓練を実施いたしております。只今のところは大隊單位、即ち約千名程度を軍位といたしまする訓練をいたしておるのでございまして、これがためには最小限度二十万坪乃至二十五万坪くらいの敷地を必要とするように相成つておるのでございます。将来更に連隊軍位或いは方面單位の訓練を実施するということに相成りますると、数百町歩或いは数千町歩という広大な地域がなければ十分な訓練ができないということになるかと存ぜられますので、今年度におきましては、この演習場の獲得に工夫をしなければならない、こういうふうに考えておる次第でございます。  警察予備隊の漸増計画につきましては以上の通り御回答申上げます。
  190. 左藤義詮

    左藤義詮君 ちよつとお伺いしたいのですが……。
  191. 和田博雄

    委員長和田博雄君) それは理事会におきまして、明日の朝小委員会委員長の報告がありますから、そのときに当委員会で皆さんに質問してもらうようにいたしますから、今日はこのまま……。
  192. 楠見義男

    ○楠見義男君 一点だけお尋ねいたしたいのですが、警察予備隊のほかに海上関係の漸増計画というものの御説明を伺う機会はないのかどうか、これを伺いたいのです。
  193. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 海上保安庁におきましても今年度約六千名の増員、又この増員と併せまして米国より約六十隻の船舶の貸與を受けるという計画がございます。これ以上の計画只今ございませんが、この計画の内容につきましてはやはり御説明の必要があると心得ておりまするが、誠に恐縮でございまするが、只今資料が参つておりませんが、もう二、三十分すると参るかと存じまするから、これはいずれ来次第に委員長のお手許に差上げまして、なおこれの説明につきましては適当な機会を作つて頂くことにいたしたいと思います。
  194. 和田博雄

    委員長和田博雄君) ほかに別に御発言がなければ、小委員会のほうをこれから続行してもらわなければなりませんので、相当時間も取るかと思いますので、委員会としては。
  195. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 ちよつと質問いたしたい。
  196. 和田博雄

    委員長和田博雄君) これに対しては……。
  197. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 これに対する質問とは違います。
  198. 和田博雄

    委員長和田博雄君) あなたの関連質問は明日許しますから……。
  199. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 いや、関連質問と違うのです。
  200. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 議事進行上の質問ですか。
  201. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 そうです。(「理事会の決定通りつてもらいたい」と呼ぶ者あり)
  202. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 理事会で決定しまして、それは皆さんの御承諾を得ておるわけですから、今日はこれで委員会は散会したいと思います。  ただ散会の前私は政府に要求しますが、今私も尋ねようと思つたのですが、海上保安庁の資料はもうあと二十分でできるなら、小委員会のほうへ是非持つて行つて説明をしてもらう。この点については一つ委員のかたがたも御了承願いたいと思います。    〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕
  203. 山下義信

    ○山下義信君 異議あります。それは当委員会の要求した資料でございまして、小委員会の資料じやございませんから、それはやはりここへ出して頂いて……。
  204. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 委員会へも一応出してもらいますけれども、説明は向うでも十分してもらう…。
  205. 左藤義詮

    左藤義詮君 説明はここでしてもらいたい。
  206. 和田博雄

    委員長和田博雄君) それじや明日の朝にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十二分散会