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国務大臣(
池田勇人君) 昨夜マーカツト少将に会いました。向うへ行かれて又帰られたのですが、私病気をしておりました
関係上会う
機会がなかつたのであります。昨夜会いまして、明日は
一つゆつくり話をしようということで、今日、今日は定例
会議日でありまして参りました。外資導入のあのマーカツト声明の問題、吉田総理の答弁並びに吉田総理の答弁の直後私がこの席で答弁いたしましたのを全部知
つておりました。で私の意見とマーカツト少将の意見は完全に前から一致いたしております。そこで今日もいろいろな
お話をいたしまして、帰るとき、どうせこれは帰ると参議院の
予算委員会でこの問題を話しただろうというので、こういうことで聞かれるから、自分の思う
通りに僕は話しすると、こう申しましたところ、それでいい、自分の真意はこうだと
言つて、自分で紙に三点書いてくれました。そのときにも申上げたのですが、総理がマーカツト声明は関知せずと言つたことは、これは言葉が足りなかつたと思います。総理も
言つておりましたが、これはマーカツト少将の声明はマーカツト少将の声明、このマーカツト少将の声明を
如何に新聞が取扱
つて、見出しに載せるとい
つても、そういうことには関知せん。こういう意味と了解し、マーカツト少将もそれを見抜いております。そこで私は新聞に載
つておりました詳しい内容は知
つておりません。見出しをずつと各新聞のを見ますと、それで私の
考えは、この前もここで申上げましたように、
日本が外資の入るような道を作り、資格を作り、いわゆる向うが納得して来るような
計画を持
つて行けば、私はこれは日米協力の
関係から入
つて来る。これは言葉を換えて言えばコンマーシャル、ベースというもので入るのだ。とにかくどれだけの外資をや
つてそれがどういうふうに使われて、そうしてそれが
日本の
経済の
発展或いは自由
国家群の
発展にどう寄與し、そうして元本、利子がどういうふうに返るのかということならば、これは外資は来ます。これが一点。
第二の点、今外資々々と
言つておるけれども、外資がここに積まれたからといつた
つて例えば二億ドルの外資が来て、その外資を目安にして円を出したならば、
日本はインフレになる。そういう外資の導入というのはなかなかむずかしいだろう。これは私もこの席で木村
委員にお答えしたように、ドルが要るんじやない、
日本の国内の生産力を増強するために、輸出が減
つて外貨の支拂に困ることがあることを予想して外貨を入れる。或いは外貨があればそれによ
つて産業の近代化、その他向うの資材或いは機械等を輸入したい、こういうふうなあれであります。外資を積んでおくための分で、而も円資金の放出になる分であつたならば、これは意味をなさない。
第三の問題は、誰もが政治的借款ができるとかできないとかということは言えない。ノー・マン・キヤン・プロミス・オアでない。ポリテイカル・ローンズ・ザツト・イズ・アップ・ツー・ザ・コングレス、これは国会の問題だと、ここに
はつきり書いて私に渡しました。その意味であります。今のところマーカツト少将は、これはアメリカでも国会でこういうことを
言つて承認さしたということはなかなか……あつたかないか知りませんが、言えない。こういうことを
言つておる。政治借款というものは、これはコングレスでやるべきであるとい
つて三点を言つたのであります。私は誤解のないように申上げますが、とにかく
日本がこういう
計画で、こういう金が要り、こういう資材が要る。これがどういうふうに
日本の
経済力を高め、
日本の
生活水準を高め、そうして世界
経済に寄與して、そうして元本も入るという見通しがあれば、これはいわゆるコンマーシヤル・ベースで外資を導入する。又そういうことを期待いたしまして、それが民間であろうが向うの半官半民のあれであろうが、或いはワールド・バンクであろうが、その準備を我々
政府としてはいたしておるのであります。で、私は一概に外資の導入が駄目になる、これは
政府の
責任じやないかというような
議論にはまだ承服いたしません。これから我々の努力で外資が入
つて来る。それは先ず民間の問題にいたしましても、私は最近も
日本の実情から今のような外資法では入らない。早く変えなければならない。これは日米商工
会議所の
会議のときもこの問題をしやべりました。あれは非常に好感を以て迎えた。我々は外資法を変えれば
相当来ると思う。現に輸出入銀行から四千万ドルの綿花借款がある。綿花借款に限らず、向うの機械等を借款することはこれは望みなきにあらず、国際開発銀行とのコネクシヨンはございませんが、MIFに入つたならば、これは山田さんの御承知の
通り入り得る道がある。こういうことから
考えまして、政治借款については衆議院の
予算委員会におきましても、私から何とも言えないと
言つておつたのであります。私はあの手この手で
日本の
復興を急速にするためには、外資が絶対に必要だとは申しませんが、急速にやるためには必要でありましてこの前も答弁しましたように望みなきにあらず、大いに望みありとして努力いたしたいと
考えております。