○
吉川末次郎君 まだ甚だ腑に落ちないことが極めて多いのでありますが、結局
吉田さんの御
答弁から推断いたしますというと、
憲法第九條によるところの
戰力は保持しないということは、これを否認して、そうしてやはり
日本が
戰力を保持しなければならない、保持するようにするということは結局時期の問題であるというように、まあこの間のお
言葉に対しては否認的な釈明を今日せられたのでありまするけれ
ども、これは一時的の言い逃れであ
つて、結局はいつの日においてか、やはり先般の
委員会で御声明になりましたような
戰力保持の挙に及ばれるということは、これは時期の問題に過ぎないというようにまあ解するほかないと思うのでありますが、それについての御
答弁はあえて重ねて要求はいたしません。
最後にただ一言だけ申上げておきたいことは、
総理大臣である
吉田さんが、最初に申しましたような極めて何と申しますか、無責任と言うと語弊があるかも知れませんが、少くともまずいところの声明をおしにな
つて、今日それを釈明しなければならんというようなことになりましたことは非常に遺憾でありますが、それは私は基本的に
吉田さん、及び
吉田さんによ
つて代表されておるところの現
内閣というものが、この
憲法を誠実に履行して行かなければならん、そうして、そのためには本当に心からこの
憲法の精神を生かして行こうというところの精神が、十分に確立されておらんことから来るところの
一つの結果が、私は今度のことに暴露されたのではないかと、このように
考えざるを得ないのであります。議論はすべて省略いたしますが、結局今日までの
吉田内閣のなすところを見ますというと、
憲法というものを少しも尊重しておらん、新
憲法の基本的精神は民主主義である、即ち人民主権の
考えでありますが、
吉田さん初めその他の閣僚諸君が、この従来の旧
憲法、明治
憲法の基本的精神でありましたところの国家主権、或いはそれと結付く君主主権というものと対脈的な立場に立
つておるところのこの人民主権というものの精神というものを、基本的に私は少しも理解しておらんと断言しても決して間違いではないと思うのであります。
憲法を本当に守るというところの誠意を持
つていらつしやらない。それでこの間の
委員会で私は專ら論点をそこにおいてお尋ねいたしましたところのこの行政協定というものが、広義におけるところの立法形式においてこれは違憲である。即ち
憲法七十三條によるところのこれは條約であるということについて
吉田総理の
答弁を促しましたところが、條約にはこの
国会の承認を要するところの條約と要しないところの條約があるというような奇妙な御
答弁があ
つたのでありまするが、そういう條約に、一は
国会の承認を要するものであり、一は
国会の承認を要せざるところのものであるというような、
国会の承認を要せざるところの條約というものは、これは七十三條の解釈上絶対にあり得ないものであります。
従つてあの行政協定を
国会の承認を求めるの挙に出られないということは、これは明らかに
憲法違反であると思います。でありまするから、これは二院制度の運営の立場から、今日第一院である衆議院が、無理でも何でも通しているところの與党が多数であるのでありますから、参議院においてこの違憲性ということを明白にして、私はこれを飽くまでも七十三條の條約であるから
国会の承認を求むるの挙に出るべきであるということの決議を、何らかの機会において参議院がして、そうしてこの
政府の違憲性というものをば質し、そうしてこの新
憲法を守らなければならないと思うのであります。そのことについて、そういうところの行政協定を
国会の承認を求めないのは、これは
憲法違反であるという決議案が参議院において成立したときにおいて、
政府はどういう態度に出られる御所存であるかということを
質問いたしまするというと、
吉田さんはそのときにな
つて考えますと言われたのでありますが、これは今度のこの第九條違反の問題に関連して三名が申しましたことをば、そのときは満幅の自信を持
つて答えておかれながら、後日にな
つてそれは間違
つてお
つたのだというような態度に出ておられると同じように、参議院がこの違憲性を衝いてこれは違憲であるということの決議をいたしましたときに、又今日と同じように、前にはたびたびこれは違憲でない、
憲法七十三條によりまして承認を得なければならないところの條約ではないという立場に終始しておられるのでありますが、これ又このような無責任な態度と同様に、そのときにな
つて、これは前にはそう言いましたけれ
ども、これはやはり
国会の承認を経るものでありますというような御声明を今度おしにな
つたところで、これはもう絶対に世間も
国会も許さないだろうと思うのでありますが、どうぞそのときにはです、私は多分にその決議案が参議院において、参議院議員の諸君が
憲法は守らなければならんものである、その行政協定の内容がどうであるということはこれは別個の問題で、その手続においてこれは
国会の承認を得るべきものであるということは、このことは当然なのでありますから、そういう決議案が
通りましたときには、どうぞ今日のような醜態をもう一度繰返すことなくして、潔く総辞職して
国民に対するところの責を明らかにして頂きたいということを希望申上げまして、問いたいことはまだたくさんありますけれ
ども今日はこれで終ります。