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政府委員(東條猛猪君) お話の
通りに政府の
会計事務が相当終戰後複雑化して参つたという事情はございます。一例を挙げて申上げますれば、
経費の実際の支弁におきまして、契約段階と支拂段階におきまする場合におきまして、従来は契約を中心といたしますところの支出負担行為、それから支拂それから又実際の支拂に
当りまして小切手で支拂いますことは御承知の
通りでありますが、この三段階に亘りまして、その都度
会計の経理が適正に行われるように、いろいろ事前の承認制度或いは監査制度等ということがいろいろと研究いたされました結果、一番制度の複雑いたしましておりますときにおきましては、三段階におきましていろいろと大蔵大臣或いは各省大臣或いは支出官等の段階におきましてチエツクが行われるということは御承知の
通りであります。これは
関係方面でもいろいろ日本の
会計経理の建直しが必要である、終戰後
会計経理が非常に紊乱をしている、是非ともこれを建直さなければならんという措置方針に基きまして相談の結果、そういう制度がとられたのでありますが、そういうことを実施いたしてみますと、又一面におきまして非常に手続が煩雑化する。それでその手続の煩雑化に比べますと、当初の狙いといたしておつたところの適正化の効果を上げるということと、彼此勘案いたしますると、どうも手続の煩雑化の場合が多いというような観点から、まあ政府といたしましては、いろいろ
関係各省の間でいろいろ研究いたしまして、この事務の簡素化ということにはできるだけの努力を今まで続けております。例えば小切手の認証ということは
会計法でいたすことに
なつておりましたのでありますが、かれこれ三年ぐらい前から、この停止ということで、実際上これはいろいろ
関係がありますから、停止ということにいたしたのでありますが、この事務は中止をいたしたわけであります。それから支出負担行為の承認の制度と、支拂計画の承認の制度という、この重複の
関係でありまするが、従来の、その当時この二重制度をとりましたときには、政府が金を拂わなければならんということに
なつて、いろいろ
予算があるとか、或いは
経費が不足するといというようなことを騒ぐということは遅いので、むしろその契約段階において取締らなければならんという観点が主たる
理由であ
つたのでありますが、これも実際やつた結果、必ずしも適当でないという結論になりまして、この支出負担行為の大蔵大臣の承認ということは、特に各省各庁の長が是非存置したいというような場合以外は、この重複
関係は排除いたすというようなことで、両者の重複ということをできるだけ除くという立法措置を最近お願いしたのであります。これらはほんの一例でありますが、その他帳簿の処理その他におきましても、相当前より複雑化いたして参つたというような
関係もございます。これは最近の財政法の改正のときに御審議願つたことでもありまするが、従来はやはり
予算書の中でもいろいろ
関係がありまして部局別
予算を置こうというようなことで、本省内部におきましても、内部部局といたしまして各局別の、部局別の
予算を編成いたし、而もそれを拘束力を持たすというようなことも、この帳簿の内容を非常に複雑化せしめざるを得なかつた。又それに伴いまして移用とか、或いは流用というような
会計の執行におきましていろいろの手続を必要といたしたというような点もあ
つたのでありまするが、この本省内部におきまする部局別の拘束力をも撤廃いたそうということも最近の財政法の改正でお願いいたしたような点であります。これらの例でおわかり頂けまするように、我々といたしましては、できる限りこの
会計制度の簡素化ということは図つて参りたいと考えておりまするが、又一面におきましては、御承知のように非常にこの
会計経理の不当不正事件が最近多いということで、取締つたからといつてその件数が減るというふうに、必ずしも勿論結論は下せないのでありますけれども、この
会計経理の適正化を図り、不正不当の事件を成るべく減らすというような要請も勿論一方にございますので、そちらの要請と、
只今お話の事務の簡素化の要請とをどうやつて調整按配いたしまして、
会計制度の合理化ということを図つて参ろうかということが、実は私ども大蔵省を中心といたしまして、各省各庁の
会計経理当局の悩みの種であり、又研究問題であるというふうなことで、常に実は努力勉強をいたしている点であります。それからお話の労働省所管における一千万円の
経費の
増加、これは
ちよつと
只今早急に
資料を見ましたばかりで的確なお答えができませんで大変恐縮でありまするが、
会計制度
関係におきましては、本
年度は右に申上げましたように、制度の簡素化を図るという観点から増員は全然いたしておりません。むしろ過般来の国会の御審議の趣旨を受けまして、できるだけ
人員の簡素化を図つて参り、それから物件費、旅費等におきましても極力節約を図るという方針で、明
年度の
予算はでき上がつております。ただ御承知のこの
給與改訂その他の
関係或いは退職金も殖えております
関係もあると思いますが、何かそういう止むを得ない事情によりまして、一千万円の
増加額ができておるのじやなかろうかと思うのでございますが、この点につきましては、今暫らくよく取調べまして、今日の
説明を補足いたさなければならん点がありましたならば、別途適当な形で御
説明を申上げたいと思います。