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政府委員(黒田静夫君) 運輸省所管の港湾
関係公共事業費の御
説明を申上げたいと存じます。二十七
年度におきまする港湾
関係公共事業費は、一般の
修築におきまして三十九億、
災害復旧におきまして二十八億、
合計六十七億を計上いたしております。この
整備の目標といたしましては、主要外国貿易においては現在
相当取扱い貨物量が
増加しつつありまして、季節的には
相当な混乱を生じて、荷役待とか、待船等の問題が起きておりますので、これらの問題を解決するような
整備計画を建て、又その他の重要港湾におきましては港湾取扱い貨物量が逐次
増加いたしておりますので、これらに対応する諸港湾の設備を図
つております。又海運事情の変移と申しますか、従来東亜貿易が七割くらいで、欧米の貿易が三割
程度でございましたが、戦後はアメリカ貿易が六割
程度に
なつて参りました結果、船型が増大いたしますし、又船の速度も早くなりまして、これらの船も稼行率を向上させる
関係で、港湾の設備もそれにマツチさせる必要がございますので、これに対応する
整備を
予算として計上いたしております。又従来我が国の港におきましては沖荷役が主でございまして、全体扱い貨物量の六割を沖荷役でや
つておりまして、四割が接岸でございましたが、この合理化を図る
意味におきまして今後五カ年を目標といたしまして、接岸を六割、沖荷役を四割
程度にいたして行きたい、かような目標の下に
予算を計上いたしております。
次に重要港湾以外の地方港湾の
整備でございますが、これは重要港湾の衛星港になり、又地方の国内の海上交通の
一つの拠点にもなりますし、その地方の産業の開発の拠点ともなりますので、これらの地方港湾に対してもその
整備を図
つております。
次に避難港の
整備でございますが、我が国の
海岸は
海岸線が長い割合に海難事故が非常に多いのでございまして、この避難港を
整備することによりまして海難事故は
相当減少いたしますし、又小型船の稼行率も
相当向上するのでありますので、避難港を合せて
整備をいたしたい、かように考えております。
次に
ジェーン台風その他の台風によりまして、御高承の
通り高潮、
海岸決潰等が起きておりまして、これらの港湾に対しましては基本的な防災
計画を立てております。又港湾は従来これを施行する請負業者が殆んどありませんので、主として
直轄工事によ
つておるのでございますが、この
直轄工事に使いまする機械は特殊な作業船、浚渫船等を要するのでございまして、これらの作業船に対する
整備を図
つております。
なお、港湾の工事を実施する前に当りまして、諸港につきましていろいろ技術的な
調査研究をなしておるのでございまして、かような
整備目標に対しまして
金額と港名を概略御
説明申上げたいと思います。現在日本の港湾は大よそ港湾と称するものが二千ございます。そのうち港湾法によりまして特定重要港に指定しておりますものは六大港、と申しますと東京、横浜、これは川崎を含んでおりますが、東京、横浜、名古屋、大阪、
神戸、関門の六港のほかに清水、四日市が入りまして、八つの港が特定重要港湾に
なつております。その他の主要な重要港湾が約六十港ございます。その他の港湾がいわゆる地方港湾と称しておるものでありまして、これがおよそ二千足らずあるわけで、約二千あるわけでございます。このうち一般港湾
事業といたしまして、先ほど御
説明申上げました
通り三十九億の
事業費を計上いたしておるのでございますが、
直轄で港湾工事を施行いたします港湾は横浜、
神戸、関門、若松その他重要港湾で、全体で三十四港に
なつておりまして、この
金額は十七億、約十七億と
なつております。それからその
直轄工事施行のための作業船
整備はこれを三億計上いたしております。
直轄でない港湾と申しますと、東京とか大阪、名古屋のように、経済力の
相当あります所はみずから公共団体の力を以
つて港湾工事を施行いたしておるのでございまして、これらの港湾におきまする港湾工事に対しましては国が
補助する形をと
つております。この
補助します港湾は横浜、
神戸等におきまして臨港……、
道路とか、鉄道のような臨港
施設或いは簡単な軽易な護岸工事等は
地方公共団体ができますので、
地方公共団体に
補助する形をと
つております。このような重要港の二十九に対しまして、
補助額を十六億計上いたしております。なお先ほど御
説明いたしました地方港湾は百十八港を引続き取上げまして、これに対しまする
補助費はおよそ五億足らずと
なつております。それから大阪、尼崎
海岸のごとく、
ジェーン台風による高潮の被害の大きい所におきましては防潮堤を作りまして、これらの被害の軽減を図
つておるのでございますが、合せて新潟の
海岸決壊或いは関門の潮流による
海岸の決壊、東京の
地盤の
沈下による防潮堤等に対しまして四億六千万の
補助をいたすことと
なつております。これらの
補助額の
合計が十六億でございます。その他僅かではございますが、
特別鉱害としまして、福岡県で石炭を掘つたがために港の一部が
沈下して困るような所には対策費が出ておりますが、これは七百万円
程度で
補助を出しております。又瀬戸内の
海岸を紀州沿岸におきましては、累次の大きな地震によりまして
地盤が
沈下いたしまして、港の区域内のいろいろな
施設が満潮時に潮びたしになる
関係で、これらを防護する
意味で
地盤対策
補助費として約九千万の
補助を計上いたしております。これの
合計が三十九億に
なつておるような次第でございます。又港湾の
災害復旧につきましてはできるだけこれを速かに完成せしむるように
予算を
関係方面と折衝いたしまして、今二十九億を御審議願うように計上しておる次第でございます。
以上で甚だ概略でございますが、港湾
関係公共事業費の御
説明を終ります。