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説明員(
松尾泰一郎君) 最近の貿易
状況について簡單に御報告申上げます。
お手許に資料を差上げてありますが、先ず昨年の輸出入の概況から申上げてみたいと存じますが、お手許にお配りいたしてありますこの表の一ページ目の上の所を御覽願いたいのでありますが、昨年度の一月から十二月まで合計におきまして十四億ドル
程度の輸出を見ておるわけであります。この数字はいわゆる為替
銀行の認証統計でございますので、税関の船積統計と比べますと若干差があろうかと思いますが、これよりも少し減るかと存じますが、大体大観を御覽願うのにはこのほうが便利かと思
つております。そこで年間十四億ドルの輸出ということは昨年度の、昨年と申しますか今年度、この三月までのいわゆる二十六年度の計画と比べてどういうふうな
状況にな
つておるかという点でありますが、二十六年度の輸出計画としまして十三億四千四百万ドルぐらいを見通しておつたわけでございますので、少し食い違うわけでありますが、大体計画
通りというか、計画より以上に行
つておつたと申上げてよかろうかと思います。大体この毎月の進み工合を見ますと、この一月が一億三千万ドル
程度にな
つております。昨年の十二月が一億五千万ドル、まあ年の終りというのはすべての処理を急ぐ
関係で、年度末には多くな
つておるのでありますが、これは毎年の例でございますが、大体月別の総額の所を横に御覽願いますればおわかり願えるかと思うのでありますが、一、二、三月ぐらいまでに非常に増加しまして、それから四、五とが一億二千万ドル台、それから六月になりまして又かなり減
つておりますが、七月にな
つて又一億台に上りまして、八月、九月と又一億台を割りましたが、十月以降一億台をずつと維持して、この一月まで来ておるのであります。こういうふうな
状況でありまして、現在のベースで進みましてもまあ一億三千万ドル
程度、一月は一億三千万ドルでございますので、まあ今後いろいろな
措置もとられます
関係で、推定は非常に困難でございますが、いわゆる十五、六億
程度の輸出ということは、大体現在の輸出
状況から見てそうむずかしいことではなかろうというふうに
考えております。なおそれを市場別に見ますると、昨年におきましてドルが二二%、スターリングが四四%それからオープン・アカウント地域が三四%でございます。これを二十五年度、いわゆる一昨年と比べてみますと、総額が、年間の総額が八億二千万ドル
程度だつたわけでありますが、それがまあ昨年度におきまして七、八割方増加すると共に市場別構成も非常に変化いたしまして、ドル地域は一昨年は四四%を占めておつた、それが昨年は二二%に減
つております。それからスターリング地域は一昨年は二八・六%を占めておりましたのが、昨年は四四%、それからオープン・アカウント地域は一昨年が二七・四%、これが昨年は三四%
程度、こう変化して参
つております。一言に申しますと、全体として昨年度は増加をいたしておるのでありますが、ドル地域への輸出の割合がスターリング地域、オープン・アカウント地域に対する割合と逆に
なつたような恰好にな
つておるわけであります。
それからこの輸出の
状況を商品別に簡單に見て頂きますと、その下の表で大きな輸出商品別に出しておりますが、そう大した商品構成上の変化はないのでありまして、飽くまで繊維
関係が大部分と言いますか、過半を占めておるのでありまして、全体の四七%を繊維
関係が占めておるという
状況なんでございますが、商品別の概して特徴的な出入りを申しますと、ちよつと表が御覽にくいかと思いますが、達成率の所で御覽願えばわかりますように、達成率のパーセントは九カ月を年間と比べておりまするので、九二%とか八〇%というふうにな
つておりますが、仮にこの二十六年度計画というのと、それからその一欄前の暦年の合計とを比較願えば大勢がわかるのでありますが、この両方の数字を御覽願
つてわかりまするように、概してこの繊維の中でも化学繊維が非常に伸びて参
つておるということと、それから下から四、五行の欄にありまする鉄鋼類が非常に伸びておるというのが目立つわけでありまして、あとは若干の異動はありまするが、そう従来と大きな変動はないというふうな
状況でございます。
それから次に輸入の
状況を御覽願いますが、五枚目に二十六年度輸入実績表というのがございますが、昨年度の輸入実績は一月から十二月までにおきまして約十九億五千万ドルに達しておるわけでありまして、一昨年、即ち、二十五年度の輸入実績九億七千万ドルに比べますと二倍以上に躍進をしておるわけであります。これは輸出のほうもそうでありましたが、終戰後例を見ない躍進振りでございます。なおこの月間の推移を見まするに、一昨年の末以来のいわゆる輸入促進と申しますか、それが現在いろいろな禍根を残した結果に
なつたわけでありますが、この輸入促進の結果といたしまして、四月頃から非常に輸入が伸びておりまして、大体毎月二億ドル台くらいにな
つております。四月、五月、六月、七月ともおおむね、二億ドルを突破しまして八月からずつと減
つて参
つておる。十二月には一億四千万ドルという工合に減
つておるわけであります。いわゆる一月、二月、三月と殖え、四月から七月までが二億台を維持し、それから八月から又それが減
つて参
つておるというような推移を辿
つておるわけであります。これを又輸出と同様にドル地域、それからスターリング地域等、オープン・アカウントの地域に分けて見ますと、この表の作り方がちよつとまずいのでございますが、米国及びその属領、その他の地域というものを合計して頂けば、それがドル地域になるのであります。十一億三千四百万ドルがドル地域から入つたわけであります。ポンド地域からは四億六千万ドル
程度、オープン・アカウント地域からは三億四、五千万ドル入
つておるわけであります。従いまして市場別の構成を見ますと、大体一昨年度と殆んど変りはないのでありまして、いわゆるドル地域が五七、八%、これは一昨年も昨年も殆んど変りはないのであります。それからスターリング地域、オープン・アカント地域は二、三%の差はございますが、市場別構成におきましては昨年度も輸出のようにドルとポンドの地域が変つたということはなくて、大体一昨年のままの姿を現出しておる。ただ
金額は伸びて参つたに過ぎないという
状況にな
つております。次に商品別でありますが、輸入を商品別に
金額でこれをお示してあるので甚だおわかりにくいかと思うのでありますが、この一枚あとのその次の表に重要物資輸入実績表というのは、非常におわかりにくい細かい数字で恐縮でありますが、それを御覽願えば二十六年度の計画とそれから昨年度の案績の対比を掲げております。一言に申しまして大体順調に推移して参
つております。特に輸入が不振であるというものもそうなかろうかと思いますが、最近の外貨事情からいたしまして、外貨
予算の編成等も割にたつぷり
予算が編成されております
関係上、輸入につきましてはその原料が非常に少いという問題よりも、どちらかというと一昨年以来の輸入過多の現象が、最近にな
つてストツクが常道化し、軌道に乗
つて来たと申上げたほうがいいかと思うのであります。
概観をいたしますと輸出入の
状況はその
程度でありまして、今の輸出と輸入とによ
つて御覽を願いますように、ドル
関係は輸出が三億ドル弱に対しまして輸入が十一億ドル、それからオープン・アカウント地域につきましては輸入が四億四、五千万ドルに対しまして、輸出のほうが六億二、三千万ドルというような輸出超過を示しておりまして、オープン・アカウント地域も合計いたしまして一億二、三千万ドルの出超に相成
つておるような次第でございます。そこでまあ先ほどからもいろいろ御
説明にな
つておりましたような
状況が起
つて参
つておるのでありますが、我々といたしましては現在ドル地域から十億ドルなり十一億ドルの輸入が可能でありまするのは、正常輸出は僅か三億ドル、それにいわゆる特需なり或いは特需以外の貿易外
収入が非常に多いためにこの十億ドルなり十一億ドルの輸入が可能であつたわけであります。正常な輸出入を比べますと、ドル地域についてはえらい輸入超過に相成
つておるわけでありますので、できるだけ正常輸出を伸ばすというためにいろいろの施策をとる、又とらんとしておるような次第でございまして、ドル地域からの輸入も、ポンド対策と併せましてできるだけその他の市場に転換をする、そうして輸入をできるだけ減らすというような方向ヘドル地域については持
つて参ろうということで、外貨
予算の編成においてもそういう配慮をいたしておるわけでありますし、それからポンド地域につきましては、その輸出超過の結果といたしまして、ポンドはかなり累積いたしておるわけであります。そこで先ず輸入促進ということを第一の課題といたしまして、
予算の編成に当りましても先ほど申し述べましたように、できるだけポンド地域からの輸入を殖やすということで
予算の編成をし、実施をして参りますと同時に、
関係当局にも
お願いをしまして、それの実効を期するためのいろいろ
金融措置につきまして
お願いをしておるような
状況であります。最近外貨貸制度の実施を見るに至
つたのもその一例でございます。なおその他スターリング地域各国の代表者と
話合いまして、できるだけ対日供給を殖やしてもらうような折衝も目下いたしておるような次第でありますが、輸入促進だけによ
つてなかなかこの辻褄を合せるということがいろいろむずかし点もありまして、或る
程度の輸出
調整をやらざるを得んのではなかろうかというようなふうに通産省といたしましても
考えておつたような次第でございますが、まあでき得べくんば輸出
調整というようなものは、産業、経済に及ぼす影響甚だ深刻でございますので、できるだけ避くべきことではありまするが、輸入促進だけによりまして問題の解決をし得ないとするならば、或る
程度の輸出
調整も又止むを得なかろうかと思
つて、通産省としていろいろの案を立ててお
つたのでありますが、過般大蔵当局或いは外為当局のほうから輸出予約
期間の短縮、或いは先物相場についてのスプレツドの拡大というようなことが発表せられたのでありまするが、まあ輸出
調整方策としてとられたことでありまして、もつといい方法があるなしは今後の研究に待つといたしまして、現段階といたしましては、そういうふうな方策がとられたような次第であります。なお通産省といたしましても、根本的な輸出
調整方策について目下研究を進めておるような次第であります。
次にオープン・アカウント地域でありますが、この地域もスターリング地域と同様な輸出超過の現象が現われているわけであります。これらの地域につきましても先ず輸入を促進をすることが第一の要請でなければならんと思うのであります。そのためには通商協定の改訂、これは目下准行中でございますが、これも無理が非常にたくさんございまして、一概には言えんかと思うのでありますが、通商協定の改訂によりましてできるだけ輸入の促進に努力する。而してなお且つそれでもなおバランスが非常に日本側に有利であるという場合におきましては、ポンド地域と同様な輸出
調整を最小限度とる必要があるのではなかろうかと思いまして、これは国別に非常に事情も違いますのでやり方も変
つて参りますが、目下研究をいたしておるような次第でございます。
状況を申上げますと大略以上の
通りでありますが、あとは
質問によりまして補足さして頂きたいと思います。