○河井彌八君
議題に供せられました
日程第六より
日程第二十までの各案につきまして、順次
内閣委員会の経過並びに結果を
報告いたします。先ず以て
通商産業省設置法案及び
通商産業省設置法の
施行に伴ち
関係法令の整理に関する
法律案並びに
工業技術庁設置法の一部を改正する
法律案について
説明をいたします。この三案の提案の
理由及び内容について先ず
説明をいたします。提案の
理由は、すべて機構の簡素化を図ろうというのであります。内容につきましては、
通商産業省設置法につきましては、内部部局の統合整理を目的とするものでありまして、従来の一官房及び九局は今回新らしく設けられる部局を除外いたしますると一官房四局に減少するのであります。特に物資別の原局五局は重工業、軽工業の二局に統合せられております。第二点は、外局たる庁の整理でありまして、審判的機能を有する特許庁を除きまして、他の三庁、即ち資源庁、中小
企業庁及び工業技術庁のうちで、前二者を本省内部部局、後者を本省附属機関といたしております。第三点は、公益事業
委員会の廃止に伴いまして、同
委員会の所掌
事務をすべて本省内部部局たる公益事業局に所掌せしめることにな
つております。第四点に、以上のほかにも、
行政機構改革の基本構想によりまして、局中の部を廃止し、或いは経済安定本部の廃止によりまして
事務を移管した点等につきまして、旧條文のうちで特許庁
関係を除き殆んど全條文について改正を加えておりまするために、旧法を廃止いたしまして新法を制定する
措置をと
つておるのであります。次に、
通商産業省設置法の
施行に伴いまして、鉱山保安法、公共事業令等、
関係法令の整理を行う必要がありまするので、その
法律案が
提出されております。その整理を行う法令でありますが、
法律では鉱山保安法、中小
企業等協同組合法及び輸出信用保險法、ポツダム政令では公共事業令及び電気事業再編成令の以上の五法令であります。なお、整理の内容でありますが、これは部局の改革に基く名称の変更を主といたしたもの、中小
企業庁設置法の廃止によ
つて同法上の
権限を中小
企業等協同組合法の内容といたしておるもの、及び公益事業
委員会の所属
事務の引継ぎによるものの三つの事柄に区分できるものであります。最後に、
工業技術庁設置法の一部を改正する
法律案につきましては、工業技術庁はこのたび通商産業省の附属機関として工業技術院に改組しようとするものであります。併し改正の内容は、單に名称を工業技術院に、
従つて長官を院長に改める等、附属機関と
なつたことに伴
つて必要と
なつた改正にとどまるものであります。これが只今申述べました
法案三つの
提出の
理由及び内容であります。
内閣委員会におきましては、
委員会を三回、通商産業
委員会と連合会を二回開会いたしまして、三案につきまして
審議を重ねたのであります。その際、論議の中心と
なつた主な点を申上げますれば、第一点は、中小
企業庁を現状通り通商産業省の外局として存置すべしという点であります。これに関しましては、通商産業
委員会からも強い要望が出されまして、
内閣委員の多数からも同様強き主張が述べられたのであります。即ち、中小
企業は日本経済の現状において極めて重要な地位を占めておるのであ
つて、そのことは、産業構造の上から見ても、中小
企業の有する生産量、工場数、労働者数等が全産業のうち極めて高い割合を占めておりまする点、或いは貿易の振興や重要産業の再建の上に大いなる貢献をなしておる点等から見ましても明らかである。又そうであればこそ
政府が中小
企業庁を設置して、中小
企業の育成発展に努力をして来たゆえんであると考える。殊に中小
企業庁が設置されて種々指導育成がなされておる現状においてすら、なお、
制度の面、税制の面、金融の面、その他、産業
合理化、技術向上等の面において中小
企業は惠まれざる状態に置かれておるのみならず、日本経済の弱点が常に中小
企業にいわゆるしわ寄せされる傾向にあるのが現状である。
従つて現在の段階においては中小
企業庁を内局にするのは適当でないという意見が強く述べられたのであります。第二点は、原案の鉱山保安監を廃止して、これに代えて鉱山保安局を設置すべしという点であります。即ち近時の鉱山における災害頻発の現状に鑑みて、鉱山保安
行政に関しては
政府は特に万全の
措置をなすべきであるから、従来通り鉱山保安局を設けることが適切であるという意見が強く多数の
委員から述べられたのであります。第三点は、繊維局を存置すべしという点であります。即ち現在の通商繊維局が廃止されて、その所掌
事務が軽工業局に包含せられることにな
つておるのでありまするが、繊維工業が軽工業のうちの大いなる割合を占めておる現状や、又将来の自立経済における繊維工業の占めるべき大いなる重要なる地位から考えまして、特に軽工業局から独立させて一局を設けることが適切であるという意見が多数
委員から述べられたのであります。第四点は、工業技術庁を現状通り通商産業省の外局として存置すべしとする点であります。即ち科学技術の進歩は工業の発達と極めて密接な
関係にあり、殊に我が国における工業技術の現状は一層これが進歩向上を必要とする段階にあるから、これを附属機関とする原案は適当でない、現状通り外局として存置させるほうが適切であるという意見でありました。で、これらの意見に基きまして
討論を重ねたのでありますが、
通商産業省設置法案及び
通商産業省設置法の
施行に伴う
関係法令の整理に関する
法律案及び
工業技術庁設置法の一部を改正する
法律案についてそれぞれ
修正案が発議されたのであります。
修正案はすでにお手許に差上げてありまするから、朗読を省略いたしますが、その要点を摘んで申上げますれば、一、官房に現状通り調査統計部を存置し、原案の調査統計監を廃止すること。二、鉱山保安局を存置し、原案の鉱山保安監を廃止すること。三、
企業局に現状通り次長一人を置くこと。四、軽工業局に化学肥料部を存置し、原案の次長を削除すること。五、繊維局を存置すること。六、工業
企業庁を現状の通り存置すること。七、この
法律の
施行期日を原案では本年七月一日と
規定してあるのを八月一日に改めることであります。次に、
通商産業省設置法の
施行に伴う
関係法令の整理に関する
法律案に対する
修正案の
修正点は次の二つであります。即ち鉱山保安局を存置し、原案の鉱山保安監を廃止すること。もう一つは、中小
企業庁を現状通り存置すること。又、
工業技術庁設置法の一部を改正する
法律案に対する
修正点は次の一点であります。この
法律の
施行期日を七月一日と定めてあるのを八月一日に定めることであります。先ずこれに対しまして波多野
委員から、
修正案及び
修正案を除いた残余の
法案全部に賛成である。但し工業技術庁についてはこれを現状通りに
修正したか
つたのであるが、この点は将来できるだけ早く原状に復することを強く希望するという意味を持たして賛成するという意見を述べられたのであります。鈴木
委員からは、
政府原案は全部賛成であるが、
修正案には反対である。即ち、中小
企業庁が現状通り存置されることに
修正されたが、併しこれが内局になることによ
つていささかの支障も起らないし、むしろ大臣の直轄下に置かれるために力強くその使命が達成されることを確信しておる。その他の
修正案については賛成であるが、只今の
政府の方針に反した重大な
修正が含まれておるから、この
修正案には反対であるという意見が述べられました。更に竹下
委員からは、
修正案及び
修正案を除く残余の案全部について賛成意見が述べられました。そして特に鉱山保安局の
運営について
政府に強い要望が出たのであります。即ち竹下
委員から、過去の経験に基いて、貴重な人命尊重の重大使命を十分に考えて、できるだけの力を以てこの部局の
運営に当
つて欲しいということを強く要望せられたのであります。最後に成瀬
委員から、
修正案及び
修正案を除く残余の案全部に賛成である。即ち中小
企業庁を現状通り存置したことは、今日の中小
企業の現状から見て適切である。併しなお一層広汎な中小
企業対策を望みたい。又鉱山保安局が存置せられたことは、これ又適切な
修正であるが、併し最も大切なことは、その
運営にあると思う。人命尊重のために万全の注意を拂
つて欲しいということ。なお
修正外の点では、工業技術庁が附属機関と改組される点は遺憾であるが、次の機会には、科学技術の向上発展のでき得る機構のできるように期待して、これに賛成するという意見が述べられました。
かくて
討論を終局いたしまして、先ず
通商産業省設置法案の
修正案について
採決いたしまたところ、多数を以て
修正可決すべきものと決定いたしました。次に
修正案を除いた原案について
採決いたしましたところ、
全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました。故に本案は
修正可決すべきものと決定せられたのであります。
次に、
通商産業省設置法の
施行に伴う
関係法令の整理に関する
法律案の
修正案について
採決いたしましたところ、多数を以て
修正可決すべきものと議決いたしました。更に最後に、
工業技術庁設置法の一部を改正する
法律案につきまして、
修正案を含む原案について
採決いたしましたどころ、これ又
全会一致を以て
修正可決すべきものと議決いたしました。
———
——————————
農林省設置法等の一部を改正する
法律案について
報告を申上げます。
この
農林省設置法等の一部
改正案は、
衆議院から
修正せられて本院に送付せられたのでありまして、それを原案としそ
審議いたしたのであります。先ず本案の内容について概略申上げますると、その第一点は、食糧庁及び林野庁を内局に移管して、それぞれ食糧局、林野局とすること。第二点は、大臣官房、農政局及び農業改良局の
事務を再分配し、農政局を農林経済局とすること。第三点は、内局の部及び新たに内局となる食糧庁及び林野庁の部を廃止すること。第四点は、農林経済局及び農地局に次長各一人を、食糧局に次長二人、林野局に次長三人を置くこと。その他農林経済局に農業協同組合監及び統計調査監おのおの一人地局に計画監及び建設監おのおの一人を、農業改良局に技監一人を、畜産局に競馬監一人を、食糧局に農産物検査監一人をそれぞれ置くことにしていること。第五点は、米価
審議会を経済安定本部から移管すること。第六点は、営林局の移動及び管轄区域の一部を変更すること等であります。
次に、本案第二條によるところの
改正案によりまして、水産庁設置法の一部を改正する点は、水産駐在所七ヵ所を廃止すること及び漁業調整
事務所五ヵ所を設置せんとする、この二つであります。
内閣委員会におきましては、本案審査のため、
委員会を開催すること六回、そのほか数回に亘
つて内閣委員の懇談会を開きまして、
審議を盡したのでありまするが、その間、問題と
なつた主な点を二、三申上げて見たいと思います。第一には、原案において食糧庁及び林野庁を内局としたるにかかわらず、水産庁のみを現行のまま外局として存置することの当否如何という点でありました。
政府はこれに関しまして、食糧、林野、この二つの仕事は、他の産業と極めて密接な
関係があるから、これを内局に移して、農林大臣の直接
指揮監督の下に、簡素強力に農林
行政の一体としての
運営を強化し、能率を増進することとしたい。これに反して水産というものは独立性があり、現に衆参両院の常任
委員会においても、農林
委員会とは別個に存在している。殊に参議院においては、議員発議の水産省設置
法案が
提出されている実情等をも勘案して、特殊の例外として外局に残しておいたという
説明でありました。第二に、統計調査部廃止の問題でありますが、近代的のサンプリング調査に基いていたすところの統計の
事務は、農林
行政を推進して行く上に極めて重要なものであるが故に、徒らに
形式的画一的な機構改革をなすがために、この部を廃止するということは失当であるという意見が多数の
委員諸君から述べられたのであります。第三に、農林
行政は、計画、
実施、管理のごとく、その
行政事務の区分を部門別として能率を挙ぐべきであるという意見が強く出ておりました。第四は、営林局の場所の移転及び管轄区域の変更に関する点でありまして、
政府原案によれば、従来の営林局の管轄区域を一部改正いたして、水系別に改めることにし、前橋営林局は、これを福島県福島市に移転して、阿武隈水系を中心とする、即ち宮城県、福島県を管轄区域とする福島営林局とし、木曾の福島営林局は、これを長野市に移して、信濃川水系を管轄する長野営林局といたして、長野県、新潟県をその管轄区域とせんとするものであるという
説明瀘あります。かようにいたしまして、本案に対して種々
質疑をいたしまして、
質疑を終了し、
討論の段階に入りましたところが、先ず多数
委員の意見に基く
修正案が
提出せられたのであります。その
修正案は結局
委員会の
採決を経まして、お手許に差上げてありまするから、これによ
つて御了承を願いまするが、その内容につきまして簡單に申述べますれば、第一は、農林経済局に農業協同組合部と統計調査部を存置すること。
従つて次長を削除し、農業協同組合監と統計調査監を廃止すること。第二は、農地局に現行通り管理、計画、建設の三部を存置し、
従つて次長を削除、計画監及び建設監を廃止すること。第三は、農業改良局に現行通り研究部及び普及部を存置し、技監を廃止すること。第四は、畜産局に現行通り競馬部を存置し、競馬監を廃止すること。第五は、営林局の移動と管轄区域の変更は、この際暫らく留保して、現行のままとすること。第六は、中国四国農業試験場を分離すること。第七は、食糧庁及び林野庁は現行通り外局として存置すること。このほか附則第一項の
施行期日を
修正しておるのであります。この多数の意見に基く
修正案に対して、中川
委員は自由党を代表して、
修正案の多くの部分についてはこれに同調するにやぶさかではないけれども、食糧庁及び林野庁を庁として存置する点については同意しがたいという意味を以て
修正案に反対せられたのであります。楠見
委員は、自由党を除く各派共同の多数意見による
修正案に対して緑風会を代表して賛成の意を表し、なお、営林局の移転及び管轄区域の変更に関する
政府原案については必ずしも反対するものではないけれども、この際は留保して現行のままとし、近き将来において適正なる改正
措置を実現するようにという希望を述べられたのであります。三好
委員は、
修正案を含めての原案に賛成の旨を述べ、なお、統計調査部については、むしろこれは統計調査局に昇格すべきであると考えて、その
修正案を用意しておつたけれども、多数意見に同調する建前から、あえて單独の
修正案は
提出しないということを述べられたのであります。江田
委員は
社会党の第四控室を代表して、三好
委員と同様、
修正案を含めての原案に賛成であり、なお、三好
委員の統計調査部を統計調査局に昇格せしめんとする構想に対しても同感であるという旨を述べられました。波多野
委員は
社会党第二控室を代表して、
修正案を含めての原案に賛成であり、三好
委員、江田
委員と同様、統計調査部を局に昇格せしめんとする考え方に同意見であ
つて、この問題は今後
内閣委員会としても十分考慮を拂うべきものであるという意見を述べられたのであります。そこで
採決に入りまして
修正案を
採決いたしましたところが、多数を以て可決すべきものと議決し、
修正の部分を除く原案について
採決いたしましたところ、
全会一致を以て可決すべきものと議決いたしたのであります。従いまして本案は
修正可決すべきものと議決いたしたのであります。
———
——————————
次に、
経済審議庁設置法案、
経済安定本部設置法の廃止及びこれに伴う
関係法令の
整理等に関する
法律案及び
資源調査会設置法案について
報告をいたします。
先ず、
経済審議庁設置法案におけるその内容を簡單に
説明いたします。この
法案は、経済安定本部を廃止するに当
つて、これに代るべき総合的経済政策の企画立案及びこれに基く総合調整を行うための
行政機関として、
総理府の外局として経済
審議庁を設置せんとするものであります。即ち経済
審議庁の任務は、経済に関する基本的な政策の総合調整を初め、他の
行政機関の所掌に属しない総合的経済政策の企画立案、国土総合開発及び電源開発の促進、国際経済協力の推進、物価及び国民生活に関する基本的政策の企画立案、長期経済計画の策定、総合国力の分析、測定、内外の経済動向及び国民所得等に関する調査分析等であります。そして経済
審議庁の特別な性格に鑑みまして、その
職員といたしましては、特別な職といたして
審議官及び調査官を置くこととな
つております。而して
審議官は識見のある官民の人材を選抜して、重要な経済政策及び計画の企画立案に当らせ、調査官は専門的
事項に精通した人材を以て調査に専念せしめんとするものであります。次に、この
審議庁には附属機関として経済
審議会を設置し、
内閣総理大臣の諮問に応じて経済に関する最も重要な政策計画等について
調査審議せしめることとし、その
組織、所掌
事務及び
委員についての詳細な
規定は政令に譲ることとな
つておるのであります。なお、この
法案は、機構改革に伴う各省設置法の改正
法案と共に今年七月一日から
施行することにな
つております。次に経済安定本部の廃止及びこれに伴う
関係法令の
整理等に関する
法律案について申述べますが、この
法案は、経済安定本部を廃止すると共に、従来経済安定
関係の
事項を
規定している諸法令に所要の改正を加えんとするものでありまして、本
法案の
施行と共に、経済安定本部の予算の執行及び予備費の支出、決算並びに国有財産に関する
事項の残務整理は、経済
審議庁において所掌することにな
つておるのであります。
内閣委員会におきましては、右の二
法案の審査につきましては、経済安定
委員会との
連合委員会を四回、
内閣委員会を二回開催いたしましたほか、数次の懇談会を開きまして
審議に当
つたのであります。
委員会において特に問題と
なつた点は、経済
審議庁の性格の点であります。経済に関する基本的総合的企画立案の
権限を持たすべきではないかどうかという点が中心であ
つたのであります。
討論の段階に入りまして栗栖
委員その他七名のかたから両
法案に対する共同
修正の発議がありました。その内容はすでにお手許に差上げてありまするものと同一でありますから、これが朗読も又
説明も省略させて頂きます。ただ、その内容の主なる点を申述べますれば、経済
審議庁の
権限の中に外国為替予算並びに外資に関する基本的な政策及び計画について、
関係行政機関の
事務の総合調整を行うことを明確にしたる点、及び経済
審議庁の任務を
規定しておる第三條の條文の中で、意味のあいまいである字句を改めてこれを明確にいたした点、その他経済
審議庁の内部部局として新たに調整部を設けた点、経済
審議庁が
内閣総理大臣の
権限の行使について補佐することとして列挙されておる国土総合開発法ほか二つの
法律の中に、新たに特殊土じよう
地帶災害防除及び振興臨時
措置法を加えた点等であります。この
修正案に対しまして、波多野
委員は
社会党第二控室を代表いたしまして、我が党としては予算編成権をも掌握するような強力な総合企画庁とする方針であ
つたのであるけれども、この
修正案を
提出することは本
法案審議の経過に鑑みて徒らに混乱を招くことを慮
つて、遺憾の意を表しつつ賛成するものであると述べられたのであります。松原
委員は、改進党を代表して、
修正を含めた原案に賛成である。但し改進党としては、我が国の現状に鑑みて長期経済政策の企画立案を必要とするとの党意見から、別に
修正案を準備してお
つたのであるけれども、本案の
審議状態に鑑みまして、所期の目的とは違うけれどもこれに賛成するという意見を述べられたのであります。自由党の中川君は自由党を代表して、この両
法案は
修正案を含めて原案に賛成であることを述べ、次いで江田
委員は、止むを得ず賛成する。併し日本の経済は今後楽観を許さない。
従つて長期を見通しての経済政策の企画立案が必要である。我が党としては総合企画庁を必要とするという意見であると述べられたのであります。楠見
委員は、波多野
委員と同意見であ
つて、
修正を含めた原案に賛成するとの意見を開陳せられました。最後に
採決に入りまして、
修正案を含めた両原案について
採決を行いました結果、
全会一致を以て
修正可決すべきものと議決いたしたのであります。更に、これに
関係のありまする
資源調査会設置法案について
説明をいたします。
経済安定本部が今度の機構改革によりまして廃止されまするに当
つて、この資源
調査会を設置いたしまして、これを
総理府の附属機関に移して、ここに、この
法律によ
つて法的根拠を與えんとするものであります。この
法案によりますれば、資源
調査会は
国家行政組織法第八條第一項に基く
総理府の附属機関とし、その所掌
事務は、資源の総合的利用のための方策に関し
調査審議すること、
関係各
行政機関が樹立する資源の利用計画の総合調整に関し
調査審議すること、及び資源調査の計画に関し
調査審議すること、この三つを主たる任務といたして、
内閣総理大臣の諮問に答申するほか、
関係各
行政機関の長は、その所掌
事務を遂行するに当
つて必要があると認めるときは、右の
事項に関し資源
調査会の
審議を求めることができることといなし、又資源
調査会は必要に応じて
関係各
行政機関の長に対して、資料の
提出、意見の開陳、
説明その他必要な協力を求めることができるとな
つておるのであります。
その
組織につきましては、資源
調査会は、会長、副会長及び
委員二十名以内を以て
組織し、会長は経済
審議庁長官を以てこれに充て、副会長は一人とし、学識経験のある者、又は
関係各
行政機関の
職員のうちから
内閣総理大臣が任命し、常勤とする、但し
関係行政機関の
職員のうちから任命された場合、又は止むを得ない場合は非常動とすることができるとしてあるのであります。次に、
委員は学識経験のある者又は
関係各
行政機関の
職員のうちから
内閣総理大臣が任命するのでありますが、この
委員は非常勤とし、
関係各
行政機関の
職員のうちで教職にある者及び試験研究に従事する者以外の者で
委員に任命される者の数は
委員総数の二分の一以下でなければならないとな
つておるのであります。次に、資源
調査会に
事務局を置いて、
事務局長は
委員のうちから
内閣総理大臣が任命することとな
つております。更に、資源の利用に関し資源
調査会及び
関係者行政機関相互の間の連絡を図るため、連絡会議を置くことといたし、その他、本
法律に定めるものを除くのほか、資源
調査会に関し必要な
事項は政令で定めることとしてあるのであります。なお、
施行期日は本年七月一日とな
つてお
つたのであります。
内閣委員会におきましては、経済安定
委員会との
連合委員会において、又二回の
内閣委員会において審査をいたしたのでありますが、その
審議に当りまして、
委員から、資源
調査会の従来の業績を十分に認めると共に、この種機関に対する予算
措置が余りに貧弱である点、即ち年額千五百万円程度、その点について
政府の注意を促す意見が述べられたのであります。なお、本案につきましては
施行期日に
修正を加えましただけでありまして、この
修正を含めました原案について
採決いたしましたところ、
全会一致を以て
修正可決すべきものと議決したのであります。その
施行期日の
修正点は、「七月一日」とあるのを「八月一日」と改めたのみであります。
———
——————————
次に、
大蔵省設置法の一部を改正する
法律案及び
大蔵省設置法の一部を改正する
法律等の
施行に伴う
関係法令の整理に関する
法律案について
説明をいたします。先ず
大蔵省設置法の一部を改正する
法律案の内容を申上げます。第一は、外局を廃止して内局への改編乃至統合でありまして、外局であるところの証券取引
委員会、公認会計士管理
委員会及び国税庁、並びに
総理府の外局であるところの外国為替管理
委員会及び経済安定本部の外局であるところの外資
委員会を廃止して、その
権限の全部又は一部、これをそれぞれ証券取引
委員会及び公認会計士管理
委員会は本省の理財局へ、国税庁は本省の内局として新設する徴税局へ、外国為替管理
委員会及び外資
委員会は同じく内局として新設する為替局へ統合せんとするものであります。第二は、本省の内部部局の改編でありますが、従来の官房、五局に、新たに徴税局及び為替局の二局を加え、一方、官房の調査部、主税局の税関部及び銀行局の検査部を廃止して、主税局及び銀行局には次長おのおの一人を、徴税局には次長二人を置くこととし、又従来の財務官の
制度はこれを廃止して財務参事官を置くこととしてあるのであります。第三は、附属機関の再編に関するものでありまするが、現在大蔵省の外局たる造幣庁及び印刷庁を本省の附属機関に改め、又証券取引
委員会、公認会計士管理
委員会、外国為替管理
委員会及び外資
委員会の廃止に伴
つて、これらの所掌
事務に関する
諮問機関として、証券取引
審議会、公認会計士審査会、外国為替
審議会及び外資
審議会を設けると共に、経済安定本部の附属機関たる
企業会計基準
審議会を
企業会計
審議会として大蔵省に移し、更に国税庁の統合に伴
つて中央における国税庁協議団はこれを廃止することとな
つておるのであります。第四に、地方支分部局に関しては、国税庁の地方支分部局たる国税局を本省の支分部局に改め、納税者の便宜を図る点を考慮して、税務署の支署を置き得ることとしておるのであります。右のほか、経済安定本部の廃止に伴い、大蔵省の任務、
権限及び所掌
事務に所要の改正を加え、
規定の
整備を図
つておるのであります。次に、
大蔵省設置法の一部を改正する
法律案等の
施行に伴う
関係法令の整理に関する
法律案について申しますが、この
法案は、前申上げました
大蔵省設置法の一部を改正する
法律案による大蔵省の機構改革に伴いまして、
関係法令に所要の整理を加えようとするものであります。その
関係法令は総数三十四件に及んでおりまするが、ここにはその
報告を省略させて頂きます。
内閣委員会におきましては、これら
法律案の
審議のために大蔵
委員会との
連合委員会を一回、
内閣委員会を八回開会いたしまして
審議を盡したのであります。
質疑を終
つて討論の段階に入りましたところ、多数の意見によるところの共同
修正案が発議されました。その
修正案はこれ又お手許に配付してあるものと同一でありますから、それによ
つて御了承を願うことといたしまして朗読及び
理由の
説明は省略いたします。その要点を申上げますれば、一、主税局に現行通り税関部を存置することとし、
従つて原案の次長を削除したること、二、銀行局に現行通り検査部を存置することとし、
従つて原案の次長を削除したること、三、国税庁を現行のまま存置したること、即ち外局として存置したること、四、経済
審議庁設置法の
修正に伴い、外国為替予算案の準備に関する大蔵省の所掌
権限の字句に一部
修正を加えたること等であります。なお附則の
施行期日を
修正いたしまして八月一日といたしました点は、他の
法案に対しますると同一であります。本案に対しまして
討論に入りましたところ、鈴木
委員は自由党を代表して、
修正案の一部即ち国税庁を復活する点には反対であるから、
修正案に反対せざるを得ないということを述べました。楠見
委員は緑風会を代表して
修正案を含める原案に賛成の旨を述べ、なお附言いたしまして、造幣局及び印刷局は将来これを公共
企業体とすることについて、
政府は十分なる検討をいたすべしという
希望意見を述べられたのであります。かようにいたしまして、
討論を終
つて採決に入りましたところ、
修正案については多数を以てこれを可決すべきものと議決し、
修正案を除くところの原案について
採決をいたしましたところ、
全会一致を以て可決すべきものと議決したのであります。即ちこの案につきましては
修正可決すべきものと決定いたした次第であります。
———
——————————
次に、最も愼重な討議を盡しました
保安庁法案及び
海上公安局法案について
説明をいたします。
保安庁法案、この
法案は
衆議院において一部
修正されましたので、それが原案とな
つておるのであります。この
法律案は、現行の
警察予備隊と、海上保安庁の海上警備隊及びこれと密接な
関係にあるもので水路、燈台等、運輸省に属せざる部分を除いたものとを統合いたして、治安に関する一体的な
運営を図るために、
総理府の外局として新たに保安庁を設置せんとするものであります。これは今回
提出せられました
行政機構改革の問題のうちで最も重要な意義を持
つておるものでありまするから、いささか詳細に
報告いたそうと思うのであります。保安庁は、我が国の平和と秩序を維持し、人命及び財産を保護するため、特別の必要がある場合において行動する部隊を管理し、
運営し、及びこれに関する
事務を行い、併せて海上における警備救難の
事務を行うことを任務とするものであります。そのうち海上における警備救難の
事務を行うのは保安庁に置かれる海上公安局でありまして、これは従来の海上保安庁の警備救難部を中心として設置されるもので、常時海上においてその任務を行うこととな
つておるのであります。保安庁が管理し
運営するところの部隊は、主として陸上において行動するものは保安隊、これは従来の
警察予備隊であり、海上において行動するものは警備隊、これは従来の海上警備隊であります。本
法案は
一般行政機構の改革と同時に本年七月一日から
施行することとし、但し
警察予備隊については、現在の隊員の大多数の任用期間が本年の十月十四日までに満了いたしますので、それまでの間は
警察予備隊を存続せしめることとして、所要の調整
規定を設けておるのであります。ここに、この
法案によりまして、保安庁の機構、部隊の編成等について概略申述べます。保安庁の長は保安庁長官として、国務大臣を以てこれに充て、長官は
内閣総理大臣の
指揮監督を受け、庁務を統轄し、所部の
職員を任免し、その服務を統督するのでありまするが、部隊その他の機関に対する長官の
指揮監督は、その補佐機関たる第一幕僚長又は第二幕僚長を通じて行うこととな
つておるのであります。保安庁に次長一人を置き、内部部局として、長官官房のほか、保安局、人事局、経理局及び装備局の四局並びに第一幕僚監部及び第二幕僚監部を置き、長官官房及び各局は、保安隊及び警備縁に関する方針の策定及びその
一般的監督について長官を補佐することを主たる任務とし、長官、次長、官房長、局長及び課長は、文官制を堅持する建前から、三等保安士以上の保安官又は三等警備士以上の警備官の経歴のない者のうちから任用することとな
つており、
政府原案では更に旧正規陸海軍将校の経歴のある者もこれと同様の取扱をすることとな
つてお
つたのでありまするが、これは
衆議院の
修正によ
つて削除されて参
つておるのであります。第一幕僚監部は保安隊につきまして、又第二幕僚監部は警備隊につきまして、その隊務に関する長官の幕僚機関とし、各幕僚監部の長を幕僚長とするのであります。幕僚長は、保安隊又は警備隊の隊務について、最高の専門的助言者として長官を補佐するものとし、幕僚監部には部及び課を置き、又幕僚長のほか所要の保安官又は警備官その他
事務官等を置き、又幕僚副長を置くことができることといたしておるのであります。第一幕僚長及び第二幕僚長の
指揮監督下に置かれる保安隊及び警備隊に関する
組織及び編成等は政令を以て定めることとし、又幕僚長の監督を受ける訓練
施設その他の所要機関についても、その
組織、所掌
事務等は政令で定めることにな
つておるのであります。保安庁
職員の定員は、海上公安局に勤務する
職員を除いて十一万九千九百四十七人とし、そのうち十一万を保安官、七千五百九十人を警備官とし、残りの二千三百五十七人が
事務官、技官その他の
職員であります。なお附属機関として、保安研修所、保安大
学校及び技術研究所を置き、これらの機関には、保安官又は警備官のほか、
事務官、技官、教官、その他所要の
職員を置くことにな
つており、保安庁に置かれる海上公安局については、海上公安局法により、その
組織、所掌
事務及び
権限等を定めておるのであります。海上公安局の
職員を除く保安庁の
職員は、現在の
警察予備隊及び海上警備隊の
職員と同じく、これを国家公務員法上の特別職とし、服務についてはおおむね国家公務員法の
規定に準じて
規定するが、勤務の特殊性を勘案して
総理府令で定めることとな
つておるのであります。保安隊及び警備隊の部隊編成について一言いたしますると、保安隊は一方面隊、四管区隊及び直轄部隊を以て編成し、それぞれ方面総監部、管区総監部を置き、その長を方面総監、管区総監とする。又警備隊は三地方隊及び三以内の連合船隊を以て編成し、地方隊に地方総監部を置き、地方隊の長は地方総監とする。又連合船隊の長は連合船隊司令とすることとな
つておるのであります。出動に関しましては、
内閣総理大臣は、非常事態に際して治安の維持のため特に必要があると認める場合には、保安隊又は
整備除の全部又は一部の出動を命ずることができることとし、
内閣総理大臣は、出動を命じた場合には、出動を命じた日から二十日以内に国会に付議して、その承認を求めなければならないこと、但し国会が閉会中か又は
衆議院が解散されている場合には、その後最初に召集される国会においてその承認を求めなければならないこと、又、長官は、警備隊の出動があつた場合において、特別の必要があると認めるときは、海上公安局の全部又は一部を警備隊の統制下に入れることができることとしているのであります。更に又、長官は、事態が緊迫し、命令出動が予測される場合において、これに対処するために必要ありと認めるときは、
内閣総理大臣の承認を得て、保安隊又は警備隊に対し出動待機命令を発することができることにしてあるのであります。更に又、都道府県知事は、治安維持上重大な事態について止むを得ない必要ありと認める場合には、当該都道府県公安
委員と協議の上、
内閣総理大臣に対し、保安隊又は警備隊の部隊の出動を要請することができる。この場合において事態止むを得ないと認めるときは、
内閣総理大臣は、保安隊又は警備隊の部隊の出動を命ずることができることとしているのであります。次に、海上における人命若しくは財産の保護、又は治安の維持のため、緊急の必要がある場合には、長官は、
内閣総理大臣の承認を得て、警備隊の部隊に海上において必要な行動をとることを命ずることができることとし、都道府県知事その他政令で定める者は、天災地変その他の災害に際して、人命又は財産の保護のため必要があると認める場合には、保安隊又は警備隊の部隊の派遣を長官又はその指定する者に要請することができ、長官又はその指定する者は、この要請を受けた場合、事態止むを得ないと認めるときは、保安隊又は警備隊の部隊を派遣することができること、但し庁舎、営舎等、又はそれらの近傍の火災等の場合には、要請がなくとも部隊を派遣することができることとな
つておるのであります。保安隊及び警備隊は、その任務の遂行に必要な武器を保有することができる。但し武器の使用については、正当防衛又は緊急避難に該当する場合を除いては、当該部隊の指揮官の命令によらなければならないこととな
つているのであります。次に
海上公安局法案について申述べます。海上公安局は、先に申述べました
保安庁法案の第二十七條に、「保安庁に、海上公安局を置く。」と
規定してあり、その第二項には「海上公安局の
組織、所掌
事務及び
権限等については、海上公安局法の定めるところによる。」とありまして、即ち本
法案によ
つて、その
組織、所掌
事務、
権限等が定められているものであります。即ち、海上公安局は、海上における法令の違反の防止、海難、天災事変などの際の人命及び財産の保護、海上における犯罪捜査、犯人の逮捕等の
事務を掌る機関でありまして、海上公安局の長は、保安庁長官の任命にかかり、その
指揮監督を受けるのでありますが、海上における法令の違反の防止の
事務については、外務、大蔵、運輸等、それぞれ主管大臣の
指揮監督を受けることとな
つておるのであります。又海上公安局の
職員の任免につきましては、專ら海上公安局の長が行うことにな
つております。海上公安局には
職員の訓練機関として、海上公安大
学校、海上公安
学校、海上公安訓練所を置き、又海上公安局長の諮問に応じ、海上公安に関する主要
事項の
調査審議に当らせるために、海上公安
審議会を置くことにな
つております。地方機関といたしまして地方海上公安局、地方海上公安部、港長
事務所、その他の
事務所を置くことといたしております。海上公安局の
事務を遂行いたしまするための
職員といたしまして、海上公安官及び海上公安官補が置かれるのでありますが、海上公安官は、船舶への立入検査、船内にある犯罪容疑者に対する質問、犯罪捜査のため止むを得ない場合においては、船舶に停船を命じ、又は船舶の回航等を命ずる
権限を有することとし、又海上公安官及び海上公安官補は、司法
警察職員といたしますほか、
職員に必要な武器を所持し得ることといたしておるのであります。なお、海上公安局の船舶は、職務遂行のため最小限度必要な武器を装備することができることとし、犯罪容疑船に対する停船信号等、止むを得ない場合に使用できることといたしているのであります。最後に、海上公安局の
職員を單位とする国家公務員共済組合を
総理府に設けることといたしております。なお、この
法律案は保安庁法と同様に、
施行期日を七月一日としておるのであります。
内閣委員会におきましては、両
法案につきまして、六月二日以降
地方行政委員会との
連合委員会を二回、
人事委員会との
連合委員会を一回、及び前後十回の
内閣委員会を開き、その間に参考人の証言を求め、本
法案の審査に万全を期したのであります。その
審議の過程において問題となりました主なる点を申上げますれば、第一に、本
法案第四條に掲げるところの保安庁の任務についてでありまして、従来の
警察予備隊は、
警察予備隊令によ
つて、その設置の目的は、「わが国の平和と秩序を維持し、公共の福祉を保障するのに必要な限度内で、
国家地方警察及び
自治体警察の
警察力を補うため
警察予備隊を設け、」とあるのでありますが、本
法案第四條、(保安庁の任務)に掲げるところの保安庁のその任務を見ますると、「わが国の平和と秩序を維持し、人命及び財産を保護するため、特別の必要がある場合において行動する部隊を管理し、
運営し、及びこれに関する
事務を行い、あわせて海上における警備救難の
事務を行うことを任務とする。」とありまして、従来の
警察予備隊とは、その目的、任務について若干相違するものがあるのでありまして、これに対しては、その点に対する
質疑について、
政府は、従来は目的において
国家地方警察並びに地方
自治体警察の
警察力の不足を補う目的であるというふうに書いてあつたが、今回の保安庁法においては、如何なる場合において如何なる手続を以て行動するかということを具体的に定めることといたしたのである。又保安隊、予備隊の目的は、飽くまでも現在の
警察予備隊或いは海上警備隊の目的を継承いたしているのでありまして、国内治安の責に任ずることがその目的とな
つている。
従つて外国の侵略に対する防衛ということをば直接の目的としてはおらないということを答弁しているのであります。第二に、保安隊、警備隊の法的性格、殊に憲法第九條との
関係におきまして極めて周到愼重な
質疑応答が繰返されたのであります。
政府は、飽くまでも国内治安維持のための治安機構であ
つて、軍備ではないという見解を堅持してお
つたのでありまして、外国からの侵略攻撃を受けた場合の保安隊、警備隊の行動について
質疑を重ねた際においても、
政府は、我が国が直接間接の侵略を受けて、
警察の任務の遂行上必要がある場合には、国民と共に全力を挙げて行動することは当然であると存じます。
従つてこの際において、臨機に一種の自衛行動をとることがありましても、それは結局国内治安の維持のための行動であるのであるということを強く言い張
つてお
つたのであります。
従つて、
政府の戰力の解釈は、国内において治安維持確保の目的でできたものは戰力とは考えられない。専ら外敵を撃退する或いは外国軍隊と交戰することを目的として編成される場合には、これが軍であり、これが戰力であるという
説明に一貫してお
つたのであります。第三に、保安庁の長官、次長、官房長、局長及び課長等、幹部
職員には旧正規陸軍海軍将校を任用しないという
政府の原案は、
衆議院の
修正において削除されているのでありますが、この点について
政府の考え方を質しましたのに対し、
政府は、何分にも軍隊に類似をいたしている実力部隊であるから、政治政策を支配するというような弊害に陷りやすい。これを
民主主義を守るために予防しようという趣旨の
規定であつたが、旧時代の一つの経歴というものを
理由として、殊更に差別待遇をなすがごとき感を與えることは、今日の政治段階から見て適切でない。実行によ
つて効果を挙げれば、必ずしも法的に制限する必要はなかろう。こういう趣旨を以て削除したものである。こういう御
説明でありました。これを削除したことによ
つて公然と旧正規陸海軍将校を保安庁の幹部として任用することはしないということを明らかにいたしております。第四に、六月中旬以来大きく新聞紙上に報道されておりまするアメリカからの千五百トン級のフリゲート艦十八隻、二百五十トン級の上陸用船艇五十隻の貸與を受けるという件について、貸與を受ける
行政上の手続、交渉手続並びに今後生ずべき国庫負担の点等について、岡崎外務大臣、村上運輸大臣、大橋国務大臣等に対して
質疑応答を重ねたのでありますが、
政府は目下
事務当局を通じて艦艇の貸與についてアメリカ極東海軍との間に下交渉中であ
つて、而してその下交渉は閣議の決定に基いての下交渉であるというのでありまして、正式の艦艇貸借協定等を締結する段階にはまだ達していないという
説明でありました。この事柄と、それから憲法九條の解釈に関連する問題とは、
質疑者と
政府側との間には甚だしい見解の相違があることが認められたのであります。第五に、保安庁に置かれる海上公安局について、陸上の
国家地方警察にも比すべき海上保安庁の
事務、即ち海上における法令の違反の防止、海難の際の人命、財産の救助、港則法の
施行、海上における犯罪捜査並びに海上における公共の秩序維持等を運輸省から切り離して、保安庁の附属機関たる海上公安局に所掌せしめるという点について
質疑応答が重ねられたのであります。
政府は、海上の特殊性を強調して、海上では陸上よりも一層緊密な連絡をとることが必要であるが、我が国は海岸線が長いにかかわらず、現有船舶の数は極めて乏しいので、専ら船の
関係から相互に利用し合う必要があるので、海上公安局を設置することといたした。
国家地方警察は、国家公安
委員会の下に民主的に
運営するので、これを保安庁に統一することは一方を犠牲にすることになるので除外したと申しておるのであります。大体これらの点について
質疑応答を重ねまして、昨日
討論に入
つたのであります。鈴木
委員外七名の
委員から、
保安庁法案及び
海上公安局法案に対する共同
修正案が
提出せられました。その
修正案は議決を経ましてお手許に差上げておりまするから、朗読及び
説明を省略いたします。
保安庁法案に対する
修正案は、要するに、附則中第十七項を除き、本法
施行期日七月一日を八月一日に改めること、及び海上公安局の所掌すべき
事務は、
海上公安局法案の
修正に基き、別に
法律で定める日から
施行することとな
つておるのであります。次に
海上公安局法案に対する
修正案の
修正要旨は、この
法律は別に
法律で定める日から
施行するという点であります。かくて
討論に入りまして、中川
委員は自由党を代表して、
修正案を含めたる原案に賛成の意見を述べ、波多野
委員は、保安庁、海上公安局は実際軍隊であり、軍備であ
つて、憲法に違反するものであるから、反対である。成瀬
委員からも同様の趣旨で反対であるということを述べ、三好
委員は改進党を代表して、本
法案は、第一、憲法に違反するものであ
つて、法秩序を破壊するものである。第二に、保安庁の使用する装備、艦艇は、一にアメリカから貸與を受けるものであるから自主的ではない。第三に、本
法案の各條は極めて彈力性に富み、緊要な部分を政令以下に委任しておる点は、陰に国防省を作りつつありとの疑惑を抱かせるものであ
つて、甚だ遺憾であるという、三つの点を挙げて反対の意思表示をせられたのであります。なお、その上、本
法案は、艦艇その他武器の借受等、未決定の問題を含んでいるから、この
法案は当然これを継続審査に付すべきであるという動議を
提出したのであります。この動議に対しまして松原
委員から賛成の
発言がありましたから、これを
採決に問いましたところ、三好
委員の継続審査に付すべしという動議は
委員会において否決せられたのであります。そこで
採決に入りまして、両
法案につきまして先ず
修正案を
採決いたしましたところ、多数を以て可決すべきものと議決し、次に
修正案を除いた他の部分の原案について
採決いたしましたところ、いずれも多数を以て可決すべきものと議決せられたのであります。即ちこの両案は
修正可決すべきものと議決せられた次第であります。
———
——————————
次に、
運輸省設置法の一部を改正する
法律案について
説明いたします。これも
衆議院の
修正がありまするので、これが原案であります。提案の
理由につきましては、これも又
行政機構の改革の方針によ
つて提出したというのでありまして、その内容については大体二点あると思います。第一点は、運輸省の外局であるところの航空庁を内局とし、名称を航空局に改め、大臣官房観光部、海運局海運調整部、鉄道監督局国有鉄道部及び民営鉄道部並びに自動車局業務部及び
整備部の六部を廃止すると共に、公共船員職業安定所を海運局に統合することといたしております。次に、大臣官房に観光監を置いて観光に関する
事務を掌理させ、又鉄道監督局、自動車局及び航空局にそれぞれ次長一人を置いて局長を補佐させることにいたしておるのであります。改正の第二点は、海上保安機構の改革に伴う所要の整理でありまして、即ち、運輸省の外局である海上保安庁を廃止すると共に、海上保安庁海事検査部の所掌
事務を運輸省の各局に分属させ、海上保安
審議会及び水先
審議会を運輸省に移し、水路部及び燈台部は運輸省の附属機関に改め、海難審判理事所は海難審判庁の附属機関とし、警備救難部の所掌
事務のうち、海上交通の保安に関するものを海運局に移す等の改正をいたしておるのであります。最後に、この改正に伴いまして必要な
関係法律の整理をも併せ行な
つておるのであります。
内閣委員会におきましては
委員会を開くこと五回、
審議を盡したのでありまして、その主な点を申上げます。第一には、運輸省の外局たる海上保安庁の廃止に伴う問題でありまして、海上保安庁が廃止されると共に、保安庁の附属機関として海上公安局が設置され、ここで海難救助の仕事が行われるのでありまするが、他面、海上保安庁の警備救難部の所掌
事務のうちで、海難救助の基本計画に関する仕事は運輸省の海運局に移されることにな
つておりますので、結局海上交通の保安に関する仕事は二つの部門に分けられることとなるわけであります。併しながらこの点につきましては、海上交通の保安に関する仕事は、本来運輸省の所掌
事務であるから、海上公安局は保安庁の附属機関とするよりも運輸省の管轄の下に置いて、そこで一元的に海上保安の仕事をなすことが最も適切であるという意見が述べられたのであります。第二点は、
行政の簡素能率化を図るという
政府の方針に基いて、局中における部を一律に廃止することは、
事務の円滑なる
運営を図るゆえんでないとし、官房の観光部、海運局の海運調整部、鉄道監督局の国有鉄道部、民営鉄道部、自動車局の業務部及び
整備部を現状通り存置すべしという意見、及び航空局に管理部と技術部を設置すべしという意見が多数
委員から述べられたのであります。
討論の段階におきまして、鈴木
委員から、この
法律案の一部を
修正する
修正案が発議せられたのであります。この
修正案は前と同様に朗読及び
説明を省略いたします。併しその要点は次の点であります。第一には、観光部を現状通り存置して、原案の観光監を廃止すること。第二に、海運局に海運調整部を現状通り存置すること。第三に、鉄道監督局に国有鉄道部、民営鉄道部を現状通り存置し、原案の次長を廃止すること。第四に、自動車局に業務部及び
整備部を現状通り存置すること。第五に、地方支分部局の港湾建設部を港湾建設局と改称すること。第六に、航空局に管理部及び技術部を設け、原案の次長を廃止すること。第七に、昭和二十七年八月一日から別に
法律で定める日までの間は、海上保安庁は現状通り運輸省の外局として存置することであります。
かくて
討論の後に
採決をいたしましたところ、この
修正案を含めて原案は多数を以て
修正可決すべきものと議決いたしたのであります。
———
——————————
次に、
総理府設置法の一部を改正する
法律案及び
国家行政組織法の一部を改正する
法律案について
説明をいたします。先ず、
総理府設置法の一部を改正する
法律案でありまするが、
総理府設置法の一部を改正する
法律案の内容は、現在
総理府には十の
行政委員会と五つの庁が、外局として設置されてありまして、
総理府の所掌する
行政事務の範囲は非常に広く且つ多岐に亘
つておりますが、
総理府を
内閣の首長としての総理大臣を長とする機関たるにふさわしいものとするために、各外局の
行政事務は、できるだけこれを各省に分属せしめると共に、新たに国家公務員に関する
事務、経済施策の総合調整に関する
事務等を加えることとし、且つこれらの
事務を遂行する機構についても、現在の複雑厖大な機構を極力整理簡素化し、
事務処理の能率化を図る必要がありまするので、この
法律案を
提出いたしたのであります。その内容として挙げられておりますのは、第一に内部部局につきましては、大臣官房賞勲部及び統計局の人口部、経済部及び製表部を廃し、新たに特別な職として賞勲監及び統計局次長二人を置くことといたしております。第二に、現存の外局につきましては、公益事業
委員会、外国為替管理
委員会及び電波監理
委員会はこれを廃止して、それらの
事務をそれぞれ通商産業省、大蔵省及び郵政省に分属せしめ、首都建設
委員会は建設省の外局に移管し、統計
委員会はこれを廃止して、その
事務を
行政管理庁に統合し、全国選挙管理
委員会、地方財政
委員会及び
地方自治庁を統合して自治庁とすることといたしております。第三に、人事院及び経済安定本部の廃止に伴い、新たに外局として国家
人事委員会及び経済
審議庁を、又附属機関として新たに電源開発調整
審議会及び資源
調査会を設置すると共に、保安機構の
整備を図るため新たに保安庁を設け、これに伴
つて警察予備隊を
総理府の機関から保安庁の所属に移すことといたしておるのであります。次に、
国家行政組織法の一部を改正する
法律案についての内容を
説明いたします。これも
衆議院において一部
修正が加えられておるのであります。その内容は、第一に、従来
行政機関たる府としては、
総理府及び法務府が認められて置かれてあ
つたのでありまするが、今般の
行政機構改革によりまして、法務府はこれを各省並に法務省と改め、その長を法務大臣といたすこととな
つております。これに伴いまして、
国家行政組織法の
規定に所要の改正を加えておるのであります。第二に、従来国家
行政組織の一部をなすものとして
規定されておつた公団は、すでに全部廃止されましたので、これに関する
規定を削除することといたしております。第三に、府、省、
委員会及び庁等の廃止統合並びに部等の廃止に伴いまして、別表を整理しておるのであります。
内閣委員会は経済安定
委員会と
連合委員会を三回、又
内閣委員会独自に四回開会いたしまして、
総理府設置法の一部を改正する
法律案の
審議に当
つたのでありますが、その際、論議の中心と
なつた点の一つは、
行政委員会制度の廃止に関する事柄であります。これら廃止される
委員会のうちで、例えば全国選挙管理
委員会、地方財政
委員会、電波監理
委員会等について、その廃止の非なるゆえんを多くの
委員から強く主張されましたことは、すでにこれまで各設置法
改正案の
委員長報告で御
説明申しておいた通りであります。又原案では現行の賞勲部を廃止して賞勲監を置くことといたしておりますが、新たな見地に立
つて、この国の恩賞
制度を確立することから考えまするに、この恩賞
事務を掌る機構を原案のごとく軽々しい取扱をするというとの是非につきましては深く考慮すべしという意見が多数の
委員から強く述べられたのであります。次に、
国家行政組織法の一部を改正する
法律案にきましては、
委員会を四回開きまして、その審査に当
つたのであります。その議論の中心とな
つたのは、
総理府及び各省の官房又は局に置く部は別表に掲げるものに限り当分のうちこれを置き得ることとして、以て部の濫設を防止せんとする点であります。次に、各省又は各外局及びその謀の設置をば現在各大臣又は外局の長に任しているのでありまするが、これらの課の設置について適正を期するために、これを政令で定めるということにすべしという意見が強く述べられたのであります。この二案につきまして、
討論の段階におきまして、先ず竹下
委員から、
総理府設置法の一部を改正する
法律案に対する
修正案及び
国家行政組織法の一部を改正する
法律案に対する
修正案が発議されたのであります。この
修正案の朗読及び
説明は、同様の
理由を以て省略さして頂きます。併しその内容を簡單に申上げますれば、一、賞勲部を現在通り存置し、原案の賞勲監を削ること。二、統計局に調査部及び製表部の二部を存置し、原案の次長二人を削つたこと。三、原案で新設される国家
人事委員会を削つたこと。これは現に
人事委員会に付託されておりまするところの国家公務員法の一部を改正する
法律案によ
つて決定されるべきものでありまするから、
内閣委員会において、これをここに議決することはできないと認めまして、国家
人事委員会を削
つたのであります。第四には、原案の
施行期日を改めたことであります。後の
修正案の要点は次の通りであります、
現行法では課の設置及び所掌
事務の範囲は各大臣又は外局の長がこれをきめるということにな
つているのを政令で定めることとしたこと。第二は、
総理府又は各省の官房又は局には当分の間別表に掲げる部を置くことができることとしたこと。第三には、原案の
施行期日を改めたことというのであります。上條、成瀬、三好、波多野各
委員から、この
修正案を含む二つの原案は、すでに全国選挙管理
委員会、電波監理
委員会等の
行政委員会の廃止に反対し、又保安庁の新設に反対し来たつた立場から反対せざるを得ないという
発言がありました。中川
委員からは、大蔵省、農林省、通商業産省の外局の庁の復活に反対し来たつた立場から、
国家行政組織法の一部を改正する
法律案に対する
修正案については不満であるが、併しもはやこれらに関する各設置法の改正
法律案が可決せられた以上は、この
修正案を含む二つの原案に賛成する旨の
発言がありました。かくいたしまして、
総理府設置法の一部を改正する
法律案に対する
修正案について
採決をいたしたところ、多数を以て可決すべきものと議決しました。次に
修正案を除いた原案について
採決しましたところ、これ又多数を以て可決すべきものと議決したのであります。即ちこれは
修正議決すべきものと決定した次第であります。次に、
国家行政組織法の一部を改正する
法律案に対する
修正案について
採決をいたしましたところ、多数を以て可決すべきものと議決いたしました。更に
修正案を除いた原案について
採決いたしましたところ、これ又多数を以て可決すべきものと議決したのであります。
従つてこの案も
修正議決と決定した次第であります。
———
——————————
最後に、
行政機関職員定員法の一部を改正する
法律案について
報告をいたします。
政府は今回
行政機構改革の方針下に各府省の設置法等の改正
法律案を国会に
提出いたしたのでありまするが、
行政機関職員定員法の一部を改正する
法律案は、この機構改革に伴
つて、各府省庁等の定員に所要の改正を行うことを主たる内容といたすものであります。改正の第一点は、現行定員に対する実質的な増減でありまするが、先ず今回の機構改革で廃止される官庁のうちで、経済調査庁につきましては七百四十七人を、経済安定本部につきましては百二十六人をそれぞれ減員いたし、残余は
関係各省庁に移し替えることといたし、又調達庁につきましては、
事務の縮減に伴
つて千九百九十一人を減員することにいたしております。次に、今回の機構改革に伴いまして、長官、次長、局長、部長の職で不要となるものがありまするので、これに相当する定員として各府省を通じて合計六十人を減員いたしております。更に、これは直接機構改革とは
関係ありませんが、本年七月一日から石油の配給統制が廃止されまするので、各省を通じてその
関係職員六百四十二人を減員することとな
つております。又実質的な増員といたしましては、保安庁の営繕に当る
職員として、北海道開発庁に七十五人、建設省に六百二十五人を、海上安全の充実のために新設保安庁に四百人を、又船舶の動靜調査のため運輸省に六人をそれぞれ増員することといたしております。このほか、現在すでに国会に提案され、国会で
審議中の各種
法律案によ
つて現行定員法に追加されることにな
つておる定員増合計六百八十九人も今回の定員法
改正案に織り込まれておるのであります。改正の第二点は、現行定員に対する
形式的な増減でありますが、
一般職から特別職に振替えられるために定員法から削減されるものとして海上保安庁の航路啓開門係
職員等千八百三十九人、新たに
内閣法による機関となるために定員法の
適用範囲外となるものとして法制局の六十一人があります。又日本電信電話公社及び国際電信電話株式会社の新設に伴い、現存電気通信省の
職員十五万四百十八人は、監督要員として郵政省に移される者十人を除いて、全部定員法の定員から削減されております。一方、
形式的な増といたしましては、従来内閲機関であつた人事院が今回の機構改革によ
つて総理府の外局たる国家
人事委員会となるに伴いまして、その
職員九百二十人が定員法の定員に加えられることにな
つております。以上の実質的及び
形式的な増減を通算いたしますると、増員二千七百三十七人に対し減員十五万五千八百九十六人でありまして、差引現行定員に対し十五万三千百五十九人の減員とな
つておるのであります。改正の第三点は、各府省庁の間の定員の移動であります。今回の機構改革によ
つて経済安定本部が廃止されるほか、相当数の
委員会及び庁が廃止され、その
事務が本省又は他の官庁に移行されるのでありますが、これら廃止される
行政機関の定員は、これをその
事務を受け継ぐ
行政機関に移し替えることとされております。改正の第四点といたしましては、今回の機構改革により、法務府が法務省となり、経済安定本部が廃止されるに伴
つて、現行定員法の條文中、法務府、経済安定本部、法務府令、経済安定本部令等の字句がありまするのを削除することといたしております。又現行定員法によれば、引揚援護庁の
職員の定員は、引揚援護
事務の状況により政令でこれを増員し得ることとな
つておるのでありますが、今回同庁が厚生省の内局となるのを機会に、この
規定を削ることといたしております。改正の第五点は、前国会における定員法の改正の際、通商産業省について認められた暫定定員に関するものでありますが、
現行法によりますと、同省の本省の定員は、本年九月末までは八千二百五十六人、十月一日から十二月末までは八千百四十三人と定められておりますが、同本省の基本定員が変更されるのに伴い、この数をそれぞれ一万四千三十一人及び一万三千九百十八人と改めることにいたしております。最後に、今回の改正による人員の整理を円滑に
実施するために、一定期間を限り、新定員を超える員数の
職員を定員外に置くことができる
措置をとることといたしております。即ち調達庁の
職員及び
行政管理庁に引継がれる経済調査庁
関係の
職員の整理のために、これら両庁については明年三月末まで、その他の
行政機関については本年十二月末まで、それぞれ定員を超える員数の
職員を定員外に置き得ることといたしておるのであります。なお通商産業省の本省につきましては、先に申述べました通り、本年十月一日を境として、その定員に段階を設けております
関係上、今回の改正によ
つて新たに実質的に減員となる二百十五人という数を特に明記して定員外の定めをすることといたしております。以上がこの
法律案の
提案理由及び内容の概略であります。
内閣委員会は経済
委員会と
連合委員会を四回、又
内閣委員会独自の会を二回開きまして、この
法律案の
審議をいたしたのであります。今回の改正は人員整理を主としたものでなくて、機構改革に伴う定員の増減でありまするので、特に論議せられた重要な問題はなか
つたのであります。最後に
討論の段階におきまして、楠見
委員から原案の一部を
修正する
修正案が発議されました。その
修正案及びその
理由につきましては、前と同様の
理由を以ちまして、ここに
説明を省略させて頂きます。併しその要旨は次の点であります。第一に、各省又は各外局の庁の設置法の一部を改正する各
法律案に対する
修正が行われました結果、これに伴
つて調達庁の定員は原案より九百八十六名増加し、
行政管理庁の定員は原案より四百五十六名増加し、経済
審議庁の定員は原案より二十三名増加し、国家
人事委員会の定員九百十六名が削除せられたのであります。第二には、南方連絡
事務局が
総理府の附属機関として先に新たに設置せられましたに伴いまして、
総理府水府の定員が二十七名増加いたしたこと。第三には、定員の合計が原案に比して五百九十四名増加したこと。これであります。上條、三好成瀬各
委員から、
修正案には特に反対ではないが、
修正案を除いた原案には反対である旨の
発言がなされました。かくて
修正案を含む原案について
採決をいたしましたところ、多数を以て
修正議決すべきものと決せられたのであります。以上を以ちまして
日程各案の
報告はここに終了いたしたのであります。
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結論といたしまして、去る二十一日の本会議に
報告いたしました点と対照をいたしまして、整理の結果を申述べたいと思います。最も重要なる
事項といたしましては、法務府を省とし、法制意見三局を法制局として
内閣に移した点、電気通信省を廃止して公共
企業体といたした点、経済安定本部を廃止して
総理府外局の経済
審議庁を設置した点、保安庁を設置して
総理府外局といたした点は、
政府の提案の最も重要なるものの実現を見たことと考えられるのであります。ただ、人事院の廃止に伴う国家
人事委員会は、人事院の廃止が
内閣委員会の
権限に属せざるを以て、これが実現を見なかつたものであります。次に、
行政委員会は二十三を廃止して十四とする
政府の元の考えは、その全部が認められたのであります。但し新設の法務省に公安審査
委員会が設置せられ、国家
人事委員会は一応原案から削除せられたのであります。庁につきましては、原案通り廃止を認めたものは七つ、
修正案によ
つて復活いたしたものが四つ、期限付き又は
法律で定める日まで残存するものが二つ、合計六であります。又新設が三つあります。即ち保安庁、経済
審議庁、公安調査庁、これであります。局につきましては、増加が一つ、原案は九十二を整理して七十四とするという
説明でありましたから七十五局と
なつたわけであります。部につきましては、原案では三十四部を廃止したいというのに対しまして、
委員会は二十六復活をいたしました。故に廃止は八つであります。監は全部これを認めなか
つたのであります。かような結末と相成
つております。最後に私は、連日四十四回に亘
つて審議をいたし、夜分まで延長したのが十六回にな
つております。
委員諸君の熱心な御意見によりましてこの
修正案ができましたことを実に欣快とするのであります。その間におきまして
委員諸君から
行政整理について傾聽すべき有力なる御意見が発表せられたのであります。国家のこの
行政組織は将来もなお常に改善をしなければならんということは、これは最も必要なことと考えまするから、それらの参考に資するために只今
委員会において述べられた有力な御意見と考えられますものを少々挙げまして、後の御参考に供したいと思います。第一は、現行の
法律政令等の整理を断行することであります。最近の立法は複雑繁多を極めておりまして、あらゆる小さなことまで
法律を以て
規定せんとする傾向が著るしくな
つております。又議員立法等におきましては、予算
措置の決定もなくて、国費の巨額な支出を顧みないところのものもあります。かくのごときことは、過去のこれまでの
現行法律政令の整理を断行すると共に、これらの点についても十分考えなければならないと思います。即ちこれは、極端にこの議員立法が進みまするならば、三権分立の趣意に反するものではないか、又立法府が
政府の
行政権を侵害するということにもならないかと考えられますと同時に、立法の権威を失墜する慮れがあると信ずるものであります。第二は、国家予算の編成方法を改善して欲しいものであります。これが又
行政整理において大変に役に立つと思います。これまでの予算のごとくに、誰が見てもわからないような旧式な予算の書き方は、誠に困つたものであります。これらはどうしても改善して欲しいと考えます。第三には、地方財源の鞏固を図
つて地方自治制の確立を期することであります。又中央と地方の
事務の再分配を検討いたしまして、
地方自治体の機構の中の煩雑なものを整理することが絶対に必要であるという点であります。第四には、中央行
政府の
組織を簡素にし、
権限を強力にし、責任を明らかにするために、課の整理統合を行な
つて、有力なる課長を重用して
事務を執行することであります。これに従いまして、局の次長であるとか或いは部であるとかいうような不明瞭なこの
組織を整理することができると同時に、局の数までこれを減少することができると信ずるのであります。併しこれを実行するがためには、どうしても、国家公務員の処遇を改善することが必要であります。第五には、信賞必罰の主義を嚴明にいたすことであります。第六には、フーバー・コンミツシヨンのごとき
組織を作
つて、二年若しくは三年を期して適切なる
行政機構改革案を作成することが必要であると認めております。
行政整理の過去の実績を考えてするときに、單独強力
内閣であ
つても、よき案を得ることは至難であります。特に連立
内閣においては殆んど不可能であるかと認められます。故に、
政府と離れて、これを検討する有力な機関を設置することが必要と思います。アメリカにおいてのフーバ一・コンミツシヨンはよき例であると信じます。かような事柄が、
委員会において、
委員長として伺いました有力な意見でありまするから、これを紹介いたしまして、結論として将来の
行政機構改革の一つの参考に資したいと思います。最後に、
委員諸君、
関係職員諸君の御盡瘁に対しまして深甚なる敬意を表します。これを以て
報告を終ります。