○河井彌八君 議題となりました
法律案八件は、
政府の重要政策の
一つとして今回
国会に提出せられました
法律案二十七件の一部でありまして、いわゆる行政整理の計画に基いて立案せられまして、いずれもかれこれ緊密な連関を持
つておるものであります。この二十七件のうちで二十六件は行政機構の改革に関するもの、一件は行政機関定員の改正に関するものであります。これらの二十七件の案名はここに朗読を省略いたします。
内閣委員会は五月七日から右各案の審査を付託せられまして、十二日から予備審査に入り、三十日から本審査をいたし、委員会の開会はこの
関係諸案だけで四十回に上
つております。このうち九つの常任委員会、即ち地方行政、経済安定、電気通信、郵政、通商産業、人事、法務、厚生及び大蔵の各委員会と連合会を十七回開いております。又参考人の意見も二回聽取しております。その聽取いたしました案件は、保安庁法案
関係及び外国為替委員会
関係の二つであります。本日上程の
法律案八件と、本日は上程されておりませんが、資源調査会設置法案、これは七月十四日に審査を終了いたしまして、
報告書を提出いたしたのでありまして、爾余の十八件はこれから審査を続行せんとするものであります。
先ず順序といたしまして、
政府の行政整理計画の大要を御紹介いたします。前
国会におきまして定員の整理をいたしましたが、これに引続きまして今度の
国会におきましては機構改革を企図いたしておる。これがこれらの諸案であるのであります。
この機構改革の目的をどこにおいておるかという点でありますが、行政機構の簡素化をいたし、
責任体制を確立し、以て
日本の国情に適して、最近のこの新
事態に即応せしむることを目的とするという説明であります。
第二といたしまして、行政機構改革の基準をどこにおいておるかと申しますと、八点あります。
一つは、行政委員会の廃止、審判的機能を有せざるものを廃止するというのであります。二には、外局たる庁の廃止。三には、官房及び局の中の部を廃止する。四には、総務府のあり方を、もつと強力な、而うしてこれまでのように雑然といろいろな行政機構が入
つておるものをもつと簡素なものにするということ。五には、監察制度の整備強化。六には、治安機構の整備。七には、電気通信の公共企業化。八には出先機関の整理であります。
その内容について申しますれば、行政委員会の廃止に関しましては、統計、全国選挙管理、公益事業、地方財政、外国為替管理、電波監理、中央更生保護、証券取引、公認会計士管理及び外資委員会の廃止でありまして、これまで二十三ありました行政委員会をば十四といたすというのであります。次には庁の廃止でありますが、これは入国管理、国税、引揚援護、食糧、林野、資源、中小企業、海上保安、航空、経済調査の廃止でありまして、更に印刷庁、造幣庁、工業技術庁は附属機関とするのであります。次には局の廃止であります。九十二ありますものを七十四といたすのであります。この中に外局にある庁が三つ入
つております。四には部の廃止であります。部は百二十九ありますけれども、四十五といたします。この中で行政組織法の二十四條第二項によるものが三十五あります。これが廃止せられるものの中に入ります。これに代りまして監を置くもの、これが九つあります。監は衆議院の修正によりまして十四と相成
つております。
三番目の事項といたしまして主な廃置……廃止、設置の事例を申上げますれば、第一には、人事院、即ち行政組織法の機関でないところの現在の人事院を廃止いたしまして、総理府の外局の国家人事委員会とすること、二には、保安庁の設置、これは総理府の外局とすること、三には、経済安定本部を廃止いたし、総理府外局の経済審議庁を設置すること、四には、法務府を、省、即ち行政組織法の機関の中の省に移すということ、そうして法制意見の三局をば法制局といたしまして、これを行政組織法以外に移しまして、
内閣に法制局を設置するというのであります。五には、電気通信省を廃止いたし、公共企業体とすること、この中には国際電気通信というものは
政府出資の特殊会社とするという案であります。
第四は、
只今の構想に基きまして定員法の定員の整理
関係が出て参りまして、およそ三千五百人ということにな
つております。この三千五百人の整理に関しましては、それの
措置といたしまして定員外制度を設けること、それから退職手当をこの前の整理と同じように八割を與えること、その他、法律には
関係ありませんが、転職斡旋を十分にするというようなことであります。
第五には、施行期日といたしまして、本年の七月一日ということにな
つておるのでありますが、これは当然修正をいたすべき点であります。
第六には、これに関しましてそれぞれ
予算措置がと
つてあるのであります。
第七といたしまして、委員会は各案の審査に当りましてどういう
措置をとるべきかということをたびたび懇談会を開きまして検討をいたしたのであります。而してこれは極く大体の決定でありますから、個々の案につきましては必ずしもこの
通りに行
つておりませんが、大体の方針を申上げます。第一には、行政委員会、即ち外局、これの存廃につきましては、
政府は審判的性質を有するものを存置いたして、それ以外のものは廃止するという方針であるという説明でありましたけれども、特に必要あるものは審判的の性質がないものであ
つてもこれを存置するという意見であります。第二は、外局の庁の存廃につきましても、行政委員会に対すると同じ
考えを持
つております。第三には、官房又は局にあるところの部、特に必要あるものはこれを国家行政組織法の附則別表第二に移しまして、二十四條の二の第一項、第二項の「
昭和二十七年七月三十一日までは」というのを「当分のうち」といたしまして、これを認めました。併しこれは今後の濫設を嚴に戒める
考えであります。第四には、監、これは改正案において新設いたしました。監はこれを認めない。その
理由は、この
性格が甚だ不明であるということと、行政上の
責任の所在が明確でないということであります。第五には、次長……局長の次の次長、これは
原則として認めない。併しその所掌事務の性質及び事務分量等を勘案いたしまして、特に存置の必要ありと認めたものに限
つてこれを存置するということ。第六の官房長も同様であります。第七には、部、次長、官房長を
原則として認めない。
只今申しました
通りそういうのは各省庁におきまして濫設の弊に陷
つておるところの課を整理して、有力なる課長を置き、これを中心とする行政の運営を期待する、こういう点であります。
これから日程に上
つておりまする各案につきまして、委員会において審査いたしました経過並びに結果を
報告いたしますが、詳細を盡すことを避けまして、努めて各室の内容を申上げまして、なお最も論議を盡しました諸点を明らかにいたします。原案に対して提出せられたる修正個條を正確に御
報告申上げようとするのであります。
行政管理庁設置法の一部を改正する
法律案について申述べます。
提案の
理由といたしましては、現行の行政機構の簡素化を図るという方針の下に、統計委員会及び経済調査庁を廃止する。統計委員会についてはその所掌事務の全部を、経済調査庁につきましてはその一部を、それぞれ行政管理庁に統合すると共に、行政監察機能を整備強化して、能率的且つ合理的な行政運営の確立を図ることにするというのであります。
その案の内容について概略申上げますれば、第一に、
政府の今次の行政機構改革の方針として、各種の行政委員会は審判的機能を主とするものを除いて他は廃止することにな
つておりまするが、この方針に
従つて、総理府の外局たる統計委員会はこれを廃止する。その所掌事務と権限の全部を行政管理庁に統合いたしまして、これを掌る内部部局といたしまして、従来の管理部及び監察部のほかに新たに統計基準部を加えることとしているのであります。第三には、経済統制の撤廃に伴
つて、従来主として経済
法令違反行為の調査を行
なつた経済調査庁を廃止して、その所掌事務のうち行政機関及び各公共企業体の監査又は調査に関する部分のみを行政管理庁に吸收統合することといたし、新たに行政管理庁の所掌事務及び権限として、各行政機関の業務運営の監察に関連する限りにおいて、公共企業体の業務と国の委任又は補助にかかわる業務との実施
状況を
関係者行政機関と協力して調査することができることといたしております。又これらの監察乃至調査に関する事項の処理に当るところの部局はこれを監察部といたし、更にこの事務を分掌させるため行政管理庁の地方支分部局として全国八カ所に地方監察局を設置し、各局に内部部局として二部を置くことにいたしました。このほかに、監察上必要ある場合には、行政管理庁長官は公私の団体その他の
関係者の協力を得て所要の資料の提出を求めることができるようにいたしております。第三には、行政管理庁に新たに行政審議会及び統計審議会の二つの附属機関を置くことにいたしております。行政審議会は行政制度及び行政運営に関する重要事項と監察の結果に基く重要な勧告事項を調査審議する諮問機関でありまして、又統計審議会は、統計調査の審査、基準の設定及び総合調整並びに統計
報告の調整に関する重要事項について調査審議いたし、並びにこれらの事項に関して長官に建議する機関であります。第四に、経済調査庁法を廃止すると共に、同法の
規定によ
つてこの法律施行前に経済調査官等が行
なつた証明、証拠の提出等の行為は、同法廃止の後もなお効力を持つことといたしておるのであります。なお府県の
段階の機関といたしまして設置されておりまするところの地方経済調査局は、残務処理のために
昭和二十八年三月三十一日までの間新設地方監察局に附置することができるものといたし、それ以前でも残務処理が終了すれば政令で以て定めるところによ
つて廃止する
措置をとることにな
つております。
内閣委員会におきましては、経済安定委員会との連合委員会を三回、
内閣委員会みずからを四回開きまして審査いたしたのであります。論議の中心となりました点は監察機構に関するものであります。
政府が原案の監察機構の構想について説明するところによりますと、行政監察は現在各行政機関の手で部内監察を行な
つておるものでありまするが、なお監察の周到を期するために行政管理庁の監察部の手によ
つて外部監察を行わんとするものでありまして、地方支分部局として全国に八つの管区に地方監察局を設置いたし、中央地方を通じて千二百二十八名の定員が予定せられておるという説明であります。現行の経済調査庁は経済
法令の励行が主な任務でありまするが、今後この種の事務は各省の手で行わしめることといたしますので、この際、経済調査庁法を廃止いたしまして、経済調査庁もこれに伴
つて廃止することにいたすのであります。而して現在の経済調査庁職員のうちで約六割を新機構に收容いたしまして、これらの人々の監察に関する知識経験を活用せんとするという説明でありました。委員の側からは、監察の周到徹底を期するがためには、原案のごとく八つの地方部局を置くだけでは不十分であると思われる。なお各都道府県にも下部機構として地方監察局を設ける必要があるのではないかという強い質疑があ
つたのであります。これに対しまして
政府は、小さな地方局を数多く置くよりも、八つの管区にまとめて強力な監察局を置いて、この強化された機構によ
つて機動的に監察業務を行うことが最も能率を挙げ得るものであるとの
答弁がありました。併し委員の多数は、監察の手足となるべき第一線の各都道府県に地方監察局を配置いたして監察の周到を期するのは今日の実情に照らして最も必要であるという
結論であります。
討論の
段階に入りまして委員全体から次の修正案が提出せられたのであります。これはお手許に配付してありまするから朗読を省略いたします。但しその趣意を申上げますると、現在の行政管理庁の地方支分部局であるところの八つの地方監察局をば管区監察局と改称すること、第二には、右管区監察局の所在地以外の都道府県に地方監察局を新設するように改めること、第三に、この改正法律の施行期日を、原案では、本年の七月一日とありまするのを、本年の八月一日に改めるということであります。改正の
理由につきましては説明する必要がないと認められまするからこれを省きます。
討論に入りまして、竹下委員から、この終戰後に道義が乱れて不正
事件が頻発しておる今日に、かような監察制度を確立いたして監察の周到を期するために、地方監察局に重点を置いて監察業務を運用することが絶対に必要であるという意味を以ちまして、この修正案を含む原案について賛成の意を表せられたのであります。従いまして採決の結果は、この修正案を入れまして原案は全会一致を以て可決すべきものと決定いたした次第であります。
次に
労働省設置法の一部を改正する
法律案について申述べます。
提案の
理由といたしましては、やはり行政機構改革の方針に従いまして労働省におきましても労働統計調査部を廃止して、特別な職といたしまして統計調査監を置くということ、なおこの際、婦人少年室を本省の地方支分部局として設置法に
規定することであります。内容といたしましては、
只今申上げました労働統計調査部の廃止及びこれに代るところの統計調査監の設置、第二点といたしましては、
只今申しました本省の地方支分部局として各都道府県ごとに婦人少年室を設けて本省婦人少年局の所掌する婦人及び年少
労働者に特殊な
労働條件の向上と保護を図ること、婦人及び年少者に特殊な労働問題に関すること等の事務を
取扱わせるというような点であります。この婦人少年室は設置法に基く地方支分部局としては新設の機関でありまするが、従来、本省の婦人少年局の職員を各都道府県に常駐せしめて、これらの事務を行わせておりましたものを、この際、機構として中に入れようというのであります。第三点は、労働に関する団体の役職員への就職禁止に関する労働省の権限事項を削除いたした点であります。これはポツダム宣言の受諾に伴い発するところの命令に関する件に基く労働省
関係諸命令の廃止に関する法律の施行によりまして、労働省の事務としてはなく
なつたものでありまするから、これを整理するのであります。
内閣委員会は委員会を開くこと四回、その際に論議の中心となりましたのは、原案におきましては大臣官房に置かれておりまするところの現在ありまするところの労働統計調査部を廃止いたし、これに代えて統計調査監一人を置くという点であります。労働統計は労働行政における基本的の業務でありまして、例えば労資間における
紛争の処理に当
つて労働統計が如何に重要な役割を果しておるか、又
日本が国際労働機関に加入いたす以上は、将来この労働統計を完備することが如何に重要であるかということを
考えまするときに、この部を廃止せんとする
政府の原案は甚だしく労働統計の重要性に関する認識を欠く感ありという意見が強か
つたのであります。そうして実際におきましても、これを廃止して統計調査監を置いてみましたところで、何ら事務の簡素化になるという実を挙げるとは認められないのでありまして、のみならず却
つてその
責任の所在が不明確になるという虞れがあるということでありまして、結局他の
法律案においても同様な
取扱がありまするが、部制を復活いたしまして監を廃止するということにな
つたのであります。そうして次のごとき修正案が発議せられました。これもお手許にありまするから朗読を省略いたしまして内容を申上げますれば、大臣官房に現在
通り労働統計調査部を存置して原案の労働調査監を削る、又次に、この改正法律の施行期日をば原案では
昭和二十七年七月一日とあるのを
昭和二十七年八月一日に改めんとするものであります。
この修正を含むところの原案を採決いたしましたところが、全会一致を以て修正可決すべきものと議決いたした次第であります。
次に
文部省設置法の一部を改正する
法律案を説明いたします。
文部省の機構改革は同様に行政簡素化の趣意に則
つたのでありまするが、そのほかに、従来の機構のうちで不合理であり又不便な点があるので、これを改めまして、
日本のこの実情に即した所要の調整を加えようとするのであります。これが提案の
理由であります。その内容といたしまして、第一には、内部組織を簡素化する趣意によりまして、管理局の教育
施設部を廃止し、又大臣官房の事務を本来の事務である人事、総務、会計に関するものに限定いたし、他の事務はすべてそれぞれ関連ある局の所掌に属せしめるということにいたしました。なお調査普及局という局をば調査局と名称を改めまして、結局、新機構におきましては官房とそのほかに五局とするというのであります。第二点は、従来の機構の不合理、不便な点を改めたことでありまして、旧機構では指導行政と管理行政とを分離する方針をとられてお
つたのであります。これは
連合軍司令部の
考えに基いたものでありまするが、併し、従来の経験によりますれば、これはよい面もありまするけれども、他において不合理、不便な点がありますのみならず、
責任の所在が明らかでないという遺憾なことがありましたので、これを合理的に且つ能率的に運営のできるように改めたのであります。この観点から改革の主なものとして例を申上げますと、先ず教科書行政に関するものといたしましては、従来教科書の内容に関する事務は初等中等教育局、教科書の刊行に関する事務は調査普及局、教科書の検定に関する事務は管理局でそれぞれ扱うことにな
つておりまして、教科書に関する事務が三局にまたが
つておつたという不便なことがありました。これをこのたびは初等中等教育局で一体的に処理することができるようにしたのであります。もう
一つの例は、大学の設置認可に関する事務は従来管理局の所掌とせられ、内容面を
取扱つておりまする大学学術局が管理局に対して所要の勧告をするという形にな
つてお
つたのであります。これらの二重行政を改めまして、大学の設置認可に関する事務はすべて大学学術局において行うことといたしておるのであります。かような方針で、初等中等教育局、大学学術局、社会教育局、調査局、管理局等の所掌事務についてそれぞれ調整を加えたのであります。
従つて今度できまするところの新機構の官房五局の所掌事務を説明すべきでありますが、これは省略さして頂きます。最後に第三点といたしまして、現行法上疑義を生じ易い
規定とか重複する
規定とかいうものを整理いたした点であります。
内閣委員会におきましては四回委員会を開いております。この結果明らかにされた点の主なものを申上げますと、第一には、現行の文部省の機構は、総司令部の指示に基いて、いわゆるチエツク・アンド・バランスの精神に基き、指導行政と管理行政とを分離して、文部大臣の専断を防止せんとする
趣旨に基いてできたものでありましたが、この制度は、従来の経験に鑑みまして、例えば大学の設置、それから教科書の
只今申上げた例にか
つても明らかであるごとく、行政簡素化から見ましても、
責任の所在を明確にするという点から見ましても、適当でないと認めたのであります。委員会もこの点につきましては
政府の
考え方を是認いたしております。第二点は、現行制度においては管理局の中に教育
施設部が置かれておるのでありまするが、この教育
施設部の所掌事務は管理局のほかの事務と著しく性質を異にするばかりでなしに、その事務も文部行政の上で重大な比重を持
つておりまするが故に、單に部制整理という
理由で以てこの部を廃止せんとする原案には賛成しがたいという強い意見が出たのであります。
討論の
段階におきまして、
内閣委員会の全員から原案の一部を修正する次の修正案が発議せられました。その修正案はお手許にありまするから朗読を省略いたすのであります。内容を申しますと、管理局に現行
通り教育
施設都を置くというのであります。そうして施行期日につきましては、他の
法律案と同じように本年七月一日とあるのを本年八月一日に改めんとするのであります。修正の
理由につきましては明瞭でありまするからこれを省略いたします。
かくいたしまして修正案を含むところの原案について採決をいたしましたところが、全会一致を以て修正可決すべきものと議決いたしました次第であります。
厚生省設置法の一部を改正する
法律案について申述べます。
提案の
理由といたしましては機構簡素化の目的で本案を提出したのであります。
その内容を申しますと、第一には厚生省外局であるところの引揚援護庁を廃止して、内部部局として引揚援護局を置くことにしてあります。第二には、内部部局であるところの統計調査部、国立公園部、環境衛生部を廃止することといたしたのでありまして、環境衛生部の事務は公衆衛生局に移しまして環境衛生課において処理することにな
つております。第三は、厚生省の地方支分部局であるところの駐在防疫官事務所を廃止して、引揚援護庁の地方支分部局である引揚援護局、復員連絡局及び地方復員部をそれぞれ厚生省の地方支分部局とした点であります。第四は、特別な職として従来設けられていた医務局の次長を廃止し、大臣官房に統計調査監及び国立公園監を、引揚援護局に次長二人を置くこととした点であります。なお、このほか必要な字句の修正等條文の整理を行な
つておる点もあります。
内閣委員会は、厚生委員会と連合委員会を一回、又
内閣委員会自身の委員会を三回開きまして審査に当つたものでありますが、重要な論義の点について申上げます。第一点は、厚生行政において統計調査の事務は重要な中枢的の
地位を占めておるのみならず、今後厚生行政の機能を十分に発揮するがためにはこの部の活動に期待することが多大であるにかかわらず、原案ではこの部を廃止せんとしておるのであるが、この部を廃止する
理由については全く了解ができない。国立公園部の廃止についても又同様であるという意見が出ております。第二点は、医務局には現在国立病院の地方移譲という重大な懸案が残されておるほかに、技術出身の局長の下に事務補佐の次長が特に必要であるのに、この次長を廃止するのは失当である。又こういう公衆衛生局の環境衛生部を廃止することも当を得ないという意見が強く述べられたのであります。第三点は、原案では
政府の外局整理の一般的
原則によ
つて引揚援護庁を内局にすることにな
つておりまするが、過般戰傷病者戰没者遺家族等援護法が成立いたしまして、来年三月末日までに二百万人に近い全国戰傷病者、戰没者、遺家族等に対してこの法律に基く
措置をいたさなければならんのでありまして、その事務は主としてこの引揚援護庁の手によ
つてなされるのであるにかかわらず、今直ちにこの機構に改変を加えることは当を得ないという点から、この引揚援護事務の終結する明年の三月三十一日までは現在のまま外局として存置すべきものであるという意見が時に強く述べられたのであります。
討論の
段階におきまして、
内閣委員の全員から原案の一部を修正する修正案が提出せられました。これもお手許に差上げてありまするから朗読をいたしませんが、その修正の要点は次のごときものであります。第一には大臣官房に現行
通り統計調査部及び国立公園部を存置すること、第二には、右に伴い原案の統計調査監及び国立公園監を創ること、第三、医務局に現行
通り次長一人を置くこと、第四、公衆衛生局に現行
通り環境衛生部を存置すること、第五、引揚援護庁を
昭和二十八年三月三十一日まで現行
通り存置すること、第六、この法律の施行期日をば本年七月一日とあるのを八月一日に改めることであります。修正の
理由につきましては説明を要さないと認めます。かくてこの修正案を含むところの原案について採決をいたしましたところ、全会一致を以て修正議決すべきものと議決いたした次第であります。
次に
建設省設置法の一部を改正する
法律案について説明申上げます。
提案の
理由といたしましては、建設省の内部部局の組織を改めること、総研府の外局たる首都建設委員会を建設省の外局として置くこと、又これらの改正に伴う建設省の所掌事務に関する
規定について所要の改正を行い、併せて建設省所管行政の監察機構を整備するというのであります。
内容について申上げますれば、改正の第一点は、建設省の内部部局が、従来管理局、河川局、道路局、都市局及び住宅局並びに営繕部の五局一部でありますが、これを改めまして、計画局、河川局、道路局、住宅局及び営繕局の五局及び官房といたすものであります。その各改正案におきまする各局の所掌事務につきましては説明を省略いたします。第二点は、総理府の外局として置かれておりまするところの首都建設委員会をば建設省の外局として置くことといたし、委員会の事務局の職員は建設省計画局の職員のうちから兼ねて任命することにいたした点であります。第三点は、技監制度を廃止いたし、これに代えて建設技術
会議を附属機関として設置し建設省の所管行政にかかわる技術に関する重要事項を審査することといたした点であります。第四は、本省に監察官十人以内を置いて所管行政の監察を行わせると共に、建設大臣が必要ありと認める場合には、建設省の助成にかかわる事業の実況の検査を行わせることができることといたし、建設省の所管行政特に建設工事の適正な施行を確保いたそうとする点であります。第五点は、従来経済安定本部物価局において所掌しておりまする地代及び家賃に関する事務を、経済安定本部の廃止に伴いまして建設省の住宅局の所掌事務といたし、住宅の緊急
措置に関する事務、及び連合国最高司令官から
政府に返還されたいわゆる特殊物件に関する事務を整理することといたしたのであります。改正の第六点は、測量審議会は
昭和二十七年三月三十一日限りで廃止になることにな
つておりましたが、この審議会において審議するを適当とする事項については一部審議が未了のためにいま一年その廃止を延期することといたしまして、これに伴いまして測量法に所要の改正を加えんとするのであります。
内閣委員会は五回開会いたしました。その審議の間におきましての重要なる意見を申述べます。第一点は技監制度を現行
通り存置せしめようとする点であります。これに関しましては建設委員会よりも現行
通り技監一人を存置すべしという強い要望があ
つたのであります。
内閣委員会におきましても、建設省内の技術官の最高指導者としての技監を現行
通り存置することは建設行政を円滑に遂行し得るゆえんであるとして、技監制度の存置について強い主張がなされたのであります。第二点は原案の建設技術
会議の点であります。
政府の提案
理由によりますれば、現行の技監制度を廃止して、これに代えて建設技術
会議を建設省の附属機関として設置することにな
つておるのでありまするが、現行の技監制度を存置する限り建設技術
会議はもはやその設置の
理由がないという意見が強く述べられたのであります。第三点といたしましては、建設委員会から、荒廃林地復旧事業と建設省の砂防事業とを統一して建設省に砂防局を設置すべしという強い要望が出たのであります。この点につきましては、
内閣委員の多数は、砂防機構の強化とこれを実現するための一元化とは、災害頻発の国情に照らしまして最も必要と認めたのでありまするが、今回の機構改革においては修正案は提出せず、
政府においてこの問題について十分検討いたした上に、最近の機会において砂防局の実現に努力せられたい旨の強い要望がなされたのであります。
かようにいたしまして、討論の
段階におきまして、
内閣委員長から各委員多数の意向に基いて作りました修正案を提出いたしたのであります。その発議いたしました修正案はそのままお手許に差上げてありまするから朗読を省略いたしまするが、その要点は次の三点であります。第一点は、原案の建設省の附属機関である建設技術
会議を削ること、二は、現行
通り技監一人を存置すること、三は、この法律の施行期日を
昭和二十七年七月一日とあるのを八月一日に改めることであります。修正の
理由はこれを略します。
そこで、この修正案を含むところの原案について採決をいたしましたところ、全会一致を以て修正議決すべきものと決定した次第であります。
次に、
法制局設置法案について説明を申上げます。この
法律案の提案
理由は、
内閣における法制の整備統一に関する機能を強化するために、これまで法務府の所掌事務とな
つておりました
内閣提出の
法律案及び政令案の審議立案、條約案の審議、法律問題に関する意見の陳述並びに内外及び
国際法制に関する調査研究等の事務を
内閣に移して、法制局を設置せんとするものであります。
内容について申上げますれば、第一に、
只今説明申しました事務をば
内閣に置かれるところの法制局をして行わしめんとする点であります。この機関は総理府の所属といたさずに
内閣の直属機関といたしているのであります。その
理由は、この機関の任務が法制に関して直接に
内閣を補佐するものであるというのであるからであります。第二は、法制局の組織といたしましては、その長は
内閣が任命するところの法制局長官といたし、その下に次長を置き、更にその下に意見部、第一部及び第二部の三部並びに長官総務室を置くこととな
つております。なお、法制局には、長官、次長のほかに、その職員といたしまして、参事官、事務官等が置かれ、部長は参事官を以て充てることといたし、その定員は現在の法務府における相当部局の定員を基礎といたしましてこれを定め、長官、次長を含めて全部で六十一人とな
つております。第三に、法制局長官は
内閣官房長官と並んで法律問題に関し
内閣を補佐する職でありますので、その
地位に鑑みましてこれを特別職とすることにいたしております。第四に、
関係法律の一部が改正せられまするのは、国家公務員法、特別職の職員の給與に関する法律、恩給法及び国家公務員のための国設宿舎に関する法律であります。
内閣委員会は、委員会を開くこと五回、この案につきまして審議をいたしたのでありますが、その結果明らかに
なつた点、又は委員から述べられた主な意見を申上げますれば、第一には、この
法律案で新設される法制局は、以前の
内閣制度の下において存在しておつた法制局とほぼその構想を同じくするものであります。即ちこれは
内閣法上の機関でありますが故に、その組織及び定員については、国家行政組織法、行政機関職員定員法によ
つて規律されるものでないという点であります。第二は、原案では法制局の内部部局といたしまして第一部、第二部とは別に意見部が置かれているのでありまして、意見部では、平素、
法律案、政令案、條約案等の審査に当らないことにな
つているとの
政府の説明でありますが、これに対して委員側の意見は、平素これらの
法律案等の審査に当
つている者が、これら法制上についても最も適切な意見を述べ得られるのであるから、法制局の三つの部はいずれも平素各
法律案等の審査に当るようにするのが適当であるという強い主張が述べられたのであります。
討論の
段階においては、
内閣委員長は委員の多数の意見に基きまして、一部本案の修正案を提出いたしました。その提出案はここにお手許にありまするから朗読を省略いたします。内容といたしましては、原案の内部部局として置かれるところの意見部、第一部、第二部をば、第一部、第二部、第三部と改めること、そのほかに施行期日については他の
法律案について申上げたと同様であります。討論に入りまして上條委員から、この修正案を含むところの原案は、法務府設置の当初の趣意に反するという
理由を以ちまして反対の意見が述べられました。採決の結果は、この修正案を含む原案は可決すべきものと多数を以て議決せられたのであります。
次に、
調達庁設置法の一部を改正する
法律案について申述べます。総理府の外局の
一つでありまするところの調達庁におきまして、その組織の簡素化を図ることとして、
調達庁設置法に所要の改正を加えたのが本案提出の趣意であります。
内容といたしましては、内部部局の整理の点であります。即ち調達庁の内部部局は官房及び財務、業務、管理、
労務の四部で構成されておりますのでありますが、これを整理いたして、総務、不動産、
労務の三部にいたしますると共に、特別の職として置かれておりますところの次長、顧問、官房長、部の次長を廃止せんとするものであります。即ち内部部局でありまする総務、不動産、
労務の三部の所掌事務につきましては説明を省略いたします。第二点は、調達庁長官の権限の委任に関する点であります。調達庁長官は、
労務に関する事務と、
行政協定第十八條に基いて
駐留軍の行為によ
つて生じた損害に対する賠償についての請求の処理に関する事務の一部を、都道府県知事に委任できるという改正をしようとするのであります。第三点は、地方支分部局の整理の点であります。調達庁に置かれてありまする札幌、仙台、東京、横浜、名古屋、大阪、呉、福岡の八つの調達局の中で、呉調達局を廃止して、その所掌事務を大阪調達局に移管せんとするのが原案であります。第四点は、地方支分部局の調達局の内部組織の整理の点であります。即ち、調達局は官房並びに五部で構成されておりまするが、これを整理いたしまして、総務、事業、不動産の三部にせんとするものであります。なお、附加えておきますが、この整理によるところの定員の減少は千九百九十一人でありまして、現在五千百七十三人であるのでありますが、三千百八十二人となる次第であります。
内閣委員会は、委員会を開くこと七回、本案の審議に当
つたのでありますが、そのうち主な点は、第一に、従来調達庁は
占領軍の下部組織のごとき働きをいたして調達事務を処理して来たものであ
つたのが、講和條約
発効後の今日、調達庁の
性格、その任務は変
つておるかという点につきまして検討せられました。
政府の説明によりますれば、
駐留軍に対する調達
方式が大部分は直接調達と
なつた今日におきましては、調達庁の事務は大体残務整理の
程度のものにな
つて、渉外
関係も減少するものと
考えられる。
従つて政府は、本庁の四部を三部に減少するほか、特別の職として置かれておるところの庁の次長、顧問、官房長及び部の次長を廃止いたし、又地方支分部局の呉調達局を廃止して、これを大阪調達局の管轄に移さんとするものであるということを申したのであります。この構想に対しまして各委員から激しい批判が加えられたのであります。今日、調達
方式が需品及び
労務の大部分が直接調達に変つたがために、いわゆる出血入札が行われて、延いては
日本の経済に大きな悪影響を及ぼす虞れもあるのであ
つて、
従つて今後は被害者に対する補償、被害者保護等、自立経済の確立の立場から更に調達庁の任務を考うべきものであるという意見が述べられたのであります。第二点は、庁の次長、部の次長に関する問題であります。今後調達庁においては渉外事務も依然重要な事務として残るのみならず、
労務、不動産に関する事務は従来に比してその重要の度が加わり、且つ又今日直接調達の
方式によ
つて、需品、
労務の調達が行わるるに当
つて、調達庁はその調達が適正でありや否やを周到に監視する責務があると思う。このような見地から見て、今日漫然とこられの次長を廃止せんとする改正案には賛成しがたいという意見が多数の委員から述べられたのであります。第三点は、呉調達局の廃止の点であります。呉調達局の事務分量は、他の調達局と比較して特に少くな
つておるというのではない。その管轄
区域のごときも、中国、四国を含んだ広い
地域でありまして、而も
政府の
答弁によれば、この呉調達局を廃止して、これを大阪調達局の支局となすというにとどま
つて、事務分量も職員の定員も現状
通りであるという説明でありましたから、結局はこの整理は形式的のものにとどま
つて、多数の国民の利便はこれによ
つて犠牲に供せられる結果となるが故に、この呉局の廃止は納得ができないという意見が強か
つたのであります。更に第四点といたしましては、調達庁と
国連軍との
関係に関するものであります。我が国の独立した今日においても、各調達局がアメリカ
駐留軍に対して日米
行政協定に基いて調達業務を行うことは理解できるが、従来
英連邦軍が
駐留しておる地区に置かれておる呉調達局等が、今日なお依然としてこれら
国連軍のために事実上調達業務を行な
つておるのは如何なる法的な根拠に基くものであるか。
国連軍との間に具体的な
協定が成立し、又法律の
規定の上で調達局がかかる業務を行い得ることが明らかにされた上ならばともかく、
国連軍との
協定は現在なお
交渉中の
段階であるのにかかわらず、呉調達局等が
英連邦軍のために事実上調達業務を行わざるを得ないという不合理な現状は理解に苦しむという強い意見が発表せられておるのであります。
かようにいたしまして討論の
段階に入りました。
内閣委員長は、委員多数の意見に基きまして、原案に対する修正案を作りまして、これを発議いたしたのであります。この修正案は可決せられまして、お手許に配付せられておりまするから、朗読を省略いたします。
要点は、一、庁の次長、不動産部及び
労務部の次長を現在
通り存置すること。二には、呉調達局を現在
通り存置すること。三には、施行期日を原案の七月一日とあるのを八月一日に改めることであります。修正案の
理由の説明は省略いたします。本件に対しまして波多野委員から、この調達庁の機構改革は
国連軍との
交渉の妥結の後においてなされるのが適当と認むるが故に反対であるという趣意の
発言がありました。
かくいたしまして、修正案を含むところの原案について採決いたしましたところが、多数を以て修正議決すべきものと議決されたのであります。
最後に法務府
設置法等の一部を改正する
法律案について説明をいたします。
提案の
理由といたしましては、機構を簡素合理化するというのであります。内容におきましては、第一に、
内閣に法務総裁が置かれる現行制度を改めることといたし、法務府をば法務省とし、その長を法務大臣に改めたのであります。又現在の法制意見長官及び法制意見第一局乃至第三局の機構を
内閣に移しまして、これに伴
つて新たに
内閣に法制局を設置したのであります。この点につきましては先に説明いたした
通りであります。従いまして現在法務府の所管するところのこの
内閣提出の
法律案及び政令案の審議立案、條約案の審議、並びに
内閣、
内閣総理大臣及び各省大臣に対する法律問題に関する意見の陳述の事務は、
内閣の法制局に移管されることとなるのであります。第二は、現行の法務本府の機構といたしまして置かれておるところの法制意見長官、刑政長官及び民事法務長官の二長官制を廃止いたして法務省に各省と同様に事務次官を置くことといたしておるのであります。第三に、法務府の外局たる中央更生保護委員会を廃止し、その所掌事務を担当せしめるために、法務省の内部部局として保護局を、又同省の附属機関として中央更生保護審査会を設けることとし、この中央更生保護審査会においては、個別恩赦の申出及び地方更生保護委員会の決定に対する不服申立に関する裁定並びに
平和條約第十一條による
戰犯者の赦免、刑の減軽及び仮出所の勧告に関する決定をする権限のみを有せしめ、爾余の事務と中央更生保護審査会の庶務は保護局をして所掌せしめることにいたしております、なお中央更生保護審査会の委員は三人とし、
国会の同意を得て法務大臣が任命し、その服務は非常勤といたしております。第四に、現
在外務省に置かれておる入国管理庁を廃止いたし、その所掌事務を法務省に移管することとし、そのために内部部局として入国管理局を設け、同局に次長一人を置き、又、入国管理庁の附属機関及び地方支分部局をすべて法務省の附属機関及び地方支分部局に改めることといたしてあるのであります。第五に、法制意見第四局を廃止して、その事務を民事局、刑事局及び大臣官房に移管し、民事訟務局及び行政訟務局を統合して訟務局とし、その局に次長一人を置き、人権擁護局はこれを廃止して、その事務を民事局に統合いたし、人権擁護課にて
取扱うことにいたしたのであります。又官房経理部をも廃止し、更に現行の法務府研修所、検察研究所及び入国管理庁研修所を統合して、法務研修所といたしております。これらの改正は、いずれも機構簡素化の方針に従つた
措置でありまして、その結果、法務省の内局は全部で六局に縮小されるのであります。第六に、更生保護
関係の地方機関を簡素合理化するために、現行の地方少年保護委員会及び地方成人保護委員会を統合して地方更生保護委員会とし、又少年保護観察所及び成人保護観察所を統合して保護観察所とすると共に、保護観察の事務が従来地方少年保護委員会及び地方成人保護委員会の所管とされていたのを、保護観察所の所管に改めることといたしております。第七に、行政機関の名称の変更でありまして、検務局を刑事局に、矯正保護局を矯正局に、中央及び地方の矯正保護研修所を矯正研修所に、矯正保護管区本部を矯正管区に、少年保護鑑別所を少年鑑別所に、入国管理庁出張所を入国管理事務所にそれぞれ改称することにいたしております。
以上が法務府
関係の機構改革案の概要でありまして、このため法務府設置法及び
犯罪者予防更生法の一部を改正し、又入国管理庁設置令を廃止すると共に、同令中所要の
規定を出入国管理令に織り込み、更にこれらに伴う
関係法令の整理をいたしておるのであります。
内閣委員会は、法務委員会と連合委員会を二回、
内閣委員会を一回開きまして、本
法律案の審査に当
つたのでありますが、その中で論議の中心と
なつた問題は、現在の人権擁護局を原案ではこれを廃止し、その事務を民事局に移し、人権擁護課において所掌することの是非に関する点であります。
政府委員の
答弁によりますと、人権擁護の問題は
政府においても決してこれを軽視するものではないのでありますが、現在この局の定員は僅かに六十五名の少数であり、且つ事務分量から見ても、一局として存置するのは局としての体裁をなさないから、これを廃止して、民事局をしてこの事務を行わしめんとする
考えである。
政府は、元来人権擁護の問題は、單に
政府の機関のみに依存すべき問題でなくて、在野法曹の努力によ
つて、一般国民が人権に関する認識を深め、人権擁護に目覚めるのが本筋であると
考えるという説明をいたしております。これに対しまして、法務委員、
内閣委員から、現在の人権擁護局は、その規模、定員が局として存置するには小さ過ぎるのであるという説明であ
つても、
政府の人権擁護に対する至誠と熱意とを示す意味においてもこの局を廃止すべきものではない。元来その所掌する事務が極めて重要なものであるならば、その規模、定員にかかわらず局として存置すべきである。人権侵害
事件として取上げられた件数は、
昭和二十三年には四十八件であつたが、その後、逐次その数を増加して、二十六年には一万五千五百八十九件の多数に上
つておるという
状況であるのみならず、今般破壊活動防止法が成立いたしまして、今後この法律の運用に当る公務員によ
つて人権が不当に侵害される場合の発生することを予想するときには、なお更この人権擁護の重要性が認められるが故に、局の廃止には反対であるという意見が強く述べられたのであります。又人権擁護局の予算は、人件費を含めて年間五百六十六万円、地方法務局に配付にな
つておりまする人権擁護
関係の予算は一千六百万円余であ
つて、人権擁護の重要な事務を処理するための人件費及び事務費は如何にも僅少であるが故に、今後
政府において人権擁護に関する予算の増額についても一段の努力をなされたいという希望意見が強く述べられたのであります。
討論の
段階におきまして、
内閣委員の多数の意見に基きまして、委員長から原案を修正する修正案を発議いたしたのであります。その発議されました修正案は、議決を経ましてお手許に配付されておりまするから、朗読を省略いたします。
その修正の要点は、第一には、現行の官房長を廃止して、現行
通り大臣官房に経理部を存置するということ。第二には、人権擁護局を現行
通り存置すること。第三には、この改正
法律案の施行期日をば他の
法律案と同じように本年の七月一日とあるのを八月一日に改めることであります。修正の
理由につきましては説明を省略いたします。
討論に際しまして、楠見委員から、人権擁護機構としては将来委員会制をとるのが適当であると思うが、これは今後の課題といたしまして
政府において研究せられんことを要望して、修正案を含むところの原案に賛成の旨の
発言がありました。三好委員からも、右と同一
趣旨で賛成であるが、ただ原案では、外務省の入国管理庁が廃止されて、法務省の内局として入国管理局が新設されることになるが、
政府当局において今後仕事の性質を十分に考慮して、事務の運営について遺憾なきを期せられたいという、極めて蘊蓄の深い
発言があ
つたのであります。栗栖委員からは、人権擁護
関係の予算が僅少に過ぎるから、将来
政府においてこの点を十分に考慮せられたいという希望を付して、修正案を含む原案に賛成の
発言がありました。上條委員及び成瀬委員からも、修正案を含む原案は、法務府設置の当初の
趣旨から見て適当でないという意味を以て、この両委員からは反対の
発言があ
つたのであります。
次いで修正案を含むところの原案について採決をいたしましたところが、多数を以て修正議決すべきものと議決いたした次第であります。(
拍手)