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1952-07-11 第13回国会 参議院 本会議 第66号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年七月十一日(金曜日)    午前十時二十七分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第六十七号   昭和二十七年七月十一日    午前十時開議  第一 戰沒者の遺骨収容並びに送還に関する決議案山下義信君外十一名発議)(委員会審査省略要求事件)  第二 日本電信電話公社法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第三 日本電信電話公社法施行法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第四 国際電信電話株式会社法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第五 宮崎県都城市の地域給に関する請願(二件) (委員長報告)  第六 全建設省労働組合九州支部執行委員減給処分に関する請願委員長報告)  第七 新恩給法制定等に関する請願委員長報告)  第八 埼玉県大宮市の地域給に関する請願委員長報告)  第九 京都府淀町、御牧村の地域給に関する請願(二件)(委員長報告)  第一〇 鳥取県皆生温泉地区地域給に関する請願委員長報告)  第一一 山梨県岡部村の地域給に関する請願委員長報告)  第一二 岡山県加美町の地域給に関する請願(二件)(委員長報告)  第一三 香川県長尾町の地域給に関する請願(二件)(委員長報告)  第一四 愛知県幡豆町の地域給に関する請願委員長報告)  第一五 国有林労務者特別職とするの請願委員長報告)  第一六 教育公務員給與準則に関する請願(三件)(委員長報告)  第一七 福井県敦賀市の地域給に関する請願委員長報告)  第一八 宮城県山下村合戰原地域給に関する請願(二件)(委員長報告)  第一九 長崎県佐世保市の地域給に関する請願委員長報告)  第二〇 和歌山県箕島町の地域給に関する請願委員長報告)  第二一 和歌山県勝浦町の地域給に関する請願委員長報告)  第二二 香川県佛生山町の地域給に関する請願委員長報告)  第二三 茨城県那珂湊町の地域給に関する請願(二件)(委員長報告)  第二四 千葉県津田沼町の地域給に関する請願委員長報告)  第二五 千葉県津田沼町外十一箇町村の地域給に関する請願委員長報告)  第二六 宮崎県の地域給に関する請願(二件)(委員長報告)  第二七 宮崎県延岡市の地域給に関する請願委員長報告)  第二八 宮崎県高岡町の地域給に関する請願委員長報告)  第二九 宮崎県高千穂町の地域給に関する請願委員長報告)  第三〇 宮崎県高原町の地域給に関する請願委員長報告)  第三一 静岡県相良町の地域給に関する請願委員長報告)  第三二 静岡県島田、磐田両市の地域給に関する請願委員長報告)  第三三 国立療養所医療従業員給與改善に関する請願委員長報告)  第三四 国立らい療養所職員特殊勤務手当等に関する請願委員長報告)  第三五 福岡県福島町の地域給に関する請願(二件)(委員長報告)  第三六 愛知県旭町の地域給に関する請願委員長報告)  第三七 山口県宇部市等の地域給に関する請願委員長報告)  第三八 山口県徳佐村等の寒冷地手当に関する請願委員長報告)  第三九 三重県名張町の地域給に関する請願委員長報告)  第四〇 静岡県御殿場町の地域給に関する請願委員長報告)  第四一 京都府向日町の地域給に関する請願委員長報告)  第四二 静岡県玉穂村の地域給に関する請願委員長報告)  第四三 静岡県富士岡村の地域給に関する請願委員長報告)  第四四 国立療養所玉浦病院所在地地域給に関する請願委員長報告)  第四五 兵庫県三輪町の地域給に関する請願委員長報告)  第四六 国立療養所古里保養園所在地地域給に関する請願委員長報告)  第四七 国立療養所北陸荘所在地地域給に関する請願委員長報告)  第四八 岐阜県陶町の地域給に関する請願委員長報告)  第四九 福島県湊村の寒冷地手当に関する請願委員長報告)  第五〇 岡山県落合町の地域給に関する請願(二件)(委員長報告)  第五一 岡山県成羽町の地域給に関する請願委員長報告)  第五二 岡山県八浜町の地域給に関する請願委員長報告)  第五三 長野県岩村田町の地域給に関する請願委員長報告)  第五四 岡山県久世町の地域給に関する請願(二件)(委員長報告)  第五五 岡山県藤田村の地域給に関する請願委員長報告)  第五六 栃木県大田原町の地域給に関する請願委員長報告)  第五七 秋田県の地域給に関する請願委員長報告)  第五八 茨城県取手町の地域給に関する請願委員長報告)  第五九 東京電報局等有線電信従業員の待遇に関する請願委員長報告)  第六〇 岐阜県笠松町の地域給に関する請願委員長報告)  第六一 茨城県境町等の地域給に関する請願(二件)(委員長報告)  第六二 福井県の地域給に関する請願委員長報告)  第六三 山口県船木町地域給に関する請願委員長報告)  第六四 熊本県大津町の地域給に関する請願委員長報告)  第六五 東京都青梅市の地域給に関する請願(二件)(委員長報告)  第六六 愛媛県西條市の地域給に関する請願委員長報告)  第六七 岩手県一関市の寒冷地手当に関する請願委員長報告)  第六八 福井県三国町の地域給に関する請願(二件)(委員長報告)  第六九 神奈川県横須賀市の地域給に関する請願委員長報告)  第七〇 福岡県古賀町の地域給に関する請願委員長報告)  第七一 福岡県太宰府町の地域給に関する請願(二件)(委員長報告)  第七二 福岡県志賀島村の地域給に関する請願委員長報告)  第七三 北海道富良野町の地域給に関する請願委員長報告)  第七四 北海道美幌町の地域給に関する請願(二件)(委員長報告)  第七五 北海道平取村の地域給に関する請願委員長報告)  第七六 福岡県和白村の地域給に関する請願委員長報告)  第七七 岐阜県揖斐町の地域給に関する請願委員長報告)  第七八 高知県の地域給に関する請願委員長報告)  第七九 高知市の地域給に関する請願委員長報告)  第八〇 高知県日章村の地域給に関する請願委員長報告)  第八一 千葉県館山市の地域給に関する請願委員長報告)  第八二 千葉県木更津市の地域給に関する請願委員長報告)  第八三 愛知県刈谷市の地域給に関する請願委員長報告)  第八四 北海道永山村の地域給に関する請願委員長報告)  第八五 福井県小浜市の地域給に関する請願委員長報告)  第八六 国家公務員に対する寒冷地手当および石炭手当の支給に関する法律中一部改正の請願委員長報告)  第八七 宮崎県日の影町の地域給に関する請願委員長報告)  第八八 熊本県小島町の地域給に関する請願委員長報告)  第八九 熊本県城山村の地域給に関する請願委員長報告)  第九〇 熊本県広畑村の地域給に関する請願委員長報告)  第九一 熊本小山戸島村の地域給に関する請願委員長報告)  第九二 熊本県高橋村の地域給に関する請願委員長報告)  第九三 熊本県八分半村の地域給に関する請願委員長報告)  第九四 熊本県田迎村の地域給に関する請願委員長報告)  第九五 熊本県御幸村の地域給に関する請願委員長報告)  第九六 熊本県池上村の地域給に関する請願委員長報告)  第九七 熊本県西里村の地域給に関する請願委員長報告)  第九八 熊本県竜田村の地域給に関する請願委員長報告)  第九九 熊本県川上村の地域給に関する請願委員長報告)  第一〇〇 熊本県供合村の地域給に関する請願委員長報告)  第一〇一 宮崎県日向市の地域給に関する請願委員長報告)  第一〇二 神奈川県初声村の地域給に関する請願委員長報告)  第一〇三 神奈川県南下浦町の地域給に関する請願委員長報告)  第一〇四 宮崎県南郷町の地域給に関する請願委員長報告)  第一〇五 千葉県鶴舞町の地域給に関する請願委員長報告)  第一〇六 三重県鈴鹿市の地域給に関する請願委員長報告)  第一〇七 宮城県白石町の地域給に関する請願(二件)(委員長報告)  第一〇八 京都府福知山市の地域給に関する請願委員長報告)  第一〇九 愛媛県川之江町の地域給に関する請願委員長報告)  第一一〇 宮崎県福島町の地域給に関する請願委員長報告)  第一一一 岡山県本荘町の地域給に関する請願委員長報告)  第一一二 石炭手当および寒冷地手当引上げに関する請願委員長報告)  第一一三 福岡国立赤坂療養所所在地地域給に関する請願委員長報告)  第一一四 埼玉県與野町の地域給に関する請願委員長報告)  第一一五 岡山県寄島町の地域給に関する請願委員長報告)  第一一六 京都府宇治市の地域給に関する請願委員長報告)  第一一七 福岡県神湊町の地域給に関する請願委員長報告)  第一一八 広島県寺西町の地域給に関する請願委員長報告)  第一一九 鹿児島県阿久根市の地域給に関する請願委員長報告)  第一二〇 岐阜県高須町の地域給に関する請願(三件)(委員長報告)  第一二一 香川県善通寺町の地域給に関する請願委員長報告)  第一二二 福岡県大同時の地域給に関する請願(二件)(委員長報告)  第一二三 福岡県岡垣村の地域給に関する請願(二件)(委員長報告)  第一二四 大分県杵築町の地域給に関する請願(三件)(委員長報告)  第一二五 東京都鵜生町の地域給に関する請願委員長報告)  第一二六 長崎県諌早市の地域給に関する請願(二件)(委員長報告)  第一二七 新潟県巻町の地域給に関する請願委員長報告)  第一二八 新潟県吉田町の地域給に関する請願委員長報告)  第一二九 新潟県内野町の地域給に関する請願委員長報告)  第一三〇 秋田県大曲町の地域給に関する請願委員長報告)  第一三一 京都府園都町外三箇町村地域給に関する請願委員長報告)  第一三二 岡山県金光町の地域給に関する請願(二件)(委員長報告)  第一三三 秋田県花輪町外一箇町の地域給に関する請願委員長報告)  第一三四 佐賀県有田、東有田両町地域給に関する請願(二件)(委員長報告)  第一三五 公務員給與改訂等に関する請願委員長報告)  第一三六 石炭手当に関する請願委員長報告)  第一三七 愛媛県吉田町の地域給に関する請願委員長報告)  第一三八 愛媛県松柏村の地域給に関する請願委員長報告)  第一三九 岐阜大八賀村の地域給に関する請願委員長報告)  第一四〇 鹿児島島市の地域給に関する請願委員長報告)  第一四一 鹿児島市外五箇市町の地域給に関する請願委員長報告)  第一四二 鹿児島県伊集院町の地域給に関する請願委員長報告)  第一四三 鹿児島県加世田町の地域給に関する請願委員長報告)  第一四四 鹿児島岩同時地域給に関する請願委員長報告)  第一四五 鹿児島県末吉町の地域瀞に関する請願委員長報告)  第一四六 京都府田原村の地域給に関する請願(二件)(委員長報告)  第一四七 岐阜県高田町の地域給に関する請願(三件)(委員長報告)  第一四八 岐阜県遠山村の地域給に関する請願委員長報告)  第一四九 岐阜県遠山村の寒冷地手当に関する請願委員長報告)  第一五〇 福岡下月隈町外五箇町の地域給に関する請願委員長報告)  第一五一 三重県浜島町の地域給に関する請願委員長報告)  第一五二 秋田県大館市の地域給に関する請願委員長報告)  第一五三 宮城県大河原町の地域給に関する請願委員長報告)  第一五四 青森県大鰐町の地域給に関する請願委員長報告)  第一五五 岡山県矢掛町の地域給に関する請願委員長報告)  第一五六 京都府田辺町の地域給に関する請願委員長報告)  第一五七 京都府綾部市の地域給に関する請願委員長報告)  第一五八 京都府長岡町の地域給に関する請願委員長報告)  第一五九 京都府豊里村の地域給に関する請願委員長報告)  第一六〇 京都大山崎村の地域給に関する請願委員長報告)  第一六一 石川県橋立村の地域給に関する請願委員長報告)  第一六二 北海道網走市の地域給に関する請願委員長報告)  第一六三 北海道津別町の地域給に関する請願委員長報告)  第一六四 北海道斜里町の地域給に関する請願委員長報告)  第一六五 北海道置戸町の地域給に関する請願委員長報告)  第一六六 北海道紋別町の地域給に関する請願委員長報告)  第一六七 北海道遠軽町の地域給に関する請願委員長報告)  第一六八 山梨県石和町の地域給に関する請願委員長報告)  第一六九 山梨県韮崎町の地域給に関する請願委員長報告)  第一七〇 山梨県身延町の地域給に関する請願委員長報告)  第一七一 山梨県小笠原町の地域給に関する請願委員長報告)  第一七二 山梨県鰍沢町の地域給に関する請願委員長報告)  第一七三 山梨加納岩町の地域給に関する請願委員長報告)  第一七四 山梨県日下部町の地域給に関する請願委員長報告)  第一七五 群馬県太田市の地域給に関する請願委員長報告)  第一七六 熊本市の地域給に関する請願委員長報告)  第一七七 熊本県荒尾市の地域給に関する請願(二件)(委員長報告)  第一七八 京都府佐賀村の地域給に関する請願委員長報告)  第一七九 神奈川県葉山町の地域給に関する請願委員長報告)  第一八〇 岐阜県神戸町の地域給 に関する請願(五件)(委員長報告)  第一八一 熊本県水俣市の地域給に関する請願委員長報告)  第一八二 福岡県新宮村の地域給に関する請願委員長報告)  第一八三 青森県三本木町の地域給に関する請願委員長報告)  第一八四 青森県鰺ヶ沢町の地域給に関する請願委員長報告)  第一八五 岐阜県釜戸町の地域給に関する請願委員長報告)  第一八六 京都府下六人部村の地域給に関する請願委員長報告)  第一八七 神奈川県小田原市の地域給に関する請願委員長報告)  第一八八 岐阜県大野郡難の寒冷地手当に関する請願委員長報告)  第一八九 静岡県磐田市の地域給に関する請願委員長報告)  第一九〇 静岡県高根村外五箇村の地域給に関する請願委員長報告)  第一九一 島根県広瀬町の地域給に関する請願委員長報告)  第一九二 愛知県高浜町の地域給に関する請願委員長報告)  第一九三 三重県伊賀地区の寒冷地手当に関する請願委員長報告)  第一九四 島根県安来町の地域給に関する請願委員長報告)  第一九五 岡山県鴨方町の地域給に関する請願委員長報告)  第一九六 香川県高松市の地域給に関する請願委員長報告)  第一九七 長崎県瀬戸町の地域給に関する請願委員長報告)  第一九八 三重県関町の地域給に関する請願委員長報告)  第一九九 兵庫県在田村の地域給に関する請願委員長報告)  第二〇〇 兵庫県賀茂村の地域給に関する請願委員長報告)  第二〇一 兵庫県大和村の地域給に関する請願委員長報告)  第二〇二 兵庫県多加野村の地域給に関する請願委員長報告)  第二〇三 兵庫県富合村の地域給に関する請願委員長報告)  第二〇四 兵庫県芳田村の地域給に関する請願委員長報告)  第二〇五 広島県上下町の地域給に関する請願委員長報告)  第二〇六 アミラン漁網綱調製費助成に関する請願(六件)(委員長報告)  第二〇七 高家漁港災害復旧に関する請願委員長報告)  第二〇八 崎浜漁港修築工事促進に関する請願委員長報告)  第二〇九 小浜漁港船揚場施設工事促進に関する請願委員長報告)  第二一〇 岩手県下の漁港整備費国庫補助増額等に関する請願委員長報告)  第二一一 大槌漁港設工事促進に関する請願委員長報告)  第二一二 北海道香深村に北方新魚田開発基地敷設設定および魚田調査請願委員長報告)  第二一三 八戸漁港修築促進に関する請願委員長報告)  第二一四 小型機船底びき網漁業整備に伴う転換資金交付請願委員長報告)  第二一五 水産れん製品研究機関機構拡充に関する請願委員長報告)  第二一六 厚内漁港修築工事施行に関する請願委員長報告)  第二一七 北上川水系宮城県柳津、飯野川両町所在えん堤の魚道改善等に関する請願委員長報告)  第二一八 水産業改良普及技術員設置費国庫補助に関する請願(二件)委員長報告)  第二一九 機船底びき網漁業違反船取締に関する請願願請願委員長報告)  第二二一 八重根漁港築設に関する請願委員長報告)  第二二二 北海道水産研究所室蘭試験地設備拡充等に関する請願委員長報告)  第二三二 上磯漁港整備に関する請願委員長報告)  第二二四 両石漁港整備促進に関する請願委員長報告)  第二二五 北海道内臨港漁港に指定の請願委員長報告)  第二二六 漁業災害復旧資金融通に関する臨時措置法案損失補助限度引上げ請願委員長報告)  第二二七 輸出振興対策に関する請願委員長報告)  第二二八 繊維機械産業不振による労働対策請願委員長報告)  第二二九 鑄鍛造品工業確立に関する請願委員長報告)  第二三〇 国内産モリブデン鉱保護に関する請願委員長報告)  第二三一 鉱毒対策費国庫支弁に関する請願委員長報告)  第二三二 帝国石油株式会社紛争解決に関する請願委員長報告)  第二三三 工芸指導所九州支所存置に関する請願委員長報告)  第二三四 大阪工業試験所四国支所存置に関する請願委員長報告)  第二三五 私鉄の枕木、電柱を木材防腐法案より除外するの請願委員長報告)  第二三六 壷源開発に関する請願(十一件)(委員長報告)  第二三七 球磨川電源開発促進等に関する請願委員長報告)  第二三八 電力有効利用北陸電解電炉工業負荷季節的調整実施に関する請願委員長報告)  第二三九 屋内電気工事従事者技能検定制度制定に関する請願委員長報告)  第二四〇 中小企業資金融通法制定促進に関する請願(二十六件)(委員長報告)  第二四一 公共事業推進に関する請願委員長報告)  第二四二 国土調査標本指定村に対する国庫補助増額請願委員長報告)  第二四三 国土調査事業予算増額等に関する請願(二件)(委員長報告)  第二四四 教育公務員給與準則に関する陳情(四件)(委員長報告)  第二四五 新恩給法中に町村吏員を包含するの陳情委員長報告)  第二四六 北海道地域給に関する陳情委員長報告)  第二四七 北海道羽幌町の地域給に関する陳情委員長報告)  第二四八 静岡県原里村の地域給に関する陳情委員長報告)  第二四九 岡山県八浜町の地域給に関する陳情委員長報告)  第二五〇 東京都八王子市の地域給に関する陳情委員長報告)  第二五一 岡山県藤田村の地域給に関する陳情委員長報告)  第二五二 北海道平取村の地域給に関する陳情委員長報告)  第二五三 三重県御船、鵜殿両村地域給に関する陳情委員長報告)  第二五四 広島県西條町の地域給に関する陳情委員長報告)  第二五五 静岡県島田市の地域給に関する陳情委員長報告)  第二五六 熊本県大津町の地域給に関する陳情委員長報告)  第二五七 愛知県塩津村の地域給に関する陳情委員長報告)  第二五八 新潟県六日町外三箇町の地域給に関する陳情委員長報告)  第二五九 福岡岡山村の地域給に関する陳情委員長報告)  第二六〇 福岡県黒木町の地域給に関する陳情委員長報告)  第二六一 長崎県若松村の地域給に関する陳情委員長報告)  第二六二 北海道留辺蘂町外二町の地域給に関する陳情委員長報告)  第二六三 北海道石炭手当に関する陳情委員長報告)  第二六四 愛媛県吉田町の地域給に関する陳情委員長報告)  第二六五 京都大山崎村の地域給に関する陳情委員長報告)  第二六六 青森県野辺地町の地域給に関する陳情委員長報告)  第二六七 佐賀県鳥栖町、伊万里町の地域給に関する陳情委員長報告)  第二六八 滋賀県虎姫町の地域給に関する陳情委員長報告)  第二六九 宮崎県真幸町の地域給に関する陳情委員長報告)  第二七〇 新潟県六日町外五箇町の地域給に関する陳情委員長報告)  第二七一 埼玉県八條村外三箇村の地域給に関する陳情 (委員長報告)  第二七二 静岡県袋井町の地域給に関する陳情委員長報告)  第二七三 気仙沼漁港修築工事促進に関する陳情委員長報告)  第二七四 青島漁港修築予算増額に関する陳情委員長報告)  第二七五 五十猛漁港整備に関する陳情委員長報告)  第二七六 漁業改良普及事業費国庫補助等に関する陳情委員長報告)  第二七七 漁獲物鮮度保持研究機関拡充強化に関する陳情委員長報告)  第二七八 鹿児島県江口港赤崎浦に避難港設置の陳情委員長報告)  第二七九 漁港修築費予算増額に関する陳情委員長報告)  第二八〇 長崎県浅藻漁港修築に関する陳情委員長報告)  第二八一 瀬戸内海水産開発法制定に関する陳情委員長報告)  第二八二 ポンド地域より乗用自動車輸入に関する陳情委員長報告)  第二八三 ボンド地域への輸出抑制是正に関する陳情委員長報告)  第二八四 発電用電気機械輸入防止に関する陳情委員長報告)  第二八五 中小企業経営合理化促進対策に関する陳情委員長報告)  第二八六 中小企業危機突破に関する陳情委員長報告)  第二八七 中小企業振興緊急対策に関する陳情委員長報告)  第二八八 中小企業振興対策に関する陳情委員長報告)  第二八九 大阪工業試験所四国支所存置に関する陳情委員長報告)  第二九〇 長崎県鉱業試験場運営に関する陳情委員長報告)  第二九一 国立陶磁器試験所瀬戸支所拡充強化等に関する陳情委員長報告)  第二九二 工業技術庁陶磁器試験所移転反対に関する陳情委員長報告)  第二九三 繊維製品価格安定対策に関する陳情委員長報告)  第二九四 中小石油鉱業者更生対策に関する陳情委員長報告)  第二九五 電源開発促進に関する陳情(二件)(委員長報告)  第二九六 道南源開発促進に関する陳情委員長報告)  第二九七 肱、面河両河川の電源開発に関する陳情 (委員長報告)  第二九八 電力不足対策に関する陳情委員長報告)  第二九九 動力増強総合対策に関する陳情委員長報告)  第三〇〇 総合開発特定地域調査費国庫補助増額に関する陳情委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      —————・—————
  3. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  この際お諮りいたします。人事委員長から、国家公務員の給與問題に関する実地調査のため、京都府、鳥取県、島根県及び山口県に木下源吾君を、鳥取県、島根県及び山口県にカニエ邦彦君を、徳島県、香川県、愛媛県及び高知県に加藤武徳君を、徳島県、愛媛県及び高知県に平井太郎君、森崎隆君を会期中七日間。  法務委員長から、検察及び裁判の運営に関する実地調査のため、岐阜県及び広島県に岡部常君、左藤義詮君、内村清次君を、広島県に伊藤修君を会期中九日間。  外務委員長から、行政協定に伴う駐留地施設等の実情及び出入国管理令による入国管理情況等実地調査のため、愛知県、大阪府及び兵庫県に徳川頼貞君、兼岩傳一君を本月十二日より二十五日までのうち六日間、広島県及び山口県に平林太一君、金子洋文君を本月十二日より二十五日までのうち七日間。  建設委員長から、ダイナ台風及び豪雨による被害状況河川総合開発事業等実地調査のため、富山県、石川県及び岐阜県に松浦定義君を、石川県及び岐阜県に小川久義君を会期中八日間、福島県、岩手県及び山形県に廣瀬與兵衞君、三木治朗君を会期中九日間、福岡県、熊本県及び長崎県に田中一君、三輪貞治君を、福岡県及び長崎県に深水六郎君を会期中十日間の日程を以て、それぞれ議員を派遣いたしたい旨の要求書が提出されております。各委員長要求の通り、これら二十名の議員を派遣することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて各委員長要求の通り議員を派遣することに決しました。     —————————————
  5. 佐藤尚武

    ○議長長(佐藤尚武君) 日程第一、戰沒者の遺骨収容並びに送還に関する決議案山下義信君外十一名発議)委員会審査省略要求事件)を議題といたします。  本決議案につきましては山下義信君ほか十一名より委員会審査省略の要求書が提出されております。発議者要求の通り委員会審査を省略し、直ちに本決議案の審議に入ることに御異議ご」いませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明の発言を許します。山下義信君。    〔山下義信君登壇〕、
  7. 山下義信

    山下義信君 只今議題となりました戰沒者の遺骨収容並びに送還に関する決議案につきまして、提案の趣旨弁明をいたしたいと存じます。  先ず案文を朗読いたします。    戦没者の遺骨収容並びに送還に関する決議   戦火おさまつてここに七年、平和條約発効により既に独立を恢復した今日、海外諸地域又は本邦周辺海域において戰沒した多数同胞の遺骨が今なお未収容のまま放置されているもののあることは、遺家族はもとより全国民の痛歎忍び難い所である。   本院は速かにこれらの「みたま」を迎えて安らかにその郷土に眠らしめんことを切願する。   よつて政府は万難を排してこれら戰沒同胞遺骨の收容、送還並びに慰霊等のため万全の方策を講じ、その実現を図るべきである。   右決議する。  以上のごとくでございます。  今更申上げるも悲痛の極みでございますが、今次戦役の犠牲者は約百八十五万と算せられ、そのうち南方諸地域の戰沒者は百二十三万九千名に及ぶのであります。然るにこれら諸地域には、未だに懐かしい遺族の方々から一片の供養だに受くることなく、久しい歳月の間空しく風雨にさらされつつある遺骨が百余万もあることを思いますとき、いつまでもこれを放置しておきますことは、情において誠に忍びがたいものがあるのでございます。又本邦周辺の海域には百十四隻の艦船が沈沒いたし、そのうちには約二万体の遺骨が沈んでいると推定されているのであります。我々といたしましては、一日も早くこれらのみたまを祖国に迎え、ねんころに弔い、心から冥福を祈りたいと念願して止まないものでございます。もとより政府におきましても、硫黄島、沖縄島等につきましては、すでに大体の調査をいたしたようでありますが、更に積極的に且つ迅速に万般の方途を決定し、サイパン、テニヤン島の玉砕地はもとよりのこと、蘭印、英領等の諸地域につきましても速かに関係国との交渉を進めまして本趣旨の実現を図るべく一段の努力を傾注せられたいのであります。或いは又、発見、収容、送還等の困難なる場所につきましては、それぞれ適当なる方途を講じ、現地において慰霊塔の建立、鄭重なる供養等、万遺漏なきを期せられたいのであります。  一将功成ならず、万卒又枯れてかくのことし、鬼哭啾々として故山の妻子を泣かしむ。百万の遺骨千里異域の地におきまして未だに中有に迷うておるようなことで、平和の招来、独立の達成など、思いもよらざるところであります。生死は人生最大の関心事でありましてこれのみが唯一の真実であります。余の一切は夢幻であり虚僞であります。遺骨に対し厳粛なる礼儀を盡さんとするは、国家の良心を現わし、我々の懺悔を表明するゆえんとも相成るのであります。然るに世間には、間々この種の問題を好餌としまして、或いは私利を挟み、或いは虚名を宣伝し、或いは又架空の計画を掲げまして寄附金募集の名目とするなど、殊に憎むべきは、遺族の人々を欺瞞して、その金品とその心情とを欺き奪わんとする者でつありまして、これらの悪質なる者に対しましては断固取締の鉄槌を加えますと共に、他面その隙を與えざるよう、即ち政府の主体的計画の確立を切望いたすものでございます。最後に私は、追弔慰霊等に最も関係の深い我が国の宗教家が、今次大戰の深刻なる悲惨事に鑑み、改めてその認識を深くいたし’徒らに宗教儀式の繰返しを以て能事終れりとせず、戦争の発生を如何にして防止すべきか、人生の悲劇を如何にして回避すべきか、久間救済の窮極の悲願を如何にして具現するか等、その大信念の上に立ちましてこそ、遺骨の送還、慰霊等に一般の協力を望んで止まざるものでございます。  以上を以ちまして本決議案の趣旨といたしますが、何とぞ御賛同賜わらんごとをお願い申上げます。(拍手)
  8. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本決議案の採決をいたします。本決議案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  9. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本決議案は全会一致を以て可決せられました。  只今の決議に対し、厚生大臣より発言を求められました。吉武厚生大臣。    〔国務大臣吉武惠市君登壇、拍手〕
  10. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武惠市君) 只今戰沒者の遺骨収容並びに送還に関する決議を頂いたのでございますが、これにつきましては、政府といたしましても昨年以来努力をいたしまして、本年の三月硫黄島に、又五月には沖縄にそれぞれ調査団を派遣いたしまして、太平洋地域における遺骨の収容、送還に関する計画を立てておる次第でございます。何分にも相手国との折衝もございまするので、意に任せぬ点もございますが、米国関係地域につきましては、すでに米側の懇切なる申出もございまして、現在具体案を打合せ中でございます。御決議の趣旨に従いまして、今後も一暦の努力を拂うつもりでございます。(拍手)      —————・—————
  11. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 日程二、「日本電信電話公社法案、  日程第三、日本電信電話公社法施行法案、  日程第四、国際電信電話株式会社法案、(いずれも内閣提出衆議院送付)  以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告をもとめます。電気通信委員長鈴木恭一君。    〔鈴木恭一君登壇、拍手〕
  13. 鈴木恭一

    ○鈴木恭一君 只今議題となりました日本電信電話公社法案について、電気通信委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  本法案の提案理由は、我が国の電信電話事業は、その創始以来国営の形態を以て運営されて来たのであるが、国営に伴う諸制約、即ち設備の拡張資金はそのときどきの国家財政の枠に左右され、十分且つ安定したものを望み得ず、又事業内部における財務、会計、人事、管理等についても一般行政官庁と同一の規律を受けるため、その活溌な企業活動が阻害され、延いてそのサービスは国民の要望に応えるに程遠いものがあり、特に戦災によつて極度に荒廃した本事業の復興は、戦後の産業、経済、文化等、国民活動の進展に伴うことが困難である状況から、これに対処すべく、政府は昭和二十五年三月の電信電話復興審議会の答申及び昨二十六年八月の政令改正諮問委員会の答申等を参酌の上、電信電話事業の経営形態について根本的検討を加えた結果、本事業の国営を改め、国内部門は公社営とし、国際部門は会社営とすることとし、ここに本法律案の提出となつたのであります。  本案の概要を申上げますと、先ずこの公社には、両院の同意を得て内閣の任命する任期四年の委員五人と、特別委員たる総裁及び副総裁の七人を以て構成する経営委員会を置き、公社の業務運営に関する重要事項を決定することとし、役員としては、内閣の任命にかかる任期四年の総裁、副総裁及び総裁任命にかかる任期二年の五人以上十人以下の理事を置き、職員は公共企業体労働関係法の適用を受け、その給與は責任と能率に応じ支給されることとし、又財務及び会計については、経理原則は財産の増減及び異動を発生主義により、その予算は経済事情の変動並びに緊急偶発の事態に応じ得る弾力性を持たせ、予算の流用及び繰越は原則として自由とし、資金については、電信電話債券及び借入金のうち、外貨で支拂われるものにつき政府保証の規定を置き、又利益及び欠損の処理については、利益は先ずこれを繰越欠損の補填に充て、なお残余のあるときは積立金として整理をし、又はその一部を国庫に納入することとし、公社の会計は会計検査院が検査することにしております。又この法律施行の際、現に恩給法の適用を受けている公務員が引続き公社の役員又は職員となつた場合には、当分恩給法の適用を受けるごととなつております。  本案は、政府原案に対し、衆議院において十八の点について修正の上、本院に送付されたものでありまして、その修正の主なるものは、政府原案においては公社に対する財務及び会計に関する監督権限は郵政、大蔵両大臣が持つことになつておりましたのを、郵政大臣に一元化し、必要な事項については郵政大臣が大蔵大臣と協議してこれを行うこととしたことその他であります。  電気通信委員会におきましては、本件が五月十日予備審査のために付託されましてより二十回に亘つて委員会を開き、この間、議員出張による実情調査、公聴会の開催、参考人の意見聴取等をいたしましたほか、人事委員会、内閣委員会及び大蔵委員会とそれぞれ連合審査をなし、又衆議院の修正点については発議者の説明を求める等、極めて愼重なる審議をいたしたのであります。委員会における質疑応答によつて明らかになりました主なる点を申上げますと、先ず公社経営に移す根本理由といたしましては、電気通信事業を企業的能率的に経営するためには、民営形態も考えられるが、全国に亘る厖大な組織及び設備を有し、巨額な資産を持ち、強度の公益性、技術的統一性及び自然的独占性を有するこの事業は、民営としてもその長所が十分に期待できないこと。公租、公課の賦課が加わるため、経営の合理化をしてもなお相当料金の値上げを招来すること。年々巨額の拡張資金を民間資本にのみ求めることは、我が国の資本蓄積の状況から見て殆んど望み得ないこと等の点から、民営は適当でないと認め、一般行政官庁の制約を脱し、民営の能率的経営技術を取入れた自主的な企業活動を行い得る公社形態をとることといたしたこと。又公社の資本は政府の全頻出、資であるが、その金額は本年三月末現在により、固定資産は帳簿価格によるものとして、その資産は約九百五十七億円、負債約七百九十七億円と推計されること。国営から公社営に移すことは将来民営に移す前提ではないこと。年度計算において剰余金を生じた場合の国庫納付は資本に対する利益還元の意味であること。それから外債支拂の政府保証の規定を設けて、担保の規定を設けなかつた理由は、外資導入は企業の経営の良否によつて左右されるものであるから、あえて二重保証の手段を必要としないと考えたこと等であります。その他公社移管後における設備拡張資金の増加の見通し、公社の機構、経営委員会の性格及び経営委員会と執行機関の責任の分界、経営委員の選考方針、役員の公社代表権、職員に対する給與及び労働関係法規との関係、公社に対する監督機構及び監督の程度、特に大蔵大臣の監督の限度等につきまして、詳細なる質疑がありました。その内容は速記録により御承知を願います。  なお、公聴会における公述人の意見は、賛成六、反対三でありました。  六月二十六日質疑を終えまして、七月七日討論に入りましたところ、緑風会の新谷委員より、内閣が総裁及び副総裁を任命するときは、経営委員会の同意を得ること、予算及び決算の国会提出は国の予算及び決算と共にすること、職員の地方公共団体の議員兼職の範囲を市まで拡張すること、役員及び職員に対する給與については、給與の総額のほかに、経済事情の変動その他予測することができない事態に応ずるための臨時の給與額を予算で定めておくこと、電信電話債券の債権者の保護、発行事務等について更に明確な規定を設けること、剰余金の国庫納付を廃すること、施行期日を八月一日とすること等について修正を付し、衆議院送付の案に賛成をせられたのであります。  討論を終えまして、先ず新谷委員の修正案につき、次いで右の部分を除く衆議院送付の案全部につき採決いたしましたところ、いずれも全会一致を以て本案は修正を付して衆議院送付の案を可決すべきものと決定した次第であります。  次に日本電信電話公社法施行法案について、電気通信委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  先ずその提案理由は、日本電信電話公社の設立に関する手続及び経過措置を定めると共に、他の法令の整理について必要な法的措置を講じようとするものであります。その内容は、第一は、公社の最初の経営委員会委員の指名は公社の設立前に行い得ること、及びその任期については一齊に改選になることのないように定めること。第二は、現在の電気通信省の職員は、監督官庁に移る者等を除き、すべてこれを公社に引継ぐこととし、これには退職金を支給しない二と。その他、公社に対する電気通信省からの権利義務、財産等の引継ぎ、昭和二十七年度予算についての措置、公社設立に伴う電信法、電信線電話線建設條例等の改正、並びに各種税法等について、日本国有鉄道、日本専売公社と同様の取扱を受け得るようにすること等であります。本件は衆議院より二項目について修正送付されたのであります。  本法律案につきまして、電気通信委員会は、日本電信電話公社法案と関連して愼重審議の結果、六月二十六日に質疑を終え、七月七日討論に入りましたところ、自由党の大島委員より、公社法に対する衆議院における修正に対応する修正その他数点に亘る修正を付し、賛成をせられたのであります。採決の結果、本案は大島委員の意見の通り修正を加えた上、衆議院送付の案を可決すべきものと全会一致を以て決定いたした次第であります。  次に国際電信電話株式会社法案について、電気通信委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  我が国の国際電気通信事業は、戦前においては、その設備の建設保守は民営によりまして、施設の面は米英に比肩し得る程度に発達を遂げておりましたが、昭和二十二年連合軍総司令部の覚書によりまして、その民営を廃して国営として現在に至つているのでありますが、今日の国際電信電話の情勢を見まするに、対外的には各国間の通信用電波の獲得及び通信網の拡張等につぎ熾烈な競争が行われており、又国内的には講和成立後の貿易並びに対外報道事業に対して優良なサービスを提供する必要が増大しているのであります。これらの要請を満たすためには、経済事情の変動を極めて敏感な通信需要に即応し得る企業の機動性を要すること、及び国際通信分野における競争相手たる諸外国の多くは民営であること等の事情に鑑みまして、これを民営形態に移し、具つ事業の強度の公共性を確保するために必要な国の監督及び保護を與え、これを特殊会社とすることとし、ここに本案の提出となつたものであります。  次に本案の内容の大略を申上げますと、会社の株式は記名式とし、株式は、外国人又は日本国法人であつてもその社員、株主、役員、資本及び議決権等の過半数が外国人又は外国法人に属するものはこれを所有できないこと。又、現在国際電信電話事業の用に供せられている設備は、これを日本電信電話公社から本会社に現物出資をし、公社はこれに対して割当てられた株式を、政府に譲渡し、政府は成るべく速かにこれを処分し、その対価を公社に支拂うこと。本会社の社債発行限度については、商法の規定による制限に対する特例を認め、又外貨債務について政府の支拂保証を受けること。本会社は商法上の商事会社であるが、その行う事業は国民一般の利害に密接に関係するので、事業活動上重要な事項は特殊会社として当然な主管大臣の監督を受けること等であります。附則においては、会社設立の際の手続並びに経過措置、及びこの法律は昭和二十八年二月三十一日までの間に施行する旨を規定しております。  電気通信委員会におきましては、本案が去る五月十日予備審査のため付託されまして以来、第十八回に亘つて委員会を開き、その間において人事委員会及び内閣委員会との連合審査、委員の出張による調査、公聴会の開催、参考人の意見聴取等を行い、愼重審議をいたしたのでありますが、その大要を申上げますと、  先ず質疑により明らかになりました事項の主なるものは、日本電信電話公社より出資されるべき資産の額は、評価審議会の評価を待たなければ確定しないが、本年三月末における帳簿価格を基礎として推測すれば約七億七千万円となり、これを再評価すれば約二十三、四億円と推測されること。資産の評価及び株式の処分についでは愼重且つ公正を期していること。非常の事態における国際電気通信業務の確保のための国家管理等については、現在はその必要を認めていないこと等であります。右のほか各委員より各章各條に亘つて詳細綿密な質疑がありましたが、詳細は速記録により御承知をお願いいたします。  なお公聴会における公述人の意見は、反対四、賛成四、漸次移行論一でありました。  六月二十六日質疑を終了し、七月七日討論に入りましたところ、緑風会の新谷委員より、会社の目的を示す用語として国際電気通信事業とあるのを国際公衆電気通信事業に改めること、監督命令の範囲を公共の福祉を確保するためと限定すること、公社より出資又は譲渡する財産の評価については、時価を基準とし收益率を参酌するとあるを、収益率を基準として時価を参酌することとすること、電気通信設備評価審議会の学識経験者たる委員の数一名を三名とすること等について修正意見を述べられ、衆議院送付の案に賛成、又、日本社会党第四控室の小笠原委員より本案に対する反対の意見を述べられたのであります。  討論を終えて、先ず新谷委員の修正案を、次いで右の部分を除く衆議院送付の案全部について採決いたしましたところ、いずれも多数を以て本案は修正を付して可決すべきものと決定した次第であります。  以上御報告申上げます。(拍手)
  14. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 三案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。千葉信君。    〔千葉信君登壇、拍手〕
  15. 千葉信

    千葉信君 私は日本社会党第四控室を代表して、日本電信電話公社法及び同施行法案に対する修正案並びに幾多不満の点を蔵しつつも同原案に賛成し、国際電気通信株式会社案に対しては、その修正案と共に反対の意見を表明いたします。  日本における電気通信の経営については国営によることが是か非であるかということについての論議は、勿論今日に始まつたことではありません。明治二十八年以来国会におきましてもしばしば問題になり、真劍に取上げられたところでありますが、併し、その都度、結論は常に現状にとどめることが最もよい方式であるということに落ち着いて参りました。然るに今日提案のごとき方針に政府が出て参つた最も大きな理由は、これは、やはり国際的な條件の中からであることを指摘しなければなりません。諸君もすでに御承知の通り、マーシヤル・プランによるアメリカの対欧援助には、義務條項としての国有国営事業の放棄が強要せられておることは天下周知の事実であります。イギリスにいたしましても、フランスにしても、これらの国が近代国家としての立場からとつて参りました電力、炭鉱、電気通信等の国有国営を民営に切換えるという、この問題をめぐつて民主的な勢力が大きな反撃を以てこれに対抗した事実は、極めて最近に属することであります。併しながら、これらの国々はマーシヤル援助に基く双務協定としてその義務が正式に取扱われたのでありますが、占領国家としての日本は正式な協定の形をとらず、いわゆる占領政策の枠内で強引にこの双務協定と同じものが押付けられて来たことは余りにも当然なことであつて、対日援助だけがひとり例外であるわけはないのであります。アメリカの対外援助は、一方に反共陣営の強化を図ると共に、他方、対外援助を通じて義務條項を持ち出し、基幹産業の国営を放棄せしめ、而も厳格なるコンマーシヤル・ベースによる投資の実益と併せて、経済的な、政治的な支配の確立を企図しつつあることは、今日余りにも明白な事実であります。それでは一体双務協定によらない日本の場合はどういう形がとられたかと言えば、我々は簡單に次の事実を想起すれば足ります。  即ち、吉田首相は昭和二十四年以来再三次のごとき言明を行なつたのでおります。政府は、国有鉄道、「たばこ」の専売事業、発送電事業及び電気通信事業等の国有財産を民間に拂い下げる用意がある旨発表しているのであります。而もこの重大なる意思表示が何ら閣議にもかけられておらなかつた事実は、当時小澤逓信大臣が本員に明確に答えたところであります。これがマーシヤル・プランにおける双務協定の日本版でなくて何でありましようか。又これは事実が証明する。発送電事業の民営切替え、民営への経過措置としての国鉄、専売の公共企業体化、そうして今日国際電気通信の民営化、民営を強行する準備行為としての国内電気通信の公共企業体化の立法が行われようとしているのであります。特に今日最もその陰謀を露骨にした国際電気通信の民間拂下げのごときは、政府がこの背後の主人公に奉仕するため全く独断的にとられた措置でありまして、真先にこの問題を取り上げた電信電話復興審議会においては勿論、電通当局がこの法案作成のために作られた第一次案から第七次案に至るまで、ことごとく、この民営を拒否する成案に終始したにかかわらず、最後の土壇場において吉田首相並びにその側近によつて強引に押し切られたものでてあります。この事実に対しては良心的な電通官僚がごうごうたる反対の声を挙げていることは、今日明白な事実であります。所詮かかる事実は、名ばかりの独立国家日本が、依然占領政策に代る日本防衛政策、もつとはつきり申しますならば、アメリカの繁栄、アメリカの防衛のためのお先棒を担ぐ政策に、ますますはつきり羽がい締めにされている証拠でもあります。又政府は提案理由の説明に当つて、今日この事業の要請されている施設の拡大のためには広く民間資本の吸収が必要であると言うのだが、委員会における追及に対しては、国民経済の現状においては五百億以上に上る多額の民間資金を本事業に対して求めることは実際上希望は持てない旨、言明しているのであります。それでは一体どこに求めるかと言えば、結論は外資以外にはないというのであります。その外資は如何と言えば、これ又厳格なコンマーシヤル・ベースによるほかはありません。従つて徹底した合理化能率主義がとられなければなりませんと陳弁しているのであります。併しながら、それでは事業の現状はその合理化をやることができるかどうかということが検討されなくてはならないが、それに対しては遺憾ながら答えはノーであります。而もそのノーという答えは電通当局の同等であります。即ち、電通当局が昨年八月に発表した事業の実相報告によりますれば、電話が出ない、交換が遅いという非難に応えて、これは定員法に縛られて人の差し繰りが付かないからだとあります。最繁忙時の午前十一時から午後二時までの間において全国交換台の一割八分が人手不足のために交換手の配置ができないからだというのであります。而もこの状態は、定員法に縛られているとは言いましても、枠外定員即ち非常勤的常勤者と呼ばれる二万数千人の隠し反別を持つていて、なお且つこの有様であります。然るに今日コンマーシヤル・ベース以外に資金の獲得の方法がないということになれば、この実情の上に如何なる商業主義的経営を打ち立てようとするのか。結局は料金の値上げということになるのか。我々はかかる公共的事業が独占事業であるという立場を利用して輿論を無視した値上げを行うことに対しては飽くまでも反対いたします。且つ又商業主義的経営に急なる余り、地方町村に対する電信電話の設備拡張が放置される結果にもなりはしないか。事業の公共性の上からはそれも許しがたいことであります。  更に又、もう一つの問題点は、国際電気通信株式会社法案によれば、株式は日本人に限定されておりまするが、社債に対しては無制限であります。而も政府の説明する通り厖大な外資を入れるということになりますれば、そうして又金融梗塞の下にあつてはむしろ株主よりも債権者の支配力が優位に立つという原則を考え合せれば、これは由々しい事態であります。国の基幹産業、而も軍事的にも政治的にも大きな影響を有する事業、殊に国際通信の外国支配が如何に一国の独立にとつて重大な問題であるかは、あえてこれを世界に求めるまでもなく、上海——長崎の海底線が外国の支配するところであつた当時の実情を想起すれば、まさに漂然たる思いがするのであります。而もこれら法案に賛同する人々は、この募集を知りなから、相も変わらず利慾に目のくらむ資本家どものお先棒を担ごうとしている、特に関西企業家たちのお先棒を担ぐという風評さえも出ているのであります。なせかなら、この法案によりまして今拂下げを受けようとしている国際電気通信部門は昨年だけで十三億に上る莫大な利益率を挙げた部門であり、その評価も少くとも百億を超えると言われているにかかわらず、先ほどの委員長報告によりましても、再評価しても二十二、三億程度だという理不盡な価格で拂下げをしようとしているのであります。この意味から言いますれば、本法案は今国会最大の利権法案であると言われ、総選挙前に遮二無二強行されようとしているゆえんも又ここにあると言われるのであります。  次に私は、かかる厖大な国の事業、国の資産が、外国の外資の支配を排除しなければならないと同時に、一部の者の悪意によつて左右されてはならないということ、そのためには政府を通じて強権の及ぶがごとき公社の経営が行われることに強く反対いたします。それでなくとも在来二百億三百億という巨額の建設資金をめぐりて一部官僚が聞くも忌わしい汚職背信を行なつて一世の耳目を聳動した事業であります。従つて我々は、真に民主的な経営、国民へのサービスを提供するためには、設置される経営委員会と公社の役員並びに対政府の関係に冷静な分析を行わなくてはなりません。この際、問題となりますことは、政府の当初の原案によりましては、経営委員会のあり方に問題があります一政府原案の五人の委員のうち、総裁並びに副総裁が二人委員として入る。その総裁、副総裁に委員会にも諮らずに内閣が任命する。理事の任命にも委員会はあずからない。その内閣だけによつて任命された総裁、副総裁が議決権を有する。同じ公共企業体である国鉄の場合は、総裁は監理委員会の推薦であります。副総裁は監理委員会の同意を要します。総裁は委員会の構成員ではあるけれども、電通と違つて議決権は有しない。而も国鉄の場合は、監理委員会が運営全般に亘つて監理統制し得る権限を持つのに、電通の場合は、第十條に規定された事項を決定するにとどまり、且つその議決事項は、第四十一條、第五十八條、第六十二條、第六十六條等で、最終的には郵政大臣の意思によつて左右される。かかる状態は、実際上内閣が勝手に任命する総裁、副総裁を通じて、政府の、若しくは與党の、若しくは政府背後の権力的意思によつて、如何ようにも電通事業を左右し得ることを実証するものである。まさに委員会制度に名をかりる偽装民主主義の典型だと言つても過言ではないのであります。問題はそればかりではありません。この委員の選任の範囲に何らの制限を設けることなく、従つて如何なる階層から選ぶという規定をも排除したのはなせでありましようか。電通官僚のごみ捨て場を作ろうとしておるのだと言われてもこの際は仕方があるまい。  又次の問題は、政府、特に電通当局は、従来従業員との待遇、給與等の交渉に当つて、公社になりさえすればこの種の問題は一挙に解決できるのだと安易なる言辞を弄し、公社移行の條件を容易且つ有利ならしめる宣伝を巧みに行い、先ず従業員諸君にあられもない希望を抱かしめた責任を追及しなくてはなりません。なせかなら、政府の原案によりますれば、この浅はかな希望は無残にも打砕かれていたからであります。公社法第三十條は、給與の大綱規定を設け、おおむね給與準則に讓つておるにかかわらず、同じく給與準則に譲るべきで休職者の日給與は、ことさらに細部に旦つてまで第三十二條に規定しようとした真意は、了解に苦しまざるを得ないのであります。その休職者の給與の決定は、人事院の勧告を遥かに下廻つている。政府はこれに対して一般公務員並みだと言いますけれども、併し電通の部門にありましては、これを一般並みに扱つてはならない問題があります。特に結核休職者の場合に問題があります。耳と神経と指先に大部分の作業を依存しなければならないこの仕事が、疲労の蓄積をもたらし、作業環境の劣悪、深夜作業の困憊等によつて、他の職種の三倍以上、十四万人の従業員に対して一万五千人、九人に対して一人という結核患者を抱えておる。かかる冷厳なる事実に対して、電通省がこの問題に積極的な措置をとろうとしなかつつたことは極めて遺憾であると共に、公社になりさえすればと、常に遁辞を構えて、空しい希望を與えて来た政府の態度は、この際、厳しく批判されなければなりません。この点、今次修正によつて正しく議決されようとしていることは、電気通信委員会の大きな収穫であると言わなくてはならないのであります。  最後に私は、本法案と公労法の問題に関連いたしまして、一言、言及したいのであります。今日この法案によつて、電通従業員は、国鉄、専売と共に、労務関係は公労法で規正されることになるのでありまするが、同法第十六條及び三十五條をめぐる予算上、資金上不可能な場合の仲裁裁定の問題であります。第三十五條によつて、仲裁裁定が協定と同様、双方が受諾し、履行の義務を負うものであることは、あえて論及するまでもないところでありまするが、政府は依然として手続規定たる第十六條を楯に、常に違法行為を繰返して来たところであります。そのために、本法案審議に当つては、若しも政府が依然かくのごとき違法行為、法解釈の強引なる歪曲を続けるとすれば、給與総額は予算総則から排除すべしとする論議が行われたことを明確にしておきたいのであります。民主主義は、合理主義、権利の尊重からでなくては成長しません。国会が当事者間にすでに民法上生じた債務をまで国民の名において蹂躪し得るという理念は、超保守党政府にしか通用しない理念であります。而も講和條約の締結によつて、或る程度の自主性が若しも日本政府に生じたというならば、せめて公労法第十六條の暴力的権力的立場においてとられた解釈ぐらいは、この際、改める責任があることを、私は民主主義の名において強く要求すると同時に、少くとも本修正案によつて、電通公社の場合だけは、以上の事態に備え、給與総額を予算総則から排除したことは、誠に賢明なる措置と言わなくてはならないのであります。  以上申述べたことく、日本電信電話公社法案及び同施行法案並びに修正案は、なお今後に幾多問題を残しつつも、この際は一応賛成、国際電気通信株式会社法は、日本経済の従属性をますます露骨にし、軍事的支配とアジア侵略のお先棒を担ぐものであり、便乗する一部特権的分子の利権法案であるという事実に対して、我々は断固これに反対いたします。
  16. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 相馬助治君。    〔相馬助治君登壇、拍手〕
  17. 相馬助治

    ○相馬助治君 私は社会党第二控室を代表いたしまして、ここに議題となりました日本電信電話公社法案並びに同施行法案に対しまして賛成の意を表し、同時に国際電信電話株式会社法案に対しましては反対の意思を表明するものでございます。  御承知のように、我が国の電気通信事業は、創始以来すでに今日まで八十年間、その間、国営形態をとつて参つたのでありまするが、この国営事業において、官庁組織の煩雑、官僚制度の弊風等に禍れまして、その施設の整備拡充及びサービスの提供はすでに国民の要望に応えることができずに参りまして、電話の新設のごときに至りましては約七十万の申込が澁滯しているのに対しまして、年々僅か十万程度の消化に過ぎないのであります。甚だしきに至りましては明治以来の申込の処置が未だに付いていないものすらがあると伝えられている始末でございます。一方、官庁機構の複雑、厖大、責任の不明確によりまして、最近はこの間におきまして汚職事件が続出し、世論の厳しい批判を浴びていることはすでに御承知の通りでありまするが、今回この法律案は、従来の官庁経営形態を脱却して、企業活動を自由潤達に行い得る形態として公社を選んだという政府の説明でございますが、原案では未だその点が十分ではありません。官庁風の煩雑、非能率性が多分に残つているのでありまするが、先に衆議院において、又今回はこの参議院において、大幅の修正が行われるに至つたのであります。我々といたしましては、本来ならば、この種事業というものは国有国営に移し、その経営を最も民主化ならしめるべく要望するのでありまして、飽くまでこの段階においては民営に移行することには反対でございます。従いまして、この段階において、少くとも官僚経営より脱却するという意味合いにおきまして、電気通信事業本来の公共性の上に立つたこの公共企業体への編成替されるということは、十分我々としては賛意を表するものでありまして、この法案に対しまして我々は今日一先ず賛意を表する次第なのでございます。  第二点におきましては、従来公務員である従業員には団体交渉権すら與えられていなかつたのでありますが、今般の公共企業体に移行することによりまして、労働條件、厚生副利施設は団体交渉によつて定まり、合理的な労働行政がやや可能になるという見込を我々は持つに至つたのであります。これは従前に比べまして遥かに進歩と言わざるを得ないのであります。この際、公社は従業員の意思を十分に取入れ、そのことによつて事業の合理化を図るべきであるということを強く要望いたしまして、我々はこれを賛成の第二の理由とするものであります。  次に、原案におきましては、総裁、副総裁の任命或いは罷免というものは、内閣の一方的措置によつてなされることに相成つていたのでありますが、参議院において今回これが修正されまして、経営委員会の同意を得て内閣が任命又は罷免するという建前をとつたことは、事業の民主化に対して一歩前進したものと信ずるのでありまして、この任命につきましては、経営委員会の推薦によつて国会の議決を経て任命されるということは我々の希望するところでありまするが、とにかく以上の人事管理の面からも、十分なる満足とまで言いかねるのでありまするけれども、従来に比べて進歩したという事実を我々は認めるに十分なのでございます。  第三点におきまして、政府原案によりますれば、公社の予算編成や事業計画が国家予算とひとしく、郵政大臣に監督されるのみならず、大蔵大臣にも監督されて参つたのでありますが、両院においてこの点が修正せられ、本格的な公社らしい性格を持たなければならないという理由の下に、大蔵大臣の支配権を削つたということは、その経営の自主性からいつて当然なことでありますと共に、原案の国庫納付金制度を廃止し得たことと併せて、同じような公社形態をとつております国有鉄道公社或いは専売公社よりは一歩前進した、いわゆるこれらのモデル・ケースとなつたものでありまして、その意味するところは誠に重要であろうと思うのであります。従いまして、今後の公共企業体のあり方といたしましては、独立採算制によつて健全なる経営が行われますると共に、飽くまでその持つ公共性を発揮すべきでありまして、この点からいたしましても、この点については我々は十分なる賛意を表するものであります。その他、物権担保の條項追加等、衆参両院の修正等によりまして、総論的にはここに大体我々をして満足せしむべき公社法案ができたのでありましてその内容の各論についてはそれぞれまだ希望は存しておりまするが、我々としては、この際、本公社の運営において、公社当局並びに監督官庁でありまする郵政当局におかれては、公社が何故に設立されたか、而もこの公社が国鉄公社や専売公社と違つた行き方を何故にせんとして議会においでこれを議決したかという点を考えますると共に、我が国の公共企業体の最も進歩的な内容を持つ公社としてこれを生かし、この法律を制定した国会の意思を尊重せられまして本事業が国民の要望に応えることのできる日が一日も早からんことを切望いたしまして、本公社法案並びに同施行法案に対して社会党第二控室は賛意を表するものでございます。  次に国際電信電話株式会社法案についてでござごいまするが、この法案につきましては、我々は少くともこの段階においては国民の名において反対せざるを得ないのであります。申すまでもなく電気通信事業は国内国際を問わず国民生活と密接な関係がありますると共に、近代国家におきましては、産業、文化、政治或いは教育の根幹をなすものであることは諸君のすでに御了解のところでありまして、故に本事業は飽くまでも常に公共の福祉のために経営されねばならないということは、あえてここに喋々するまでもないと思うのであります。この公共的立場を維持するためには、本事業のごときものは利益追求を本旨とする民間の経営に移すべき性質のものでないのでありまして、近代国家におきましては公共的性質を有する事業は漸次公営化へ移行しつつある建前から申しましても、本法案はまさに時代に逆行するものであると残念ながら我々はここに力強く指摘せざるを得ないのであります。  第二は、現在電気通信事業のうちで最も利益を挙げておりまするのが御承知の通りこの国際電気通信でありまして、昭和二十六年度におきましては、その利益金額は約十四億と伝えられておるのであります。従いまして、この法案が成立いたしまするならば、利益のある部分だけを民間に移してこれを経営せしむる、こういうことに相成るのでございまして、利益のある部分だけを切り離してこれを民間に移し、更に民間における資本を導入して公共性と利益追求の衝突を生ぜしむることに相成ることは明白でありまして、我々といたしましてはかかる構想に対しては絶対に賛成し得ないところであります。更に今日公社につきましては公社経済を緩やかにしてやることが任務であるにもかかわりませず、利益の挙る部分だけを取上げるということは、どう考えてもこれは不当であると申さなければなりません。従つて、かかる会社を作るということそれ自体が、別な面におきましては国内の電信電話事業を圧迫するものでありまして、我々としては断じて賛成し得ないものであります。  第三は、本法案におきましては、株式所有の資格を定めて外国の支配力を排除したことは、極めて至当な規定であろうと思うのでありまするが、社債の所有に対しましては無制限にこれを認めているのであります。只今第四控室の千葉信君も烈々としてこの点について言及されておりまするように、近代会社におきましては、会社を支配するものは、実は資本を持つている株主よりも社債の所有者であるという実例を我々はたくさん知つておるのであります。而も国際電信電話事業は、新しく回線増加のために相当大きな資本を必要とし、これを外資に期待しなければならないということは、政府がしばしば言明しているところでありまして、この電信電話事業が外資に支配されることは我々の最も恐れるところでありまするが、本法案は、この社債の所有者が会社を支配するであろうことを予防する何らの方法も講じていないという点において、甚だしくこれは売国奴的法案であると言わざるを得ないのであります。  第四は、社債発行限度に特別規定を置いたことは、経営の健全性を甚だしく害するものでありまして、かかる規定を設けたことは我々の懐疑に堪えないところであります。その他、本法案と商法或いは民法の規定とがちぐはぐとなつておる、矛盾している点が多々認められるのでありまして、これらの点に関しましては、立法府に席を有する我々当然の義務といたしまして賛成しかねるのでございます。  最後に、今回のこの会社法案は、言葉を換えて言うならば、国有財産、国営事業の拂下げ法案でございます。かかる場合におきましては、愼重にも慎重を期し、軽々にこれを拂下げるべきものではないのでありまして、この考え方に立つて、我々は、この国際電信電話株式会社法案によつて、これまでの特殊会社というものの歴史を見て参りまするときに、その特殊会社は戦前、戰時中、戰後を通じ、常に疑獄と汚職の歴史に綴られていた事実を思い起しますときに、この会社が再びこの轍を踏まないということは何人もこれを断言し得ないところであろうと存ずるのでありまして、国民をして少くともかかる疑惑を思わしめるような本法案というものは、この段階においては成立しないことこそが望ましいと存ずるのであります。  更にこの点に関し公聽会における公述人の意見におきましても、反対四、賛成四、漸次移行論一つでありましたが、その漸次移行論というものは誠に聞くべき議論であろうと思うのであります。即ち今回は国営の電信電話事業を公社にするだけにしておいて、国際電信電話を切離すということは、この公社がその事業が円満に健全となつた上において、且つ又微妙な国際情勢の見極めがついた上でじつくりとやるべきであるとする時期術早論でございます。政府與党が現在の国際情勢を全く無視して、一夜作りのかかる利権法案を以てこのような独占私有化した株式会社を設立し、まさに行われんとする総選挙に備えんとすることは、八千万国民と共に断じて許し得ないところでございまして我々は断固としてこれに対して反対するものでございます。(拍手)
  18. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより採決をいたします。  先ず日本電信電話公社法案日本電信電話公社法施行法案、以上両案全部を問題に供します。委員長の報告はいずれも修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決するととに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  19. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて両案は委員会修正通り議決せられました。      —————・—————
  20. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 次に国際電信電話株式会社法案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  21. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は委員会修正通り議決せられました。(拍手)      —————・—————
  22. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) この際、日程の順序を変更して、日程第五より第二百五までの請願及び日程第二百四十四より第二百七十二までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんかり    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。人事委員長カニエ邦彦君。    〔ヵニエ邦彦君登壇、拍手〕
  24. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 只今上程されました日程第五より日程第二百五まで及び日程第三百四十四より日程第二百七十二までの請願二百三十六件並びに陳情三十二件につきまして、人事委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  先ず日程第五外二百十五件の地域給に関する請願及び日程第二百四十六外二十五件の地域給に関する陳情についてでありますが、これら請願陳情のうち八十四件は、本年五月六日、本院において修正議決いたしました支給地域区分によりその願意を認めているものでありますが、本委員会は、これら以外のものをも含めてその願意をおおむね妥当なものと認め、なお政府をして十分に研究検討せしめ、今後の所要措置をできる限り速かに講ぜしめる必要があるものと決定いたしました。  次に地域給以外の請願十九件、陳情六件についてでありますが、先ず日程第十六の三件並びに日程第二百四十四の四件の教育公務員給與準則に関する請願陳情は、給與準則の設定に際し、小学校、中学校、高等学校の学校差、職域別による差別待遇を付けないようにとの趣旨であります。次に寒冷地手当石炭手当に関するもの十件についてでありますが、日程第三十八外六件の寒冷地手当に関する請願は、それぞれの町村の地理的気象状況等を検討して、実惰情に即した級地指定をされたいと要望しており、日程第百十二及び日程第百三十六の請願並びに日程第二百六十三條の陳情は、現在の実情を勘案して、北海道における石炭手当を増額して欲しいというのであります。又日程第八十六は、寒冷地手当及び石炭手当に対する所得税免除の法的措置を要請しております。  次に新恩給に関する請願二件でありますが、日程第七は、その制度の速かな制定を要請し、日程第二百四十五は、その制定の際に町村吏員も同一法に包含して適用せられるよう措置せられたいというのであります。  次に日程第六は、全建設省労働組合九州支部執行委員減給処分に関する請願でありまして、組合員の要求と権利が一方的に制限せられないよう善処方を要望しております。日程第十五は、国有林労務者特別職とするとの請願であり、その勤務等の実態を勘案して速かに特別職にせられたいとの趣意であります。  次に日程第三十三は、国立療養所医療従業員給與改善に関する請願でありまして、これらの職員は絶えず病原菌にさらされながら働いているから、速かに給與の改善をしてもらいたいとのことであり、これと同様なもので、日程第三十四の国立らい療養所の職員の特殊勤務手当等に関する請願でありますが、これは「らい」に対する嫌悪性危険にさらされて勤務している職員には最高率の特殊勤務手当を支給されたいとの要請であります。  次に日程第五十九は、東京電報局並びに東京国際電報局に勤務する有線電信従業員の勤務の技術性に鑑み、特に十級職まで昇格の措置を講ぜられたいとの請願であります。次に日程百三十五は、公務員給與改訂等に関する請願でありますが、最近国内外一般経済情勢の変化に伴い、物価と民間給與の騰貴が激しいから、速かに給與の改訂を行い、又夏季手当一カ月分を支給されたいとの要請であります。  以上本委員会におきましては愼重審議の結果、すべて趣旨妥当と認め、又政府をして十二分に研究検討せしめる必要があるものと認め、これを院議に付し内閣に送付すべきものと決定いたしました次第でございます。  以上御報告を申上げます。(拍手)
  25. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  26. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      —————・—————
  27. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) この際、日程の順序を変更して、日程第二百六より第二百二十六までの請願及び日程第二百七十三より第二百八十一までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。水産委員会理事千田正君。    〔千田正君登壇、拍手〕
  29. 千田正

    ○千田正君 只今議題となりました請願二十七件、陳情九件に関しまして水産委員会における審議の経過並びにその結果を御報告申上げます。  請願百三十七、百四十二、百四十三、百四十四、二百十三、三百二十七、千三百七十九、二千三百十四、二千五百八十九、二千六百七、二千七百十四、陳情百六、百七十六、百八十六九百二十八、千二十三、千八十九の各件は、漁港修築工事に関する請願及び陳情であります。  請願二十九、二百七十一、三百二十八、三百七十、四百一、四百九の各件は、合成繊維漁網調製費助成に関する請願であります。  請願二百四十一は北海道香深村に北方新魚田開発基地施設設定及び魚田調査に関する請願であります。請願千七百四十一は、北上川水系、宮城県柳津、飯野町所在えん堤の魚道改善等に関する請願であります。請願千百二十八は、水産れん製品研究機関機構拡充に関する請願請願千七百四十三、二千二百は、水産業改良普及技術員設置国庫補助の請願請願六百七十六は小型機船底網漁業整理に伴う転換資金として、融資枠設定に関する請願請願千九百九十六は機船底網漁業違反船取締に関する請願請願二千百六十二は、愛媛県伊予海域における漁業取締等の請願請願二千三百六十三一は一北海道水産研究所室蘭試験地設備拡充等請願であります。  陳情四百二十二は漁業改良普及事業費国庫補助等陳情陳情四百四十九は漁獲物鮮度保持研究機関拡充強化に関する陳情であります。  委員会におきましては、政府当局と質疑応答を重ね、慎重審議いたしまして、いずれも願意妥当としてこれを採択し、議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたしました。  次に、請願千四百四は漁業災害復旧資金融通に関する臨時措置法の損失補償限度引上げの請願であります。陳情八百五十二は瀬戸内海水産開発法制定に関する陳情であります。この二件の請願及び陳情は、いずれも願意妥当としてこれを採択し、議院の会議に付することに決定いたしました。以上御報告申上げます。(拍手)
  30. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情委員長報告の通り採択し、日程第二百二十六の請願及び日程第二百八十一の陳情のほかは内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  31. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、日程第二百二十六の請願及び日程第二百八十一の陳情のほかは内閣に送付することに決定いたしました。      —————・—————
  32. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) この際、日程の順序を変更して、日程第二百二十七より第二百四十までの請願及び日程第二百八十二より第二百九十九までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。通商産業委員会理事結城安次君。    〔結城安次君登壇、拍手〕
  34. 結城安次

    ○結城安次君 只今議題となりました請願四十九件及び陳情十九件について、通商産業委員会における審議の結果を御報告申上げます。  請願第七百三十号は毛織物輸出振興のための措置を講ぜられたいとの趣旨であります。請願第千五百八十一号は、繊維機械産業が不振であるから、速かに対策を講じ、労働不安を解決せられたいというのであります。請願第千百四十三号は鋳鍛造品工業確立に関し行政指導の一貫性を要望し、請願第千五十八号は国内産モリブデン鉱保護に関する施策を講ぜられたいとの趣旨であり、請願第千七百二十八号は岩手県松尾鉱山の鉱毒対策費として国庫支弁を要請しておるものであります。請願第二千八十九号は帝国石油株式会社紛争解決について善処せられたいとの趣旨であります。  請願第百七十二号、第三百八十二号及び陳情第九十四号、第百十四号、第百十五号、第百六十号の各件は、それぞれ大阪工業試験所、工芸指導所の支所存置或いは長崎県鉱業試験場、陶磁器試験所の拡充強化等について要望しているのであります。  請願第千五号は、提出を予想される木材防腐法案より、私鉄の枕木、電柱を除外せられたいというのであります。陳情第六百十三号は、ポンド消化の一策として英国製乗用車を輸入し得るよう外貨予算の改善を要請し、陳情第九百三十八号は、ポンド地域への輸出抑制措置を是正するよう適切な施策を講ぜられたいとの趣旨で、共にポンド対策を要望しているのであります。陳情第千三十四号は、発電用電気機械の輸入は関内業者に影響を與えるから火力発電設備の輸入を防止せられたいという内容であります。  陳情第八百五十七号、第八百七十六号、第九百二十号及び第千百七十二号の各件は中小企業に関するものでありまして、その振興対策として経営合理化、資金源の拡充等の措置を講ぜられたいというのであります。陳情第千百二十七号は繊維製品価格安定対策を講じて欲しいというものであります。陳情第百七十七号は中小石油鉱業者の増産意欲高揚のため助成措置を講ずることを要望いたしております。  次に、電力に関するものにつきましては、請願第千三百十四号、第千二百二十九号、第千三百六十六号、第千三百六十七号、第千四百四十七号、第千四百六十八号、第千五百十号、第千五百四十九号、第千五百五十五号、第千六百四十七号、第千六百五十四号及び陳情第三十八号、第九十五号の各件はいずれも電源開発に関するもので、一般的に或いは地方的に電源開発に必要な條件を示してその促進を要望したものでありまして、請願第千四百五号及び陳情第九十六号、第七百六十七号もやはり電源開発に関するもので、球磨川、道南及び肱、面河両河川等、それぞれの河川又は地区の電源開発を要望したものであります。又請願第十七号、電力有効利用北陸電解電炉工業負荷季節的調整実施に関する請願陳情第六十六号、電力不足対策に関する陳情、及び陳情第百七号、動力増強総合対策に関する陳情は、現下の電力不足又は電力を初めとするエネルギー源不足の現状に鑑み、その有効利用又は増強対策を政府に要望いたすものであります。請願第二千八十八号は戦後における屋内電気工事従事者に対する技能検定制度の廃止により、火災その他の事故続出の実情より見て、これが技能検定制度を早急に制定せられたいとの趣意であります。  通商産業委員会におきましては、以上の請願二十三件及び陳情十九件について、政府関係者の意見をも徴し、慎重審議の結果、それぞれの願意をおおむね妥当と認め、これらを採択し、議院の会議に付し、且つ内閣に送付を要すべきものと決定いたした次第であります。  最後に、請願第千三百九十四号ほか二十五件は、中小企業の金融難を打開するため、農林漁業資金融通法を倣つて、速かに中小企業資金融通法の制定を望むという趣旨であります。以上の請願二十六件についても、本委員会におきましては愼重審議の結果、これ又請願の趣旨をおおむね妥当と認め、採択して議院の会議に付するを要するものにして、内閣に送付を要せざるものと決定いたした次第であります。  右御報告申上げます。(拍手)
  35. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情委員長報告の通り採択し、日程第二百四十の請願のほかは内閣に送付するごとに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  36. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情ば全会一致を以て採択し、日程第二百四十の請願のほかは内閣に送付することに決定いたしました。  これにて午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十六分休憩      —————・—————    午後二時四十四分開議
  37. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。参事に報告させます。   [参事朗読]本日委員長から左の報告書を提出した。  事業者団体法の一部を改正する法律案修正議決報告書  私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案修正議決報告書  労働関係調整法等の一部を改正する法律案修正議決報告書  労働基準法の一部を改正する法律案修正議決報告書  地方公営企業労働関係法案修正議決報告書      —————・—————
  38. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して  事業者団体法の一部を改正する法律案、  私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出衆議院送付)  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。経済安定委員長佐々木良作君。    〔佐々木良作君登壇、拍手〕
  40. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 只今議題となりました事業者団体法の一部を改正する法律案と私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案の両案につきまして、委員会の経過と結果を簡単に御報告申上げます。  先ず事業者団体法一部改正法案につきまして御説明申上げますが、昭和二十三年七月公布施行せられました事業者団体法によりまして、我が国経済の民主化のための事業者団体のあり方を明らかにされたのでありますが、この施行直後以来各種の観点から内容を緩和すべきであるという意味の改正の要望がいろいろな角度から試みられて来たのであります。併しながら事業者団体案は独禁法と共に経済民主化の基本法規をなすものでありまして、占領軍当局及び各連合風政府もこの緩和につきましては相当に強い反対意向を示しておつたように見受けられたのであります。従いまして、本年三月講和発効を目前に控えまして、公正取引委員会が関係方面の本改正案についての了解を得まして、この法案を国会に提出するようになつたのでありますが、その後におきましてもいろいろな角度から批判や検討がされて注目を浴びて来ておつたのであります。  本改正案の政府原案の大要を個條書的に簡単に申上げます。第一に、事業者団体の定義を改めまして、本法の適用範囲を本来の事業者団体でありますところの産業団体や同業組合に限定し、事業者の共同企業体である会社などを本法の適用から除外したということであります。二番目は、事業者団体の活動を許容活動として掲げた狭い枠内に限り認めていたものを改めまして、特に規定する禁止行為以外は自由に行えるようにした、こういうのが第二点。第二点としまして、禁止行為の範囲を縮小いたしまして、独占禁止法の規定に牴触しない行為は成るべくこれを行えるようにしたこと。大体以上の三点を中心とする緩和であります。  これに対しまして衆議院におきまして修正がありまして、只今申上げました政府原案に加えて、次の三点、即ち事業者団体の範囲を更に縮小すること、二番目は、禁止行為をなお少くすること、三番目は、本法の適用除外団体たる各種法令の規定により設立せられた中小企業等協同組合、農業協同組合等々に従来課せられていた公正取引委員会への届出義務というのを廃止するごと、この三点を追加して衆議院で修正し、本院に送付されて来たものであります。  この事業者団体法の一部改正につきましては、同様な経済民主化立法のいわば例外的な立法になりまして本国会に出されました輸出取引法及び中小企業安定法等々とも関連をいたしまして検討する必要もありましたので、通商産業委員会とも連合委員会を開きまして今申上げました二つの法案と共に連合審査も行なつたわけであります。その後、経済安定委員会に引戻しまして單独の委員会で相当慎重な審議を行なつたわけであります。  審議の過程におきます質疑応答の内容につきましては、速記録に讓らして頂きたいと思いますが、ただ質疑の要点二、三だけを御報告申上げます。第一に、独占禁止法及び事業者団体法を中核とする経済民主化政策が今回の改正を切つかけとして大きく転換して従つて近く更に大幅の緩和がされるような気遣いがあるのではないだろうかどうだろうかという点、これに対する海外の反響、今後の対外関係に対する影響、どういうふうに響き得る可能性を持つておるかどうかというような点、それから三番目に、この改正が国内企業の健全な発展に資するよりも、却つて外国資本の侵入をむしろ可能にする危険性があるのではなかろうかというような点、更に最後には、新聞を賑わせました操短問題と独禁法、事業者団体法の関係等につきまして相当突込んだ質疑応答がされたわけであります。これに対します公正取引委員会からの答弁は、独占禁止法、事業者団体法の精神は、飽くまでも日本経済の民主的な健全な発展を狙うものであつて、その線は今後も変えずに持つて行く決意を持つておるのだということの明確な答弁があつたと思います。その他の質疑応答は速記録に譲らして頂きます、  それから私的独占禁止法の一部改正法律案につきましては、その実体規定でありますところの独占の禁止、公正取引の確保の部分は全然手を触れなくて行政機構改革に即応いたしまして公正取引委員会の組織、権限などを整理、或いは明確化しようとする内容のものでありまして、本質的な内容をむしろ持たない程度の改正であります。  主要な改正点は、第一に、委員の数を七名から五名に減ずること、二番目に、従来衆議院のみの同意でありました委員の任命を、両議院の同意を必要とするというふうにしたこと、三番目に、事務局長、それから審判官等を置くようにしたこと、その他不明確な点を明らかにしようという程度の内容のものであります。  質疑につきましては、独禁法自身の本論、内容につきまして、先ほどの事業者団体法等と関連しながら本質的な質疑応答がなされましたけれども、今度の改正案の内容につきましては、殆んど大した意見の交換も行われない程度の質疑応答であつたと思います。  質疑の後に討論に入りましたけれども、別に討論におきましては大した発言もなくて、採決に入つたわけでありますが、その直前に愛知委員から修正案が提出されたわけであります。  事業者団体法の一部を改正する法律案に対しましての修正意見は、他の法律の施行に伴いまして事務的な修正の内容だけであります。それからその次に、独占禁止法の一部改正に対しましても、同じ愛知委員から修正案が提出されたわけでありますが、これも行政機構改革の問題と同様に、施行期日を八月の一日にするとか、それからもう一点は、單なる條文整理の内容でありまして、内容を持つていない事務的な修正であつたわけであります。  かくいたしまして、修正採決の結果、両法案とも多数を以て修正議決ということに決定いたした次第であります。  右御報告申上げます。(拍手)
  41. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。委員長の報告はいずれも修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  42. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めばす。よつて両案は委員会修正通り議決せられました。      —————・—————
  43. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して  労働関係調整法等の一部を改正する法律案、  労働基準法の一部を改正する法律案、  地方公営企業労働関係法案、(いずれも内閣提出衆議院送付)  以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。労働委員長中村正雄君。    〔中村正雄君登壇、拍手〕
  45. 中村正雄

    ○中村正雄君 只今議題となりました労働関係調整法等の一部を改正する法律案、地方公営企業労働関係法案、及び労働基準法の一部を改正する法律案につきまして、労働委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  先ず政府の提案理由を見ますると、終戦以来我が国の労働立法は、労働組合法、労働関係調整法、労働基準法、公共企業体労働関係法等が順次制定整備されたのであります。併しながら占領も終結し、平和條約の効力が発生した今日、産業平和を維持し、労働生産性を高め、以て日本経済自立の基盤を築く上に、現行労働法規を見ますと、そこには、かなり再検討の余地があると思われるのであります。即ち、一方においては勤労大衆が安んじて経済再建に協力するために労働者の権利をでき得る限り保障し、その福祉増進を図ると共に、他方、経済再建を妨げるごとき結果を生ずる労使間の紛争はこれを防止し、万一国民生活に重大なる損害を及ぼす大規模の争議の発生を見る場合は、これを合理的な機関において平和的に解決を図り、以て産業平和を確保することが肝要なのであります。  政府はかかる見地より、昨年夏いわゆる政令諮問委員会より労働法規改正に関する答申を得て、特にこの問題の重要性に鑑み、労働組合法その他労働関係法規につきましては労働関係法令審議委員会に、又労働基準法につきましては労働基準審議会に、それぞれ改正すべき諸点を諮問し、それらの答申を得て、これを愼重に検討の上、委員会の会員一致を見ました答申は殆んど全部これを採用し、答申されるに至らなかつた事項については、公益委員の意見を尊重し、おおむねこれに副つて改正案を立案いたしたものであります。以上が政府の提案理由であります。  次に各法案の内容を順次御説明申上げます。  第一に、労働関係調整法等の一部を改正する法律案につきまして申上げます。本法案は、労働関係調整法、公共企業体労働関係法及び労働組合法の三法の改正案を、内容が相互に関連いたしますので、便宜上一本にまとめたものであります。  先ず労働関係調整法の改正の要点は、公益事業の労働争議又はこれに準ずる大規模若しくは特別の性質の事業に関するために公益に著しい損害を及ぼし、放置すれば国民生活に重大なる損害を與える場合には、労働大臣が緊急調整の決定をなし得ることとし、その間五十日間は争議を禁止し、紛争は中央労働委員会の調停、実情調査、その他の手続により、これが平和的解決を図らんとするものでございます。又公営企業の争議については、従来三十日間の冷却期間が定められておりましたが、これを十五日間に短縮することといたしております。以上のほか調停の申請がなされても、当事者間の自主的な交渉が著しく不十分なときは、労働委員会はこれを却下できることといたしております。又労働争議の調停仲裁を行わしめるために特別調整委員制度を設けること、斡旋員と労働委員会の委員の兼職禁止を廃すること、労働委員会による労働争議の仲裁は、仲裁委員会を設け、これによつて処理せんとしたこと、及び公益事業の冷却期間中、緊急調整の期間中の争議行為に関しては、従来は団体の責任者を処罰いたしておりましたが、今回は争議行為を行なつた個人に罰則を適用することに改めた点であります。  次に公共企業体等労働関係法の改正の要点について申上げますと、郵政、印刷、造幣、営林、アルコール専売等の現業国家公務員並びに近く電通公社に切替えを予想されておりまする電通事業関係職員は、従来団体交渉権を認められていないのでありますが、今回これらの従業員には団体交渉権を認め、公共企業体等労働関係法を適用せんとするものであります。行政簡素化の建前から、従来、国鉄、専売につき別々にあつた調停委員会を一本の公共企業体等調停委員会に統合したほか、組合規約、不当労働行為等につき、労働組合法との重複を整理し、団体交渉事項を明確にする等の技術的改正をせんとしたものであります。  次に労働組合法の改正点について申上げますと、不当労働行為、労働委員会の証人喚問権、労働組合の資格審査及び労働協約について規定を整備すると共に、地方労働委員会の委員の数について事務の繁閑に応じて差異を付けんとするものであります。  第二に、地方公営企業労働関係法案について申上げます。  本法案は、地方公営企業、即ち交通、ガス、電気、水道の事業に従事すむ職員に対して、公共企業体等労働関係法の適用を受ける職員と同様の趣旨の労働関係上の地位を認めんとするもりでありますから、内容もおおむね公分法に準ずるものでありますが、地方公営企業の場合は、その規模が地方的なものであるために、交渉単位制度は採用せず、斡旋、調停、仲裁は別に特別の機関を設けず、地方労働委員会をしてこれに当らしめんとするものであります。第三に、労働基準法の一部を改正する法律案につきまして申上げます。本改正案は、貯蓄金管理や技能者養成の認可を届出に改め、危険有害ではない仮建設物の設置届を廃止し、又貯蓄金管理、賃金の一部控除或いは有給休暇の賃金につき労使協定の制度を取入れる等、手続の簡素化或いは労使の自主的協定に委ねんとするものであります。次に女子の時間外労働の制限並びに深夜業禁止に多少の緩和を図り、又十六才以上の年少男子につき技能養成のための坑内作業を認める等、実情に即して所要の改正を行わんとするものであります。労働委員会におきましては、五月二十二日、労働大臣より提案理由の説明を求め、次いで議案の重要性に鑑み、六月十一日、六月十二日と公聽会を開き、利害関係者及び学識経験者十八名より意見を聽敬いたしましたほか、六月三日北海道、同六日九州、同九日近畿地区において、それぞれ利害関係者、学識経験者を招き、その意見を聴取いたしたのであります。又六月十三日には総理大臣の出席を求め、政府の労働行政の根本方針を質し、更に地方行政、人事委員会と連合審査を行うなど、二十回に亘る委員会を開き、愼重に審議を重ねたのであります。  審査の際、問題となりました主なる点を御紹介いたしますと、  第一に、労働関係調整法等の一部を改正する法律案につきまして申上げます。本法案に対しまして質疑の集中されました主なる点は、先ず特別調整委員を中央労働委員会及び地方労働委員会に設ける点、労働委員会が調停の申請を却下できる点、緊急調整の新設の点、従来の団体罰を個人罰に改めんとする点及び公共企業体等労働関係法の仲裁裁定に関する点等であります。特別調整委員制度は法文上簡單に規定されているにとどまり、その権限、機能の一切はすべて政令に任されている。これを法文上明瞭に規定する必要はないかとの質疑に対して各府県の労働事情はそれぞれ実情を異にしているから、運営に弾力性を持たせるため、法律で定めるもののほかは政令で定めるほうが適当である旨答弁がありました。申請却下制度は、労働委員会の三者構成及び従来の実績から見て又現行法の解釈から見ても、これを新設することは無用であるにとどまらず、むしろ紛争の円満な解決を妨げるものではないかとの質疑に対して現行の冷却期間はその本来の目的を達せず、却つて紛争を長引かすという結果を生じておりますので、本制度を採用することにより、双方の交渉が煮詰つていないときは、これを却下して、自主的交渉を促進せしめんとするものである旨答弁がありました。  緊急調整制度の新設については特に質疑が集中されたのであります。緊急調整は、労働関係法令審議委員会の公益委員案或いはアメリカのタブト・ハートレー法における罷業の差止め命令に比較して憲法に保障された労働基本権を甚だしく侵害するものであるから、これは撤回すべきではないかと質問いたしましたところ、緊急調整によつて争議権を制限する場合は、飽くまで国民生活に対して緊急且つ現実の危険が迫つていると認められる場合に、公共の福祉と国民生活の安全とを保障すべき措置であり、国民の輿論一般もこれを支持する場合に限つて実際に発動されるものであり、独立後の日本経済の自立発展に緊急不可欠の措置と認めるから、これを撤回する意思はない旨の答弁がありました。又緊急調整の期間五十日も争議行為を禁止することは、長期に失するものであり、争議権の著しい弾圧ではないかと質問いたしましたところ、過去の経験に鑑みても、又労働関係法令審議委員会の公益側の意見に徴しても、一応五十日程度あればその目的も達せられると思うので、適当な期間と考える旨答弁がありました。  現行法においては罰則は団体を代表する者に適用していたが、今回これを個人の処罰に置き換えることは極めて苛酷な措置ではないかと質問いたしましたところ、過去の経験より見て労働組合が団体としての違反行為を行なつた例はないが、いわゆる山猫争議という形において無責任な行動をとる者があり、これを処罰する方法がないので、かかる改正が必要であるという答弁がありました。又公労法第十六條、地方公労法第十條の、いわゆる予算上、資金上不可能な支出に関する協定並びに裁定の取扱につき、国会の承認を求めなければならないと法文が明記いたしておるにかかわらず、従来、政府は、條約の承認を求むるの件、或いは地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き何々の設置に関し国会の承認を求むるの件等と取扱を異にし、国会の議決を求めるの件としてこれを提出しておるということは違法ではないか。又特に今回新たに制定される地方公労法において各地方公営企業ことに本條の解釈が異なる慮れはないかとの質問に対し、公共企業体が当事者として結んだ協定は政府が当事者である国際條約とは別であり、又国会は国の最高機関として、これに関する経費の支出につき自由に決定すべきものであるから、政府は意見を付せずに、国会の自由なる議決に委せる趣旨である旨、又地方においても同様であるべき旨の答弁があり、更に今回新たに公労法の対象となつた現業の国家公務員並びに地方公営企業の職員については、政府並びに地方公共団体は直接の雇用者であり、従つて団体交渉の当事者であるから、條約の場合と同じ取扱をなすべきではないかとの質問に対しつては、そのように考える旨の答弁がありました。  第二に、地方公営企業労働関係法案について申上げますと、質疑の行われました主なる点は、先ず団体交渉の範囲を更に拡張して詳しく規定する点、及び仲裁裁定の効力を明確に規定する必要はないかとの質問に対しては、それぞれ公共企業体労働関係法運用上の慣行から見ても、この法案の程度が適当である旨の答弁がありました。就業規則は、その内容が主として労働條件を規定するものであるから、当然団体交渉の対象となるものではなやかとの質問に対しては、就業規則それ自体は管理者の定めるもので、団体交渉の対象となり得ないが、その内容において労働條件に関する部分は団体交渉の対象となり得る旨の答弁がありました。又地方公務員法第五十七條及び同法附則第二十一項に定める軍純労務者に対する特例を定める法律案が未だ提案されない点について質問いたしましたところ、これら単純労務者は、地方公務員中の現業職員と何ら選ぶところがないので、でき得るだけ早い機会に法案を整備して、団体交渉権を認める措置をとりたい旨の答弁がありました。  第三に労働基準法について申上げます。改正案作成の基本的態度についての質問に対しては、国際水準に比し高過ぎるもの、手続の煩瑣なもの等を実情に印するようにしたものであつて、基本原則を変更していないとの答弁があり、労働生産性が高まつているのに、労働條件を緩和するのは妥当でないではないかとの質問に対しては、決して国際水準を下廻るものではないとの答弁がありました。中小企業については特例を設けてはどうかという質問に対しましては、大企業も中小企業も労働者の保護については同一にすべきであり、又現在十名以下の事業場等については例外措置が講ぜられておる旨の答弁がありました。使用者が労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合において、これにつき賃金と同一の取扱を受け、先取特権などの保障があるかという質問に対しては、現行法規による保障並びに管理規定にては十分ではないから、勧告助言により極力その保護を図るとの答弁があり、技能者養成については、今後の認可制と届出制との区別を質問したのに対しましては、現在二百三十余の職種のうち、十七職種のみが届出制に改められるのであつて、二百種以上は依然として認可制として存置するとの答弁がありました。その他十六歳以上十八歳未満の男子労働者の坑内労働、女子労働者の超過労働は、若しくは休日労働の制限緩和等についても質疑応答が重ねられたのであります。なお詳しくは速記録によつて御承知願いたいと思います。  以上は委員会におきまする質疑の要点でありますが、七月七日以後は、午前中には委員会を続行すると共に、午後は労働委員全員の秘密懇談会を開きまして本法案に対しまする各派の意向を総合して、共同修正案の作成に努力することといたしました。前述の質疑応答に見られるごとく、各派の主張には相当の隔たりがあり、容易に一致しがたく思われたのでありますが、幸い委員各位の真剣なる御努力により、漸く昨十日午後に至り修正案に関し委員全員意見の一致を見るに至つたわけであります。  次に修正案の内容につきまして御説明申上げます。修正は、今回政府において提案いたしました労働関係調整法等の一部を改正する法律案、地方公営企業労働関係法案、労働基準法の一部を改正する法律案の全部に亘つておりますが、重要な修正点について順次御説明を申上げます。  労働関係調整法におきましては、先ず第一は、特別調整委員の必置制をとつておる政府原案に対し、修正案はこれを改めて、任意設置制といたしておる点であります。必置制をとりますると、各地方の実情に副わない不便を牛じますので、特別調整委員を置くか置かないかは、労働大臣又は都道府県知事の任意といたしまして、制度の運用に弾力性を持たせんとするものであります。第二は、政府案の申請却下の條項を削除し、現行法の建前で、労働委員会の調整機能を十分活用せんといたした点であります。公益事業の争議に関する現行法の三十日の冷却期間は、争議権獲得の手段として調停申請をするため、本来の使命を果していないという見地から、政府は今回のごとき改正案を出して参つたのではありますが、申すまでもなく、調停の申請を却下することによつて争議は解決されるものではなく、又労働委員会は、その有する調整的機能を発揮することはできないわけであります。又あとに申上げますように、本修正案におきましては、緊急調整制度と争議の予告制を採用いたしましたため、この点から本制度の必要がなくなりました。よつて不当に争議権の制限になるような政府案を削除いたした次第であります。  第三は、緊急調整制度の問題でありますが、修正案の基本的な考え方は、政府が今回の改正案を提案するに当つて專ら諮問いたして参りました労働関係法令審議委員会の公益代表委員の答申案を全面的に採用し、これに基いて原案を修正いたしておるということであります。緊急調整は労働法改正の最も重要なポイントであり、従いまして労働委員会におきましても各派委員によりそれぞれの立場から種々意見が出て、激しく論議が行われたのでありますが、結局前に述べました公益委員の意見は、今日の日本の置かれた諸情勢を考慮し、問題を公正な立場から取上げたものとして、一応妥当なものであると考えて、これを採用するに至つたわけであります。政府案と修正案との主なる相違点は、緊急調整の決定権は内閣総理大臣にありといたしました点、及びその決定に当つては公益側委員五人以上の賛成を含む中央労働委員会の同意を必要とするといたしました点でありまして、軽々にこれを発動することを抑止すると共に、国民経済の円滑な運行と、国民の日常生活の安全を確保するため、必要な措置を講じ得るよう途を開こうという趣旨に出でたものであります。なお緊急調整は、その性質上当然緊急を要するものでありますから、政府より右の同意を求められたときは、中央労働委員会は遅滞なくこれを決しなければならないという一項を新設いたしました。繰返して申上げますが、この條項は、各派委員の間で終始問題となつた難関でありましたが、愼電に審議をいたしました結果、最も公正な見地から修正案のような結論に一致いたしたわけであります。  第四点は、公益事業の争議に関する冷却期間を廃止し、新たにこれら争議に関して十日間の予告期間制度を採用いたした点であります。只今特定の争議について緊急調整制度を取上げたことを申上げましたが、その規定と現行労働関係調整法第三十七條施行の現況と併せて検討いたしました結果、最も実際的な見地からいたしまして予告制に切換えることとし、抜打ちストによる弊害を予防すると共に、労働者の地位の向上を図るため、その労働基本権を尊重しようといたした点であります。  第五点は、改正案中の罰則規定が、労働組合の団体行動を中心にその責任者を対象といたしておりまする現行規定を個人罰に改めておるという点を修正いたしまして、現行法の団体本位の方針を堅持いたしておる点であります。労働組合の団体行動が労働法上の制限範囲を逸脱するようなことがあつた場合には、その団体の責任者が刑事責任を負うのが本来の建前でありまして、政府原案に見るような改正は全く了解に苦しむところであつたわけであります。従つてかような理由に基いて政府案を削除いたしたわけであります。  次に公共企業体労働関係法に関する改正案に対する修正点につきまして主なる点を申上げます。  第一点は公労法十六條に第三項を新たに設けまして、予算上、資金上、不可能な支出を内容とする協定の締結がなされました場合、これが実現に当つての政府の態度に関し、当該協定の実現が国会によつて承認せられるように、でき得る限りの措置を講ずるように努めなければならない旨を明らかにいたした点であります。公労法の公正な運用については従来からも長いこと論議されて参つたのでありますが、この修正條項がよりよき慣行の確立に役立つものであるということを望むものであります。  第二点は、今回の政府案により新たに公労法の適用を受ける郵便、営林、印刷、造幣、アルコール専売等の事業に従事する現業の国家公務員に対する国家公務員法の適用除外の問題でありますが、政府案ではその範囲が極めて狭く、却つて無用の紛糾を生ずると考えられましたので、これを修正し、今後公労法の実際の運営による慣行の確立に任せ得るよう改めたのであります。公労法の適用を受ける現業国家公務員国家公務員法における種々重複した規定の適用を受けることを離れて、即ち現業公務員が団体交渉又は労働協約によりみずからその地位の向上を図るため、改正法の趣旨が十分生かされるよう考慮してこの修正案は作られたものであることを、特に附け加えておきたいと考える次第であります。  次に地方公営企業労働関係法案に関しまする修正個所につきまして御説明申上げます。  修正の第一点は、第一條の目的規定を本法案の趣旨に副うよう明確にいたした点であります。地方公営企業労働関係法案は地方公営企業とその職員の労働関係に関する法律でありますが、原案ではやや明確を欠きますので、その目的をより明確に表現しようとしたものであります。  修正の第二点は、原案においては、地方公営企業労働関係法は、交通、電気、ガス、水道の事業で地方公共団体の経営する企業の職員だけに適用することになつておるわけであります。この法案と表裏の関係にある地方公営企業法案では、一定の要件の下に條例で事業の範囲を拡げることができるようになつておりますので、この場合はその事業の職員にも地方公労法を適用するのが当然であると考えましたので、この趣旨に副うて修正いたしております。  修正の第三点は、條例に抵触する内容を有する協定が締結された場合における地方公共団体の長がとるべき措置が原案では不明確でありますので、その点を明確にいたし、これに必要な修正を加えたものであります。修正の第四点は、予算上、資金上、不可能な支出を内容とする協定が締結される場合の措置に関するものでありますが、これは先に公労法の改正案に対する修正案の御説明に申上げたと同様の関係でありますので、それと同様必要な修正をいたしたわけであります。修正の第五点は、争議行為の禁止に関しまする政府原案から、共謀、教唆、扇動の行為を削り、職員の正当な組合活動が禁圧されることのないよう修正いたした点であります。修正の第六点は、単純な労務に雇用される地方公務員に対し、暫定的な措置ではありますが、この地方公営企業労働関係法を準用いたして行こうと考えた点であります。これら単純な労務者に対する法的措置を早急になさなければならないことにつきましては労働大臣も委員会においてしばしば発言いたしておるところでありますけれども、委員会においても、この問題は、地方公務員法の規定、単純労務の性質寺から考えまして、地方公労法を作るこの際、取りあえず右の形において取上げることが妥当であるとの結論に達したわけであります。次に労働基準法の一部を改正する法律案に対する修正の要点を御説明申上げます。先ず第一は、技能者養成に関する行政官庁の許可制度を届出制とする政府原案に対し、これを削除して現行法通りとすることと修正いたした点であります。その理由に関しましては、前の質疑要点に関する報告の中に述べてありますので、説明は省略することにいたします。  第二は、新たに労働者の業務上の災害に関する休業補償に関しスライド制を採用し、経済情勢の変化に適応した労働者保護を立法化いたさんとしておる点であります。この問題は労働者災害補償に関する保険経済とも直接関連がありますので、この点十分検討いたしました結果、災害補償の全部に亘つてスライド制をとることは早急には無理な点もあることが明らかになりましたので、一応休業補償に限りこれらを実施することといたした点であります。災害補償の問題は経済的には使用者と直接関係があるのでございましてその意見も十分尊重いたし、かような修正をいたすことに決定いたしたのであります。  以上政府提出の各法案につきましての委員会におきます修正案の大要を御説明申上げたわけであります。  かくして本日午前労働委員会を開き、労働関係調整法等の一部を改正する法律案、地方公営企業労働関係法案、労働基準法の一部を改正する法律案に関する質疑を打切り、只今申上げたところの修正案並びに政府提出の三法案に関し討論に入つたわけでありますが、以下簡単にその要旨を御説明申上げます。討論は社会党第四控室を代表して菊川委員、緑風会を代表して早川委員、自由党を代表して安井委員、社会党第二控室を代表して村尾委員、改進党を代表して堀木委員、労農党を代表して堀委員のそれぞれより賛成討論がなされましたが、皆それぞれの立場より、多少の不満はあるが、今日の日本の実情に即し最も妥当なるものであるとして賛成の意見を述べ、又おのおのの立場と意見を述べられたのであります。その主なるものを申上げますと、菊川委員は、原則的には改正には反対である。特に占領下の軍命令に代える強制措置を今日必要であるという考えの下に緊急調整を立案したのは、今日の労働情勢が軌道に乗りつつある際、却つて無用の刺激を與えるものである。又公労法、地方公労法の適用を受ける職員にも労働三法を適用すべきであると信ずるのであるが、公務員としての多少の除外例は別として、急速にこの方向に進まれたい旨、又坑内労働につき十六才以上を技能者養成として入坑を認めたについては、特にこれが濫用されざるよう十分なる監督を希望するとの主張がありました。早川委員よりは、緊急調整は、この制度のみを以て今後の労働情勢に対応するに十分であるか疑問があり、又公務員の一部現業員に公労法を適用せんとすることについては、公務員の性質上にわかに賛成しがたい等の憾みがあるが、今回共同修正が成立とたことは特筆すべきことであるので、今後労働政策上貢献するところ大なるものがあるので賛成する旨討論がありました。安井委員よりは、修正案につき政府も不満であろうが、その精神、目的は変らぬ旨、又村尾委員よりは、不満ではあるが自分らの主張の大部分が取入れられたことに満足する旨、堀木委員よりは、原案は占領軍に代るべき権力を作り出そうとする答えもあつたようだが、一面、現業員に団体交渉権を與えようというような一進歩も示しているので、これを修正して、申請の却下、個人罰、緊急調整等の原案は遥かに是正されたと信ずる旨討論があり、堀委員よりは、その立場からして、憲法に保障する労働権の尊重、占領下の争議権抑圧の是正等の主張は飽くまでもこれを主張するものである。この修正の程度は不満であるけれども共同修正には賛成する旨の討論があつたわけであります。  かくて討論を終結し、採決に入りましたところ、修正案並びに修正案を除く原案に対しまして全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申上げます。(拍手)
  46. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 三案に対し討論の通告がざいます。順次発言を許します。岩間正男君。    〔岩間正男君登壇、拍手〕
  47. 岩間正男

    ○岩間正男君 日本共産党は只今上程されました三法案の原案並びに修正案に反対するものであります。  言うまでもなく、これは破防法を初めとする戰時立法であり、日本民族をアメリカの奴隷とするための弾圧立法であることは余りにも明らかであります。日本の労働階級は、これらの弾圧法案の意図するもの、又その結果惹き起されるであろうところのみずからの運命に対しまして、敏感にこれを察知し、破防法並びに労働三法を中心として、いわゆる悪法反対運動を果敢に展開して来たのであります。これは前後三回に亘るゼネストによつてはつきりその意思が天下に示されたところであります。然るに、政府はこれらの猛烈なる反対闘争を恐れ、事ごとに政治的ゼネストであるとか違法行為であるとか言つてこれを威嚇し、その半面又これが懐柔のため労組幹部を待合にまでおびき出してこれを買収する等、あらゆる陋劣な手段を弄して来たのであります。その結果、破防法の中に労働組合や大衆団体には破防法を適用しないなどの修正をまであえてしたのでありますが、これは全く子供だましでしかなかつたのであります。このようにして破防法の通過のためにあらゆる手段を弄して顧みなかつたのでありますがそれは言うまでもなく、破防法こそはあらゆる弾圧法案の元締であり、外濠にほかならなかつたからであります。このようにしてあらゆる権力の圧迫によつて強引にその外濠を埋めてしまつた今、労働三法をやすやす通過させようとしているのであります。すでにこのように外濠を埋めて内濠で闘うことが如何に困難であるか、それは今度改進党、社会党右派並びに左派の諸君によつて翻われた労働三法のいわゆる修正闘争なるものが如何ようなものであつたかを見れば余りにも明らかであろうと思うのであります。外濠を埋めたあとの内濠の闘いが、先にも申述ぺましたように如何に困難であるか、困難というよりは事実不可能であるかを、今こそ日本の労働階級は身を以て知らなければならないのであります。そして悪法反対闘争に盛り上つた全日本の労働者の目を破防法から切り離して労働法に向けさせ、やすやすと両弾圧法案の通過を策した政府、並びにその手先、悪質労組幹部の裏切り行為を鋭く追及しなければならない時が来ていると思うのであります4  労働三法改悪の中心的な骨子をなすものは言うまでもなく緊急調整であります。この緊急調整については、社会党左右両派の諸君は飽くまでこの撤回を求めて闘つて来たはずであります。然るに今日の修正案では、その当初の要求を捨てて、中労委の同意を得ることを條件として妥協しているのであります。併し今日現にある中労委の姿を具体的に見るとき、このことは果して安心が持てるであろうかどうか。言うまでもなく今日の中労委の性格は、曾つての労資間の利益調整の機関というよりは遥かに資本家の利益本位に傾いているのであります。これはあたかも人事院が実際的には政府機関の一変形としての役割を果していると同じように、権力に対する奉仕の機関になり下つているのが中労委の性格であり、それは、その人的構成を見れば余りにも明らかであろうということを私は指摘しなければならないのであります。而もこうした性格の変化を現実的に考慮することなく、ただ形式的、抽象的に、中労委の介在を以て公益事業労働者の基本的権利である争議権に制限を加えることを許されることであるかどうか。若しこのような修正が通れば、政府は恐らく中労委の御用化、弱体化に対しまして、今後ますますあらゆる権力的な手を打つて来るであろうことは、今から想像するにかたくないところであります。こうして政府は、公益事業に対する争議に対し、緊急調整を濫用して来るのであろうことは、現在日本の置かれている国際的国内的情勢から判断しまして、間違いのないところであろうと思うのであります。言うまでもなく、アメリカの軍事基地として、戦時体制が着々強化され、すでに防壁演習さえ昨今の日程に上つている目下の日本を顧みますときに、公益事業の争議は大小となく公共の福祉を侵し、国民生活の安定を乱すものであるとの拡張解釈によつて、労働者の基本的な争議権が弾圧されるであろうことを、私は鋭く指摘しなければならないのであります。そのとき、中労委が介入しているということが一体どれほどの安全弁になるか。安心感が持てるであろうか。こういう点につきましてこれらの修正は、関係諸君の努力にもかかわらず、我々の容易にくみし得ないところであります。こうした修正は、いわば、ごまかしであり、気休めであり、ないよりは、あつたほうがよいとする改良主義的意見でありまして、何ら問題の本質を解決する途ではないのであります。問題をここまで落した責任者は一体誰であるか。言うまでもなくそれは、日和見主義的な、社会改良主義的な一味であります。ないよりは、あつたほうがいいとする日和見主義者が、敢然として闘うことをやめ、一歩々々日本の労働階級をここまで陥れた過去の苦い経験を、私は私自身の体験を通じてここにはつきり思い浮べるものであります。(「公式論だ」と呼ぶ者あり)  占領下七年、アメリカ帝国主義者は日本を民主化するとの口実の下に日本にやつて来たのでありますが、ポツダム宣言や労働に関する極東十六原則を忠実に守るどころか、逆に日本の労働運動を陰に陽に彈圧し続けて来たのであります。かの二・一ストを初め、その後のあらゆるストライキは、アメリカのAFL出身のキレン、その他のボス的手先がGHQの労働課の要職にあつてこれを指図したばかりでなく、総評を中心とした日本の労働組合を強制的に国際自由労連に加入させ、これを骨抜きにしようとしたのであります。又悪法反対の今次ゼネストにあつては、────────────────ストライキ放棄、労働強化で日本再軍備の線を貫かせようとしたのであります。而もこれらの背後には常にアメリカの労働政策が強引にその糸を操り、莫大な資金を使つての策謀が後ろに動いていたことは、紛れもない事実であります。現に最近ではC10のウイラード・タウンゼントが日本労働運動の分裂に乗り出し、その軍資金は七十三万ドルに及んでいると言われているのであります。又、一方これと呼応して占領制度の下請け強化に狂奔している吉田政府は、戦争に反対し、両條約、行政協定、再軍備に反対する労働組合を、事ごとに、政治鬪争、政治ストなりと烙印を押し、反対に、ストはやらず、政府の言いなり放題になつている組合を目して、健全な民主的労組であると賞めちぎつているのであります。だが、元来、売国的政府から営められるどんな組合が労働階級の利益と民族の運命を守るところの真に愛国的な労働組合であるというのか。それこそは売国者の飼犬ではないか。これらの飼犬に対しまして、これを尻目にかけて日本の労働階級は現在前進しようとしているのであります。この事態を恐れればこそ、政府は今度の労働法の改悪を志し、組合が冷却期間中、或いは緊急調整期間中にストライキを行えば、三万円、五万円の罰金を科して、これを弾圧をしようとしているのであります。併し国家公務員法や公企労法で労働者の手足をもぎりとり、口をふさいでも、積りに積つた労働者の怒りは遂に爆発せざるを得ないのであります。現にメーデー事件や、五三〇事件に結集されたこれらの力は、国内の売国者や日和見王義者の敢ない中傷やデマにかかわらず、日本労働階級の、否、全国民の民族独立、反戦平和への力強い立ち上りとして、世界的に評価されている事実があるのではありませんか。これこそは、まさに公共の福祉、民族の平和と独立を守り抜く鬪いであるのであります。又侵略戦争の兵器製造工場労働者、軍需輸送の交通機関の労働者、その他、鉄鋼、石油、石炭、電力等々一切の産業労働者は、「食えるだけの賃金をよこせ」「戦争反対、平和を守れ」「祖国と民族の独立をかちとれ」等のスローガンの下に目下闘いを繰り拡げているのであります。  次に、私の触れたいのは、労働基準注の改悪の問題であります。この改悪によつて少年の坑内労働と婦人労働者の深夜業や居残り、休日返上が更に拡大し、今では基準法違反は日常茶飯事となつているのであります。而も最近は操業短縮で数万の婦人労働者を帰休の名目で一文も與えずこれを首にし、辛うじて生き残つた労働者に対しては、殆んどただ同様、職制の鞭の下で十数時間も働かされているのであります。このために、労働力の過剰に悩む東北、北陸等のいわゆる單作地帯の人身売買は目に余るものがあるのであります。石川県で、一村で、一つの村で六十人の娘が特飲街へ売られ、又婦人少年局の調査によれば、九州でも農村の娘たちが海外にまで身売りに出されている。こういうことが報告されているほどであります。炭鉱においては、坑内設備の不備のため、長野県の米子鉱山の生埋め事件や、岩手県の松尾鉱山の地下百メートルの濁水に呑まれた惨事等は、全国に毎日のように起つているのであります。このような坑内に、少年労働者を技術養成という名目で、低賃金、労働強化で酷使しようとする、この労働時間を延ばそうとする、そういうことは、誠に鬼畜でなければ考えられないことであります。更にアメリカ式カツペ採炭は、毎日の労働強化と、これに伴う怪我人の続出で、募り募つた全国の炭鉱労働者の不満が、炭労をして今次ゼネストの中心をなさしめた大きな原因を形成しておるのであります。児童憲章で何をきめようと、基準法で婦人の生理休暇をきめようと、アメリカと吉田政府は、戦時中の動員作業より一層むごい労働を、低賃金のため、金を取るためには仕方がないと、泣く泣く夫や息子を坑内に送り出しておる有様であります。併し、吉田政府のこのような労働政策も、これに反対して闘う労働階級の威力の前には力がないのである。日本の労働階級は、今次ゼネストの経験からも学び、又職場、地域からの実力行使の巨大な波となつて、このような政策は葬り去られる日が近いであろうことを我々は思うのである。三菱重工は米国のピストルと銃劍の中ですでに五回もストライキをやつて来たし、横浜の三菱造船ではアストリア号の進水をぶつ止める等、実力行使は職場に燎原の火のごとく拡大していることをはつきりと知るべきであろう。  なお、政府は、このように破防法を初めあまたの弾圧立法を制定しておきながら、一方では白々しくも国際労働條約批准促進を決議したことは、誠に日本労働者のみでなく、全世界の労働者をして侵略戦争へかり立てていることをごまかそうとしておるものであります。国際労働機構に加盟し、国際労働條約を批准したところで、国内におけるこのようなフアツシヨ弾圧立法を制定しようとする吉田政府のこまかしを、今や日本の労働者は憤激のうちに葬り去ろうとして、いるのであります。即ち、国際労働機構の大部分を占めている国際自由労連への加盟に対して、総評、電産、日通、日教組、全逓、国鉄の下部大衆は、国際自由労連こそアメリカ帝国主義の戦争政策を支持する反動組合であるという理由によつてこれを攻撃しておるのであります。又、朝鮮戦争二周年を経た今日、    〔議長退席、副議長着席〕  ソ同盟を初め人民民主主義諸国並びに世界の平和千愛する労働者人民の勢カが強まつており、曾つて朝鮮向け特需インフレで巨利を積み上げた日本の独占資本も、今やアメリカの冷血なるコンマーシャル・ベースとは、日本の生産業を破滅に導くところの出血受注であることを今更思い知らされたのではないでしようか。だからこそ、自由党の内部にさえ公然として岡崎外相に対して腰抜け外交だと罵倒する者が現われており、吉田首相の無能と相待つて、中日貿易即時締結の声は、目下資本家ばかりでなく、全労働者階級の要望となつて高まつて来つつあるのであります。ここにこそ労働者が、平和と独立との闘いを、アメリカ帝国主義の奴隷賃金と奴隷労働の鉄鎖から解放する途を見出しておるのであります。  日本共産党は、国家公務員法、労働関係調整法、公共企業体労働関係法を撤廃し、罷業権、団交権、団結権の労働三権の完全に保障された労働組合の制定を鬪い取るためにも、売国吉田内閣の打倒のために鬪い抜くことを誓いまして本法案に対する反対討論といたすものでございます。(拍手)    〔相馬助治君発言の許可を求む〕
  48. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 相馬君。
  49. 相馬助治

    ○相馬助治君 只今の共産党の岩間君の討論中に、具体的に星加君の名前を挙げられて、愛労運動云々というようなことに関して、甚だ我々としては容認しがたい発言があるようであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)議長において速記録を調査の上に然るべく処置をされることを、この際、希望しておきます。
  50. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 速記録を調べました上、適当な処置を講じたいと思います。(「何を言つてるのだ」「こつちに金が出たの何だのというのは事実か」と呼ぶ者あり)一松政二君。    〔一松政二君登壇、拍手〕
  51. 一松政二

    ○一松政二君 只今議題となつておりまする労働三法の政府原案並びに修正案に賛成の意を表しまして、極く簡単に討論をいたします。只今共産党の岩間君が、お聞きの通りの観念論に終始して、そうして型のごとき演説をされております。(「その通り」と呼ぶ者あり)これが私は、参議院の労働委員会が如何に常識的に、如何に苦心をして、日本の労働運動のあわ方、労働問題の解決或いはこの法律に向つて真摯な態度でこれに鞅掌したかということが、岩間君の不満となつて現われておるのであります。私どもは曾つての破壊活動防止法案が国民の信頼を裏切るような参議院の空転を誠に遺憾といたしまして、この労働委員会においては政党政派を超越してそうして日本の労働問題及び労働法規と真劍に取組もうじやないかという考え方で、小異を捨てて大同に就いたわけであります。問題は、緊急調整の問題が、これが全国津々浦々から労働法規を改正すれば必ずこれは改悪である、或いは吉田政府は反動だと、私どもの家庭にも、或いは国会にも、何か法案の内容を検討されておるであろうかということは非常な疑いがあるけれども、各地から改悪反対、改悪反対という葉書や手紙が参つております。でありますが、吉田内閣は反動であるか、或いは労働法規に対して我々が常に労働組合を弾圧するかということに対しては、私はさつきの岩間君の討論のごときは荒唐無稽も甚だしいと思う。(「そつちのほうが荒唐無稽だ」と呼ぶ者あり)諸君に、私はここで共産党とあえて論争しようとは存じませんが、労働組合を共産党が余り強調し得る権利は私はないと言うことを断言します。共産党の中に自由があれば、私は今日世界各国がそれほど共産党を問題にしないと思う。でありまするから、共産党になるまで自由を強調して、なつてしまつたらすぐ弾圧してしまうのが落ちであろうと思う。(「その通り」「そんなことを言うと笑われますよ」と呼ぶ者あり)緊急調整の問題について、我々はいわゆる公益委員案をとつて、そうして、これは委員会の中でも現在の公労法の十八條の中で整理ができるじやないかという議論もかなりあつたわけであります。でありますけれども、十八條は現在でもある。緊急調整ということは、国民の利害関係、或いは社会不安の問題、或いは国民生活に現実の危険の迫つたような緊急止むを得ざる場合においてのみこれを発動したいのだ、めつたに抜くべき宝刀ではない。従つて我々は中央労働委員会の同意を求めて、そしてその上で内閣総理大臣がこれを発動するというふうに私どもは政府原案をそこまで修正するごとに同意したわけであります。中央労働委員会は、政府の要請があれば、この緊急事態に処して五十日間の間にこれを調整する義務が課せられるわけであります。従つてそれほどの重大な問題が起つた場合に、これに処する中央労働委員からできます調整委員はこれと真劍に取組まなければならん。およそ労働問題を処理する最も厳正なる批判は輿論であることは皆様御承知の通りであります。輿論の湧かないところに、内閣総理大臣も、或いは労働大臣も、労働問題を簡單に自分勝手な考えで処理しようと思つてもできないし、そういうことを今総理大臣も労働大臣もしておるはずはありません。従つて私は内閣総理大臣が現実に迫れる危険ありと認定して、そして中央労働委員会にこれが決定を求めた場合に、中央労働委員会は必ずや総理大臣の認定を遅滞なく私は答えを出して、そして緊急調整の期間に入るだろうと私は確信しておるわけであります。およそ世の中の事態が先に進んで、法律はあとからできるめが常識であります。今日政府は一般に言われておりますところのゼネスト禁止法というものをどうするかということに対しては、いつも情勢次第によるということを吉武労働大臣も言われております。我々は今日はその必要を認めておりません。従つて今後に、今回のいわゆる緊急調整によつて私は全部が片付くであろうことを期待してやまないのであります。それによつて問題が処理されれば、ゼネスト禁止法というようなものは、いわゆる労働組合或いは労働者階級のそういうものが出るのじやないかという不安は私は意味のないことになつてしまうことを希望するわけであります。若し国民が非常に不安におびえ、現実に危險が迫つた場合に、この問題の処理の仕方を一歩誤まれば、或いは又どういう事態が起きないとも限りませんので、これは良識ある中央労働委員会の委員諸君と労働組合の私はリーダーを以て任ぜられておるかたが、一部の破壊的指導者を以て任ずる人間はこれは論外でありますが、要するに労働運動は常識である。余りむずかしいことではない。直接我々が生活に関し国民生活の向上を図るのがその本来の目的でありますから、結局常識のある取扱い方に終始してそうして参議院の労働委員会が真筆なる態度を以て取組んだこの精神を生かして頂いて、そうしてこれが運用に誤まりなきを期して頂きたい。これだけの私は考えを皆様に披瀝しまして、そうして殊に中央労働委員会の諸君、その発動をするか、しないかという責任も一応は持つ。又発動した場合に、これを緊急に片付けるという中央労働委員会としてはかなりな使命をお願いするわけでありまするから、中央労働委員会の諸君はどうか我々の期待を裏切らないようにこの問題を処理することを、若しそういう事態が起つたならば処理して頂くことを期待いたしまして私の討論を終る次第であります。(拍手)
  52. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 重盛壽治君。    〔重盛壽治君登壇、拍手〕
  53. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 私は社会党の第四控室を代表いたしまして、只今議題となりましたところの労働関係調整法一部修正に関する法律案、その他二法案に対しまして、労働委員会におきますところの修正案並びに修正以外の原案に対しまして賛成するものであります。  併しながら、我が党はこの法律に無批判的に賛成するものではなく、むしろ原則的には、労調法であるとか、労働組合法であるかとか、或いは労働基準法というようなものが、我が国の現在の段階においては改正する必要がない。このことを主張するものでありますが、ただ今回の改正に当つては、先ほど来よりの御説明の通り、相当程度二院制としての参議院の意義を法律の改正と共に活かして来たという重要なる問題等も含まれますので、我が党としては押して賛成を申上げるのであります。條文の賛成に入ります前に一言申上げておきたいことがあるのでございますから、一応申上げてみたいと存じます。  私が言うまでもなく、独立国となつた日本が名実共に兼ね備えまじたところの独立国家たらしめることのためには、何と申しましても経済の自立が先決問題であることは言うまでもございません。併しこの経済自立の方法はいろいろあろうと存じまするが、何がその根幹となつておるかと言いますならば、申上げるまでもなく国内のあらゆる産業の振興でありましてこの産業の振興を図る基本條件ば、労働行政を如何に円滑にせしむるかということにかかつておるのでございます。政府が今度の労働法規の改正に当つては、全労働者が反対をしており、そうして場合によつては実力行使によつてもこれを阻止しようとしておるのであります。どうしてこういうときに、この国会においてこの法律を改正しなければならんということになさつたことに、強硬に改正しなければならなかつたということに対して、実は私は了解に苦しむものであります。今までの審議中の経過に、関係大臣の答弁の中には、従来の法律では、講和が発効した現段階においては、事務的にも或いは又産業推進のためにも、発展のためにも支障を来たすから、改正をするのだということを言われておつたように記憶いたしております。勿論若干の事務的な弊害はあつたでありましよう。又起るでありましよう。併しながら政令二百一号が出まする以前は、申すまでもなく日本は民主化の一つの方法として、戦争放棄をした憲法を作ると同時に、労働三法を制定いたしまして、この労働組合の運動を日本の民主化の基盤たらしめようとしたことも事実でございます。従つて講和が発効せられました先ず第一段階の仕事といたしましては、政令二百一号が出まする以前の状態に返す、即ち全労働者に対して一応労働三法を適用し、講和後の産業のあり方とか、労働運動の進展、日本の再建のためにこの労働運動の進展等が障害を来たす、支障を来たすというような状態が生れたならば、先ほど一松さんが実態に即応して法律をあとから作れということを申上げましたが、まさにその通りでありますので、そういう姿が生れたときに初めて現実に即応したところの労働組合法を改正いたしましても、決して遅くないのであります。占領中の我が国の労働政策は、私が申上げるまでもなく司令部の政策が履行せられておつたのでありまして、言い換えますならば、フーバー政策というようなものが講ぜられておる。勿論これに対しても政府は全部が私は満足であつたとは考えませんけれども、この満足でなかつたということは、何もフーバー政策に反対するというようなことではなくて、日本の現状を常に把握してもらうことができ得なかつたということが一点、更に米国の一貫した一つの政策があつたというように考えるのであります。かような経過を経て今日講和が発効せられたといたしますならば、いわゆるフーバー政策からは完全に抜け出して行くのでございますので、憲法二十八條に規定するところの労働者に與えられた一切の権利は、この際すべて労働者に與えて行くという高度の方を政府がとるべきではなかつたでしようか。労働組合法は、この法律で常に労働者を拘束して仕事をやらせるというがごときことであつては断じてならない。労働法規は、労使間の紛争がたまたま起きたときに、いわゆる不測の事態が生じたときに、この法律によつて処理をして行く。飽くまで民主化の基盤となる労働組合を育成助長せしめるという保護的規定でなければならんのでありまして、今度の労働法改正に当つては、電通、郵政を初めとして、現業に団体交渉が與えられましたことは、これは何と言つても一歩前進でございます。当然の権利ということも言い得るでありましようけれども、現段階においての一歩の前進である。併しまだまだこのような方法を講じなければならんところの現業官庁が非常に多く一貫性を欠いておるように考えられますので、この点を十分考慮をしてもらわなければならんと考えます。例えば建設事業でありますとか、港湾関係であるとか、国立病院に働いてるところの医者であるとか看護婦であるとか、このような現業に従事している者に対しましては、当然労働法を改正しまして、国家公務員から除外して行かなければならんというように考えるのであります。  次に、先ほど来、多くの方々が触れられたようでありますけれども、衆議院の今の運用を見ますれば、與党のかたには相済まんのでありまするが、多数を擁する政府與党の提出せる議案が常に余り理論的に論議されずに、多数なるが故に相当非民主的な形態において原案が通過しておるのであります。かようなごときことは、憲法が無視され、国会の審議権が蹂躪せられておるということであろうと私は考える。参議院においても勿論政府與党が多数でございますので、最近の現状はややもすれば衆議院の審議状態と余り変ることなく、一歩々々と衆議院の審議状態に類似して参つておるのであります。そういう結果は、二院制度のあり方にさえ非難の声が出るごとき段階に至つておることは、これは皆さん御承知の通りでございます。その点、私どもは甚だ遺憾に堪えざるところでありまするが、憲法を擁護し、そして民主主義を守り抜くことのためには、参議院をして本来の使命に復帰せしめる、このことが参議院議員の重大使命であり、私ども一人々々が政党政派を問わずに責任を持つてこのことに当らなければならんのではないかというように考えるものであります。  今回の労働法規の改正が、内容に関しましては相当不満足な点がありましても、労働委員会の全委員一致の修正案になりましたことは、いささかながら二院制の意義を裏付けしたものといたしまして、私はかかる意味からも、単なる法案の内容修正よりも、この面の意義こそ極めて重大なものと信じておるのでありまして、我々は決して妥協でも譲歩でもなく、労働委員の責任において本修正案に賛成をいたしておるのであります。  條文の内容は委員長の説明その他の諸君の申上げたことによつて明らかにされておりまするから、くどくは申上げませんけれども、労働関係調整法等の一部改正の中の緊急調整の問題は、岩間君の説によりますると、現在の労働委員会のごときものを信頼して、これの発動権を與えるがごときことでは安心がならんというようなことを言われておりますけれども、私は労働大臣が勝手に見極めを付けて緊急調整を発動をするというようなことでは、いささか行き過ぎがありはしないかと考える。勿論、現在民主的な労働組合が労働運動を展開しておる将内においては、かような必要はないと考えるものではありますけれども、併し政府並びに政府與党の諸君が御心配なさるならば、労働委員会を通じて成規の手続によつて緊念調整をしようということに対して、私は原案よりも少くとも数歩進んだ改正になつたという観点からこの案に対して賛成をする次第であります。細かな点に対しましては、申請却下の問題でありますとか、或いは個人罰を団体罰にいたしたような問題でありますとか、或いは特別調整委員の任意制にしたというような條文の整理をし、当然改正すべきものを改正されたということに盡きるでありましようけれども、その当然過ぎるほどの條文の修正も原案より遙かに優れたる修正がなされたというところで私は賛意を表して参りたいと存じておるのであります。  公企労法に関しましては、十六條のいわゆる裁定に対する政府の責任が極めて不明確であつたものが、でき得るならば私どもはこの点は明確なる政府の責任にすべきであるということの主張をいたしたのでございますけれども、いろいろな話合いの結果、理論闘争の結果、政府が相当程度責任を持ち得るような字句に改正せられたことは、原案よりも少くとも一歩前進であることだけは間違いございません。又その他公企労法が新たに制定せられて、今度この公企労法を当てはめられるのであろうところの郵政の諸君、或いは全電通、農業の諸君等が団体交渉の問題で非常に杞憂せられておられたようでありますが、それに相当の幅を持たせたというような点もやはり原案よりは一歩前進しておるというような点から私どもは賛意を表するものであります。基準法に関しましては、炭坑の少年場労働者に技術養成という名前で随時炭坑に入り得るようなのが原案であつたのでありますけれども、これは飽くまで技術養成の認可をする、認可によつて入つて行くということに改められたことは、これは当然のことではありますけれども、やはり原案よりは数歩進んだものであるということ、もう一つ、この問題は労働基準審議委員会の労使双方の意見の一致したものが並べられたという点から、相当不満の面はありましたけれども、私はこの一点と、そして休業補償の金額をスライド制にして行くことの二点を修正することによつて賛意を表しておるものでございます。  地方公営企業労働関係法案に対する問題といたしましては、一條、二條は條文整理として当然修正されなければならん問題であり、又十條の問題に関しましては、公企労法の面で申上げました十六條の予算の裏付けの点で政府が積極的にやろうというものと全く同じでありまして、地方議会が十條によつて労働者と管理者との協定をできるだけ積極的に実現さすという字句に修正いたしたのであります。これは当然私どもは責任を持つべく修正することが正しいやに考えておつたのでありまするけれども、遺憾ながらこの程度にとどまつたのであります。十一條の末尾の字句を削り取りましたことも、これは当然かくあるべきことでありまして又十二條の「直ちに」というような字句を取除きましたことも、十一條等とも関連いたしまして当然かような修正が適当であると私どもは考えておるものであります。  最後に、いわゆる地方公務員法の附則二十一條で單純労務者が特別扱いになつておつたものが、今日まで法律は定められたけれども、実態は放置せられたという形にありましたものを、今回の地方公企労法修正に当りまして労働條件、身分共にこの地方公企労法に準ずるという制定をいたしましたことは非常に進歩でありまして、かような意味合いから私どもはこの法律三案の修正に当つて賛成をいたして参つたものであります。  以上の立場においてこの三案に賛成するものでありますけれども、最後の地方公営企業労働関係法案は申上げるまでもなく講和発効後初めてできた法律でありまして、もう少し飛躍的なものができなければならなかつたのでありますが、遺憾ながら占領中にできました公務員法の焼き直しとでも言いましようか、そういうものが中心になつたことのために、全く各條文の中で矛盾したものがあつたのでありまして、この際、時間がありませんから、條文だけを申上げますけれども、一部修正を将来極めて近いうちにしなければならん点だけを申上げておいてみたいと存じます。第五條の規定でありまするが、これは団結権の規定でありますが、これは政令二百一号があつたときでさえ団結権は無條件で認められておつたのでございまして、この條文の細部に入ることは省略いたしまするが、この條文は本来この法律からは削除しても差支えないような條文となつておるのであります。それから六條は、組合専従者を資本家が、いわゆる経営者が設定を認めることができるというようなことになつておりますが、こういう認めることができるということは、認めないこともできるというような意味合いにもなりますので、こういう点の修正はやはり極めて近いうちにやつて行かなければならん点ではなかろうか。第七條ばいわゆる団体交渉の條文の問題でございますけれども、これらも逐條的にもう少し多くの條文が挿入せられねばならんことは当然でありまして而も職員の任意採用の問題でありますとか、或いは福利厚生の問題でありますとか、就業規則の問題とか、いろいろの問題を挿入して行かなければならんように考える次第であります。十條は先ほど申上げました権利義務の問題でございまするので、この権利義務はもう少し地方公共団体の実態に即して作り上げても差支えないと考えておるのであります。十一條は申上げるまでもなく争議権の問題であります。これはくどくどしいことは申上げませんけれども、六大都市の交通と、或いは六大都市と申しましても、東京の中に入つて来る都が経営しておるバスはスト権がない、併し私鉄が関係しておるところのバスはスト権がある。或いは地下鉄はスト権があるけれども、上を通つておる電車はスト権がない。これは例を申上げますと多数ございますけれども、そうした矛盾がございますので、交通事業の全般の公益性ということを考えますならば、この争議権を與えるか、乃至は與えんといたしましても、もう少し幅のある法律の改正をすべきではなかろうかというように考えるものであります。これが考えられますならば、十二條も当然それに関連して考えなければならん問題であろうと存じます。大体以上申上げましたような点が新らしく制定せられますところの地方公企労法の修正を急速にやつて頂かなければならん問題ではないかと考えておるのであります。  以上申上げました点に対しまして、基本的に内容全部を快く承認し、賛成するというわけには参らないのでありますけれども、現在の参議院の労働委員会の同志の熱烈なる審議の意気と、そうしてこの中から生れて参りまするであろうところの参議院の将来の運営の面に何分でも役立つならば仕合せだということ等を考え合せまして、私はこの法律の修正並びに原案に賛成の意を表するものであります。(拍手)
  54. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 村尾重雄君。    〔村尾重雄君登壇、拍手〕
  55. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 日本社会党第二控室は、只今議題になつております労働関係法一部改正法律案並びに地方公営企業労働関係法に対し、労働委員会全会一致共同修正になる修正案に賛成し、従つて修正点を除く残余の原案に対して賛成いたすものであります。  このたびの政府改正案の本旨は大体次の三つの点に要約されると思います。一、公務員については、現業公務員、いわゆる縱割現業に団体交渉権を回復して、公共企業体職員に関する公労法の規定をこれにも適用するということ、二、公益事業については冷却期間を十五日に短縮すると共に、調停を申請した側に交渉努力が著しく不十分な場合には申請を却下し、申請がなかつたものとして、冷却期間を進行させないことと、現行法の団体罰を個人罰にしたこと、三、非常事態の下における緊急措置については、ほぼ現行労調法十八條五号の請求調停の要件に、国民生活に損害を與えるという條件を加えて、労働大臣の決定によつて緊急調整を発動し、決定以後五十日に亘つて争議権を停止すると共に、その間、中労委が斡旋、調停、任意仲裁並びに実情調査その他必要な勧告等、あらゆる手を打つて争議の解決を図る、以上この三つが要点であります。そこで、先ず第一の現業公務員に団交権を回復して、公企体職員に関する公労法の規定をこれにも適用するという点についてでありますが、政府はこの改正点を以てあたかも非常なる恩恵であるかのごとく言明し、更にこれを強調して、今回の政府改正案全体に対する悪評を避けようとしておるのであります。併しこういう考え方は根本的に誤まつております。生きるために労働力を売るよりほかに持合せもない近代労働者にとつて、資本主義経済の今日の下において、生活手段として争議権は絶対不可欠なものなのであります。故に憲法によつて財産権の保障と共に争議権を保障されておるのであります。本来なら争議権は憲法二十八條に基いて当然認められるべきものでありますが、それが制限されたのは、終戦後の混乱せる社会に対応しての一時的な措置であつたに過ぎず、且つ又占領下の特殊事情の要求に基いたものであつて、講和発効によつて独立国となつた現在、かかる制限は当然解除さるべきであると思うのであります。更に実際的な面から考えて見まするに、争議権の剥奪に代る制度として、公務員法における人事院勧告、公労法における仲裁制度が設けられたのでありますが、これを過去の実績に徴して考えますならば、政府はこれらの制度を全然尊重せず、常にこれを無視して来ているのであります。それ故に、これらの制度を以て争議権の代償と認めることは到底できないのであります。過去において政府が單に予算がないの一点張りで幾度となく人事院勧告を無視し、又仲裁裁定を一蹴し、公務員並びに公共企業体職員に煮湯を呑ませたことは、諸君周知の事実であります以上のごとく、公務員にも完全な争議権を回復すべきであることは、理論的にも実際的にも至極当然の理でありまして、この当然の限度にも至らぬ改正を以て恩恵だと考えるのは、誤まりも甚だしいと言わねばなりますまい。  更に附言しますならば、当然認められるべきはずの罷業権を認めず、仲裁制度をとる以上は、その裁定が政府や地方自治体の理事者を拘束し、予算化すべきものはこれを予算化して議会に付議させる義務を明文化すべきであります。然るに今回の政府原案はこの点については何ら触れておりません。即ち団交権を與える範囲を一応拡張して改良であるかのごとく見せかけつつ、その実質的保障となるべき面においては何ら措置を講じておらないのでありまして、羊頭を掲げて狗肉を売るというのは、まさにこのことを言うのでありましよう。政府の誠意を疑わざるを得ません。  次に、第二の公益事業についての冷却期間並びに従前の団体罰を個人罰とした点でありますが、冷却期間を十五日に制限したことは肯けますが、併し同時に、他方、当事者の自主的な交渉が不十分なときは、労働委員会が調停申請を却下できるとしたことについては大いに異論を抱くものであります。なぜならば、自主的交渉が十分に行われたかどうかの判断は、事実上非常に困難でありますし、又使用家側の態度如何によつては悪用される危険も大きく、問題の解決に利するところが殆んどないと思われるのであります。過去の実例から見ましても、冷却期間中は使用者側は団体交渉に本腰を入れず、組合側が罷業権を獲得して初めて本格的に交渉に入る状態でありまして、何らその所期の目的を達していないのであります。このような実情からして、使用者側がこの制度を悪用するならば、調停の申請は常に却下され、罷業権の剥奪と等しき状態の出現の慮れなきにしもあらずであります。いわば、このような規定は労使間の自主的な交渉を労働者側の一方的な不利において理延することにとどまるものでありますから、これを全廃し、必要とあらば争議行為について一定の予告期間を設けるにとどむべきことをば強く主張して来たのであります。  又従前の団体罰を個人罰に改めたことは労組に対する内部干渉であり、労働法の刑法化とも言うべく、時代に逆行ずるものでありまして、当然削除さるべきものであると我々は主張したのであります。以上の諸点を我々は強く修正の成立を望むゆえんのものであります。  第三に、最も問題の多い緊急調整でありまするが、先ず労働大臣は、この制度は公益委員案を採用したものであると称しておられるのであるが、これは全く欺瞞以外の何ものでもないのであります。即ち緊急調整発動の実質的要件について言えば、公益案では総理大臣の請求によつて公益委員が三分の二以上の賛成を含む労働委員会の決定によることになつているのに対しまして、今回の政府原案では、労働大臣の判断によつて簡単にこの手続が開始されることになつており、この要件が極めてルーズになつておるのであります。更にもう一つ注意すべきことは、公益委が緊急調整の制度を取上げたのは、この制度自体を現在の社会において必要不可欠なものだと考えたからではないということであります。    〔副議長退席、議長着席〕  公益委員がこの制度を採用いたしたのは、專ら政治的考慮に基くものでありまして、ゼネスト禁止法のような争議制限が治安立法の形で制定されるかも知れないという当時の政治情勢を考慮し、そういうものを極力避けたい。そういうものが出るくらいなら緊急調整というものをば労働法の枠の中で採用してみようというに過ぎないのでありまして、決して緊急調整自体を独立に必要と認めておるわけではなかつたのであります。そこで、当面の社会情勢の下において、果してかかるゼネスト禁止法的な緊急調整の措置が必要か否かの検討を必要とするのでありますが、我々はかかる必要は全くないと考えます。現在の労働情勢を考えてみますに、労働組合運動が一部特定の政治団体の指導下にあつた終戦直後の事態と異なりまして、今日においてはかかる非常事態が惹起されると考えることは杞憂に過ぎないのであります。むしろ今日の社会情勢の下においては、争議権の濫用ではなく、逆に争議禁止の権利の濫用を深く恐れねばならん情勢にあると思うのであります。又従来の経験からいたしましても、緊急調整より邊かに簡単に発動できる労働大臣の調停請求が、実際に行われたのは僅かに三度に過ぎないのであります。この調停請求には争議の中止措置はないのでありますが、労使共に世論の反響や社会に対する責任と道義心から、争議を中止して調停に応じているのであります。この従前の良識と経験に照らしても、緊急調整の不必要なること又明らかであります。  更に調停機構の面から考えましても、現在の調停機構は、労使の自主的な交渉によつて争議を解決するという目的のために、労働委員会の責任を認めているのであり、この争議調整の慣行は、戦後六年間の労使並びに労働委員会の努力によつて築き上げられ、軌道に乗りつつあり、これを完成せしめるのが最善の途でありまして、この意味から、政府は第三者の立場にとどまるのが至当であると考えるのであります。然るにこの緊急調整は、極端に言えば、労働大臣に争議停止権を與えたことにもなるのであり、自主的な交渉を中心として築き上げられて来た調停機構の成果を全く無視した不当なる干渉と言わなければなりません。  以上述べましたように、現下の社会情勢から見ましても、又従来の経験から見ましても、更に現在の調整機構の立場から考えましても、如何なる意味においても緊急調整を必要とする理由は全然見当らないのであります。  以上が大体今回の原案の要点に対するところの我々の反対意見であるのであり、又修正意見でもあるのであります。我々の修正意見が労働委員会のこれ又全会一致の共同修正となつて今日現われて参つておるのでありまするが、我々はこれらの修正のうちに、まだまだ我々として非常に足らない点を感じまするが、我々は、そこにおいて我々の意中というものが十分に遂げられたものとして、この労働委員会の全会一致の共同修正案に対して心から賛成をいたすものであります。考えまするのに、占領政策解除後、労働関係諸法令はそのままでよいかどうかということ、又過去五年間の経験と運用に徴しまして、労働法規の改正を要するかどうかということ、これらは一考再考を要すべき重大な問題であります。労働委員制度、不当労働行為、争議の斡旋、調停及び仲裁、団体交渉、労働協約という五つの問題、又、国家並びに地方公務員及び公共企業体職員の労働関係の問題、特にこの問題は、今回の改正案と深い関連を持つているものであります。こういう観点から政府案を検討いたしますと、單に反対しきるのにはどうかと思われる。即ち我々が全会一致共同修正になる修正案に対して、我々が心から賛意を表するゆえんがここにあるのであります。  私は、次にこのたびの修正案の内容について述べたいのでありまするが、すでに委員長報告において詳しく述べられております。又重盛委員からもこれまで論じられましたので、私は省きたいと思います。ただ、この際、我が党の立場から明白に修正案に対しての意見を申述べておきたいと思いますことは、いわゆるこの修正案の本旨は、やはり緊急調整にありまして、その緊急調整は、この法案全体を通じて最も重要な問題であつたのでありますが、その緊急調整の我々が必要のないということは、前段で述べました通りであります。従つてこの必要を認めないのでありまするが、委員会で多数の、特に先輩の意見において、公益委員の案を採用するという御意見に対して、我々は公益委員の案だということただ一言において、我が党はこれに賛意を表したのであります。  次に、公労法のいわゆる十六條の資金上、予算上の問題の項でありまするが、この項とて完全な解決をこの際要望いたしたのでありまするが、これは御承知のように、新たに第三項を設けて、ルーズな即ち訓示規定において漸くこれが修正を見るに至つたのでありまするが、我々、従来仲裁裁定において最後の協定が出た場合に、そこで当然公社と当事者である労組の間において問題が解決すべきであると思つているにかかわらず、仲裁裁定が出た場合に、いよいよこれから裁定を呑ますために、対政府と対国会との鬪争だというので、そこには坐り込みが行われ、そこにはハンストをば敢行せられて来た例は、今日までたびたび見るのであります。こういうような不純なことのないように、この際この仲裁裁定に対しての完全な解決を望んだのでありまするが、これ又多数の御意見によつて、我々はこの際、今日の事態において、この修正がこれよりほかに途のないという点におきまして、これに対して賛意を表したのであります。  以上二点において、何らか我々は割り切れない、咽喉に骨の詰つたような感じをいたすのでありまするが、残余の修正そのものは、我々は単にいやいやこれに賛成するのでなくして、残余の修正十数件というものは、今日の組織労働者の利益のために、今日の労働階級の真の利益を守るものであるという立場から、わが党は欣然としてこの修正案に賛成の意思を表するのであります。  以上の意味におきまして労働委員会全会派一致になる共同修正に対して心から賛成の意思を表示いたしますと共に、修正案を除く政府原案に対して、これ又心から賛成の意思を表示いたすものであります。(拍手)
  56. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 堀木鎌三君。    〔堀木鎌三君登壇、拍手〕
  57. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 私は改進党を代表いたしまして、委員長報告の修正案、その修正案を除く政府の原案に対して賛成をいたすものであります。  以下極く簡單にその理由を申述べたいと思います。  今度の労働関係諸法令の改正案が議会に提出されますや、各方面では、これが一つの反動的な現われであるということの世論が多かつたと思うのであります。併し、実際におきましては、單純な反動的な分だけではない、実は他の諸法令におきまして、現内閣が独立後、従来進駐軍の権威の下において政治をとつて参りまして、この権威が失われた以後、とかくただ権力によつてのみ国民に対しようという傾向が強かつた。そういう点が破防法その他に見られたわけでありますが、併し今度の労働法改正につきましては、労働大臣としては、確かに一つの懸案になつておりました国家公務員及び地方公務員に対する団体交渉権を與えようとした努力は、これは何党といえども認めざるを得ないと思うのであります。尤も国家公務員及び地方公務員につきましては、従来、争議権を奪う代りに、人事院、人事委員会等においてその生活権を保障する規定があつたわけでありますが、必ずしもその運用は所期の目的を達していないということは明らかでありますし、又国家公務員、地方公務員といえども、憲法二十八條の保障する労働権は、本質的にはこれを持つておるわけでありますので、これらの点に関しまして、まだ多くの問題点を残しておるわけであります。併しながら、今回、国の経営いたします企業に従事いたしますところの国家公務員、及び地方公共団体が経営いたしますところの公営事業及びこれと同種の他の事業等に従事する者に、ともかくも団体交渉権を認めんとするのであります。この団体交渉権があるかないかということが、労働問題としては先ず第一の基本的なものである。これなくして労働者の権利は守れないということが考えられますときに、私は必ずしも政府の努力を低く評価する必要はないと思うのであります。併しながら、他の労働関係調整法その他におきまして現われました政府の努力は、必ずしもこれと同方向をとつておらない。否、場合によれば、やはり政府の権力によつて労働関係に介入せんとする意図を窺うに足るような法文すら出て参つたわけであります。それがいわゆる緊急調整となつて世評を浴びたところであります。私は、今度労働委員会におきまして、各党各派が共同して修正いたしました諸点につきまして、ここで委員長報告及び各党の委員の方々が述べられました点を再びここで繰返して申上げる煩を避けたいと思います。ただ、今申上げました点から、一点緊急調整について触れてみますると、緊急調整の政府案につきましては、労働大臣が自己の判断で緊急調整を決定することができることになつておるのであります。労働問題というものは、私は権力官庁が直接に介入することは成るべく避けたほうがいい。否、できるだけこれをやめることが労働問題の本旨である。労使双方の自主的な解決、更に労働委員会の枠内におけるところのお互いの解決方法というものによつてなすべきであつて、その発動の原因を権力官庁が握るということは、政府みずからが労働組合に対しまして政治ストは避けるべきだ、労働組合の政治に対する権力鬪争というものはやるべきでないというやり方から見ましても、政府としては最も極端にこれを避くべきであるというふうに考えるのであります。従いまして、政府原案によりまするよりは、今回のごとく、中央労働委員会の同意を得て総理大臣が発動し得るということが、従来の労働法の枠内におけるところの基本的原則を守つたものである。こういうふうに考えるのであります。従いましてこの問題は、私は単純に、世評で言われておりますように、ただストライキの上の戰術的な問題としてこの問題を取上げるよりも、労働法の基本的な原則というものを貫く、こういう意味において尊重さるべきであり、又戦術的な意味において、世評言われるようなことはただ空理空論に過ぎなくて、実際上から言いますれば、ああいう緊急調整の発動をする社会的背景におきまして、そして総理大臣がこれを請求せんとする場合に、労働委員会の組織上において、この同意が得られるか得られないかということ自体が私はむしろ滑稽な感じがいたすのであります。今申上げましたような点から、私は修正案に対して賛成する方向、つまり幾多の諸点、各党各派委員がここから言われました幾多の諸点が修正され、今申上げましたような基本的方向、民主的な基本的方向が或る程度原案より遥かに優つて修正されたという点から、この修正案に賛成するゆえんであります。  修正案に対しまして賛成いたします第三点は、労働法は実は特殊な法律であります。他の法律でありますると、一つつの法律ができまして、これを権力官庁がすぐ実施をいたします。併し労働法規は、これを実際に運用するものは何であるかというと、労使双方であるのであります。そして又労働委員会であるのであります。政府が関與せずして、他の中立の機関及び自主的に当事者間の解決に委す。そしてそのルールをきめるのがこの労働関係法規であります。つまり、このルールは、政府みずからが強権を以てタッチすることができない。お互いの約束の上に立つて、この労働法規のルールを守りつつ、お互いの争議を解決する。これが労働法規の基本的な原則であります。従いまして、実際は法律よりも、法律ができたときにうまく運用されるかどうか、運用されるかどうかということは、労使双方が納得いたしますと同時に、これに協力するかどうかということが基本的な問題なのであります。この点について私は、今回労働委員会が各党各派を超越しまして、この問題につきましては一致した意見によつて修正いたしましたということは、今後のこの法規の運用上に、表面に現われました條文の修正以上に、この全会一致でやられたということが、必ずや今後の労働問題に対していい影響がある。これが数で押切られたり、或いは権力によつて押切られた法律でありましたならば、これを運用するに当つて非常な困難ができ、守られない部分が生ずるだろうということを危惧いたすものでありますが、今回のごとく全会一致で修正案ができましたことは、非常にこの法規の将来運用に当つて明るい約束ができたものである。(拍手)こういう点から私は本案の成立に賛成するものであります。無論、各党各派ともおのおの労働問題について理想は持つております。我が党といたしましても、その基本的な原則につきましては、吉武労働大臣との質疑応答の間に、非常に立場の異なるところを多く発見いたしたのであります。併しながら、私はこの問題についてここで基本的に繰返す、本会議で委員会におきましたものを更に繰返す煩を避けたいと思うのであります。併しながら、民主主義は、お互いの努力が毎日積み重なつて初めて完成して参るのである。アメリカから與えられ、権力者から與えられたものによつて私は民主主義は完成しない。今の日本の段階におきまして経営者側におきましても、又労働組合側におきましても、お互いに、この日本が、新らしい日本が世界に約束いたしました民主主義を完成する責任を負つておるのであります。そうしてこれは決して一日にして私は完成しないものである。従つて私どもも理想は持つておりまするが、現在の段階におきましては、先ず以てこの修正案程度を以て満足すべきものでないかと考えるのであります。これが第四点でございます。  以上数え上げれば限りがないことでございますが、今申上げました四つの主な立場に立ちまして、私は委員会の修正案及びそれを除く政府の原案に対して賛成の理由となすものでございます。これを以て討論を終ります。(拍手)
  58. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより三案の採決をいたします。三案全部を問題に供します。委員長の報告はいずれも修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  59. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて三案は委員会修正通り議決せられました。(拍手)      —————・—————
  60. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 日程第二百四十一より第二百四十二までの請願及び日程第三百の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。経済安定委員長佐々木良作君。    〔佐々木良作君登壇、拍手〕
  62. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 只今議題となりました四件の請願及び一件の陳情につきまして経済安定委員会の審議の経過と結果を簡單に御報告いたします。  請願の第五百四十七号は公共事業推進に関する請願でありまして公共事業推進上隘路となつている諸点について、実態に即した適切なる改善をされたいという意味であります。それから次に請願の第二百十五号、第千四百五十七号、第千五百四号の三件は国土調査事業予算増額等に関する請願でありまして、国土調査事業の重要性に鑑みて、その予算を増額し、標本調査指定市町村に係る経費を全額国庫負担とされたいという意味であります。陳情の六百四十四号は総合開発特定地域調査費国庫補助増額に関する陳情でありまして、同調査費予算が大幅に削減されたことに対しまして、これを復活してくれという意味のものでございます。  各件ともすでに国会におきましてもその必要を認めて再三論議されておりますものであり、委員会といたしましても願意大体妥当なるものと認めて議院の会議に付して政府に送付すべきものと決定した次第でございます。  御報告を終ります。(拍手)
  63. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  64. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      —————・—————
  65. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) この際、お諮りいたします。水産委員長から、水質汚濁と水産資源の確保について実地調査のため、岡山県、広島県及び愛媛県に松浦清一君、秋山俊一郎君を本月十三日より会期中七日間の日程を以て派遣いたしたい旨の要求書が提出されております。委員長要求の通り二名の議員を派遣することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて委員長要求の通り議員を派遣することに決しました。  本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十五分散会      —————・————— ○本日の会議に付した事件  一、議員派遣の件  一、日程第一 戰沒者の遺骨収容並びに送還に関する決議案  一、日程第二 日本電信電話公社法案  一、日程第三 日本電信電話公社法施行法案  一、日程第四 国際電信電話株式会社法案  一、日程第五乃至第二百五の請願  一、日程第二百四十四乃至第二百七十二の陳情  一、日程第三百六乃至第二百二十六の請願  一、日程第二百七十三乃至第二百八十一の陳情  一、日程第二百二十七乃至第二百四十の請願  一、日程第二百八十三乃至第二百九十九の陳情  一、事業者団体法の一部を改正する法律案  一、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案  一、労働関係調整法等の一部を改正する法律案  一、労働基準法の一部を改正する法律案  一、地方公営企業労働関係法案  一、日程第二百四十一乃至第二百四十三の請願  一、日程第三百の陳情  一、議員派遣の件