○佐々木良作君
只今議題となりました
電源開発促進法案につきまして、経済安定
委員会におきます
審議の経過と結果を御
報告いたします。
先ず本
法案の概略を提案
理由によりまして御
説明いたします。自立経済の達成という緊要な課題を達成するためには電力の確保が絶対必要要件である。速かに電源の開発及び送変電
施設の整備を行な
つて電力供給を増加し、産業の振興発達の基礎を築くということが提案の
理由であります。従いまして、このために本
法案は、
昭和三十一年におきまして、鉱工業生産を戰前、つまり
昭和七年から十一年の平均に比しまして約二倍に引上げるということを前提にし、同時に
国民の生活水準を現在より約一〇%、一割向上せしめるということのために、同年度の電力需用を需用端におきまして大体四百八十億KWH程度というふうに想定して、この四百八十億KWH程度を確保するために、先ず既存の民間電力会社を初め自家発電及び公営による電源開発を極力促進することを
原則とし、
政府は、次に述べる電源開発株式会社を含めて、これら四つの開発担当者についてそれぞれ所要
資金の確保に努めることを義務付け、且つ固定資産税などの半額軽減を行うということにしたわけであります。二番目に、既存電力会社などによ
つては著手困難又は適当ならざる大規模な或いは国土の総合的な開発、利用、保全を必要とする特定地点の電源開発については、新たに電源開発株式会社を設けることとして、主として
政府の一般会計からの直接出資及び将来は外資導入によ
つて総合的且つ急速なる電源開発を行わしめて、電力会社、自家発電、公営によ
つてもなお足らざる電源開発に当らせることとした。なお、この特殊会社は
原則として電源開発を目的として、完成した電力設備は逐次電気事業者に対して讓渡、貸付或いは卸売りをするものであるが、
資金及び税金面での特典によ
つて民間電力会社が行うよりは低廉になり得る。そういうふうにして豊富低廉な電力を成るべく速かに増加するものであるということ。三番目に、電源開発の円滑なる実施を図るために、電源開発に関する基本計画を
審議し、
関係行政機関の施策を総合調整するために、電源開発調整
審議会というものを
作つて、水又は土地に関する諸権利などの総合的な調整をも行うこととした。以上簡單に述べましたが、以上が本
法案の
内容の概略であります。
次いで、本
委員会の審査におきましては、本
法案の重要性と関連性とを考慮いたしまして、通商産業
委員会、大蔵
委員会へ建設
委員会等の各
委員会と連合審査を行い、公聽会も行いまして、各界の
意見を聽取し、そののちにおきまして單独の本
委員会に移しまして
審議を行
なつた。通算しますと三十数回に及ぶ愼重な
審議を行な
つて来たのであります。同
委員会におきましても熱心な
質疑を繰返されたのでありますが、その詳細につきましては
速記録に讓ることをお許し願いまして、ここにはその主要な
質疑につきまして要約して御
報告することを御了承願いたいと思います。問題別に整理いたしまして御
報告いたします。
第一に
資金の
関係でありますが、現在民間電力会社の電源開発を阻む一番大きな
原因は、
資金が不足であるということにある。何故に一般会計による財政
資金を直接民間電力会社にやるという方法をとらずに特殊会社を設けてこれに出資するという方法を
とつたか、まあこういう
意味の
質問に対しまして、大体以下のような
答弁があつたと思います。一般会計から、換言いたしますと、
国民の税金からの、而も融資ではなくて財政投資という形をとるのであるから、直接民間電力会社には出しにくいものである。若し出すとするならば、
資金の用途、会社の運営等について
国民的な監視をするということが必要にな
つて来るのであ
つて、そうなれば現在の商法上の電力会社の性格を或る程度変更するということにならざるを得ない。又現在民間電力会社に対しましては、見返
資金、或いは
資金運用部資金、開発銀行
資金から、その開発所要
資金の相当額に当るものを現実に融資しているのでありまして、極力開発
資金の確保には現在実際に努めているのである。現在より以上に
政府による
資金的援助を特定の民間企業に対して行うということは、又別の
意味におきましては他産業との均衡を害するという危險性もあるという点からも困難である。従いまして、民間電力会社などの開発
資金は、大体現在行われているような従来
通りの援助を積極的に行な
つて、これだけでは開発が不足するので、その不足する部分を、
政府の直接投資、財政投資によ
つて、財政投資をやりやすい特殊会社というものを
作つて、その不足する部分だけを直接な投資によ
つて電源開発を多くするのである。こういう
意味の
答弁があつたと思います。
次に外資導入問題でありまして、この外資の導入問題につきましてはいろいろな角度から
質疑が行われ、
答弁も行われたのでありますが、電源開発に当
つて国内資金のほか外資導入を予定しているのであるかどうか。或いはその受入体制としては特殊会社というものが本当に適当と思
つているのか。外貨債務の
政府保証はなぜ特殊会社だけに限定するのか。例えば現在の民間電力会社に対してもそういう外貨債務の
政府保証というものを付けてもいいじやないかというような
意味の、あらゆる角度からの外資問題についての
質問があつたわけでありますが、これに対しまして、外資導入を現実に期待している。そのために
法案中に、例えば
政府保証であるとか、社債の発行限度の
特例だとかいうような規定を設けた。又外資導入はまだ併しながら確定していないのであるが、確定していないということと外資が入
つて来ないということとは全然別問題であ
つて、最近ますますその入
つて来る見込が濃くなりつつあるのであるけれども、特殊会社の暫定的にこしらえられたところのこの
資金計画に、現実にまだ未確定であるところの外資の導入を織り込むということは実際問題として時期尚早であり、不可能であるから、その
資金計画の
内容の中には入れておらない。一応この対質導入を除外して、
国内資金でも電源開発計画を遂行し得るように一応の計画を立てているのだ。外資が入れば当然これによる
資金をもこの会社に織り込むつもりであるというような
答弁があつたと思います。
更に、現在外資の導入に当
つて最も期待を持ち得るのは国際復興開発銀行による導入である。国際銀行による各国への電源開発への投資の実例を見るというと、大体
政府又はこれに類する機関に導入されており、或いはこれに
政府中央銀行又はこれに準ずるものの保証を付することが大体要件とな
つているように見るのである。こういう
理由のために、外資導入の受入体制として、この出した特殊会社というのが一番適当なように思うし、その外貨債務に
政府保証を付けたのもその
理由であるというふうに述べられた。又民間電力会社にも外資が導入されることを我々は期待しているのであるし、望むものである。併しながら法人に対する
政府の財政援助の制限に関する
法律という皆さん御
承知の
法律がありまして、これによ
つて政府が民間事業会社に対して直接債務保証をすることが禁ぜられているのであ
つて、民間電力会社の外貨債務の保証を現在行な
つていないのである。現在
日本開発銀行法の一部を改正して、
政府に代
つて開発銀行が債務保証のできるようにして、かかる方法によ
つて民間電力会社にも外資導入の途が開かれるような
措置を講じつつあるのだ。まあ大体以上の
答弁があつたわけであります。この外資導入をめぐる問題につきましては、
委員会におきまして、若干
意見の
対立とか或いは見方の相違とかいうものがあつたと思います。なお
資金の確保並びに公正な配分の必要につきましては、同様な
意味で多数の
意見は大体一致したように感ぜられたわけであります。
資金と外資導入の問題の次に、今度はこの特殊会社を作るという問題につきましての
質疑応答の
内容であります。どういうわけで特殊会社を設置するか、その
理由、並びに特殊会社設置のため民間の九つの電力会社等による開発を阻止するような結果になりはしないか。又どういう特権を特殊会社に與えているのか。こういうような、まだたくさんあつたと思いますが、大体こういう
意味の特殊会社の設置の
理由をめぐ
つての
質問がなされたわけでありまして、これに対しましては、
昭和三十一年度に、先ほど申上げましたように、大体四百八十億KWH程度の電力を確保するためには、今後五カ年間に約四百万キロワツトの電源開発が必要なのであ
つて、そのためには、民間の九つの電力会社、それから自家発電、公営などによる電源開発に対しては、極力
資金的にも税金面などにおいても
国家的な援助を図るつもりであるし、図ろうとしておるのであるけれども、これだけではなお開発は大体三百二十万KW程度にとどまるのであ
つて、所要量に対して不足を生ずるのであるから、この三開発担当者によ
つてもなお開発不足の電力を補充的に開発をする必要があるので、これがために特殊会社を作るのだ。これが
一つの特殊会社を作る
理由でもあるのだ。それから又、
資金はすでに述べたような事情で、見返
資金、
資金運用部資金、開発銀行
資金などの
資金を電力開発に動員し盡した現在、これよりもよりたくさんの電源開発には、どうしても直接の財政投資を行う必要があるのであ
つて、民間電力会社に一般会計からの財政投資は実際上先ほど言つたような
理由で困難である。
従つて財政援助によるために別個の特殊会社を設立するということが必要であるし、又外資導入についての上述のような
理由も考慮して、特殊会社が一応一番正しいのじやないかということでこれを作
つたのだ。それから国土の総合的な開発、利用、保全をも考慮して、且つ大規模な電源の開発を行うためには、営利事業である民間会社よりは、こういう特殊会社のほうが適しておるのである。且つこれらに伴う補償問題などについても民間電力会社よりは公正妥当にやり得るのではないかと、こういうふうに考えておる。まあ以上が特殊会社設置の
理由の主な点であつたと思うわけであります。次に特殊会社は民間電力会社が
資金その他の
理由で力の及ばないような電源の開発を行うのが目的であ
つて、民間電力会社などと並行してこれにプラスして電源開発を行うのであ
つて、決して九つの電力会社による電源開発を圧迫し、阻害するというものではないのだ。こういうふうに述べられました。
それから、この特殊会社は、特権と同時に、特殊会社なるが故に
政府の特別な監督をも受けることにな
つており、主なる特権としては、民間電力会社と異なる点は、発行株式の二分の一以上は
政府出資によ
つて資金的に安定するようにしていること、それから
政府保有株式については建設利息の配当などがなくて、そのためにその分だけ電源の建設費が安くなるということになり得る。それから社債発行限度の
特例が認められて、外資導入等に対しても、その分の十分な考慮をしてある。それから四番目には、外貨債務について上述のような
政府の保証があ
つて、外資の受入体制が整え得るようにできておる、それから登録税が減免されておるというような、大体五、六点の
答弁があつたと思います。
なお、特殊会社を作るとしても、それをこの
法案のような一社とするのか、或いは一時話が出ておつたような数社とするのか、こういう一社、数社という問題につきましては、現在の財政
資金支出の余力を考え、
資金資材の有効重点的な活用、それから総掛費の節減等というような観点から、取りあえず一社にしてスタートすることが正しいと考えておる。若し数社を作ると、将来各地到る所に特殊会社ができる傾向を生じて、総花式とな
つて実を結ぶことが少くなる危險性があるように思う。又特殊会社形態なるがための運営上の非能率になるという問題その他の
欠陷の是正については、まあ一応のでき得る限りの考え方はしたつもりである。例えば予算、決算、会計などの会計法令の
適用を一応除外したこと。或いは新商法による株式会社といたしまして、運営面においては一般の普通の民間企業と余り異なることがないように運営できるようにしたとか、或いは役職員は
公務員ではなくて、その任免、給與などについて
公務員法の
適用を受けないようにしたとかというような点で、従来の公団とか公社とかに見られたような
欠陷を排除するための一応できるだけの考慮を拂つたつもりであるというような
説明がされております。
それから項目の大きな問題の四番目に、技術者要員の問題が出ておりまして、特殊会社が設立せられても開発に必要な技術者要員を確保できない危險性があるのではないか。又参考資料として配付された資料から見てもこれだけでは大体人員が少な過ぎて、本当の仕事ができなくなる慮れがあるのではなかろうかというような
意味の
質問が繰返し各角度からなされたと思います。これに対しましては、技術者の要員の給源といたしましては、予備の一般人のほかに民間電力会社及び外地より引揚げた電力
関係技術者等も考えておること、それから参考資料の人員表は、この特殊会社の人員は、最初成るべく少くしたいという方針によ
つて作られたものであ
つて、そのためには、例えば具体的に当該地域の電力会社へ仕事を委託することも考えられるし、或いは外部のコンサルテイング・エンジニアなどの利用なども考えているのだという
答弁があつたと思います。併しながら、以上のほかにその他の数字的な
答弁も相当出ておりましたけれども、この人間が少な過ぎるのではないかということ、及び技術要員を本当に十分に集められるかどうかということにつきましては、
委員会におきましても相当議論が行われまして、非常に心配をされておる強い
意見も出ておつたことを附け加えておきます。
それから第五番目に、開発地点の選定問題につきまして、特殊会社の開発地点はどういうふうにして決定するのか、又どういう選定基準によ
つてこれをきめるのかというような
質問に対しまして、各年度における企業形態別の、又、水力、火力別の電源開発の大きさにつきましては、
政府が電源開発調整
審議会の議を経てきめる電源開発基本計画というものによ
つて、大綱的に調整決定をすることにな
つておる。この基本計画に基いて
政府が決定すべき
関係開発会社の開発地点の選定は、法文の十
二條に示すところによ
つているのである。具体的に選定基準となるであろう諸点は、大規模で、民間電力会社では現状においては
資金その他の面から見て着手することが困難であり、或いは又国土総合開発の見地から、民間電力会社よりも、特殊会社によ
つてやらせるほうが妥当だと考えられるようなもの、更に、補償
関係などが非常に複雑であ
つて民間電力会社では解決が非常に困難になろうと思われるようなもの、こういう候補地点のそのおのおのの優先の度合につきましては、地域別の電力需給及び水火併用の度合、更に開発地点の経済性の優劣というような問題を考慮斟酌して決定されるというふうに考える。以上の
答弁に対しましては、民間電力会社の開発意欲を阻害しないように考慮すべしという相当強い
意見が述べられておつたと思います。
更に、開発地点の選定に当
つて大規模国土総合計画を考慮するほか、地域別の電力需給の均衡の保持を考慮すること、そのためには水力のほか火力開発をも行うべきこと、というような要望が相当強くされておりました。
なお、特殊会社のみならず、各開発担当者に対して、電源開発に伴う水、土地、家屋などの損失補償について十分考慮するようにという強い要望が私あてに、例えば公文書を以ちましても
水産委員会及び
農林委員会からも出ておつたわけであります。これは特殊会社の問題だけでなくて、すべてを含めた電源開発について、今のような損失補償について十分考慮されたしという
意味の要一望であつたわけであります。
次に開発会社の業務
内容及び存続期間の問題でありますが、開発会社の業務は建設が主であるのか。又建設完了後の貸付、讓渡、それから電気事業者に対する電気の供給即ち卸売というようなものは一体どういう
関係にあるのか。卸売をやらなければ、現在最も問題にな
つておるところの電力需給の地域別の不均衡或いは料金の地域差の不均衡というようなものを均衡化するのに役立つことが相当困難ではなかろうか。併しながら、若し卸売をやれば又旧日発の再現というような問題も出て来るのではなかろうか。又会社の存続期間も十年ぐらいで終了するというふうには考えられない。或いはそのつもりであるかという、その期限の問題等につきまして、相当突つ込んだ
質問が繰返し行われておつたと思います。以上のような
質問に対しましては、特殊会社の業務
内容は電源の建設ということが主体である。なお、その建設完了した電力設備は、第一に讓渡又は貸付を行うこと、二義的に卸売を行うこと、それから、この特殊会社設立によ
つて民間の九つの電力会社などの行い得る限度以上の電源開発を行うことによ
つて、電力の供給をより豊富にして、且つ民間電力会社で行うよりは先に言つたような
理由で低廉にもなり得る電力を供給するのであるから、今後この豊富にして低廉な電力をソースといたしまして、需給及び料金の地域差の是正に相当程度寄與し得ると考える。又地域別の電力需給
状況などを勘案して開発地点をも選ぶことにな
つており、又讓渡、貸與の際に一定の
條件を付して地域別の電力需給などを調整するようにするということも考えられる。以上のような方法で電力需給の地域別の不均衡及び料金の地域差の是正にも寄與し得ると考える。又この特殊会社は卸売を一義的に考えていないこと、電源開発を独占的に行う会社ではないこと、それから特殊会社の開発所有する電力設備は十年後におきましても全体の大体一三%にしか過ぎないこと、電力の
国家管理が現実に行われていないこと等々の
理由からして、旧日発の再現云々の批判は当らないと思うとい、う
答弁がされております。それから特殊会社の存続の期間につきましては法文中には明記しておらない。予定された電源開発の完了、これに伴う讓渡、貸與、卸売等の
関係で実際に存続期限は左右されるものであ
つて、その存続の見通しについては必ずしも明らかでないという趣旨の
答弁があ
つたのでありますが、この期限問題につきましてはいろいろな
質問によ
つて答弁が各面からされました
意味もありまして、必ずしも明瞭ではないように考えられます。
次に工場抵当法との
関係につきまして、これは專門的な立場から相当突つ込んだ
質疑応答が繰返されております。特殊会社は電気供給事業者であるのか。若し電気事業者でないとするならば、工場抵当法にいう工場の観念には電気の供給を目的とするということにな
つておるから、工場抵当法の
適用による財団の設定ができないことになるのではなかろうか。外債担保としてはゼネラル・モアゲージは抵当権に対しては弱いのであるから、抵当権設定の場合には主務
大臣の認可を必要とする旨の規定を設ける必要があるのではないか。或いは水利権を財団組成に当
つてどういうふうに扱うのかというな
意味の
質問が專門的になされた。これに対しまして、特殊会社は電源開発をすることを一応の
原則としておるのであるから、電気を供給することを目的とする電気事業者ではない。
従つて工場抵当法の
適用を受けて財団を設定することには一応の疑問があるように思われる。これは解釈上の問題だということにも
なつたと思います。抵当権設定の場合の主務
大臣の認可の必要については十分に研究をする必要を認めた。又水利権は財団の中には入らぬといたしましても実際上財団と一体をなしておるのであるから、これが財団設定の場合に実質上その
内容とな
つていなければ事実上担保価値が殆んどなく、借入、社債の発行は困難ではないかとの
質問でありましたけれども、これに対しまして、水利権は河川法による公法上の水の使用権であ
つて、種々公益の上の見地から制限を設けておる
関係もあるので、これを以て直ちに財団の組成物件とすることはむずかしい。以上のような
答弁によ
つて、工場抵当法との
関係につきましては研究の余地があることが明らかに
なつたと考えます。
それから国土総合開発計画との
関係につきまして、国土総合開発計画と電源開発計画との
関係、それから矛盾した場合の取扱というようなものをどういうふうに調整するのかという問題につきましては、本来国土総合開発は全体計画であ
つて、電源開発計画はその部分計画をなしておるものである。現実的には、電源開発の緊要性に鑑みて、国土総合開発計画の決定前に電源開発計画を先行せしめる場合も生ずるけれども、電源開発計画の決定に当
つては、十分国土総合開発計画の
審議状況などを反映せしめて支障ないように図るつもりであるという
答弁があつたと思います。
最初に申上げましたように、この
委員会は相当長期に亘りましてあらゆる角度から
質疑応答がなされましたために、
只今報告しましたことで盡きておるわけではないのであります。一応整理して要点だけを御
報告したわけでありますから、
内容につきましては十分
速記録を
一つ御覧をお願いしたいと思います。
大体以上のような
質疑を終りまして、それから
質疑の終了の
段階になりまして、
質疑終了されましてから、杉山
委員の修正案、それから奥
委員の修正案、二つの修正案が提出せられたわけであります。大要を申上げます。
先ず杉山
委員の主な修正案の
内容は、第一に、第
二條の定義における「電源開発」というのは「水力又は火力による発電のため」に改め、つまり水力も火力も両方含めて、火力も含むということを明確にすること、これは第
二條の修正であります。
それから二番目に、第三條を、経済安定本部総裁は電源開発基本計画を電源開発調整
審議会の議を経て決定し、且つこれを
関係行政機関の長に通知すると共に、一般に公表し、利害
関係者からの
意見の申出ができることとして、その申出があつた場合は、行政機関の長は、これを考慮して必要な
措置を講ずること、というふうに改めた。これは第三條の修正であります。
それから三番目に、第四條の「電源開発に関する総合調整」については、電源開発の主務官庁が、他の
関係行政機関の処分が電源開発の円滑な実施に支障を及ぼす慮れありと認めるときのみ、後者と協議し得ることとな
つていたのを、これを修正して、
関係行政機関のほうからも、電源開発の実施が国土の総合的な開発、利用、保全に重大な影響を及ぼす慮れありと認めるときは、電源開発の主脇官庁と協議をなし得ること、こういうふうに原案を修正しまして、片方からのものを相互的な協議に改めるというふうに修正をされたわけであります。
以上の第三條、第四條の修正は、大体次に述べます損失補償に関する修正と共に、これは第七條になるわけでありますが、第七條の損失補償規定の挿入と共に、先ほど申上げましたところの
農林委員会、
水産委員会からの要請の
内容と合致するものであ
つて、これを取入れられたことだと思います。
それから第四番目に、電源開発などに必要な
資金の確保の努力を
政府に義務付けましたところの第五條の規定に、更にその
資金を各開発担当者に対して公正に配分することの努力を義務付けることを追加いたしまして、且つこれに対応して、
審議会の所掌事務を規定しました第八條に、電源開発に要する
資金の調達及び配分に関して
審議調査することの一号を追加したことであります。これは、先ほども
質疑応答の中に出て来ましたところの、特殊会社が開発をすることによ
つて、特殊会社以外のものの開発を
資金面から圧迫する可能性と危險性を成るべく除去しよう、そういう意図に基く修正
内容だということであります。
それから第五番目に、電源開発によ
つて水、土地、家屋、立木等に関して損失を受ける者に対して、当該電源開発担当者が公正な損失補償に努めることを義務付ける條文を新設いたしました。先ほど申しました第七條の新設であります。且つこれに対応して、
審議会の所掌事務を規定した第八條に、電源開発により生ずる損失の補償に関し
調査審議することという一項を追加しております。これは先ほど
説明の
通りであります。
それから第六番目に、第十
二條におきまして、特殊会社が行うべき開発地点を定める場合に、原案では「大規模な」電源開発とあ
つたのを、大規模のほか「又は実施の困難な」電源開発というふうに追加し、且つこの場合は、只見川などのごときものを指すのだという
意味のことを例示することとされております。それから原案では「国土の総合的な開発、利用及び保全に関し特に考慮を要する」電源開発とあ
つたのを、この場合は北上川などを指すものだという例示が附け加わ
つております。更に原案のほかに、「電力の地域的な需給を調整する等のため特に必要な、火力又は球摩川その他の河川等に係る電源開発」ということを追加いたしまして、この三つの問題の追加は、先ほど
質疑応答の
内容の中で申しましたところの地域的な需給の調整というための開発ということが入る、その例示として、先ほどと同じ
意味で球磨川ということが入つたということであります。なお右に挙げました開発地点であ
つても、特殊会社以外の民間電力会社などが具体的な計画を附して電源開発を行うべきことを主務官庁に申出たもので、その計画が適当であ
つて、且つその実施が可能であるというふうに
審議会が確認したものにつきましては、民間電力会社等に委ねることとして、特殊会社の開発地点から除くというふうに第十
二條の修正がなされております。
特殊会社の事業範囲につきまして、水力のほか火力の電源開発をも行い得ることとなりました修正が第二十
二條第一号の修正とな
つております。且つ卸売を行う場合に、料金その他の供給
條件につきましては主務官庁の認可を必要とするが、公共事業会第四十條の
適用を除外する旨の規定を新設いたしまして、且つ主務官庁は、貸付、讓渡、卸売料金等についての認可に当
つては、
審議会の
意見を尊重しなければならない旨の規定を新設してあります。
それから八番目に、先ほど
質疑応答の際に述べて問題になりました工場抵当法の
適用につきまして、新たに一條を新設いたしまして、特殊会社は工場抵当法の
適用を受けられるというふうにいたし、更に主務官庁の認可を受けなければ抵当権の設定ができないということを明らかにしております。
第九番目に、その他、
審議会の
委員中、民間学識経験者から任命する者七人を八人に増加し、
従つて委員総数は十四人が十五人に増加したこと、及び役員を
内閣が任命するときに株主総会の
意見を聞くことと改めて、少数株主の
意見をも一応反映する途を開いたことなどが大体杉山
委員から提出されました修正案の大要であります。
次に奥
委員から出されました修正案は、大体次に述べます部分を除きましては、全く杉山
委員から出された修正案と同一であるわけであります。その相違点だけを申上げます。
それは、第一に、第十
二條第二項におきましては、特殊会社が行うべき地点から除外される地点については、特殊会社以外の民間電力会社などが「具体的な計画を附して電源開発を行うべきことを主務官庁に申出たもので
審議会が確認したもの」を除くというふうにな
つておりまして、杉山修正案のほうでは、「主務官庁に申し出たものであ
つて審議会においてその計画の
内容が適当であり、且つその計画の実施が可能であると確認されたもの」というふうにな
つておりまして、この点は、実質的には、
質疑応答の際に出て来た場合には、修正
意見を出されたかたは、余り実質的には変りないんだという話でありましたが、法文の読み方によりましては、その確認をなすときの基準が明らかに示されておるかおらないかという
意味で、相当大きな
内容上の差があるのだということが相当
質疑応答の中で問題にな
つておつたと思います。なお、その次に、同じく十
二條の中におきまして、杉山修正案にありました三つの具体的な河川名の例示を完全に削除しておられること、それから今の点が第十
二條にかかる修正
意見であります。
それから二審目、附則に次の三点を追加されておる。即ち第一に、附則第十八項で、特殊会社のみでなくて、民間電気事業会社にも登録税の免除を規定しておること、それから第二に、附則第二十項で、電気事業会社の社債発行限度の
特例を現行の二倍から五倍に引上げることを規定したこと、これは
内容が非常に
條件が附いております。それから第二に、附則の第二十一項で、電気事業会社が
資金運用部資金引受で直接社債を発行し得ることを規定しております。
この附則についての三点と、この十
二條の問題と、それから列記三点の河川名の問題と、つまり十
二條において大体二つ、附則において三つ、これが奧修正案とそれから杉山修正案の相違であるわけであります。この両案を一緒に
質疑応答を繰返されたわけでありますが、この
質疑応答の詳細につきましては
一つ速記録に讓りますので御
承知をお願いしたいと思います。
先ほど申上げましたように、最初問題にな
つたのは十
二條二項でありまして、一体何を確認するのか。民間電力会社が具体的な計画を附して主務官庁に届出さえすれば、その届出が確認されたことにな
つてこれが全部除外されることになるのか、ならないのか。そして奥
委員の修正案の場合には、そういうふうに申出さえあれば、それがそのまま確認をされて、
従つて特殊会社で行い得ない地点にな
つて、つまりその
意味では民間電力会社の優先の
意味であるというような解釈が成り立ち得るという
質疑応答の中で
意見が出ておりました。又この両案の相違点でありますところの三つの河川の例示につきまして、相当突つ込んだ
意見及び
質疑が繰返されまして、法制局の
意見なども質したわけでありますが、一応法制局の
意見によりますというと、例えば第一号の「只見川」というのは大規模な電源開発の代表的なものを例示したものであ
つて、「その他の河川等」というのであるから、有力な開発候補の
一つであることを
意味するのであるけれども、必ずこれは優先的にやらなければならないというふうには解釈はできないというふうな
意見が法制局の
意見であつたと思います。併しこの点につきましては、相当突つ込んだ
意見と
質疑が繰返されたことを附加えておきます。その他附則の三つの問題につきましては、前にも問題に
なつたことであ
つて、現在そういう
特例がほかの電力会社に対してもすぐやり得るかやり得ないかということが、相当繰返されて
意見交換がされたと思いますが、
内容は省略をいたします。
この両修正案の
質疑を一応終りまして
討論に入つたわけでありますが、
討論に入りますというと、古池
委員から、奥
委員提出の修正案による民間電力会社などへの登録税免除及び
資金運用部資金による直接電力債の引受は、現状においては民間の会社としては行き過ぎであ
つて、社債発行限度五倍の
特例は一兆三千億にも上る社債発行限度とな
つて、実情に相当遠いものになるから、早急に設けるという必要については疑問である。そういう
意味も含めて奥
委員の提出の修正案には
反対である。そうして杉山
委員の提出された修正案については、おおむね原案の意図するところを明確化したものであると同時に、
委員会の
審議の最中に、
審議の過程におきまして、先ほどの他の
委員会であるとかその他からいろいろな要請のあつたものも適当にその中に入
つておるのであ
つて、その部分は実は奥
委員の提出の修正案も同じであるわけなんですが、そういう
意味も含めて賛成であること、そうしてこの杉山
委員提出の修正部分を除いた原案にも賛成であるという
意見が述べられ、それから須藤
委員からは両修正案及び原案のいずれにも
反対であることの
意見が述べられ、それから又山川
委員からは、杉山
委員提出の修正案に賛成であり、残りの原案に賛成であるという
討論が行われ、同時に次のような
内容の附帶決議の要求が出されたわけであります。その
内容は大体六つに分れております。
第一に、特殊会社を通じての外資導入について
政府の努力を促すようにすること。
二番目に、特殊会社の業務は
原則としてむしろ卸売に主点が置かれるように考慮すべきこと。
それから三番目には、公共水利に関する基
本法制の整備の必要を認めること。
四番目に、堰堤建設というようなこの問題に当りまして、造林、
治山、それから砂防等に関しまして万全を期するということを附加えること。
それから五番目に、一般の電気事業者に対しまして、
政府資金の確保、社債発行の
特例、課税上の特典、先ほどの奧修正案に出ておつたような
内容を指すものであろうと思いますが、そういう特典について別途特別の
立法措置などを考えるようにすること。
それから六番目に、特殊会社の開発地点につきましては、先ほどの川の名前の問題を含めて、あそこに掲げてあるのは、法制局の
意見に
従つても一応は例示的なものであるから、
審議会において愼重
審議の上決定すべきものであること。
大体以上の六点の
内容を含む附帶の決議の要求があつたわけであります。
かくいたしまして
討論を終結いたしまして採決に入つたわけでありますが、最初に奥
委員の提出された修正案のうち、杉山
委員の提出された修正案と相違する分についてのみ採決をいたし、その部分は否決せられ、次ぎまして奥
委員の提出されました修正案中、
只今の否決された部分を除いたものは大体杉山修正案と同様でありますので、杉山修正案を議題にいたしましたところ、多数を以て杉山修正案が可決され、次いで杉山修正部分を除く原案について採決いたしましたところ、多数を以て可決すべきものと決定されました。かくいたしまして
委員会におきましては修正可決ということに決定をしたわけであります。
以上で
報告を終るわけでありますが、最後に
一つだけ附加えて
報告をさせて頂きたいと思います。
委員会において
審議の方法につきましていろいろ御
意見が出たやに承わ
つておりますが、私といたしましては、全期間を通じまして、最も公平にして、最も愼重な
審議を続けて来た、そうして最後の場合においても同様であつたと私は確信をしております。それから第二番目に、この
法案の処理をめぐりまして、特に最近におきまして、
国会外においていろいろな動きがあるとか、或いはデマがあるとかいうことを聞きますけれども、私は、従来私どもの、少くとも私の
委員会では経験したことのないところの、予備付託の期間を通じましては大方三月になろうとする
審議、本付託の期間だけをとりましても、大体二カ月になろうとする
審議、実質的な
審議は
委員会で十分に私は繰返されたと思うのであります。従いまして、今のような外の動きがあるとか、デマがあるとかいう問題を除外いたしまして、私は
委員会において愼重な
審議がされたと思いますので、その愼重な
審議がされたことを御了解されまして、この本
会議におきましても最も妥当なる決定がされることを特に希望を附しまして
報告か終える次第であります。(
拍手)