○岩間正男君(続) このことが、取りも直さず、
佐藤参議院議長がや
つているところの非民主的な
議会の
運営を全く現わしておるということを、私は指摘したいのであります。その他に、例えば今日は、請願課と文部
政府委員室の通路を遮断し、一般傍聴人を
制限しております。又議院の内外は武装警官で固めて門を閉ざしておる。このような形の中で、このような
法案が
審議されようとしておるのであります。私は、このような議院の
運営に陷れているそのことが、何よりも
佐藤参議院議長のこの非民主的な
態度を具体的に現わしていると思うのであります。(
拍手)大体先ほ
ども問題になりましたが、
議長自身が
自分の
不信任案の討論の時間を
制限するというような、このようなやり方は、
一体果して許されるかどうか。
自分の問題について賛否を問われたならば、これに対しては十分討論を求めるというのが当然の
態度だと思うのであります。そこで私は、先ほど
木下君から提案されましたこの
不信任案に対しましては飽くまで
賛成するものであります。
賛成の理由を述べたいと思います。先ず第一に、
佐藤議長は、憲法、
国会法を完全に踏みにじ
つて、
政府の手先
與党と共謀して今日の
議事を陰謀的に進めようとしておるのであります。これは今までのここ一週間の
事態を我々が冷静に反省してみたときに明らかな事実であります。先ず二十日の
会期延長の問題に対しましては、議院
運営委員会の拙劣なやり方によりまして、
野党側が退場した後に一方的に
会期を十日間と決定し、而もそれをあたかも院の決定であるかのような形で以てこれを
衆議院に通達した。その結果、これを盾にして、倉石
自由党運営委員長は、これに対しまして、これを根拠として
衆議院におけるところの
会期の
延長を決定したのであります。これが第一点、このようなやり方が果してこれが正しい
態度であるかどうかということが第一点であります。
第二点は、
佐藤議長はこういう形の中で、全然この問題に対する調停者の資格がないことであります。何故ならば、
会期延長の不手際を起した最大の
責任は
佐藤議長が負わなければならない。(
拍手)誰よりもこれは重いところの
責任を持つべきものである。だから我々はこれは調停者として非常に不適格者であると思うのでありますが、それがのこのこ調停に乗り出しまして、而も最後の段階におきましては、この調停の
條件としましては、川村議院
運営委員長の首を切
つてこれをやめさせる。こういう
條件を彼はぬけぬけ出しておる。そして川村議院
運営委員長をやめさせることを
條件として、この苛酷なやり方によりまして、彼
自身は何とかこの急場を逃れようとしたのであります。こういうやり方は、果してこれが政治的信義に
一体悖るところがないかどうか。これは明らかであります。この点に対しては
自由党の
諸君といえ
ども大きな不満を持
つておられまして、これに対して
反対しておられたことは私はよく知
つておる。又緑風会の
諸君も、
自分のほうから出した会派のこれは
議長であるからとい
つて、この問題を口を拭
つて済ましておることは絶対できないと私は思うのであります。
更に、調停者としましてはこの資格がないということを申上げたのでありますが、この調停につきましても全くこれは適格者でなか
つたことが明らかである。なぜならば、彼は調停事項に忠実に飽くまでもその貫徹に努むべきであるにもかかわらず、二十四日にきめられましたところの各派代表者懇談会の席できめられた
條件というものを、その後完全に踏みにじ
つて、そうして
自由党との妥協によ
つてこれを非常にあいまいなものにした。つまり、これから問題になるであろうところの
国会法の改正問題につきましても、そのときの
條件は、明らかに、これは改正については
自由党が呑む、但しその
自由党は、
参議院自由党だけでなくて、
衆議院を含むものであるということは、はつきり確認されているはずであります。然るにこれを
参議院だけと単独にごまかして、このような形で以て情勢の赴くままに大勢に便乗して何ら調停者としての中立的な
態度を堅持していないのであります。こういうやり方では、問題は実にこんがらがる。
参議院が今日まで院の
審議がなかなか進まない、今日までのような混乱を続けたところの大きな原因は、少くとも最大の原因は、この
佐藤議長そのものの不手際にあることを、私は、はつきりここに確認せざるを得ないのであります。
又
議事の取りまとめにつきましても、誠に
議事運営は不慣れであり、不手際であり、而も公平を欠いておる。更に少数意見、
民主主義の原則であるところの少数意見をよく聞こうとする謙虚な
態度がないのであります。これは、小会派に対する彼がなしたところのここ二、三日の
態度を見れば明らかであります。こういうような実に
議事運営の不慣れ、
官僚的な扱い、こういうふうなやり方の中に、はつきり私は、
佐藤議長の、これは
議長としての性格の欠格
條件を見るものであります。而も今日この
趣旨弁明によ
つてなされておりますように、職権濫用によりまして、いわゆる
議長権限なるものを振りかざしまして、この民族の危機にと
つて最も重大な問題であるところの破防法を一挙に押し通そうとする陰謀を企らんでおるのであります。この破防法の性格については、ここで詳しく触れる余裕はないのでありますが、実にこれは民族の運命にとりましては誠に重大で、この方向を誤まるならば、また
日本は再び戦乱の渦中に巻き込まれ、民族の破滅を招来する重大な問題なのであります。従いまして、当然これは世論を十分に聞き、その世論の命ずるところによ
つて議院のあり方を決定するという、新らしい民主的な
国会の
態度を堅持することが最も重要であるにもかかわらず、この
国会の
運営の仕方は、先ほど私が劈頭に指摘しましたように、
国会の門を閉め、武装警官を配置し、更に今日この重大なる情景の場面におきましては、傍聴者の数をも
制限するというようなやり方により、而も我々は現在武装警官の包囲の真
つただ中におきまして、このような馬鹿げた
法案を
審議するところに追い込もうとするこの策謀に、
国会の
議長が敢然と抗議し、
民主主義の擁護のために、私は飽くまで厳正中立なる
態度を持すべきだと思うにもかかわらず、やすやすと警官に
国会侵入を許しておるというようなことは、誠に
会議自身が自主性を欠いたものと言わざるを得ないのであります。このような
態度は、
佐藤参議院議長のいわゆる本質でありまして、その本質が、この激しい、
国民層の殆んど全部が
反対の声を挙げておるところの破防法というこの問題の前に、はつきり破綻を示しておると言わねばならないのであります。
又
参議院議長は、国連協力会長としてその職にありますけれ
ども、彼
自身は常に何を
言つておるか。
国会の第一号の車を乗り廻しまして、どういうことを
一体説き廻
つているか。「
日本は国連に協力しなければならない。そのためには、やがて人的資源をこれは供給しなければからない。そういう時期が来るのだ。これに協力するのが
日本国民のこれはやらねばならない義務である。」ということを、
国会ナンバー・ワンの自動車を、外国自動車を乗り廻して説き廻
つているというこの姿の中に、はつきり彼
自身の性格を我々は指摘せざるを得ないのであります。(
拍手、「
戦争挑発者だ」と呼ぶ者あり)
このようにしまして、
曾つて売国的な代弁
官僚であり、いわば国を滅ぼしたところの残存的な姿であるこの
議長が、こういう形におきまして時代と共に
参議院議長というような要職を與えられているのでありますが、このことが、如何にこれを支持するところの、腐敗したところの古い保守的な勢力が、如何に
日本に残
つておるかということを如実に示すものであります。そうして、
佐藤議長こそは、この保守的な勢力、この勢力の代弁者として今日はつきり現われておる。これは先ほどから申述べましたところの私の数々指摘しましたところの
国会運営の事実がはつきり物語
つていると思うのであります。従いまして、我々は、新らしい
国会の
運営に、真に
大衆の意見を聞き、その意見のあり方を十分に取入れ、而も十分に取入れられるところの十分なる方法をこの
国会の
審議の中に反映させる、こういう形におきまして
運営されなければならないと思うにかかわらず、まるでこれは
反対の方向に寄りまして、先ほどのように、この破防法を
審議するに当
つて、すでに破防法そのものを実施するようなやり方によりまして、
国民の口を塞ぎ、この時間を
制限し、そうして分厚い壁の中におきまして
国会の
運営を、
政府とその手先の
與党官僚諸君との妥協によ
つて、これをなし遂げようとするこの陰謀は、我々は
国会議長としての実にこれは大きな汚点であると思うのであります。
こういう観点からしまして、我々は
参議院議長としての今や職にあることを望まないのであります。こういう形で私は先ほどの提案に対しまして
賛成し、並びに
自由党諸君、緑風会その他の
諸君も、政治的信義とは何ものであるか、道義は
一体どこにあればよいか。こういう観点に立
つてこの問題を徹底的に検討されんことを切望して、私の討論を終る次第であります。(
拍手)
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