○
佐々木良作君
只今議題となりました
外資に関する
法律の一部を
改正する
法律案及び
国土総合開発法の一部を
改正する
法律案につきまして、本
委員会におきます
審議の
経過と結果につきまして御
報告申上げます。
先ず
外資に関する
法律の一部を
改正する
法律案につきまして、
政府の
提案理由と、それから
質疑応答の際述べられました
政府の
考え方を
骨子にいたしまして、その
法案の概要を申上げたいと思います
提案理由によりますと、
外資法は、
日本経済の
自立発展、
国際収支の
改善に寄與する
外資に
限つて投下を認めると共に、
海外送金の
保証をする
制度を設けたものでありますが、最近対
日投資の
活溌化が予測されるので、この際、
外国投資家の
投資を容易にして、
外資導入の促進を図るため、以下一、二、三とありまして、その一が、
外国投資家による
株式等の
取得の
制限を大幅に緩和し、二、且つ
外国投資家が
取得した
株式の
売却代金その他の
元本の
回収金についてその
海外送金を
保証し得る途を開くと共に、三、新たに
株式等について指定及び確認によ
つても
送金の
保証を與える
制度を設けるなどの
措置によ
つて、
現行の
制度による
制限を緩和すべき時期に
なつたと言うのであります。
本
改正案の
内容の
骨子を四点に要約して申上げますと、
第一点は
認可制度の
改正であります。
株式、
持分の
取得について、
無償交付新株等の
取得は
認可を要しないこととして、更に
株式、
持分に限らず、すべての場合に、
外国投資家間の
讓渡や、相続、
合併等による
取得は
認可を要しないこととすると共に、その
認可基準をも緩和し、
海外送金が
保証されている
株式、
持分の
売却代金による他の
株式等への再
投資を
認可し得ることとなるのであります。
受益証券につきましては、新たに
認可制度を設けまして
送金保証を受け得るようにし、他方、
技術援助契約の締結、
受益証券、
社債、
貸付金債権の
取得につきましては、
海外送金を希望する場合にだけ
認可を要することとな
つております。
第二点は
送金保証制度の拡大の問題であります。従来は、
技術援助の対価、
株式、
持分の
配当金、
社債、
貸付金債権の利子、
元本の
償還金だけが
海外送金を認められてお
つたものでありますが、
株式、
持分の
売却代金についも
海外送金をし得るように改め、
受益証券についての
認可制度の採用に伴いまして、その果実及び
元本の
償還金の
海外送金を認めることとつな
つております。即ち
株式、
持分の
売却代金は、
株式、
持分取得後三年
経過後の売却によ
つて得られた代金は毎年二〇%ずつ
海外送金し得るようになり、
受益証券の果実は全額を、
元本の
償還金は毎年二〇%ずつを
海外送金できるように
改正されております。
第三点は、
株式等の指定及び果実又は
元本の
回収金などの確認の
制度を設けたことであります。
外資法による
海外送金の
保証は、
投資が行われる際に
認可を受ければ、爾後これに伴う
海外送金について為替管理法の
許可を要しないこととな
つておるのでありますが、無償交付新株など及び
外国投資家間の譲渡や相続、
合併等による
株式などの
取得は、本
改正案で
許可を要しないこととなりましたので、
認可に代るものとして指定を受けさせて、その果実又は
元本の
回収金などの
海外送金を認め得ることとな
つております。又
海外送金が認められている果実又は
元本の
回収金などを相続、
合併等によ
つて取得しましたときにも、これにつきまして確認を受けることによ
つて海外送金を認めることとな
つております。第四点は
外国投資家預金勘定の設定であります。
株式、
持分の
売却代金などや
受益証券の
元本の
償還金は即座に全額を
海外送金し得ないで、一定額が円貨として本邦内にとどまることになりますので、
元本が円貨で回収されてから現実に
送金されるまでの間、その勘定を明確にして、
海外送金額の把握に便ならしめると共に、経済に悪
影響を與える虞れを防止するために、
外国投資家預金勘定という特別の預金勘定を外国為替銀行に開設し、これに預け入れさせることにな
つたのであります。
以上が本
改正案の
内容の
骨子でありますが、これらの
内容の
改正案につきまして、経済安定
委員会におきましては大蔵
委員会とも数回の連合
委員会を開きまして愼重な
審議を行
なつたわけであります。御
承知のように、この
外資法というのは誕生のときから現在までいろいろな状態を経て来ておりますので、従いましてその條文等も非常にわかりにくい條文にな
つております。従いまいて、そういう意味も含めまして相当慎重な
審議をしたわけでありますが、その
質疑応答の
内容につきましては
速記録に譲ることをお許し願いたいと思います。ただこの
法案の
審議に当りまして大体
質疑応答された要点が三点あ
つたと思いますが、それは、これは
外資を導入することを促進する意味を持
つておるのであるけれ
ども、このぐらいの
改正案では予期し得るような
外資が入り得ないのではなかろうかという心配及び
質問等の、まあ
一つの
質問の種類に属するものであります。それから二番目は、これは本質的に問題のある点でありまして、
外国投資家の持株保有率を法文上無
制限にしておきますと、将来日本の産業がそういう
外国投資家の手によ
つて実質的に支配されてしまう虞れがある、無
制限の支配が特定産業別に
外資によ
つて行われる危険性がある、これに対して
政府はどういうふうに
考えており、その防衛策を
考えておるかというような点が第二点であります。それから第三点といたしましては、これは実際上の問題といたしまして、現在それほどでもないのにその
外資を入れるためにいろいろな
日本経済にと
つて不利な條件を作
つておるのであるけれ
ども、それほど大きな不利な、
日本経済にと
つての不利な條件を付けてまでや
つても、それほどいい外賓は入
つて来ないのじやないかという、
外資導入政策一般に対する
質疑応答でありまして、以上の三点が大体この
外資法案をめぐりまして
外資の本質と共に論議された点であります。なお、そのほかに、先ほど申上げましたように、こういう
法律でありますので、條文が非常に読みにくい、普通読んでも全然わからんような條文にな
つておりますので、その点がたびたび指摘されてお
つたわけであります。そのほかの
質疑応答は
一つ速記録によりまして十分御
承知おきを願いたいと思います。
討論におきましては各
委員からいろいろ
意見が述べられたのでありますが、これらを整理して申上げますと、
先ず杉山
委員から、
外資の受入態勢を整え、
外資導入を促進することに
賛成であるけれ
ども、本
改正法案ではまだその点が非常に不十分であるからという意味で、以下大体三点に亘
つての修正
意見が述べられたのであります。第一は、
株式等の
元本の
送金保証を與えるための据置期間を、
現行のは三年にな
つておりますが、それを二年に短縮することが必要であろうということ、それから二番目は、
外国投資家がその本国法などの
関係で新株割当を受けることが困難な場合、これを救済するために、
外国投資家に対し新株引受権の譲渡を認め、その譲渡の対価を以て
株式、
社債等の購入を認めること、更に
外国投資家が新株引受の権利附の親株を売却し、その対価を以て権利落の
株式を購入した場合、買替後の
株式のうち売却した株数と同数については、買替前後を通じて据置期間の通算を認めること、それから三番目は、貸付信託法の施行に伴い、貸付信託の
受益証券を証券
投資信託の
受益証券と同様に取扱うこと、以上大体三点の修正案が提出されました。
次いで須藤、永井各
委員から修正案を含めての反対
意見が述べられましたが、その反対
意見の要点は、
原案の据置期間を三年としていることすら短か過ぎるという
考えがあるのにかかわらず、これを二年に短縮するということには
賛成しがたいということ、それから先ほどの
質疑応答の御
説明に申上げましたように、
外資導入の目的は
日本経済の自立にあるのであるけれ
ども、その線に沿
つているかどうかということに対して非常に疑問があること、更に三番目には、基礎産業が
外資によ
つて支配されてはならないのに、この
改正案及び修正案ではこの
外資によ
つて基礎産業が支配されるかも知れない危険についての防衛がないという点、
外国投資家の持株保有率及び
送金保証制度等を諸外国並みに整理して、その実行を行政庁の裁量に任すべきものもあるのではないかというような
意見が、中心的な反対
意見で述べられたわけであります。
最後に愛知
委員から、この
外資法案に対する
運営上の希望といたしまして、
外資法上では
認可された契約が、その後において公正取引
委員会から独禁法違反の疑いで審判開始されたり、或いは又
技術援助契約の締結に伴う機械等の輸入のための外貨予算が十分に計上されていないがために、折角の契約の実行が遅れる場合があり得るので、かようなことのないよう、
政府において
運営上十分注意してもらいたいということ、及び据置期間についてはむしろ消極的に
賛成であるという程度の
意見が述べられました。
このようにいたしまして、討論を終局いたしまして
採決の結果、多数を以ちまして先ほどの修正案を可と認めまして、修正可決すべきものと決定した次第であります。
次に、
国土総合開発法の一部を
改正する
法律案につきまして御
説明を申上げます。
この
法律も頗る厄介な
法律なんでありますけれ
ども、
現行の
国土総合開発法が單なる計画組織法でありまして、実施に関する
規定を殆んど欠いているのに対して、国土総合開発の進捗に伴
つて計画の実施に必要な
規定を整備するため次のような
改正を行おうとするものであるというのが
提案理由の中心であります。それを三、四点列挙いたします。第一に、国土総合開発計画を国の行政に移す手続が
現行法には殆んど
規定がないので、特に国家的要請の強い特定地域総合開発計画を閣議決定すると共に、これに必要な予算の計上及び資金の確保に努めることとしたというのが第一点です。第二点に、国土総合開発
審議会の組織及び所掌事務を拡充強化したことであります。国土総合開発
審議会
委員として衆参両院の議員を新たに加え、その所掌事務についても、国土総合開発計画にとどまらず、その実施に関して必要な事項についても調査
審議することとして、国土総合開発計画の実施の促進を図ることとしたというのが第二点。第三点は、国土総合開発計画は強度の総合性を確保する必要があり、そのためには計画段階のほかに実施段階における
調整をも欠くことができないので、このために、特定地域の総合開発計画のみならず、その他の開発計画についても新たにこれが実施の
調整規定を設けたというのであります。第四点が、
全国総合開発計画を内閣
総理大臣が作成した場合には、これを国土総合開発計画の基本とする旨の
規定を設け、これによりまして当該各計画を一貫した方針の下に推進して行くというふうにしたこと。
この以上四点の
改正案でありますが、それに対しまして
衆議院の
審議中に修正が加えられました。その第一点は、第十條第二項を修正いたしまして、建設大臣も又
関係行政
機関の長としての立場にあることを明らかにしておること。二番目に、第十二條に一項を追加いたしまして、事業計画の
調整に必要な範囲において各省予算要求を含む資金計画全般の
調整を行うことを明確にする。こういう意味の修正が
衆議院で附加されて修正可決をされておるわけであります。
本
法案につきまして経済安定
委員会としましては、建設
委員会と数度連合
委員会を開き、又必要に応じまして農林
委員の
委員外
発言或いはその他の方法を以ちまして数次に亘る相当愼重な
審議をしたわけであります。これらの
審議におきましての詳細な
質疑応答につきましては省略をいたしたいと思いますが、ただ問題点らしいものが言われましたのを、その点をざつと列挙しておきます。
第一は、
全国開発計画が立案されなければ各地域の計画が進捗しないということであ
つては時間的に非常にズレが生ずるが、この点を一体どう
調整するのかというような点。二番目には、都道府県総合開発計画その他に関し建設大臣の権限についてであるが、当該計画の
内容は各省に亘
つていて、総合性が極めて濃厚であり、
関係各省が共同で推進しなければならないのに、窓口を一省に置くとはどういう意味か。むしろ安本一本に
統一するよう
改正するのが本当ではなかろうかというような点。更に第三番目に、特定地域総合開発計画につきまして、先ず現在の十九地域の選定の根拠は一体何だろうか。更に十九地域間の開発の順序があるだろうか。特定地域開発に対する具体的な計画の有無に対する疑惑。最後に、都府県で作成する計画は
原案的なものであり、閣議で決定した計画が国の計画となり得るだろうかというような点を、特定地域総合開発計画について先ず明瞭にする必要があるというような点が述べられた。四番目に、国土総合開発
審議会と電源開発
調整審議会との法制上及び実際上の関連問題について
質疑が行われたわけであります。
これらに対しまして
関係大臣からおのおの
答弁があ
つたわけでありますが、先ず
全国総合開発計画の対象は広汎多岐に亘り、この計画の作成は容易なことではない。現在すでにこの計画の作成方法等についても各省と協議しておるのだ。できれば今年の下期には一応の案を作成したいと目下準備中であるという点が明らかにされた。二番目には、建設省はその設置法の中に国土計画、
地方計画の事務を処理し得る
規定があるので、都道府県の意向をとりまとめ、そうして安本は都道府県に直接接触せずに、中央各省の意向をとりまとめて、この両者を
調整するものだということが
説明されております。三番目の特定地域問題につきましては、十九カ所の特定地域は厳重審査の上、五十
有余カ所の中から選んで決定したものであ
つて、目下のところはこれを殖やすべきではないと
考えているが、更に調査の上その十九地域の
内容についても検討したい。特定地域は、地区ごとに特色があるので、十九地点のうちのどれから始めるか、第一、第二、第三という順序は目下のところ付けがたいということ、併しながら電源開発、防災、農地改良等、各別に最も重要と見られるものから順次取上げて行くつもりであるということが述べられております。なお特定地域は、日本の国土のうちの相当大きな面積を占め、且つ重要な地域を含んでいるので、
公共事業は安定本部が計画して、これに基いて進めることが望ましいということ、又特定地域総合開発計画の性格は国の計画であ
つて、立案は都府県でするが、閣議決定されたものが国の行政方針として確定し、国の
責任で実施されて行くのだということが
答弁されています。なお、二つの
審議会の問題につきましては、法制的には重複その他の矛盾はなく解釈できるだろうということ、併し実際問題としましては非常に密接不可分の
関係を持つのでありまして、電源開発は国土総合開発の中の
重要部分を占めるという実質上の扱いをこの
審議会の扱いにも応用して行きたいという
考え方が述べられております。大体
質疑応答の主な点はそういう点でありますが、詳細は全部
速記録に譲りたいと思います。
討論につきましては、
質疑応答の中に述べられておりましたので、別に討論とい
つたお話があ
つたわけではありませんが、その討論に入ります際に、郡
委員から、
本案改正によりその施行準備期間が必要であり、又行政機構がこの七月一日から発足するからという等の事情から
考えまして、この
改正法案の中の附則の第一項中、六月の十日というのを大月の三十日に修正することが適当と思われる、そのほかは
原案に
賛成するという意味の修正案が出されたわけであります。附則の第一項というのは、
本法の施行期日をきめた附則でありまして、「六月十日」を「六月三十日」に修正するという修正案であります。この一部の修正を含めまして
採決の結果、
全会一致を以ちまして郡
委員の
意見通り修正可決すべきものと決定した次第であります。
長くなりましたが、以上御
報告を終ります。(
拍手)