○鈴木直人君
只今議題となりました行政
機関職員
定員法の一部を
改正する
法律案について、内閣
委員会における
審議の
経過並びに結果を御
報告いたします。
先ず本
法律案の提案
理由並びに
改正の内容について御
説明いたします。この
法律案は、
昭和二十七年度予算の内容に即応して、
平和條約
発効後におきまする行政
運営の円滑を期し、且つ又
国民生活の安定を図る必要上、止むを得ない事務の増加、即ち電気通信、関税、遺族年金給付、国立学校、国立療養
機関及び矯正
保護機関等の事務量の増加に伴う所要の増員を行うと共に、終戰処理
事業費等の廃止等に伴う
定員の縮減を行い、又
賠償庁の廃止、物価庁の廃止、終戰処理
事業費等の廃止及び捕獲審検再
審査委員会の設置等による関係各行政
機関相互間における職員の
定員の移し替えその他の調整を行うことによりまして、行政
機関全般の
定員の適正なる配置を図ろうとするものであります。
而してその内容は大要次の六点に要約されるのであります。
第一に、行政
機関職員
定員法第二條第一項の表の
定員におきまして、行政
機関職員の
定員の合計八十三万五百二十八人が八十四万千六百三十五人となり、一万千百七人の増員とな
つておりますが、このうち同法第二條第三項の
定員等よりの移し替えによる増員二千五百六十四人を差引きますと、実質上の増員は八千五百四十三人とな
つております。この増員の主なものを
事項別に申しますと、電気通信
施設の拡充に伴うもの六千九百六十六人、税関事務の増加に伴うもの三百二十人、更生
保護施設の増置に伴うもの四百四十三人、国立学校の学部、
施設等の増加等に伴うもの三百五十人、国立療養所等の
施設拡充によるもの二百六十三人、旧軍人遺族及び傷病者等の援護支給金支拂の事務に従事するもの百三十四人等であります。
第二に、従来、終戰処理
事業費、特殊財産附帶事務費等の支弁にかかる事務に従事する職員の
定員は、これら事務の性質を考慮して、行政
機関職員
定員法第二條第三項の
規定によ
つてその最高限を定めて、第二條第一項の
定員の外に置くこととし、更に第二條第四項の
規定によ
つてその関係者行政
機関別の定数は別に政令で定めることとして来たのであります。ところが今般予算上において終戰処理
事業費等の項目が廃止され、その
事業は他の一般科目に引継がれることとなりましたので、行政
機関職員
定員法におきましてもこれに即応して。同法第二條第三項及び第四項を削除いたしますと共に、その現在の
定員の二千八百四十人のうち二千三百七十八人を同法第二條第一項の関係各行政
機関の
定員へ移し替え、残り四百六十二人は事務の実状に即して削減されることととされておるのであります。
第三に、この
法律案による各行政
機関における職員の
定員に関する
規定は本年四月一日から適用されるものとな
つておりますが、
平和條約の
発効と同時に設置を予定されている捕獲審検再
審査委員会の職員の
定員につきましては、同條約の最初の効力の発生の日から施行することとし、又同條約の
発効と同時に廃止を予定されておる
賠償庁につきましては、同條約の最初の効力の発生の日の前日までの間は現行の
規定による
定員の職員を置くことができるものとされておるのであります。
第四に、資源庁から通商産業省本省に七十二人の
定員を移し替えることとされておりますが、これに伴いまして、現在本年九月三十日及び十二月三十一日まで通商産業省本省に置き得ることとされております暫定
定員を、現行の八千百八十四人及び八千七十一人から、それぞれ八千二百五十六人及び八千百四十三人に改めることとされておるのであります。
第五に、前回の行政
機関職員
定員法の
改正によ
つて縮減される員数の職員は、本年六月三十日までは
定員外に置くことができることとな
つておりますが、今回の
改正によ
つて各行政
機関の
定員が変更されることになりますので、改めて各行政
機関は新
定員を超える員数の職員を本年六月三十日まで
定員外に置くことができる旨を
規定いたしまして、現在進行中の行政整理の遂行に支障を生じないように
措置されております。
最後に、只今第四及び第五で述べました
改正に伴
つて、前回の行政
機関職員
定員法の一部を
改正する
法律中、通商産業省本省の暫定
定員を定めた附則第二項及び各行政
機関につき本年六月三十日まで
定員外の
措置を定めた第三項は必要がなく
なつたので、これを創ることとされております。以上が本
改正法案の主要な内容であります。
内閣
委員会におきましては、各省別に詳細に亘
つて愼重に
審議をいたしました結果、結局この
法律案は、
昭和二十七年度予算の内容に即応して、事務量の増減に伴う職員の
定員の増減及び省庁間の
定員移し替え等によ
つて、行政
機関職員の
定員の適正配置を図らんとする、必要止むを得ない当然の
措置であ
つて、
政府の目下立案中である
行政機構改革に伴う人員の移動は、全然この
法律案のうちには含まれておらないということが明らかに
なつたのであります。
次に、この
法律案が内閣から
国会に提案されました後において、
法律案提案の当初と少しく異る二三の事情が生じて来たので、この点を御
報告申上げます。その第一は、
行政協定第二十六條の
規定に基いて設置される日米合同
委員会の
日本国側の事務局の事務は、外務省国際協力局がこの事務を所掌することになりましたので、この事務に従事する二十名の
定員を外務省本省に追加する必要が生じたのであります。その二は、現在
国会に提案されておる航空
法案が成立した場合、
航空機検査等の事務に従事する三十六名の
定員を、
定員法の一部
改正の
法律案において。
運輸省の分のうち航空庁の
定員に増員して計上しておるのでありますが、航空
法案は現在未だ両院で
審議中であ
つて法律としては成立しておらない事情でありますので、一応この
定員法の一部
改正の
法律案からはずしておくことが適当と認められるのであります。その三は、この
法律案の附則第一項で、この
法律は
昭和二十七年四月一日から施行することとな
つておりますが、この四月一日は今日すでに
経過しておりますのでこれを適当に
修正する必要が生じて来たのであります。本日の内閣
委員会におきまして、楠見
委員から、以上述べた諸点を考慮してこの
法律原案の一部を
修正する案が発議されたのであります。便宜その
修正案を朗読いたします。
行政
機関職員
定員法の一部を
改正する
法律案に対する
修正案
行政
機関職員
定員法の一部を
改正する
法律案の一部を次のように
修正する。
第二條第一項
改正規定の表、外務省の項中「本省一、五六七人」を「本省一、五八七人」に、「計二、四三二人」を「計二、四五二人」に改め、同表
運輸省の項中「航空庁一、二四五人」を「航空庁一、二〇九人」に、計二八、二三〇人」を「計二八、一九四人」に改め、同表合計の項中「八四一、六三五人」を「八四一、六一九人」に改める。
附則第一項中「
昭和二十七年四月一日から施行する。」を「公布の日から施行し、
昭和二十七年四月一日から適用する。」に改める。
修正案は以上の
通りであります。内閣
委員会は本日の
委員会におきまして先ずこの
修正について
採決をいたしましたところ、
全会一致を以てこれを
可決すべきものと決定いたしました。次いで残りの原案について
採決をいたしましたところ、これ又
全会一致を以て
可決すべきものと
議決いたしました。以上を以て
報告を終ります。次に総理府設置法等の一部を
改正する等の
法律案について御
説明いたします。
この
法律案による
改正要点は二点でありまして、即ちその第一点は、
平和條約の
発効に伴い、現在総理府の
外局として置かれておる
賠償庁の所掌事務を外務省と大蔵省とに移管する点であり、その第二点は、総理府の臨時の
機関として置かれておる地方行政調査
委員会議はすでにその
目的を達成したのでこれを廃止する点であります。
改正の第一点である
賠償庁に関する
事項でありますが、
日本国との
平和條約の
発効と共に占領軍は
我が国から撤退いたすこととな
つており、従
つて連合軍最高司令部も廃止されることとなりますので、従来の
賠償施設の管理並びに
連合国最高司令官の管理に係るいわゆる特殊財産の管理、及び処理に関する同司令部との連絡の事務は全く終了することとなります。従いまして、この連絡の事務を処理する
目的のために設置されておりました
賠償庁もその使命を終了することとなりますので、
平和條約の
発効と共にこれを廃止せんとするのであります。なお従来の
賠償指定
施設に関する残務処
理事務、及び
平和條約第十五條以下の各
規定に基きまして引続き
措置する必要のある、いわゆる特殊財産に関する対外的事務は、外務省で所掌することとし、後者の特殊財産についてはその
実施事務は大蔵省で所掌することとし、これがため関係両省の設置法その他関係諸法令につき所要の
改正を加えることといたしたのであります。次に
改正の第二点である地方行政調査
委員会議に関する
事項でありますが、同会議は、国と地方公共団体との間の事務の配分の調整等につきまして、内閣及び内閣を経由して
国会に
勧告することを
目的として臨時に総理府に設置された
機関であります。同会議はその設置以来約二年に亘りその
目的とする諸問題につきまして十分なる検討を加え、その結果をすでに三回に亘り内閣及び
国会に
勧告いたしました。ここに同会議はすでに十分にその
目的を果したものと認められるに至りましたので、この際これを廃止することといたし、同会議設置法を廃止するほか関係諸
法律に所要の
改正を加えることといたしたのであります。
内閣
委員会は
委員会を二回開きまして本
法律案を
愼重に
審査したのでありますが、その
審査の結果明らかにされた点は、
賠償庁の
定員四十七名は、別途上程にな
つております行政
機関職員
定員法の一部を
改正する
法律案によりまして、そのうち二十五名は外務省へ、二十二名は大蔵省へそれぞれ振替えられることになるということ、及び地方行政調査
委員会議の廃止はいわゆる
行政機構改革による
委員会整理の一環をなすものではなく、前述のごとくこの
委員会議が所期の
目的を果したものと認められるに至つた結果であるということであります。この
法律案の附則第一項におきまして「この
法律は、
日本国との
平和條約の最初の効力発生の日から施行する。但し、第
一條中総理府設置法第十六條の二の
改正規定並びに第二條第二号及び第六條の
規定は、
昭和二十七年四月一日から施行する。」と
規定せられておるのでありますが、この條項に
規定しておる
昭和二十七年四月一日はすでに
経過しておりますので、
委員会において楠見
委員から次の
修正案が発議されたのであります。
総理府設置法等の一部を
改正する等の
法律案の一部を次のように
修正する。
附則第一項中「
昭和二十七年四月一日」を「公布の日」に改める。
内閣
委員会におきましては本日
委員会を開いてこの
修正案について
採決をいたしましたところ、
全会一致を以てこれを
可決すべきものと決定いたしました。更に残りの原案について
採決をいたしましたところ、これ又
全会一致を以て
可決すべきものと
議決いたしました。これを以てこの部の
報告を終ります。最後に法務府設置法の一部を
改正する
法律案について御
報告いたします。先ずこの
法律案の内容を御
説明いたします。この
法律案におきまして法務府設置法を
改正いたしております点は、第一に拘置支所を拘置所に昇格させること、第二に少年院を新設すること、第三に少年院の分院を本院に昇格させること、この三点であります。
先ず拘置支所の拘置所への昇格のことから申しますと、小倉拘置支所は、その收容者が常時五百人を超え、而も安所であるために
運営上少からず困難を伴
つておりましたので、かねて拘置所として独立させるべく準備中でありましたが、
施設のほうも漸く完備いたしましたので、この際ここの
被告人及び被疑者の収容について一層円滑な
運営を図りますため、支所を本所に昇格させることといたしたのであります。次に少年院の新設及び少年院の分院の大院への昇格の点でありますが、少年院の
施設は今日なお十分ではなく、取りわけ特別少年院及び医療少年院の
施設、女子の少年院の
施設につきましては、著しく不足を感じているのであります。殊に特別少年院につきましては、その殆んどが少年院法の
規定により暫定的に少年を收容する監獄の一部を区分して充てている現状であり、更に昨年一月から少年法の適用年齢の制限解除以来ますますこの種少年院の必要性を加えて参りましたことに鑑みまして、小田原少年院及び宇都宮少年院を新設することとしたのであります。又医療少年院につきましては、先に工事未了のため一応分院として設置し昇格の準備を進めておりました宮川医療少年院を本院に昇格させ、種別を異にする本院との関係から生ずる
運営上の支障を取除き、その医療少年院としての特殊な機能を十分発揮させることといたしたのであります。女子の少年院につきましては、榛名山麓に榛名女子学園を新設し、又かねて工事中でありました青葉女子学園の完成を機として分院から本院に昇格させ、本院と男女別を異にすることから生ずる
運営上の支障を取除き、女子の少年院としての性質を生かすこととしたのであります。ほかに水府学院につきまして、その收容少年の数、
施設の大きさ等から考慮いたし、一層効果的な
運営を図りますため、これを本院に昇格させることといたしておるのであります。そのほか少年院の
名称及び位置について所要の
改正を若干いたしておるのであります。なおこの
法律は公布の日から施行されることとな
つております。
内閣
委員会は前後二回
委員会を開きまして本
法律案を
愼重に
審議いたしました結果、次の諸点を明らかにしたのであります。その第一点は少年犯罪の増加の傾向についてであります。終戰以来少年犯罪の数が顕著に増加しておるのでありまして、
昭和二十五年までは非常な急上昇の趨勢を辿
つて来たのでありますが、その後その上昇のカーブはやや鈍
つて参つたということであります。これを数字で示しますと、少年犯罪の総検挙数は、
昭和二十年が約五万四千名、二十一年が約十一万一千名、二十二年が約十万四千名、二十三年が約十二万四千名、二十五年が約十五万八千名、二十六年が約十六万六千名とな
つております。又、その犯罪の性質にも変化特徴が現われておるのでありまして、殺人、強盗等の兇惡な犯罪の増加が目立
つておるのであります。その第二点は、
かくのごとく少年犯罪の増加した原因は如何なるところにあるかと法務当局が調査したところによれば、戰時中及び終戰後のいろいろな社会情勢の変化の影響ということが主な原因をなしておるということであります。これを具体的に申せば、戰時中に少年に対する教育とか
保護などが十分でなかつた点、又、一般社会における道徳の頽廃、遵法精神の弛緩が少年の心理に大きく影響して来ておる点などを挙げ得るのであります。その第三点は、
かくのごとき少年犯罪
防止の方法の一つとしては、これら少年の矯正
保護に当る人に立派な人を得るということであるのでありまして、法務府におきましては、これらの職に当る人を養成するため、矯正
保護研修所を中央と地方とに設置しておるのであります。
内閣
委員会におきましては、本
法律案の
審査によ
つて以上の諸点を明らかにいたしまして、本日の
委員会において
討論に入りましたところ、楠見
委員から、「本
法律案は少年院の拡充等を企図するものであるが、少年犯罪の増加について
政府は十分その原因を探求し、その根本を是正するため、
政府の今後の努力を要望し、本
法律案に
賛成する」旨の
発言がありました。次いで本
法律案について
採決をいたしましたところ、
全会一致を以て
可決すべきものと
議決せられたのであります。
以上を以ちまして三
法案の
報告を終ります。(
拍手)