運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-03-31 第13回国会 参議院 本会議 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月三十一日(月曜日)    午前十時三十四分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第二十六号   昭和二十七年三月三十一日    午前十時開議  第一 農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案衆議院提出)(委員長報告)  第二 ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く農林関係命令措置に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第三 小型機船底びき網漁業整理特別措置法案(第十二回国会内閣提出、第十三回国会衆議院送付)(委員長報告)  第四 日本製鉄株式会社法廃止法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第五 輸出信用保險法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第六 外務公務員法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第七 新たに入学する兒童に対する教科用図書給與に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第八 屋外広告物法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第九 連合国軍人等住宅公社法を廃止する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一〇 租税特別措置法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一一 資産評価法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一二 通行税法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一三 災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一四 国庫出納金等端数計算法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一五 経済安定本部設置法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一六 外務省設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一七 農林省設置法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一八 郵便為替法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一九 中小企業協同施設費国庫補助増額に関する請願委員長報告)  第二〇 中小企業危機打開に関する請願委員長報告)  第二一 中小繊維産業危機打開に関する請願委員長報告)  第二二 中小企業金融危機打開に関する請願委員長報告)  第二三 中小企業危機打開に関する陳情(二件)(委員長報告)  第二四 中小企業金融緊急対策に関する陳情委員長報告)  第二五 中小企業金融強化に関する陳情委員長報告)  第二六 中小商工業振興対策に関する陳情委員長報告)  第二七 中小企業金融対策に関する陳情委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      ―――――・―――――
  3. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、農業水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案、(衆議院提出日程第二、ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く農林関係命令措置に関する法律案、(内閣提出衆議院送付)以上両案を、指して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。農林委員長羽生三七君。    〔羽生三七君登壇拍手〕     ―――――――――――――
  5. 羽生三七

    羽生三七君 只今議題となりました農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、農林委員会における審議経過及び結果を御報告申上げます。  本改正法律案内容は、現在、農地等災害復旧事業に対して、農地に係るもの当該災害復旧事業費の五割、農業用施設林地荒廃防止施設及び奥地幹線林道に係るもの六割五分、その他の林道に係るもの五割、漁港施設に係るもの六割五分の補助率を以て、国から補助金を交付することと言なつており、而もその補助率被害大小にかかわらず同率となつておりますので、災害が激甚で復旧事業費が巨額に達する場合は、かような補助率では復旧が困難でありますから、これを改めて災害によつて甚大な被害を受けて、農林大臣が指定した地域であつて復旧事業費負担が一定の限度を超えたものについては、国からの補助金の率を相当引上げ復旧促進を図ることとなし、なおこれを昭和二十六年一月一日以後に発生した災害による災害復旧事業から適用せんとするものであります。  委員会におきましては、提案者及び農林省当局に対して、農地及び農業用施設災害復旧及びこれに対する国庫補助のあり方、今回の法律改正による高率補助に関する予算的措置及び高率補助適用限度過年度災害及び常習災害地域対策十勝沖震災対策その他の問題について質疑が行われたのでありまして、これが詳細については会議録に讓りたいのでありますが、そのうち一つ二つを御紹介いたしますと、「高率補助を受けることができる限度災害復旧事業費負担一戸当り八万円以上と予定されているようであるが、これは各方面から熾烈な要望従つて五万円以上に改める意思はないか」との質問に対して、「これは望ましいことであつて、できるだけ引下げて要望に副うよう努力したい」旨答えられ、又、高率補助に必要な予算別枠を以て支出して、一般災害復旧に累を及ぼすがごときことを絶対に避ける政府の決意が質されましたところ、その通り何らか別途の予算措置を講じたいと述べられたのであります。  かくて質疑を終り、討論に入りましたところ、加賀委員から、常習災害地帶対策を確立し、又十勝沖震災対策に遺憾なからしめるよう希望を附して賛成があり、飯島委員から、高率補助適用限度を一戸当り災害復旧費負担額五万円に改め、又高率補助に必要な予算別枠を以て支出し、いやしくも一般災害復旧の犠牲において行われるがごときことがないよう期待して賛成があり、次いで採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定した次第であります。  引続いて、ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く農林関係命令措置に関する法律案につきまして御報告申上げます。  この種の法律案は、各省所管のものについて、すでにそれぞれ各委員会に付託せられておりますので、ここでこの法律案の基本的な趣旨を重ねて申上げる煩を避けたいと存じます。而して農林関係命令につきましては、第一は肥料配給公団令に関するものでありまして、肥料配給公団令は同令第三十二條第一項の規定によつて昭和二十六年四月一日以降失効いたしておりますが、併し同令同條第二項但書によつて、これが失効の時までになした行為に対する罰則適用及び肥料配給公団の清算に関しては、失効後もなおその効力を有することになつておりまして、平和條約の発効後も法律としてその効力を存続せしめることとなさんとするものであり、第二は、第六回国会において、その当時、食糧確保臨時措置法改正の不成立に対処して発せられた米麦等主要食糧農産物超過供出規定した食糧確保のための臨時措置に関する政令を、この政令はすでに実質的にはその機能を失つておりますので、これを廃止せんとするものでありまして、委員会におきましては全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第でございます。  以上御報告申上げます。(拍手
  6. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  7. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。      ―――――・―――――
  8. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第三、小型機船底びき網漁業整理特別措置法案(第十二回国会内閣提出、第十三回国会衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長報告を求めます。水産委員長木下辰雄君。    〔木下辰雄登壇拍手
  9. 木下辰雄

    木下辰雄君 只今議題となりました小型機船底びき網漁業整理特別措置法案委員会におきまする審議経過並びに結果を御報告いたします。  この法律案漁業法第六十六條の二に規定します小型機船底びき網漁業について整理減船をする基準等を定めるものであります。この整理減船をしなければならなくなつた事情を一言申上げます。戰時中から戰後にかけまして食糧事情の逼迫から漁獲物増産が国家的に強く要請されましたのと、一方、戰時中は、外洋方面における漁業は操業不可能の状態に相成りましたために、自然、漁業沿岸資源にのみ殺到する結果となりまして、今日まで濫獲濫獲を重ねて参つたのであります。そこで、これをこのまま放任いたしますると、水産資源は非常な枯渇を来たし、憂うべき事態に立ち至ることが予想されるのであります。この際、至急に沿岸漁業の秩序を回復し、濫獲を防止すると共に、更に進んで現在実施中であります新漁業法による漁業制度改革を円滑に進めるために、この種漁業に対する緊急な措置を講ずる必要が生じたのであります。  次にこの法律案内容を簡單に説明いたします。先ず、この法律案による減船整理は、昭和三十一年三月三十一日までに完了する計画でありましてこの整理が完了するまでの小型底びき漁船許可は臨時的に一年以内の許可という特別措置をとりまして、現在操業いたしております総数三万五千隻を二万隻程度に圧縮しようとするものであります。二万隻というのは戰前の操業隻数でありまして、大体において資源量と一応均衡が保たれるものと考えられるからであります。次に整理の方法でございますが、先ず農林大臣年度開始前に都道府県知事及び中央漁業調整審議会意見を聞きまして、当該年度整理すべき漁船隻数合計総トン数及び合計馬力数都道府県別に定めます。これに従つて都道府県知事は具体的に整理減船を実行しで参ることになるのであります。この場合、知事連合海漁業調整委員会関係漁業協同組合又は同連合会意見を聞いて、整理すべき漁船を指定することになつております。このようにして整理船を指定した場合、これに不服のある者は異議の申立ができるように規定しております。なお、この整理指定に伴いまして、当然この小型底びき漁業から脱落して参る漁民が多数出るわけでありますが、これについては、その転換を奨励する意味から、政府補助金を交付することにいたしておるのでありまして、すでに二十六年度分として二億四百万円が補正予算として認められております。又二十七年度分は三億一千八百余万円が予算に計上されております。以上が本法律案の概要であります。  委員会におきましては、衆議院から送付して参りまして以来、十数回に亘り愼重審議を重ねたのであります。その結果、最も大きな問題として取上げられたものが二つあるのであります。その一つは、減船整理の代償として政府から船主に交付される補助金補償金とも言うべきものである。然るにこの金に対して所得税を課することになつておる。そうすれば船主手取りは殆んど半額以下になるのであります。第三は、船主には補助金が交付されるが、乗組船員が失業する場合、何らの措置も講じていないことであります。委員会といたしましては、事の寛大性に鑑みまして、松浦、青山の両委員を最も多く整理の対象になつておる瀬戸内海方面に派遣いたしまして実情を調査いたしたのであります。その結果、委員会としては、政府当局の反省を求め、その不当を追及し、松浦委員を初め全員一致、その実現を迫つたのであります。政府当局も熱心にその対策を研究いたしました結果、課税問題は、大蔵省にお願いいたしまして、租税特別措置法作つて漁船の再評価をなして六分の課税にとどむることに相成つたのであります。又失業救済問題については、昭和二十六年度の整理にかかる乗組船員に対してはその給料の一カ月分を支給し、二十七年度以降の整理船員に対しては失業保險に付する措置を講ずることといたしたのであります。なお、転職の斡旋、沖合漁業への転換等についても格段の努力を拂うことを政府当局より言明されたのであります。なお、いろいろ質問応答がありましたが、詳細は速記録によつて承知を願いたいのであります。  質疑を打切り、討論に入りましたところ、全委員から、法の実施当り万遺憾なきを期すること、取締を嚴重に行い、再び無許可漁船違反船などを出さないよう政府当局に警告をいたしまして、賛意を表されたのであります。採決の結果、本法律案全員一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告いたします。(拍手
  10. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  11. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ―――――・―――――
  12. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第四、日本製鉄株式会社法廃止法の一部を改正する法律案日程第五、輸出信用保險法の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出衆議院送付)以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。通商産業委員長竹中七郎君。    〔竹中七郎登壇拍手
  14. 竹中七郎

    竹中七郎君 只今議題となりました日本製鉄株式会社法廃止法の一部を改正する法律案通商産業委員会におきまする審議の結果を御報告申上げます。  日本製鉄株式会社法廃止法は、御承知のように、日本製鉄株式会社法を廃止すると共に、これに伴う経過的措置規定したもので、昭和二十五年八月五日法律第二百四十号を以て公布施行されたものであります。同法附則第五項乃至第七項によると、日本製鉄株式会社の第二会社である八幡製鉄株式会社及び富士製鉄株式会社の二社に対して、財団組成のため猶予期間を認め、二年間を限つて一般担保による社債の発行を許容すると共に、見返資金等担保についても特例を認めているのでありますが、官営八幡製鉄所以来の長い歴史と厖大なる資産のため、財団組成手続予想以上に煩瑣であり、多くの時日を要したのみならず、一方、同法制定当時から客観情勢も全く一転して、我が国鉄鋼業合理化は内外から強く要請されて参りまして、両社設備資金需要額も同法制定当時の予想に比し著しく増大し、組成を必要とされる財団範囲もおのずから大となり、従つて同法に規定された二年間の期限である本年八月四日までには所要の財団組成を完了することは極めて困難となりました。そこで同法で規定している猶予期間をいま一カ年延長しようとするのが本法律案骨子であります。  本法律案に対して、衆議院におきましては、現下鉄鋼業客観情勢から、両社合理化を更に徹底化させるため、政府原案より更に一年、都合二年間の猶予期間を認めるよう修正して本院に送付して参りました。本通商産業委員会におきましては、衆議院送付修正案愼重審議いたしまして、採決の結果、全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました。  次に輸出信用保險法の一部を改正する法律案につきまして、通商産業委員会におきまする審議経過と結果を御報告申上げます。  輸出信用保險制度は一昨年三月に初めて施行せられ、最初に先ず甲種保險制度、即ち為替制限や戰争等の非常危險に基く損失保險により救済し、次いで昨年十二月の一部改正により、乙種保險制度、即ちいわゆるプラント輸出に伴う長期間の信用危險を救済して参つたのでありますが、今回更に、丙種丁種の新らしい保險制度を追加すると共に、甲種保險にも若干の修正を加えようとするもので、これらの改正のため、別途二十七年度予算特別会計の基金十億円増額を決定しているのであります。  そこで、本法案骨子でありますが、要点は三つでありまして、改正の第一点は甲種保險で、被保險者輸出業者のほか新たに設備等生産者をも加えることとし、損失填補範囲を拡大いたしまして、航路変更による損失なども加え、又現行の比例填補制を改めて実損填補制として、予想せられる危險大小に応じて保險料率に差等を設けると同様の効果を狙つたことであります。改正の第二点は丙種保險創設で、政府はこの保險契約に基き、金融機関に対して、その融通した輸出資金が返済不能となつた際に、その七五%まで保險金政府が支拂うこととし、これによつて輸出金融円滑化を図ろうとするものであります。改正の第三点は丁種保險創設で、これは輸出見込の有望なる銘柄商品について、輸出業者製造業者等眼路開拓のため広告宣伝行なつた際、若しその効果がなく、思うような輸出ができないで宣伝広告費の回収ができなかつた場合は、その五〇%を保險によつて政府が支拂つてやろうという制度で、これによりまして市場開拓積極化を図ろうとするものであります。  以上の改正案に対し、本委員会におきましては、業界から参考人を招致して意見を徴するなど、極めて愼重に且つ熱心に審議したのであります。本法案で新設せらるる丙丁両極保險は、政令によつてドル地域に対する輸出促進に限定する政府の意向ですから、参考人の中にはドル地域のみならずポンド地域に対しても実施して欲しいという意見がありましたが、委員会といたしましては、現下貿易情勢から見て一先ずドル獲得を主眼としたいという政府意見を了承することといたしました。又丙種保險におきまして、七五%の填補率では不足ではないかということ、並びに保險料負担金融機関負担とするか業者負担とするかについても、中小企業信用保險の例に鑑みまして、疑問を質したのでありますが、一応実施してみて、その成果により次の改正の機会を待つということにいたしました。その他種々な質疑応答が行われましたが、技術的に亘るものが多いので、詳細は速記録に讓ることといたしたいと思います。  かくして質疑を終り、討論に入りましたところ、境野、島の両君から希望を附して賛成意見が述べられ、終つて採決の結果、本改正案全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。  右御報告をいたします。(拍手
  15. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  16. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて両案は可決せられました。      ―――――・―――――
  17. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第六、外務公務員法案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長報告を求めます。外務委員会理事徳川頼貞君。    〔徳川頼貞登壇拍手
  18. 徳川頼貞

    徳川頼貞君 只今議題となりました外務公務員法案につき、外務委員会における審議経過並びに結果について御報告申上げます。  先ず本案内容を御説明申上げます。政府の説明によりますると、外務省に勤務する国家公務員は、他の行政官庁公務員と異なり、国際的な対外的な性格を持つているので、その特殊性を加味した身分関係法規が必要である。よつて国家公務員法特例その他を規定した外務公務員法制定し、外交再開後における外交領事事務民主的能率化を図るというのがその精神であります。  次に法案の主要点を申上げますと、先ず外務公務員を、特別職である大使、公使政府代表全権委員等と、一般職である外務公務員に分類定義いたし、一般職である外務公務員は、本法に定めた特例以外の事項については国家公務員法適用を受け、又特別職たる者も、国家公務員法に定める服務に関する四カ條、即ち職務に専念すること、上司の命令に服すること、信用を保持すること、秘密を守ることを義務付けられているのであります。次に、国家公務員法特例を定めた事項といたしましては、職階制に関する事項では、官職の格付外務大臣が行うこととしたこと、公の名称として、参事官、書記官等名称を用い得ることにしたこと、任免に関する事項といたしましては、本人又は配偶者が無国籍人外国人、又は二軍国籍人である場合は、外務公務員たることを得ないこと、これは外国人との婚姻を禁じたものではありません。例えば、外国婦人と結婚いたしましても、その婦人当該外国国籍を喪失し、日本国籍を取得する場合はよろしいのであります。又、大公使は、外務大臣申出により内閣が任免し、天皇の認証を必要としたこと、待命一年の制度を設けたこと等であります。身分の保障に関しましては、外務大臣行政上の措置を要求する場合には、新たに設けられる外務人事審議会の前審を経ること、外交機密漏洩による懲戒処分の再審査要求は、その性質上外務大臣に対して行うこと等であります。その他、給與能率服務罰則名誉領事任命外国人採用等につき規定いたしておりまするが、詳細についてはお手許に配付の資料によつて承知願いたいと存じます。なお政府といたしましては四月一日から本法の施行を期待いたしておるのでございます。  外務委員会は、三月二十日政府提案理由を聴取いたし、二十八日に質疑を行い、なお人事委員会所管とも関連いたしておりますので、三月二十五日、二十六日、二十八日及び二十九日の四回に亘りまして、外務人事連合委員会を開き質疑を行いました。質疑におきましては、在外公館設置の場合、大公使任命基準、大公使のポストは政党の論功行賞に利用されないかとの危惧、何故外務公務員法という特例的な法律制定したかの点、外交官任用の方針等々について熱心なる質疑応答が行われました。特に質疑応答の繰返された点は、第一は、本法制定は、国家公務員法精神人事院権限を破壊するものではないか。第二は、第五條所定外務職員格付外務大臣に讓ることは国家公務員法との間に不均衡を生じないか。第三は、第十九條、第二十條及び第二十一條の外務人事審議会は公平に運用できるか。言い換えれば、懲戒処分をするのも外務大臣、その処分に対する審査請求最後的判定外務大臣であつては、結局外務職員は十分保護されないではないかの三点でございました。政府は、第一の点につきましては、外務公務員法制定は、国家公務員法制定のときにその附則で予見されていたところであつて、決して国家公務員法精神を破るものでも又人事院権限を壊わすものでもないと答弁し、第二の点につきましては、絡付の訂正権人事院に保留されておることでもあり、実際において国家公務員法との間に不均衡は生じないと答え第三の点につきましては、外務人事審議会人事院公平委員会も結局同じ運営となるわけであつて人事院人事院職員のみならず外務省職員懲戒に付す権限を持つておるが、そのような事例の生じた場合、その処分に対する請求最後的判定人事官会議体である人事院がこれをなすのであつて処分をした者がその処分に対する不服の最終的判定者となるのであるが、事実上、人事審議会なり公平委員会意見が尊重せられるであろうと思われる旨の答弁がございました。なお、詳細は速記録につき御承知を願います。  次いで三月二十九日、質疑終了の後、外務人事連合委員会を解き、引続き外務委員会に移りまして、討論を経て採決を行いましたところ、多数を以て政府原案通り可決いたしました次第でございます。  以上御報告申し上げます。(拍手
  19. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 本案に対し討論の通告がございます。発言を許します。千葉信君。    〔千葉信登壇拍手
  20. 千葉信

    千葉信君 私は労農党を代表いたしまして、只今上程されました外務公務員法案に反対の意見を表明するものであります。  結論から先に申上げますれば、本法案国家公務員法に定められた民主的な公務員制度に基本的な例外規定を設け、公務員制度の体系を紊乱し、人事院権限を圧縮して、やがては、新憲法以前、即ち身分、利益等の公平なる保障を抹殺し、且つ無定量の勤務を要請せられた曾つての天皇の官吏を再現しようとするかに疑わざるを得ないものがあるのであります。即ち單なる国家公務員法特例法としては余りにも基本的な例外規定が多く、例外規定というよりは、むしろ国家公務員法に矛盾し牴触する條項が随所に散見されるのであります。御承知のごとく、国家公務員法附則第十三條に基く特例法としては、先に教育公務員法が制定せられ、その任免、服務等についての規定が設けられておりまするが、同法第二十三條には「この法律中の規定が、国家公務員法又は地方公務員規定に矛盾し、又はてい触すると認められるに至つた場合は、国家公務員法又は地方公務員法の規定が優先する。」旨の規定を明確に定めているのであります。然るにこの外務公務員法においては、何らこのような国家公務員法優先の規定は設けられていないのであります。大河の堤防も蟻の穴から崩れると申しますが、敗戰後七年、漸くにして築き上げられつつある民主的な公務員制度も、吉田外相の指揮下にある霞ヶ関官僚の陰謀によつて、今やその基礎が崩されようとする危機に直面しているといつても過言ではないのであります。現在のごとく法に定められた給與べースの勧告さえ常に完全には実施されない公務員にとつては、国家公務員法に期待する唯一のものは、今日にあつてはただ身分保障の規定あるのみという状態でございます。然るにこの唯一の基本権さえもが、この法律においては奪われようとしているのであります。即ち外交機密の漏洩云々という抽象的な事由によりまして懲戒処分を受けました場合に、この処分に対しては人事院に対する審査の諸求権も與えられないのであります。而も笑止なことには、処分権着たる外務大臣審査請求を行うという規定を設けて保護規定のごとくに見せかけ、その実、審査の結果については外務大臣が判定することになつており、弁護人を選定する権利さえも剥奪されているのであります。審査請求は第三者機関に対して行なつてこそ公正な決定も期待できましよう。処分を受けた者が処分権者に対して審査請求を行い、而もその処分権者がその判定を行うという、これで公正な決定がなされるかどうかは言わずして明らかなことであります。  而も重視しなければならないことは、この懲戒規定が、外務公務員でないところの外務省勤務の一般職員、運転手、守衛、給仕、書記等に至るまで本法附則第二項によつて準用されることになつている事実であります。これらの一般職員がたまたま外務省に職を得たために身分保障の権利が失われるということが、果して国家公務員法規定に矛盾しないと言えるかどうか。又かかる法律国家公務員法特例法として了承することができるかどうか。而も外交機密の漏洩云々という事例については、如何なる基準も又前例も示されていないのであります。提案者側が人事院に代るものとして弁明される外務人事審議会というものがありますが、その構成たるや、五人のメンバーのうち一人は処分者側である外務省官吏、他の三人は外務大臣任命にかかるものとなつております。こういう機関が処分権者たる外務大臣に対して第三者的な立場に立つて公平な審査を行い得ると誰が期待する者がありましようか。まさに羊頭を揚げて狗肉をひさぐものであります。殊に、これらの点に関し、国家公務員法実施の責任を有する人事院としては重大な関心と愼重なる態度を持すべきであるにもかかわらず、むしろ進んで賛意を表明したその態度は、如何に人事院廃止論におびえたりとはいえ、公務員の諸権利保障の重責を放棄するものであり、浅井総裁以下人事官諸君の猛省を促すゆえんであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)  次に職階制の問題があります。即ち本法案第五條において、官職の格付は、国家公務員法、職階法のそれぞれの規定にかかわらず、外務大臣がこれを行い、必要な事項政令で定める旨規定しておりまするが、これ又明らかに国家公務員法及び職階法の規定に牴触するものであります。この点につきましては、人事院より、格付の改訂の権限人事院に残されていると解釈するとの希望意見が述べられました。若しこのような希望意見を貫こうとするならば、本法案第五條の規定は当然修正を加える必要があります。あらゆる官職に対し広い視野に立つて公平且つ総合的に検討さるべき職階制の理念は、この意味からは根本から崩れ去つたというべきだし、職階制の確立を前にしてすでにその全体の調和は崩れ去つたと言わなければならないのであります。なお、このほかにも、任免、昇任等、特に規定を設けて外務省令で定めることとし、給與についても又別個の法律に讓り、大使、公使については戰前の霞ケ関官僚の特権意識の名残をとどめる待命制度を設ける等、外交畑治外法権の片鱗を窺わせているのであります。  なおこの際一言附加えておきたいことは、本法附則第三項において、政府代表、全権委員及びその代理等を特別職とする旨の規定を設けているのであります。昨年の夏、講和会議に全権派遣の問題が論議された当時、野党側より、全権委員等はその職務内容等から当然特別職とすべきではないかとの正論が述べられましたのに対して、政府並びに與党はこれに反対し、一般職として取扱うことを主張し、当時岡崎官房長官は、別の立法でやるべきかどうかいろいろ検討し、自由党にも相談したところ、衆議院の多数を占める自由党の人々の意見は、この方法が一番適当であるということであつた旨述べておられます。その舌の根も乾かないうちに、この法律附則でひそかに全権委員等特別職にしようとしているのであります。又人事院は、全権派遣の問題が論議されるや、あわてふためいて人事院規則一―八なるものを定め、全権委員等一般職であるという不見識極まる解釈を主張しながら、今回の措置には何ら反対意見の表明もしないのであります。まさに人事院の権威は地に墜ちたと言わなければなりません。憲法第九條の非常識極まる戰力の解釈を初めとして、注解釈が権力的便宜主義に堕し、その時その場に応じて歪曲される風潮は、現内閣の残した大きな悪弊であり、法律解釈の濫用はやがてフアシズムヘの道に通ずるものだとして、良識ある国民のひとしく憂えるところであります。  これを要するに、政府は、愚劣な秘密一点張の外交を、性懲りもなく秘密外交を今後も強行するために、而もその外交上の秘密を理由として、その外交上の機密など片鱗だに知る由もない下級職員、給仕、小使、運転手諸君に至るまで、国家に重大なる不利益を與える外交機密の漏洩などを口実に、気ずい気ままに首切できる権限外務大臣に與えようとしております。日本防衛に名を藉り、外務大臣を背後からあやつるものの存在を思い合せれば、この法律は、日本外交の自主性を抑圧するために、政府が威嚇され、人事院が脅迫されて、でつち上げられた疑いある法律案であるとさえ極言せざるを得ないのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)  私は以上の理由から本法律案に反対いたします。
  21. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 兼岩傳一君。    〔兼岩傳一君登壇拍手
  22. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 私は只今議題になつておる外務公務員法に対し、日本共産党を代表して反対するもりであります。  今、全世界に第三次大戰の不安が漂い、平和を求めて全人類がこれと戰つておる現在、特に朝鮮事変が戰争か平和かの分岐点に立つ極東において、日本政府一つ一つの外交は、若しその一歩を誤まれば、日本を焦土にし、国民を墓場に放り込む危險があるのであります。この空前の困難に際し、日本政府の外交を進めて行く態度は、全国民の納得と支持の上に、全国民と共にこれを推し進めて行かなければならないことは論を待たないのであります。然るに吉田内閣の方針はこれと正反対に、国民に知らせず、国民の納得も支持もなしに、ときには閣僚にも諮らず、吉田総理とその側近によつて外交が進められ、これが吉田外交即ち秘密外交と呼ばれておるところのものであります。而も古田政府の秘密外交たるや、これは尋常一様の秘密外交ではないのであります。例えば日本国会では、昨年我々は行政協定の内容を何一つ知らされないで、それを前提とするところの平和條約、安保條約の審議を無理やりにやらされておる。つい最近行政協定を我々が見せられたときには、すでにそれは調印された調印済みのものである。おまけにその行政協定には、今日なお発表されぬ秘密條項があると言われておる。ところがアメリカの国会ではどうでしようか。事態はまさに正反対であります。行政協定及び秘密の條項まで全部が明からにされ、その上で平和、安保の両條約が審議されておる。これがアメリカの国会であります。又敗戰国民党の台湾国政府と国交を結ぼうとしておるところのやり方、又吉田書簡と呼ばれておるところの、この秘密なやり方、これはアメリカの上院議員ブルースター氏が、昨年の秋サンフランシスコ会議のとき、すでに、吉田総理は中国と調印しないで台湾国を承認するという証文を入れて来ておるということを暴露いたしております。又最近吉田総理は、中国との貿易杜絶による日本経済の窮状を述べ、アメリカ側にドルの援助方を懇請する極秘の書簡を送つておると伝えられております。ところがどうです。メキシコでは最近アメリカの軍事援助を拒絶いたしました。イランがアメリカの融資を拒絶いたしました。インドネシアでは、アメリカの経済援助協定に外務大臣が調印したというその理由で、インドネシアの内閣は総辞職をしております。その理由は、これらの経済援助の裏には必ず秘密な政治的要求が隠されておるからであります。吉田政府の秘密外交は、その政治的要求を日本国民には知らせないで、アメリカ側とだけは万遺漏なく打合せるというやり方で、一般独立国の外務当局が外交機密を守るという外交原則とは全く似てもつかぬ代物であります。  只今提出されております外務公務員法こそは、この吉田秘密外交を更に徹底的に推し進めるために提出されたものであります。例えば二十七條によりますと、秘密を漏らした外務公務員は、一年以下の懲役、三万円以下の罰金に付するとなつておりますが、この懲戒に付せられることに不服な者は、十九條によりますと、人事院には提訴することができないで、外務大臣審査請求せよとなつております。懲戒処分をやつた当の外務大臣請求をせよというのであります。ところで、この請求を受けた外務大臣は、これを外務人事審議会の調査と判定に任せる。ところがこの外務人事審議委員は五名でありますが、その五名の過半数である三名まで外務大臣任命した人物である。これでは、如何に外務人事審議会があろうとも、それは形式だけのことで、実際は外務大臣の思うままに懲戒処分ができるのでありますが、而も驚くことには、この審議会の審議には弁護人を付けることもできないし、非公開で秘密裡に審理をするという、封建時代の切捨御免そつくりのやり方で、民主主義も何もあつたものではないのであります。かくして、真に日本の独立と国民の幸福を念願する良心的な民主主義的な外務公務員は、秘密を漏らしたという名の下に、何の救済の途もなく追放されてしまうのは明らかであります。私はかかる悪法に断固反対すると共に、日本をアメリカの植民地として、平和なる中ソを攻撃するために、日本全土をアメリカの軍事基地とし、世界に類例のない治外法権を與え、李承晩、蒋介石、キリノのごとき傀儡政権と太平洋同盟を締結して、日本国民を挙げて第三次大戰のいけにえにするために、日本国民を欺むき、ウオール街の主人公のために秘密外交を行う吉田外務大臣、岡崎国務大臣こそが、日本国民の名において懲戒処分にかけられなければならないことを主張するものであります。(「冗談言うな」「そうだそうだ、その通り」と呼ぶ者あり)  更に注目すべき点は外国人に対する取扱であります。本法案二十五條によりますと、外務大臣外務本省並びに在外公館に外国人を採用することができることになつておりますが、この外国人に対しては、秘密を漏らして国家に重大な損害を與えても、これを理由にして刑罰を科することができないということになつております。(「どこの外務省だ、それは……性格がはつきりしているじやないか」と呼ぶ者あり)ここでいう外国人は、現在の吉田政府の向米一辺倒の外交方針からして、その殆んどがアメリカ人であつて、而もそれが指導的な重要任務に就くことは想像にかたくないのであります。だからこそ、このアメリカ人が日本外交の機密を漏らして日本国民に重大な損害を與えても、これを理由として処罰できないように、この法律ができておるのであります。而も外務省行政協定の合同委員会の事務を担当することになるでしようが、そうなると、この法律でいう外交の機密とは、実はアメリカの軍事機密、アジア作戰の機密を指すことになり、外務省に対して特に嚴重に行政協定二十三條による米軍の軍機保護のために必要な措置が講ぜられることは明らかであります。こうなつて来れば、日本外務省は全くアメリカ国防省の秘密下請機関となり、アジアにおける反ソ反共の陰謀の伏魔殿になるのであります。(「でたらめを言うな」と呼ぶ者あり)すでにその一つの現われとして、外務省は、世界経済会議出席のためのモスクワ行きの旅券発給を、日本国憲法及び旅券法を蹂躪してこれを拒絶しておるのであります。これは、外務省が、日本人のため、世界平和の役割を離れて、民族解放の愛国運動を弾圧する秘密特務機関に転化しつつある証拠の一つであります。私は、日本外務省をアメリカ国防省の特務機関に堕落させるこの法律案に断固として反対するものであります。  最後に第十六條の査察制度の問題を見ましよう。これによると、外務大臣は、在外公館の事務が適正に行われているかどうかを査察するために、密使として、みずから選任した査察使を海外に派遣し、外務大臣はその査察使の報告に基いて必要な措置をとるという制度を作ろうとしております。これはまさに外務大臣の独裁権を強化するスパイ制度以外の何ものでもありません。殊に吉田外相のごとく側近政治を好む人物の下におきましては、自己の好む側近者を査察使に用いることによつて在外公館に圧力を加え、外交が挙げて吉田一家の私物となり、良心的な硬骨外交官は退けられ、ひたすら吉田外相の鼻息を窺い、その意を迎えることにこれ努める、茶坊主的な外交官が跋扈し、ひいては日本外交を誤まらしめ、国威を辱かしめる危險が多いのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)このように、外交を一外務大臣の独裁に任せ、その私物と化するために官僚機構を復活しようとする本法案に、我が党は絶対に反対するものであります。  政府はこの法案国会に提案する理由として、これによつて外交活動が民主的且つ能率的になると説明しております。私は以上の簡單な説明によつて、本法案が、吉田とその側近者を中心とする少数者にとつてだけ民主的であり、且つ吉田式秘密売国外交を最も能率的に行わしめるものであるということを明らかにしたつもりでございます。緑風会、民主クラブ等の諸君愼重なる考慮を要請する次第であります。(笑声、拍手
  23. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 森崎隆君。    〔森崎隆君登壇拍手
  24. 森崎隆

    ○森崎隆君 私は社会党の第四控室を代表いたしまして、この法案に反対の意を表したいと思います。  第一の理由は、審議につきまして原則的な理由を私たちはどうしても忘れることができないのであります。この法律案は、つい四、五日前に突如として出されまして、人事委員会の私たちの合同審査の申入れに応じましてまあ三回開いて頂きました。恐らく外務委員会愼重に何回審議をされましたか、私は存じませんが、それは五回以上の審議はなされなかつたろうと私は想像をいたします。こういうような重要な法案が突如として出されまして、国会で大事な法案を待ち受けている案外閑な段階におきまして、月末までに上げなければならないといつた理由で、十分審議を盡さないような、そういう一つの予定を考えた上で出されて、これが本日の会議に上程されますこと自体に、非常に私は不満がある。果してこれが民主的な参議院の審議のやり方であるかということに深い疑いを持つのであります。従いまして、この法案の十分な審議が第一にできません。  第二には、この法案についてはどうしてもしなければならない修正の個所がたくさんある。あなた方は帰つて今日でも明日でもいいのですが、自然休会の間、これは二時間だけ時間を取つてこれを読んで頂けばわかる。国家公務員法がありますから、両方を一度勉強して頂きたい。両方を比べまして逐條審議を家でやつて頂きます。そうしましたら矛盾だらけです。どうしても直さなければ、参議院の議員として本当にこれは良識に恥じなければならないようなものがたくさんある。これを私は指摘いたしたい。そこを何とか修正いたしたいということを、つくずく私は口をすつぱくしていろいろ申上げたのでありますが、とうとう外務委員会では押切つて、今この通り上程されております。これは非常に私は遺憾だと思います。今後我々は法律案審議につきまして、政府が如何なる政略的な意図を以て、丁度今出せば通るだろうというので、時機を狙つて突如として出して参りましても、参議院は、おつと待つた、もう少し考えさせろと言つて、十分に審議をして頂いて、参議院本来の使命を達成して頂かなければ……。これは具体的な事例なのです。これは特に皆様方に訴えたいと思う。非常に、私はここで、こういうような單なる簡單な過程、審議も盡さずにやりまして、委員長報告が済んで、三人の反対討論の者が出まして直ぐ採決で満場一致とか何とかいつてやられてしまつては、これはあとから困る。政府自体が困ります。外務職員自体が困ります。日本法律がこれによつて非常に冒涜されます。これをあなた方は考えて、この責任をどうしてとりますか。この原則論を特に私たちは一つ皆さんに御認識を頂きたい。これが私たちの第一点であります。  いま一つは、人事院権限が実質的にこれが非常に制約されて来ております。同時に国家公務員法に関しまする違反事項がこの中にたくさん出て参つております。言い換えましたならば、これには二つの面がございます。第一は、外務職員自体はそう考えていないかも知れませんが、外務職員の幹部連中はとんだ考えを持つているのじやないかと思うのです。国家公務員の中で、外務省に勤めている俺たちは、少し毛色の変つた、優秀な、埓外な人種か、公務員種か何かわかりませんが、そういう一つの潜在的な優越感というものを持つているのじやないかと私は思う。ところが、この優越感でこういう法律ができ上つて通りますと、その結果、外務職員全体が、これによつて非常に自己の国家公務員としての身分の保障その他の問題でやがて困る時期が必らず来ると、私は今から断言申上げたい。幹部連中は来ないかも知れませんけれども、外務関係の職員というものはたくさんあります。運転手の人もありますし、小使さんもおりますし、いろいろあります。大多数の人が、これによつていろいろな不利益な面をこうむる。自己が正当な理由によつて主張する機会を得ようといたしましても、これは葬られる場合がたくさん出て来る。非常にこれは危險法案である。それ自体にいわゆる隆盛であらゆる権力を掌握した政府が我が世の春を謳つておるそのときに、これに追随した一部の幹部連中がそういう気持で作つたとするなら、後においてとんでもない問題が必ずこれは起つて参ります。具体的な事例につきましては、今前者の二人のかたがたからお話がありましたので、特に私は細かいことは申上げたくないと思いまするが、ただ一つ二つだけ申上げたいのは、第一は、今申しましたまうに、国家公務員法の蹂躪の一つ法案であるということが第一、この中にはいろいろな面がございまするが、私は格付の問題、昇任、又勤務成績の評定等が全部人事院から離れまして、外務大臣並びにその出す政令によつていろいろ決定されるということ、これもございましようが、一番大事なのは、前二者のかたがたも申されましたように、この第十九條から二十一條までの、この問題でございます。これは繰返すようで恐れ入りますが、特に申上げておかなければならないと思いまするが、これは外務大臣がいわゆる任命権者でございまして、任命権者である外務大臣が、お前はどうも悪いといつてこれを首を切る。国家の重大な機密を漏洩したというような理由で以て首を切る。首を切つて、切られたところの人が、私は秘密の漏洩をしたことはございませんといつて、いわゆるこれに対しまして審査請求をいたしました場合、これは公務員法に八十六條という規定があるにもかかわりませず、それを採用しないで、外務大臣にこの審査の要求をしなければならない。首を切つた人に、私は毛頭無実でございますから考え直してくれといつてつて行く。首を切つた人がそれに対して再び審理を受理し、審査請求を受理いたしまして、そこで、その結果ですね、受理した事項につきまして、それを判定して、判定に基いてこの職務は正しいと言つたり、或いは修正が必要、或いは取消をするということは、全部これは首を切つた外務大臣自体がしなければならない。これは恐らく文化国家のどんな国の法律におきましても、こういうようなことは、封建時代が持つておる悪風ならいざ知らず、こういうことは絶対にあり得ない。現段階において、こういうようなことが許されていいかどうか。非常に私は重大な一つの錯誤であると私は考えるわけでございます。そこで、それにつきまして機密漏洩の科を以て首を切られた場合にどうなるか。皆さん方常識的に考えて頂いてもいいんです。大使とか、公使とか、領事、又これに直属するところの重要な任務を帶びて一緒にこういう外交方面の職務を遂行している人々ならいざ知らず、運転手とか、コツクさんとか、給仕さんとか、掃除夫、宿直員といつたような人が、果して国と国との間の重大な機密そのものを漏洩するような、そういうことが果してできるかできないかお考え頂きたい。(「あり得るよ」と呼ぶ者あり)若しこれがあり得るとしましたならば、その任命権者自身に責任があると思う、これは……。そういうスパイを知らずして採用すること自体に外務大臣が……、(「よく知らないんだ」と呼ぶ者あり)よく知らないんならその外務大臣にならなければいいんだ。以てのほか。そういう場合に外務大臣自体が責任をとるということをここへ書けばいいんです。(「その通り」と呼ぶ者あり)それを書かないで、小さな小物に、若しそういうことがあつた場合、恐らく今はそういうプロパピリテイは実に微小なものだと思う。(「それは日本自身の考えだけだ」と呼ぶ者あり)これは常識です。普通の常識で考えたら当然これは言えることなんです。それを小さな、そういうところだけを首にするという、こういうような馬鹿なことは、一体、私は法律制定されていいのかどうか考えたい。同時に、この審査請求者に対しまして、さつき申しましたように、第三項でしたか、第一には弁護人が付けられてない。口頭審理につきましては、これは非公開。これは皆さん方が非常に日頃毒ずいておるところの、あなた方が非常にお嫌いな或る国の中にそういうような非公開の審理があるとか、闇のうちに鉄砲で殺されるとかいうことを非常に宣伝して書き立てておりますが、これと同じです。変らないんです。自分が悪日言つておるような、そういう政府の、やつておるか、やつておらないか、わからないが、やつておるとおつしやつて宣伝していらつしやる、そういう宣伝者自身が同じことをやろうとしておる。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)非公開ですからね。秘密裡にこれは審査して、銃殺と言うても仕方がない。秘密ですからね。或いは漏洩したということで、それで済むんです。こういう馬鹿な法律で、国家公務員のうちの外務公務員、これの全体の権限がこれで非常に危機に直面するということは以てのほか。絶対に私は許しがたい。こういう線をどうしても修正しなければ困るんです。今までお前の独断だ何だと言つていろいろデマを飛ばしておりまするが、これを実施して御覧なさい。実施したら必らず一年、二年のうちにこれの修正をしなければいけない個所が出て来ます。そのときにおきまして現議員であつた場合は、私は一発くらわしますよ。今賛成しておつて、あとになつて何だ。はつきり今から私はあなた方にはつきり申上げておきます。これだけは腹をきめてこれにかかつてもらいたい。(「わかつたわかつた」と呼ぶ者あり)わかつたらわかつたで責任を持つてもらいたい。  それからもう一つ、私は全体的な面からここで申上げたいが、法律案というものが政府提案されまして、委員会にかけられて、これをいわゆる我々審理をして行きまするが、法律案の中で例えば一條から百條まである中で、三條と五條は目下製作中だから、これはちよつと分けちまつて、ほかのだけ全部かけて、これを早く何とか通してくれと言つてあなた方通せますか。大事なものが抜けているのですね、この法案の中に……。何條でしたか、第四章ですかね。第四章の給與、第十三條にこう書いてあります。「在外公館に勤務する外務公務員給與は、在外公館に勤務する外務公務員給與に関する法律に基いて支給するものとする。」こう書いてあるだけなんです。(「いいじやないか、支給するんだから」と呼ぶ者あり)内容はわからない。内容がわからずして、すぐその前の所に勤務地手当の八割を支給するとか何とか書いて、いろいろなことが給與に関して出て来ておる。審議のしようがないのです。不完全な、大事なものだけ抜いてしまつて不完全な法律案を出して……不完全なことはわかつているのですよ。そうしてこれを出して、これを早く通してくれ、こういうような提案の仕方が果して民主的であるか、良心的であるか、これを又得々として委員会でこれを審議したような形で、これを通過さして行くようなことが、参議院の議員としてできるかできないか。(「できないぞ、できない」と呼ぶ者あり)これは皆様方に特に御判断願いたいと思う。而も公務員全体につきましては、給與の問題というのは非常に大事な問題ですよ。給與の問題は大事だ。この第四章の十三條、給與に関しては例えば国家公務員の中のいわゆる一般職給與のいわゆるそのべースをそのまま適用すると、ここに書いてある。これは問題はない。これはいろいろ勤務地が変つていろいろの問題が含まれているのです。それを全然出さないで、それだけ除けて、ほかの問題だけ審議しろ、はあ、かしこまりましたと言つてあなた方はやつているんでしよう。あとから又出すという、こんな馬鹿なことがありますか。これに関連したところのものがたくさんこの中に入つている。これでは私どもはまじめに審議できない。もう一つは原則的な問題でございますが、これはさつきも千葉議員が申されましたように、前の第十一臨時国会でございましたあの議院運営委員会において、我々が口角泡を飛ばして議論したのは、全権委員の例の一般職特別職で、無理矢理あのときは一般職だと押切つてしまつたのです。これは、今度はこれは良心的に特別職だと思いましたので、入れました。……とうとうこれは特別職に入れてある。その問題は繰返して申しませんが、この中には外務職員の中でいわゆる一般職に入るべきものがやはり外務職員特例法という形の中に入つている。これは皆さん方は給與に対する法律国家公務員法等につきましてはお素人のようでございまして、何でもないように考えているようでございますが、これは私は将来に悪例を残すと……(「自惚れるな」と呼ぶ者あり)例えば加藤君も知つてるはずです。一般職に現業職員がおりますよ。特別職にも現業職員がおりますよ。一般職特別職の両方に現業職員がいるから、一般職特別職から除けて現業職というものの法律を作つてくれといつた場合は成り立つでしよう。こういうように法律を複雑化し、こういうものにでつち上げて、特例というものに名をかりて、国家公務員の枠外に掲げて優越感を感じようと、従つて、その背後に危險を感ずべきことを知らずしてこういう法律を出して、その中に今言つたような給與体係、又公務員に対する給與規定というものをだんだん複雑化して行くような出し方、こういう法律案というものは、私たちはもつと時間を頂きまして、まじめに考えて、果してこれでいいか、止むを得なければこれをどういうように国家公務員法との間に関連性を持たして行くかということについて、もつと考えなければならん。少くとも国家公務員法違反の事件が六事項はこの中にあります。もう時間がないからあえて一々申しませんが、六事項だけは国家公務員法違反。一方の大切な法律を犯してまで無理やりにこの法律を作ろうという、とんでもない。特例じやない。特例といつては許されまい。それ以上に法律を踏みにじるようなそういう事項がこの中にあるということを申上げる。今日私たちは或いは採決の結果負けましようけれども、あなた方は勝つても、参議院議員の良識におきましてお帰りになつてこれを研究して頂きたい。笑い事ではありません。後になつて後悔したりすることのないように、この問題は政党政派にかかる問題でない。良心的に法律審議する責任者として申しておる。責任者の一人々々に申上げたい。こういうことがまじめに審議されてこれが採決されるなんということは……、私は実際皆さん方が参議院の本来の使命とかえらそうにおつしやつておられますが、それは口先ばかりのことであろうと考える。  いろいろ申したいことが多々ございますが、私は抽象的に以上の数点だけを特にお訴え申上げまして、特に今後とも法律につきまして提出されますときには、提出の仕方、審議の時期、良心的な修正につきましては、まじめにお互いこれは考えなければならない。特に私たちは皆さん方にこの点を御忠告申上げて、私は反対論といたしたいと思います。(拍手
  25. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立〕    〔「馬の耳に念仏じや」と呼ぶ者あり〕
  26. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ―――――・―――――
  27. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第七、新たに入学する兒童に対する教科用図書給與に関する法律案内閣提出、議院送付)を議題といたします。  先ず委員長報告を求めます。「文部委員会理事木内キヤウ君。    〔木内キヤウ君登壇拍手
  28. 木内キヤウ

    ○木内キヤウ君 只今議題となりました新たに入学する兒童に対する教科用図書給與に関する法律案につきまして、文部委員会におきましての審議経過並びに結果を御報告申上げます。  本法案は、毎年度新たに小学校、盲学校、ろう学校及び養護学校に入学する兒童に対しまして、兒童が国民としての自覚を深めることに資すると共に、その前途を祝うために、国が国語及び算数の教科用図書給與する制度を恒久的に確立いたそうという趣旨を持つものでございます。(「どうして全学年入れないのだ」と呼ぶ者あり)御承知の通り昨年第十国会では、昭和二十六年度に入学する児童に対する教科用図書給與に関する法律が成立いたしまして、これによりまして昨年四月にも新入学の兒童に対しまして教科用図書給與いたされましたが、同法と本法案とを比較いたしますると、第一に、前者は昭和二十六年度限りの臨時角制度でありましたのに対し、本法案は一応恒久的制度として立案されております。第二には、前者が、教科用図書給與について市町村又は都道府県が直接責任を持ち、国が費用の面で半額を援助するという形をとつておりましたのに対し、本法案では国が特に費用の面におきまして全責任を持つことになつております。第三には、昨年の法律では給與を受けまする兒童は公立学校への新入学生に限られておりましたが、本法案におきましてはこれを国立及び私立の学校へも拡張いたしております。これらの諸点におきましては、本法案は昨年の臨時措置法に比較して著しい進歩改善を示しており、委員会審議におきましても各委員の了承されたところでありまするが、委員会が最も問題といたしました点は、本法案の第一條に掲げられたこの法律の目的についてであります。第十国会で成立いたしました昭和二十六年度に入学する兒童に対する教科用図書給與に関する法律におきましては、「この法律は、義務教育の無償の理想のより広範囲な実現への試みとして」云々と其の目的を掲げておりまして、当時の委員会も又、憲法第二十六條に規定されておりまする義務教育無償という大原則への一歩前進と認めて同法を可決いたしました次第であります。然るに、先ほど申上げました通り、本法案はその実質においてこの法律を更に改善いたしており、その意味においては義務教育無償の原則を実現いたそうとする試みでありますことはまさに同様でありまするにかかわらず、本法案の目的を規定いたしておりまする第一條を見ますると、その目的は單に「兒童の国民としての自覚を深めることに資するとともにその前途を祝うため」ということに限定され、義務教育無償の原則の実現に関する表現は全く抹消されております。この点については、矢嶋、岩間、相馬、高田、荒木の各委員及び委員長から政府当局に対して細密な質疑が行われましたところ、政府当局からは、「本法案も又その根抵において義務教育無償の原則を実現しようとする意図を持つものではあるが、義務教育無償原則は、将来義務教育費国庫負担法を成立させることによつてこれを本格的に実現する予定であり、本法案はこの点に重点を置かなかつたに過ぎない」という釈明がありました。  かくて質疑を終了いたしまして討論に入り、矢嶋委員からは、「本法案の目的において、本法案が義務教育無償原則実現への一環であることの表現が削除され、單にお祝い給與法案たる外見をとることは甚だ遺憾であり、又盲学校、ろう学校への新入学兒童に対して、一般兒童と同一程度の教科用図書給與をすることは、むしろ昨年の法律に比して改悪である」旨を述べられ、「政府は将来義務教育費国庫負担法の実現に全力を注ぎ、義務教育無償原則の実現に邁進すること」を要望して本案賛成の意を表明されました。相馬委員及び高橋委員からもほぼ同趣旨の賛成意見の開陳がありました。なお質疑応答及びこれらの討論内容の詳細は会議録に讓りたいと存じます。かくて採決に入りまして、委員会本案全会一致を以て原案通り可決いたしました。  以上を以て御報告といたします。(拍手
  29. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  30. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。      ―――――・―――――
  31. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第八、屋外広告物法の一部を改正する法律案日程第九、連合国軍人等住宅公社法を廃止する法律案、(いずれも内閣提出衆議院送付)以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。建設委員長廣瀬與兵衞君。    〔廣瀬與兵衞君登壇拍手
  33. 廣瀬與兵衞

    ○廣瀬與兵衞君 只今議題となりました屋外広告物法の一部を改正する法律案及び連合国軍人等住宅公社法を廃止する法律案について、建設委員会審議経過並びに結果を御報告いたします。  先ず屋外広告物法の一部を改正する法律案でありますが、本法案は、屋外広告物法実施二カ年半の実情に鑑み、同法の円滑なる運用を図るため所要の改正をなさんとするものであります。改正要点の一は、違反広告物の処理についてであります。現行法はこれに対する必要な措置の履行確保については行政代執行によるものでありますが、違反広告物の責任者が明らかでない場合における規定が不備のため、同法執行上支障が少くないので、これに関する規定を設けたのであります。その二は、広告物規制に関する都道府県知事の事務の一部を市町村長に委任できることとして、事務処理の簡捷を図つたことであります。  本委員会における審査の詳細は速記録によつて承知を願いたいのでありますが、質疑応答の主なる事項は、本法の広告物の範囲、移動、閃光によるものは如何、外国におけるがごとく広告に一定の場所を限り、これには相当の設備をすることはどうか、又違反の実情と違反広告物除去の状況などでありました。なかんずく質疑応答が重ねられました点は、本法の広告物規制の目的に関連して、違反広告物、特に故意に違反して広告効果を狙い、而もその設置管理者が明らかでない場合の処理でありました。改正案によると、広告を表示又は掲示する違反物件を除却するためには、相当の期間を定めて公告の上でなくては処置できぬ。かくては故意の違反者はその意図を達することとなり、本法の目的達成に不適当ではないかという点であります。当局は、そのほかの違反広告は直ちに処理できるが、その広告物件の除却については相当の手続を設け慎重を期したのであるとの答弁でありました。  かくて討論に入りましたところ、田中委員から、違反物件を直ちに除却できないことは故意の違反者にとつては広告効果を大ならしめることとなり、除却に手続を必要とすることは法の裏をくぐる者ができる虞れがある。従つて改正案が正しく執行されることを要望する。その励行方については政令又は通牒を以て措置されることを希望して本案賛成する旨の発言がありました。次いで採決の結果、全会一致原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に連合国軍人等住宅公社法を廃止する法律案でありますが、御承知の通り同法は、当時連合国軍人軍属及びその家族の緊急な需要に応ずるために、住宅を建設し、これを賃貸することを目的として制定されたものであります。同公社は米国対日援助見返資金から必要な資金を借入れて二千三戸を建設し、連合国軍人等より徴収する賃貸料を以て借入金の返済に充てていたのであります。然るにその後連合国総司令部の覚書によりまして同住宅は調達要求書により提供することとなり、その賃貸料は終戰処理費から支出することになりましたため、公社は單なる中間機関となり、その存在意義を失うことになつたのであります。今回、事務の簡素化、経費節減のため同公社を廃止して、これに属する権利義務は一般会計に承継することとし、公社解散に関する規定と共に関係法令の改正規定しておる次第であります。  本委員会においては、当局の説明を聽取いたしました結果、別段質疑もなく、討論を省略し、採決して、全会一致原案通り可決すべきものと決定いたしたのであります。  以上御報告申上げます。(拍手
  34. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  35. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて両案は可決せられました。      ―――――・―――――
  36. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第十、租税特別措置法等の一部を改正する法律案日程第十一、資産評価法の一部を改正する法律案日程第十二、通行税法の一部を改正する法律案日程第十三、災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律案日程第十四、国庫出納金等端数計算法の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出衆議院送付)以上五案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。大蔵委員長平沼彌太郎君。    〔平沼彌太郎君登壇拍手
  38. 平沼彌太郎

    ○平沼彌太郎君 只今上程されました租税特別措置法等の一部を改正する法律案ほか三法律案の大蔵委員会における審議経過並びに結果を御報告申上げます。  先ず租税特別措置法等の一部を改正する法律案は、住宅又は農地を取得するため、これらと同種の財産を讓渡した場合における讓渡所得の課税、住宅用に供する新築家屋の減価償却額の計算、新築家屋の取得する登記の登録税率、及び賠償指定施設の指定解除のあつた場合における法人税の納期について、それぞれ特例を設けると共に、臨時物資需給調整法失効後、生産奨励用筆の特殊の用途に供せられる酒類の加算税、及び航空機の燃料用に供する揮発油に対する揮発油税を免除する等の措置を講じようとするものであります。  次に資産評価法の一部を改正する法律案は、相続の場合には資産の再評価を行わず、資産の讓渡、贈與の場合には、再評価差額から十方円を控除して再評価税を課すると共に、賠償指定施設について指定解除後再評価行なつた際の課税の特例を設け、納期限を延長しようとするものであります。  次に通行税法の一部を改正する法律案は、汽車の特別二等の料金に対し新たに通行税を課すると共に、日本国有鉄道の徴収する通行税の納付方法について特例を認めようとするものであります。  次に災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律案は、災害があつた場合の所得税の減免をなし得る範囲を拡張すると共に、年の途中で災害があつた場合に、予定納税額を変更し、又は既納の所得税を還付する等の措置を講じようとするものであります。右四案の委員会における審議の詳細は速記録によつて承知願いたいと思いますが、質疑を終了し、四案を一括して討論に入りましたところ、小林委員及び菊川委員からそれぞれ希望を附して賛成意見が述べられ、採決の結果、いずれも全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に国庫出納金等端数計算法の一部を改正する法律案について御報告申上げます。  本案は、地方税の延滞金及び加算金の端数計算について、国税の場合と同様に、収納の場合は十円未満を切捨て、還付の場合は一円未満を一円に切上げることとし、外国為替等を基礎とする收入金又は支出金及び国債証券の利子の端数計算は、一円未満四捨五入の方法にそれぞれ改めようとするものであります。  本案は別段質疑もなく、討論採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定した次第であります。  右御報告申上げます。(拍手
  39. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより五案の採決をいたします。  先ず租税特別措置法等の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  40. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ―――――・―――――
  41. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 次に、資産評価法の一部を改正する法律案通行税法の一部を改正する法律案災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律案国庫出納金等端数計算法の一部を改正する法律案、以上四案全部を問題に供します。四案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  42. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて四案は全会一致を以て可決せられました。      ―――――・―――――
  43. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第十五、経済安定本部設置法等の一部を改正する法律案日程第十六、外務省設置法の一部を改正する法律案日程第十七、農林省設置法等の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出衆議院送付)以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。内閣委員長河井彌八君。    〔河井彌八君登壇拍手
  45. 河井彌八

    ○河井彌八君 只今上程せられました日程第十五、十六及び十七の各案につきまして、内閣委員会における審査経過並びに結果を順次御報告申上げます。  先ず経済安定本部設置法等の一部を改正する法律案につきまして説明を申上げます。この案は経済安定本部の外局であるところの物価庁をその内局に移し替えようとするのでありましてこれがために、関係法令即ち経済安定本部設置法、国家行政組織法、物価統制令及び地代家賃統制令の四つの法令に所要の改正を加えんとするものであります。即ち経済安定本部設置法につきましては、新たに内部部局として物価局に関する規定を設け、一方、従来の物価庁に関する規定を削除いたしたのであります。それと、従来物価庁の地方機構であるところの管区経済局の中の物価部を廃止して、その所掌事務をば調整部に吸収することにいたしたのであります。次に国家行政組織法につきましては、国の行政機構の表のうちから物価庁とあるのを削除することとしたのであります。なお物価統制令及び地代家賃統制令につきましては、この二つの勅令にあるところの物価庁長官という字句をば、経済安定本部総務長官に改めることにいたしたのであります。委員会におきましては、前後二回開会いたしまして審議をいたしたのであります。そうして元来この物価庁を経済安定本部の内局に移すということは、すでに戰後の物価が異常な変動をしておりましたのが徐々にこれが安定いたしましたので、昭和二十五年からその傾向が著しいので、物価庁をば経済安定本部の内局に組織替えをするということが適切と考えられまして、すでに二十五年の五月の法律を以て二十六年四月からこれを施行するということにきめてあつたのであります。ところが二十五年の六月に朝鮮事件が勃発いたしまして、やはりこれが物価の上において安定を欠く状況が現われましたので、従つてその施行期日をば二十七年四月一日まで延期せられておるのであります。従いまして今度の改正は既定の事実をそのままここに法文に現わそうという趣意であります。かようなわけでありまして、委員会におきましては何ら異議がありませんで、討論を省略いたしまして、全会一致を以て可決すべきものと議決いたした次第であります。  次に外務省設置法の一部を改正する法律案について説明を申上げます。  平和條約が効力を発生いたしますると、終戰以来行われておりましたところの連合国による日本の占領管理は終了いたして、従つて外務省の所掌事務のうちで占領軍関係の事務はその必要がなくなるわけであります。従いまして、外務省設置法の中で連合国による日本の占領管理に関する部分を削除することが必要となつておるのであります。更に又、昭和二十七年度予算によつて明らかにせられておるがごとく、政府の一般方針といたしまして、地方支分部局をば成るべくこれを整理するということになつておるので、外務省の地方支分部局も全部これを廃止することといたしたのであります。更に平和條約の発効によりまして、在外公館が設置せられまするので、これに伴つて領事館の領事事務も再開せられるのでありますれから、これに対して改正も必要となるのであります。これが外務省設置法の一部改正案の提出せられた理由であります。  そこでその内容を簡單に申しますと、平和條約の発効に伴つて、連合国最高司令官総司令部その他連合国最高司令官の下にあるところの官憲との連絡及びこれに関連する各行政機関の事務統合整理ということを外務省の任務ののうちからこれを削除しようというのであります。それから第二には、国際協力局におきまして、従来国際機関及び国際会議への参加並びに国際行政に関することについて掌つてつたのでありますが、それが本来の国際協力局任務であります。ところが、そのほかに附加えて、連合国との関係において日本占領管理に関する連絡事務、総合調整の事務、文書及び記録の収集及び研究に関する事務、又地方に置かれてありますところの連絡調整事務局に関する事務というものが加えられてあつたのでありますが、條約発効に伴いまして、この日本占領管理が終了いたしまする結果、これらの関係事務を削除いたしまして、国際協力局本来の事務を施行するにとどめようとするのであります。それから第三には、政府昭和二十七年度予算におきまして明らかにしているがごとく、一般に地方支分部局を大幅に整理するという方針を立てておりますので、外務省関係におきましても、地方支分部局であるところの札幌、仙台、横浜、横須賀、大阪及び福岡六カ所に設けてあるところの連絡調整事務局を全部廃止することといたす点が挙げられております。第四には、平和條約の効力発生に伴いまして、在外公館が逐次世界各地に設置せられることとなつております。そこで、これらの在外公館において取扱われます領事事務に関しまして、例えば船舶法、民法、旅券法、その他個々の法律の中にいろいろな規定がありますが、これを統括いたしまして、領事官の職務として規定した法律がないのであります。従つてこれらの諸規定の運用上必要な事項規定すると共に、これに基いて徴収いたしますところの手数料に関して規定をいたす必要があるのでありまして、それ故に領事官の職務とその徴収する手数料とについて新たなる規定を加えるというのであります。これが大体その要点でありますが、この法律は本年の四月一日から施行せられることになつているのであります。但し連合国の占領管理の終了に関して行うところのこの改正規定は、これは勿論日本との平和條約の最初の効力を発生した日から施行するということになつておるのであります。  内閣委員会は前と同様二回委員会を開会いたしまして、愼重審議をいたしまして、これを可決すべきものと全会一致を以て議決したのであります。そうしてその結果明らかになつた主なる点を申上げますると、第一は、六カ所の連絡調整事務局が廃止せられることになりましたが、現在これらの連絡調整事務局に残つている職員は大体三十名ということであります。これらの職員は局を廃止いたしますると共に外務省に勤務替えをするということであります。次に、この法律によりまして、領事官が行なうところの事務の処理に関しまして徴収するところの手数料の額は政令で定めるということになつておりますが、その全額につきましては、只今は大蔵省と外務省との間に折衝中であつて、まだ報告を受けておりません。第三の点といたしましては、領事官は、当該在外公館の所在地の状況により、又は手数料を納付すべき者に特別の事情がある場合において必要があると認めるときには、外務大臣の承認を経て手数料を減額し又免除することができるということになつております。この減額又は免除は相手国との相互主義によるということと了承いたしたのであります。  かようなわけでありまして、この法律案は、昭和二十七年度予算の成立と平和條約の効力発生に伴つて当然なさるべき必要な修正でありまして、全会一致を以てこれを可決いたした次第であります。  最後に農林省設置法等の一部を改正する法律案について申述べます。この案も委員会を開くこと前後二回、全会一致を以て可決すべきものと議決いたしたのであります。  案の内容を大別して申しますと、二つの事柄になるのであります。即ちその一つは、農林省設置法の一部改正の点、その二は水産庁設置法の一部を改正する点の二つであります。農林省設置法の一部を改正する部分について説明を申上げますと、その第一点は、農業改良局の統計調査部の所掌事務のうちに農林漁業に関する予測事業を新たに加えた点であります。この予測事業と申しますものは、農林漁業の現況を正確に分析把握いたしまして、その上に立つて将来の農林漁業の動向の見通しをいたしまして、その見通しをば個々的に分散しておるところの農林漁業者に提供いたし、これによつてそれぞれ経営の計画を立てさせる指針としようとするので、いわゆるこれはアウトルツク・サービスと申すことでありまして、その事務をば附加えようというのであります。第二点は動植物検疫所をば植物防疫所と動物検疫所に分離いたした点であります。これを分離いたしまする理由は、最近における輸出入検疫事務の増大、植物防疫法の改正等によりまする植物防疫事務の追加、家畜伝染病予防法の全面的改正による動物検疫事務の拡大、更に又、防疫に関しまする国際的条約への加入等のいろいろな事情のために、この二つを分けることにいたしたのであります。而してこの二つの仕事は性質から申しましても異なつたものでありまするから、この分離は必要なものであると認められるのであります。第三点は中国種畜牧場を新設いたした点であります。これによりまして種畜牧場は十五となるのであります。で、その新設の理由は、中国地方における農業経営の現状と種畜牧場の合理的配置という見地から、これを広島県に置くということが適当であると言うのであります。第四点は灌漑排水審議会を新たに設けた点であります。先に政府が加入の手続をとつておつたところの国際灌漑排水委員会に関する事務は農林省において所掌することになりました関係から、これらの事務の上に、更に灌漑排水一般に関する重要事項をも併せて調査審議する機関が必要となつたので、これを置くということにいたしたのであります。この四つが農林省設置法の一部を改正する法律案要点であります。  次に水産庁設置法の一部を改正する部分について説明を申上げます。その第一点は日本海区水産研究所の位置の移転であります。即ち従来日本海区水産研究所は七尾市に置いてあつたのでありまするが、それでは不便だという理由を以ちまして、これを新潟市に移す、こういうのであります。第二点は、秋田県和井内村に十和田湖孵化場、及び北海道に北海道さけ、ます孵化場を附属機関として設置する点であります。これらの機関を設置いたしまする理由は、最近における「さけ」「ます」類の資源の枯渇して来た現状又国際的に日本漁船の出漁範囲が制限されておる事情等を考慮いたしまして、さけ、ます類の孵化放流などの基本的な事業を国において行うことが特に必要であると認められたからであります。かような諸点がこの改正案内容であります。で、これらはいずれも昭和二十七年度から予算的措置が講ぜられてありまするので、この改正法律をば四月一日から施行いたそうといたすのであります。  内閣委員会において審査の結果、明らかになつた点を申しますると、定員の異動の問題でありますが、それは中国種畜牧場の新設によりまして十名、十和田湖の孵化場の設置によりまして三名。この十三名は水産庁内の人員の配置転換によつて行われるのであつて、特に増加するということはないのである。更に北海道さけ、ます孵化場の設置によつて百四十七名の増員が行われるのであります。なお、北海道さけ、ます孵化場の増員は百四十七名でありまするが、そのうちの百三十七名は地方自治法附則第八條関係の職員からその定員振替となるので、従いまして、この法律改正の結果、農林省としての定員の増加は百三十七名であるということが明らかになりました。第二に国際灌漑排水委員会についてでありますが、これは灌漑排水に関する技術指導について国際的の交換をすることが必要となるのでありまして、その国際的の灌漑排水委員会の本部と申しまするものはニユーデリーにあつて、現在三十四カ国がこれに加入しておるということであります。而して日本政府は、昨年即ち昭和二十六年の九月に国際灌漑排水憲章に加入いたしたということであります。第三は、十和田湖孵化場の場所は秋田県の和井内であり、又北海道さけ、ます孵化場の場所は札幌郡の豊平町に置くというのであります。第四に、本法案の施行に伴うところの予算的措置でありますが、統計調査部の所掌事務の中に農林漁業に関する予測的事業を新たに加えたために二千三百二十万円、中国種畜牧場の新設のために二千五百万円、灌漑排水審議会新設のために九十万円、又十和田湖孵化場及び北海道さけ、ます孵化場設置のために七千七百五十万円の費用が新たに必要でありますが、すでに昭和二十七年度の予算にこれが計上せられておるのであります。  内閣委員会におきましては、本法律案につき愼重審議をいたしまして討論を省略いたしまして採決に付しましたところ、全会一致を以て可決すべきものと議決いたした次第であります。(拍手
  46. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより三案の採決をいたします。三案全部を問題に供します。三案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  47. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて三案は全会一致を以て可決せられました。      ―――――・―――――
  48. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第十八、郵便為替法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長報告を求めます。郵政委員長岩崎正三郎君。    〔岩崎正三郎君登壇拍手
  49. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 只今議題となりました郵便為替法の一部を改正する法律案につきまして、郵政委員会における審議経過並びに結果につきまして御報告申上げます。  本法律案は来る四月一日から旧沖縄県の全部と鹿児島県大島郡の一部でありまする北緯二十九度以南の南西諸島と我が国との間に郵便為替の取扱を開始するよう目下準備が進められつつありまするが、この法律案は、この取扱を開始するために必要な根拠規定を設けようとするものであります。即ちこの地域の我が国との特殊な関係から言いまして、純然たる外国為替と同様な取扱をすることは適当でありませんので、成るべく内国郵便為替並みの取扱をしようとするものであります。現行外国為替管理法令上、同諸島との間の経済取引は外国貨幣によることになつておりますので、取扱の手続もおのずから異なつて参りますので、そこで、この為替につきましては、外国郵便為替と多少異なつた手続をとらなければなりませんので、省令を以て特別の定めをし得るように、郵便為替法の中に一カ條を追加せんとするものであります。本法案につきましては、委員会におきまして、委員より、條約によらないで、日本政府当局者と琉球臨時中央政府当局者との間における取極だけで、このことが実行できるかどうか、その根拠如何、この点につきまして熱心なる質問応答がありましたが、この詳細につきましては速記録によつて御了承を願いたいと存ずる次第であります。かくて質疑を終り、討論に入りましたが、別に御発言もありませんので、直ちに採決の結果、全員一致を以て可決すべきものと決定いたした次第であります。  右御報告申上げる次第であります。(拍手
  50. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  51. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。      ―――――・―――――
  52. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 参事をして報告いたさせます。    〔参事朗読〕 本日委員長から左の報告書を提出した。  国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案可決報告書  ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く運輸省関係諸命令措置に関する法律案可決報告書  海外からの日本国民の集団的引揚輸送のための航海命令に関する法律案可決報告書      ―――――・―――――
  53. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。議院運営委員長川村松助君。    〔川村松助君登壇拍手
  55. 川村松助

    ○川村松助君 只今議題となりました国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、議院運営委員会における審査経過並びに結果を御報告いたします。  本案は、国会議員が発送する書類と通信の状況に鑑みて、通信費を増額し、又一般公務員の現状等に鑑みて秘書の給料を増額しようとするものであります。その内容につきましては、すでに庶務関係小委員会において愼重に検討を加え、必要な経費は昭和二十七年度予算に計上されておるのであります。このたび法律案として衆議院から提出されるに及びまして、改めてこれを審査いたしました結果、多数を以て原案通り可決すべきものと議決いたしました。  以上を以ちまして御報告を終ります。(拍手
  56. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  57. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。      ―――――・―――――
  58. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、海外からの日本国民の集団的引揚輸送のための航海命令に関する法律案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。運輸委員長山縣勝見君。   [山縣勝見君登壇拍手
  60. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 只今議題となりました海外からの日本国民の集団的引揚輸送のための航海命令に関する法律案につきまして、委員会における審議経過並びに結果を御報告申上げます。従来海外よりの引揚者の船舶による集団的帰還輸送業務につきましては、国家総動員勅令でありまする戰時海運管理令に基く商船管理委員会実施いたして参つたのでありまするが、この総動員勅令は本日を以て自然失効することと相成りまするので、これに伴いまして商船管理委員会は本日限り解散いたすこととなつておるのであります。従いまして、今後帰還輸送業務は運輸大臣が船会社と契約を結びまして実施することと相成るのでありますが、このため昭和二十七年度一般会計予算に帰還輸送費千五百万円を計上いたしまして、引揚再開に備えまして高砂丸を待機繋船の態勢に置かんとするものであります。併しながら、引揚事情如何によりましては、高砂丸のみでは不十分な場合もあり得るのでありまして、この場合は、政府は船会社との契約によりまして船舶を確保し、帰還輸送業務を処理することと相成るのでありまするが、引揚輸送の万全を期しますためには、通常の契約によることが困難である場合に備えまして、強制命令によりまして所要業務を実施し得る方途を講じておく必要があると考えられるのでありまして、従つてこの法案は、かかる強制命令に関する権限を運輸大臣に與えますると共に、それに伴う損失の完全補償をする規定を設けておるのであります。運輸委員会におきましては愼重審議の結果、本法案は原案通り可決すべきものと全会一致を以て決定いたしました。  以上御報告申上げます。(拍手
  61. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  62. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。  これにて午後二時まで休憩いたします。    午後零時四十九分休憩      ―――――・―――――    午後五時七分開議
  63. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 休憩前に引続き、会議を開きます。参事に報告させます。    〔参事朗読〕 本日委員長から左の報告書を提出した。  食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案可決報告書  ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く大蔵省関係諸命令措置に関する法律案可決報告書  在外公館等借入金の返済の実施に関する法律案可決報告書  農業共済再保險特別会計法の一部を改正する法律案可決報告書  関税定率法等の一部を改正する法律案可決報告書      ―――――・―――――
  64. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く運輸省関係諸命令措置に関する法律案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。運輸委員長山縣勝見君。    〔山縣勝見君登壇拍手
  66. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 只今議題となりましたポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く運輸省関係諸命令措置に関する法律案につきまして、運輸委員会における審議経過並びに結果を御報告申上げます。  この法案の要旨を申上げますると、その第一は、昭和二十年運輸省令第四十号、航海の制限等に関する件を改正いたしまして、平和條約の効力発生後も法律としての効力を與えようとすることであります。  この改正内容要点は、現行の広汎な航海制限又は禁止規定を改めまして、国際間の紛争に際し、日本船舶の保護上、その他緊急の必要ある場合に限つて、外国との航海又は外国相互間航海のみを制限禁止し得るように改めますと共に、船舶の讓渡等についての許可制並びに船舶の救助引揚命令をなし得る規定を削除していることであります。第二は、昭和二十五年政令第二十五号、国の船舶と朝鮮郵船株式会社の船舶との交換に関する政令をそのまま存置して、平和條約の効力発生後も法律としての効力を與えようとすることでありまして、その理由は、この政令によりまして国有鉄道に讓渡することと相成ります国有財産の範囲は、国鉄の意見を聞き、大蔵大臣と運輸大臣とが協議して定めることと規定されているのでありますが、この協議成立の見通しが判然といたしておりませんので、その効力を存続させようとするものであります。第三は、昭和二十年運輸省令第二十三号、自動車特別使用収用規則ほか六件のポツダム命令は、或いはその目的を達し、或いは事情の変化によりまして存続の意義を失つておりますので、これを廃止しようとするものであります。  なおこの法案により措置されない運輸省関係のポツダム命令につきましても、委員会におきまして十分審議をいたしました結果、当委員会本案は適当なる措置と認めまして原案通り可決すべきものと全会一致を以て決定いたしたのであります。  以上御報告申上げます。(拍手
  67. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  68. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。      ―――――・―――――
  69. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、在外公館等借入金の返済の実施に関する法律案、(第十二回国会内閣提出、第十三回国会衆議院送付)、ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く大蔵省関係諸命令措置に関する法律案、関税定率法等の一部を改正する法律案、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案、農業共済再保險特別会計法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)、以上五案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。大蔵委員長平沼彌太郎君。    〔平沼彌太郎君登壇拍手
  71. 平沼彌太郎

    ○平沼彌太郎君 只今上程されました在外公館等借入金の返済の実施に関する法律案の大蔵委員会における審議経過並びに結果について御報告申上げます。  本案は、在外公館等借入金の返済を実施するため、借入金の金額、返済手続等について所要の規定を設けようとするものでありまして、その内容の主なる点を二、三申上げますと、借入金の返済は本邦通貨を以て行うこと、又返済金額は借入金の提供地域別、提供時期別換算率表によつて本邦通貨に換算し、この金額の三割増を返済することとし、その最高限度を五万円とするほか、借入金の返済に要する金額は毎会計年度予算の定めるところにより一般会計から国債整理基金特別会計に繰入れる必要がある等を規定しようとするものであります。  なお本案衆議院において修正議決されたものでありまして、その要旨を申上げれば、第一に、返済金の最低限度を五百円とし、第二に、公布の日から施行すること、第三に、本年六月三十日まで借入金の確認を請求し得ることとし、第四に、関東州の換算率については満洲と同様な取扱を行おうとするものであります。  本案参考人より意見を聽取する等愼重審議をいたしたのでありますが、詳細は速記録によつて承知願います。質疑を終了し、討論に入りましたところ、大野委員より賛成意見、木村委員より反対意見がそれぞれ述べられ、採決の結果多数を以て衆議院送付の原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く大蔵省関係諸命令措置に関する法律案について御報告申上げます。  本案は、日本国との平和條約の締結並びにポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く大蔵省関係の諸命令について改廃等の措置を講じようとするものであります。  次に内容の概要を申上げますれば、第一に、改正して存続すべき命令関係について見ますと、閉鎖機関令等閉鎖機関関係等の四政令につきましては、閉鎖機関の特殊整理の現況に鑑み、閉鎖機関の指定日前に行なつた行為に対する取消の制度に関する規定その他不要となつ規定を削除すると共に、平和條約の効力発生に伴つて、強権的な規定その他不要な規定整理し、閉鎖機関整理委員会の解散に関する規定を整備しようというのであります。なお旧日本占領地域に本店を有する会社の本邦内にある財産の整理に関する政令、国外居住外国人等に対する債務の弁済のためにする供託の特例に関する政令につきましても、それぞれ所要の規定整理しようとするものであります。第二に、将来存続すべき命令関係につきましては、特別調達資金設置令等十三件でありますが、平和條約の効力発生の日以降も法律としての効力を持たせようというのであります。第三は、命令の廃止関係でありますが、このうち大部分のものは目的を達成し、関係事務が結了しておりますので、この際廃止の措置を講じようとするものであります。なお本案衆議院において修正議決されたのであります。  本案審議当りましては、小委員会を設け愼重審議したのでありますが、詳細は速記録によつて承知願います。かくて質疑を終り、討論採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に、関税定率法等の一部を改正する法律案について御報告申上げます。改正しようとする第一点は、国内関連産業の保護育成と財政収入を確保する見地から、砂糖及びこれに関連する物品について、輸入税を五分乃至一割五分それぞれ引上げようとするものであります。第二点は、本年三月三十一日まで輸入税を減免いたしている原油、重油、新聞用紙、建染染料等について、更にその減免期間を昭和二十八年三月三十一日まで延期し、これに伴う規定を整備しようとするものであります。第三は、児童給食用ミルクについて、昭和二十八年三月三十一日まで輸入税を免除する規定及びこれに伴う規定を整備しようとするものであります。  なお本案衆議院において修正議決されたものでありますが、その修正点を申上げますと、第一に、新聞用紙の輸入税免除は昭和二十七年九月三十日までとすること、第二は、ピグメントレジンカラー用のエキステンダー及びピグメントレジンカラーベースについて、それぞれ昭和二十八年三月三十一日まで輸入税を免除しようとすること、第三は、建染染料について昭和二十八年三月三十一日まで輸入税率を一割五分としようとすることであります。  本案参考人より意見を聽取する等愼重審議いたしたのでありますが、詳細は速記録によつて承知願います。本案質疑の後討論に入りましたところ、大野委員より原案及び衆議院修正案に反対、小林委員、油井委員、木村委員、野溝委員よりそれぞれ衆議院修正を含む原案に賛成する意見が述べられました。討論を終り採決の結果、多数を以て衆議院送付の原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案について御報告申上げます。  本案改正点を申上げますと、先ず農産物検査法に基いて行う農産物の検査に要する経費に関する規定を整備する見地より、この経費を食糧管理特別会計の歳出を以て支出することといたしますと共に、これに要する経費の財源は一般会計から同特別会計に繰入れ得ることといたそうとするものであります。次に食糧配給公団の残余財産のうちの一部を食糧管理特別会計に納付させようとするほか、若干の規定の整備を図ろうとするものであります。  本案については愼重なる審議が行われ、質疑の後討論に入り、森委員、野溝委員より、農民の地位の安定、飼料の処理問題について強い要望を付して賛成意見が述べられ、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定した次第であります。  次に、農業共済再保險特別会計法の一部を改正する法律案について御報告申上げます。  本案は、農業災害補償法に基く家畜共済に関する異常災害の発生に伴い農業共済再保險特別会計の家畜勘定における再保險金の支拂財源の不足に充てるため、昭和二十七年度以降、一般会計から同特別会計の再保險金支拂基金勘定に繰入れ、これら繰入れ金を以てその不足を補填しようとするほか、若干の規定の整備を図ろうとするものであります。  本案質疑の後、討論採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。  右御報告申上げます。(拍手
  72. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 関税定率法等の一部を改正する法律案に対し討論の通告がございます。発言を許します。大野幸一君。    〔大野幸一君登壇拍手
  73. 大野幸一

    ○大野幸一君 私は日本社会党第二控室を代表いたしまして、本法案に対して、原案及び衆議院送付修正案に対して反対の意思を表するものであります。  本法案は、委員長報告にありましたように、去年十カ年間の臨時措置法として制定された附則であります。そこで一年間という期限を切つておつたゆえんのものは、これは講和と関連して日本がいつ独立しても、そのときには自主性を回復して平常の税率に、いわゆる適当な税率に戻す、こういう意味ですでに法律においてはおのおの税率が定まつているのであります。それをただ附則において一年間延期していたところ、今度講和が成立いたしましたので、我々は日本の独立のために、もはやこの特別措置は必要でなくなつた、こう考えるのが根本の原因であります。去年問題となりました点は、まだ生産水準が向上しないから止むを得ないというような意見でありましたが、参議院におきましては、例えば建染染料につきましては二五%案を支持いたしまして、これを議決いたしまして衆議院に送りました。衆議院では一五%で中間をとつて二〇%ということにして、この法案ができていたところ、今年は衆議院で更に政府原案よりは五%引上げたというような事実があるのであります。又新聞用紙の件につきましては、これはいろいろ業者間においても、大経営者と小経営者との間においてすら利害の一致を欠いている次第であります。尤も本案については、各経営者からいろいろな陳情請願がございましたけれども、それは利害相錯雑しておりまするから、そのどちらをとつてと言うわけではございませんけれども、我々はもつとそんな点よりは高度の考えから、本法案に反対をしなければならないということを附加えたいために、特にここに発言を求めて反対の意思を表する次第であります。  大体関税というものは、全世界が全部撤廃することが世界人類のために本当に幸福なことでありましよう。併しながら悲しいかな、弱小国は大国のために低率関税を強要されているということは歴史上明らかであります。特に戰敗国に至りましては、戰勝国から低率関税を強要されているという事実であります。そこで我々は平和が回復したのでありまするから、これからこそ日本の経済の自立をこれからやる、こういうときに臨みまして、我々が自主的にこれを国家の権威を以て定めたい。その適当とするところは、即ちすでに制定してあるところの税率、これこそ適当である、こういう考えであります。最初は、戰後関税が、貿易が自由主義になつておりましたけれども、米ソの関係その他国際情勢から、だんだんと世界というものが各国とも障壁を設けるようになつたのであります。現に今、問題になつておりまするところの建染染料につきましては、米国においては四五%の税率を課しているのであります。米国におきましても非常に国内需給が逼迫しておつても、なおこれを国内産業のために四五%をかけているのであります。ましてや日本におきましては、終戰後、現内閣即ち自由党内閣におきましても、この重化学工業に対してこれを保護するということは、すでに閣議決定にまでなつている方針なんであります。それをそういう機会に臨みまして、講和発効と睨合せまして、私たちは国際経済上から日本の国内経済の圧迫を防ぎたい、即ち日本を経済的に防衛したい、こう考えたからであるのであります。  又近く国際関税協定が講和と共に締結されるでありましよう。そういう場合に日本が免税をしておきますれば、自然とこれは一つの実績となつて有利な国際関税協定を締結することが不可能になるのであります。我が党は、飽くまでも、講和條約が締結されたる今日におきましては、自主的に自立経済……、それは確かに日本業者にとつて苦痛なこともございましよう。併しながら本当に講和と共に我々が独立したいつもりならば、経済の方面においても苦痛を忍び、そして自分の努力によつて研究し、以てその救済を徒らに関税政策にのみ頼るということに対しましては、国際的見地から、我々は大なる見地、即ち日本の今後の発言権から、本法案に対して、こんな低率課税をして、いつまでも占領の迷夢から醒めないような、こんな政府の原案及び衆議院修正案に対しては反対せざるを得ないということを申上げまして、反対討論を終る次第であります。(拍手
  74. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 次に、在外公館等借入金の返済の実施に関する法律案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。森崎隆君。    〔森崎隆君登壇拍手
  75. 森崎隆

    ○森崎隆君 私は日本社会党第四控室を代表いたしまして、この法案に反対をいたしたいと思います。  御存じの通りこの法案の趣旨といたしまするところは、国家責任におきまして借入れましたところのその債務というものを債権者に対しまして誠実にこれを履行しなければいけない。この責を果すための法律でございます。いろいろそこには事情がございましようと、私はその点はよく了解いたしまするが、この借入金につきましては、当時の外務大臣吉田茂氏の指令によりまして、朝鮮から満州、中国その他各地区の在外公館の責任者が、この指令によりまして、邦人の、いわゆる現在引揚者と言われている人々の中からこれを借上げまして、その借上げたそのお金で以て当時の無数の難民救済その他に充てられた、実に大きい使命を果したこれは借入金でございます。国家予算の関係上、厖大な借入金全体の返済とても今はできないと言えばそれも私はわかります。ですからそれを例えば一部だけ現金支拂をいたしまして、残りの未返済金につきましては、公債とか、或いは何年間かの年賦償還といつたような形で、一応引揚者のこの債権者の人々に最小限度の満足を頂けるような納得の行く方途を当然これは講ずべきことは、これは我々の良識から考えましても当然のことであると私は考えます。而もこの借入金につきましては、終戰以来殆んど今日まで、一昨年でございますが、一昨年あたりまでは何の請求もない。こういうような貸付をいたしましたところの債権者、引揚のかたがたは、絶対に政府を信頼いたしまして、これが返済されることを期待いたしまして、自分の今後の生活設計の問題、自分の家族の将来の問題、学資の問題、いろいろな問題をこれに希望を持つて生活設計の一つの予定としておつたところの問題でございます。ところが五年たつても六年たつても返してくれない。どうもおかしいというので、昨年あたりからこれが強力な返済の要望方が全国から澎湃として政府宛に要望されて来たわけであります。私はこの法案になぜ、一応これは支拂の実施に関する法律案ですから、これは支拂をするのでありますから、趣旨はよくわかるのでありますが、この中にはとんでもない、何と言いますか、私たちでは納得のできないような要点が二、三あるわけであります。第一は、当時引揚者の人々から借上げたお金の為替レートの問題であります。これは正規の為替レートというものはその当時きまつておりました。勿論終戰のあの直後におきましては非常な各地に混乱を起しまして、レートというものがはつきりとつかめない。この事情も私よくわかります。併しながら幾ら混乱して、レートが非常な大混乱に遭つて、どうもその決定的なつかみ方ができない。仕方がなく当時のお米の値段を基礎にして作り上げたと政府は申しておりますが、このレートの内容を見まして非常に私は驚いたのであります。ここで儲備券とか、連銀券とか、いろいろな具体的な面を申上げる暇がございませんが、ただ一例だけとつて私は皆さんがたにお訴え申上げたい。それは我々国民がずつと戰争中、戰後も今日まで使つておりまするところの日本の円貨でございます。日本の円貨に対してこのレートがどうなつておるか、審議されたかたがたは皆さん御承知のはずなんです。我々が戰争以前に使つておつた一円という金は、終戰後においてどういうような価格に転落して来たか。あの終戰のどさくさのあの当時借上げたところの一円を、今は大体これがうんと下つておるから二百倍ぐらいにしてお返しするというなら、これは意味がわかりますよ。ところがこの実施法律案の中におきまするレートは、当時の貴重な一円を、一円五十錢で一円をいわゆる返すという逆な方向をとつてあります。逆な方向でございます。これは皆さんがたどんなに考えても私は納得行かない。当時の非常に価格の、今と比べまして非常にまあ二百倍以上の力がございましたところの日本円の一円を、一円五十銭持つて来なければ今日の、今度の予算で一円しか返さない。こんなことは幾ら何でも私たちはこれは納得できない。その他すべての儲備券その他についてのレートもこれはもう……これを見ましても、あとの問題もむちやくちやであるということははつきり言い得る次第であります。この点が根本的にもう少し民主的に討議され、研究されまして、貸付けた貸し方のほうの人々の意見ももう少し愼重に聞きまして、何とか一応、不満ながらもこれなら仕方がないといつたような、そういう線を出しまして、それで決定されるならば、私はもう何をか言わないのです。ところがこれは借りたところの債務者の政府が一方的にきめまして、これを押付けておる。  第二は、最高打切りの問題であります。五万円打切り、それ以上はこの物凄いレートで換算いたしまして、非常に低まつたところの現金の中で、而も五万円以上は絶対に拂わない。五万円打切りだということになつて、五万円以上に該当するところの人々は二千人程度の人々でございまして、数においては少いけれども、私は人から物を借りた債務者と貸した債権者との間の、音通民間の我々のお互い同士の間の債権債務のいわゆるやり方につきまして、こういうことが果して許されるかどうかを先ず考えたい。貸したほうは何ら催促をしなかつた。貸したほうは默つておる。余りひどいのであれを返してくれ、よろしいと言つて、レートから、最高の打切りから、全部借受けたほうから一方的にこれを決定しておる。これだけやる。よし心得た。これだけ拂つてしまう。こんなばかなことはお互い個人同士ではこれは絶対に通用しない。ところが国家と国民との間におきましては、これが暴力的に現在遂行されようとしておる。これで債権債務の民主的な立て方というものが、どうして今後我々が国民に信頼行くような行き方としてその基盤を確立できましようかどうか。非常に私これは国家の権威の観点から考えましても、恐るべきこれは法案であると考えます。勿論そこにはいろいろ理由がございましよう。引揚いたしましたところの引揚者の中には、こういう債権者でないかたもございましようし、又内地では空襲等によりまして、何らそこに恩典も何も、政府の保護もなかつた。いろいろの場合がございましよう。これはよくわかりますが、国家が指令によつて借りたものは一応返す建前をとつて実は国家の予算の中でこれこれということであるから、もう少しこれは何とかしてもらいたいということで、債権者の民主的な納得を得るようなこの努力だけはして頂かなければ、私は一方的に政府の権力で以てこういう法律を押付けまして、これで打切るというようなことは絶対に私たちは承服できない。これははつきり皆さんがたに申上げておきたい。  この二点がこの法律案に対しますところの中心になる私たちの反対の理由でございまするが、このほか、この法律案につきましては、何回催促いましましてもなかなか政府としては煮え切らない。いろいろ引揚者の団体から強力な要望がされまして、やつと昨年の初めあたりからぼつぼつこの問題について研究がなされて来まして(「修正案を出せ」と呼ぶ者あり)今日に来たというような関係でございます。こういうような観点に立ちましても、もう少し国家は、幾ら何とは言え、債権者に対して誠意のほどを最小限度でもいいから披瀝すべきが当然であると私は考えます。そういう観点に立ちまして、私たちは修正案も勿論用意して持つておりまするが、これを出す時間がどこにございましたか。(「あるある」と呼ぶ者あり)この年度末のどさくさにまぎれて急にこれを押切つてしまつて生る。これも今朝ほど私はほかの法案について討論をいたしましたと同じことで、もう少し参議院は参議院らしい審議の時間、審議の行き方並びにこれが最後の決定に対しまして、良識に待つて、正しい行き方を私はやつて国民から参議院に対する信頼をどうしても我々は失つてはならない。これだけははつきり皆さんがたにお訴え申上げます。そういう観点から私たちはこの原案に反対をいたすものでございます。(拍手
  76. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 大野幸一君。    〔大野幸一君登壇拍手
  77. 大野幸一

    ○大野幸一君 私は日本社会党第二控室を代表いたしまして、本法案賛成の意思を表します。曾つての同僚である第四控室の森崎君から反対の意見がございましたために、私も一言ここに我が第二控室の立場を明らかにしたいと思うのであります。   森崎君も言われましたように、先ず人数の割合からいたしますると、本法案は十万円にする場合に二千二百人をこれによつて救済できます。伴し十三万人は五万円によつて満足を得るという一応の結果を生ずるのであります。各党から修正案希望がありました。我が党、第四控室からも十万円の希望がありました。いろいろ折衝、話合いの結果、まあ七万円で一つ落着こうじやないかという全会一致の厚意が示されたのでありまするが、ここに問題となりましたことは、本法案予算の成立の経過から、法律の今までの制定の順序から、本日この法案がこの国会で通過しないと、これは手続の問題でありますが、更に補正予算を組んで同じことを繰返されなければならない。そうしてその結果、この法案と同じような手続を経まして議決されました結果、支拂が漸くにできると、こういうことであるのであります。そういう法律上の困難がありました。そこで本日これが通過しないと十三万人に対して非常に迷惑をかける。我々は止むなく二千二百人の人に対する同情を持ちつつも、十三万人の人のためを考えて本案賛成したのであります。(拍手)  それからもう一つ、これは法律上の点について申されましたが、本案は先ず国家との私法上の借入金といたしますると、惜しいかな、或る場合によつては権利として五カ年の時効にかかつておるということを私は深く心の中に考えていたのであります。そういう場合におきまして、この国会を通過しまして、一部の弁済でもしておきますれば、時効完成の効果を放棄したことになつて更に時効が進行する、又は中断の効果を生ずると、こういうことであるのであります。憲法上の問題におきまして、或いはこれの打切りが不法かどうかということは、今ここに私ははつきり解釈はできませんが、併しながら国家が破産することはないのでありまするから、これはまあ憲法上或いは残存債務が残るという場合もあるでありましよう。併し個人の場合破産したならば、強制和議法によつて一部の人は多数の人のために債務を打切られることもあるのであります。これもその根拠は法律に基くのであります。  私はこういうような特別の考えを以ちまして、本法案賛成をしたことを明らかにしたいと思う次第であります。(「了解」と呼ぶ者あり、拍手
  78. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 千田正君。    〔千田正君登壇拍手
  79. 千田正

    ○千田正君 先ほどから反対、賛成討論がなされておりまするが、私は新憲法の政治下におきまして、かような国家の債務が一方的な状況によつて割切れない姿によつて実行されるということは誠に遺憾至極なのであります。ということは、昭和二十一年、時の外務大臣、現在の吉田総理大臣が訓令を以て、帰国後直ちに返済するから、居留民の皆さんから金を醵出してもらいたい、こういう訓令に基きまして、当時在外出先官憲が居留民から借入れて、そうして避難民を無事に日本に帰して来た。更に当時の外交官の諸君はのうのうと帰つて来て、なお且つ恩給まで頂いているようなこの状況において当時なけなしの金、一文もないというところを皆で掻き集めて、衣服を売り盡して、そうして当時の同胞を救い、又当時の外交官の諸君の家族までも無事に帰した今日において、すでに直ちに返さるべきもの、返さるべきものを六年間も放置されて、今日においては当時のレートの換算において返される、而も五万円以上は打切りであると、こういうことは私は少くとも民主政治の、殊にこの憲法下においては行うべきものじやないだろう。殊にヒユーマニテイの問題から言いましても、これは当然国家が十分に当時の外務大臣の意思を尊重して、少くとも今日においては吉田総理大臣でありまするが、現政府は責任を持つて、これは返すべきものであると私は考えるのであります。でありまするから、この問題は今日早々の間に通過するような状況でありますが、併しながら、この通過したこの法案内容を聞いて、果して当時の引揚者の諸君はそのまま泣き寝入りするかどうかということも我々は考えられます。我々は少くとも政府の名において借上げたならば、当然それはやはり政府の名においてその債務を果すのがいわゆる政治道徳であると同時に、国民を指導するところの行政機関の責任である。殊に我々国会議員としては、国民の代表として今日これを審議するに当つて、これを簡單な立場において通すということは、我々は遺憾至極であると同時に、この問題はいわゆる終戰後の債務である、少くともこれは曾つての東條内閣、あのいわゆる当時の軍閥内閣の時に行われた問題であるならば、戰争中の問題として御破算されても止むを得ないでありましよう。併しながら、これは終戰後の昭和二十一年八月の訓令に基いて行われた以上は、終戰後のいわゆる新らしい我々は国民として、又国家として、新らしい債務として、これは当然返済さるべきものであるということは断じて疑いないのであります。併しこの早々の間にこのまま通過するとするならば、いわゆる我々の責任はどこにあるかということを国民から指弾を受けても止むを得ないだろうと思うのです。レートの問題或いは今の一方的ないわゆるこの返済條件、こういう問題で、この法律を通過するということは、我我国民の代表として断じてそういう行為をなしてはいけないという観点から、飽くまでこれは反対する次第であります。  どうか良識のある皆さんがこの点において、特に引揚者の人たち、殊に政府に対するところの信頼を持つならば、断固として私同様に反対して頂きたいということを申述べて、私の反対を表明して終ります。(拍手
  80. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより五案の採決をいたします。  先ず在外公館等借入金の返済の実施に関する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  81. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ―――――・―――――
  82. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 次に、ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く大蔵省関係諸命令措置に関する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  83. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ―――――・―――――
  84. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 次に、関税定率法等の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  85. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ―――――・―――――
  86. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 次に、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案、農業共済再保險特別会計法の一部を改正する法律案、以上両案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  87. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。(拍手)よつて両案は全会一致を以て可決せられました。      ―――――・―――――
  88. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 参事に報告させます。    〔参事朗読〕 本日委員長から左の報告書を提出した。  特別調達庁設置法の一部を改正する法律案可決報告書     ―――――――――――――
  89. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して特別調達庁設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。内閣委員長河井彌八君。    〔河井彌八君登壇拍手
  91. 河井彌八

    ○河井彌八君 特別調達庁設置法の一部を改正する法律案内閣委員会における審査経過並びに結果を御報告いたします。  特別調達庁は、終戦後占領下にある我が国が連合国軍のための不動産、動産、役務の調達を行うために設けられた国家機構であります。平和條約の発効も間近かに迫つておりまするので、その効力発生後の新事態に対処するために、特別調達庁の機構に所要の改正を加えると共に、他方におきまして、機構の簡素化と経費の節減の見地から、特別調達庁の機構の一部を縮小することといたしたのであります。これが本案の提出された改正要点であります。  更に、具体的に内容について説明を申上げますると、第一に、従来この「特別調達庁」というこの官庁の名前を、これをば「調達庁」と改めることといたしました。これに応じて「特別調達庁長官」という官名をば「調達庁長官」と改めます。それと共に又この官庁の地方支分部局をば、「特別調達局」とありまするのを、このたび「調達局」と改めまして、これに応じて「特別調達局長」の官名を「調達局長」と改めることにいたしたのであります。そして他の法令において特別調達庁、特別調達庁長官、特別調達局又は特別調達局長とありまするのは、それぞれ只今申しましたように名前を読み替えることとなすのであります。  第二は、従来特別調達庁の主たる任務でありましたところの連合国軍のための各種の調達を平和條約発効後におきましては、條約に基いて我が国に駐留する外国軍隊、この改正案におきましては、これを駐留軍と呼んでおります。この駐留軍のための調達を行うように改正いたしますると共に、日米両国間の安全保障條約第三條に基く行政協定第十八條の規定に基きまして、駐留軍の行為のために生じた損害についての民法上の請求の処理に関する業務を新たに調達庁の所掌事務に追加することといたしたのであります。  第三に、終戦処理費と解除物件処理費とは、昭和二十六年度限りで今後はなくなることになつておりますので、これを経費と改めることといたしたのであります。  第四には、従来特別調達庁の附属機関の一として置かれておりました調達役務審議会と、特別調達庁の地方支分部局の特別調達局のうち、京都特別調達局を行政機構節素化の趣旨を以ちまして、これを廃止することといたしたのであります。従つて今後調達局として残るものは、札幌、仙台、東京、横浜、名古屋、大阪、呉、福岡の八局となるのであります。  第五には、各調達局の管轄区域をこの法律によつて規定いたしたのであります。そうしてこの改正法律昭和二十七年四月一日から施行することとなつておるのでありまするが、平和條約の発効を前提として改正せられておりまする部分の規定は、平和條約の最初の効力発生の日から施行せられるというのであります。これが大体全体の機構であります。そうしてすでにこれは総理府の外局となつておる点におきましては、変更はないのであります。  内閣委員会は、本法律案について愼重審議を行いまして、討論を終え、採決をいたしました結果、多数を以て可決すべきものと議決いたしたのであります。そこで審議の間におきまして明らかにせられた要点を申上げておきます。  第一に、この法律案によれば、調達庁は條約に基いて我が国に駐留する外国軍隊のための各種の調達を行うこととなつておりまして、そのいわゆる駐留軍は目下のところアメリカ軍のみを予想しておるのでありまするが、将来條約に基いてアメリカ軍以外の国の軍隊が駐留する場合がありましても、この改正規定によつてその軍隊の調達をも行い得るということになるのであります。  第二には、特別調達庁は、従来連合国のため不動産、物品、役務の調達をその主たる任務として行なつて来たのでありまするが、平和條約の発効後において、アメリカ軍隊は、需品の調達は調達庁の手を介せずして直接に業者との間の契約によつて行う。即ちいわゆる直接調達を行うというそういう風評があるのであるが、特別調達庁当局は、この直接調達と従来行い来たつた間接調達との利害得失について如何に考えるかという質問が多数の委員諸君から発せられたのでありまするが、これに対しまして、特別調達庁長官は、一応はこの二つの調達は互いに利害相伴つておるのであるが、結局直接調達の場合には、業者は需品の代金、価額を叩かれまして、甚だ不利益な立場に陥る、殊に中小業者におきまして、その不利をこうむることは顯著であるが故に、我が国の立場から申しますれば、間接調達が望ましいという答弁であつたのであります。出席の委員諸君は殆んど一齊に、政府はこの調達の問題については極めて愼重にその利害得失を考慮いたして、間接調達の実現に最善の努力を拂うようにという意見が述べられたのであります。  第三に、京都特別調達局の定員三百二名中、百名は三月三十一日附で退官をいたし、行政整理の枠内に入り、その他の職員は京都の監督官事務所又は大阪調達局に配置転換されるということでありました。  かくて質疑を終りまして、討論に入りましたところが、上條委員から、安全保障條約反対の立場から、本案に対して反対の意見を述べられました。その要点は、駐留軍の物資調達は直接調達によることができるという見解であるが、そうして米国の側においては強くこれを要望しておるがごとく見ゆる、若しそうならば、これによつて日本の経済は大いに撹乱せられる虞れがあるのであるが故に反対である。なおこの機関の整理に伴うところの人員整理愼重行なつて欲しいという意見でありました。本案賛成する意見は楠見委員から述べられたのであります。楠見委員は、二十七年度の予算の成立、又は平和條約、安全保障條約及びこれに伴うところの行政協定の成立に伴う法案であるのであるから、本案に対して賛成をするというのであります。但しここに強い要望がある。それは駐留軍の物資並びに役務調達のこの方式は、本案の第三條の実施の上に深い関係を持つておる、若し米軍の直接調達がその全部に亘つて行われるとするならば、第三條第一号の規定は不要となる。政府はこれに対して、当分は第三條第一号の規定が必要であるというのであるが、その点こそ強く要望を出す必要があると認むるのである。即ち直接調達の中で、物資の直接調達というものは、これはその値段を安く叩いて行うのであるから、これは今日の日本の経済の状況に照らして公正な結果を得られないと認めるのだ、のみならず、日米両国の慣習が異なるのであるからして、これがために国家と国家間の関係が悪影響を受ける虞れがある。そうしてその調達せられる物はつまらない物であつても、それでもその結果は重大となる虞れがあるのであるから、できるだけ間接調達の方法が行われるように政府の善処を強く要望するというのであります。もう一つの点は、いわゆる分担金の使用につきましては、日本側も相当にこれに關與する機会を得ることが必要である。アメリカ側が日本側に対して關與すると同様に、日本側も又これに關與する機会を得ることが必要である。然るにどうもそういう機会がなかろうとする慮れがあるのであるから、政府はこれに対して十分善処することを要望する、こういう意味の御発言があつたのであります。  採決の結果は、只今申上げましたように、多数を以て可決すべきものと決定いたした次第であります。(拍手
  92. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  93. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。(拍手)      ―――――・―――――
  94. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第十九より第二十二までの請願及び日程第二十三より第二十七までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。通商産業委員会理事古池信三君。    〔古池信三君登壇拍手
  96. 古池信三

    ○古池信三君 只今議題となりました請願四件及び陳情六件について、通商産業委員会における審議の結果を御報告申上げます。  請願第百二十一号は、中小企業協同施設費補助増額についての要望で、中小企業の振興は協同組合の育成強化によるところ多いのに鑑み、現在この予算二億円に過ぎないのを大幅に増額して欲しいというのであります。請願第四百九十三号は、福井、石川地方における繊維工業、特に絹、人絹織物業の危機に際し、原料糸価格の安定、協同組合の強化のための立法措置、金融疎通の方途を要望しておるのであります。請願第四百五十二号、第千四十五号及び陳情第四十一号、第百二十八号、第百四十七号、第四百十七号、第四百四十五号、第六百六十四号は、いずれも中小企業の金融難打開を中心とするもので、その主眼とするところは、商工組合中央金庫、国民金融公庫の資金源充実であり、その他税制の適正化、組合の強化、中小企業指導行政の強化拡充を要望しておるのであります。  本委員会におきましては、以上の請願四件及び陳情六件につきまして、政府関係者の意見をも徴して愼重審議の結果、それぞれの願意をおおむね妥当なるものと認め、これらを採択し、議院の会議に付し、且つ内閣に送付を要すべきものと決定をいたした次第であります。  以上簡單でありますが、御報告申上げます。(拍手
  97. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  98. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。  本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報砂以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時九分散会      ―――――・――――― ○本日の会議に付した事件  一、日程第一 農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案  一、日程第二 ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く農林関係命令措置に関する法律案  一、日程第三 小型機船底びき網漁業整理特別措置法案  一、日程第四 日本製鉄株式会社法廃止法の一部を改正する法律案  一、日程第五 輸出信用保險法の一部を改正する法律案  一、日程第六 外務公務員法案  一、日程第七 新たに入学する兒童に対する教科用図書給與に関する法律案  一、日程第八 屋外広告物法の一部を改正する法律案  一、日程第九 連合国軍人等住宅公社法を廃止する法律案  一、日程第十 租税特別措置法等の一部を改正する法律案  一、日程第十一 資産評価法の一部を改正する法律案  一、日程第十二 通行税法の一部を改正する法律案  一、日程第十三 災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律案  一、日程第十四 国庫出納金等端数計算法の一部を改正する法律案  一、日程第十五 経済安定本部設置法等の一部を改正する法律案  一、日程第十六 外務省設置法の一部を改正する法律案  一、日程第十七 農林省設置法等の一部を改正する法律案  一、日程第十八 郵便為替法の一部を改正する法律案  一、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案  一、海外からの日本国民の集団的引揚輸送のための航海命令に関する法律案  一、ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く運輸省関係諸命令措置に関する法律案  一、在外公館等借入金の返済の実施に関する法律案  一、ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く大蔵省関係諸命令措置に関する法律案  一、関税定率法等の一部を改正する法律案  一、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案  一、農業共済再保險特別会計法の一部を改正する法律案  一、特別調達庁設置法の一部を改正する法律案  一、日程第十九乃至第二十二の請願  一、日程第二十三乃至第二十七の陳情