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委員外議員(大野幸一君) 家は本日
法務総裁に対して
一つお尋ねしたいことがあるのであります。
久しい間どうも私は不満に思
つておりましたのは、去る五月六日の参議院本会議場におきまして
法務総裁は例のメーデー
事件の
報告をなされました中に、先ず速記録によ
つて読上げますると、国務大臣
木村篤太郎君登壇されまして、「去る五月一日のメーデーにおきまする騒擾
事件の概略並びに被害状況、その後の取締状況並びに背後関係について御
報告申上げたいと思います。」とありまして、中略いたしまするが、その中にこういうことをあなたが言
つておいでになる。「先ず東京都内におきまする騒擾
事件の概況について申上げます。今回の中央メーデーは、明治神宮外苑絵画館前を会場といたしまして、午前十時三十分頃からいわゆる統一メーデーとして催され、極めて盛大な行事が行われましたが、大会の中途におきまして、石川島労組員三十名を初めといたしまして、全学連、職安細胞員ら約百名が突如相次いで演壇に殺到し、不法にもスピーカーを占拠し、参会者に対し、実力を以て人民広場へ行こうなどと激烈な口調で煽動いたしました。」こうあなたはおつしや
つておる。
ところがこれを聞いておりました全議場の同僚議員恐らく一人も残らず、これは特にあなたは「スピーカーを占拠し、参会者に対し、実力を以て人民広場へ行こうなどと激烈な口調で煽動いたしました。」とおつしや
つたのでありまするから、素直に聞きまして、多数の参会者に煽動するためには、とてもああいうメーデーのような大会場で口頭で言
つたつて、スピーカーなくして扇動なんというものはなかなかできるものではありませんから、あなたが「不法にもスピーカーを占拠し、」と言
つた言葉は、これはスピーカーを使用して、そうして参会者に対して人民広場へ行こうと扇動した、私はそう思
つたし、同僚皆に聞きましてもそう思
つたのである。
ところが丁度幸運なるかな、第一の
質問に立ちましたのが社会党第四控室の重盛君であ
つたのであります。彼はその点についていろいろその
報告についての反駁をいたしまして、初めて我我はああそうであ
つたかと思
つたのであります。彼はこう言
つておるのであります。「もう
一つ、先ほど
報告せられました神宮外苑におきまする
ところ
のメーデーの演壇を占拠して、そうして一部不穏分子が宮城前広場を使用することを叫んだと言われておりますけれ
ども、どこでお調べにな
つたか知れませんがこれは事実無根でありましてたまたま私は、当日の木村
法務総裁のいわゆる暴徒と言われる石川島労組を初めとする
ところの全学連の一部が壇上に押しかけて参
つたときに、たまたまメーデー実行
委員の一人として議長をしてお
つたのでありまして、これらが壇上に上りまして、壇上の器物で破壞したり或いはマイクを奪わんとした事態が起
つたことだけは明瞭でございますけれ
ども、」この次です。「マイクを奪
つて、そのマイクによ
つて宮城前広場を使おうとして行動したということは全く偽わりでございます。」こう言
つているのである。
法律家じやなくてに、占拠という
意味を、重盛君は労組の出身者であ
つて、決して
法律家でないでありましよう。併し彼はこういうように受取
つている。「マイクを奪
つて、そのマイクによ
つて宮城前広場を使おうとしたということは全く偽わりでございます。」これはこの
通りに
解釈するのは当り前なんです。全同僚議員皆こういうふうに
解釈した。
ところがあなたはそれに対して何と答えられたかというと、「それからマイクによ
つて皇居広場へ行けというようなことを煽動した事実」云々と、「私はマイクと言
つたのではないのでありまして、マイクを占拠したのである。マイクをこわしたのである。こうして一部の者が皇居前広場を占拠しておるということを明白に言
つておる事実があるのであります。」こういうふうに言
つている。あなたはマイクをこわしたということを、マイクを占拠した、こういう
言葉で言
つている。あなたが
法律家でなければ、いたしかたないかも知れない。
ところが占拠という事実、
法律家である者は、占拠という字は、そもそも人の支配権を奪
つて、支配を排除して、その支配を自己の支配内に置くごとでありましよう。マイクを占拠したというのなら、人が使
つていたマイクの支配を排除して、自己の支配内に置くのならば、それは使用したと思うのは当り前でしよう。あなたはこういう
言葉を用いられておるので、これは長年あなたも弁護士として、裁判所をごまかして、或いは偽証にかからない程度で、裁判所に対して偽わりを言
つていると聞いていた。裁判官だ
つて、確かにマイクを使
つたものだと思われる。
天網恢々疎にし漏らさず、それが丁度一の
質問に立
つたのが、重盛君だ
つたからよか
つた。これは違うじやないか、こういうように私は思う。そういうあなたのようなテクニックが、この破防法を通じてなされていやしないかということなんです。先ずこの占拠の
意味ということはどのように
解釈しているか、それとも申訳なか
つたというのか、それともあなたはマイクをこわしたのであるということをちやんと言
つていながら、堂々とマイクを占拠して参会者云々ということを言われたのか、どつちなのか、事実を知
つて言われたか、それをちよつと承わりたい。それから破防法を全
委員がこれほど熱心なる質疑応答を通じて、こういうテクニツクはありやしないか、それをあなたに伺いたい。