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説明員(馬場
義續君) 御質問の点でございますが、教唆罪はもう
政府委員の
かたから御
説明に
なつたと思いますけれども、相手が特定しておる場合でございます。ところが破防法で問題にな
つております扇動の文書でありますとか、或いはそれに近い宣伝文書であるというようなものは、相手が不特定多数の場合で、教唆犯が独立いたしましてもその
規定ではこれを取締ることができないのであります。
次に扇動という
規定がなか
つた場合に取締上どういう不便があるかというお尋ねでございますが、最近のメーデー騒擾
事件その他の類似の
事件の取調を通じて見ますと、又私どもから見ますなら全く年端も行かない十六歳くらいの少年までが、殆んど狂信的に共産主義運動に唆されると申しますか、狂信的な態度を以てああいう
行動に移
つておるのでございます。実障私どもの手にかか
つて来る者は、そういう背後にあ
つて操る人たちではなくて、操られた人たちであるというふうに考えられるのであります。而もその操られておる人たちは白い生地に色を塗るようなことでございますから、殆んど無条件にこれを受入れてそれを直ちに
行動に移すというのが今日多く見られる例でございます。取調の実際に当
つて見ましても、例えば私どもは成るべく母親とか家族の人なんかの面会はできるだけ便宜を図ることにしておりますが、母親が来ても会わない、若し母親が自分の運動をとめるならば、母親も人民の敵であるというようなことを平然と言うところまで狂信的にな
つておる例があるのでございます。かようなことを見ますにつけましても、特に今日問題にな
つておる青少年に対しましては、無責任な宣伝、扇動の
行為からこれを守るということが私どもの任務ではないかと、かように考えておるのであります。
そこで一、二の例を申上げますと、これもすでにきつと
政府委員から御
説明があ
つたと思いますが、急のお呼出しで材料を整える暇がなか
つたのでありますが、例えば「中核自衛隊の組織と戦術」という球根栽培法の二十六号の文書でございますが、その中の一部は「中核自衛隊は武装した組織である。
従つてこれを組織すると同時に、あらゆる努力を払
つて武器を持ち、これを
運用する技術を修得しなければならない。武装と武装
行動に必要な軍事教育、軍事訓練は、中核自衛隊にと
つて欠くことのできないものである。中核自衛隊の武器の主要な補給源は敵である。中核自衛隊はアメリカ占領軍を初め敵の武装機関から武器を奪い取るべきである。このことは可能である。すでに労働者がいろいろな形で敵の武器を持出しており、大衆
斗争の中でもこれを意識的に計画すれば必ず取れることが明らかとな
つておる。又札付の警察官等を襲い武器を奪うこともできる。我々はこれを行わなければならない。」云々というようなこと、これに類似のことを記載した文書があるのでございます。これを見ましてすぐ私どもが思い起しますのは、例えば蒲田の
事件でありますとか、矢口交番の
事件でありますとか、或いは最近の岩之坂上襲撃
事件というようなものを考えてみますると、やはりこれらの文書と因果
関係があるというふうに考えられるのでございます。そこで成るべく言論の自由を守らなければならないことは、私どもも十分承知いたしておるのでありますが、こういうものを放置しておきますと、結局青少年或いは思慮未熟な自由労働者等が、無条件に無批判にこれを受入れて直接
行動に出るという虞れが多分にあるのではないか、多分にあると私は信じておるのであります。さような意味合いから、決して望ましいことではありませんけれども、今日の案に出ておる程度の扇動等の取締
規定は止むを得ざる
措置ではなかろうかと、かように考えておるのであります。