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吉田法晴君 それじやもう少し具体的にわからん点を申上げますが、内乱の構成
要件の朝憲紊乱というのは、これは大分
質疑がなされましたけれ
ども、それでも明らかではないと思うのであります。特に判例を引いて
説明をせられましたけれ
ども、神兵隊
事件を
法務総裁が言われましたけれ
ども、旧憲法下の朝憲という概念をここに持
つて来るというのは、これは今の
法律としてとにかく物差しにはならん、こういうことを考えざるを得ないのでありますが、そのことはその朝憲紊乱の具体的な
内容として挙げられた点にも関連をして参りますが、それはそれとして、例えば政治上の主義と朝憲とがどれだけ違うか、頂いた政治資金規正法の解釈によるこの「政治上の、主義若しくは施策を推進し、」云々の解釈によりますと、共産主義、社会主義、或いは無政府主義、こういう主義が書いてございます。これが政治上の主義だと言うのであります。そうすると社会主義、共産主義、無政府主義にしてもそうであると思いますが、例えば今の労働組合、或いは労働者は、資本主義の下においては自分たちの本当の生活の安定、或いは向上はないと考えておる、その社会主義の
内容をどういう
工合にこれを
規定するかということは、いろいろございますけれ
ども、少くとも憲法の中にも社会化、或いは社会主義の要素が入
つておると私は考える。仮にそういう政治上の、主義というものを社会主義という例にと
つてみますと、その社会主義というものと或いは朝憲紊乱というものとどれだけ違うか、これは国会なら国会制度ということになりますと、或いは国会制度を否認するというものは社会主義の中にも極めて少いかと思います。併し例えば天皇制という点を申されましたけれ
ども、これは私は天皇制はないと思います。旧憲法なり、或いは厳密な
意味においての天皇制というものは、新憲法の下にはなく
なつておると思うのでありますが、統治権の主体としての天皇というものはなく
なつておると思いますが、仮にこの天皇制の問題について、象徴としての天皇を残すべきであるという考え、或いはこれを強化すべきだという
考え方もございましよう。あることも知
つております。併し本当の民主主義の下においては、これは直接選挙の大統領によるべきであるというのは、民主主義の議論として当然あるわけであると思います。そうすると、それが朝憲紊乱に該当するのか、或いは政治上の主義に該当するのか、これは
ちよつと私にはわかりません。
一つお教えを願いたいのであります。
それから例えば五月一日の宮城前の
事件は騒擾罪に問疑せられました。ところが五月三十日の
事件は、これはたしか
公務執行妨害であ
つたかと思うのでありますが、同じような暴動にいたしましても、場合によ
つては内乱になり、場合によ
つては騒擾により、或いは場合によ
つては
公務執行妨害になる、本質的な違いは私はないと思うのであります。而もそれが内乱そのものならとにかく、それが
予備、
陰謀、
教唆、
扇動、或いは正当性、必要性を主張した文書図画ということになりますと、この一号と二号の前文がか
つたイとりとヌを結び合したものがどういう
工合に違うかということは、これは実際問題としてはつきりせんと思うのであります。特にこの
法律の適用が考えられる一号にしても、ロとハが殆んど大部分の場合であろう、或いは二号の場合にしても、多くはヌであろうと考えるのでありますが、そうするとその場合にどういう
工合に違
つて参るか、実際私にはわからんのでありますが、どういう違いがありまするか、その点について
一つ明快な御
説明をお願いしたいと思います。