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政府委員(
關之君) その点につきましては第三條に掲げますように、第三條のうちの一項一号の口又は二号のヌの
行為は、もとより言論であるとか出版等の形において行われることが多かろうかと思うのであります。それでそれらの点についてこの
法案において
規定いたしまして、或いは
刑罰規定を設けておるのでありまして、その
意味に、おきましては言論と出版に対して制限をなしておるわけであります。この点につきましては、ここの第三條の第一項、第一号の口又は二号のヌに掲げるような、かような
行為の言論及び出版というものは、例えて申しますならば、
内乱の
行為の主張であるとか、或いは
政治の
目的を以てする殺人、強盗、放火というような、極めて悪質なる犯罪をあおる
ところの、或いはその実行を主張する
ところの危険な言論であるわけであります。でかようなものが繰返されて行きますと、恐るべき実害的結果が発生するのであります。そこで
政府といたしましては、かような現下の事態に鑑みまして、
危險な言葉、出版等のごときは、それらのことで駆り立てられて恐るべき実害的結果が発生するまで手を拱いて待
つていていいか悪いか、公共の安全を確保する上から見まして、果してこれは言論の自由である、出版の自由であるとい
つて、その実害的結果が惹起されるまで待
つていていいかどうかという問題になると思うのであります。
政府におきましてはこれらの点について考慮いたしまして、公共の安全を確保するにはやはりこれらの
行為、言葉、或いは
出版物に対しても所要の
規制を加えなければならない、かようなふうに考えまして、第三條に掲げるようなこのような恐るべき実害の
行為についての言論、
出版物により、あおる
行為、或いはこれを唆かすような
行為というようなものに対しましては、これを
規制するのも
憲法の公共の安全を確保する上から見ても、誠に止むを得ない
ところである、
従つて又
憲法も認める
ところである、かように考えておる次第でございます。