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1952-02-12 第13回国会 参議院 法務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月十二日(火曜日)    午後一時五十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小野 義夫君    理事            宮城タマヨ君            伊藤  修君    委員            小滝  彬君            長谷山行毅君            岡部  常君            江田 三郎君            羽仁 五郎君   衆議院議員    建設委員長   松本 一郎君            鍛冶 良作君   政府委員    法制意見長官  佐藤 達夫君    法務府民事局長 村上 朝一君   事務局側    常任委員会専門    員       長谷川 宏君    常任委員会専門    員       西村 高兄君   説明員    法務特別審査    局民事法務長官    総務室主幹   平賀 健太君    建設省住宅局住    宅企画課長   鬼丸 勝之君   —————————————   本日の会議に付した事件罹災都市借地借家臨時処理法第二十  五條の二の災害及び同條の規定を適  用する地区を定める法律案衆議院  提出)   —————————————
  2. 宮城タマヨ

    理事宮城タマヨ君) それでは只今より委員会を開きます。  先ず罹災都市借地借家臨時処理法第二十五條の二の災害及び同條の規定適用する地区を定めろ法律案を議題に供します。昨日に引続いて質疑を行います。質疑のおありのかたはどうぞ御発言願います。
  3. 伊藤修

    伊藤修君 提案者に昨日の私の質問に対する御答弁をお願どいたします。
  4. 松本一郎

    衆議院議員松本一郎君) 連日大変御迷惑をお願いいたします。昨日本法準用しなければならんというので更に詳細な資料をというお説でありまして早速取調べましたところ、お手許資料を出さして頂いたのであります。御覧をお願いいたしたいと思います。  松阪の現在の市の面積は相当厖大なものになつておりましてこの松阪市の中心部であります旧松阪町の人口戸数というものの現在につきましては、まだしつかりと一戸々々調べなければわからんようなことで資料は出しかねますが、併し昭和七年に松阪町が松阪市となりました当時、附近の町村を合併いたしまして現在の松阪市になりました。旧松阪町の当時の人口戸数は、昭和七年の当時四千三百十九戸で人口は二万一千三百四十七名でありました。その後神戸村、港村、機殿村、浅見村、松江村、伊勢寺村等を合併して今日になつたのでございまして、旧松阪町は添付いたしてあります図面の赤線示します範囲でございまして、今回焼失いたしました部分はその黒線で示す部分でありまして、旧松阪町の一番中心部繁華街でありまして、焼失戸数の割合は旧松阪町にいたしますれば一五%に当つておりまして、人口比率は二一%に相成つております。なおこの罹災地借地率は四〇%でありまして借家率は二五%であります。借地借家権利問題が非常に複雑なのでございまして、従つて三重県知事よりも本法地域指定につきまして政府に対し別紙のような申請が参つておるのでございます。昨年本法準用国会法案で成立して頂きました上松或いは鷹巣等に比較いたしまして、例えば上松が五百九十二戸の罹災家屋、そのうう借地率は六〇%、借家率は四〇%であります。鷹巣町は六百六十一戸でありますが、借地率は四〇%、借家率も同じく四〇%で、この松阪も六百二十戸でありますが借地率は四〇%、借家率は二五%、ほぼ上松鷹巣とよく似ているような條件になつております。なお戸数は六百二十戸でございますが実際の世帯戸数は八百十九戸になつておるのでありまして、これらを勘案いたしまして何とぞ御審議をお願いいたしとうございます。  なお昭和二十年の十一月十二日本法案を出します前の閣議了解事項等につきましては、関係のものより御説明申上げたいとかように存じます。よろしくお願いいたします。
  5. 鬼丸勝之

    説明員鬼丸勝之君) 只今提案者であります建設委員長の御答弁に補足いたしまして私から一言御説明いたします。  この法律適用を定める場合の考え方といたしまして、昭和二十年十一月十二日に閣議了解が決定いたしておりまするので、この閣議了解の線に沿つてその後の適用の案件を決定されることが至当であると考えておりますし、又その後従来適用地区として決定されたのも大体その線に沿つていることを申上げておきたいと思います。その閣議了解方針は、原則といたしましては罹災戸数疎開戸数の合計が千戸を超える場合を適用地区として、これは勿論当初の戦災地についての適用の基準でありますが、ただこの原則に対しまして千戸以下でも千戸を超ゆる大都市につながつておる、そういうまあいわば郊外地のようなところの地区につきましては適用地区にされておるのであります。で、その後この災害の場合の適用につきましては、又更にこの原則から実情に応じて例外を考えることが妥当であるというわけでございまして、その場合の大体の標準は仮に罹災戸数が二、三百戸程度に達するものにつきましても、地元側におきましてその適用希望する場合にはこれを指定する方針であるというふうに考えられておるのであります。で、今回の松阪の場合は、只今提案者の御説明にございました通り、非常に権利関係も錯綜いたしておりまするし、これを適用いたしませんければ相当紛争を惹起する虞れが多分にございます。従来の又適用した場合の他の地区の事例又状況に徴しましても、この松阪の場合にも適用地区しとすることが適当であると、建設省といたしましてはかように考えておる次第であります、
  6. 平賀健太

    説明員平賀健太君) この法律案につきましては、法務府としては別に異存ございまよせんので、適当な法律案ではないかと思つておる次第でございます。  なお昨日この法律案つをどういう理由議員提案になつたのであるかというような御趣旨の御質問があつたようでございます。法務府としては別にこれを議員提案にするというふうにしたわけでもございませんで、議員のほうでお坂上げになりましたので、法務府のほうとしはこのために特別の法律案を出す必至がなくなつたというような次第でございまして、別段どうという理由はないのでございます。
  7. 伊藤修

    伊藤修君 昨日の質問者がいないようですから私が代つて聞いておきますが、昨日の吉田君の質問は今法務府の御答弁とは内容が違うようです。吉田君の質問趣旨及び私の質問趣旨は、一体かような個々の小さな罹災に対しても本法適用するならば、基本的に法律を改正して一般法に引直したらどうだ、政府立法の当時この法律の将来について考えるというお約束があるはずです。ここでそれに対して今日どういう考え方を持つておるのか、ただ成行に任して行くという考え方か、政府は一定の方針を持つておるのかという点をお伺いしたい。こういう質問趣旨つたのです。
  8. 村上朝一

    政府委員村上朝一君) 罹災都市借地借家臨時処理法臨時立法であるから恒久法の形に改めてはどうかという御意見は、かねがね当委員会から伺つておりますのでありますが、私どももこれを恒久法として検討する必要があると考えまして研究に着手いたしておるのであります。ただこれを恒久法といたします際には、併せて現行の借地法借家法をも同時に検討いたしたい、かように考えております関係上まだ成案を得るに至つていない次第でございます。
  9. 伊藤修

    伊藤修君 すでに五カ年になるのです。我々は、そういうようないろいろな言質を政府から得た当時からすでに五カ年にもなつてなお且つ研究中であるということは納得できないのです。現にこの問題に対して事ごとに問題が起つて来るのです。殊に借家法例外規定というようなものを、建設関係において公務員住宅ですか、公営住宅ですか、いわゆる借地借家法基本的な考え方を抹殺するようなことを公務員住宅法規定しているのです。こういうことは全くセクシヨナリズムの結果であろうと思うのですけれども基本法例外法で改廃しては法律目的はそれで破壊されてしまうのです。法務府として常にそういうことに関心を以て恒久的、一般的な法律に確定すべきじやないでしようか。
  10. 村上朝一

    政府委員村上朝一君) 御趣旨は誠に御尤もでありまして、只今お述べになりましたような趣旨の下に更に研究を進めたいと思います。
  11. 伊藤修

    伊藤修君 一体公務員住宅法において、借家法規定を全然蹂躪しているというような規定を設けることについて法務府は同意なさつているのですか。あの趣旨を先ずお伺いしたい。
  12. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) お尋ねの点は、まあ個々の具体的の事件々々について、必要がありますればその必要の限度において止むを得ない特例は設けざるを得ないということは、これは一般的の事柄としては申上げ得ることであろうと存じます。そういう関係は、公務員住宅関係、或いは又個々罹災都市関係についても、或いは私は共通なことであろうかとも存じます。従いまして今村上君からお答えいたし、ましたように、全体的の問題として今日検討する事態になつているということは、私自身としてもまさにその通りであると痛感いたしているわけであります。公務員住宅関係のことは、私どもの一応何と申しますか、法制意見局として審査をいたしておりまして、あれはあれで止むを得ないということで閣議のほうへ出し法案としてできたわけであります。
  13. 伊藤修

    伊藤修君 どうも佐藤さんの御答弁を伺うと、一体借家法が成立して、賃借人に対して特段の借家法保護を与えているという趣旨は、その借家主政府であろうと個人であろうといわゆる居住権確保にあるのです。にもかかわらず公務員住宅法におきましては、いわゆる経営者たる国家若しくは公共団体が欲するままに明渡ができる、又欲するままの期限を付する。いわゆる訴訟手続によらずして行政処分としてそのことができるというような特段の規定を設けている。不利益な状態において居住権が与えられているということは納得できないのです。これはいやしくも国家が必要と認めて公務員住宅を建設して居住権利を与えた以上は、やはり一般法規と同様にこれを保護すべき必要がある。私人の場合を保護すれば国家も又これにならうのは当然じやないでしようか。国家なるが故に強権を以て、いわゆる居住権を不当に侵害、制約するということが許されるという理窟がないのです。これらの点は、結局基本的なこういう国民居住権に対して何らの確定方針もなく、漫然としてその必要々々に場当り的におやりになるからそういう結果を生ずるのだろうと思うのです。その点に対するところの先ず御答弁をお願いしたいのです。    〔理事宮城タマヨ君退席、委員長着席
  14. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 公務員住宅関係その他公営住宅関係法律そのものを私手許に持つて来ておりませんから、的確なるお答えは或いは又後に適当な時期に申上げたいと存じます。存じますけれども、大体公営で国なり、地方公共団体施設をいたしますものと、一般個人が貸家として造つたものとの関係における性格の違いというものは、完全にそれが同一であるかどうかという点については私疑問を持つているが、その利用関係においては、公けの施設としてなされました以上は、その公けの施設としての利用の公正と申しますか適正と申しますか、そういう観点からの例外というものは止むを得ないのであつて、今御指摘の特例のごときものもその方面から来る例外であつたと私は記憶いたしておるのでございます。
  15. 伊藤修

    伊藤修君 それは公務員住宅の特性から来るところの例外だとおつしやるけれども先ほども申しますところのいわゆる公務員住宅目的というものは、公務員居住権確保にあると思うのです。然るに悪徳家主を一方国家は常に制約しようとしておる。にもかかわらず、国家自体権限と同様な権限を振い得るという例外規定を設けるということは矛盾も甚しいと思うのです。却つてそういう例外規定を今日悪用されまして、不当に管理人明渡をしてそれで管理人住居に充てるとか、或いは自分らの関係者にその住居明渡して使用するとか、本来公務員が享受し得べき権限をこれらの管理人がそういう特例を悪用して使用しておるというような結果をもたらすということは公知の事実です。でありますから畢竟するに居住権確保ということに対して重点が置かるべきごとを、本末顛倒した国家のいわゆる家主のほうの便宜のみを勘案して特例を設けられたというあり方が、結局今日そういう弊害をもたらしておる原因じやないかと思います。これは佐藤長官においても……公務員住宅に関するところの苦情というものは都会においても国会においても相当持ち込まれておるのです。こういう点に対してやはり政府としては一律に国民居住権というものに対する保護の政策を確立する必要があるのじやないかと思うのです、時代も相当変つて来ておるのですから。政府としてはどうなさるおつもりですか、将来そういう点に対しては国民が安心するような居住権確保に関する立法措置一般法としてお作りになる意思があるのですか、ないのですか。
  16. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 今の問題は罹災都市関係の、この法律のことから発展したことであると承知いたしますが、その点を中心にいたしまして、先ほど村上君からお答えがありましたように、この恒久法化と申しますか、一般法化と申しますか、そういう角度からすべての問題を真剣に検討して行きたいとかように考えております。
  17. 伊藤修

    伊藤修君 そういう点を研究して頂きたいと思いますが、どうもいつまでも研究中々片々ではどうも納得いかんのです。それでは提案者にお伺いいたしますが、この今日頂いた資料によりますと、昨日お尋ねいたしました旧市街の全面積及びそれに対する比率というものが現われておりますが、併しまあ目で見て感覚的に見ますれば、面積的に申しますとこの三万坪というものは約六分の一か五分の一に相当するように窺われるのです、地域的に見ますれば……。人口及び戸数的に申しますれば、ここにお示しのように旧市街比率戸数において一五%、人口において二一%と明示されておるのです。これを以ていたしましても、いわゆる従来のこの適用地区標準というものには私は副わないと思うのです。尤も先ほど提案者の御説明のように上松の場合は五百九十二、高松の場合は六百六十一というお示しがありましたが、これは上松の場合は五百九十二でもこれは殆んど上松全市に相応するのです。高松の場合もやはり地域的において全滅なんです。ただ戸数のみを標準にして申しますならば従来の千戸という標準を遙かに下りますけれども、これはその実態は全市全滅という形であつたから特別にそれが考慮されたわけなんです、今度の場合はそうでなくして、いわゆる戸数においては成るほど上松高松に匹敵するような戸数ではありますが、地域的におきましては全市に相応するとは考えられないのです。先ほど特にこの市に施行することが閣議了解事項例外として地方民希望があつた場合はということを基本にいたして今度の提案がなされたと、こういうような御趣旨伺つたのですが、そういう閣議了解事項があるといたしますれば、そうすれば各罹災地罹災ごとにその住民希望があればこの本法適用一つもすることになるということになりますれば、もうそれは一般法に引き直すべき問題じやないかと思うのです。特にこの法律適用を一々国会が取扱う必要がなくなつて来るのです。根本的にもつと考え直さなければならないと思うのです。それから私はそういう閣議了解事項があるとは聞きませんでしたけれども、それだけでは私は不合理じやないかと思うのです。殊に今の地方民要望と申しましても、これは知事要望だけであつて松阪市民を代表するところの市会、若しくは市の要望というものは少しも現われていないのです。果してそれがあるのかどうかその点を一つお伺いしたい。
  18. 松本一郎

    衆議院議員松本一郎君) 大変御尤もな御意見でありまして、実は御承知のごとく戦災都市借地借家の調整並びに地所を借りておる者或いは借家に住まつておる者というものの住居の安定を得させるというところに狙いを置いて、かたがた復興を早めるというところに精神があつたのでありますが、併しその後二十五條の二によりまして一般火災或いは風水害等にもこれが準用されるということになつて来てしばしば準用されたのでありますが、なお二十年の十一月のこの閣議決定方針従つても、その市町村なり或いは県の希望によつてはたとえそれが百戸でも二百戸でも、そういう権利義務の錯綜しておる所でいわゆる借りておる者の権利確保せなきやならんというような必要なる場合においては、本法準用するということに相成つておりますので、只今のところでは本法準用をかような単行法の下にお認め願つて、そうして松阪災害を受けた世帯数では八百十九戸であります。家屋戸数が六百二十戸であります。この四〇%という約二百数十戸というこの借家住居借地をしておつた者というものの権利をここに安定させなければならん。ごう実は思いますので、而もその期日はもうまさに切迫いたして参つております。つきましては先ほど伊藤さんのお説の市会或いは市長からの申請書というようなお話でありましたが、これは実は県知事のところへ届いておりまして私も見たのでありますが、政府に対しては知事が代表して書類を出しておるというような状況でございます。御了承をお願いします。  なお又先ほど来且つ昨日もお話が出ましたが、かような災害が今後とてなきにしもあらずとこう考えます。その都度かような準用法律を制定して行かなきやならんということは如何にも国会とても煩瑣に堪えないのでありまして、むしろこれは一般法によつて何らかのそういう場合に対応するに煩わしくない、而してなお権利義務確保して安定させるという法律を作る必要が、而も前の上松或いは高松以来の問題になつてつたということを伺つておりますが、これらに関しては政府も又法制局研究調査するというだけではなく、速かにその方針則つて立案を急がれんことを私も希望いたしておるようなわけであります。只今のところこの法の準用によつて松阪市の復興ができ、なお又すべてのものが喜ぶようなわけでありますから、御承認願えれば幸いだと存じます。よろしくお願いいたします。
  19. 伊藤修

    伊藤修君 もう一つお尋ねしておきますが、一体閣議におきましてそういう住民希望があつた場合においては小さな罹災地においても適用するという了解事項があろということは、これは私は聞き捨てならん問題だと思うのです。国会において政府を代表して法務総裁速記録に十分残して声明しておる、当時参議院におきましてはこの法律適用に対しては厳にしてこれを行わなくちやならん、すべてにこれを適用するのであればそれは法律自体に任してしまつて政府に任すべきである、政府に任さずして一々その適用事項を定める場合においては国会の承認を経るということに参議院において修正したゆえんのものは、そういう小さな罹災地にもみだりに適用して、そうして権利関係を制約するということは不合理だというのであの修正が行われたのであります。にもかかわらずその適用事項を定めるに当つて政府において住民希望さえあればいつでもどんな今御説明のようにたとえ百戸でも二百戸の罹災地でも適用するという了解事項があるということは、これは国会の決議を無廃した閣議了解事項だと思う。この点に対して政府において御釈明願いたい。
  20. 小野義夫

    委員長小野義夫君) 松本さんが釈明なされるそうですが如何でしよう。
  21. 伊藤修

    伊藤修君 納得が行けばそれでよろしい。
  22. 松本一郎

    衆議院議員松本一郎君) いずれ政府から……閣議内容に亘ることですから。このプリントでも御覧願つた通りでありまして、今お話のごとくたとえ戸数は少くとも地方の殊に代表者が書面を以て政府準用を願出て来たときは、これは政府が勝手に許可をするのではなく、国会のいわゆる立法処置によつて、即ち事実上は国会の承認によつて許すということになるわけでありまして、政府が単独で勝手にやるべきじやないように私は当時の閣議決定事項書を見て判断をいたしたのであります。つきましては松阪もおつしやるごとくお願いをいたすより今のところほかに方法はございませんので、今後につきましては何とか適当な方法をこれは立法処置処胃を講ずるようにお願いいたしたい。つきましてはこの閣議了解事項については私もまだ最近見ましたばかりでありまして、詳しいことについては政府のかたも今参つておりませんようですから詳しいことはわかりません。どうぞよろしく御了承願います。
  23. 伊藤修

    伊藤修君 先の松本さんの御説明によりますと、閣議のそういう了解事項があるから本法適用する理由一つとして掲げられたように私は伺つたものですからそういうふうにお伺いしたのです。併し今の御説明によると、閣議にはそういう一つ了解事項だけあつて、その適否を定めるのは国会だとおつしやるならば国会が独自の見解において認めることになる、あなたの御説明によると、閣議了解事項があるから本法適用するんだという一つ適用理由に挙げられたから、私は閣議のことは責任ある御答弁を願いたい、それは官房長官総理大臣も出て来て主宰者に責任ある答弁を願いたい、こう申上げたのです。そうであるのですが、ないのですか。
  24. 松本一郎

    衆議院議員松本一郎君) 今申上げた通りないのです。
  25. 小野義夫

    委員長小野義夫君) 他に御発言ございませんか。
  26. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 この問題について今伊藤委員から御質問のようなことと関連して、この松阪市において火災を受けた地域借家人かたがた意思我我は知ることが必要だと思うのですが、そういう借家人かたがたのお考えはどうであるかということについては何によつて判断したらよろしいでしようか、それを伺いたい。
  27. 松本一郎

    衆議院議員松本一郎君) 昨日も少しく申上げましたが、実は松阪は幸い戦災も免れておりましたが、昔ながらの非常に道路は狭隘であります。国道が縦貫しておりますが、幅員は七メートルというような、而も国道は一号ですが珍らしい実は狭い町です。自動車が一方交通している。なお上水道の設備或いは下水、従つて火災のときの防火設備というようなものは至つて不完全であるそうでありますので、この機会に不幸なことではありましたが、松阪市百年の大計で都市計画一つしつかりやりまして、そうして今後の災害ども努めて未然に防ぎ、又松阪市の繁栄と一般の人の幸福な新らしい市を建設するという絶好の機会にしようということを実は考えたのであります。従つて道路を拡張したり新らしい道路をつけたりしますというと、現在の土地の所有権者或いは借地権者のものを或る程度道路に割かなければならんというような場合ができて参りますので、従つてその罹災地全体の地所を持つておる者が少しずつ譲り合つてということにする。又今度奨励したいと思つております耐火建築どもところどころに建てさして、これから近代都市の準備もさせなければならんということを考えましたとき、本法準用によりましてしばらくの間建物を見合してくれ、又見合した場合に、借りている者の権利は今後二カ年間はそのまま確保するということにさせんことには、借りている者は安定しないということになります。従つて只今市の一般罹災者希望といたしましては、殆んどが本法準用をお認め願うことによつて新らしい自分たちの町ができるということを熱望を実はしておりますと共に、市長或いは市会なり或いは県知事政府のほうへ申請者を出して参るというようなわけでございます。私どもも近くにおります関係もあり現地調査をたびたびいたしまして、このことによつて不平や不満は一人もないように実は思います。皆が非常に希望しているのは実は本法準用でございますので、よろしくお願いいたします。
  28. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 同じことを繰返すようで甚だ恐縮なんですが、伊藤委員からの御質問の御趣旨を、私もそういう点が問題だと思い、そうしてそういう点が御説明では了解できないと思うのですが、戸数において一五%、人口において二一%程度のところの道路その他都市計画を遂行するということは、松阪市としては随分むずかしいだろう、市全体を都市計画をやるならば合理的にできるでしようけれども、その中の五分の一だけを合理的に都市計画をなさるということは随分むずかしいのじやないか。現にここで仮にこの法律趣旨都市計画ということと関係があるかどうかということは別として、今御説明のようなことであるとして、そうしてここで今まで居住しておつた人がその居住が不可能になるような人が何人くらいいるのか。そうしてその居住が不可能になつた人たちに対して、松阪市なり、或いは県なり、或いはその他の国なりがそれらの人たちの住宅を建設するような、そういう住宅計画までおありになるのかどうか。それは恐らくないのじやないかと思うのですが、そうすると、ここを追払われた人は路頭に迷うというようなことがあるのじやないか。従つて借家人かたがたの御意見というものを直接に判断する材料がないと、弱い立場にある人たちのために非常に気の毒なことになつては相成らんと思うのですが、この点については如何でしよう。
  29. 松本一郎

    衆議院議員松本一郎君) 実はこの松阪市の都市計画はずつと前から、今からもう二十年ほど前から都市計画法の適用を受けてやることになつてつたのです。ところが建物が密集しておりますこの中心街は、なかなかやろうとしてもいろいろな権利義務が錯綜して、遅々として進まない。然るに今回のこの不幸がありましたので、この機会にできるだけこの罹災地はもとよりその附近も都市計画をやれるだけやりたい、こういうことを実は考えております。  更に第二の御心配願いました現在まで住まつてつた人たちが他に余儀なく移転しなければならんじやないかというようなお話でありますが、絶対にそういうことを実はさせまいと思つて本法準用いたすのであります。本法準用が不幸にしてありませんと、いわゆる家を借りておつた者権利地所を借りておつた者権利というものは実は消滅してしまいます。従つて、他に心ならずも住居を求めなければならんというような悲しむべき現象がここに発生いたす、これを防ぎたいというのが実は私どもの狙いでありまして、ただ従来百坪の宅地を使つてつた者が九十坪になる、或いは九十坪が八十坪に減るということはあり得ることであります。併し大きな宅地を所有しておつた者は比較的大幅に縮小さして、十坪や二十坪の小さな宅地はむしろこれを一坪でも二坪でも殖やすというような一つの社会政策的な行き方も加味して、すべての人に納得の行く復興を図りたい、こう考えましたのがお願いいたしました筋でございます。よろしくお願いいたします。
  30. 小野義夫

    委員長小野義夫君) 別に御発言はありませんか。ちよつと速記をとめて下さい。    午後二時四十四分速記中止    —————・—————    午後三時二十五分速記開始
  31. 小野義夫

    委員長小野義夫君) 速記を始めて下さい。  今までの質疑応答におきましては、提案者の御説明も又政府筋の説明も、委員納得せしめざるものがありましたので、只今懇談会に入りまして、提案者より改めて一括その提案理由説明せられることになりましたから。
  32. 鍛冶良作

    衆議院議員(鍛冶良作君) 本法適用しなければならん根本の理由は、この焼失地域松阪市の中心商店街でありまして、人口稠密であるし借地借家関係の錯綜しております。それのみならずこれは市の公課負担という点においても中心になつておるところであります。従いまして、この地域復興して元の住民がもともと通りここで営業できるようにしなかつたならば松阪市の財政にも大影響を与えるという実情にありますので、人口及び戸数の点において今までの例から見まして少いようでありまするが、特に本法適用を必要とする実情であります。従いましてこれを以て前例とすべきものでないと存ずる次第であります。どうぞよろしくお願いいたします。
  33. 小野義夫

    委員長小野義夫君) 別に御発言もなければ、質疑は終了せるものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 小野義夫

    委員長小野義夫君) 御異議ないと認めます。続いて討論に入りたいと思いますが、各自賛否を明らかにして御意見のおありのかたは御発言を願います……。別に御発言もなければ討論は終結したるものと認めて御異議ございませんか……。
  35. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 本案の質疑応答の間に現われておりました問題について、私はこれに対して賛成をするという場合に我々として考えなければならないことは、この提案理由の中にも現われておりますような都市計画が遂行されるという場合に、この都市計画がどういう環境の下に、どういう社会的な力関係の下に行われるかということが非常に重要だと思うのです。ですから只今議題になつておりますこの松阪市の場合にも、現在の法律案が承認されます場合に、それが実際に遂行される際に、いわゆる一言で申せば弱い立場の人たちの権利というものがいやしくも不当に侵害されるということが絶対にないということがなければならないと思うのであります。その点を私は特に強く強調しておかなければならないと思うのであります。それで本案の理由なり或いは都市計画というような本案に伴つて発生する問題にしても、その目的がたとえ妥当なものであり適当なものでありましても、それが施行される際の社会組織なり、或いは社会環境なり、或いはその特殊な事情なりによりまして所期の目的と全く相反して、そうして弱い立場におる人がその権利をも不当に奪われると、いうことが起つて来て、又繁華街というふうな観点が中心になる結果教育関係などに不当な圧迫が加えられるという事例が現在多多我々の眼前にありまするので、この場合にはそういうことが絶対にないようにして頂くということを私は條件にして本案に賛成いたします。
  36. 小野義夫

    委員長小野義夫君) 他に発言ございませんか……。別に御発言もなければこれより採決に入ります。  本案を原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  37. 小野義夫

    委員長小野義夫君) 全会一致と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によつてあらかじめ多数意見者の承認を求めなければならないことになつておりますが、これは委員長において本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 小野義夫

    委員長小野義夫君) 御異議がないと認めます。  それから本院規則第七十二條によりまして、本委員長が議院に提出する報告書に多数意見者の署名を付するごとになつておりますから、本案を可とされたかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名     伊藤  修  宮城タマヨ     羽仁 五郎  江田 三郎     小滝  彬  岡部  常     長谷山行毅
  39. 小野義夫

    委員長小野義夫君) 次は明日午後一時半に開会いたします。それでは本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十三分散会