○相馬助治君 私はこの際文部
大臣に若干の点の基本的な問題についてお尋ねしておきたいと存じます。先ず
只今議題と
なつている
法案のこの第二条を読む限りにおいては、各府県の実績に応じてその二分の一を支給するということが明記されております。而も
提案者を代表しての
提案者の
説明並びに質疑において明らかに
なつたことも、それを確保するということを申しております。その限りにおいては非常に結構なことでございまするが、ここに
最高限度は政令で定めるという規定が入
つて来ておりまするし、現在の日本の置かれている財政の実情並びに日本が将来置かれるであろう財政的な運命、こういうものから
考えて見るというと、直ちに以てもう
最高限度というものを政令で定めなければならない
段階が目の前に来るのではないだろうか。文部省自身は如何に善意を持
つてこの間に処して参るとも、
大蔵当局その他からこの政令を
一つ定めようじやないか、こういうことに相談が持ちかか
つて来るかと私は思うのです。ただ
一つ、この今提案されている
法律で私は敬意を表してよろしいと思うことは、前の
義務教育費国庫負担法によりますれば、即ち
法律第二十二号のこの負担法によりますれば、前項の職員の定員及び給与の額は政令を以てこれを定めるとぴしやつときま
つていて、定員定額制というものについては文部省が
反対であろうがなかろうがきめざるを得ない
法律であ
つたと思うのです。今般の
法律は定めることができるというのですし、政令の建前といたしまして、大蔵省が定めるのだと
言つても、文部省がいやだと言えば、即ち両省の合意が成り立たなければ政令というものは生れないものと私は了承しております。そういう
意味では、文部省がここにおいてがちつとこういう政令は出さんという
態度を堅持されれば、この問題は問題にならないと存じまするけれ
ども、併し文部省が又国家の大きな行政機関の一端を担うものとして、私
どもがこういうことを言つちや一体おかしいのです、大蔵省のいうことを一から十まで蹴飛ばすこともできまいと思うのです。
従つて私が聞くところによると、すにそういうことを文部当局も予見されてか、曾
つての定員定額に類するような、別途の言葉を以てすれば標準義務
教育費というようなものの
内容というものを検討されていて、そうしてこの程度のものならば大蔵省の言い分にも従わなくちやならないだろう、この程度のものならば大蔵省が何と言おうとも突つぱねようという
用意があるように私は聞いた。これが或る
意味から又仮に文部省がそういう実情に置かれているとするならば、或る
意味においては、大層準備が整うているという
意味で一応敬意に価いするものでありますし、或る
意味にいたしますると、そういうことを今から予見して、もう退却の準備をしているということになると、その怯懦笑うべきものだと思うのです。
従つてその辺の
事情については、どうな
つておるのですかという
質問が
大臣に対する第一点でございます。但しこの問題は事務的な
内容を含んでおりまするので、このことに対する答弁は
政府委員をして代行せしめても差支えございません。
第二は、若しもそういう政令を大蔵省その他
関係当局と合意によ
つて作
つて行くということに相成りますれば、当然定員定額制の復活と相成
つて来るものと存じます。そういたしますると、私は折角議員提案を以てこの義務
教育費を国庫で以て負担せしめようとするこの善意の意思というものが全然逆行して参ることと相成ろうと存ずるのでありまして、文部
大臣としてはこの定員定額に類する政令等というものに対しては、それを出さないためにあらゆる方策をと
つてこれに対応される御
決意ありや否や、これを私は文部
大臣にこの際承わ
つておきたいのでございます。
それから第三の問題は、具体的にこの
法案が成立いたしたと仮定いたしますると、問題は
大蔵当局と文部省とにおいて
予算獲得の面において大きなギヤツプが現われ、これがトラブルにまで発展する可能性を私は
考えざるを得ないのです。なぜかならば、
法律の建前からすれば、各府県の実績に応じてその二分の一を出すのだというところで、
教育尊重の建前から当然文部
大臣はがんばられるでありましよう。これは想像的な表現をいたしては恐縮なことです。当然がんばられると私は存じます。ところがこの次に最高額は政令で定めるというこのことを活かそうとして
地方財政委員会なり、今度はまあ機構改革で変りまするけれ
ども、それなり或いは大蔵省がこの放漫な地方
教育財政をこういう面で絞らなくちやならない、私はここで
言つておる放漫というのは、それらの人の言う言葉です、私は放漫とは思
つておりませんが……。これで絞らなくちやならないということで政令を作ろう、こういうことにな
つて来るでありましようし、政令を作ろうじやなくて、実績の査定においてもう大蔵省はずつと少くこれを査定しようとする
努力が必ず行われて、これが文部当局との衝突の原因をなすのであろうと私は思うのでございます。それでそういう事態を予想されたときに、この議員提出にかかる
法律案を以てして文部当局の
立場は守り得ると文部
大臣はお
考えであるかどうか。仮に守り得ないとするならば、どういう点においてこれはそういう危険性ありとお
考えであるか。守り得るとするなら、それで問題はもう解決できます。その点を私はお聞きしたいのです。
第四点は、この
法律で実施する
施行期日を明記していないのだというのは、寡聞にして私は知りません。先の例に引きました昭和十五年三月二十九日の
法律第二十二号を以て示された
義務教育費国庫負担法も明白に附則第一条を以てその
施行期日を
決定しております。然るにもかかわらず本
法律案が
施行期日を明記せずに出されております。文部当局としては、
提案者を脇においては恐縮ですが、甚だ御迷惑であると存じます、こういう
法律を出されたことに……。従いまして迷惑であるとか、迷惑でないとかということは別として、この際
施行期日について何らか閣議その他において
お話に
なつたことがございますかどうか。あるとするならばその大体の経緯、ないとするならば今後この問題に対してはどのような
折衝の御熱意で文部
大臣としてはあられるか、この点を承わりたいと存ずるのでございます。