○岩間正男君 これは併し大体現状とそう変りはないと思うのです。この法案の内容ではいろいろ細かい技術的な点で変
つておると思いますが、大体変りない。ところが現状では、
教育を受ける側から
考えますとどうな
つているかというと、非常にやはり義務育教さえも完全に果せないという様相が出て来ていると思うのです。その点はこれは最近中
学校あたりで随分不就学が多くな
つて来ておる。それから折角入
つたけれども、今度は
学校に来られない、やめる、家庭の家事手伝いをや
つておる。そういうことで不良化、又は
学校にはなかなか行かせることができないというので、不良化の傾向が起
つておることはしばしば問題にな
つておることでも明らかだと思うのであります。そういうような面で、
一つは
学校の例えば給食費だとか、それから教材費ですね、こういうような負担、こういうものがこの法案で一体どれだけ果されるかという問題が
一つ。それからPTAなんかを通じまして、これはいろいろ寄附とかその他の形で取られておる。そういうつまり負担ですね、いわゆる何と申しますか、
教育費という形で義務
教育に
拂つている大衆負担、こういうものをどういうふうに賄われることにな
つておるのか、この点が非常にやはり重要だ。
教育の
機会均等ということを言うときには、少くとも貧富の差なく、これは貧しいとか富めるとか、富めるものも貧しいものも
一つ並に国家の負担によ
つて教育を受ける、平等に受ける、こういうことが非常に言うまでもなく必要なことなんです。
日本の、我々の見当では大体中
学校におきまして、戰前では百人のうち二十人しか
行つておりません、女
学校、中
学校に……。こういうことで、その行けない八〇%の中に人材がたくさん埋もれてお
つたわけです。そのために実は
相当優秀な人間の素質が
教育によ
つて十分にこれが成長して、そしてそれを国家の
一つの大きな発展のために使うということができなか
つたという面が非常に多か
つたと思う。戰争に
なつたやはり
一つの原因だと思う。そこで一方では官僚閥の風潮が滔々と
日本の社会を支配いたしまして、だから例えば
相当学歴がある、こういうことのために
相当いい地位を占めておる局長や課長の下に、実は必ずしも人材がいないかというと、
相当に人材がいるのだが、その人材が本当に学歴がないために使われない、そつぽを向いておる、又少し出過ぎたことをすると、すぐに官僚の制度の中では叩かれる。むしろ黙
つて事なかれ主義で、椅子に何年か掛けてこつこつと御用を足しておるほうが無難だということで、
日本では滔々として、我々から見ましても、明治維新のあの改革時代から
考えますると、どうも人物的にも低下しておる、こう思われる。これは
教育的にもやはり
日本の敗戰の原因だというふうにも
考える。そういうような私見は別といたしましても、
教育の
機会均等を打立てるということは、そういう面において大きなメスを入れ、そうして貧しい者も富める者も等しく
教育をする。大衆の中に今まで埋もれてお
つたところの人材を大きくここで発見する、これを育成する。そうしてこれを新らしい次代の
日本の発展のために大きくこれを利用して行く、活用して行く、ここに私はあると思う。こういうことを
考えなければ
教育の
機会均等ということを口先で言
つたつて意味をなさない。形式的な
教育の
機会均等ということは
意味をなさない。そういう方向に努力するかのように見えましたところの
日本の
教育改革というものは、現在においては全くこの法案を出さなければならないということが明らかな証拠でもあるように、道を封鎖されて、再び逆転の方向に動きつつあることは明らかであります。ということは、最近もPTAの会費が出せない、給食費を持
つて行くことができない。いわゆる大衆の生活が非常に崩壞して苦しくな
つて、とてもこれは
学校にやるどころではないということで、先ほども申しましたような情勢が出て来る。少くともこの問題を解決するという努力なしには、全額国庫負担とか、
教育の
機会均等ということを言
つたつて、これは空念仏なんです。形の上だけの問題なんです。こういう点で私は非常に今の大衆生活に深く入
つて、少くとも
教育費中味の問題を解決して、国家の手によ
つてもつとこれは貧富の差なく、
教育の
機会均等ということを本当の
意味で確立する、こういうことでなければまずいと思うのですが、こういう点について一体この法案ではどこでそういうことが果されるのか。今の内藤課長の
説明では一応現状を技術的に少し変えた、そういうような点の御
説明があ
つたのですが、私のお聞きしたいのは、もつと別のところで、むしろ
教育を受ける側における
教育費の負担、そういうものをどういうようにして国会に諮
つて、そうして
一つの大きな国策として新らしい世界に即応するところの人材を養成するということに問題がかか
つておるのですが、これは
一つ若林さんにもお伺いします。