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岩間正男君 私は本
法案に反対であります。
若しも
日本が真に国際
対立の中におきまして、
日本の憲法の
精神に徹底し、飽くまでもですね、平和を守り抜くと、こういうような態勢が本当にとられてお
つて、その中に
国際連合の
精神から発した
ユネスコ機関というものが設けられたならば、私はそれは賛成するのであります。むしろ進んで賛成するのであります。然るに現在の情勢はどうかと言いますと、全くこういう態勢から反対の
方向に動いておることは多くここで
指摘する必要はないのです。而もその後に
ユネスコの運営を見ますと、これが
国際連合憲章の
精神に則
つて運営されておると一応調われておりますけれども、運営の実態は、先ほど私が
質問の中でもこの点に触れたのでありますけれども、殊に
朝鮮事変を契機としまして非常にこれはいわゆる自由国家群というものの
機関として傾いて来ておる、こういう
性格を持
つておるのであります。そういうような形で、現在
日本がアメリカのいわば不沈国或いは反共基地として、東亜における反共基地として再編されておることは、これは言うまでもなく両条約並びに
行政協定によ
つて明らかに
指摘されるところであります。その中にこのようないわば
教育、
科学、
文化という
精神面の
機関をここに作る、こういう形でこの問題がこのような
法案化までされまして、法制によりまして上から形作られるということになりますというと、これは
日本のいわゆるそういうような反共基地としての態勢を
精神的にますます確立するための
運動としてこれが
推進されるところの危険が十分に存するのであります。そうして又
ユネスコのその後の
性格の変化から
考えまして、
現実的な変化から
考えまして、こういう感じを私は持
つて旧来ると思うのでありまして、相馬君が
只今要望点として述べられたことは、実際はこれは恐らく、今言つたように杞憂に終ればいいのでありますけれども、恐らく相愛じやない
現実的な姿を私はと
つて来るものだと
考えます。こういう点から、私はこの
法案が
現実の
日本の中で果す
役割から賛成することはできないのであります。更に、今まで
ユネスコの
協力会というようなものが
国内にできたのであります。そうしていろいろ運営された実態を見ましても、この杞憂は十分に裏書されて来ると思うのであります。例えば具体的な最も卑近な例を挙げますと、院内におきましても
ユネスコの
協力会のようなものがあります。
国連協力会から発したそういうものがあります。そういう所で例えば映画を見せておる。その映画は一体どういう映画だげ見せておるか。これは今までの傾向を
指摘すれば明らかであります。
世界のあらゆる
文化をあらゆる面から公平にこれを紹介し、あらゆる
精神の糧としてこれを消化して行くということろに私は
ユネスコの本当の
精神はあると……。ところが現在選ばれておる映画を見ますというと、非常にこれは一方的な形を持
つています。こういう形で進められているのが
一つの例でもありますように、
国内の
ユネスコ協力会というものが、口先では成るほど
ユネスコ憲章に従
つて人類の平和と繁栄の
方向に向けられなければならない、こういうふうに言
つておるのでありますが、それが非常に枠を作つたところの、或る特殊の
一つの宣伝
機関のような形で進められておるところに私は現状の危険を感ずる。やはり我々が過去に太平洋戰争の前後を通じて陥りましたのは、やはり
世界情勢に対しまして馬車馬的に一方の情勢を遮断し、一方の勢だけをこれを最も正しいものとして信じて来たところにあつたのでありまして、この愚を再び我々は繰返してはならない。これが当然
ユネスコの
精神でなければならないのに、その
精神が今日おきまして先ほど申しましたように歪められておる。こういう中で、すでにその下地ができておるところに対しまして、更にこれを法制化して、もつと
官僚統制下に置こうとする態勢が出ておる。これがこの
法案の狙いで、従いまして私はこういうような国際的な
一つの反共
機関とも言えば言えるようなものの
日本版であるところのこの
ユネスコの
国内における
行動に対しましては、非常に私は賛成することができない。
第二の反対点は、これはやはりこの
国内委員の任命なんかを通じてよく現われていると思うのでありますが、これが最終的には
文部大臣の任命によ
つて行われる、こういう形にな
つて来ていることであります。これはやはり私たちは新らしい民主的な
文化というものを
考えるときに、およそこういうような態勢というものはそぐわないものじやないか、逆行しているんじやないかというように
考えます。今度の修正点なんかについて見てもこの
構成を見ますというと地域的な
代表者を選ぶ場合には、
最初に全体の四分の一であつたのでありますが、これを五分の一に減らしておる。そうして中央のそういうような人的
構成を非常に強化しておる。こういう形において頭でつかちな足のないところの、いわゆる
官僚統制強化という形でこの運営が今後なされるということに対して、この不安に対してこれを是正するところの何らの裏付けがないのであります。こういう点から
考えまして、私は今日やはり
日本の置かれておる態勢から
考えまして、いわば新らしい
意味の
精神総動員的な
方向をこの
ユネスコ運動を通じて行われないという保証がない。こういう点から
考えまして、こういうような
官僚統制の
方向で一体一国の
科学や
文化や
教育というものが非常に上からら、而も国際
機関と結び付く形におきましてますます強化される、こういう形は望ましくないと思う。で、一応これは国際
機関との
関連という形で作られることになるのでありますが、それをどのように消化し、どのようにこれを育てて行くかということは、やはり
日本の民主主義
そのものが現在どのような段階を辿り、どういうような内容を持
つているかということに
関連するのでありまして、現状におきましてはまだその試練が非常に浅い、本当に民主的な訓練を経ていない
日本の現状におきましては、
官僚統制的なものに動かされるという危険を十二分に感ずる。かような点から私は
国内立法として時期尚早である。而も非常にむしろ時代の要請の
方向に応えて行く、こういう
役割を担わされるということを感ずる。こういう点から私はこの
法案に対しまして反対するものであります。