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1952-05-13 第13回国会 参議院 文部委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月十三日(火曜日)    午後二時十二分開会   —————————————   委員の異動 五月九日委員鈴木安孝君辞任につきそ の補欠として工藤鐵男君を議長におい て指名した。 五月十二日議長において石黒忠篤君を 委員指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     梅原 眞隆君    理事            高田なほ子君            相馬 助治君            木内キヤウ君    委員            川村 松助君            木村 守江君            黒川 武雄君            石黒 忠篤君            堀越 儀郎君            山本 勇造君            荒木正三郎君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   衆議院議員            平島 良一君            若林 義孝君   政府委員    大蔵省主計局次    長       東條 猛猪君    文部省大学学術    局長      稲田 清助君    運輸省船員局長 山口  傳君   事務局側    常任委員会專門    員       石丸 敬次君    常任委員会專門    員       竹内 敏夫君   衆議院事務局側    常任委員会專門    員       石井  勗君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○理事補欠選任の件 ○国立学校設置法の一部を改正する法  律案衆議院提出)   —————————————
  2. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 只今から文部委員会を開会します。先ず最初理事補欠選挙を行ないたいと思います。去る四月二十五日に理事加納金助君が委員を辞任されましたが、四月二十八日に文部委員に選任されましたので補欠互選を行ないたいのでございます。互選方法は如何いたしましようか。
  3. 高田なほ子

    高田なほ子君 互選方法成規の手続を省略して、その指名委員長に一任せられんことの動議を提出いたします。
  4. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) それでは只今動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) それでは私から指名をいたします。加納金助君に理事をお願いいたします。
  6. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 次に国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引続いて質疑を行ないます。関係者がお見えになつておりますから、御質疑のおありのかたは質疑を願います。
  7. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先ず委員長にお伺いいたしますが、関係者というと、どういう関係者が見えていますか。
  8. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 今見えておりますのは、平島さん、大学学術局長が見えております。それから今これは船員局長主計局長のほうは要求して連絡をとつております。
  9. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは先ず提案者の代表の平島さんにお伺いいたします。本法律案提案理由にありますように、自立後の我が国における海運伸長並びに貿易興隆を図ることが大事である。そういう立場から商船大学新設提案されておるわけでございますが、海運伸長貿易興隆を図ることが大事であるという点については申すまでもなく全く同感でございます。つきましては若干具体的にお伺いいたしたいと思うのでございますが、その第一点は、この提案者自由党所属のおかたでありますので、そういう立場からもお伺いいたしますが、この法律案提案者はそうなつておるようですが、非常に御熱心に主導力をとり、イニシアをとつてやられたのは与党自由党皆さんがたであるということは、これはもう自他共に許すところだと思います。従つて若干お伺いいたしますが、現在七十二の国立大学と、それに伴う予算、それから我が国国立大学実情、これらにつきまして自由党政調会文部の小委員会でも随分と検討されておるようでございますが、それらの予算関係と、ここに国立大学を設けるに当つて関連性、そういうものをどういうふうにお考えになつていらつしやるか、これが先ず第一、基本的な問題です。  次にお伺いいたしたいのは、大学ができ、或いは学部新設する場合に、よく半額を地元で持つとかいうような公約をするわけであります。七十二の国立大学ができる場合にも随分條件があつたわけでありますが、さて発足してみますと、なかなか地元約束通り負担義務を遂行しない。そこに設立された大学の充実が非常に遅れておるという私は大きな原因があると思うのでございますが、地元神戸市につきましては、発議者としては十分連絡もとられておることでありましようし、私がここでお伺いするのは余計なことかも知れませんが、あえてお伺いいたして置きますが、ここに年度別負担区分というものが提示されております。この区分通りに完全に地元で遂行できるという見通し発議者は立たれておると思うのでございますが、責任を持つて実行させ得ろということをここではつきりとお約束ができるかどうか。地元に交渉されておると思いますので、先ずその二点をお伺いいたしたいと思います。
  10. 平島良一

    衆議院議員平島良一君) 提案者自由党ばかりでなしに、各党でありまして、そういうふうな見方をされるかも知れんと実は思いまして、最初私がここへ伺つたときには、社会党の松本七郎君も答弁しようというので出て来てくれたくらいでありまして、自由党のほうは数が多いから、そういうふうに見られても仕方がないと思いますが……。
  11. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 肯定して置いたほうが、速記録を見るときに都合がいいですよ。
  12. 平島良一

    衆議院議員平島良一君) いや、これは各党派からやつておりますので、さように御承知を願いたいと思います。七十二の国立大学ができましても、この大学の中には勿論まだなかなか整備の不完全なものもたくさんあろうとも思いまするので、自由党におきましても、大学に関する委員会というものを作りまして、これをどうするかということを今研究中なのでありまして、これを整備するということも最も緊急なことであろうと思いまするが、それよりもこの提案理由によりまして、商船大学のほうがより以上緊急に必要であると私ども考えて、提案したようなわけであります。  それから第二の寄附の問題でありますが、これは私どもわざわざ現地に参りまして、県庁の人にも、又神戸市の幹部のかたがたとも会いまして、いろいろ折衝いたしましたのであると共に、これができましたときに、神戸市役所内に設けられておりまする神戸商船大学設立促進連盟とかいうものからも礼状が来ておるくらいでありまするから、必ずこの地元負担は完全に負担してくれるものと確信をいたしております。
  13. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 地元が負応義務を完全に遂行するということにつきまして発議者として或る程度責任を以てその遂行をさせる約束をここでして頂けるかどうか、念のために伺います。でないと、実際設立したあと文部当局は非常に事ごとに困つているわけなんですね。そういう点が明確でないときには、簡単に通すわけには行かんと思いますので、一番大事な点であると思いますので、あえてお伺いいたします。
  14. 平島良一

    衆議院議員平島良一君) その点につきましては、私どももいろいろ心配したのでありまして、できてしまえばこれは国立大学なのですから、向うでやらんと言えばどうしても国で負担しなければならんような状態になることも考えられるのであります。そういうことも考慮いたしまして、いろいろ文書で出したくらいでは駄目だ。県会なり市会なりで決議をしてくれなくちや駄目だというので、その決議までしてもらつたくらいでありますから、当然負担してくれるものと私どもは信じております。
  15. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点はそこで一応止めまして、先ほど七十二の国立大学も不十分であるが、それよりも現在の我が国海運界における必要から、この商船大学新設が更に重要だとお考えなつた。こういうような御答弁を頂いたわけでありますが、その数字的なものはあとでお伺いいたしますが、それに先立ちまして、これは本法律案審議の主流からちよつと遠ざかりますけれども、是非お考え願いたい、一応御答弁を煩わしたいと思いますのは、新制大学が不十分だということはお認めになつていると思いますが、特にその新制大学教育学部曾つて師範学校專門学校から大学に昇格したところの教育学部、この施設設備の不十分であることは天下周知の事実だと思う。政府並びに皆さんがたの所属される自由党におきましても、教育には最近非常に熱心なようでございますが、ああいう施設設備において大学教育が果して行われるかどうか。そこを卒業して来られたかたがたが、我が国の次の世代を背負つて立つところの青少年諸君教育するのかということを考えた場合に、慄然たるものがあると思います。まあ私はそう思うのですが、平島さんなり若林さんはそれをどういうふうにお考えになつているのか、私はあえて伺いたい。と申しますのは、七十二もなんだが、それより必要であると何されましたが、その比較についてはあと数字的にお伺いいたしたいと思いますが、新制大学、特にその中の教育学部の実態というものをどういうふうに把握され、どういうふうにお考えになつているかということを、主流からちよつと外れますけれども関連性がありますから、その点伺いたいと思います。
  16. 平島良一

    衆議院議員平島良一君) 私どももそういう感を深くするのでありまして、それがために先ほど申上げましたるように、我々で大学に関する委員会というものを作りまして、全部の学校を知るということはなかなか容易じやないので、これから個々に調査いたしまして、どの学校はどうなつているということも詳しく知つた上で、これに対する抜本的の対策を立てたいというので、今研究いたしておるのであります。それは中には矢嶋さんのおつしやるように、本当に大学とは名ばかりで、実際のそれに伴わないものはあろうことも想像いたしておるのでありまするが、これは一般的にやらなければならないのでありまして、そういうことはなかなかこれは一朝一夕にやれるものじやない。それも必要ではあるが、先ず再建日本としてこれを第一にやるべきものであると、私どもはこう考えておるのであります。
  17. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次にお伺いいたしたい点は、こういう提案理由によつて商船大学新設提案される以上は、わが国の船員教育機関をどういうふうに持つて行くという一つの腹案を持つて、一応商船大学というものは生れて来ておると思う。具体的に申しますと、大学ができますと、大学院というものがありましようし、更には大字を幾つ、その下に高等学校はどうだ。要するに船員教育養成我が国における教育体系ですね。そういうものを一応頭に画かれて提案されたと思うのでありますが、その数並びに地域的な配置というようなものについてどういうようなお考えを持つておられますか、承わりたいと思います。
  18. 平島良一

    衆議院議員平島良一君) 高級船員の必要なことについては、提案理由に申述べておる通りでありまして……。
  19. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 学校の数ですね。
  20. 平島良一

    衆議院議員平島良一君) 学校の数といたしましては、今の清水だけでは、どうしても三百八十万総トン数の船を作るということになつて不足するという考えから、もう一つ、そうして地理的に見ても神戸の辺はいいのじやなかろうか。関西でも随分商船大学へ入りたい人があるのでありますが、清水では遠いというようなことを聞かされるので、地理的にも神戸がよかろうというようなことで、そうして地元の要求もあり、すでにもうこれは只今つた問題ではなくて、四、五年前からも要望されており、現に私が文部省におつたときも要望されて、それは是非一つ実現いたしたいというような答弁もしたことがあるくらいでありまして、そういういろいろの面を勘案いたしまして、必要であると考えた次第であります。
  21. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 海務学院とか大学院というものをどういうふうにお考えになりますか。
  22. 平島良一

    衆議院議員平島良一君) 大学院については、今の大学にも全部大学院があるというわけではなくて、七十二の国立大学のうちでも、あれは博士の審査権ですか、審理権ですか、のある学校は二十四しかないくらいであります。大学院を置くものは十七、八かとも聞いておるのでありますから、商船大学に果して大学院を直ちに置くかどうかというところまでは考えておりません。
  23. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 念のためにお伺いいたしますが、発議者清水高等商船学校を御視察になつていらつしやるかどうか。  それからこれは他の人から或いは質問があつたかとも思いますが、あつておれば簡単に御答弁頂きたい。それは私らは海運界のことを詳しく知らないのですけれども曾つて神戸高等商船とか、東京高等商船学校には相当に閥がある。陸上で同一場所に勤務しておる者の間のも非常に困るが、大海に乗出した場合に、一つの船に起居を共にする場合に閥が非常に困るのだ。提案者理由によつても、大正元年国立神戸高等商船学校が設立せられて、優秀な校風が樹立せられた。こういう神戸高等商船学校という伝統に輝やくものがあるのだ。ここに神戸商船大学を作るのは誠にふさわしい、こういう表現をされておるわけですね。それからもわかりますように、曾つて神戸高等商船学校後身神戸商船大学であり、東京高等商船学校後身清水商船大学であるといつたような形になつた場合に、先輩、後輩の繋りで、今閥が消えようとしておる場合に、更に昔の閥というものを再び引き起すものではないか、これが海運界にどういう影響があるかということについて、私はさつき申上げたように、聞いた程度でありますが、それらの点についてはどういうふうにお考えになつて提案されたかどうか、念のために伺つておきたいと思います。
  24. 平島良一

    衆議院議員平島良一君) それは先日もどなたかの御質問にお答えしたことでありますが……。
  25. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先ず清水を御覧になられたかどうか……。
  26. 平島良一

    衆議院議員平島良一君) 提案者の中には調査されたかたはおありになると思いますが、私は見たことはございません。併し提案者の中には御存じのかたもおありになろうと思います。  それからその閥の関係ですが、陸上学校についてもいろいろ閥があることは私どもも認めておるのでありまして、そういうふうな議論もあつたのでありますが、清水神戸両方に置けば、それは両方学閥争いから、船の上で相争うようなことになりはせんか。そんなことになつたら困るのじやないかというようなこともあつたのでありますが、船に乗つている人なんぞにもこれは聞いたのでありますが、そういうことはどうだろうかと、ところが船に乗るということは、丁度一つの家に住まうようなものであるから、陸上におるような学閥争いなんということは絶対にしない。一家団欒するような気持で航海するのであるからそういう心配はなかろうということで、私どもはそれを信じてこれを提案したわけであります。
  27. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 まあそういう立派なお考えを持つていらつしやるかたもあるかと思いますが、それを一〇〇%信じては、私はやはりあとになつていろいろ問題が起つて来るのじやないかと思います。私は教育界出身でございますが、陸上に立つている一つの校舎、そこには学校長を中心に教育者が集まつて教育をやているわけでありますが、併し曽つて中等教育における広島の尚志閥東京の茗蹊閥とこの対立というものは、ともに同じ一軒の家に住んで、一つ釜の飯を食つて、お湯を呑んでおるのに、その対立が如何に激しくて、如何に我が国教育を毒したかということは、平島さんも恐らくお聞きになつていらつしやると思いますが、従つて個人的に考えた場合には閥なんというのは問題にならない。こう言う人もあると思いますけれども、それは閥が又物凄く害毒を流すことを肯定するかたもあると思います。従つてこの法律案通つて大学ができた後における教育という点については、今提案者が言われたような考え方教育して行つたのでは、私は由々しい事態が起るのではないか、大学ができた後においては、これはあと文部省責任になりますけれども、私は提案者のような甘い見方はしていないものでございます。  次にお伺いいたしたい点は、この提案理由説明の中に、数字をいろいろ挙げておられるわけですね、三百八十万トンとか、或いは自然減耗率が五%であるとか、或いは実地出身者が一五%とか、ずつと数字がたくさん出ておりますが、この数字出所を一応承わりたいと思います。数字出所を。
  28. 平島良一

    衆議院議員平島良一君) これは運輸省なり文部省事務当局といろいろ打合せいたしまして、そちらから得た数字であります。
  29. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 事務当局にお伺いいたしますが、この高級船員の需給についてというこのプリントは、これは文部省から出たのですか、運輸省からですか。これとこの提案理由説明の中の数字表現の仕方も、それから小さな数字食違いが若干あるのですが、同じところから出たならば、同じような表現の仕方で、同じ数字で出したほうが審議するのに都合がいいと思いますが、そのいきさつを一応承わりたいと思います。
  30. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 御指摘の書面は文部省から出したわけであります。数字の元は運輸省から出ております。
  31. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  32. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 速記を始めて下さい。
  33. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この提案理由骨子をなすものは、要するに造船計画と、それによる高級船員需要という立場から述べられての骨子になつておるわけですが、それによりますと、昭和三十年度に大よそ三百八十万トン、それから数字を弾き出されておるわけですが、即ち昭和三十年度に三百八十万トンという我が国造船計画により安定船腹というものが一応得られるわけですね。ところがこれから大学を作つて卒業する生徒諸君は三十三年にならないと卒業しないわけですね。すると三十年以後は安定船腹三百八十万トンであるというと、今から入学した生徒はそれに間に合わないで、意味ないような感じがするのですが、如何がですか。
  34. 石井勗

    衆議院專門員石井勗君) 商船大学は四年とそのあとに実習が半年つきます。ですから二十七年度から始めまして、二十七、二十八、二十九、三十、三十一年度のときには第一回卒業生が出るのであります。こうなります。
  35. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 たとえ、それにしましても、三十年度に安定船腹三百八十万トンになるわけですが、それまでが問題であつて、それ以後は年々増加するということは必要ないのじやないか。現在船腹が少い。これはここに数字が出ておるように、逐次に上げて行つて、三十年度に三百八十万トンになる。その間に不足するわけですが、その不足する過程において、如何に再教育して、そうして高級船員を確保して行くかということが現在の船員教育、これは船員教育としては重点じやないかと思うのですが、どう考えますか。
  36. 石井勗

    衆議院專門員石井勗君) これはたしかお手許に出ておると思いますが、運輸省の資料としての表がございまして、三十一年度のところで五百一というところをマイナス五百一というのと合せることになつております。そこのところだけのお話で、今最初答弁を申上げたのでございます。只今御注意がありましたのは、その途中ですでに不足があるのだがというお話、誠に御尤もであります。従つてこれはもつと早く充実して行かなければならんはずでありますが、運輸省としましては、文部省の今までの商船大学及び五つの商船高等学校の数と睨み合せて、更にその不足数海技專門などの再教育による臨時補充ということを計画して来ておられるのであります。これが計数通りに行きましたといたしましても、本年の二十七年度の海技專門教育では六百十名というものを運輸省計画しておいでになつたのであります。それを充たし得たとして、丁度今のあとのほうの三十一年度の始めのところに行きまして、辻棲がうまく合うのでございますが、今年それを募集いたしました実績を聞いてみますと、三百何十名の志願者で、そうしてそれを入学せしめ得る資格者という者は二百名を切れたと、なおこれの再募集を目下やつておられる話に聞いておるのであります。これが仮に百七十名取れたといたしましても約三百名本年だけでも数が狂つているのでございます。なおこの我が国保有船腹三百八十万トンというものがそこで釘付けになるものとは予想せられておりませんので、それから国力の事情などによつても伸びて行く可能性を持つておるだろうと思います。それらのことは、私どもとして一は、細かいことに具体的な予想はつかないことでございますが、今ここの三十一年度で数が合つたとして、そのあとが余分になるというふうの見通しは出て参りません。今の海技專門自身すでに三百余名の不足が出て来るというような実情になつております。只今申しましたのは、この高級船員だけについての問題でございますが、高級船員だけについてもそういうような事情になるのでございます。
  37. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 海技專門の場合と言われますが、海技專門は、元の商船学校並びに高等商船学校別科を卒業した生徒を再教育して、高等商船学校卒業程度のものにするわけですね。そうすると、高級船員はあなたの説明によると、商船高等学校大学を卒業した者が高級船員である。その比率を四対六にしておられるのですね。だから海技專門生徒云々というのと、大学卒業生を必要とするというのは無関係ではないですか。
  38. 石井勗

    衆議院專門員石井勗君) ここの最初提案理由として、実施から約一五%ということがどこかに申上げてあつたはずでございます。それに今の実地で働いておつた人高級船員に進めて行きます資格を与えるところの教育が、現在は海技專門教育になつておるはずでございます。それを引きました残りのこの四対六とか、或いは五対五、これは統計の年次の取りようによりまして若干開くのでございますが、これは大体相対のパーくらいのものが大学とそれから商船高等学校、こういう考え方になつておるのでございます。
  39. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 年間需要五百として、  一五%といつたら七十五人でしよう。そうして、海技專門高級船員教育をやつているものは本科でしよう。本科は定員百名でしよう。で現在この表を頂きますと、大十五名おりますがね、だから、五百名必要とするというものに対する一五%の数を現在の海技專門で立派に満たしておるのであつて、あなたの三百名不足云々というのは私は合わないと思いますが、違いますか。
  40. 石井勗

    衆議院專門員石井勗君) これは一五%というのは、今までの実績から出しましたところの概数をお示ししたのでございます。それから今ここで六百十名を必要とするという計画は私共は專門外でわかりませんが、專門のお立場運輸省のお立てになつ計画がございます。運輸省が二十七年度に六百十名を入れて教育しよう。こういう計画でございます。
  41. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今回ですか。
  42. 石井勗

    衆議院專門員石井勗君) はあ。海技專門に。
  43. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それは特修科に入つておるでしよう。
  44. 石井勗

    衆議院專門員石井勗君) その詳細はわかりません。
  45. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そうでしよう。本科六百十というような計画はないですよ。
  46. 石井勗

    衆議院專門員石井勗君) とにかくこの六百十を入れて行きました数とのバランスでここに持つて行くという、その六百十が、今申します入学を許可し得たものが百七十名しかなくて、それをもつと何とかして数を殖やしたいというので再募集が現在行われておる。こういうことでございます。そこで仮に百二、三十名入学ができたとしましても、そこに三百、そうすると差引現在の運輸省計画から行きますと、今年においては三百十名ぐらいの不足が出て参る、こういう計算を申上げたわけです。
  47. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 運輸省船員教育のかたが来ていないから詳しいことはわからんのですが、一点お伺いしますが、例えば特修科の乙一科なんかというのは、これは近海を通る船の小型のでしよう。これを出たのは高級船員にはならんじやないですか。どうですか。こんなのが高級船員なんと言つたらかないやしません。どうですか。  それから一つ文部省のほうにお伺いいたしますが、二十七年度、清水商船大学に二百四十名入学許可する計画を当初立てられて、それを取消されたわけですが、それは恐らく神戸に新らしく商船大学ができれば、現在の定員を増して二百四十採る必要がないからというので、私は取消されただろうと、こう推察しておるのですが、その二百四十はどういう基礎に基いたものか、本日ここで承わるところによりますというと、二百八十人の入学を要する。こういうわけです。昭和三十年の安定船腹三百八十万トンというのは、もう昨年の五、六月頃から国会で運輸大臣が答弁しておるわけですね。ちよつとした間に四十人も数が変つて来るというようなところに、どういう計画的養成をやつておるのかという点に非常な不安な点があるわけですが、御答弁願いたい。
  48. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) この船員の養成につきましては、運輸省にありまする船員教育審議会の審議によりまして、運輸大臣或いは文部大臣がそれに照応して計画を立てるわけでございまするが、お話のように、予算要求をいたす前に、一応二百四十という数字船員教育審議会あたりで検討されたことはあつたのでございます。これはやはりその間の需要供給の基準は只今御検討願つております数でございまするけれども清水施設を利用するということを一応考えましたために、十分ではないが、とにかく清水の入れ物の、何と申しますか、入れ得る状況等を考えまして、八十名の増加に一応とどめようかと考えたことはあつたのであります。予算要求をするに至りましては、只今計画通りいたしております。
  49. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ということは、二百四十の数字で出たのが船員教育審議会の出した数字で、そこに責任があるということと、二百四十というものは清水の収容力から出た数字である、こういう意味ですか。将来の三百八十万トンに対する需給との関連性から出したものではない、こういう意味ですか。
  50. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 只今お話通りでございまして、二百八十くらいありますけれども、実際の状況を見て、一応養成としては内輪に見た時期もあつたのであります。
  51. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 どうも船員なんかというのは、船がなかつたら上つたりになるので、余ほどこれは綿密に計画的にやらなければ困ると思う。文部省のほうでは内輪と言うし、あなたのほうでは三百八十万トンで終らないで、将来多くなるだろうからというので若干見越したような感じも先の答弁に入つておる。そうなると相当私は幅が出て来ると思う。そこで私はお尋ねしますが、ここに曾つて船員で、現在陸上で他の仕事に従事しておる者を調査してほしいという資料要求をしましたところが、運輸省の船員局から資料が出ておる。従つてこれは相当責任ある資料だと思うのですが、これを見ますと、現在旧船員で就職を希望しておる者が二万もある。そのほかに失業船員がかなりあるということをこの資料に書いてあるわけですがね。これらの問題はどう考えていらつしやるか。更に現在今大学を作つて卒業するのが三十一年なら三十一年にします。その間にまあ急速に船腹が膨脹しますというと、船員が足りない。そうすると再教育というむのが相当問題になつて来ると思うのですが、海技專門学院は再教育專門にやつてつたわけで、今度これを大学にいたしますと、再教育機関というものは私は相当大きな制約を受けると思う。それと、曾つてこれは優秀な船員だつたと思うのですが、二万人以上の船員希望者がおる。それらを一体どうするか。それらの再教育というものはどういうふうに考えていらつしやるのか。こちらからも御答弁願いたいと思います。先ずあなたから。
  52. 石井勗

    衆議院專門員石井勗君) 何と申しますか。船員たりし経験を持つている人で、現在船に乗つていない、従つて船員としての職を求めておるという人が相当数あるということは私どもも承知いたしております。その二万という数が正確であるかどうかは私も十分承知いたしませんが、相当数あるということは承知をいたしておりますが、こういう人々ができました主な原因又は実情、いわゆる船員の雷給関係実情というものについて意見を申上げると御参考になると思うのですが、と申しますのは、このこういう状況に立つ人が仮にまあ二万前後あるといたしまして、その主たる原因というものは、実情を私どもでいろいろ聞き合わせ、その畑の人に聞きました結果から申しますると、それぞれ主として事故を持つておる人、或いは年齢が相当老齢に達しておる人、或いは中に現在或る会社の船についておるけれども、これは戦時中の応急措置として、何と申しまするか、普通の状態ならばそこの地位まで昇れない人を急に昇進さしたというような、必要があつてそうなつたのでありますが、それがだんだん世の中が落着いて来まして、そういう人々がその地位においては甚だ不安をみずから感ぜざるを得ない。会社のほうとしてもだんだん困るということで、他のほうに職を求めつつあるという数も相当数入つておるようでございますが、この事故を起したり、或いは事故を持つてつたというような人を例えて申しますると、勤務中に過失があつた、或いは素行の上に問題があつたというような人々などで、従つてこういう関係上、或いは年齢が高いというような関係で、船会社などは殆んどこれらの人人を採用する意図がないというのが実情のように私どもは承知いたしております。ところがそれじや立派な船員の需要は一体ないのかと。立派な船員については非常に欲しいのであります。実例を申しますると、清水商船大学卒業生については、最近の状況は約五倍の採用申込があるようでございます。それから五つの商船高等学校商船高等学校が五つございますが、それの卒業生については、概数でございますが、やはり約二倍の採用申込が来ておる。即ち大学については五分の一しか人が出し得ない。高等学校については二分の一しか出せない。こういうような実情にございます。なお先刻ちよつと触れました、運輸省でもこの人を求めるということが非常に大事であるということを見越して、二十七年度には六百十名を養成しなければならない。再教育して養成しなければならない。ところが実情は百七十名しか入れられなかつた。それじや困るから何とかしてでも更に再募集をしようじやないかということで、運輸省は非常に熱心にこれの再募集を進めておいでになるようでありまして、運輸省自体はこの需要が非常に大きいということを考えでおられるように思つております。海技專門への応募者が、運輸省でこれほど心配しておるのになぜこんなに少いかと言いますと、これが又一つ船会社が人手が足りなくて困つているという問題でありまして、ここへ入つて来る人は殆んど全部が船会社に現役で勤めている人に対して手当を或る程度与えつつ、ここへ入れるのであります。船会社のほうでは現役から手が抜けるというところに非常な苦痛がある。これが折角運輸省の骨折りにかかわらず、人が十分に出ないという問題があるのでございまして、これらの点から行きまして、先刻お話のような元船員たりし人が職を求めているのが二万見当あるといたしましても、それはそれで、この船員としての需要、殊に優秀船員の需要という問題を緩和する力にはなつておらない実情でございます。
  53. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 まあ一応承わつておきます。
  54. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) なお運輸省から見えましたから……。
  55. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 船員局長が見えたのですね。
  56. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) そうです。
  57. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 船員局長にお伺いいたします。神戸海技專門学院の再教育はあなたのほうで主管されていると思うのですが、船員の再教育についてどういうふうにお考えになつていらつしやるか、あなたのほうから出された資料によりますというと、曾つて船員であつた者で就職を希望している者が二万人いる。更にこれ以外に就職を希望している者がたくさんいるという資料を提出されておりますが、こういう人に対して再教育を施す意思はないのかどうか、それを先ず伺いたいと思います。
  58. 山口傳

    政府委員(山口傳君) お答えいたします。私どものほうでやつております再教育は、無論会社に勤めている現船員のみならず、この安定所に出ております元船員であつた者につきましても、無論再教育としてはいたす考えでございます。只今お話で、安定所に船員の求職者が相当あるのに再教育をする必要があるかないかというようなこともおありでございましたが、現に安定所にこれだけおりますけれども、現実の問題として、船主が求職する場合には、いろいろと本人の経歴、技倆、免状その他本人に関する資料を提供して紹介に努めるわけでございますけれども、十分に船主の望むようなものがないので、再教育の必要というのはございます。それで現実に船主に傭われている船員を主として再教育募集いたしておりますが、併し無論その他民間におられる元船員の再教育も門戸は開放しております。ただ再教育はおおむね一年間でございますが、その間の経費等の関係で、船主の応援を得て給費をもらいながら入学するというのが大多数を占めております。
  59. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 船員諸君に将来の希望を持たせる意味からも、再教育をして上級の船員になる道を開いていることは極めて大事だと思うのですが、そういう立場で御努力願つていると思うのですが、今度元の神戸高等商船学校あと、現在の海技專門学院が商船大学なつた場合に、あなたのところでやられている再教育というものは支障がないのかどうか、これが一つ。  それからちよつと具体的なことになりますが、さつきちよつとここで不明確な点があつたのでお伺いしますが、専修科の乙一ですね。あれを出た人は高級船員というあれに入るのか入らないのか、その二点を伺いたい。
  60. 山口傳

    政府委員(山口傳君) お答えいたします。海技專門が、今回大学が併設されたために現在やつておる大事な再教育に支障がないかというお話でございまするが、その点が私どもも実はこの問題に関連して最も苦労した点でございますが、いろいろいきさつがございますが、最終的には再教育に支障のないという線で、この問題を文部省なり、或いは文部委員会のほうで御審議願うように実は條件を出したわけでございます。御承知のように、今日までの再教育の養成定員は、各種の職種に分けておりますけれども、定員が今日まで三百名ぐらいでやつておりましたが、実は最近の船員の需給問題からいたしまして、今年度は六百十名、即ち殆んど倍程度の数に増強してもらうようにいたしましてそれの予算通りました。但しその希望者が、それに十分に定員に満たなかつたという点はございましよう。それだけの養成をする必要を認めまして、予算の準備を整えて、今年度も引続きずつとやつて参りますわけでありますが、大学問題との調整は、結局大学ができます場合には、海技專門の本部であります深江にある施設関係は一応所管替えをいたしましよう、但し再教育に影響があつては困りますので、再教育のほうで必要とする余席は貸して頂くと、更に又教職員の官舎につきましては、現在一ぱいでございますので、大学のほうへお分ちするものはないと。それから又本部のほかに、約二キロくらい離れたところに現在寄宿舎に使つております芦屋の分教場というのがございます。これは実は借りておる施設でございまして、この分は従つて文部省大学のほうができました場合でも所管替えはいたさないと、従来通り海技專門としてこれは借りておくというような條件を附けまして、そのため再教育が止まるようなことがあつて運輸省としては一大事でございますので、定員等につきましても余裕がない。むしろ増強するわけでございますから、あれするということはないということでございましたが、ただ最近におきまして深江の大学の本部の施設を移すという建前であります限り、この施設に関連した、例えば図書館関係の人であるとか、或いは本部の守衛さんとか、そういつたものが使える。それから一部の教官につきましても、普通学につきましては大学海技專門、再教育のほうと或る程度共有はできるわけでございますから、そのほうの一部の定員は最近におきまして割愛したのでございます。以上のような條件を附けて再教育としては十分やつて行けるという線でこの案にして参つたのであります。
  61. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 船員局長答弁は私はおかしいと思うのです。将来問題が起るといけませんから、私は更に質問いたしますが、その前に申上げる点は、新教育では袋閉じにならないで、素質があつて努力するものは一番上まで行けるように途が開かれるところに特色があるわけですね。そういう立場からも高級船員になれる進級機関を置いてそうして努力次第で高級船員になれる途を開いておくことが絶対必要だとそういう点であなたの主管しておるところの再教育というものはどこまでも粘らなければならない。あなたのほうでは定員が三百名時代、この神戸商船大学の問題が起つたときに、あの深江の現在の海技專門学院は再教育をするために絶対必要なんだ、この商船大学ができたのでは再教育機関ができなくなるから絶対反対であるという意思表示をされておつた。それを受けて、あなたの直属上官である運輸大臣もその意向をはつきり示されておつた。更にあなたの御答弁通り、三百名から六百十名と、倍になつておるわけです。これは志願者があるなしは別問題です。六百十名の再教育は必要である。募集する以上は、六百十名の生徒が入つて来るという予想の下に施設をしなければならん。三百人のときに絶対支障があるとして反対した船員局長が、六百十名の定員で倍になつたが、その施設の一部を大学に使用する段階になつて、再教育に支障がないというふうに、僅か半年ぐらいの差で、こういう答弁をされるということは、これは私は誠に心外で、理解に苦しむところであります。果してそれであなたが所管されておる再教育は今後順調に行えるかどうか。本当に研究した結果、それが不十分ならば、この際それは高等船員を養成する神戸商船大学ができるのも結構であるが、それと同時に再教育機関も必要なんだから、かくかくの施設設備が必要であるということを主張されて、私はそういうものをやつておかなければ困るのじやないかと思います。それでお伺いいたします。
  62. 山口傳

    政府委員(山口傳君) 再教育について、御尤もな御意見であります。私どものほうは、最初は再教育には必要な施設は本来自分らの所管にしておきたいということでございましたが、いろいろ折衝し、研究した結果、曲げてこの深江の本部につきましては、再教育に必要とする教室なり、事務室なりというものは貸して頂くという條件附きで、この問題は落ち着いたわけでございます。従つてこれからこの約束さえ守られれば、あえて自分のものにしなくちやならないというところまで頑張り切れなかつたというのが真相でございます。
  63. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大分真相が出たようです。次にお伺いいたしますが、同じ施設大学海技專門学院で使うと、大学文部大臣の所管である。海技專門学院のほうは運輸大臣の所管である。予算文部省所管と運輸省所管は別々である。従つて神戸商船大学学長というのと海技專門学院院長というのがあるわけですね。一体それはどんなにして運営して行かれるつもりか。紙の上でなくして、実際の場合を頭に画いて、やれるのかやれんのか。これは大学学術局長からも、双方から答弁してもらいたい。そういうものが望ましき姿かどうか。
  64. 山口傳

    政府委員(山口傳君) あそこの施設を利用して大学の問題も解決しようということになりますと相当やはり無理が行く、これは事実でございまして、私どもとしては好ましい姿ではないけれども、この問題を何といいますか、一種の妥協的に解決するためには、このような問題ができたのでありまして、今の学長並びに院長の問題は、たとえ好ましくないのでございましても、それぞれ指揮系統が違いますので、一時それを同一人が兼ねたらどうかという御意見も出ましたが、私どもとしては、再教育として責任を運輸大臣が持つておる以上、自分のほうの輩下の院長というものをいろいろ指揮監督しなければなりませんので、これは妙な姿かも知れませんが、院長というものは別に学長のほかに置いてやつて行きたい。それで従つて将来の運営は、暫くの間どうしてもあそこと併立いたしますので、面倒な問題は或る程度起りましよう。併しそれは人の配置その他等で十分コンビネーシヨンを考えまして最もいい、前には一緒にあつたのでありますから、人的配置等その辺は暫くの間我慢してもらうということで、将来永久にこういう姿を続けるということは不適当だろうと考えております。
  65. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 教育の一般原則から私ども考えますれば養成と再教育というものは一つの経営が普通であろうと思うのです。ただ現在この場面をよく見まする場合には、非常にここのところ数年というものは再教育の数も多いのでありまして、而も再教育の対象というものは、いろいろ船主側と緊密な連絡をとつて収容もし、或いは又それを現場に返すというような仕事が非常にあるわけでありまして、そういう面から申しますと、差当り再教育につきましては、船主側と非常に密接な関係を持たれる運輸省において所管せられるということも必要だと考えております。実際の運営の問題につきましては、十分現場における緊密なる連絡をとるということは結構だと思いますが、殊にその芦屋のほうは、隔絶した土地に独立しておることでございまするから、こちらについては問題なかろうかと思つております。ただこれは今後運営の問題につきましては、運輸省と緊密に連絡をいたしまして、十分御協議を遂げて参りたいと思いまするけれども、我々の側から申しますれば、運営という点におきましては、成るべく将来の点といたしましては、同一の責任者の下に運営するということが望ましい形だと考えております。
  66. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは私は非常な問題点だと思います。恐らく文部省を代表する稻田大学学術局長が、昨年商船大学運輸省から文部省に移管したと同様に、海技專門学院も再教育であるから文部省にこれは併合すべきものである。そうすると神戸商船大学と一緒になるから将来解決するだろう。こういう私は楽観的な見通しを持たれておるのじやないかと私は推察いたします。船員局長のほうとしては、これは絶対離せないという立場をとつておられるだろう、そこに私は又問題が起つて来ると思います。更にこれは予算の執行上、それから指揮系統、それらの点でいろいろ問題がありますが、この被教育者の場合だけ考えても、商船大学の学生は新制高等学校を卒業した溌剌たる青年諸君、ところが再教育を受ける諸君は、もう相当年輩の、奥さんもある人たちです。そういう人が船主から若干の補助を受けて再教育を受けておる。卒業後はそういう年輩のかたは、商船大学を出た人よりも地位が低いわけであります。そういうことを考えるときに、同じ機械を共有して使う場合に、感情的にも私は相当な問題があるのじやないかと思います。そういう教育の主体の異なるものを、而も指揮系統の違うものを同じ所に置いて、而も頭が二人おつて、緊密なる連絡によつてうまく行くであろうなんかいう答弁は、私は了承できないのですが、発議者は発議するに当つて、そういう点をどういうふうにお考えになつて、将来如何にこれを処理されようとお考えになつていらつしやるのが、お伺いいたしたいと思います。
  67. 平島良一

    衆議院議員平島良一君) 我々といたしましては、山口船員局長、それから稻田大学学術局長と共に現地に行つて頂きまして、いろいろ交渉をして、そういうことのないようにという了解の下に、我々もそれを信じてこうやつておるわけでありまして、それを考えないわけでもなかつたのでありますが、いろいろの面から、そういうことのないように、寄宿舎なんかも全然別にするというようなことで、これは円満に行くものであるという考えからこうしたわけであります。
  68. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは施設を共有するのですから問題は相当私は大きいと思うのです。まかり違えば再教育機関はだんだんと圧縮されて、商船大学に全部占拠されてしまつて、再教育機関というものは非常に縮小されて行く虞れが私は多分にあると思います。発議者としては、商船大学をこの提案理由に書かれてあるように、非常に重大だという立場から出ると同時に、現在続けている再教育機関を続けなければならん。併し別個に再教育権関の施設も作つてやるというようなことは考えなかつたのでありますか、神戸高等商船学校あたりの伝統を継いで、あなたの書かれておるような商船大学をこしらえるならば、そこから海技專門学院を追い出す形になるわけでございますから、下級船員の再教育も大事であるし、彼らのために改めて再教育機関を設置するというようなことはお考えにはならなかつたのかどうか、又将来どうお考えになつておりますか。
  69. 平島良一

    衆議院議員平島良一君) 別々に置きますことが理想としては誠に結構なことであるには違いはないのでありまするが、再教育は現在において最も必要であるが、ここ一、二年間必要であつて、三年間もたてばもう再教育の必要は余りなくなるというようにも私どもは聞いたのでありまして、それならば大学になつても、直ちに二年、四年生というものはできるものではないから、一年生からぼつぼつ行くのであるから、併用しても大して支障がなかろうということでこうしたわけでございます。
  70. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこが私は本質的な問題になつておると思います。運輸省の船員局のデーターを見ますと、高給船員の供給数、「元船員より」、「海技專門」というところはずつと減つて行つて昭和三十一年に参りますというと、海技專門からは七十六となり、元船員はゼロということであります。そういうことは、もう高級船員になるためには、大学高等学校を出なければもう絶対駄目だ。立身出世というような刻苦勉励型の人は、如何に努力しても高級船員にはなれないのだということを昭和三十一年以後はやる。つまりシヤツト・アウトする。こういうようにこの数字は出ておると思いますが、これは今の新教育の基本的な考え方からして、努力次第ではずつと最高のところまで行くように、袋閉じにならないで道を開けて置くという理念から遠ざかること甚だしいと思いますが、この点船員局長どうお考えになりますか。
  71. 山口傳

    政府委員(山口傳君) 私のほうの表が少しおかしく見えるわけでありますが、私どものほうの理想としては、船員を必要とする場合には、そのうちの今のお話の下級船員並びに下級免状から上つて行く実地上りの人、そういう人につきましては、高級船員の場合におきまして、全必要数の一五%ぐらいというのがこの登竜門を通つて出て来るかたで、それが出て来るという方針でこれは計算いたしております。この表で御覧の通り、三年ぐらいがピークでございまして、それから先若干減つて、普通のノルマルの状態に戻ると思いますが、その場合でも、養成としては少くとも従来の三百名程度のものはこれはお話通り続けて行かなければならないと、かように考えております。
  72. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは発議者の申される、再教育機関はだんだんと要らなくなるというのはちよつと違うようですが、如何でございますか。
  73. 平島良一

    衆議院議員平島良一君) 私ども運輸省当局からはつきりそういうふうに聞かされたのでありまして、そうだと私どもは信じております。
  74. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 運輸省と言つたら、船員局長責任者じやないですか。
  75. 平島良一

    衆議院議員平島良一君) 私どもは運輸大臣からお聞きしたわけであります。
  76. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣は何を知つておりますか。船員局長から出たものによつて大臣が知つておるんです。船員局長答弁願います。
  77. 山口傳

    政府委員(山口傳君) 私どもとしましては、只今申上げるように、この再教育は将来とも或る基礎的な数字は続けて行く、その外に学校教育から出て来る生徒の数というものは五年先を見通し募集するわけでありますから、船員の需給にぴつたり合おないこともございます。過去の経験でさような現象もあるわけであります。そういうときの過不足を補うために再教育に伸縮性を持たして行く、少くとも従来からある程度の規模のものは続けて行かなければならない、かように考えております。
  78. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 運輸大臣の発言をここで述べられておる発議者と、それから船員教育の直接の責任者である船員局長の発言には相当私は隔りがあると思いますが、そこでこの船員の需給関係というものが一番大事で、資料が出ておりますけれども、相当数的に検討して見ますと、理解に苦しむ点がありますので、私は運輸大臣の出席を要望いたします。  それから次にお伺いいたしますが、現在の五つの商船高等学校は何人採用いたしておりますか。
  79. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 一年生の定員三百人でございます。
  80. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 三百人ですね。成るほど……。ところが需給のこの文書を見ると、小学校の何年生かが、数学の問題を拵えて自分で回答したように、一応はずつとしてあるのですが、さつきのようなところ、相当問題点があるようだから、その点だけははつきりして頂きます。  それから次に、稲田大学局長にお伺いいたしますが、これは先ほど閥の問題についての問答はお聞きになつ通りでありますが、この点も答弁して頂きたいのですが、それと現在海務学院があるわけでありますが、元の東京高等商船学校にですね。いずれは大洋に進出して行くようになりますというと、やはり大学院というものが考えられると思うのですが、それをどういうふうにお考えになつておるか。私の私見を以てすれば、この閥なんかなくなるためには、清水はああいう所で、高級船員の国際的な感覚を養うには不十分である。従つて前期を例えばあちらでやつて、後期を神戸でやるとか、或いは東京でやるとか、そういうようなことが考えられるじやないか。若しこの法律が通つて神戸商船大学ができ、清水商船大学ができたときに、大学院というのは一カ所でやるというのは、何かやはりあなたのところでは一つの構想というものがあつて然るべきであると、勿論この法律案政府提出ではないのだけれども、そういう二校の関係、それから将来の大学院、現在の海務学院、これらの関係をどういうふうにお考えになつていますか、御答弁を願います。
  81. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 第一に閥の問題でありますが、閥の問題は、あらゆるこうした養成に関係いたしまする学校については、ついて廻る問題であつて程度の大小はございまするけれども、やはりこれは全然皆無とは考えられません。併しながらそればかりに立脚いたしまして養成計画を立てることは如何かと考えております。例えば一つ学校における学生定員というものも、或る限度以上に達しますると、教育的効果が減殺されることは勿論御了承の通りであります。又全国的の学校の配置ということも、先般平島議員からのお話にありましたように、これも理由のあるところであります。彼此勘案いたしまして、我々といたしましては、ここに御提案になりまするように、神戸に一校を設立することがやはり適当だと考えた次第でございます。  それから第二に、大学卒業者の教育につきまして如何なる構想を持つかという点でございます。まあ一般の国立大学につきまして、大学院をどこに設置するか、或いは専攻科というようなものをどこに設置するかということは現在勘考中でございます。従いましてここに生れんといたしまする神戸商船大学に、果して大学院を如何なる年度に置くかということはまだ我々未定でございます。更に今日存在いたしまする海務学院の特色でございまするが、非常にこれは職業教育と申しまするか、高等な技術者養成でございます。現在の大学院の基準は、非常に学問研究的の色彩が強いのでございます。果して大学卒業者の教育機関として、いずれが海運界に必要であるかというような点につきましては、更に運輸省或いは船員教育審議会等の御意見も伺いました上で、文部省といたしましては方針を決定いたしたいと思います。
  82. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次に稲田局長にお伺いいたしますが、局長清水商船大学を視察なさつたかどうかですね。視察なさつた結果はどういうふうにお考えになつておるか。あの広大な地域が定員百六十八の大学として適当であるかどうか。これは船員教育只今重大だという立場から、神戸商船大学を作る前に、私は相当解決しなければならん問題があると思うのですが、この点については相当局長責任があると思いますが、答弁をして頂きたいと思います。
  83. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 第一の、私清水商船大学に参つたことはございます。清水施設につきまして、勿論商船大学につきましては、恒久建築ということを考えなければならん性質のものでございまするけれども、御承知のように、ここに一つの問題がございまして、現在清水大学当局も、その他海運界かたがたも、清水大学曾つてありました東京越中島の旧校舎に帰りたいという希望を相当強く抱いておられるようであります。現在越中島の旧校舎は警察予備隊の総隊でありましたか、警察予備隊関係において使用いたしております。これにつきましては、水産大学の問題と共に、警察予備隊と目下文部省といろいろ折衝中でございます。それの工合を見届けまして、それと関連いたしまして清水大学施設につきましての将来の計画は速かに立てたい、こういうふうな考えでおるわけであります。
  84. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ということは、返還されたならば清水東京のもとの高等商船学校跡に返すというふうに計画を持つておる、こういうふうに了承していいですか。
  85. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 返還されますれば、水産大学に関しまする処置と共にこの問題を考究いたしまして、それと併せて、東京施設を如何に利用し得るかという具体的な計画を立てたいと思つております。
  86. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 水産大学関連性を持つて答弁されるので、私はつきりしないのですが、全部をあすこに返すということか、一部だけでも、水産大学が入ると共に、一部だけでも返す、こういう計画を持つておられるというのですか、どういう意味ですか。
  87. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 水産講習所及び旧高等商船学校の越中島の敷地、建物を考えまする場合に、勿論これは水産大学だけに使うには広過ぎると思います。又商船大学の当局もあすこに帰りたいという御希望も持つておられる。但し商船大学をそのまま全部あすこに入れて納まるかと言いますると、あすこには海務学院もあり、又大学の理想形からいたしますれば、今の施設だけでは足りないのでございます。その場合に越中島のあれだけの土地に、或いは建物を増築して商船大学を納めてしまうほうがいいか、或いは一つ教育計画を建てて、商船教育について清水東京両方を使つて、何か非常に更にそれよりもいい計画が立ち得るか、こういう点につきましては、水産大学の使用状況その他とも関連を持ちながら研究したいと思つております。
  88. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この点についてはついでに私は要望いたしておきますが、清水商船大学としては、水産講習所ともとの東京高等商船学校両方とれば商船大学が入るから、そうしたいという希望を持つておるやに私は承わつておるのです。ところが水産大学は久里浜にあつて、その事態というものは御承知の通り、これはいずれ又委員会でもやられるでしようが、水産大学はともかくあすこに帰るようにしなければならん、私はこう考えます。それでもとの東京高等商船学校の跡にまあ清水商船大学の後半期を持つて来て、あすこで国際的な感覚を育成する。前半期を清水に置く、こういう考え方もあるかと思うのですが、いずれにしても御研究を仰ぐことにしまして、神戸にこういうふうに商船大学予算を組んで作る以上は、今の全く無計画清水商船大学の実態というものは許されないと思うのです。新たに商船大学を作る前に、やはり今ある清水商船大学を、今後教育をどういう計画でやつて行くかということをはつきりと文部省で打ち出して善処しなければならんと思いますので、関連性がありますから当局に強く要望いたしておきます。もう間もなく終りたいと思いますが、お伺いいたしたい点は又再教育に返つて参りますが、この資料を見ましても、さつき答弁がありましたように、船主が人件費を持つのをいやがるのと、それから船員を手離すことが船主に差支えあるという立場から、下級船員は再教育を受ける希望に燃えながらも、この海技專門学院は応募者が少くて定員に満たないという実情なのですね。ところがさつきから発議者船員局長も肯定しておるように、早急に再教育して優秀な船員を補充することは大事だ、こういうことであります。然らば今のように船主からポケツト・マネーをもらつて出て来るというような形でなくして、本当に我が国海運伸長貿易の振興に必要ならば、何か予算を組んで補助金を出して、そうして優秀な海員の再教育をやつて、そうして海運界にその要員を供給するということは、国策として私は考えられて然るべきじやないかと思うのですが、局長並びに発議者の御見解を承りたい。
  89. 平島良一

    衆議院議員平島良一君) 私どもも国策の上からも必要であるということの高級船員を作るために、この商船大学は必要であると考えておるのでありまして、再教育ということもそれは必要でありますが、現在のあの応募状態などを見ましても、再教育のみによつて高級船員を補充して行くということは、これは不可能なことであろうと私は考えるのでありまして、そういう意味合いからも是非一つこの商船大学の実現に御協力願いたいと思うのであります。
  90. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今の答弁ちよつと外れておるのですが、私のお伺いいたしておるのは、再教育の隘路というものが明確になつておるのです。その隘路を打開するために、国策として補助金を出して、そして再教育をやるとなれば、それは多数の人が志望して来るわけですね。而もその実地から上つて来た人というものは、場合によつたら相当優秀な人もいるわけなのです。そういうことも考えて然るべきじやないか。これは一つ大学を作るよりも国の予算は少くてやれますよ。そういうことはお考えにならなかつたか、こういうことをお伺いいたしておるわけなのです。又今後もやる意思はないか。要するに発議者海運界に優秀な高級船員を供給したいという気持いつぱいで提案されておるわけなのですね。それは大学を作るというのも一つ方法でありましよう。再教育もその一つ方法なのだが、今後はどういうふうにお考えになるかということをお伺いしておるわけなのです。
  91. 平島良一

    衆議院議員平島良一君) 再教育も必要であることは矢嶋さんのおつしやる通り御尤もであると思うのですが、補助を出してまでそれをしなければならないとはこれまでに考えておりません。
  92. 山口傳

    政府委員(山口傳君) 運輸省としましては、再教育を年来扱つておる関係上、最近のように本当に船員が足らなくなつて緊急に殖さなくちやならないというときには、この手を用いるほかないのでありまして、従つて国として是非補助金なりいろいろ恩典を与えてやつて行きたいということは、もう誠に結構なのでありまして、私どももこれまで月謝等につきましても、或いは寄宿舎の食費その他につきましても、何とかしたいと思つて努めて参りましたが、遺憾ながら今日までは実現し得ておりませんが、今後講和発効にもなりまたし、いろいろと大蔵省と、従来とは違つておりますから、折衝の余地はあると思いますので、これは従来GHQでサルベージということでいろいろ言われておつたいきさつもありましたので、今後はそういうこともないので、更にいろいろ努力しまして実現方に努めたいと思います。是非又皆様も御援護頂きたいと思います。
  93. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 大蔵省から主計局次長が見えました。
  94. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私はもう一遍伺つてこれで質問を終りたいと思いますが、発議者船員局長考え方というものは、相当に私は実質的に隔りがあるように、質疑応答の段階においては受取つておるのであります。それで大蔵省のかたもお見えになつて、ほかの人も質問があるようでありますから、私は最後に一点お伺いして一応質問を終りたいと思うのですが、先ほどから需給関係その他についてお伺いしたわけでありますが、この大学設立に当つて文部省は当初反対の意思を表明し、その必要はないという見解を表明されていたように私は了承いたしております。それが途中から必要がありと、こういうふうになられたわけですが、これは当初の文部省の資料が杜撰で間違つていたので、あとで訂正されたのだろうかと、こういうふうに推察しておるのですが、その経緯が納得できるように一つ説明頂きたい。
  95. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 文部省といたしましては、昨年秋以来文部委員会の御意向もございまして、二十七年度予算編成に当りまして、神戸商船大学に関する予算を要求いたしたわけでございます。併しながら遺憾ながらこれが成立しなかつたのであります。その後における文部委員会におきまして、二十七年度予算説明に当りまして、既定経費を以てこういう大学を創設できないかというような御質問のありました機会に、ほかの大学の経費を割いて、こうした大学を創設することはできないとお答えしたことはございます。その後においてこうした運びになつて参りまして、もともと私ども考えました線に合致いたしておりまするので、神戸商船大学の創設せられますことは必要であり、結構なことであると考えておる次第でございます。
  96. 山口傳

    政府委員(山口傳君) 只今提案者運輸省との間に相当考えが喰違いがあるのではないかというお話でございましたが、最初この問題が起りました当時、いろいろといきさつもあつたことは事実でございますけれども、その後現地に行つたり、その他いろいろ折衝いたしまして、運輸省としては、再教育に支障のない限りあえて反対しないということになつたわけでありまして、先ほどから申しますように、最後の妥協案で、これで果して大丈夫かどうかと念を押しますと、そういう点はこれから十分注意して、運輸省或いは学院の中におけるいろいろなことにつきまして、暫くここ三年くらいの間どうしても同居しなければならんので、いろいろ工夫して何とかこれで凌げるというところに最後の線で話がついたわけであります。決して大きな矛盾はないと思います。
  97. 相馬助治

    ○相馬助治君 私はこの問題に対して財政措置が非常に大切だと思つて、大蔵大臣の出席を要求しておつたのでありますが、只今主計局次長が見えられたというので、特に具体的な問題について主計局のほうにお伺いしたいと存じます。その前に発議者に二点伺つてからやりたいと思いますが、先ず第一点はですね。今問題になつておるのは大学を開くか開かないかである。而も計画を見ると、本年度からもう生徒募集して学校を始めようとするにもかかわらず、四月十六日に衆議院に提案されております。従つてこれから両院を通過するのを常識的に数えて見ましても、相当の日時を要することは、これはおのずから明らかでございます。而も又議会においてこの問題が議論が紛糾して、妙な時期にこの法案が成立したということに相成りますと、本年度の学生募集その他について多大の支障を来たすことも、これ又明白な実情であろうと思うのであります。そこで私は発議者に伺つておきたいのはですね。四月の十六日にいわば普通の学校が、常識的に、新学期が開始されてからこの法案を提出した前後の事情並びにこれによつて学校側が事実学校を開設する場合に起きるであろうと思われる支障があるかないか、なければそれでいいです。あるとすればこういうことが予想されるという一点を伺いたい。実はこの議案の主体となつておりますものは国立学校をどうするかという問題です。御案内のように、教育というものは一連の系統を持つものでありまするとともに、横に又一つ関連性を持つておるものでございます。而もこれが国立学校の問題であつて、地方における、即ちこの場合は神戸市ですが、神戸市が財政負担を予想されております場合には、仮にこの法案が成立いたした場合には、補正予算は地方議会は通さなければならないという問題が起きて参ります。これは平島議員の御説明によつて、補正予算は成立し得る十分なる見通しがあるということでその点は了解しておりまするが、国費におきましても、本年度は暫定的に予備費というようなものを使つてやらなければならないというような問題がここに生じて参るわけです。従いまして立地條件その他の事情を勘案されて、平島さんほか何人かのかたが本問題を発議された努力に対しては深甚なる敬意を表しまするとともに、真実にこの努力を実を結ばしめるためには、又立法府にあるものとしての筋を通すためには、政府提案にすべきではなかつたか。勿論議員提出の法律案というものの価値を私は云々しているんじやなくて、この議案が内容としている筋から考えれば、当然政府提案にすべきではなかつたか。そうでないが故に、今日船員局長並びに大学の学術局長が来て、見るも無残な、お気の毒に堪えないような答弁をせざるを得ない。(笑声)これは私は全く御同情に堪えない。(「同感」と呼ぶ者あり)そういうふうな立場から当然これは政府提案であるべき筋のものでなかつたか。こういうことを考えるのでありまして、これに対しまして本員をして満足せしめる明快率直なる御答弁をお願いいたします。  それから私はずつと続いて質問だけやつておきます。主計局にお尋ねいたします。只今議案となつておりまする問題は、神戸大学を作るというのであつて、作るとするならば、直ちに以てこれに対する予算措置が行われなくちやならない。その予算措置の内容は何であるかということを質問したに対しまして、文部省側より説明がなされております。従つてこの予算措置に対して、大蔵省としては文部省側とどのような経緯をとつて、どのような話が具体的に妥結されているのかということをお尋ねするのが第一点。  それから第二点は、神戸市が実に莫大なる地方財政の支出を見込まなければならない。従つて私私見を以ていたしまするならば、当然起債その他を考え政府に協力を求めて参るのではないかと思う。従つてこの場合において、大蔵省の資金運用部等の金を廻して起債の求めに応じなければならない実態が予想されるのでありまするが、これら地方債の問題について何か具体的に、この場合は神戸市です。兵庫県の一部を含めての神戸市ですが、この地方公共団体と直接のお話合があつたかどうか。勿論主計局自身が自発的に話をすべき性質のものではなくて、向う様からそういう相談がございましたかと、こういうことを聞くのでありまして、それは具体的になければないで問題は片付くのでありますが、あつたとするならば、それはどのような枠で考慮されているかという問題であります。即ち学校設備に関しましては、六三制の設備費でも、実に大蔵当局は起債の枠をくれることについけちけちしている。私の俗語を以てすればけちけちしている。吝薔であるという意味です。(笑声)そういう立場において、この大学に対していわゆる起債というような問題についてどんなふうに基本的に考えておるのかということなんです。これを承わつておきたいと存じます。  それから第三点は、この大学が必要であるか不必要であるかという議論の焦点をなすものは、日本の造船計画というものが今日構想されている通りに進むか進まないかという一点にかかつて参ります。発議者説明によりますれば、現に運輸省考えておるところの造船計画が予定通り進行するという建前に立つて考えられておるのでありまするが、この発議者考えている通り造船計画というものが財政負担の面からいたしまして、即ち大蔵省の見解からいたしまして、自信のあるものであるかどうか、これらに対しまして、一つ明快なる御答弁を煩わしたいと存じます。
  98. 平島良一

    衆議院議員平島良一君) この提案がなぜ遅れたかというお尋ねでございますが、如何にもその通りでございまして、遅れたのは事実でありますが、これは文部省においても、二十七年度から開校したいというので予算に載せておつたはずであります。それを削られたので、まあ私どもとしては、提案理由のような趣旨から、これはどうしても国策上今年度からやらなければ、三十年度の造船計画についても間に合わないというようなところからやつたので、その遅れたのも、予算をどうするかということも考えておかなければならないので、文部省なり大蔵省なりと、いろいろとどこからその予算を出すかというようなことの相談もしなければならなかつたので、それの了解を得るために遅れておつたような次第でありまして、それはどうぞ御了承を頂きたいと思うのであります。そしてこの本案の性質から申しますならば、政府提案にすることがこれは当然であろうと思うのでありますが、文部省も一応やつたのであるが、できなかつたというようなところから、私ども文部省を応援するというような意味で、これは是非必要なものだから、我々からやろうじやないかというようなことが衆議院の文部委員会で誰言うとなくこれが盛上つて来たような次第なのでありまして、そういう理由から政府提案であるべき性質のものではありますが、私ども提案なつたような次第でありまして、これ又どうぞ御了承を頂きたいと思うのであります。
  99. 東條猛猪

    政府委員(東條猛猪君) お答え申上げます。この法律案が成立いたしました場合の財政的な裏付について、文部当局と大蔵省の間にどういうような話合いになつているかというのがお尋ねの第一点でありまするが、必要がございますれば予備支出をする、これがための所要の財源措置を講ずるということが文部当局と大蔵省との間の話合いの内容に相成つております。  それから第二に、一体地方財政との関係を、特に起債の状況をどう考えるかというお尋ねであつたと拝承いたしまするが、御承知の通り昭和二十七年度の地方債の計画は、資金運用部引受が六百五十億、一般公募のものが八十億、合せまして七百三十億見当を予定いたしております。この内訳等につきましては、只今政府部内におきましても、鋭意検討をいたしております。本法律案が成立いたしました場合に、地方財政、特に神戸市の財政に及ぼす影響が如何相成るか、又その結果神戸市から政府或いは特に大蔵省に、大蔵省ということはございませんが、大蔵省に対してどういう話合になりまするか、今後もよく神戸市全体の財政状況と睨み合せてのお話があろうと存じますので、そのお話をよく承わりました上で処置いたしたいと考えております。  それから第三に、今後の造船計画なり、乃至は船員の需要或いは供給の計画等につきまして、財政的な裏付けの問題はどう考えるかという点でありまするが、私ちよつと実は遅れて参りまして、只今までの御質疑の内容等拝承いたしておらないのでありまするが、御提案になつておりまするところの法律案の背後に相成つておりまするところの造船計画、或いは船員の需給計画というものは、只今のところにおきましては、大蔵省といたしまして、おおむねその線に沿うて考えておる次第なのであります。かようにお答えいたします。
  100. 相馬助治

    ○相馬助治君 只今の主計局次長の答弁は非常に筋が通つておりますが、それは極めて漠然と数字を避けて述べられておるので筋が通つておるのであつて、まあ最後の造船計画云々というような問題は多分に政治問題を含んでおりまするので、これは別途お尋ねするとして、私はやはりしつこいようですが、質問の第二点でありまする地方財政との連関の問題について確かめておきたいと思うのです。と申しまするのは、国立大学を設置する場合に、現在の国の財政事情がこうであるから止むを得ないのではあるけれども、もう半額地元負担を見込んで、こういう立法をしなければならない。立法府にある我々といたしましても誠に悲しみに堪えない。こんな馬鹿な方法はないじやないかと。但し議論をした場合に、然らばどうするのだということになると、なかなかに以て名案がないので、我々はそういう議論を楽しもうとはしておりませんけれども、この半額地元負担、而も二億五千万円、この金を支出するについては、当然起債に待たなければならないというのは主計局はおわかりだと思うのです。而も問題なのは、水道の工事であるとか、或いはその他地方公共団体が何か生産的な設備をする場合の起債の場合には、その事業から受けるところの利益金を以てその起債を逐次済して行くということが可能でありまするが、極めて心配なことは、神戸商船大学ができても、これに伴う人員の増加や、学生の消費等によるところの金は神戸市に落ちるけれども、これは起債を済して行く場合には、当然これは神戸市が将来一般経常予算の中に金額を計上してこれを賄つて行かなければならない事態が生ずる。本来ならば私どもといたしましては、神戸商船大学ができた場合に、恩恵というものは、大阪辺におきましては殆んど神戸と同一である、かような地元負担というものも、大阪であるとか、京都であるとか、或いは神戸であるとかいうものが連帯責任の形を以て負担するのであるというと、非常に安心が行くのでありまするが、さなきだに財政的には欠乏している今日、私いつか聞いたところによると、五億の赤字を持つておると伝えられる神戸市の場合においては、政府国立大学の負担を神戸市が持つのであるからという特殊事情を起債のときに考えてやらなかつたならば、非常に大きな問題が起きると私は考えるのです。それで個人の貸借の場合でも同じであつて、十分なる担保があるようなところでは金を借りに来ない。金を借りに来る連中は担保もなければ、償還する目通しもない、これは大蔵省の場合でもよくわかるだろうと思う。神戸の場合には、後者になる心配が私は懸念されるので、あえてお聞きしておるのでありまするが、この問題については大蔵省といたしましては、将来起債その他について国立大学への補助であるという観点を以て、特殊な取扱いをする予定があるかどうか、これは速記録に残るのでありますから、厳粛にお答えを願いたいのですが、特別なる措置をする用意があるかどうかということ、それからもう一つは、地財委と本問題については話してあるかどうかということ、又話す御予定があるかどうか、或いは又具体的にはそこまで行つてないというのか、それらの点についてお尋ねしたい。私は事実を事実としてお尋ねしておるのですから、あなたのお話を聞いて、引つ繰り返して痛めつける材料に聞いておるのでないから、具体的のことをそのまま率直に一つ答弁を伺いたいと存じます。
  101. 東條猛猪

    政府委員(東條猛猪君) 地方起債との関係の問題でありまするが、この法律案が成立をいたしまして、神戸大学ができるということに伴いまして、地元で非常に熱心に御要望があり、又強いそこに熱心さが窺われるということから、地元のほうでも寄附をいたしたいということは、只今質疑がございましたように、国家財政の現状からいたしまして、一応これを喜んで迎えるべき問題であると私どもといたしましては考えておりまして、ここに寄附を頂戴いたすという話が起つておるわけでありまして、この点地元の非常な御熱誠に対しては敬意を表しておる次第であります。  次に起債についてのどの程度の具体的な話合いになつておるかという問題でありますが、先ほど申上げましたように、現在昭和二十七年度の全体の起債計画につきましては、只今いろいろと部内におきましても検討中でございます。研究中でございます。従いましてそれらの全体的な方針が定まり、又個々の各地方公共団体の財政の実情等がよくわかつて参りませんと、この起債の方針というものが具体化いたさないわけでありまして、その意味におきまして、今日只今のところ神戸商船大学の起債の問題を如何いたすか、特殊の取扱い方針ができるかどうかということ、これは申上げかねる段階にあることを御承知を願いたいと思います。地財委とも、右申上げましたような起債に関する処理方針の段階でございまするので、神戸商船大学の起債を認可するかどうかという非常に具体的な差迫つた問題といたしまして相談をいたすというところまでに立至つておりません。
  102. 相馬助治

    ○相馬助治君 話はわかりました。ただ計画だけしてあとで出るべき金が出ないという場合に、一番困つてしまうのは学校当局でありますから、それらの点については、一つ仮に本法律案が成立した場合、地元の熱意に対しても、大蔵当局は十分なる良心的な意味でこれをバツク・アツプする用意ありということを、あなたの答弁の中から汲取つて了承したいと思うのですが、さよう差支えございませんか。
  103. 東條猛猪

    政府委員(東條猛猪君) 別に御剣断を拘束する理由も持ちませんが、まあ只今速記録で御覧を頂きます以上、更に申上げる余裕を持ちません。
  104. 相馬助治

    ○相馬助治君 私は重ねて大蔵大臣の次回における出席を要求して質問を打切ります。
  105. 岩間正男

    ○岩間正男君 関連して一点お聞きしたいと思いますが、相馬君の先ほどの御質問で、予算的措置の国庫負担分ですが、これは必要があれば何とかする、こういうようなお話ですが、具体的にはどういう方法によるのですか。どういう方法によつてやるのですか。予算の流用でやるのか、予備費でやるのか、補正を組むのか、どういうことですか。
  106. 東條猛猪

    政府委員(東條猛猪君) 私は先ほどのお尋ねに対しまして、必要があれば、予備費等によつて所要の財源措置を講ずるということをお答え申上げたつもりでございます。御承知の通りに、文部省所管の国立学校費のほうは、病院、研究所を除きまして百五十億円見当の金になつております。この中には勿論相当額の経常費もあるわけでございまして、神戸商船大学が設立いたされました暁における経常的な面におきましては、教員費におきまして欠員等があるかどうかという、この百五十億円の予算の執行状況というものをよく見まして、それで不足いたします場合におきましては、予備支出の措置を講ずる必要がある。又臨時費につきましては、国の当初の予算の基礎になつておりますところの事業計画には織込んでないと思いまするから、本法律案が成立いたしますれば、臨時的な経費につきましては予備費支出の手続を取る必要があろうと思いまするが、それらの問題はこの国立学校費の予算全体の経費と睨み合せて決定すべきであると思うのであります。その意味におきまして、必要に応じまして予備費支弁と、さような措置を講ずる。さようなことを申上げた次第であります。
  107. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは文部省の見解はどうなんですか。そうして大蔵省とどういう折衝をされているんですか。非常に漠然とした話ですが、大体先に行つてそういうことができるかも知れませんというのでは計画はない……。
  108. 東條猛猪

    政府委員(東條猛猪君) 誤解をして頂きますと困りますので、念のために申上げておきまするが、この神戸商船大学が設立いたされましたるために、既存の学校の経費に食込むということは考えておりません。この意味におきましては、必要があれば予備費の支出を講ずるということで文部省当局と話合いがついておるということを重ねて申上げておきます。
  109. 岩間正男

    ○岩間正男君 どの項目……。その必要があるんだから、既存の文部経費には手はつけないですね。仮に予備費というか、そういう予備費の運用の仕方というのは、これは予備費の性格としてそういうことは余り、どうですか。文部省はどうお考えになつておりますか。
  110. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 只今の大蔵省の東條次長がお答えになりましたように、既存の学校経費を食うことなく、必要なる経費を将来予備費で考えてもらうという話合いをいたしております。将来予備費等によつて考えるという大蔵省との話合いをつけております。
  111. 岩間正男

    ○岩間正男君 それはどの予備費ですか
  112. 東條猛猪

    政府委員(東條猛猪君) 岩間委員御承知の通りに、一般会計の予備費は三十億ございます。
  113. 岩間正男

    ○岩間正男君 二億でいいんですか。その三十億というのはそういう性格のものとは大分違うと思うのですが、これはなお検討して、この次に持越してもいいんですが、三十億の中の二億ぐらいをそういうものに使うということでは、いろいろ先に行つて支障を来たす……。
  114. 東條猛猪

    政府委員(東條猛猪君) 主計局といたしましては、現在の予備費を以ちまして、このこの法律案が成立いたしましたときに予備費の支出をすることは、財政法会計法その他の関係から差支えない、こう考えております。
  115. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 東條次長にお伺いいたします。私はちよとさつき席を外したので、その間相馬君から質問があつたならば答弁は要りません。と申しますのは、恐らく地元の負担については地方財政委員会とも私は大蔵省は若干話しあつているのじやないかと思うのです。団庫が半額出して、半額地元から出させるという以上は、国庫支出を了承すると同時に、地方財政委員会のほうに対して、これは地元のほうでは大丈夫かということを恐らく伺つているだろうと思う。それで私は伺うのですが、この計画によると、二十七年度は八千五百万、二十八年度六千万、二十九年度四千九百万、こういうように地元負担区分をしているわけですが、さつき相馬君からちよつと質問をされたようですが、地元において地方財政の実情から起債がなくとも可能だと、こういうように踏まれておるのかどうか、その点伺いたい。
  116. 東條猛猪

    政府委員(東條猛猪君) その点は、先ほどの相馬委員のお尋ねに対してお答え申上げた通りでありまして、現在の地方起債七百三十億の計画の内訳につきましては、いろいろ政府部内におきましてもその方針につきまして検討いたしております。それらの方針がまとまりますし、且つ個々の地方公共団体の財政の実情に即応いたしまして両者相俟つてこの地方起債の問題が具体的にきめられるべき問題でございまして、神戸商船大学の問題につきましても、そういう総合的な観点から処理することに取計らうという趣旨のことをお答え申上げた次第であります。
  117. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私はここで強く要望いたしておきますが、二十七年度の起債の枠のきまるのは、神戸商船大学が設置されるということがきまる前に、総額ということはきまつておるわけです。各地方公共団体の単独起債は如何に許可にならないかということは、相馬さんから言われて御承知の通りであります。従つて私はこの神戸商船大学設置に当つて地元に、二十七年度予算の中にきめられたあの総額の中から起債を割当てることは反対、若し地元側に起債の枠を与えるならば、現在の起債の総額以外に、つまり補正予算なんかにおきまして起債の枠を拡大したのちに、その枠の中から地元に枠を与える、これには私賛成でありますが、現在の七百二十億の枠の中から起債の枠を与えるということは、私はこの数字が出た基礎からいつておかしいと思いますので、十分検討して頂くよう要望しておきます。  それからお尋ねいたしたい点は、国立大学関係予算が、文部省の要求にもかかわらず、如何に不十分なものであるかということは、東條次長も十分御承知と思うのでございますが、その立場から私は次のことをお尋ねいたしたい。最もこの船員教育を能率的に、国庫の費用を少くしてやるという立場から、こういうことは考えなかつたか。と申しますのは、先ほど発議者船員局長とに御質問申上げたのですが、私が頂いた資料によりますと、大学入学する生徒は、我が国造船計画からいつて二百八十人あればよろしいが、現在清水は百六十人採用しておるから、百二十人足りないわけです。ところが清水商船大学は二百四十人は収容できる。本年度当初は二百四十人清水入学許可の計画文部省が持つてつた。二百四十人清水に入れますと、不足は四十名になるわけです。その四十名を如何に補充するかということを考えますと、神戸海技專門学院というのが現在あるわけであります。そこは再教育機関として定員百名を保持しておるわけなんですが、これはそこにいる学生諸君が船主から人件費をもらつてその再教育機関に入所しておるわけなんです。そこで船主がなかなか手離さない関係上、十分の再教育生徒を確保できないのですが、一つ大学を担えるのに当つて相当国庫負担が要るわけなんです。その何分の一で済む金をこの再教育の機関に補助し、そうして清水商船大学に百六十人というのを、二百四十人収容力があるのだから入れる、そうしますと大学がそれで、下級船員を再教育して高級船員にするというその筋も通つて予算は少くて高級船員が立派に確保できる。こういうふうなことは、予算高級船員の需給という立場から、私は一応そういうことを考えられて然るべきじやないかと考えるのですが、東條次長はそういう点御検討になつたことはないかどうか、どういうお考えでいらつしやるか承わりたいと思います。
  118. 東條猛猪

    政府委員(東條猛猪君) 只今お述べになりましたのは一つ考えであろうと思いますが、その後国会の文部委員会におかれましても、いろいろ各般の情勢を検討せられ、又文部省或いは運輸省におきましても、いろいろと検討を重ねました結果、現在提案せられておりますところの法律案がこの際とるべき最もいい方途であるという結論の下に、特に国会の御提案ということでこの法律案が審議いたされておるわけでありまして、私どもといたしましても、いろいろ検討はいたして見たのでありまするが、現在御審議になつておりまするところの法律案の趣旨が、現在の情勢においては最も適切なものであろうというふうに考えております。
  119. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 お上手な形式的な答弁を伺つてつたのですが、それでは私絞つてお伺いいたします。再教育が非常に重要であるということはどなたも認められておる。そうして現在神戸の深江に再教育機関として海技專門学院がある。この生徒は相当年輩の人もおりますし、妻子を持つた人もおるわけです。それで現在船腹の増強と同時に再教育が必要だ、それで若干の補助費を出したいというので、この所管である運輸省のほうでは再三再四毎年大蔵省に強く要望しておるんですが、どういうわけでその予算は出されないのであるか。あの海技專門学院の再教育機関に対しては、海運の伸張、貿易の振興という立場からも、大蔵省は国策として私は予算を組んで然るべきだと考えるんですが、船員養成の重大性を認め、国会でここに議されておるこの法律案は、国家財政の立場から考えても非常に結構だと東條次長は発言されておるのですが、それから考えますと、何が故にあの再教育機関の海技專門学院に、運輸省の要求を拒否されて、補助金を出されないのかということを承わりたいのです。今後如何にされるか、御見解を一つ承わりたいと思います。
  120. 東條猛猪

    政府委員(東條猛猪君) 非常に有益な御意見として拝聴いたしました。今後の予算の問題は十分検討をいたして参りたいと存じております。
  121. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 他に御質疑もなければ本日はこれで散会をいたしたいと思いますが、次回は運輸、大蔵両大臣の出席を要求いたすことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) それでは本日はこれで散会いたします。    午後四時十三分散会