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1952-03-06 第13回国会 参議院 文部委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月六日(木曜日)    午前十一時四十分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     梅原 眞隆君    理事            高田なほ子君            木内キヤウ君    委員            黒川 武雄君            高良 とみ君            堀越 儀郎君            荒木正三郎君            棚橋 小虎君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   国務大臣    文 部 大 臣 天野 貞祐君    国 務 大 臣 岡崎 勝男君   政府委員    特別調達庁長官 根道 廣吉君    文部省管理局長 近藤 直人君   事務局側    常任委員会專門    員       石丸 敬次君    常任委員会專門    員       竹内 敏夫君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○教育及び文化に関する一般調査の件  (被接収教育施設に関する件)   —————————————
  2. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) これより文部委員会を開きます。  只今事務当局から根道特調長官及び近藤管理局長がお見えになつておりますから、これより被接收教育施設に関する事務的の点について御質疑を願いたいと思います。
  3. 高田なほ子

    高田なほ子君 調達庁長官にお尋ねいたします。占領マツカーサー元帥のやはり占領政策の中のお心遣いの一つとして教育、宗教、教育関係施設接收しない方針であるというようなことを伺つて来ておりますが、併し現実にはこの方針をお立てになりましても、なお且つ私は今ここに、冒頭に挙げた教育施設いうものが可なりの数、占領軍のために使われておるようでありますが、やはり占領軍方針もこういう方針に基いておられるかと思うのでありますが、その後その方針に基いて一日も早く特に教育施設を、教育施設本来のために使うようないろいろな御努力特調のほうでもなされたのではないかというふうには考えられるわけであります。その辺の経緯、それから今後のあなたのほうの事務的な折衝、そういつたものについてのあらましを具体的にお聞かせ願いたいと思う。
  4. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 学校等施設につきましては、日本政府といたしましてできるだけ接收にならないように努力して参つたわけであります。総司令部におきましても学校等はできるだけ絶対必要やむを得ないものでない限りはとらない方針であつたと承知しております。その方針は現在においても何ら変化のないことと存じております。又特に政府といたしましては、昨年相当早きにおきまして、特に学校等につきましては、現に接收中のものは速かに解除せられたいというような意味申入れをしたことがございます。又その次の段階におきましても、具体的にそこここの学校等より接收解除申入れがありまして、それにつきましてはそのたびごと陳情特調長官の名を以て司令部に提出しておるわけでございます。又今後事態変化につれまして、米軍の必要とするいろいろの施設があるかと思いますが、政府と、いたしましては、学校病院等社会施設教育施設等につきましては、特にその本来の目的に遺憾なきを期すために、そういうものは今後は全然お使いにならないようにお願いしたいというほどの意見は折りに触れ表明しておる次第でございます。
  5. 高田なほ子

    高田なほ子君 つまり今までも教育施設を、なるたけお使いにならないように申出をされて来たというようなお言葉であつたと思いますけれども、その申出をした場合に向うのほうでは、司令部のほうではその申出に対してどういう御返事をされておるでしようか。
  6. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 具体的に個個の事例について申上げることもできませんですが、方式、方法といたしましては、不動産の所有者のほうから、責任者代表者から特調に当てまして除解申請がなされます。この申請特調より軍のほうに通達するのであります。そのときの返事は、場合によりましては、近く解除される見込であるというような返事も来ることもありますし、軍のほうにおいて引続き使わなければならん事情があるから、当分解除でき難いというようなことを言つて来る場合もあるのであります。若しそういうノーという返事が出て参りました場合には、それを特別調達庁として所有者責任者等に通達いたします。向うに返答の内容を通達いたします。そのときにその被接收者より改めて再申請がなされますならば、今度は特調長官より改めて総司令部解除申請をなすわけであります。一種の控訴みたようなものであります。その場合に又ノーという返事が来ますると、これはその直後においては更に申請しても実は無駄の事情になりますが、又期間を置きまして事情変更等の旨を申入れて、そうして又改めて総司令部申請を出すというふうなことをしておるのが例でございます。
  7. 高田なほ子

    高田なほ子君 そういたしますと、そういう御努力が特に学校施設の場合にもされたのではないかと思うのですけれども、そうすると、今の御答弁学校施設についてもそういつたようなことがなされて来たと、こうおつしやるわけですか。
  8. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 特に学校等の場合におきましては、特別調達庁といたしましては、特にその必要を強く申しまして、解除申請をしておるわけでございます。
  9. 高田なほ子

    高田なほ子君  そういたしますと、ここに学校施設確保に関する政令というものが昭和二十年勅令第五百四十二号に基いて制定されておるわけですが、その三條に「学校施設学校学校教育目的使用する場合を除く外、使用してはならない。但し、左の各号の一に該当する場合は、」云云というので、法律に基いて学校施設確保されなければならないということになつておるのですが、その一号の「法律又は法律に基く命令の規定に基いて使用する場合」は、これは本法の精神というものは、強く抑えられて来ると思うのですが、あなたのほうで学校施設に関しては、特に一日も早く解除してもらいたいという申請は、この法とどういう関係の下に申請をされたのでしようか、その点をお伺いしたいと思います。
  10. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 只今政令接收とは直接な関係がないように思います。私どもといたしまして学校は特に使つてもらいたくない、使われているものは速かに御返還ありたいということを申しますのは、学校というものの施設重要性必要性ということを考えまして一言つているわけであります。この政令と直接的に関係して行つているわけじやございません。
  11. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうすると、具体的に今公立並びに国立高等学校といつたようなものが合計全国で四十七校使われておるわけです。先ほどあなたの御答弁によりますと、解除されるというもの、並びに申請をして返されないというものについては、再申請をされたというのでありますが、そうすると、今残つている国立公立高校合計四十七校というものは書くのところでもう再申請をしてもこれは駄目であるという見解の下にこういう数字が残つて来たのでございましようか。
  12. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 只今までいろいろな関係が軍にございまして、特に中には学校病院等に使つておるというような事情もあつたようであります。学校当局申請によりまして軍に解除申請をなしましたもので、返つて来ないものがそのうちの実は殆んど大部分であります。併しながらこの度、安全保障條約に基く行政協定もできましたし、それに基きまして今後米軍において使いたいと思うものにつきましての折衝が、具体的に今後進行して参るはずだと存じております。その場合における日本側の心がまえといたしましては、先ず学校等を真先にとつてもらいたい、こういうような考え方を持つております。又伝えられるところと申上げましたら何でございますが、学校等の所在する場所の多くは一般都会地であります。特に接収されております学校はそういう場所にございます。そういう所から部隊なりその他の司令部なりというものが漸次退去するというようなことになりますれば、自然現実問題といたしましても、学校等が返つて来て、本来の目的使用し得ろ状況は大いに望みをかけ得るのではないかと考えております。
  13. 高田なほ子

    高田なほ子君 それではちよつとお伺いいたしますが、当初この四十七校よりももつとたくさんの学校接収されておるようなお話でございましたが、こういう特調のほうの、いろいろな御努力の結果四十七校が最後にぎりぎり残つたというふうに解釈できるんですが、当初占領軍が使われた学校というのは幾つつて申請によつて解除せられたもの、つまり今までにおいて解除せられたものは幾つつたのか、概数で結構でございますが……。
  14. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) お答えいたします。只今接収なつております学校数お話のございました四十七校でございますが、そのうち昨年の十月に解除になりましたものが大阪にございます今宮高等学校、これが接収せられましたのは二十一年の七月一日であります。それが昨年の十月に解除になりました。もう一件は横浜市立大学でございまして、これは昨年のやはり十月一十六日に接収解除なつております。只今のところではその二件だけでございます。なおこの接収されておりまする学校の数は、只今申上げました解除になりました分を入れまして四十七校でございますが、当初どのくらいありましたか、実は調査いたしたものがございませんので、この四十七件と申しますのは、昨年の九月五日現在で、各地の教育委員会調査並びに都道府県知事の報告によりまして集計いたしたものでございます。
  15. 高田なほ子

    高田なほ子君 それではお伺いいたしますが、十月に大阪並び横浜の三校が解除されたという只今の御答弁でありますが、そのときの状態日本側のこれは非常な強い申請の下に、そういう結果を生んだというのか、それとも一方的に占領軍のほうがもう不必要だからという理由で解除なつたものか、どちらなんでしようか。
  16. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 只今の御質問に対しまして、軍のほうはどういうつもりか、陳情の言うことを聞いたことには間違いのない場合もありまするが、解除向うの名目は常に必要がなくなつたから、こういうような言い方であります。それから又返して来ない場合には続いて使うから返さん、事情は諒とするが続いて必要があるから返さん、こういうような言い方なつておるわけであります。
  17. 高田なほ子

    高田なほ子君 そういたしますと、今例えば月島第三にしても、京橋高等商業にいたしましても、具体的に言えば明石小学校にいたしましても、これはいずれも是非返して頂きたいというような陳情を再々されて来ておつたと思うのであります。そのことは長官もとくと御存じだと思います。これに対する占領軍側からの御返事は、どうも必要がなくなつたら返すが、今はこれは必要であるから返されんというような返事が来ておつたと思うのでありますが、そうしますと結局これはあなたのお見通しでは、そういう返事が来たものは、これはお返しになることは大体不可能である、こういうふうにお考えなつておるのでしようか、どうでしようか。
  18. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 今の点につきましては、先刻申上げましたように、私といたしましてはこれはほんの見込みではありますが、返つて来る可能性相当あるものと考えております。
  19. 高田なほ子

    高田なほ子君 可能性はない……。
  20. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 可能性はあると私は考えております。具体的にどれとどれが残されるということは今申上げることもできるわけのものではございませんが、可能性相当にあると思つております。殊に只今御例示になりました月島学校は、まさに仰せのように今は要るから返さないと言つて来たわけであります。これは先ほども御説明申上げましたように、一応横浜在日兵站司令部軍当局解除申請をするわけであります。それが続いておるから返せない、こう言つて来たわけであります。それで本日も調べましたところ、学校当局より第二次の申請をしてもらわなければならん、こう言つております。即ちそうしますと先ほど申上げましたように、改めて総司令部にこちらから、軍のほうはこう言つて来たけれども、総司令部として再考を煩わしたいという意味の再陳情解除申請を私のほうからする手続になるわけであります。これをできるだけ早くして頂きたい、こういうふうに考えております。又全般的の問題につきましては先ほども申上げましたように、学校等は軍においてもできるだけ返したいという意図のあることは私どもも非公式に承知しておりますので、望みなきにあらず、割合に早い機会に返つて来るんじやなかろうかと考えております。併しながら又いろいろの事情を聞きますると、又現実の問題といたしましては返つて来るのが先では困る、今でなければ困るというような事情もあるわけであります。特に四月は学年の移り変りのときでありますので、同じ返してもらうならば三月中に返してもらいたいというような、誠に御尤もな御要求なり御要望なりがあることは当り前のことと存じております。そういう意味も含めまして、更に今後折に触れまして軍側に私どもより然るべき方法を以て十分に伝えて行きたい、こう考えております。
  21. 高田なほ子

    高田なほ子君 御苦心のほどはわかりますし、又望みなきにあらずという何もわかるのですけれども、先頃岡崎国務相からラスク特使宛書簡が出たのであります。あの書簡の中にこういうようなことが書いてあります。「日本国が、前記の協定及び取極が成立するまでの間、施設及び区域でそれに関する協定及び取極が日本国との平和條約の効力発生の日後九十日以内に成立しないものの使用継続を許されれば、幸であります。」最後には「日本国との平和條約の効力発生の日の後の九十日以内に成立しないものの使用継続を合衆国に許すことを、日本国政府に代つて、確認する光栄を有します。」こういうお手紙でありますが、結局煎じ詰めると、後で返すことは返すけれども目的を達するごとに努力はするが、万止むを得ない場合には、使用継続政府が許すということになつておるので、私がここでお尋ねしたいことは、区域とか施設とかの問題については、極めて抽象的な行政協定で、結局は特別作業班というのですか、特別作業班といつたようなもの、或いは分科会といつたようなものを作つて個々目的に副うように話合いを進めるというのでありますけれども、そういうような一つ作業班の中に、一々この特別調達庁のほうから司令部のほうにお伺いをして、このお願いに上るというようなことでなくして、そういう機関の中でこういうことが議せられるということが、私は当然あり得ることだし、当り前のことだと思うのであります。そういうようなことについては、政府特別調達庁に対しては何らの指示がないものかどうなのか、あるのかどうか……。
  22. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 只今のお説のように動くことと考えております。又個々の被接收家屋等状況につきましては、実のところ特調が一番よく知つているわけであります。又解除等申請が集まる場所特調であります。従いましてそういうものを全部入れまして、いろいろ相談の材料にいたす考えでおります。又政府といたしまして、これはただ指令を受けているわけではございません。考え方といたしまして、学校等施設は全部返してもらいたい、万止むを得ないものがあるかも知れませんが、それでも全部返してもらいたいということの意見は、十分に今までも表明しているわけでありますが、又今後更に現実交渉過程におきまして、そういうふうに行くべきであるというように考えております。更に又、先刻申上げましたように、都会地におきまするそういう施設は、それを現実の問題といたしまして、やはり返つて来る可能性相当多いということが、今の段階においても想像される、こう私は考えております。
  23. 高田なほ子

    高田なほ子君 今の御答弁ですね。特別作業班の中に、学校施設確保に関する代弁者というものは当然私は入つて行くのじやないかと思うのであります。そういうことに対しては何か特に政府のほうで、具体的にあなたのほうにお話合いか何かなかつたのですか、どうなんですか。
  24. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) いわゆる予備作業班と称しまするものの中に特別調達庁よりも一人派遣してございます。私が只今申上げましたようなことは、十分そういう者に意を含めて対処さして行くつもりでおります。
  25. 高田なほ子

    高田なほ子君 特別調達庁のほうから、そういう作業班に人が派遣されているというお話でありますが、それではこの教育施設確保に関して、今一体どういうような経過を、簡單でいいです、まだ日も浅いと思いますから、どういう経過をそれでは辿つているのか、それをお聞かせ願いたいと思います。
  26. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 只今のお尋ねに対しまして、まだ詳細申上げる段階に達しておりません。実はこの会合が始まりましたのは今週の火曜日で、まだそれも予備的な会合が始まりましたばかりでございまして、昨日もちよつとございましたがまだそこまで入る段階には参つておりません。
  27. 高田なほ子

    高田なほ子君 それでは今後こういう正常の機関は再々持たれて、既定の方針を遂行されるであろうと思いますが、そこで更に附加えて、あなたの長官としての御意見一つつておきたいことは、学校施設そのもの確保ということについては、今後も努力される、こういう作業班の中において、あなたの今おつしやられた御希望を遺憾なく達して行く努力をされる。併しながらそのほかにこういうこともあるのではないだろうか、つまり学校施設そのものを返されても、その附近が不幸にして空軍基地なつたという場合は、これは学校施設、本当の教育環境としては、余り結構なものじやないわけでありますが、つまり学校施設そのもの並びにそれを含む教育環境に対して今後折衝をされる場合に、どういうふうな方針ど行かれるのか、例えばそこに空軍基地か仮にできたという場合に、その学校施設そのものは返してもらつても、教育環境としてこれは非常に工合惡いといつたような場合に、一体どういうふうにそれを措置して行かれるか、私ども教育環境保持の建前から、あなたのこれに対する御意見も聞かして頂きたいと思うのです。
  28. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 只今のような御心配、誠に御尤もでございまして、私どもといたしましても、早く、影響ができるだけ少いような環境に戻さなければならんと考えております。併し何分にも事柄が直接の所管のこととも違いますので、政府部内全体といたしまして、そういうことに然るべく対処すべく考え直さなければならん問題は、多々あるかと思います。具体的にどうするかと言われましても、只今私といたしまして、何とかしてそういう惡影響があるようなものを除去したいと思つておることだけ以外に、申上げることはちよつとできないのでございます。
  29. 高田なほ子

    高田なほ子君 すでに作業班の中に特別調達庁のほうから人員を派遣しておられるというからには、そういう大事な問題については、やはり長官としてもはつきりした御認識が必要じやないかと私は思うのですが、今後こういう問題は非常に大きく私は出て来ると思いますので、十分な御研究をお願いしたいと思うのです。ここで私はあなたに御意見を申上げる前にすでに御研究なつておられるであろうとは思いますけれども、そういう重大なものが取残される非常な危険性を私は指摘いたしまして、私の質問はこれで終ります。
  30. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 只今のお言葉でございますが、今おつしやつたような問題がございますれば、又続いて起ることが予想されますが、そういう問題につきましては、日米相互間において将来隔意なく話をするようにものは動いて行く、又行かせねばならぬと考えております。ちよつと付加えます。
  31. 高良とみ

    高良とみ君 二、三の点をお伺いしたいのです。すでに御質問のあつた点もあるかと思うのでありますが、行政取極めのしばしば言つておりますように、若し講和條約が四月から発効した場合には、その所有者と改めて借用等契約をする。勿論それには今の岡崎大臣ラスク特使との間の書簡の取交しがございますから、九十日たち、或いはそれ以後でも残ることはありましようけれども講和條約が発効しました場合には、今までの接収という形は一応解除すると民間では考えておるのでございます。この点に間違いはございませんでしようか、お伺いいたします。
  32. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 只今状態で申しますると、政府所有者との間には形の上で、自由契約で借上げるということになつております。勿論その範囲は現在有効でありまするところのいわゆるポツダム政令にありまするところの土地工作物使用令というものがございます。所有者が若し接収を、提供を拒否いたしますれば、その法令を発動することによつて米軍の、占領軍の必要とするままに政府強制接収をしなければならぬ状態にございます。で、現実の問題といたしまして、その法令の発動以前に自由契約の形において接収が完了する、こういうふうな恰好であります。この法令は今国会に廃止すべく提出してあるのであります。若しこの法令が廃止されただけでありまして、あとこれに代るべき、所有者が承諾せない場合の措置をどうするかという問題につきましては、これは若しそういう必要があるような事態が起ることに処するためには、やはり強制的の法令が要るということに理論的には相成るわけであります。併し現在のところ、政府といたしましてはできるだけ所有者の納得する方法條件において、これを若し引続いて使うものがあればこういたしたいと考えておりますが、目下それについてはいろいろと研究中でございます。
  33. 高良とみ

    高良とみ君 占領中には四十七校の接収の場合におきまして、所有者政府要求に応じて形式上では自由契約をしたことになつていたと政府側只今説明しましたが、事実は強制接收されたのであります。この事実は国民誰しも認めぬものはないと思います。講和條約が発効後におきましては改めて政府はその所有者であるところの地方自治体、或いは個人との間に了解事項をお取交しになる御意向でありますかどうか、その点伺いたいと思います。
  34. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 先刻も申上げましたように、只今この点について具体的にどうするかということにつきまして考究中なのであります。
  35. 高良とみ

    高良とみ君 それから次に、政府はすでに安保費といたしまして、駐留費のほかに五百六十億という予算とつております。これは駐留軍施設及びその司令部の移動すべき建物、道路等を建設いたしますために予算が出ておるわけであります。万一必要にして欠くべからざる学校校舎等が、どうしても駐留軍の必要上明渡されないという場合におきましては、而も九十日以後にもこれが明渡されないという場合におきまして、児童等の数も殖えつつございますから、特調といたしましてはこれに対する代替物といたしまして、今の五百六十億のうちから何らか補償する考えをお持ちになつたことがあるかどうか。御無理な希望でありますが、その点を一応お考えを聞かして頂きたいのであります。
  36. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 只今おつしやいましたような事態の発生しました場合にも、まあ併し全体として然るべく考案をして、校舎を与えるということにしなければならぬものだと考えております。具体的問題といたしましてどう相成りまするか、まだ話がそこまで進んでおりません。又予算使い方につきましても、相当具体的に細かいところまで行かなければ明らかにはなかなかなしがたいと私は考えております。
  37. 高良とみ

    高良とみ君 少しくあとへ戻りますが、只今までの長官の御説明によりまして、現在接収されている校舎等、並びに病院等公共物はできるだけ解除するために、特別建設班その他で特調で御尽力中であるということを我々は了承いたしました。更にそれらの公共設備環境を危険或いは非教育的、福祉的でないものから取除くためにも、その面でも御尽力になるということも非常に必要なことであり、我々はそれを切に望むものであります。ところで今までの事態と、講和発生後におきましては変りますので、その場合、これらの教育施設につきまして決定をなさいまするときに、地方にありまするところの教育委員会及び学校、当局並びにこれを支持いたしておりままるPTA等の学校の支持者、広い意味での学校の事業維持者に対して協議をなすつて、持收後の事態と申しますか、解除された場合におきましても、それに対する処置を一方的でなくなさるお考えがあるかどうか、その点をお伺いしたい。
  38. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 接收に伴つて起りますいろいろな補償の問題いは続いて接収があるために起るいろいろな不便、困難の状況等につきましては、今後とも十分被接收者側の意見を取入れてやつて行きたいと考えております。現在補償等の問題につきましては特別調達庁といたしましては中央に長官の諮問機関といたしまして、民間の学識経験者、その他の、或いは被接収者の代表というようなものを入れた不動産審議会というものを設けてあります。併し又、地方におきましてはいろいろの補償の実態を見定め、どうするのが妥当であるかどうかということについて、これ又一々諮問をいたしましてその答申を採択するという恰好において補償という問題を処置しているわけであります。
  39. 高良とみ

    高良とみ君 政育施設に対しましては全面的に解除してもらい、又これを確保し、教育の場として整備するということが、政府の基本の政策であることを一応御説明の中から汲みとりまして、その線を是非強力に遂行されることを望むものでございまするが、只今御説明のありました、接収に関する審議会等にも教育関係の民間人の声を必ず反映させて頂きたいのでありまして、その点が文部省は或いは出席しておるかも知れませんけれども、被接収者であるところの末端の教育機関の声をそこにお入れになることについては、これまでどういう努力があるか、伺いたい。殊にその方面に対する、その委員会に向つて学校側の要望を、陳情その他で以つて受入れておられるかどうか、その点伺いたい。
  40. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 解除そのものに関する申請等の問題につきましては、その委員会が直接扱つておるわけではございません。解除等に伴つて起ります。問題、補償の問題等を取扱つておるわけであります。ただいろいろ御心配になつておりまするような点につきましては、特別調達庁といたしましては、文部省等の御意向を入れまして、いろいろ考究中なのであります。具体的の問題といたしますと、いろいろお困りの点があります。現在存在する学校の近所に好ましからざる場所が存在するというようなものも接収関係なく、学校接收そのものでなく、起つております。又学校接収されておらんけれども、飛行場の近所にして非常に危なくて授業などできないというようなところもあります。まあそういう問題につきましては、政府全体といたしましても十分心を用いて善処しなければならん、こういうふうに考えております。
  41. 高良とみ

    高良とみ君 もう一つ伺いたいのは、接収された教育機関でありまして、その接収した本部はこれを政府に返す。併し政府がこれを直ちに警察予備隊その他のものに使用せしめておるという形があるのでございまして、御存じの通り、その場合におきまして、接収した側におきましては、これをむしろ紹介の役をとつておるという点におきまして、政府機関同志の問題でございまするけれども、そこに明朗ならざるものを我々は見ておるのであります。この点につきまして、具体的に申しますならば、水産大学のような場合には、これを一応明朗にして元に返し、一応文部省の機関に返し、その上で改めてこれを警察予備隊その他に使うというような一応の明朗化について御尽力になる御意思があるかどうか伺いたい。
  42. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 只今お話のような事態は、予備隊創設等に伴いまする特殊事態の下にあつたのであります。恐らく例外的の事象であろうと存じます。又今後におきまして政府といたしまして、特に国民の基本教育に関するような学校等を、接収解除があつたからと言つて政府が他の目的にお使いになるというようなことは恐らく文部当局において御反対でもありましようし、そういうことは起らんのではないかと想像いたします。
  43. 高田なほ子

    高田なほ子君 今度は文部省のほうにお伺いいたします。大臣がお見えになりませんので、非常に事務的なことが多いかと思いますが、ちよつとお伺いいたします。只今特別調達庁のほうからの御答弁で、学校施設確保に関しては終始一貫非常に努力をし、今後も又特別作業班に調達庁のほうから人を送つて目的貫徹のために鋭意努力する、而も望みなきにあらずという御回答でありました。そこで私は文部省はこの特別調達庁のそういつたような努力に対されて、これに裏付をされるものはやはり文部省側の態度にあるのではないかと思うのでありますが、そこで先ず私がお聞きしたいのは、事務的に特調に対して今日までどういう連絡をなさいましたか、残つている四十七校に対しては具体的にどういう一体折衝をされ、具体的にどういう見通しを持つておられるのか、その三点についてお伺いしたいと思います。
  44. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) ちよつとお諮りいたしますが、岡崎国務大臣は他に行かれる用事があるのでありまするが、私が先に参りましたのでこちらへお越し下さつたのであります。極く短かい時間だと思いますが、岡崎国務大臣に対して御質問のあるかたから一つお願いしたいと思います。
  45. 岩間正男

    ○岩間正男君 二、三点お伺いしたいのでありますが、今度の行政協定の発効と同時に只今問題になつておる校舎返還の問題でありますが、これは具体的には行政協定の発効によつて合同委員会で扱うのですか、どこで扱うのですか。
  46. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) ちよつと前のほうがよくわからなかつたのですか……。
  47. 岩間正男

    ○岩間正男君 日本の施設占領軍が今まで接収しておる、そういう所がたくさんあるわけですね。ところが、これに対して講和発効後は当然この返還ということが非常に要望されている。その中でも取りわけ教育施設としては校舎が非常に取られておる。全国では五十いくつの学校米軍に取られておる。こういう形なんですが、これを要望する声が非常に起つている。併し具体的にこれを取扱うのはどういう形でこれはなされるのですか、それからいつ頃そういうような返還ということが具体的な日程として上るのですか、この点非常に関係者は心配しているので、明らかにして欲しい。
  48. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これは本筋から言いますと、講和が発効して、安保條約が発効して、行政協定が発効したときに、合同委員会ができまして、そこで協議をするはずでありまするけれども、早くこういう問題を協議してやつたほうがよろしいという考えから、予備作業班を作りまして、施設及び区域の問題についてだけはとにかく急いで話をしよう、こういうことで昨日から予備作業班施設及び区域に関する仕事を始めております。そうして我々のほうの考えでは、返還すべき順序としては、まあいろいろできないものもあり、できるものもありましようと思いますが、こちら側の考えでは、先ず学校校舎を外したい、これが優先順位の第一であります。第二は病院を解除したい。そうしてそのあとほかの工場とか農場とかその他のものに及びたいというつもりで、学校校舎を第一の優先順位において話すつもりで今やつております。
  49. 岩間正男

    ○岩間正男君 その見通しはどうですか。教育施設の優先的な返還、こういう形で今政府は当つていられる、予備作業班において目下進められておると思うのでありますが、これに対してこういう見通しがどうかという問題がお聞きしたいと思います。というのは、一方で米軍の、米駐留軍の数にもよると思うのでありますが、施設は一体相当返還され得る可能性があるのかどうか。どうも現在我々は予算審議をしておるのでありますが、その予算との関連或いは行政協定でその駐留軍の大体数量というものが明確じやない、そういうことからこういう一つ政府方針が具体的に貫かれる根拠があるかどうかということが非常に問題になつて来ると思うのであります。  それから一方では又、そういう施設行政協定によつて作られる、今よりもつと拡大され、こういうようなものも予算の面には含まれておるように思うのでありますが、そういう中において新らしく作られたものの代りに教育施設は優先的にこれは返還をするという基本方針は、これはどこまでも貫いて行かれるのかどうか、その点非常に重要だと思いますので、一つ明らかにして頂きたいと思います。
  50. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これはまだ話を具体的に始めておりません。昨日から方針等について協議を始めたばかりでありますから、正確なお答えは困難でありまするけれども、我々のほうでは五百億余りの安全保障費を持つておりまして、学校校舎接収解除してもらいたいというのは我々のほうから言えば第一の優先順位でありますから、多少手間取る場合もあるかも知れません、つまりこの校舎を外すためにどこかに施設作つて、今使つておる施設をそちらに持つてつて、この校舎を外すという場合もあり、そのときはこつちの建物ができるまでの時間はかかると思いますけれども、それでなくてほかにすぐどこかに行けるものはすぐさまにも解除してもらいたい、こう思つておりますから、校舎のほうは、私は極く一、二の例外というものは、例えば海軍で使つてつたとか、陸軍で使つてつたとかいう校舎があります、こういう極く例外を除きますれば、多少時日はズレても全部接収解除になる、又日本はそうするために別に建物を作つてもよろしいという決心を持つておるのであります。
  51. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうしますと、具体的にそういう点は、個々の事実はすでに予備作業班も作られているような段階なつておりますから、日本政府では調査が進んでおるのでありますか。そうして、具体的なそれに対するこの案というものが少くとも持たれなければ予備折衝には私は入れないと思う。そういう基本はもうお持ちでありますか、どうですか。
  52. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 我々のほうでは学校校舎接収されておるものは全国取調べて全部持つております。この校舎のどのくらいの必要性向うにあるのかということは話して見なければ正確なことはわかりません。わかりませんが、大した必要のないものは即刻に外してもらうつもりでおります。必要がどうしてもあるというものならば、別の建物を作つても移つてもらいたい、こういうつもりでその準備はいたしております。
  53. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうも、無論まあ時間的に、只今の御答弁のようなことも一部了承される点もあるのでありますけれども、併し第一に学校施設を返還してもらう方針だとか、こういうことでありますと、こちらではどうしてもそうい教育施設は優先的に確保するために、こういうような、こうこうかような案で以て進む、こういう基本線を貫かないと恐らく行政協定並びに予算そのものの情勢の中で見ますというと、なかなか困難で、考えているように、只今お話のように、実現できない点に陥るのじやないか、腹の中では仮にそう考えておられるとしても、具体的にそういう作業を通じて根拠のある折衝をしなければ、やはり私はどうも具体性が非常に薄いと思いますが、そういう基本線は、そうするとまだ確立されてはいないわけでありますか。殊にお聞きしたいのは、個々校舎については、これは必ず返してもらう、そうしてそれについては若しも向うで代りの施設が欲しければ新らしいものを作るのだ、こういうものはすでに案ができていなければ私は強力な折衝にならん、こういふうに思うのでありますが、こういう点はどうなんですか。
  54. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これはすでに行政協定話合いの中にも非公式ではありますが、いろいろ話合つたものでありまして、私はアメリカ側でも教育の大切なことは勿論十分了解しておりますので、必ず返還されると信じております。そうしてその方針方法は我々のほうで強いて新らしい施設作つて、移つてもらおうというつもりはないのでありますから、できれば今あるほかの施設に移つてもらおうということで進んでおります。でありますから、一々の校舎について話合いをしてどのくらいの重要性があるかということを確かめないうちにははつきりしたことは申上げられませんが、私はアメリカ側ではよく事情は了解しておりますから、先ほど申したような特別の例外は別としまして、一般校舎は必ず返還はできると、こう確信しております。
  55. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは先ほど答弁にありましたように、教育施設が講和発効後もこのまま継続して、元の施設に使われる、こういうことになりますと、非常に日本国民の期待を裏切るだろうと思うのであります。恐らく講和を急ぐ日本国民の気持の中には、百人が百人までそういうような施設はこれはもう独立とともに返してもらえるのだろう、殊に教育のごとき施設においては当然これは優先的に返されるのだ、こういうことを期待しておる、恐らく期待しないものは一人もないだろうと思う、そういう感情の中で依然として後までそういう折衝が続けられるというような形になりますというと、これは日米間の感情に対して私は非常に惡影響を持つと思うのでありまして、こういう点から只今お聞きしますというと、具体的いろいろ案というものはまだできていないようでありますけれども、これは即刻進められる必要があるのじやないか。又文部大臣もこういう点はむしろもつと積極性を持ちましてそういう資料をどんどん作成して、これはそういう予備班に対して働きかけるべきである、そうしてこの要求を貫徹すべきだと、こういうふうに思うのであります。殊にまあ東京でこういう問題が数カ所で起つておるのであります。我々もその二、三を実地見たのでございますが、具体的にお聞きしますが、京橋第三とか或いは又月島第三それから京橋高等学校、そういうようなところはどういうふうな予定になつておるのでありますか、こういう点はやはり非常に関心を持つてこれは長い間待ち望んでおるのです。ところが政府の腹がきまつてなくて戻るか戻るかと持つているのがなかなか戻りそうにないのである。これは岡崎国務大臣と天野文部大臣とどういう具体的な意見でありますか。
  56. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) ちよつとお諮りいたしますが、岡崎、天野両大臣はほかに用事があるのをちよつとおいでになつたので、それで十分間くらいにして頂いて、一緒に退席をされたいという要求があるのであります。だからこれから十分の間に一つ質問を願いたい。
  57. 岩間正男

    ○岩間正男君 今の御答弁を願います。
  58. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 月島第三小学校等については私もよく承知しております。これらの東京都内の学校は特別の例外である、元の商船学校、あそこのところは延びると思いまするが、その他のものは必ず返還するように取計らいをいたします。但しそれが特に事情が困難なときには別の施設作つてそこに移つてもらつて外す、それが最惡の場合であります。そうすると、別のものができるまで時間がかかりますけれども、それでなければ今あるほかの施設に移つてそこは明けてもらう、こういう方針でやつております。
  59. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 時間がないので簡單にお伺いしますが、この接収されている校舎の返還交渉をやるのは、学校施設確保に関する政令の第一條の目的即ち「学校施設学校教育目的以外の目的使用されることを防止し、もつて学校教育に必要な施設確保することを目的とする。」というポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件、この政令の精神に基いてやつておるものと了承して差支えありませんか。
  60. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 我々はその政令の趣旨も結構でありますが、講和発効と同時にその政令はなくなるものと考えております。趣旨はその通りであります。
  61. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 政府提案として講和発効後もこの政令は残されなくちやならんという法案はすでに国会に提出されておる。従つて当然この政令の精神に基いてやるものと予承するわけですが、異議ございませんか。
  62. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 趣旨はその通りであります。法律ができると、その法律によるわけであります。それはまだ国会の承認を経ておりませんが、とにかく趣旨はその通りであります。
  63. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 すでに国会に出ておりますが、時間がありませんので申上げません。  次にお伺いいたす点は予備作業班において全部準備が進められて、やがて合同委員会がやられると思うのでございますが、そのときにこの校舎を返還して、これは或いは海上保安隊とか、或いは警察予備隊というような條件が付くようなことはあるかないかということをお伺いいたします。
  64. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 警察予備隊、海上保安庁等は純然たる国内の機関でありまして、これについてほかから條件が付くようなことは絶対にありません。
  65. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それを聞いて安心するのでございますが、占領下においては確かにそういう條件が付いた事例というものはあつたわけでございまして、今度独立後において持たれるところの合同委員会でそういう條件は当然付くべきでないと考えるのでございますが、或いは国内の問題として合同委員会に出られるところの、岡崎国務大臣になるかどうかわかりませんが、そういうかたがた、それからいわゆる保安隊の所管大臣であるところの、なられる予定であるところの大橋国務相、それから文部省の天野文部大臣、この関係の調整というものを十分とられないというと、先ほど私が確認して頂きましたところの、この政令の第一條の趣旨が貫徹しないと思いますので、その点は強く要望いたしておきますが、続いてここで天野文部大臣にお伺いいたしますが、すでに予備作業班が昨日から仕事を始めておるというお話でございますが、文部省としては先般まあ資料を出されましたが、この被接収学校施設については、これこれは是非とも早急に解除しなくちやならないのだという具体的案を、この予備作業班に対しまして文部省として提起されておるかどうか、されていないとするならば、その準備はすでにできておるかどうかという点を伺いたい。
  66. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 文部省としては、よくすべてを調査しまして、そうしてその順序を付けて、そうして外務省のほうに提出してありまして、又岡崎国務相はこういうことについては非常に強い関心を持つておられまして、私にいつも熱心にやつて下さるということを言つておられるし、私も岡崎国務相の平生の教育に対する熱心なことをよく知つておりますから、必ずよく行くというように考えて、詳しい資料はみんな順序を付けて外務省のほうに提出しております。なお詳しいことは管理局長に聞いて頂けば、詳しいことはよくわかります。
  67. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その点御善処をお願いいたします。高田委員質問もあるようでありますから、あと二分間で終りますが、岡崎国務相つたにおいでにならないでここにおいでになりましたから、これと関連がありますので、一つお伺いいたしたいと思いますが、それはやはり施設と関連すると思うのでございますが、教育環境の維持という立場から、行政協定の中に、駐留軍がおいでになつた場合の教育環境を如何にするかということは調われるであろうと期待いたします。私は文部大臣に対しまして、文部委員会行政協定の締結に当つて、そういう点努力して欲しいということも要望したことがございますし、文部大臣は担当しておるところの岡崎国務相と十分連繋をとつ努力するというような御答弁があつたわけでありますが、発言された行政協定を見ますと、駐留軍日本国法律を尊軍するという形だけで現わされておるようでありますけれども、ここでお伺いいたしたい点は、まあ占領下はいたし方なかつたと思うのでございますが、独立後に、あの占領下に行われたような行動が国内至るところに行われた場合には、我が国の風俗を維持して行くのに困難ではないか。占領下は占領ぼけでよかつたけれども、独立後はあれではいけないのじやないかということを考える。特に最近問題になりまして、文教地区として指定された国立町のごときは、私はこれは重大な問題だと考えるのでありますが、ああいうところは、やはりああいう文教地区内のホテルとかそういう施設は、駐留軍は遠慮して使わないという程度の名案は、合同委員会あたりで具体的に行われるのでなければ、私はただ日本国法律を尊重するというだけでは、我が国の醇風美俗というものは、教育環境というものは維持されないと考えるのでありますが、そういうことを合同委員会でやられることをお考えなつておるかどうかということを伺いたい。
  68. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これは誠にむずかしい問題でありまして、我々も常に頭をしぼつておるのですが、問題はアメリカ軍だけならば、軍法とか何とかいう規律が特にありますからできろと思いますが、これはその非は、非と言つちやおかしいかも知れませんが、日本側にも半分はあるのであります。アメリカの軍なり軍人なりが強制して日本の婦人をどうするということは、まあ例外はどうか知りませんが、普通そういうことはないのであります。そうすると日本の国内の、日本の国民の基本的人権にも関係して来るのであります。どこへ出沒しちやいかんとか何とかいうことは、この都條例なりその他の條例で、学校地区をどうするとか、風紀の取締りをどうするとかいう、そういう方面で宿屋を許さんとか、取締るとかいうことならできます。けれども、それでなくして、どうもこういうことを言つちや甚だいけないかも知れませんが、お互いに好きな人と一緒に歩くということはなぜ惡いのだということは……これは誠に困るのであります。いろいろ研究はいたしておりますが、どうもこれは正直なところ、私は今のところ名案がないのでありまして、ただでき得る限り條例等に基いて、そういうことの弊害を少くしたい、こう考える以外に今のところ方針を持つておりません。
  69. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 時間がないから申上げませんが、それは恐れ入つた答弁で、我が国は全く植民地化してしまうと思うのです。これは又他日、御多忙でしようが、おいでを願つて議論したいと思います。    〔岩間正男君「徹底的に考えてもらわんと困る」と述ぶ〕
  70. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) もう時間が来ましたから、次の機会に御質疑を願うことにして……。
  71. 高田なほ子

    高田なほ子君 ちよつと次の機会というと機会はないのでありまして、私は今日は実は待望久しきに亘つてお待ちして、質問の順序があとになつただけですから……二、三分いいじやないですか……。私はここにこれだけの手紙がまだありますけれども、実は本会議で朗読したいところだつたのですけれども、機会がありませんでした。これは矢島委員質問に少しダブると思いますけれども、特に文教地区設定ということは、教育環境を保持するという、国のやはり重要な方針であると思う。ところがこの文教地区設定というその方針に非常に齟齬したものが出て来ておることは、矢島委員が御指摘された通りでありますが、このことは非常に私は日本の、特に青少年たちの精神に及ぼす影響というものは非常に重大だと思う。本会議においても、この会議においても、教育施設は優先的に確保して行く、又日本の経済的な負担は、極力これは避けるようにして行きたいという国務相の御答弁であつたのですが、こういう青少年たちに及ぼす精神的なこの負担、精神的なマイナスの面、こういうものに対しては、名案がないなどとおつしやらずに、やはり名案を作られて、対等の立場においてこれは交渉されるべきであつて、文教地区設定の趣旨をどこまで政府は守つて行かれるか、特にこれは文教地区内におけるホテルのいろいろな行状記が記されておる。誠にこれは大変なことでありますから、文教地区設定と、この行政協定の結ばれる過程において、只今の私の趣旨がどういうふうに活かされるべきであろうか、又活かすお考えであるか、簡單で結構でありますから名案がないということでなく、もう少しはつきりとお聞かせ願いたい。
  72. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これは文教地区の指定、設定と言いますか、これにつきましては、又そこにおのずから文教地区に対する建築その他の制限があるわけであります。これは当然守られるべきである。これは行政協定にも日本の法律は尊重すると書いてある。併しながら往々にしてむしろ日本側でそれを厳重に施行していないという事実もあると思いますが、これは又地方自治の関係上、政府からやれない場合もあるのであります。そうして又、日本の国民に対してホテルに出入すべからずということは、これは法律上できないと私は思つております。むしろそういう種類の特別のホテルであるならば、それの営業を禁止するというようなことが都の條例なりその他でできますならば、これはできると思います。そこで名案はないと申したのですが、若し名案があればお聞かせ願いたく、私はまじめにやるつもりでおるのであります。
  73. 高田なほ子

    高田なほ子君 私もこの名案については悩んでいる一人なので、名案ができまたら又いろいろと御相談に上がりたいと思います。そこで先ほど衆議院の厚生委員会でしようか、赤線区域というものを認められておるような御発言がありましたが、これは大変重大問題でありますが、教育環境の保持と絡んで赤線区域に対して、即ち公娼制度の暗々裡な復活というものに対して国務相はどういうお考えを持つているか、これが一つと。もう一つ続いてお伺いしたいことはこういうことなんです。……それから先にお答え願います。あと簡單ですから。
  74. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) これは国内の問題でありまして、私のはうでとやかく言うべきものでないと考えております。国内の問題は私も国務大臣ですから相談にあずかりまするけれども、主として主管の厚生大臣がおりますから……。そこでそういうことがあつた場合にアメリカの兵隊がそこに出入していいかどうか、これは又アメリカの軍のほうでオフ・リミツトというようなものを作るかどうかというような問題でありますが、今後は日本の国内にはオフ・リミツトというようなものはアメリカの軍からは付けない。日本側ですべてやるべきであつて、軍の司令官なり何なりがこの地域はいい、この地域はいかんなんということは、日本の独立を阻害する傾向がなきにしもあらずであつて、そういうものは作らないという方針と聞いております。そこでこれは国内でどういうふうにするかということを研究し、善処する以外に方法はないと思います。こう考えております。
  75. 高田なほ子

    高田なほ子君 最後にアメリカの兵隊のためにも、こういうことが仮に赤線区域というものが許されれば、非常にそれはアメリカの青年たちに対しても不幸なことだと思う。で、やはり道義的にこの文教地区内にはお入りにならないよう教育環境を乱すようなことがないようにということは、一応政府としても厳重に私申入れて頂きたいということを非常に希望いたしますが、これに対しての御所見。それからもう一つ月島第三の場合でありますが、やはりこれも教育環境であります。例えばここが仮に軍事基地のような、航空基地のような形が設定され、而もすぐそばに学校がある、ここが今接収されている。ところがそれは国務省の方針に副つて返還されるということになりますと、非常にそこには教育環境としてふさわしくないと、こういうことになるわけです。この場合に教育環境を保持して行く、教育というものを重視されて行くというお考えであるとすれば、更にこの非常に惡い教育環境にさらされて返還された校舎使用するかしないかということは、今度は国内の問題になりますが、若しそういう場合に更に補正予算でも組んで校舎を別個のところに建てますというような御意思があるわけであるのかないのか、この二点をお伺いいたします。
  76. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 校舎の問題につきましては、これは具体的に私見ていないので教育環境がどうでるかということは言えませんけれども、今私どもの焦眉の急と考えておりますことは、校舎接収解除であります。その後のことは又その後よく研究したいと思つております。予備作業班にも又将来の合同委員会にも文部省の然るべき職員を参加させるつもりでおりまして、全部の問題ではありませんが、校舎の点につきましては文部省の者が参加して適当にそのことを処理したい。こういうふうに考えて今やりつつあります。他の問題は何でしたか。
  77. 高田なほ子

    高田なほ子君 この手紙を見ると、どこにでも入つて来て大変乱しておるのです。これはお互い道義的の問題になつて来るのですが。
  78. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) それにお答えしますが、我々のほうでは、そういう話は非公式ではありますが、今度の会談においてもいたしたことがあります。先方でも困つておりまして、今現に占領中であるので、その兵舎の周りに如何がわしい婦人が来て、折角純真な青年が妙になつて来るので、(笑声)成るべくそういうものは、傍に近寄らせないようにという先方にも希望があります。これはお互いのことでありますので、できるだけ善処いたしたいと思います。但しこれは禁止するとか何とかいうことはちよつと困難じやないかと思います。都條例に反しない限り、営業の自由があるわけでありますから、ホテル等であれば日本の婦人がそこに出入することを法律でとめるわけにも行かないのでありまして、都條例でそういうホテル等に出入することを禁止することができれば格別でありますが、許されておる以上は、どういう人間が入つてはいかんということはなかなか……、これは基本的人権の侵害になるので、これは事実上の問題として解決の方法はないと、こう考えるのであります。
  79. 高田なほ子

    高田なほ子君 それについて天野文部大臣はどういうふうにお考えになりますか、文教地区内におけるホテルに外人が入つて来て大分困るという非常に頻々たる話があります。私は、文教地区は守つて行かなければならん、これに対してどうういう考えを持つておりますか。
  80. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) その点は、高田さんと私も全く同意見で、岡崎さんにもそのことをお話したことことがあります。そのときに岡崎さんの言われるのに、これは向うでも困つておることなので、日本人がそこに無暗に出て来て困つておるというので、向うばかりが惡いのでなく、こちらにも困るものがたんといる。これは今岡崎さんの言われるごとくこれよりほかに途がないのではないか、先ほど岡崎さんも言われるように何かいい案があつたら、私どもはそれによつて何でもしようという考えを持つております。
  81. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 議事進行で申上げます。岡崎国務大臣は御多忙でしたら退席して結構です。たださつきの問題で……天野文部大臣にちつと二分ばかり聞いておきたい。
  82. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 二人同時にお聞きになるということで一応了解したのですから……。(「あと一分だけです」と呼ぶ者あり)先ほどから相当の時間延ばしておられますから、一応……。どうですか、ここは一つ次の機会もあるのだから……。
  83. 岩間正男

    ○岩間正男君 二、三分残つて頂きたい。
  84. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 次の機会があるから、それは先ほど私が申上げたところでありますから、どうですか、次の機会にして……。
  85. 岩間正男

    ○岩間正男君 こんなことをしているうち時間がなくなりますよ、了解して欲しい。
  86. 高田なほ子

    高田なほ子君 了解して欲しいと言つておるのですから……。
  87. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 併しそれは……次の機会にして頂きたい。
  88. 岩間正男

    ○岩間正男君 委員長、責任を以てこの次お呼びになりますね。
  89. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) それは私は努力いたします。近藤局長から先ほどの高田君の質問に対して御返答願います。
  90. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 先ほどの高田委員の御質問に対しましてお答えいたします。今までこの問題につきまして文部当局がどういう措置をとつておつたかという御質問だと思いますが、昨年の十二月二十六日付を以ちまして文部省より外務省宛に日米安全保障條約に基く行政協定に関する要望事項といたしまして申入れを行なつておるのでございます。それは現在占領軍により接収中の学校、図書館、博物館等の文教施設接收解除せられたい。なお学校、図書館、博物館等、文化財たる施設、宗教施設等の文教施設及び将来これらに使用予定のものは接収しないようにしてもらいたい。又先ほど来問題になつておりました環境の問題でございますが、学校附近に駐留する場合、風紀その他の点で学校教育の遂行上生徒児童の通学に支障を引起さないよう措置せられたい。或いは賠償物資、払下げ物資等はできるだけ職業教育に転用利用し、その設備の充実に充てることのできるように取計らつてもらいたいというようなことにつきまして、八項目に亘りまして申入れをしております。なお本年の一月二十八日付を以ちまして文部当局より外務省に宛てまして接収文教施設の返還についての要望といたしまして公文を以てお願いをしておるのでございます。それは行政協定の締結に当り接收文教施設については、その公共性と重要性に鑑み、第一順位を以て返還せられるよう交渉をお願いするという趣旨のものでございます。それから引続きまして今月の四日でございますが、同じく外務省宛に独立後の米軍駐留についての要望といたしまして、米軍駐留施設の收用についての要望事項といたしまして三項に亘りまして、やはり同じ趣旨でございますが、学校、図書館、博物館等、文化財たる施設、宗教施設等の文教施設及び将来これらに使用予定のものは、これら施設の公共性、重要性、不足状態並びにそれらの収用によつて起る民心に与える影響の深刻さ等に鑑みて原則として收用しないこと。二、旧軍用施設を現在文教施設として使用しておるものについては所管替済み、買収済み、又は一時使用中等の別なく収用の対象としないこと。三といたしまして、文教施設に対して米軍から特に要求のあつた場合には関係当事者及び文部大臣、十分協議の上決定されるようお取計らい願いたい、という三点につきまして申入れを行なつております。目下のところはこういう状況でございます。
  91. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 さつき両大臣を退場さしたわけですが、私は長官と局長がおるから一点だけ質問いたしますが、誠に先ほど岡崎国務相は意外なことを言われた。岡崎国務相校舎接收解除については第一に考える、一生懸命である、調達庁の長官もそういう趣旨を述べられ、天野文部大臣はつねづね岡崎国務相と十分連絡をとつて伝えてある、局長も今縷々文章を述べられた、ところがその根本の精神というものは学校施設確保に関する政令第一條の精神に基いてやられているのであつて、これが大事だからこそ、今度独立後これを法律として残さなければならんから、ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く文部省関係諸命令の措置に関する法律案の第一條に、学校施設確保に関する政令平和條約の最初の効力発生の日以後も法律としての効力を有するものとする、こういつて政府から国会に法律案として出されている、それを岡崎国務相は知らないでしようか、知らない……。それは平和條約の発効と同時に消滅するといつておる、一体天野文部大臣は何を岡崎国務相に話しておるのか、さては岡崎国務相が、更にはあの特別調達庁長官が、学校施設接収解除は第一で最も重大であるといつたのは体どの程度かと疑わざるを得ない。だからこそ月島第三小学校にしても、あつちの水産大学にしてもああいう状況にある。これは我々問題にして追及しなければならんと思うのでありますが、ここで私はそれに関連して一点お伺いするのは、接収解除は大事だ大事だといつても、これから合同委員会で、その前提となる予備作業班でやられるのですが、根道長官はその主役を務められるかと思うのでありますが、その場合に学校施設接収解除だけに熱心になり、あの校舎解除すれば海上保安庁に使うのに、或いは警察予備隊に使うのに都合がいいというふうな感覚の下に接収解除努力して、解除と同時にそれが教育施設に向けられないで他の方面に、即ちこの学校施設確保に関する政令第一條に違反するようなことが、必ずや私は起るのじやないかということを懸念するのであります。というのはさつきの岡崎国務相のあの感覚から、教育施設に対する感覚からは当然そういう危惧があると思うのでございますが、この席上において将来の合同委員会の予備作業的なことをやつて行くに当つて、最も主役を務めるであろうところの調達庁の長官からこの席上において、我々はこの学校施設確保に関する政令の第一條の精神に基いてやるのであつて、そういう立場から教育施設接收解除に誓つて努力する、間違いないのだという私は責任ある発言をここで頂かなければ引下ることはできないのでありまして、恐らく非常に教育に熱心で理解のあるところの調達庁長官からは、そういう御答弁が頂けるものと期待するものでございますが、如何でございまうようか。
  92. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 只今法令に関しましても先刻私御答弁申上げました。特別調達庁といたしましては、この法令の所管官庁ではございませんけれども学校の返還問題、接収解除申請等の問題につきましては、私といたしましては学校教育重要性という問題を特に考え解除等について全力を注ぐのが当然であろう、こう考えておるわけであります。又そのほかの点につきまして、予備隊乃至はその他の方向に使う目的を以て解除に熱心であるかどうか、こういうことは実は特異な過去の事例としては別問題といたしまして、勿論私はそういうことは当然なかるべきことと、こう考えていることは、先刻も実は申上げた次第であります。
  93. 高田なほ子

    高田なほ子君 どうも、継続しておるときには委員長は注意して指名して下さい。私は腰を折られてしまつて非常に不愉快です。さつきに続いてお伺いします。天野大臣はこの作業は、この作業というのは、校舎返還についての作業がすでにもう進んでおる、順序を付けて出しておるという御答弁がありました。然らばその順序はどういう基準によつて出されるのか、米軍が要らなくなつたのを、重点的に考えて、そして順序を出しておるのか、それともこちらの教育施設学校状態教育状態を主にして順序を出しておるのか、そこが問題ですから、そこを答えて下さい。
  94. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) これは本年の二月七日附を以ちまして特調宛に文部省から回答いたしたのですが……。
  95. 高田なほ子

    高田なほ子君 基準は……、どういう基準で順序をお出しになつたのか、その順序を……。
  96. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) これは学校の実情に即しまして特に例えば病院とか、校舎とか、最も学校教育上必要な場所接収されておるというような面で非常に関係者が苦しんでおるという実態に即しまして、文部省といたしまして印しを附けまして、特調のほうに要求いたしておると、こういうのであります。例えば前回お手許に差上げたと思いますが、非接収学校施設調べの中で、例えば大体概指的に申上げますと大部分必要でありますので、殆んど大部分につきまして要求いたしておりますが、中に一、二、順位が多少落ちておるものもございます。
  97. 高田なほ子

    高田なほ子君 これは順位ですか。
  98. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) それは全部まとまつてございますが、そのうちから特にこの際優先的にお願いしたいものがある。更にその印しを附けまして特調のほうにお願いしておるのでございます。なかに一、二落ちておるものもございますが、それは決してその必要性がないというわけじやないのでございまして、取りわけ優先なものを先に取出したというわけですから、御了承願いたいと思います。
  99. 高田なほ子

    高田なほ子君 それは答弁としては結構なんですよ。学校の実情に即して教育上必要なものから返すというのですが、そういう漠然とした基準では私はちよつと納得いかないし、あとで私、又個人的にその作業を見せて頂きたいと思います。
  100. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 承知しました。
  101. 高田なほ子

    高田なほ子君 ところが、私ここで御注意したいことは、工業方面のいわゆる産業教育振興に絡んで、いわゆる軍需品を作るというような場合に、この学校が優先的だ、そういう考え方から優先の順位をつけられるという危険性も、私は勘として持つておる。これは私は若しそういうことがありとすれば、非常にとんでもない御見当違いじやないだろうか、先ず小さな子供から、これはどうしても小さな子供たちは通学区域というものがきまつておるから、そういつたようなことが具体的な基準として挙げられなければならないが、ただ漠然として実情に即してではわからないので、若し基準がここでおつしやることができなければいいですが、おつしやられればどういう点、どういう点と挙げてくれませんか、みんな困つておるでしよう、この学校は同じぐらいに……。
  102. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 私の言い方ちよつと十分でなかつたかも知れませんが、殆んど大部分重要なものとして優先的解除申請をいたしております。ただ例えば学校のプールとか、そういつたものが接収されておる面がちよつとあるのです。そういうものについてはこの際第二順位でよいのじやないかという判定でございます。
  103. 岩間正男

    ○岩間正男君 誰が判定するか。
  104. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 大部分は第一順位で要求しております、
  105. 高田なほ子

    高田なほ子君 その基準は本当にあやふやな、けつたいな基準でありますから、この基準については次回の委員会で私は更に御質問申上げ、意見も申上げたいと思いますが、そういう基準でこれを正式な所に出されるのでは困るのですね。すでに特調にそういう基準で出されたのですか。これは大変なことだ。
  106. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 出しました。
  107. 高田なほ子

    高田なほ子君 これはいつそういう基準を出されたのですか。
  108. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 先程申上げましたように二月七日附で特調要求があつたので出しました。
  109. 高田なほ子

    高田なほ子君 二月七日附でそういう基準で出されたと言いますが、そういう基準を誰がどこまでおきめになつたか、これは法律に基いて学校教育法は学校施設についてちやんと法律で守つておるので、そう、いう勝手な、法を無視した基準を作られるということは違法じやないでしようか、文部省としてはどうですか。
  110. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) この問題につきましては非常にむずかしいので、我々のほうで非常に研究したのでありますが、特調のほうとの話合いによりまして是非順位をつけてもらいたいということで、第一順位、第二順位ということではありませんが、全部につきまして一応優先的に考慮してもらいたい。併しながら中にこの際、多少、全部順位をつけないというわけにはいきませんので、一応は順位をつけるということでできたのでございますが、その順位をつける判定の基準といたしましては、学校が特に要望が強くて、この際是非解除してもらいたいという実態に即しまして順位をつけましたので、決して解除が遅れてもよいというような趣旨ではございませんから、御了解を願います。
  111. 高田なほ子

    高田なほ子君 これは大変なあなたは過ちを侵されておるように思うのですよ。一応は順位をつけなければしようがないからと、非常に軽い意味でありますが、管理局長のお眼鏡にかなわないところは……極めて重要であると主観的に考えても、それは結局順位が下のほうになつて来ると、これはどういうことになるかわからないということになれば、これはもう大変な問題が残ると思う。ここで私はこういう非常に軽い考え方でこういう重大問題を取上げられたということについては、更に又意見の交換の足りない点もあると思いますから、後でお尋ねいたします。そこで特調長官にお願いしたいことは、こういうような一応順位をつけなければならないから順位をつけたというようなものが、正式の法に基いた、あらゆる角度から見て遺憾なきを期した順位であるといふうに解されては非常に困るのです。ですからこれは、一応こういう論議があつたということを頭に入れて考慮して頂きたいということを附加えておきます。  委員長にお願いいたしますが、これは非常に重要な問題だと思いますから、次回の文部委員会にこの問題を更に残されて取上げて頂くようにお願いいたします。  附加えまして、先ほど作業の進んでおるその状態並びに先ほど学校返還について文部省がとられた今日までの具体的な経過の資料、並びにそういう返還の文部省側からの要請に対する回答、それを資料として次回の文部委員会の前までに一つ手許に渡るように御配慮を頂くようにお願いして質問を打切ります。
  112. 岩間正男

    ○岩間正男君 只今の高田君からの提案は委員長において確認して頂きたいと思います。それからもう一つお尋ねしておきたいのは、今まで出したそういう案について我々検討した結果、もつと文部省のそういう案というものは変更を加えて欲しいという、こういう要望が出るかも知れませんが、こういうものは二月七日に出されたそうでありますが、こういうものは根道さん、そこに又第二次を出して新たな態勢でやり直されることを了承されますか。
  113. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 只今近藤局長の言われましたことに関しまして、大分誤解があるようにも感じられる点があります。特別調達庁において扱いまするこの事柄に関連して、文部省からそう言つてつたことは、若し全部が返らないとすれば、とにかく或る地方において学校校舎が全然なくて困つている、然るに取られているというようなものがありとすれば、何はともあれこれを真先に返してもらいたい。例えばプールがとられておるようなものがあるとすれば、それはそれを先に返してもらつても困る、どうでも向うが保有しなければならんというものの程度が同じなら、先ず校舎を返してくれという意味の順序を取りあえずつけたものだろうと想像いたします。特別調達庁としてこれを扱いまする場合には、今までの心構えは前にも申上げました通り、特別調達庁としましては学校施設全部を返してもらいたい、日本政府全体としてもそう考えておるはずであります。そういうことに考えをおきまして、いろいろ解除申請をしておるわけでありますが、解除の具体的の申請というものは、それぞれの学校責任者なり、所有者なり等から解除申請特調宛に出されたものを、国のほうに提出するのであります。従いまして、只今の書類はその申請とは直接の関係がございません。全部出て来れば全部出すのであります。又政府といたしましては、さつきも岡崎大臣或いは天野大臣よりも申上げましたように、とにかく全部返してもらいたいのだという場合に、若しこれはどうしても返さないのだという話が向うから出ました場合には、これはそのとき事情に応じて相談しよう、こういうようなお話であつたと私も了解しておりますし、現にその心構えでいろいろ折衝しておるわけでございます。どうか御了承を願います。
  114. 岩間正男

    ○岩間正男君 そういう全部返してもらいたいという希望を若し持つておられるならば、文部省の今までに出した、第一次に出したのが基準であつたが、第二次に出すことは了承されますね、これはようございますね、根道長官にこれは簡單でよろしい、私は質問をその次にやるのだから……、ようございますな。
  115. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) これは文部省にお尋ねあつて然るべきだと思いますが、勿論そういうものは確乎不動のものであるべきものでも私はないと思います。善きに従つてこれは直すのはどこでもあることでございまして、勿論文部省としてもお直しになることはあるだろうと思います。法律案でさえも提出したのちに直すこともございますので、恐らくお直しになる必要をお認めになれば当然直されると、こう考えます。
  116. 岩間正男

    ○岩間正男君 こういうお話ですから、近藤管理局長、よくこれは我々も見せて頂きたいのですが、第二にお伺いしたいのは、さつき例えば商船大学は返さないというようなお話があつたが、これと関連して水産大学の問題が当委員会で昨年の夏から、これは非常にこの問題の解除について努力しておるわけです。それでそういう返されないために、それでは施設に対してこれはどういうふうに……、今度の行政協定のそういう施設の補償、そういうものと関連して来ると思うのです。無論これは新たに接収されるものに対する補償とは違うのでありますけれども現実学校が授業に差支えて困つているのですね。そういう事態が起るのですが、それをどういうふうにこれと同時に関連して考えて取上げて行くか、商船学校とか、水産大学は今の施設は返されない、こういうことになりますと、そういうところは非常にやはりまずいと思うんですね、そういう点はこれはどうなんですか、局長としては考えておられるのですか、それは放つておきつぱなしですか。
  117. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 国内の施設接収解除されて、返りましたときに、占領下におきまして條件付になつて返される場合には、これはその目的に当分の間使わざるを得ないことはわかると思います。今後の問題につきまして、国の施設といたしまして、これを何に使うかという問題につきましては、文教の府においては行政府の然るべき方針によつて私は処置せられるべきものだと思います。
  118. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、文部省のほうからそういう問題についてこれは特調と相談された、それで解除措置について考えられた、こういうことになりますのでありますか、これは近藤さん如何ですか。
  119. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 只今の御質問でございますが、やはりその被接収校舎と同様な意味を以ちまして、これまで予備隊に使われておりまする校舎につきましても、その困難なる事情を訴えまして、特調に対しまして返還の要望をいたしております。
  120. 岩間正男

    ○岩間正男君 要望とかなんとか、そんなことを聞いておるのじやない、そんなことは去年からやつておるはずです。ただ返されないということだけさつき岡崎国務相が言つておるんです。はつきり言つたでしよう。商船大学は返されない、あそこはちやんと向うをこれは、我々見て来たのでありますが、もう大部分は向うにこれは接収されておる、その二階にちよつこり借り住いとして警察予備隊の総本部があろ、こういうような恰好です。こういう形で返されないということになつておるが、無論これは我々は返さるべきものだと、こう確信するのですが、どうしてもこれはあの方向で返されない場合には、どういう補償をするかということについて伺つておるんです。現実に困つておる、商船大学、水産大学、これは天野文部大臣も見ておるんです。高橋国務相も見ております。そうして世界にも類のない、便所を改造して研究室にしておる、これはあそこをこの前も見たのですが、それはどうなんですか。
  121. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 国の施設接収しております場合、それを提供しておりまする場合には、これは国が国に補償はいたしません。但しそれに関連いたしまして、そういう関係のところにおいて、別に何らかの施設を設けなければならんというようなことがありますれば、それは別途考えられなければならんと思つております
  122. 岩間正男

    ○岩間正男君 それは行政協定の條文を見ると、そのようでありますね。そういう形で進められておるのでありますけれども、これは国の事情から今度は国立大学はどうでもいいんだということになるのでは、これはまずいのでありまして、文部省としては、こういう点をやはり関連して、そうして一つの政策として、これをどんどん貫くという覚悟がなければこれはできないですね。そういうことについて、これは十分な対策がまだございませんですね。これは近藤局長としても仕方がないですが……。併しこれは去年からの懸案です。近藤さんはこの頃代られて、おわかりにならないようですけれども、去年非常に問題を起した問題です。そうして、講和発効後は少くとも返るということを水産大学のほうなんかでは言つておるんだし、それと関連して商船大学の問題が起る。尤も一つ向う接収物、一つはこちらの予備隊ということになつていますが、性格は殆んど私は同じだと思います。従つて、その後始末をちやんと付けるということを、これを同時に解決しなければ絶対困ると思いますよ。こういうことは今まで管理局の課題に上つていないですか、課題には……どうなんですか、この点だけをお伺いして私打切ります。
  123. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) お答えいたします。水産大学と商船大学の問題につきましては、文部省といたしましても十分検討いたしましてこの問題につきましてしばしば大臣より大橋国務相に解除のことを申出があつたように伺つております。今後ともその線に沿いまして大いに返還に対しまして努力をいたしたいと考えております。
  124. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 行政協定の発効後、接収家屋は全部返還されるわけですが、そのあとを合同委員会によつて使用する分はきめて行くと、ところが、その場合に所有者意見が尊重されて所有者が承諾しない場合には、先ほど高良委員質問に対して強制収用のような法律を出す、こういうお話であります。そういう強制収用の法律を出されて、我々がこれを通過させない場合には、これは純然たる国内問題だと思うのですが、どう処置するお考ですか。
  125. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 只今お話でございますが、若しアメリカの駐留軍が強く要望し、日本側もそれを認めて、向う使用せしめるつもりを持ちましたところで、所有者がこれに承諾をいたしません場合には、強制的な法令がない限りこれは如何ともいたしがたいことであります。その場合には事実問題といたしましては、合同委員会等において、これは一応そうしたけれども、どうしても所有者が満足せんから駄目だ、こう報告する以外には途はなかろうかと思います。
  126. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 その場合に、先ほどの御答弁では強制収用の法律を制定する準備があるようにおつしやいましたが……。
  127. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 先刻は、そういうことをするのがいいのかどうかということについて考慮中でありますと、こう申上げたのであります。
  128. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 それじやまだ準備はしておられないのですね、考慮だけですね。
  129. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) さようでございます。
  130. 高良とみ

    高良とみ君 その関連で……先ほどもお伺いしたのでありますが、日米行政協定は忌憚なく胸襟を開いて話合うということでありまするから、行政協定の中では明渡すという大体の大前提に立つておりますので、願わくば強制接収のような法律をお出しにならずに、そうして話合いで行く、そのためには先ほどお話した五百六十億の保障費もあることでありまするが、聞くところによりますると、これは具体的にまだ枝葉の細部に亘つては多分できていないようですから、できるだけそういう合同委員会において話合い駐留軍に提供するごとによつて無理の行かないようになさる御意思があるかどうか、一応確かめておきたい。
  131. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 特調長官といたしまして、それに関して余り明白な御答弁をいたす立場にないと思います。政府全体といたしましては私有財産等はできるだけ使わないで国有財産で間に合うようになればこれに越したことはない、こういう考え方で動いておりまするし、又岡崎大臣においても、私列席はいたしませんでしたが、できるだけ強制は避けたい、こういうような御答弁を二、三なすつておいでのように聞いております。従いまして最後にどういうことに相成りまするか具体的問題として、私有財産は米軍のほうにおいてこれは要らないという現実の問題ができれば、これは仮定のお話でありまするが、その場合には強制的法令などを作る必要はさらさらないことであります。併し何分にも今後駐留軍として必要とする施設の一々の具体的問題について、まだ明らかにしておりません。我々といたしましては單にあれこれと考慮中でありという状況であります。
  132. 高良とみ

    高良とみ君 それに附け加えて…。私有財産を行政協定に従つて接収するということは非常に根本的に間違つているということは御了承になつておると思うのですが、それに次いで重要なものはやはり地方自治体の建てた建物等でありまして、その中でも教育関係、それに従つて今度は国有財産のほうでそういうものを補つて行くというようなことを是非お続けになるように、殆んど地方自治体のものも国有財産であるかのようにお扱いにならないように、その点を特に希望いたしまして私の質問を打切ります。
  133. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 他に御質疑はございませんか。……御質疑がなければ本日はこれで散会いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) それではこれで散会いたします。    午後一時三十七分散会