運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-02-19 第13回国会 参議院 文部委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月十九日(火曜日)    午前十一時六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     梅原 眞隆君    理事            高田なほ子君            木内キヤウ君    委員            川村 松助君            木村 守江君            白波瀬米吉君            高良 とみ君            高橋 道男君            堀越 儀郎君            山本 勇造君            荒木正三郎君            河崎 ナツ君            岩間 正男君   国務大臣    文 部 大 臣 天野 貞祐君   政府委員    文部大臣官房会    計課長     小林 行雄君    文部省初等中等    教育局長    田中 義男君    文部省社会教育    局長      寺中 作雄君    文部省管理局長 近藤 直人君   事務局側    常任委員会專門    員       石丸 敬次君    常任委員会專門    員       竹内 敬夫君   説明員    文部省初等中等   教育局庶務課長  内藤譽三郎君    文部省初等中等    教育局初等教育    課長      大島 文義君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○教育及び文化に関する一般調査の件  (文部行政に関する件)   —————————————
  2. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) それではこれから文部委員会を開きます。最初に給食の問題について質問の申出がありますから、これからこの給食の問題に対する質疑を行うことにいたします。
  3. 高田なほ子

    高田なほ子君 どなたかおいでになつておられませすか。
  4. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 管理局長がお見えになつております。
  5. 高田なほ子

    高田なほ子君 それでは学童給食のことについて御質問を申上げます。今日は大臣がおみえになりましたら基本的な問題についてお伺いしたいことが数々あるわけですけれども、今日は御出席がないので、事務的なことに互りますが、二、三お伺いしたいと思います。第一番にお伺いしたいことは、今度の学童給食費用が、文部予算として組まれないで、農林省食生活改善費の一部に、費用がそこに組まれているように承知するわけですが、このことは将来学童給食というものの継続をしようとする考え方に対して非常に脆弱なものになつて来るように考えられるわけでありますが、どうしてもそのほうから組まなければならなかつたという最も大きな原因を、簡明に個条的で結構ですからお知らせを願いたい。
  6. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) お答えいたします。学校給食予算につきましては文部当局といたしましても極力努力いたしまして一般会計に計上すべく努めたのでございましたが、いろいろの事情によりましてこれを、学校給食目的が変りまして、従来の教育的効果のみを狙うというのではなくて、食生法改善という面を打出しましたために、従いましてその予算食糧庁一般会計補給金を見るということになり、又パンの原料になりまする小麦の価格につきましても、これを食糧管理特別会計で見るというふうに変つたのでございます。併しながら学童給食が継続されますることは従来と少しも変りませんし、文部当局といたしましても学校給食指導という面につきましては、従来通り努力いたすつもりでございます。
  7. 高田なほ子

    高田なほ子君 仰せは御尤もだと思うのですが、教育的効果を狙うというだけではなく、食生活改善という広義な意味にこれを解釈する、これは非常に御尤もな御意見で、筋の通る御意見だと思うのです。ただ私がここでお伺いしたかつたのは、食生活改善ということはこれは單に学童のみならず、一般の国民的な問題としてこれは考えなければならないので、学童給食というものの狙いは、むしろ教育機会均等を実現させるというところにこの主眼を置いて行かなければならん、そういうことを相当に強硬に主張なさつたと思うし、今後もその線は外されないだろうとは思いますけれども、一番心配になることは、その特別会計というものの中にこういうものが繰入れられた場合に、その財源の安定性を欠く危険性があるかないかという問題が一つと、もう一つは、どこまでもこの食生活改善というところに、今現実的に予算の面では教育機会均等という精神が全部なくなつてしまつて予算の面から見れば、これは学童給食というものは食生活改善ということに目的がすり替えられたような印象を與えるわけですが、今後やはり飽くまでも従来文部省の主張して来られた教育機会均等の線を外さない方向にするための今後の対策、並びに先に申上げたこの特別会計の中から出されたこの予算というものに安定性があるのかないのか、この二つをお聞きしたい。
  8. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 食管特別会計に計上されたために一般会計に計上された場合に比較いたしまして不安定ではないかという御質問でございますが、我々はその点はさように考えませんので、少しも不安定でないと考えております。それから学童給食を、従来といささかも変りなく継続して実施するという面につきましては、我々は従来と同じような規模を持ち、同じような計画の下に考慮いたしておりまして、ただアメリカ援助物資によりまして輸入された小麦が、このたびは食糧庁の力によつて入手されるという面において、変つただけであるということに考えておりまして、その性質におきまして、いささかも前とは変つておらないと考えますし、又我々学校給食の衝に当るものといたしても、全然同じ気持で努力いたしておりますことを申上げたいと思います。
  9. 高田なほ子

    高田なほ子君 同じ気持規模計画を立てられたというお話でありますが、それでは漏れ聞くところによれば、周囲の全般的な情報から推察すれば、米麦値上げがこの八月あたりに行われるのではないか、小麦値上げは八月頃には行われるのではないか、これは飽くまでも仮説であります。若しそういうようなことがあつた場合に、食生活改善費というものの膨らみを、どういうふうにして一体処理して行かれるおつもりか、そういうことは全然お考えになつていらつしやらないのでしようか。
  10. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 一応食管特別会計考慮するということは、どの程度まで食管特別会計負担するかということにつきましては、一応小麦が幾らの値段で輸入されるかという想定がございまして、その想定の下に計算いたして、この限度までは食管特別会計負担するという計算があるわけでございますが、お説のごとく、若し途中におきまして輸入小麦値段上つたというような場合には、やはり負担がそれだけ殖えるわけでございます。その点はお説の通りでございます。併しながら御承知のように、食管特別会計はいろいろな物資を扱つておりますので、他の面におきまして余裕の見られる面があろうかと思いますので、かれこれ考慮いたしまして、負担増にならないように操作するものと考えております。
  11. 高田なほ子

    高田なほ子君 途中のこういう変化に対しては、兒童負担増にならない方法を講ずる、結構だと思います。そこで次にお伺いしたいことは、すでに文部省でも御調査のこととは思いますけれども、現在の兒童負担限界点というものは私から申上げるまでもないと思います。ところが今度の予算兒童一人当り負担というのが非常に激増して来るわけであります。勿論これはその土地によつて、いろいろでこぼこはあるかと思いますが、大体平均三百円をちよつとオーバーするくらいになるかと思います。この場合に、全般の兒童給食を受入れ得ないという声が非常に強くあるのですが、文部省としてはこれに対する対策というものを、どういうふうに一体考えておられるでしようか。継続するといつても、現実には継続し得ないという声のほうが強くなつて来ている。これに対してどういうふうに一体指導なさるおつもりか、それをお伺いしたいと思います。
  12. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 確かに今度の援助物資打切りによりまして父兄負担が殖えるわけでございますが、大体ミルクで一食三円五十銭程度、それからパンでおよそ二円四十銭程度ですか、合せまして大体六円程度父兄負担が殖えることになりますので、これがためにその負担に堪え得ない父兄が出て参るということも想像いたされるのでございます。勿論父兄負担に堪え得る限度というものがどのくらいでありますか、一応我々のほうで調査いたしたものがございますが、大体月にいたしまして三百円前後かと考えますが、まあ多額な負担増は勿論我々といたしましても困難な問題でありますが、非常に困難な面につきましては、御承知生活保護法の面がございますので、その適用によりましてこれを救済するということも考えなければならないと思つております。又多少各学校の実際の操作の面におきまして若干名はこれを吸收し得るのではないかということも考えられますので、余りに負担が殖えるということは、これは勿論考えなければなりませんし、従つてさようなことがないように政府のほうで考慮するということもございましようが、差当つての面におきましては、現実操作の面でこれを吸收するということと、先ほど申上げました生活保護法の面におきましてこれを救済するという点が考えられるかと思つております。
  13. 高田なほ子

    高田なほ子君 三百円前後というふうに非常に軽くおつしやつたのですが、それはあなたの感覚だと思うのです。今の日雇者は御承知のように二百四十円である。こういう者の子供たちが如何に多いかということを考えた場合に、漫然と三百円前後というような漠然とした数字は、私はここで当の担当者のあなたからお聞きするということを非常に遺憾だと思う。そこで東京都の、私は給食輿論調査をもらつて来ているんですが、まあ大体二百五十円というところがほぼ限界になつて来ているように私はこの調査から見るんですが、まあ一般の物が値上りしておりますから、これよりは多少膨れ上るにしても、この三百円前後で生活保護法で救済するとか、学校操作で若干名は吸收し得るというような漠然としたことをもう言つている段階ではないと思う。これもやはり東京都の給食支払い困窮者調査でありますが、生活保護法適用を受けて曲る者が二万八千二百九十一名、非常に多い。それとそれを受け得ない、すれすれで止むを得ずPTAで補助しておる者が七千八百九十五名、その学校で補助でき得ないというので援助を何とかして頂けないかという非常に悲痛な声を挙げておる者が実に二万名に及んでおる。で  ありますから、あなたのおつしやるように生活保護法で救済するとか、学校  の操作で若干名救われるというのでは、これは解決がつかないので、結局負担限界点に達しておるのに、文部省はこれに対する根本的な対策を立てないということは、私は非常に怠慢だという言葉が過ぎれば失礼でありましようが、非常に私は遺憾だと思うわけですが、あなたのおつしやつたようなことで、これが解決できましようか。生活保護法、或いは学校操作でこの問題が解決できるというふうにお考えになつておられるのですか、どうでしようか。
  14. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 実際の面におきましては、お説のように困難な父兄もあるのでありますが、我々只今計画をいたしまして実施に移そうと考えておりまする点につきましては、先ほど来申述べましたことでございまして、お説のような向きに対しましてはなお研究いたしまして、今後十分考慮いたしたいと思つております。
  15. 高田なほ子

    高田なほ子君 それではこの問題について最後一つ伺いたいことは、結局あなたのほうが一所懸命に善処してやりたいというような希望があつても、現に負担できないということがあれば、現実の問題として、これはやめるより仕方がない問題になると思います。その場合に、文部省として仕方がないからやめたいものはだまつてやめろ、続けるものは続けて行つてもいい、こういうような方策をとるよりほかに今のところでは手がないだろうと思うのですが、結局落着くところはそうような形に落着かせるための研究をしていらつしやるのですか、それとも又そのほかにいいお考えをお持ちになつて研究していらつしやるのでしようか、その研究内容についてもう少し聞かしてもらいたい。
  16. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) まだ研究の途中でございまして、具体的に研究内容を御披露申上げる段階に至つていないことは甚だ遺憾でありますが、お説のような面につきましてはさようなことを極力少なからしむるように今後努力いたしますから、さよう御了承を願いたいと思います。
  17. 高田なほ子

    高田なほ子君 これはもう目と鼻の先へ来ておる問題で、いつまでもそう研究するわけに行きませんが、研究していらつしやるとおつしやる以上は私どもも御信頼申上げるよりほかはないと思いますが、それではその対策混乱を、つまり過去のそういう折角の給食精神を生かす教育機会均等という線が崩れて行く、それを防ぎ得る自信文部省にはあるかないか。つまり金のないものはやめろ、それから施設はさんざんそれお金をかけたものも万止むを得ずこの施設は閉鎖してしまわなければならない。この場合には相当な私は混乱が予想されると思います。その混乱を防ぎ得る自信があるかないかというこの一点だけ伺いたい。その自信だけ伺いたい。
  18. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) これまで学童給食を継続して参りました経験から見ましても、この学童給食ということは單に政府だけの力ではなくして、PTAの皆さんの御協力によつて継続されたものだと考えております。今後とも我々も努力いたしますが、PTA皆様がたと共に力を合せて、この問題を解決して行きたいと思つております。只今御懸念の向きに対しましては、我々も努力いたしますが、PTA皆様がたと共にこの問題の解決に努力いたしたいと考えております。
  19. 高田なほ子

    高田なほ子君 それはPTA協力を求めるということは、これは当然のことだと思うし、又そうしなければならないと思うのです。それは技術の面においてはそうだと思つております。併し文部省としてはそういう自信を持ち、誠意を持てばこそPTA協力があるので、はなからもうこれでいけないから、自信がないからPTAにおんぶするという考え方では、これはPTA協力なんということは私は得られないと思う。結局私のあなたにお聞きしたいことは、そういう答弁を私は伺うんじやなくて、こういう下部の混乱に対して毅然として文部省がそれを処理して行かれるだけの自信を持つておるか、持つていないかという文部省の主体的な問題を私は伺つているんです。
  20. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 学童給食の仕事を主管する私といたしまして、極力努力をいたしまして、さような面を幾らかでも少くするというふうに努力いたしたいと思つて繁ります。
  21. 岩間正男

    岩間正男君 ちよつと関連して……、で今予算がすでに提出されているんすよ。そうして今の二十六億の問題ですが、食管特別会計でやる。それと同時に、これは具体案というものが私は出るべきだと思うのです。そうして而も、一月後には切換えがなされなくちやならない。そうするというと、今からそういう方策について、これは手を打つて置かなければ、四月になつてから俄かに今度はいろいろな、今文部省が悠々と研究しておられるその研究の結果が通告される、こういうことになつたのでは、私は非常に事務停滞を来たすと思う。こういう点はこれはまだ研究段階なんですか。これは必ず高田さんが今言つたようなことが起るんです。どうです、その見通しは。混乱を成るべく避けるとか何とか、そういうような、我々はもう飽きているんです、議会用語に。そういうすのは辞典から省いてもらいたい。人の真似をすることはないのです。大臣なんかよくやるけれども、そんなのはやめたらいい、日本の政治にならない。こういうことでこま化して……事態は必ず混乱して来る。必ず起るのです。我々は何年ものそういう経験から見通しを知つておる。そういうことが起ると思うのですが、そういうことに対して、もう予算が一方で提出されて、予算通つてからいろいろとそれに関係してやつて行くということでは混乱を避けがたいと思うのですが、どういうふうに考えておりますか。これは尤もあなただけ、この頃お入りになつた管理局長さんだから、局長さんだけを責めるのは酷であろうと思いますけれども、これはどうなんですか。
  22. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 只今私のほうで考えております計画は、完全給食、御承知のように完全給食パンミルクと副食というもので完全給食をいたしたい。その人数は大体学童の五百五十万人というものを想定いたしております。従来は完全給食人数はおよそ四百万、それからミルクだけの給食をいたしておりましたのが約四百万、従来は八百万という数であつたかと思います。今回これを完全給食といたしまして、五百五十万という計画を立てております。それは完全給食といたしまして食生活改善という面を加味いたしますために、調理設備が或る程度考慮要素に加わつて来るわけでございます。衛生的な調理場を持つているという面が一つ考慮要素になりまして、従いましてミルクだけを給食いたしておりました四百万のうちから、調理の完全な設備を持つているものを大体百五十万ぐらい見まして、従来の四百万に加えました五百五十万を今回は対象にいたしたのでございます。然らば残りの二百五十万をどうするかという御質問があろうかと思いますが、一応先ほど申述べました方針で、参りましたので、さようなことになつたのでございますが、残りの二百五十万につきましては、決して我々はそれを放棄しておるわけではございませんので、この面につきましてもできるだけ吸收し得るように、月下各都道府県に照会いたしまして、希望その他を調査いたしております。
  23. 岩間正男

    岩間正男君 我々は予算の面で言つておるのですよ。ですから文部省で出されたと思いますが、今の問題は具体案のもう小し明瞭なものを出してもらつたらいいと思う。果して給食できるかどうかということは、九十六億の今までの予算が二十六億に切られて、今言つたことの可能性があるかどうか。父兄負担が非常に多くなる、その限度の問題も先ほどから言われた問題です。そういうものを吸收する見込みだとか何とか言つても、もつと数的にきちつとやつてもらわなければ我々は納得できない。最後にどうかというと、これはPTA協力して……これは政策じやない、私たち政策を聞いておる、文部省政策を。学童給食という政策についてどういうものを持つておるか。ところが政策の面から、もう予算の面から崩れておるのでしよう。止むを得ずこんなことをやつておるのであつて、だから限界、どの程度最低限度どれだけとらなければ学童給食政策としてやり得ないかという限界について、我々はしばしば御意思を質したのでありますけれども、それについていつでもぬらくらで答弁がなかつた。やらないよりはやつたほうがいいという、実にわけのわからない恰好でここまで追詰められて来たのであります。そうして、その政策が今言つたように明瞭化されておらない。そこが非常に私は問題だと思います。今のようなのをもう少し数的に出してもらえませんか。我々は数的に検討します。いずれすぐに予算委員会に移して予算委員会でも審議の材料になると思います。もう少し細かいところを出して頂きたい。
  24. 木村守江

    木村守江君 新らしい育教一つの大きな動向教育機会均等であり、又義務教育国庫負担というような線に大きく浮び上つて参つた考えております。併し現在の日本経済状態と、特に文部省の極めて貧弱なる予算においては、この新らしい教育動向を活かさんがために学童給食文部省自体で賄つて行くということが実際面ででき得ない状態ではなかつたかと思うのであります。こういうときに、これは幸いであるか不幸であるかわかりませんが、アメリカからの放出物資が参りまして、これが一つの動機と、終戦後の日本食生活の貧困な状態とが手伝いまして、いわゆる学童給食というものが生れて参つたのだと考えるのであります。そういう点から考えまして、アメリカ放出物資がなくなつたというような場合に、学童給食が今までのような方向から学校教育の面に浮び上つて参りましたが、而もこの学童給食教育上にも非常に役立つ問題でありまして、これを生かして行こうという場合に、現在の文部省予算ででき得なくて、農林省食管法会計から繰入れられて、これを続行して行くというような考え方は、特に日本人の食生活改善を図るために、これを学校教育の一部分として取入れて行くというような考え方から考えるときに、或る程度我々は了承することができると考えます。併しながら先ほど高田さんからも御質問がありましたように、食生活改善という大きな面はありまするが、やはりこの食生活改善学校教育の一部、一環として行うというところから考えましたときに、やはり教育の面に大きな役割を演じておると考えます。そういう点から考えまして、この給食費用を全部農林省食管法特別会計に任しておくということでは、農林省食管法、いわゆる米の統制食糧統制というような問題があるうちは、まあ食管特別会計の金で賄われるでしようが、そういうようなことがなくなつたというような場合には、又これは大きな暗礁に剩つて来るじやないかと考える。(「その通り」と呼ぶ者あり)そういう点から考えまして、これは農林省食管特別会計から賄うことはいいのですが、私は文部省の独自の予算として、少くとも学校給食運転資金とか、或いは指導資金というようなものは、文部省の独自の予算でとつておかなければならないじやないか。そしてあとの補給金学校給食物資購入費とか、そういうものは食管会計特別経理から出してもいいでしようが、これは教育の面に学校給食が浮んで来る、その趣旨を生かすために、やはり学校給食指導費とか、そういうものは文部省の独自の予算考えなければならなかつたのではないかと私は考える。そういう点につきまして、これは文部大臣でも結構ですが、或いは局長でも結構ですが、そういうようなお考えは不必要でありましようか、又考えられるでありましようか。私は極めて大事だと考えるのですが、一つお伺いいたしたいと思います。
  25. 天野貞祐

    國務大臣天野貞祐君) それは私も、木村さんの御意見御尤もと思います。現に百二十万円給食指導費というものが、文部省予算に計上して、それはとつてあります。現にとつてあります、百二十万……。そういうようにして材料農林省のほうを経由しますけれども、それを直接扱うのは文部省でございますから、この食管法というもの通じて、ここに教育精神を生かすか生かさんかということは、これは直接教育に当るかたがたのお考えで私はできることだ、只今おつしやつたことは御尤ですが、その通りしてあります。給食課もございます、現在……。
  26. 木村守江

    木村守江君 もう一つお伺いしますが、先ほど局長答弁によりますと、大体においてまあ児童の負担が三百円程度が妥当と思うというような、極めて妥当だと思うというようなことじや本当に納得できないと思うのです。これは三百円であろうが、二百七十円であろうが、二百五十円であろうが、やはり物価の値上りで、現在の給食負担金よりこのくらいの、数学的に、理論的に三百円でいいと思うのだ、いいというようなはつきりした計算の基礎がなければいけないと思うのです。ただ三百円前後でいいのだと思うということで、高田さんの質問に対しても、余り明確な答弁がなかつたわけでありますが、こういう点はやはりはつきりして、これは公務員のベースアップの点からとか、或いは物価の指数の問題とか、そういう問題からはつきり言つて、誰でも三百円が当り前だと言われるような線を出して、納得せしめて、そうしてそれを実行するというのじやなくちや、やはり私は非常に混乱を来たす、いたずらなる、無益なる混乱を起させると考えるのでありまして、そういう点はやはり科学的にこれは計算して、そういう数字を出して、この線は妥当だとか、この線より上は負担はもうかけない、この点はどうかこういう状態なんだから、これだけは負担を忍んでくれというように私は行かなければいけないのじやないかと考えるのでありますが、ちよつと御意見を伺います。
  27. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 只今の御意見は誠に御尤もでありますが、なお負担限度につきましては、はつきり調査いたしまして申上げたいと思います。
  28. 木村守江

    木村守江君 ちよつとこれはほかに質問のかたがあるかも知れませんが、継続してお願いして済みませんが、丁度大臣がいらつしやいましたから、ちよつとお伺いしたいのですが、産業教育振興費ですが、これは文部省としましても、我々文部委員といたしましても、国庫が半分持つて半分地元負担というような根本的な方針で進んで参つたと私は考えるのであります。ところが、先日来の説明を聞いておりますと、六億七千三百五十八万八千円の金は、これは三分の一国庫、これだけで三分の一であつて、あとは三分の二を地元で負担するのだというようなことに聞いておりますが、こういうことは、これはどういうふうな考え方から、そういうふうに考えが変られたのですか。これはやはり地方財政の窮迫している状態はもうすでに御承知だと思う。勿論国家財政も窮迫しているでてようが、急に増額負担するような方法であの法案を作つたときからそういう方針で作つたと思うのです。それでこの予算を見ますと、三分の一負担で、三分の二は地元で持つのだというようなことは、法案の根本的趣旨からも反するし、又これは地方に非常な圧力をかけるのでありまして、産業教育振興法というような立派なものができましても、これを殺すばかりか、却つて産業教育の振興に大きな支障を来たすような状態になるのじやないかと思うのですが、これにつきまして大臣の見解を伺いたい。
  29. 天野貞祐

    國務大臣天野貞祐君) お説の通りだと思うのです。これを三分の二を地方が負担し、それから三分の一だけを国が持つというのでは、地方財政を圧迫して非常にいけないということはお説の通りですが、併し実際においてそれだけのことができなかつたからして、起債を増して、どうか二分の一は国が出すようなふうにと言いますか、起債によつてその欠点を補うように努力したい、起債の枠も拡がつて来たのですから、この分の枠も拡げることは可能ではないかと思つて今努力してもらつておるところであります。
  30. 木村守江

    木村守江君 大変に御誠意のある御答弁でありまして、誠に結構でありますが、起債の見通しは非常に楽観的でありますが、大丈夫できるのでございますか、なお念を押して大臣に伺つておきたい。
  31. 天野貞祐

    ○国費大臣天野貞祐君) 私は楽観的に申したのじやないのでございまして、そういう努力をしようと申したのですが、見通しは事務当局からお答えいたさせます。
  32. 田中義男

    政府委員(田中義男君) 只今おつしやいました起債の点につきましては、折角折衝中でございまして、思うようにやれるかどうかわかりませんけれども、相当程度できるのじやないかと考えておる次第であります。
  33. 木村守江

    木村守江君 先ほどの大臣の御答弁では、起債が大体できそうなお話だつた、今、事務当局の話では、誠に心細いような状態でありまして、これじや産業教育振興法というようなものを作つた場合に非常に難航して、議論が起きて、二分の一の地元負担で、相当な大きな地方財政に圧迫を加えるのじやないかというような論議が多かつたのであります。それに三分の二を地元に負担させるということは、あの法律案の趣旨にも反しますし、それから地方財政も非常な圧迫をこうむると考えまして、これはどうしても半額以上は地元に負担させないというような方針で進んでもらいたいと考える次第であります。これは私お願いしておきます。よろしくどうぞそういうふうにしてもちいたいと思います。  それからもう一つ大臣ちよつとお伺いしておきたいのですが、元日来の新聞等に、文部省は標準教科書案というものを出したというようなことがありましたが、これは本当にこういうものをお出しになつたのでしようかどうか。
  34. 天野貞祐

    國務大臣天野貞祐君) 私は、現在の教科書には非常に不満足を持つております。もつと教科書を安く簡素なよいものを作ることが可能だというような自分には考えがあるから、文部当局も十分一つ教科書をもつと研究することが必要ではないか。今まででも研究をしてあるかも知れませんが、もつと一層研究して、そうしていつでも文部省が出そうと思えばそういうものができるだけの準備をすることが必要ではないか。併し折角今始めているものをすぐ文部省でやるというのじやございません。なお、このまましておいて、どうしてもよいものができないようならいつでも文部省ができるというようにしたほうが業界をも督励することになるのじやないかというような考えもあつて、その研究をしているわけでございます。
  35. 木村守江

    木村守江君 私は、大臣が今言われたように、現在の教科書には不満足だ。どうしても教科書については考えなければいけないということは私も同感であります。特に最近の教科書は非常な種々雑多なものがありまして、それから教科言の値段が非常に高いというような点は、これは教育というものに対して非常な圧迫を加えておるということを御承知であろうと考えるのであります。そういう点から文部省が今いろいろと考えておる。今すぐにどうこうしようとも思わないのだというような御答弁は、私には余りに手ぬる過ぎるのではないかと思うのです。これは教科書の問題は今年、去年の問題ではないと思うのです。これは先般来私が大臣質問をしたことがありますが、どこに参りましても、教科書が高くて、中学一年の生徒の教科書が千円以上になるというふうな状態、特にほかから転校した生徒は、その高い金を出してもなお教科書が手に入らないというような状態は、これは至るところで叫ばれる声でありまして、どこに参りましても教科書を何とかしてくれというような問題は、これは異口同音に問題になつておるものであります。それにその問題を、いつでもこれを変えられるように研究しておるのだというようなことではなくして、もつと早くこの問題を解決しなければ、教育上に及ぼす支障というものは非常に大きいと思うのです。それで私は大臣の今言われたのが本当であろうと思いまするが、新聞の報道によりますると、文部省只今文部大臣が言われたような構想から標準教科書案というものを出して、相当具体化した案を出したのだが、これが何らかの強い反対によつて中止のやむなきに至つたのだというような話を聞いておりますが、これが真偽のほどをお聞かせ願いたいと思います。
  36. 天野貞祐

    國務大臣天野貞祐君) 私は生ぬるいようでございますけれども、一遍始めたことを少し工合が惡ければすぐやめるというようなやり方はよくないと思うのです。ですからして、文部省がいつでも作れるだけの準備をして、もう少し様子を見て、どうしてもうまく行かないようなら、文部省で作つたものを示そうということがよいのではないか。併し決して検定制度をよすとか、そういうようなことじやないのです。そういうようなことを私は初めから考えておるわけであります。
  37. 木村守江

    木村守江君 只今のことについて非常な各方面からの反対があつたというようなことで、文部省考え方がこれは根本的に覆つたのではないのだろうが、一時中止をする状態にならざるを得なかつたというような話を聞いておりますが、その真偽のほどをお聞かせ願いたい。
  38. 天野貞祐

    國務大臣天野貞祐君) 別にそういう計画を中止してしまつたということはちつともございません。いつでもやろうと思えばやれるのであります。ただ併し、只今も申したように、折角業界で熱心にやつておるものをすぐ又文部省がほかのものを今直ちに出すというようなことは、この際しないほうがいいだろうと考えておるわけであります。
  39. 木村守江

    木村守江君 私の聞いておるのは、大臣のそういう構想の下に、文部省大臣考えを中心として標準教科書案というような案を具体的に作つて、まあ或る方面にこれを表示した。これに非常な反対があつて、そうして大臣が今言われておるような愼重な態度になつたのじやないかということを質問したのでありますが、この点についてお答え願いたい。
  40. 天野貞祐

    國務大臣天野貞祐君) 外面的に見ると、そういうように見える節もあるかも知れませんが、事実は私が只今申した通りでございます。
  41. 木村守江

    木村守江君 別にそういうものに対して一つも圧力を加えられるような反対意見大臣の耳に入らなかつたということでございますか。
  42. 天野貞祐

    國務大臣天野貞祐君) 私は文部行政に関する限り、圧力でよしたり、やつたりするということはいたしませんです。
  43. 木村守江

    木村守江君 私は、大臣の非常な信念を以て教育の任に当られるというこはよく承知しておりますが、最近いろいろな、例えば国民実践要領ですか、ああいうような問題もありまして、どうも大臣の非常に信念の強いところが相当ぐらぐらになつて来ておるのじやないかというような不安を抱かざるを得ないのです。(「そうそう、そこが問題」と呼ぶ者あり)私は、大臣がこれと思つたことはもつと勇敢に、決して大臣が初め考えることはそんなに間違つておりません。それで何かかにか余り大きな声を出されるので、固い信念がぐらぐらするような恰好になるというようなことを考えるのですが、もつと私は勇敢に、大臣考えておることは私は非常にいいと思いますので、やつてもらつたほうがいいのじやないかと思いますが、如何でございましようか。
  44. 天野貞祐

    國務大臣天野貞祐君) 私は、人間は自分のいいと思つたことも間違うことがあるという考えを持つておりますから、人の言うことは虚心胆懐に聞いて行こう。併しそれでもいいと思つたら何でもやろうという考えであります。
  45. 木村守江

    木村守江君 教科書の問題ですが、これはやはり今勿論検定制度をよし、いろいろな本屋、出版屋に非常な変動を伴うような、圧迫を加えるようなことがあつてはいけないというようなことで以て愼重な態度をとつておると思うのですが、現在の、教科書ではどうしてもこれは非常な大改革を加えなければならない。殊に算数と国語というようなものについては、やはり国定でもつと安い、もつといいものか作つてもいいのじやないかというような切実な社会の声がありますので、こういうようなことをもつと早く実現してもらいたいということを願いまして、私の質問を終ります。
  46. 岩間正男

    岩間正男君 関連して一点、さつき起債の問題が出たのですが、あとで予算のほうの参考になりますからお聞きしたいと思いますが、産業教育も起債で足らない分はやりたいというので折衝中である。六三建築そのほか老朽校舍等も起債ということになると思いますが、今文部省で折衝しておる起債の要求額というものはどうなんですか。六百五十億の中に含めて、その中で解決する。こういう問題を、これは具体的に、数学的に一つ明らかにして頂きたい。
  47. 天野貞祐

    國務大臣天野貞祐君) 私は五百億のものが六百五十億になつたのですから、幾らか起債の枠もゆるやかになつて来たのじやないかと、そういう考えでございます。
  48. 岩間正男

    岩間正男君 事務のかたでいいのですが、どのくらい要求されているのですか、六三は三十七億ですが、これはどうなんです。数字を挙げて頂きたい。
  49. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 関連いたしますので二十六年度の数字から……。
  50. 岩間正男

    岩間正男君 今、現実に要求しておられるのを……。
  51. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 現在六三関係は約六十億要求しております。
  52. 岩間正男

    岩間正男君 六三関係というのは老朽校舍も入れてですか、老朽のは幾らでする。
  53. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 老朽は約三十億でございます。
  54. 岩間正男

    岩間正男君 それから産業教育は……。
  55. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 約五億でございます。
  56. 岩間正男

    岩間正男君 それじや本来の十七億は駄目なんですね、最初の十七億は少くとも出なくちやならぬ。我々は法案を通すときに非常に揉めましたが、それであの十七億ですが、この点は駄目になつたのですか。
  57. 内藤譽三郎

    説明員内藤譽三郎君) 只今の御質問ですが、産業教育の十七億の件は、一応大蔵省と折衝いたしました結果、国庫補助三分の一で六億六千万円にきまつたわけで、十七億というのは当初の要求額であります。ですから最終決定では国庫補助が六億六千万円、それに対しまして地方起債の分が、どうしても十億程度は起債で見なければならないと私どもは考えておるのですけれども、ただ最近の例といたしましては、設備費の関係に起債を廻すことは非常に困難である。地財委といたしましては設備費には起債をやらないということを原則にしている。これは起債の枠が、單独事業の枠が四十五億しかございませんので、これで地方の公共事業以外の経費を全部賄わなければなりません。それが少いので、そういう設備費には廻していけないという地方財政委員会側の見解でございますので、そこで私のほうといたしましてはそのうち固定資産に類するようなものだけでも、せめて起債を認めて欲しい、その他は地方の一般財源によつて賄う、こういうことで折衝いたしておりますが、そのうち、練習船のような固定資産については、或る程度の了解がついたわけでありますが、その他の大きな機械のようなものですが、そういうものの起債についてはまだ話合がつかないのでございます。で、私どもの考えといたしましては三分の一が国庫補助で、残りの三分の一程度を起債にし、更に三分の一のものについては地方の他の財源で考慮する、かような最低の線を以ちまして交渉中でございます。
  58. 岩間正男

    岩間正男君 それでは起債の問題は……、なおあとの質問者も控えておられますから、これはあとに廻しますけれども、最初の、十七億ずつ出して、国庫とそれから地方でやつて行く七年計画というのは大変更を来たしたわけですね。この事実はここに明らかになつておると思うわけです。もう一つは百億近くの文部省の起債の要求が……、こういう見通しは大体我々は地方を廻つて見て来て、最近も、大阪あたりを見て来たのですが、もう今の地方財政の貧困に対する打開策を起債に非常に求めている。この要求が非常に厖大なものだと思うのです。而も起債はもう喉から手が出るように要求されておる。この中で百億くらい発行されるという見通しを持つておられますが、どうでございますか、見通しの問題、六百五十億ですから約六分の一を文部省はとらなければならないが、その可能性がありますか。
  59. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 昨年の起債の総額が四百億であります。本年は六百二十五億と承知いたしております。従いまして昨年は六三が四十億、老朽の校舍が十六億、五十六億でございますが、本年は只今申上げました数字の百億近いものを是非獲得したいと考えまして目下交渉いたして、おります。
  60. 岩間正男

    岩間正男君 できますか、それは。私は非常に困難だと思うのですがね、地方財政の今の困難を打開する一つ方策として、どこへ行つても要求されるのは起債の枠を増してくれ、増してくれ、こういう問額であります。その中で文部省は去年の約倍額近い起債をとれますか、可能性がありますか。こういう具体的な問題について私はお聞きしたい。抽象的なことじやない、どうですか。だからその見通しがないというと、ここでやはり答弁用の答弁になつてしまう。而も産業教育なんというものは折角……私は反対でありますけれども、まあ、ほかの諸君の賛成で通つた、そのときに一番問題になつたのは財源的な裏付をどうするかという問題であつたはずであります。ところが、今言つたように大体最初の予定の三分の一程度しか国庫から出されない。そうしてあとのものは、地方起債と、それから地方費の負担のパーセンテージをですね、二倍にも上げることによつて何とかやつて行く、こういうふうに尻が全部そつちのほうに持つて行かれているわけです。そうして而も、最初の七年計画の二百億というような案というものは、すでに崩れざるを得ない、こういう恰好になつて来ますと、折解政策としてとられたそういう計画がいろいろな点でもう何歩も後退している。こういうことにならざるを得ない。これは止むを得ないのだ、今の財政上、止むを得ないのだということになつて来ますと、それならどこに行けばこの止むを得ない状態を打開できるのか。この点は一つの現われであります。我々が問題にしているところの、今の日本の態勢の中で要求されている非生産的な軍事的な予算のうちに大きくとられて、大きな收奪がされて、そつちのほうの支出がなされて、これが必ず厚生とか文部に来るのだ、この点についてどのくらい文相が踏みとまつて、はつきりした対策をとられるかということを我々は口の酸つぱくなるほど、恐らく文相が非常に何遍もお聞きになつていやになるほど私たちは申上げた。それがだんだん洗つてみると、今の給食の問題、産業教育の問題、その他一つ一つ項目はあとで具体的にやりましたならば明らかになると思いますが、今申上げた点だけでもすでに崩れて来ている。そういう形が現われて来ている。だからここで踏みとまつてもらうのだ、そこのところの限界が、これが我々は問題だ、国民も非常にこれを危惧している。ずるずるとどこまで引きずられて止むを得ない………、止むを得ない、こういう名目だけ残している。実質はすでに駄目になつている、そういうほうにすでに行つている。この大きな一つの原因について我々ははつきりしたい。どうか、こういう事態に、やはり民族の教育を守るのだという踏みとまり場所、これをどこに一体文相が置かれるかということが、非常に大きな今日の文部行政の最大の問題になつている。何遍繰返しても、これは繰返し過ぎるということはないと考えます。この点についてちよつとだけ文相の御意見を伺つておきまして、あとの質問者に代ります。
  61. 天野貞祐

    國務大臣天野貞祐君) 見通しということですが、相手のあることなんですから、こちらが要求しているのだから、これだけの見通しだというわけには実際問題としては行かないだろうと思うのです。要するにそこを目標として私たちは努力しているということであります。
  62. 岩間正男

    岩間正男君 ただ一点……そうでなくて、私たちはそれではちよつと納得できないのです。やはり法案を作るときにこれだけの財政的な裏付を以て、確実に信念を以てお貫きになられる、そこを貫かれるということについて我々は少くとも文相に質している。だから最初に例を取りますと産業教育振興案について申しますと、その政策を具体的な財政的な裏付をして貫くという、そういう前提がなければああいう法案というものは一つの何といいますか、もう全くのごま化し法案、或いは一つの自涜行為というようなことになると思うのですね。こういうものだけ出して、要求だけは出して、併し裏付はその場合に相手があるのだから仕方がないと、私はそうじやないと思う。最初にそこのところのけじめをきめて、それから法案を出さなければならない。地方財政を圧迫するのはどういうわけかというと、裏付のないところの法案が、これは文部省だけじやありませんけれども、厚生の面からも社会保障の面からもいろいろなものが出て来る。その負担が非常に大きく地方にのしかかつて、地方財政を苦しめておるのは文相も御承知だと思う。そういうことをやつておる。産業教育法案もそうで、産業教育法案だけではありませんけれども、その一つの例として申上げておる。そうしますと、今のような答弁では、これは絶対に我々は承服できない。だから論議しておる。だからその見通しに立つて、あの法案には反対しておるのです。駄目だろう、中身がなくて看板だけ掲げたつて、絶対混乱させるだけであつて、実際は羊頭を掲げて、狗肉を売ることになる。そういうことは駄目だ。何と言つたつて今のあれは財政的な面は、文部省は一体どういうことで国家予算の中に楔を打込むかということを、しばしば口が酸つぱくなるほど申上げたのはそのためなのでありまして、情勢でここへ来た、相手があるのだと言う。これではどうも私は情ないと思う。
  63. 高田なほ子

    高田なほ子君 大臣にお伺いいたします。前の文部委員会で矢嶋委員から評準教壇書の問題、教育委員会の任命といつたような、或いは国民道徳要領というような問題を出して、こういうのは教育行政の面から考えたときに逆コースを行く道ではないだろうかという質問に対して、大臣の御答弁は非常に哲学的御答弁でありました。私は大臣の御答弁の意味が十分に呑込めないので実に夙夜考えて見たのですが、どうしても呑込めないのであります。この点を具体的な問題を三つ、四つ挙げまして、明確にして頂きたいと思うのであります。大臣の御答弁は、現在残つておる現実の問題を一度否定し、その否定した上に立つて、高いところからそれを考えてみた場合に、これは今起りつつあることは、必ずしも逆コースとは言えない。こういうふうな御答弁であつたように記憶しているのです。そこで私は哲学も研究しておりませんから、よくわからないのですけれども、そうすると、すべてを否定して、その上に立つてというお考えになりますと、ここが私にはつきりしないのですが、そうすると、一体教育のあり方というものを全部否定して、更にその上に立つてということになると、これは主観的なものの考え方になつて、大変にこれは危ないことになるのではないだろうか。逆コースと考える者もあり、そうでないと考える者もある。そうすると、その場合の物指というものは、一体どこに置いて大臣はものをお考えになろうとしているのか。これからすべてのものをそれで処して行かれようとしておられるのか。その物指についてお伺いしたい。
  64. 天野貞祐

    國務大臣天野貞祐君) 私はそういうむずかしいことを言つたつもりではないのでございまして、例えば道徳教育なんですが、修身なら修身、元通りの修身を直接に主張するというと、今までの修身というのは、こういう点が惡かつたといつて、修身の惡いところを自覚して、そうして道徳教育を主張するというのとは、違うということを申したのです。ただそれだけのことを申したのです。修身というものは、直接的に修身といつて通り主張するのと、修身はこういう点が惡いと、これだからいけないということを十分反省、批判して、そうして更にここで道徳教育を主張するのとは同じでない。ところが世間で道徳教育と言えばすぐに修身だと、こういうふうに言う。言つては困るということを私は述べたんで、別段むずかしいことを何も申したつもりはないのでございます。
  65. 高田なほ子

    高田なほ子君 それではお伺いいたしますが、私はやはり教育の理念というのは、教育基本法に掲げられてある言葉、それであるというふうに、今も将来も、又大臣もそうだと思うのです。結局私が御質問したいという要点は、「われらは、個人の尊厳を重んじ、眞理と平和を希求する人間の育成を期するとともに」という言葉なんです。これは誰しもが教育の基本的な理念であるということについては、これは一点の疑いを挟む余地はないと思う。ところが最近出て来ておるいわゆる平和の問題であります。教員が平和ということを口にすることが、あたかも惡いことを口にするような、目に見えない、何というのでしようかね。圧力を、先生方が個々に感じておられるわけです。先頃群馬県に参りましたら、或る婦人の先生から、こういう訴えがありましたが、実は日光の教育研究大会に参りまして、帰つて来たところが、地元のお巡りさんが、わざわざ学校まで来て、あなたは何のために、何の研究に行つた、そこで、その先生が、日光の教育研究大会というものの内容についてつまびらかに話をしたそうですが、そうしたら、ああそれならわかりました、と言つて帰られたそうでありますが、それで学校中の先生方が驚いてしまつて、平和教育なんといつたら、いつでもこういう目にあうかも知れない、これはどうもうつかりこういうことは口にできないというような、非常に遺憾な空気を醸し出して来たと思う。更に又先頃、近い例でありますが、新任の先生が、出先の地方事務所ですか、そこで採用についていろいろ質問を受けたそうであります。その質問が、あなたは何政党を支持するか、いや私は別に支持する政党がありませんから、これは中立の立場です、と申上げたところが、いや併しあなたは賛成権があるはずだから投票したろう、いや投票は確かにいたしました。何回投票した。いろいろの事情で一回きり投票しなかつた。それでは何政党に投票した。それは言えないと答えたところが、いやどうしてもそれは言つてもらわなければ困る、それじや誰に一体投票した、到頭追詰められて、ここで言わなければ採用されなくちや困るというので、その先生が止むを得ず投票者の名前を申上げたところが、それじやお前はこれは何政党じやないかというので、その先生が何々政党を支持しているというレツテルを貼られて、村中にそういうことがいつの間にか伝つて、非常に危險視されるような形になつた。而もそれは危險視される政党でも何でもないのに、そういう方向に行く。こういうようなことですね。私は、現場には教育基本法の理念を以て子供たち教育し、又それを信念として立つておられる先生方が、今日平和という問題を口にするときに、そういう目に見えない圧迫を受けつつある。これは誠に教育基本法の理念を歪曲する冐濱な行為だと思う。こういう行為で日本教育の真の姿が歪めめられるということに対しては、私は一国の文教の責任を持つておられる文相の、特に私はお考えにならなければならない点だと思うのですが、こういうような個々の問題を一々ここで申上げるわけに行きませんが、この教育基本法に書かれてある理念を守るために、現在起りつつあるそうした障害を、どのような手で払いのけてこれを守ろうとなさるのか。これを私は伺いたい。
  66. 天野貞祐

    國務大臣天野貞祐君) 日本教育教育基本法によつてやるべきことは当然で、私も全くその考えを以て貫いております。ただ所だよるといろんな行き過ぎたことが起るということは、誠に遺憾なことだと思つております。
  67. 高田なほ子

    高田なほ子君 これは行き過ぎということが、理事者側の行き過ぎということを指されるの、だろうと思いますからこれは反問いたしませんが、曾つて教員の政治活動について非常に行き過ぎがあつたということで、文相は基本法第八条についての解釈を、非常に懇切丁寧に指導、なされたと思う。これは飽くまでも文相が教育基本法の理念を守り抜こうとするためになされた具体的な措置であつたと思う。現在そういうふうに先生が世界の平和と世界の人類の福祉に貢献するための子供を教育するためにある先生の理念が、そういう行過ぎのために歪められつ、あるときに、やはり文相としてはこれを守り抜くためにそういう具体的な手をお打ちになることは、私は幾らでもあると思うのでありますから、それは行過ぎであるというような見解ばかりでなく、文相としてこれに対してどういう手を打たれて行くか、こういうことについて私は具体的にお伺いしてみたいと思います。
  68. 天野貞祐

    國務大臣天野貞祐君) 私は今の社会というものは、非常に混乱しておつて、極端な思想が行われやすい時期であると思うのです。だから自分はどこまでも中正な立場をとつて行かなければいけないということを機会あるごとに述べておる次第でございます。
  69. 高田なほ子

    高田なほ子君 混乱に陥つている、極端な思想が走つておる。だからこそこの教育基本法の精神というものが歪められておるのではないですか。混乱に陷つておればこそ、本当に先生が純真な素朴な気持で世界の平和を守ろうとしておる。その平和に対して何のためにそういう圧力が加えられておるのか。この圧力を排除することが教育基本法を守つて行こうとする教員に対するあなたの本当の愛情の手であり、これを活かそうとするのが文相の信念  ではないかと思う。でありますからこれに対してどういう具体的の手を打つて行かれるのかそれを私は伺つておるのです。
  70. 天野貞祐

    國務大臣天野貞祐君) 只今申しますように、どんなよいことでも極端ではいけない。二・二六でも五・一五でも、ああいう人たちは皆非常に愛国の精神を以てやつておるつもりなんです。ただ主観的にいいというだけではいけないのであつて、やはり知識を十分磨くと申しましようか、そうして広い見地に立つて中正な考えを持つて行くということが非常に私は今の社会に必要だと思うのです。だから私機会あるごとに、繰返して済みませんが、中正なる立場に立つて曲る、こういうことを申上げておるのであります。
  71. 高田なほ子

    高田なほ子君 私は社会党だから社会党の全面講和で指導して行かなければならんというようにおとりになると困るのですけれども、これはこの教育基本法の条文というものは決して社会党だからとか、自由党だからとかいうものではないのです。これは主観を離れた一つの真理であると思う。この真理を守るためにそれは中正でなければならないでしよう。ところがその中正であるべきものが極端な思想と、いわゆる私をして言わしむるならば、極端な反動の擡頭と、そうして社会の混乱から本当に素朴なこの真理が歪められておる現状というものを、やはり素朴に文相は認められていいと思う私は別に社会党だからこういうことを申上げるのではなくて、先生がたが本当のこの教育基本法の信念を活かすために言う平和というものに対して、あたかも極端ないわゆる何かの政党の、特定の政党の平和ということを言つておるかのような疑惑を持たれながら抑えられて行く、正しい指導の面を発揮し得ない、こういうみじめな現状というものに対しては、やはり文相は飽くまでも教育基本法の精神を守つて行くためにこれにブレーキをかけ、歪めようとするやはり極端な反動とは、中正な立場からお守りになつて行かれることが文相としての私は正しい御信念ではないかと思う。それで重ねでそういうことを申上げておる。私は決して主観的に社会党の全面講和を御支持してもらえないから言つておるというような、そんな私はセクト的な考えで申上げておるわけでは決してないのです。
  72. 天野貞祐

    國務大臣天野貞祐君) 私もそういう考え高田さんのお説を伺つておりません。ただ我々お互いに教育を愛するという精神から話をされておるということはよく私もわかつておりますから……。私はそういう個々の事情については高田さんほどつまびらかにいたしておりませんから、よくそういうことも聞きまして適当に処して行きたいと思います。
  73. 高田なほ子

    高田なほ子君 続いてお伺いしたいのですが、やはりこれも逆コースのようなことになつて来るので関連いたしますが、二月十七日の毎日新聞に、地方自治庁では中央の行政簡素化に呼応して地方行政の簡素化を断行するため地方行政事務というものの整理簡素化案を作成し、総司令部と折衝中であつたが、このほど全面的に了解が與えられたので、近く主管大臣及び閣僚に対して今国会での実現を目標にそれぞれの主管事務を同案に従つて整理するように要請したという見出しで……ここで見逃がしてならないのは文化行政についてであります。先ずここに教育委員会法については、委員定数は三名とし、長が議会の同意を得て選任する、いわゆる教育委員の任命制がここに掲げられておる。次には府県及び五大市は必置とし、五大市以外の人口十五万以上の市は任意設置、十五万未満の市町村は設置せず、府県教育委の管轄下に置くといういわゆる設置制がここに明確に出されている。これについて新聞は報道だからとおつしやるかも知れませんけれども、やはりこういう報道がある以上は、大臣としてこういう問題に対してどういうお考えを持つておられるか御意見をお伺いしたいと思います。
  74. 天野貞祐

    國務大臣天野貞祐君) この教育委員会制度のことはもう非常に重大な問題で、文部省できめるべきことなんです。併しそれにつきましては私は原理的に言うと、これはどうしても公選ということだと思います。それなら現在の日本の民主化の程度で公選でいいかというと、いろんなそこに障害が起つて来て、教育委員会本来の使命を果しているとは現在言え得ない。そこに問題があるから私はよくそういう点を研究して行きたいと思つておるのです。けれども原理的とか、原則的に考えれば公選というものが本来の姿だと私は思つております。そういう点をよく研究いたしたいと思つております。
  75. 高田なほ子

    高田なほ子君 現在の国民の政治水準では必ずしも、公選が原則だが、教育民主化の本来の使命を果していないというお答えであつたのですが、そうすると現在の教育委員というものに対しては、手取り早い言葉で言うと、大臣は非常に不満であり、むしろ不信任に近いというような考えを持つておられるのですか。これは非常に重大ですから……。
  76. 天野貞祐

    國務大臣天野貞祐君) そういう現在の教育委員会の制度なんですね。制度が、例えば費用を非常に要するとか、そういうようなことは、今の或いは財政権がないとかというようなことですれ。そういうようなことが現在のままではどうしてもいけないと思うのです。だかららしてここに何か改善しなければ、現在のままではいけないのではないか。そういう点を研究する必要があるというのであります。
  77. 高田なほ子

    高田なほ子君 財政権がないために教育委員会がその使命を果していないということは、これはもうすべて世論の一致する点でありますが、それとこの公選制ということはやはり同じような内容ではありますけれども、非常に問題が違つているのじやないかと思う。こういうふうに三人とか何とか非常に大変なことが出て来ておるので、研究中という大臣のお言葉でありますが、すでに研究して国家の政策として出されたのでありますから、大臣としてはやはりもうこの教育委員会制度が布かれて相当の年月に亘つておるのでありますから、今御研究中だということはちよつと聞えないような気もする。そこでこういうことが出た場合に、やはり大臣教育委員会法第一条の趣旨に副つて教育委員会の公選制を明確に主張なさる御信念をお持ちですかどうですか。
  78. 天野貞祐

    國務大臣天野貞祐君) 私は今も申す通り、原則的にはこれは公選でなければいけないと思いますが、併し公選でない任命制という論も私は一応聞くべきものを持つておるように思うから、それをよく、これは場合によつたら私が近く設けようと思う中央教育審議会に諮ろうかという考えを持つております。
  79. 高田なほ子

    高田なほ子君 じやその結論はいつ頃お出しになるおつもりでありますか。
  80. 天野貞祐

    國務大臣天野貞祐君) 今いつといつてはつきり時日を申上げることはできませんが、できるだけ早く出したいと思つております。
  81. 高田なほ子

    高田なほ子君 どうもその点非常に議論があるのですが、これはまあ意見の交換で仕方がありませんからこれは私はやめますけれども、でき得べくんばこれは教育委員会法の第一条の精神は、これは飽くまでも大臣としてはお守りになる私は義務を持つておるものと思う。むしろ国民に対する義務をお持ちになるくらいに考えている、どうかまあそういう方向に行かれることを私は強く希望するわけであります。  その次に第二点といたしまして学校教育法の改正案が出ておるようであります。これは兒童の健康教育と密接不可分の関係を持つこれは改正案のようでありますが、先ずお尋ねしたいことは、現在の養護教員の配置でありますが、これは万やむを得ない現状からして兒童千名に対して一名の養護教員を今設置しておるものです。それで不十分であるということは私の前の文部委員会においての質問で、文相はお答えになつたと思うのですが、ところが今度の改正案は大変なことになつておりますか、小中学校の養護教員は任意設置とするのか、明確に線は出ていないにしても、大まかな大臣の今後の健康教育に対する養護教員の設置に対する御意見をお聞きしたいと思います。
  82. 天野貞祐

    國務大臣天野貞祐君) 私は今の高田さんのお読みになつたことについては何にも相談を受けたわけでもなければ話を聞いておるわけでもない。新聞に出たことを一々私がここで弁明することは要らないのじやないかと思うんです。今のことも何も聞いておりません。私は現在でいいんじやないかと思います。
  83. 高田なほ子

    高田なほ子君 私は新聞に対する弁明を決して大臣に求めてはおらない。ただ健康教育というものに対していろいろなふうに変つて来ることはあり得ると思うのです。あり得る場合に大臣としてはどういうふうで行くかというくらいは、お聞きしたつてちつとも差支えないと思うし、お答えなさつても差支えないと思うのです。でありますから、現在のいわゆる千名に対する一名の養護教員設置というものは余り合理的でない、これはお認めになつておると思う。そこでそれでいいのか、それよりも又よい方向に進めて行きたいと思うかという御見解を私伺つているのです。
  84. 天野貞祐

    國務大臣天野貞祐君) もつとよい方向にできれば進めたいと思つております。
  85. 高田なほ子

    高田なほ子君 それじやもう時間もありませんから先を急ぎたいと思うのですが、標準教科妻の問題で、先ほど木村さんからも御質問がありましたから大まかな御所見についてはわかります。結局立派な教科書はこうあるべきものだということについて出したいというような結論であつたと思うのです。そこで私のお伺いしたいのは、政令諮問委員会の標準教科書に対する答申が出ているものと思うのですが、ここには、教科書については検定制度を原則とすべきも現在の実情に鑑み、種々バライエテイを持つた標準教科書を国家において作成し、教科書の進歩向上を図ることを考慮すること、との答申が出ておるものと思うのです。この答申案に対して大臣の基本的なお考えを承わりたいと思います。
  86. 天野貞祐

    ○国務大臣天野貞祐君) 答申案の御趣旨御尤もだと思いますが、併しこれは私どもはただ参考にいたすだけでございまして、現在のところ私は只今木村委員に申述べたような考えでやつております。
  87. 高田なほ子

    高田なほ子君 それではこの二十七年度の文部関係予算中、五百七十五万円の教科用図書編集費、資料收集費というものが組んである。これに関連してお尋ねしたいのでありますが、この政令諮問委員会の答申は、これはいろいろ考えなければならないというようなお話でありますが標準教科書を編集する必要上、こういう予算が組まれておるのか。標準教科書とこの五百七十五万円というものの予算とは関連があるのかないのかということについて……。
  88. 天野貞祐

    國務大臣天野貞祐君) それはこういう意味で関連がございます。先ほどから申しますように、私は現在の教科書は不満足ですから、もつといい教科書を作りまして、それには文部省自体がよく教科書を研究し、又或る場合にはその模範的なものを自分が作つておいて、そうしていつでも、場合によればそれを示すことができるというだけの準備は、文部省が当然すべきではないか。そういう考えからその予算が組まれているわけなんです。
  89. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうすると、やはり言葉は違つておりましても、いい教科書を作るために文部省はそれを準備する、これは私も結構だと思います。併しその場合に、いわゆる検定制度の助成ということの線を外れて、むしろ国定教科書に逆行するような方向に行くという危險性は、科はやはり見逃すことはできない。非常に、大臣も先ほどおつしやいましたけれども、現在の民主化していない社会においては、現実の問題と理想の問題ということは、やはり相当調節して行かなければならないというお話もありましたが現在の非常に民主化されない程度で、文部省が標準教科書、或いはモデル教科書を作るということは、これはむしろ国定教科書に逆行して行く、教育の民主化に逆行して行くというような、非常な危險性を私は感じている。中央集権的な統制を排するための検定制度というものの意味が崩れて来るのではないかということについて非常に私は危險性を感じているのであります。大臣はそういう点については何ら危惧をお感じにならないのですか。國務大臣天野貞祐君)私は高田さんとほぼ同じような考えを持つているから、それですぐここで以て文部省で教科書を作つて、それをどこかで出させるということはしないというのは、今木村さんから生ぬるい考えだと言われたけれども、そこにわけがあるのでございます。それならば何にもしないで拱手傍観ということをすれば、教科書はよくならない。だからしてそういう、何と言いますか、今のむずかしい現実に処するのには、私が述べたような立場がいいのではないかという考えなのでございます。
  90. 高田なほ子

    高田なほ子君 それでは、お考えはよくわかるのですが、法律第百四十六号の附則第八項に「初等中等教育局においてては、当分の間、文部省が著作の名義を有する教科用図書で年需要が一万部を越えるものについて、その改訂を行うものとする。」この精神というのは、これを飽くまでも、今まであつた国定教科書を廃止して、そうして検定制度を助成するという建前の上に立つたこれは立法の精神であつたと思う。ここに「当分の間」という言葉が謳われたということは、飽くまでも検定制度を助成して現在までの国定教科書を廃止する、こういう方向に行かれるためのものであると私は解釈しているわけです。然らばこの検定制度を助成するためいろいろな手が打たなければならないと思うのでありますけれども、そのいろいろな手が打たれていないところに、現在の教科書の価格の値上りというようなものが来ているのではないか。モデル教料書を作つたから或いは標準教科書を作つたから、一気にこの価格の値下りを、或いは内容改善が一気に図られるとはどうしても考えられない。でありますから、私はこの附則第八項の精神はどういう精神で一体この第八項がここに盛られていたのだか、もう一度伺いたい。
  91. 天野貞祐

    國務大臣天野貞祐君) それは検定制度を助成して行こうという考えだと思います。
  92. 高田なほ子

    高田なほ子君 そこで教科書の発行に関する臨時措置法が第二国会に上程されたときの当局の説明書、或いは委員長の報告書を私は持つておるのですが、この報告書の中には、検定制度を助成するために、非常に大きく問題として取上げられておるのであります。で、ここで読上げて見ますと、「結局、第一条の公正なる定価主義をあくまで嚴守すること、この法律運営にあたつては、終始一貫して当局は民主教育の本旨を忘れず、文部省独占の方向に陷らぬよう注意すること、従来の教科書及び用紙等のストツクを嚴密に調査して定価算定方式を定めらたれいという三点についての強い希望を附しまして、本委員会は全員一致本法律案を可決いたしました。」という委員長の報告なのであります。そうすると、標準教材書、或いはモデル教科書ということは、ここに指摘されている文部省独占の方向という、その方向とこれは予盾しないか、更に紙質、紙ですね、紙の確保のためにどれだけの一体この法律案が第二国会通過以来懸命に努力されているか。こういう点を私は伺いたい。
  93. 天野貞祐

    國務大臣天野貞祐君) 何か高田さんの御説を伺つていると、私どもがここで一つ国定教科書でも作つて、検定制度でもやめようとしているというような御調ですが、そうでないということを縷々今まで述べて来たところでございますので、御了承頂きたいと思います。
  94. 高田なほ子

    高田なほ子君 それは大臣はそうじやないというふうにおつしやいますけれども、いろいろ疑義あるから私は御質問申上げているのです。でありますから、そう突つばねないで一つ……。私が納得できないのは、多分皆さんも納得できないと私は思うのです。だからお聞きしているのですから、お答えして頂きたいと思います。これはどうなんですか、二十五年度に一度文部省の教科書編纂事務というのは、これは一度停止したんですね。その後、停止してそのままになつているか、どうなんですか。これは何か機関ができたのではないか、その機関があるから、私はこういうふうに執拗に質問をしているのです。どうなんですか。
  95. 天野貞祐

    國務大臣天野貞祐君) それは政府委員からお答えいたします。
  96. 大島文義

    説明員(大島文義君) 教科書は二十二年度から二十四年度にかけまして、終戦後文部省で一応編修いたしまして、それが今日まで残つているわけでございますから、その間、先ほどおつしやいました、一万部以上需要のものについては改訂を行うものとするという建前で我々進んで参つておるわけでございます。
  97. 高田なほ子

    高田なほ子君 それではあなたにお聞きします。それでは二十五年に一応文部省の著作教科書の問題についてこういう事務は停止したんでしよう。停止したその教科書の編修事務が今組織されておらないのですか。編修事務というものについては、これはもうノータツチなんですか、どうなんです。
  98. 大島文義

    説明員(大島文義君) 教科書の編集については、文部省設置法の附則にありますように、二十三年度に計画した残りのものは当分の間編修するということがございまして、それは一応完成したわけでございます。ところが当時編修した教科書を学校で使用して、おるわけでございます。学校で使用しておる教科書については改訂を行うものとするという建前で改訂をすべきものであるわけでございます。併し編修につきましては特別なものを除いては事務は停止しておるわけでございます。
  99. 高田なほ子

    高田なほ子君 大体それでわかつたようでありますが、そうすると、先ほどの二十七年度の文部予算の五百七十五万円というのは、今そちらでお答えになつた誰ですか……。
  100. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) 大島君。
  101. 高田なほ子

    高田なほ子君 大島さんの今おつしやつた事務を遂行するためにそういう費用もやはり入つておる、こういうようなことは少しはつきりとして来たように思う。併し、大臣は飽くまでもこういう国定教科書を復活させるような意図は毛頭持つておらないということを繰返しおつしやつておりますから、私はこれ以上追及をいたしません。大臣の御答弁を深く信頼します。  それから次は、教科書の定価でありますが、教科書の定価が非常生高いということは、先ほど木村委員からも強く指摘されました。そこで教科書の発行に関する臨時措置法が国会に提案されましたときにも、文部省はこの法律の運営に当つては公正な定価を嚴守するように定価算定方式についても、用紙の供給事情についても格段の努力をするという旨を、速記の中から拾いますと述べておられる。けれども、その後用紙の統制の撤廃だとか、原価計算方式のどこかに欠陷があるためでしようか、定価というのは非常にうなぎ上りに上つて来ておる、誠に御同様悲鳴を上げておる状態であります。こういう一学年で七百円も千円も教科書代が取られるというのではかなわないわけでありますから、文部省は、そこで教科書用紙の確保と、その価格引下げについてどういつたような手を打たれて来たのか。又今後どういう手を打とうとなさるのか、繰返さないで簡明に一つお答え願いたい。定価引下げの方策です。
  102. 内藤譽三郎

    説明員内藤譽三郎君) いろいろと今研究しておりまして、どういう方法が一番定価が安くなるかということを研究中でございまして例えば一つの最高価格制というようなものも研究いたして、その中で競争するということも一つの方法ではなかろうかということでございまして、まだ具体的な方法については決定いたしておりません。
  103. 高田なほ子

    高田なほ子君 誠に時期が遅きに失して、もう何とも申しようもありません。それではどうもしようがないと思うのですが、ただ一点お聞きして置きたいことは、価格は引下げなければならないということは、研究中だと言うが、原価計算方式、今のこれを再検討して、そういう再検討して定価を引下げて行こうとする一体用意が、作業というものが進んでおられるのですか、おられないのですか。どういうふうにして研究しておられるか。
  104. 内藤譽三郎

    説明員内藤譽三郎君) 原価計算方式についてもいろいろと問題がございますので、勿論お説のように検討いたしております。
  105. 高田なほ子

    高田なほ子君 最後に私は大臣にお伺いしたいのですが、教科書の標準教科書、国定教科書という問題については、いろいろといいほうに向うように研究しておられる。ところが指導要領の問題ですが、指導要領は甚だしく私はいろいろな誤謬を自分で見て発見しておる。内容の中には、この時事通信の中にも指摘してありますけれども、物語や脚本を書く能力を持たない四年生にそういうものを要求しておる。それから六年生に外国の生活様式を調べて我が国の生活事情と比較するとか、中学生にオーケストラの楽器を習熟させる、一体どういうことをやるのか、それから小学六年生に対して、日刊新聞の記事を分類して、そのスペースを平方センチで算出したり、百分率で表わしたり、ユマニテ、フイガロ、イズペスチヤなどの外国新聞の発行部数と人口に対する割合を調べるということが学習内容に取上げられておる。こういう馬鹿げた、と言つては失礼かも知れませんが、勿論これは雲上人だと思う。モデル教科書も、標準教科書もそれはいいと思うが、それの基本となる指導要領がこういう馬鹿々々しいままに放置されて、ただ標準教科書というものが出るということは私は実に手落ちも甚だしいと思います。大臣もすでにお考えになつておると思いますが、大臣の御見解を伺いたい。
  106. 天野貞祐

    國務大臣天野貞祐君) 私はやはり今度終戰後急にそういう新らしいことをいろいろ取入れたということのためにいろいろそういつた実際に適しないことが起つて来ておると思うのです。それはそういうふうに指導要領ばかりでなく万般について今高田さんの言われたようなことが起つて来ていると思うのです。それだから私は先ほどから申しておりますように、それが今までのやり方の一つの否定なんです。そうして、そういうことが起つて来たら、行き過ぎているのは戻したほうがいい。それを逆コースと言つては困るということは、先ほどから言つている。  (笑声)そういうわけで私はあなたの仰せられることは如何にも御尤もです。今指導要領も改訂を急いでおりますからどうぞよろしく。
  107. 高田なほ子

    高田なほ子君 時間がなくて甚だ私は残念でしようがないのですが、この問題は実は徹底的にお話をし合いたいのですが、時間の関係上止むを得ずこれで打切りますが、あとで又、疑問の点はお伺いしたいと思います。次に早急に大臣の御見解を伺いたいことは、教員の給與準則の問題、給與準則の問題については、先頃から人事院  でいろいろと作業を進あられておるようでありますが、この作業の進行過程にいわゆる二本建、三本建というような論が出て来たと思うのであります。大臣は今度の給與準則に対する基本的なお考えはやはり持つておられると思一うのであります。その御所見について私は伺いたいと思います。特に二本建三本建という、こういう喧しい論の中にどういう形を一体とつて行くのが正しいかという大臣の御見解を一つ
  108. 天野貞祐

    國務大臣天野貞祐君) 私は給與は、学歴とか、或いは勤続年限とか、資格とか、そういうものを基礎にして考うべきものだと思います。
  109. 高田なほ子

    高田なほ子君 ちよつとそれでは要を得ないのですが、もう間もなく新大のこの卒業生がそれぞれ自分の希望するところによつて学校に行き、或いは中学校に行き、或いは高等学校に行く。こういうふうにそれぞれ自分の望む方向に行かれると思う。このときに当りまして給與の準則が特に特定の学校だけを高くするというようなことにTなりました場合に、非常な私は混乱が起つて来ると思うのです。現在起つているこの二本建、三本建というのは、洩れ聞くところによると、相当政治問題化されているということを聞くのです。こういう政治問題の中に正しい給與体系が歪められては私は相成らんと思うのです。大臣はすでにそういうことについては愼重な態度をとつて来ておられると思うので、そのために人事院でも非常に結論を出しにくくなつておるようであります。これはやはりこの際大臣はこの給與準則の決定に当つて大臣としての御見解というものを、ただ今おつしやつたような程度でなくて、もう少し具体的に基本的なお考えを出される時期ではないかと思うのですが、それを伺つているのです。
  110. 天野貞祐

    國務大臣天野貞祐君) 私は只今ので基本的な見解を出しているつもりでおるのですが、要するに学歴、勤続年限又資格、そういうものが給與の基礎になるべきものだと、こういう考えを持つております。
  111. 高田なほ子

    高田なほ子君 そういう考えが基礎になつて参りますと、これは明確に一本建の体系ができて来ると思うのです。別にここに三本建とか二本建とかいうようなややこしいものができ上つて来るはずはないと思うのです。まあ大臣としてはつきりとそういう一本建の体系で行きたいというお考えの下に折衝中であると思うのでございますが、その通りでよろしいのですか。
  112. 天野貞祐

    ○国費大臣天野貞祐君) 理想的に言えば、一本建がいいのだと思うのです、小学校から大学まで……けれども実際問題としては必ずしも皆一本というわけにはいかないのではなかろうか。それだからそこに学歴とか動続年限とか資格とかいうようなことが考えられて行くわけだと思うのです。
  113. 岩間正男

    岩間正男君 今の問題でありますが、準則の問題ですが、これは大臣もですね、大学は一応いろいろ違う事情があるからこれらと、そのほかの高等学校並びに小学校については一本の体系で行くというようなことをしばしば公私の場合に言明されて来たのじやないか。やはり地方の事情を伺いましてもいろいろ意見もあるようでありますが、やはり教育学校別によるいろいろな差別のところから、教育混乱が非常に私は起ると思うし、又教育自身が古い教育行政のやり方、そういう形の中に、今まで学校別で建前を変えて……、こういうところで教育が非常に興隆されなかつた、セクシヨナリズムがあつたと思う。こういう点からしまして、これは当然今は結論を出すような段階になつていると思いますが、人事院のほうでも、文部省の態度がやはりはつきりしないということが一つのこの問題を遅延させている原因になつていると思う。こういう点についてこれを促進されるお考えがございますか。
  114. 天野貞祐

    國務大臣天野貞祐君) 文部省の態度ははつきりしておつて、そうして人事院と話合いをやつているつもりであります。
  115. 岩間正男

    岩間正男君 その問題は又その経過を伺つてから質問したいと思いますが、私は先ほどの高田君の質問の中で、平和教育の問題に関連して、簡單に時間がございませんから、簡單に(「簡単」と呼ぶ者あり)お聞きしたいと思う。御承知のようにもう少し時間を頂いて私やりたいと思うのですが、これは他に譲ります。この次の機会に譲ります。そこで今問題になつておりますところの、平和を守る、この問題が学生たちにどう映るか、今学生たちがどういうようなこれに対する態度をとつているか。日本の態勢を見ますと、これは名前はどうあろうが、国会でどういう論議をやつていようが、現実にはどんどん日本の軍備態勢は整えられている、これは言うまでもないことである。予備隊についても予備隊の武装問題についてもしばしば論議されている。そうしてこれは再軍備でないということは、吉田総理とその附近の五、六の閣僚諸君で、実際は自由党の石田博英君のごとく一昨日の放送討論会を聞いていると、再軍備は必要だと言つている。どんどん外のほうでは行われている。こういう中で、日本の平和憲法の建前から、将来憲法の精神によつて飽くまでも戰争を放棄して、平和を守り抜くのだということを教えられて来たわけです。そうしてそれが日本の憲法の最も特徴的な性格である。そうしてこれは今までの人類の出し得なかつりたところの一つの新らしい結論である。こういう観点に立つて実際は憲法そのものも教えられて来た。殊に大学の学生あたりはそういうわけだ。従つてこういう態勢におきまして、而も伝え聞くところによりますと、ここ一、三年のうちに三十万乃至三十一万くらいの軍隊を作るということになると、当然経済面からしりても、当然徴兵制度というものが起つて来るのじやないか。名前はどうあろうと、いろいろ何とか選抜徴兵制とか言われているようでありますけれども、実際は兵隊として召集されるということが出て来る。それに対する拒否運動はこれは大分起つて来るのじやないか。殊に直接徴兵ということになりますと、最も直接的にその被害をこうむるのは、言うまでもなく今の青少年諸君であります。又これに関連したところの日本の婦人たちは大きな関心を持つている。それで青少年たちの間からこういう問題に対して一つの拒否運動が起りかけている。現に昨日のごときは、これは天野文相の今までおられました駒場の教養学部、あすこの学生たちが徴兵拒否の署名運動をやつた。これに対して警察が非常に弾圧を加えた。六百人からの警官が出動して、そうして百五十名くらいの学生に対しまして猛烈にこれを彈圧した。こういう事実が起つて、今日の新聞に報道されているのでありますが、これは実にゆゆしい問題だと思うのであります。それで私はお聞きしたいのでありますが、天野文相の立場としては一体どこをとられるのか。飽くまで憲法を守つて平和に徹して、そうして戰争はしない、軍備も持たない。従つて徴兵は拒否する、飽くまで戰争のために自分の身を挺するなどという、こういうことについては日本の憲法に対する違反であり、今まで長年教えられて来たところの道義に対して、ここで手のひらを返すように反対の行動はとれるものじやない。こういう立場から毅然として学生たちが立上つて飽くまでこの一つの平和憲法を守り貫く、徴兵を拒否する。こういう運動に対しまして文相はどうお考えになりますか。私はこの点が今後の文部行政にとりましても非常に重要な問題と思います。恐らく根本問題になると思うのでございますが、これに対して昨日起りましたそういうような問題と関連して、この際文相の御意見をお伺いしたいと思います。
  116. 天野貞祐

    國務大臣天野貞祐君) 私ども駒場の学生がどうしたということについては、聞いておりませんから、何ともここで申上げることはできません。
  117. 岩間正男

    岩間正男君 私は駒場の問題は十分に調べてなお今後お伺いしたいと思います。基本的な態度について伺つておるのです。どうなんですか。学生たちが徴兵を拒否するのは、日本の平和憲法においては当然の態度だと思う。従つて今までそういうことを信念として教えられて来た学生でありますから、これに対して今度は飽くまで行動を以て貫くという気持でそういうような徴兵拒否運動をやつたのだろうと思う。これは尤もだと思う。日本の平和憲法下に教育をされて、育つて来たところの学徒、而も今度のそういう徴兵なんかによつて最大の犠牲をこうむる当面の学生たちがそういう運動をするのは私は当然だと思うのであります。それに対して文相はどう考えておりますか。
  118. 天野貞祐

    國務大臣天野貞祐君) まだ徴兵というようなことは問題になつておらないのです。私はまだ徴兵ということをどこからも聞いたことがない。
  119. 木村守江

    木村守江君 その通り
  120. 岩間正男

    岩間正男君 徴兵ということが問題になつていないとかおつしやいますが、いつでも問題はその間際になつて、土壇場になつてから騒いだのでは遅い。従つて今の問題は予算の面から見てもそういう性格は出て来ておりますから、従つてそれに対して学生としりてそういう意思を表示して事前にそういうことが起らないように馬鹿げたあの太平洋戰争のにがい味は十分なめておりますから、そういうようなことが起らないように学生たちが起上るということは、これは正しい、なすべき歴史的な任務であるとさえ私は考えておる。これに対して一体青年学徒の指導に当られる文相としてはどうお考えになつておられますか。この御意見りは非常に重要だと思う。お答えにならないというようなことは非常に問題をごまかすものだと思う。これは非常に重要なことだと思う。
  121. 木村守江

    木村守江君 答弁の必要なし。
  122. 天野貞祐

    國務大臣天野貞祐君) 学生は現に指導されておる身分であるから、その指導者の指揮に従うべきものと考えております。ですからその問題に対してはこれ以上答えません。
  123. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  124. 梅原眞隆

    委員長梅原眞隆君) それでは速記を始めて下さい。  今日はこれで散会いたします。    午後一時五分散会