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1952-06-17 第13回国会 参議院 農林委員会 第52号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月十七日(火曜日)    午前十時五十分開会   —————————————   委員の異動 六月十六日委員駒井藤平君辞任につ き、その補欠として鈴木強平君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     羽生 三七君    理事            西山 龜七君            加賀  操君            山崎  恒君            岡村文四郎君    委員           池田宇右衞門君            瀧井治三郎君            宮本 邦彦君            赤澤 與仁君            飯島連次郎君            片柳 眞吉君            島村 軍次君            三浦 辰雄君            三橋八次郎君            小林 亦治君   衆議院議員            坂田 英一君   政府委員    農林大臣官房長 渡部 伍良君    農林省農政局長 小倉 武一君    農林省蚕糸局長 寺内 祥一君    農林省畜産局長 長谷川 清君   説明員    食糧庁業務第二    部食品課長   長沢  武君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○耕土培養法案衆議院提出) ○農林政策に関する調査の件  (農林省機構改革に関して内閣委員  会に申入れの件)  (バター輸入の件)  (繭糸価格安定法施行令の件)   —————————————
  2. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこれより委員会を開きます。  本日の議事日程耕土培養法案でございます。昨日に引続いて質疑を続行して頂きます。
  3. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 食糧増産基本条件でありますところの不良土壌改良ということは極めて重要なることでございます。不良土としての原因はたくさんあると思うのでございますが、そのうちでも先ず以て改良しなければならぬ広い面積の存在しております酸性土讓秋落水田、差当つてこの方面の改善をやるというようなことを狙いとしておる今回の改革は適当なものと思われるのでございます。併し不良土の現状から見ます場合におきましては、今年度計画は非常に小さく又予算も甚だ少いように思われるのでありますが、今後この事業の性質から考えまして、事業を一層拡大せられることを先ず以てお願いしたいと思うのでございます。これについてこの不良土壤改良も極めて重要なることでありますが、その前に地力増進を図るということも極めて重要に思うのであります。永年に亙りますところの化学肥料の濫用などにおきまして、我が国の土壌は一般に有機物の欠乏を訴えておるように思うめでございますが、堆肥及び厩肥増産がこれに伴うて非常に必要だと思うのでございますが、そういうような点につきまして政府はどういうようなことをお考えになつておりますか。先ず、その問題から承わりたいと思います。
  4. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 耕土培養関連いたしまして、地方の維持という観点からいたしますれば、お話のように堆厩肥増産ということがこれは緊要な問題であろうことは私ももう異論がございません。ただこの堆厩肥増産につきましての措置となりますと、これはなかなかむずかしい問題でございまして、私どもも実は名案がないのであります。御承知のように戦時中は堆肥増産運動といつたようなものを展開いたしまして堆肥増産上においた補助金を組むとか或いは堆舎といつたような設備につきまして補助金組むといつたようなことも一時はなされたのでありますが、それ自体どの程度効果があつたかどうかということはなかなか把握がしにくうございますし、又そういう施策によつてだけで果して増産ができるかどうかということも実は疑問でございましたので、その後最近にはそういう方面の実は予算伴なつ施策はいたしておりません。併し最近化学肥料増嵩に伴いまして地方が消耗されるということが顕著な事実となつて問題となつておりますし、又有畜農業の奨励といつたようなことも傍らなされて参つてきましたので、そういつた事態に即応して堆厩肥の問題を新らしく取上げるべき時期になつたのではないかということは私どももさように存ずるのであります。従いまして、この耕土培養法案には只今のところ堆厩肥の問題については具体的な措置としては持つておりませんけれども耕土培養を推進して行きます場合には当然これは炭カルでありますとか、含鉄物資といつたようなものの施用にとどまりませず、堆厩肥施用といつたようなことも併せて進めて行くべきものだと思うのであります。それが何らか予算的な措置その他の伴わなければうまくいかんということでございますれば、それは我々も研究いたしまして、例えば堆舎を作るといつたようなときについての金融でありますとか、助成といつたような措置も今後具体的に検討して参りたいと、かように考えております。
  5. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 昨日も農産課長からお話を承つたのでございますが、殊にこの秋落水田のようなところにおきましては、硫酸根を含みました肥料の使用ということは、一方で鉄資材を購入いたしましても、やはりかた一方のほうの原因というものを取去らなければその効果が上らんのでございます。そういう地帯には石灰窒素のようなものをやるというような合理的施肥指導ということもなされるというようなことでございましたけれども、今の肥料配給の状態では、なかなか思うような肥料は手に入らんというようなことがあるのでございますが、この耕土培養の目的を達しますために、合理的施肥をなさしめるための肥料配給具体的方法がありますならば、お伺いしたいと思います。
  6. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 肥料配給といつたような点につきまして、特別の考え方はいたしておりません。但しこの対策調査をいたしまして、それもらおのずから対策がここで耕土培養のための事業計画ができるわけでございますがその場合には、単にこの酸性土壌でありますれば、石灰等を投入するということだけにとどまりませず、作物の関係でありますとか、或いは配給の問題でありますとか、或いは化学肥料の問題についても、おのずからこれは処方箋が書かれるのではないかと思います。例えて申しますれば、化学肥料につきましては、嵩当りの問題といたしまして、石灰窒素でありますとか、或いは熔成燐肥といつたようなのを施用して参るといつたようなことも必要になつて来るのではないかと思います。従いましてこれはこの法律とは直接には関係がございませんけれども、例えて申しますれば、窒素質肥料需給計画というものを作ります場合に、従来はただ石灰窒素それから硫安といつたようなものをただ窒素質肥料としての把握しておりまして、そこに生産計画上の区別を余りしていなかつたのでありますが、硫酸根肥料重要性に鑑みまして、最近に至りましては、成るべく硫安と離しまして、石灰窒素数量を大きく別枠に確保すると、来肥料年度も約五十万程度のものは確保したいと、かような考え方生産計画のほうで措置いたしておることはいたしておるのであります。かような措置によりまして、耕土培養に伴つて必要となるような化学肥料の転換にも、或る程度資することができるように工夫をいたしております。
  7. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 強制的ということはできますまいけれども指導的に施肥合理化を図るという意味におきまして、秋落地帯には特に一つ石灰窒素のような秋落を抑えるというような方面肥料配給というようなことにつきまして、配給という言葉が悪いかもしれませんが、合理的指導によりましてそういう肥料を使わせるというように一つ特に御配慮をお願いしたいと思うのでございます。なおどうもこういう法律—を作りまして指導して参りますると、結局中間に立つております石灰屋が非常に金を儲けまして一つ農家の耕地には石灰が入らんというような場合が往々にしてあるのでございます。畜産のいろいろなことをやりますると馬喰さんが大変儲けて農家の懐は一つも肥らんとこういうようなことになる場合が農村の実態として非常にあり得るのでありますが、この法律によつて配給するこの耕土培養資材というようなものはそういうような弊害に陥る危険がないかどうかということをお伺いしたいのであります。
  8. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 御疑問の点については実は私どももいろいろ考えまして、こういう助成措置を講ずるために却つてその原料資材が値上りするということになりましては効果が半減する或いは効果が相殺されてしまうというようなことになりますので、その点は慎重に私ども考えております。従いまして石灰質肥料増産といつたようなことについても考えております。只今のところは大体需給がバランスがとれまして価格が高騰して来ておるといつたような傾向はないようであります。それからり秋落田のほうの含鉄資材につきましても試験場等と連絡いたしまして各地方所在場所所在数量といつたようなものをこれを全国的に調べまして、その調査の結果を又全国に知らせまして地方的に非常に値上りになるといつたようなことも防止をいたしたい、さような措置でもつてこの措置の結果特設にそういう原材料は上るというようなことはないようにいたしたいと思つております。
  9. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 次にこの秋落防止肥鉄土というのがありますが、これはどういう範囲のものを含むのでございますか。
  10. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 肥鉄土と載つておりますのは主として福井県にとれまする鉄分が大体一〇%以上のものをいつております。
  11. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 そうしますと各地でやつております鉄分の比較的多い赤土施用なんていうようなことはこの中に入らんのでございますか、どうでございますか。
  12. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 只今申しましたように大体一〇%以上鉄分を含んでいるものにつきましては、この法律によりまして事業対象になり得るのではないかというふうに思います。そういうふうにしたいと思つておるのでありますが、あまり鉄分が少い、いわゆる赤土ということになりますというと量も相当程度投入しなければならん。従いまして相当の工事を必要とするといつたようなことになりますので、この点はむしろいわゆる客土といつたような関係に近くなるのではないかと思いますので、そこまでは実はこの法律関係では考えにくいのではないかと思います。
  13. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 そうしましたら、まあ大体境のところは一〇%と、こう了解して、分析をして一〇%位鉄を含んでおればこれの対象になると、そうして客土のようにカリを用いなくても効果を挙げ得るというものはこの対象となり得るということになるのでございますか。
  14. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) お話のように理解したいと思います。
  15. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 次にこの石炭のことですが、炭カルと消石炭というようなことでいろいろ開拓方面では問題になつたことがありますが、やはり産地はそこそこなあるのでございまので、恐らくこのほうではどちらでもよろしいということになるのでございましようけれども炭カル或いは普通の消石灰というようなものを両方対象になるのでございますか。どうですか。
  16. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) その点につきしては勿論地方的ないろいろ事情もございますので、強いてどれというわけにする必要はないと思います。肥料取締法関係で認められているものでその地方に立地上適当なものは結構だと思つております。
  17. 山崎恒

    山崎恒君 第三条によりますところの耕土培養地域として、日本全国においての三条に該当するような都市というものは概算どのくらいの町歩があるという推定がされておるかどうか。その点を先ずお伺いいたしたいと存じます。
  18. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) お配りいたしました耕土培養に関する資料の(一)のほうでございますが、その十九ページに秋落水田酸性土壌不良火土灰土といつたように分けまして県別面積が出ております。そのうち例えば秋落水田でありますれば五十九万五千町歩、今回その中で以てこの耕土培養事業対象に差当りできると認められるものが四十万町歩、即ちこれは主として鉄分欠乏による秋落水田という意味において四十万町歩を選んでおるわけであります。それから酸性土壤は、これは取方によりまして非常にいろいろ数字が変つて参りますが、全体の面積は一応二百七十五万町歩というふうに出ておりますが、そのうちこちらで今度の計画で採用いたしたいというふうに考えておりますのは、Y、6以上のもの、この四十八万五千町歩といつたようなものを対象にいたしたいというふうに考えておるのであります。
  19. 山崎恒

    山崎恒君 これに伴いますところの今年度の使用し得るところの予算はどのくらい盛つておりますか。
  20. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 予算は、この法律関係します予算は全体として一億八千八百万円ほどでございますが、この三条、四条関係調査費が含まれておりますので、純粋の事業に対する補助といたしましては一億四千万円程度であります。
  21. 山崎恒

    山崎恒君 この法律ができますことは非常に将来の日本増産の上に大きな画期的な事業となろうと思うのですが、政府は今後逐年この事業を継続いたしまして予算の獲得をすることを我々は希望するのですが、そういう意思があるかどうか、その点を一つお聞かせ願いたいと思います。
  22. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 只今山崎委員の御質問の点について、私もちよつと関連してお尋ねしておきたいと思いますが、この本年の二十七年度耕土培養関係予算一億八千五百方円は今提案されておる法案が問題になる以前のこれは予算であります。従つて本法がまあ多分成立するでありましようが、成立したあとにおいてこの法律ができる以前の一億八千五百万円よりも遙かに多くの予算化ということが見込まれるかどうかということは、まあこの法案を成立せしめる上に非常な大きな、何と言いますか、ウエートを持つものと思うのであります。それでたまたまこの一億八千五百万円の予算があつたので、この法案の裏付けがまあそこでできるわけでありますが、この場合前と、つまり法案が成立してもしなくとも、予算の上に対して変りがないというようなことになると、この特殊立法というものの意味がなくなるわけであります。そこで政府はまあ衆議院提案者のほうではこの法案審議過程、或いはその前後において今後の予算化の見通しについて大蔵当局なんかと御折衝なさつたことがあるのかどうか、その点も今の山崎委員お尋ねと合せて一つこちらからお伺いいたしたいと思います。
  23. 坂田英一

    衆議院議員坂田英一君) 只今山崎委員並びに委員長関連して御質問になりました点は、全く極めて重要な問題であると思います。私ども提案者といたしましては、今年度に、例えば二十七年の予算といたしましては一億八千六百万円の補助金を計上しておるわけでありまして、これは初年度であり、調査を進めて行くという基礎的な年度でありますから、特に必要が起つた場合において、補正予算等において必要であるかどうかという点については、調査の結果として又考えて行きたいと思いますが、この初年度は大体においてこの程度経費で事足りるのではないかと、こう存じます。事足りるというよりももつと多ければ多いほどいいわけでありますが、調査その他の準備、いろいろな点がありますから、それで予定のことが実行できるようにも思われます。併し問題はその以後における七年計画の問題であると思います。で我々の政府相談をいたしまして計画いたしましたのが、七年間で三十七億五千六百万円というものを予定いたしておるのでありまして、この計画がどうしてもこの秋落田並び酸性土壌矯正等を中心とするとところのこの改良事業としての経費として我々はどうしても実現しなければならない、こういう覚悟でもつて進んでおるわけであります。なお政府のほうから補正的にもう少し説明を詳細にして頂きたいと思います。
  24. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 只今提案者坂田さんからお話がありましたように、この事業といたしましては、本年を第一年度といたしまして七カ年でやつて参るつもりでおるのであります。勿論最初の年としての事業でありますから、そう厖大な事業も実は計画がしにくいのであります、と申しますのは、一つはこれは調査乃至対策を立てる人員にも関係いたすのであります。私どもといたしましては、当初人員の増加も殊に中央試験場人員でございますが、要求したのでありますが、それは認められませんで、規定の調査人員だけでございます。従つて対策を特に立てるための新らしい人員が実は通つておらないのでありまして、そういう関係からも只今基礎的な調査を、調査をやりながら又対策も立てるということでございまするので、そういう点からも制約されまして、初年度は比較的規模が小さく相成つております、来年度からは少しずつ事業の分量もふやしまして、七カ年で事業を完成したい、かように計画をいたしております。
  25. 山崎恒

    山崎恒君 次にこの第三条の一でありますが、その地区内の不良農地についての耕土培養実施が技術的及び経済的に可能であるということが条件でありますが、この経済的に可能だという点は一段歩あたりどのくらいの培養費をかけたらば可能だというような点のめやすはどこに置いておるわけですか、その点を先ずお伺いしたいと思います。
  26. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) これは勿論この不良の原因と、それに関しまして、例えば酸性土壌でありますればどの程度石灰が必要であるか、その石灰所要金額と、それによりまする増産効果といつたようなものと睨み合わせてきまるべき問題で、一律に例えば石灰質が何千貫以上要るものは打切るといつたようなことは考えておりません。村で計画を立てるわけでありますから、村の経済が成立たん或いは農家経済が成立たないということでは困りますので、おのずからそこに線が引かれるのではないかというふうに考えておるのであります。
  27. 山崎恒

    山崎恒君 大体政府の案といたしますれば、一町歩あたり最高どの程度耕度培養費助成するというような、勿論この基準がなくてはならないと思うのですが、その基準一つお示しを願いたい。
  28. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) これは先ほど配付しました資料耕土培養に関する資料の一のほうでございますが、平均的にはこれは一町七千八百円と見込んでおるのであります。酸性土壌は一町あたり五千六百円、これは二分の一の補助でございますので、農家のほうもそれだけの負担と相成るのでありまして、従いましてこの増産効果とやはり睨み合わせなければ経済的に一体可能であるかどうかということもわかりかねるのではないかと思います。勿論今申しました数字は平均的な数字でございますので、これを勿論相当上廻つて補助対象にしないというわけではございません。
  29. 山崎恒

    山崎恒君 次にこの費用の問題はまだ他の委員から御意見があろうと思いますが、二の問題でありますが、その地域面積農林大臣の定める面積以上であるという点でありまするが、これは密集する不良農地から成つておる地域は、農林大臣が認めるところの面積というのはどのくらいの地域でございますか、それをお伺いいたします。
  30. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) この面積の指定のいたし方は、従来調査いたして参つておつたものとの関連がございますので約五十町歩ということにいたしたいと思います。五十町歩といたしますのは従来の低位生産地調査という調査によりまして調査いたしておりましたものが二十五町歩に一点ずつ調査いたしておりましたので、その調査点が二点含まれるという意味において五十町歩というふうにいたしまして、そうすれば相当程度信憑力がある不良土壌地帯を押えることができるのではないかというふうに考えて、さようにいたしたのであります。併しながらこの面積はその後の作業のための面積でございますので一団地として五十町歩なければ事業対象にならんという趣旨ではございません。
  31. 山崎恒

    山崎恒君 五十町歩なくてもそれが必ずしも制約されたものでないという御意見で大体了解つきますが、大体この集団的の農地というものはよくわかるのですが、山間等土地に行きますというとなかなか二十町歩、三十町歩というようなまとまつた地域というものは少いだろうと思います。開拓地域ならばともかくも、殊に山村等土地というものは一山越せば五町歩なり、三町歩なりというような土地を耕作しておると、又その土地が而も第三条に規定されておるような耕土培養を必要とする土質というようなものが多いというような点が多いかと思うので、成るべくこの地域というものを、小さな密集地域というものを認めて貰うことが可能じやないかと、かように思いますがその点は如何でございますか。
  32. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 実際事業をいたします場合には、例えば五十町歩という地域を指定いたしましてもその中で酸度の程度がいろいろ違う、或い続落ということで五十町歩を指定いたしましても、いろいろの原因で必ずしも技術的に確立されている手段では解決できない土地もございます。従いましてその中から実は本法律によりまする事業面積が出て参るのでありますので、具体的に事業を営みます場合には約五町歩ということを、一町村町歩ということで以て考えております。それは四条の二項でございますが、四条の二項の終りのほうに「その請求に係る農地の総面積が省令で定める面積以上であるときは」とありますが、この面積はほぼ五町歩ということで考えておりますので、お話のような点は十分これで以て支障がないのではないかというふうに思います。
  33. 島村軍次

    島村軍次君 先ず第一に、只今山峠氏からお店になつた問題に関連いたしまして、いずれも先に通過した急傾斜の段々亀に関する法律単作地帯法律の書き方によく似ておるようでありますが、単作地帯においても計画農林委員会で立て急傾斜地帯においても農林委員会が主体になつて計画を立てるということになると思うのでありますが、例えばこのそのうちにある積雪寒冷地帯法律の第九条によりますというと、農業振興計画の内容については改良保全もあるし、土地生産条件の整備ということにもなりますが、これらとの関連についてはどういうお考えをお持ちになつておりますか。先ずその点から伺つておきたいと思い心す。
  34. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 急傾斜地その他耕土培養に非常に関連する法律しの関連についてのお尋ねでございますが、例えばこの急傾斜地ということなりますというと、非常に実は関連があります。例えばこの急傾斜地或いはこの特殊土壌の問題につきましては関連がございますが、これは耕土培養につきましては、このような特殊な立法によりまして計画ができ、予算的な措置ができますれば、耕土培養につきましては、実施耕土培養でやつて行くということにいたしたほうがつよいので言はないかというふうに考えております。と申しますのは、耕土培養では下のほうの町村団体計画の立て方などが比較的詳細にきめられておりますので、そういうふうに指示をいたしたほうがよいのではないかと思います。又例えば特殊土壤地帯振興臨時措置法には、例えば「アカホヤ」という特殊土壌がございますが、こういうその「アカホヤ」といつたような土壌につきましては、これはこの耕土培養で言う農芸化学的な手段によつて改良が可能であるわけであります。従いまして予算的な措置としては特殊土壌地帯振興ということで予算的な措置がこの法律に、この振興臨時措置法によつて組まれて、その実施耕土培養法によつてつて行くということにいたしたいというふうに考えております。
  35. 島村軍次

    島村軍次君 私の只今承わつたことの主なる理由は、末端におきましては、いずれも農業委員会がこれを扱うということになるのでありますが、併し今日の農政の上で問題になりますことはいろいろの法律が出ましてそしてセクト的に各縦に流れる場合に、ややともすると、それが重複し、或いは甲に厚く乙に薄く、その結果が農家自身或いは町村農業委員会を迷わせるというようなことが相当あると思うのであります。そういう場合に対する措置として関係の局とよく御相談願つて重複にならないということを希望いたしたいと思うのであります。それが第一点であります。それからなおこの事業の千画は府県では農業改良改良課というものが扱うことになると思うのでありますが、つ末端の指導というもの、或いは調査というものはどういう機構によつて行われるか、その点から先に承わりたい。
  36. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) この法律全体に関する仕事は現在の機構で申しますれば、農林省におきましては農政局と改良局と申しますのはこの最初の三条、四条に出て参りまする調査といつたようなものはこれは府県の試験場の専門官が主として担当することに相成るのであります。その調査に基きまして計画ができ、その計画に基いて助成をするといつたような部面は農政関係助成でやるということになります。なおもう一つ法律のあとのほうにございますが、開拓地域につきましてはこの法律とは若干違つた特例を設けることになりますが、その部分は、これは農地局ということになりまして三つの局に関連がございます。従いまして地方におきましても、機構が農林省と同じような形で分れているような府県におきましてはやはり三つの課に関係があるわけであります。勿論現在のような機構の分れ方がよいかどうかということになりますというと、これはいろいろ御意見も必ずおありのことと存じますが、只今のところはさようになつております。その間勿論三課の間或いは三局の間に密接な連絡をいたしましてちぐはぐのないようにはいたしておるつもりであります。お尋ねの末端でありますが、これは勿論末端と申しましても府県の地方事務所、それから対策調査乃至計画を作るという場合にはこれは普及委員ども協力するということは当然というふうに考えております。
  37. 島村軍次

    島村軍次君 坂田さんは積雪寒冷地帯については非常なお骨折を頂いたのでありますが、又急傾斜提案者にもなつております。それから今度の問題に関する提案者にもおなりになつておるようでありますが、市町村がこれらの計画を立てる時分には府県知事の承認を受けるということになるのですが、耕土培養事業計画というものは培養計画で出し、急傾斜は急傾斜で出し、それから或いは積雪寒冷地帯関係はいずれも計画を出すと、こういうことになつて非常に煩瑣だと思うのですが、提案される場合にそれらの町村の事務に関する問題についてどういうふうにお考えになりましたか、一応一つ承わりたい。
  38. 坂田英一

    衆議院議員坂田英一君) 町村の事務について、いろいろ積雪寒冷地帯或いは傾斜地或いは特殊土壌、それぞれの法とこの耕土培養いろいろあるので、町村としてはどういうふうなことになるだろうということを頭に描きながらこの法案を作つたかと、こういう御質問であろうかと存じます。勿論これは最後に参りますと、やはり市町村農業委員会にかけて、それぞれ市町村当局が中心になり、又いろいろ農業団体、特に農業協同組合等の団体も共々に手を携えて村の総合計画を立てることになろうかと思うのであります。そういう意味でその村々として例えば傾斜地もあり、又耕土培養も必要だという村もあろうと思いまするし、耕土培養をこの際この村としてはやるという村もあろうかと思うのでありますが、重複しておる村といたしましては、これは村全体としての総合計画がやはり立てられるべきものであり、又当然これは農林委員会としては立てて行くべきものであると思うのであります。そういうので全体総合計画のうちの一つとしていろいろの計画が現われて参ると思います。ただこの耕土培養の場合におきましては、これは一般のやつとやや違いますと私は思いまするのは、一般のほうは傾斜地にしても、或いは積雪寒冷の場合はこれは別でありまけれど、いろいろ外形においてはつきりものがわかる。耕土培養の場合はこれはやはり外科医でなしに内科医でありますので、どうしてもこれは内科のいわゆる土壌の中の何でありますので、これはやはり県全体として試験場等の有力な調査資料というものがどうしても必要になつて参るわけであります。従つて村全体としては計画的に、全部総合的にすべての計画は立つのでありますけれども耕土培養の場合においてはそれと相並行して、これは県の試験場その他技術関係が非常に深くこれを検討して行く、いわゆる内科医における人間の体の診断ということが基礎をなすというわけでありますので、この場合、これはすべての場合がそうでありましようが、特にそういつたような試験場の調査、その診断というものが非常にこれは必要になりまするので、この場合においては一つの独特の調査が必要になつて来ると、こういうふうに思います。その調査に基きまして、地域が指定される、指定されたる町村は自分の総合計画の常々考えておる積雪寒冷地帯ならば、わしのところはこれはやりたいということは考えておるわけでありますが、そういう試験場の調査の結果として指定されることになりまするので、その指定さつれたる市町村が特に精密にこれは診断をしてもらうというので対策調査を請求する、その対策調査に基いて事業を進めて行くということになりますので、これはもう大変わかりにくいことをごろごろ申しましたようでありますけれども耕土培養の場合はそういう進み方で行くと、こういうふうに私は了解しておるわけであります。
  39. 島村軍次

    島村軍次君 只今の御説明については私がお尋ねした点と多少答えが異つた点もありますが、要するに私の希望は、今後の事業の運営に対して町村なり農業委員会或いは府県の団体において、この法律がたくさん出たためにいずれも関係が、只今申上げました三法案等について別々の計画を立てるというようなことは場合によつては無駄ではないかというようなことがある場合においては、お話のように総合計画というものでタツチできるようなことにすることが本筋ではないかということの意見を持つていますので、その点についてはなお一つ政府当局に今後の施行においてお考えを願いたいと思うのであります。それから第五条の第三項の事業の施行者というものについては市町村、それから耕作を営む者又は農業団体とすると、耕土培養に関する事業只今お話なつたように特殊な地帯に関する而も技術的の問題でありますから、おのおの施行者が同一でなければならんということはないと思うのでありますが、その場合においての事業の施行者の対象は多くはどういうものを予定されておりますか。その点を一つ承わりたい。
  40. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 多くは農業団体を予定しております。
  41. 島村軍次

    島村軍次君 農業団体とは、法制上における団体としてはどういうものを予定されておりますか。
  42. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 農業協同組合であります。
  43. 島村軍次

    島村軍次君 協同組合、ここに言う農業団体とはその施行者は農業協同組合であると解してよろしいのでありますか。これはなぜそういうことを申上げるかと申しますと、例えば農業委員会というものが、市町村にもある、辰業委員会自身が仕事をやるというようなことは法制上はないわけでありますが、或いは御承知の通りに市町村の農業団体は非常に数が多いわけであります。そこで農業協同組合に限定する、はつきりさようなことを考える必要もないと思いまするが、併しおのずから計画者とそれから事業の施行者とは異なると思うのであります。その場合において例えば土地改良に関しては土地改良組合というものが別途に作られておる。これは非常にむつかしい規定でやると、併しこの耕土培養に関する問題は診断は非常に重要であるが、併し施行は極めて技術的のことで簡単にしてできることであると思うのでありますが、そこで農業団体とするという場合に、この解釈は大よそ限定的にされる必要があると思うのでありますが、そこで協同組合と考えてよろしいか、どうか。
  44. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) お話のように協同組合である場合が多かろうと思うのであります。ただ協同組合というふうに限定いたしませんでしたのは部落の組合といつたようなものも考えられますし、もう一つ土地改良局などが土地改良事業をやり、又その後に酸性土壌改良といつたようなことで、耕土培養事業を営むというようなことも考えられますので、大体は農業協同組合だと思いますけれども、特にそれに限るということにはいたさなかつたのであります。
  45. 島村軍次

    島村軍次君 第四項に同意を得るということが書いてあるようでありますが、別にこの法律には施工令とか、政令とかいうものは予定されていないと思うのでありますが、同意ということは或いは政令その他で書面でとるとかというようなことを考えておられるか、どうかということを……。
  46. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 別段この同意を書面でなくてはならんというふうには考えておりません。ただこの耕土培養事業をやります場合には、どういたしましても、農民が或る程度協力すると申しますか、特段の企業者がありましてそれがやる。例えば協同組合がやる場合町村がやると申しましても、町村が特殊の技術者なり、労働者を雇つて事業をやるというわけではございませんで、この石灰窒素でありますとか、その他のものを町村或いは協同組合が買つて参りまして、それを農家に配つてそして撒くということになりますので、その点が一つと、それからもう一つは、事業に要する経費の一半は耕作者等がこれを負担するということになりますので、そういう関係から全然耕作者が知らないうちに事業がきまつて進展するということでは困るという趣旨で以て同意ということを必要としたのでありまして、強いて文書で以てこれをとるというふうなことは考えておりません。
  47. 島村軍次

    島村軍次君 まだほかにお尋ねがあると思いますが、最後に予算関連して坂田さんなり、農政局長の御意見を聞いておきたいと思いますのは、先ほどお話なつた七ヵ年計画で三十数万円ですか、数億円ですか、三十七億円ですか、その数字が出ておるようでありますが、そこの資料の第二にありまするように、対象秋落水田が二十八万二千町歩及び強酸性土壌十九万八千町歩と、こう書いてありますが、先ほど局長のお話なつ秋落水田四十万三千町歩及び酸性土壌四十八万五千町歩との関係はどうなりますか。或いは又七ヵ年はその第一次計画であつて数字の差異はその後において行うということでありますが、その点について……。
  48. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 酸性土壌につきましては、先ほど申しました数字には一毛作田が入つておるのであります。水田の酸性土壌改良は一毛作田ということでは効果がございませんので、そのうちの二毛作ということに限りますというつと、強酸性土壤土地面積は二十五万町歩ということになるのであります。その二十五万町歩と押えましたけれども事業といたしましては、その八割というのを押えまして十九万八千町歩ということにいたしたのであります。それから秋落につきましては、やはり約六十万町歩になりまする面積のうち、鉄欠乏によります分を四十万町歩と押えまして、その大体七割を全体の計画にするということでこの七ヵ年計画ができておるのであります。
  49. 島村軍次

    島村軍次君 最後に三橋委員からお話になりました今度の耕土培養については、酸性土壌の矯正、秋落田に対するところの対策はこれは極めて重要なことでありますが、これは地力の増進と相関連を持つて考えなければ、これは一部分にすぎないと、そして従つてこれにウエイトが多くなりますというと、やがて地力増進に関する総合的な考え方がどうしても不十分になる感じがするのではないかと思うのであります。そういう問題については、今後この法案の施行並びに農林省の政策として、もつと積極的に、例えば堆厩肥に関する問題、いわゆる地力増進の総合的な対策についての対策を十分検討を加え且つ計画されんことを希望いたしておきます。なおもう一つこの特殊地帯と申しまするか、この資料の九頁にありまする秋落対策用の資材調査というのですか、いろいろ出ておりまようですが、要するにこの鉱山等の関係で、或る場合にはその鉱山等のありまするために、非常に資材を得るのに都合がいい所があると同時に、又逆には鉱山の被害によつて、その附近の農家土壌が酸性になり或いは今度の法律対象になるというような土地相当あると考えられるのでありますが、例えば九州の鉱害の、つまり陥没に対する対策相当考えられておりますが、範囲が狭いために鉱山地帯等の被害による減収に対する対策としては、やはりこの耕土培養の一環として考える必要があると私は思うのでありますが、その点に対しては立案者なり、農政局のほうではどう考えておられますか。
  50. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 鉱害地の全体の面積をほぼ調査いたしましておりますのは先ほど申しました資料の(一)の十九頁の最後のほうに載つております。併しこの鉱害地と一概に申しま、鉱山の関係でいろいろ原因がまちまちでございまて、一概にこうすればいいという字句はないようでございまするので、ここに今回の措置には特にまだ挙げておりませんが、だんだんと原因に対する措置が究明されれば、これは勿論耕土培養の中の一環として取上げられて行くべきものであるというふうに存じます。
  51. 羽生三七

    委員長羽生三七君) ちよつと速記をとめて……。    〔速記中止〕
  52. 羽生三七

    委員長羽生三七君) では速記を始めて下さい。
  53. 加賀操

    ○加賀操君 私は耕土培養の根本問題について二、三伺つておきたいと思います。幸いこの法案で化学的性質の不良な土壌と、こういう字が出ておりますので、誠にお困りになるかも知れませんが、日本土地は大体もともと今耕地になつている所が、こういう不良な土壌であつたかなかつたかと、こういうことを一つ最初にお開きします。
  54. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) この化学的性質が不良というところの字句に関係いたしまして日本農地が最初からそういうものであつたかどうかというお尋ねでございますが、勿論これは自然的な影響で最初からそういう土地であつた所も多かろうと思いますが、最近特にやかましい秋落水田或いは酸性土壌ということになりますと、これはもともとと言うよりも、人為的な原因で以て不良になつたという部面が相当多いのではないかというふうに考えております。併しどの部分が人為的でどの部分が自然的だという面積の区分は実はしにくいのではないかと思います。
  55. 加賀操

    ○加賀操君 おわかりにくいと思いますし、私もよくわかりませんが、ただこれが基礎になりますので、先天的であるか、或いは後天的であるか、こういうことによりまして、後天的であるという部分が非常に多ければ、この対策をさように考えて行かなければならない。具体的に申しますると、七年計画を立ててありますが、その間にだんだんにこの法案事業対象になつている耕地が悪い土壌になると、こういう面積が非常に増加する可能性があればそれに対処しなければならんと思うわけであります。一例をとつて見れば、非常に建物を建てなきやならんということはわかつておりますが、一方から相当に焼いておる、こういう現象が起きないとも限りませんので、私はそういう点に対して少し入りますが、これから七ヵ年間にに具体的に調整される面積と、不良になる山積とが多いか少いか、こういう見通しの問題をお聞きしておきます。
  56. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) なかなかむずかしい問題でございまするが、これは先ほどもお話がありました今後の計画とも関連いたしまするが、なおそのほかに只今のこの化学肥料、それから自給肥料といつたような関係がどうなるかということにも関係をすると思います。若し今までの、殊に戰後著しい化学肥料の増高といつたような傾向が今後も持続するといつたようなことになりますれば、これは要するにお話のようなこの法律によりまする対策実施して参りましても、あとから、あとから今度はマイナスの要因が積み重なつて来るということで、賽の河原になるといつた心配も実はあるのでありますが、併しながら化学肥料につきましてのこの硫安或いは過燐酸といつたようなものの需要の趨勢がどうなるかなかなか判断はいたしかねますが、最近その方面の普及と申しますか、教育のほうもだんだん進んで参りましてそういう肥料を年々たくさんやるということは地方を非常に消耗するのだということが農家にもだんだん浸透して参つております。かたがた化学肥料内部におきましても、石灰窒素とか、熔成燐肥といつたような方面増産に農林省も努力いたしておりますし、多少ずつでありますが、実績も上つております。それから先ほど又お話のありましたような厩堆肥といつたようなことについて、若し十分なことができます。ならば、お話のような心配はないのではないか、又そうでないように考えて処置をして行くのだということに努めております。
  57. 加賀操

    ○加賀操君 これはほかの事業と違いまして、非常に目に見えない、而も永遠に続く仕事でありますので、農林省のほうでは、私は考えて見れば、もうその悪い土地が殖えるか、殖えんかというような研究はすでにでき上つて、その基礎の上にこの法案をお出しになつたかと私は想像しているのですが、まあそのわけはよろしうございますが、そういう点でこれからはつきりした研究の下に、こういう計画を立てられて、そうして今局長が言われたように、又議員のかたからも言われたようなことは、少くとも酸性肥料は使わんようにしなければ、決して土壤は直らんという気持を持つております。どうぞそのほうへ非常な力を入れて頂きたい、こういう希望を申上げて質問を打切ります。
  58. 小林亦治

    ○小林亦治君 大体伺いたいことを六項目ほど用意して参つたのですが、ほかの委員のかたがたからの御質問で、私の伺いたいことは二点なんでありますが、本年度予算なんですが、一億八千五百万円で、これは殆んどまあ直接には本年度耕土培養の資金にはなる面が非常に少いと思うのであります。そこで七ヵ年の計画でありますから、来年度より六ヵ年、こうなりますと、年間の予算額というものは平均して六億、こういうことになります。それにつきましてこの培養費の点なんですが、先ほど政府の御説明によりますると、反当七千八百円、酸性土壌の場合五千六百円、かような見込になりまするというと、殆んどこれは金耕地の約一%でありますから、この対象が先ほどの説明もありましたが、現をこの耕土培養をなさなければならない必要面積というものは全体の約二〇何%かと私は考えておるのであります。そうすると、折角のこの法案が出て参つても何十分の一しか培養ができないと、こういう小範囲にとどまる虞れがあるので、三十七億というのは本年度だけの予算ではなくして、なお今年度を加えまして七ヵ年ということになると、これはもつとこの見込金額を百億なり或いは百二、三十億なりにいたさなければ、全体の耕土培養ということを考える上においては不足ではないかと考えるのであります。その点若干の御説明がありましたけれども、よくわからなかつたので、もう一遍御説明願いたいと思います。
  59. 坂田英一

    衆議院議員坂田英一君) 小林委員からの御質問でありますが、この予算関係政府側とも相談をいたしまして我々も審議をいたしたわけであります。尤もこの今小林委員からお話の通り耕土培養を必要とする面積相当多いのであります。そこでもう少しそれと同時に秋落、今度の場合は主として秋落水田と強酸性土壌というものの矯正、それだけじやありませんが、中心がそこに置かれておるのでありますが、そのほかの原因によるいわゆる不良土というのは相当多いわけであります。これらのものを対象にして耕土培養事業を推進して行かなければならんということについては、今小林委員と同様の意見を私どもも持つております。そういうわけでありまして、立案の当初に当りましても、もう少し真に広大な計画を立てようじやないかということの注文をし、又論議もいたしたわけでありますが、とにかく八度の耕土培養法案によりまして、いろいろと調査をして行くと、その調査の場合においてその処方箋を書くと、処方箋を書く場合におきましては、これは堆肥を幾らやらなければならんというところまで相当徹底したところの処方箋を書いて行こうと、今後は我々も非常に満足するわけでありますが、その結果としていよいよ実行に移るというと、範囲が比較的小さくなり、手段はいわゆる化学的に鉄分、含鉄或いは石灰質、そういうものをこれは用いることになるわけでありますが、もつと徹底したいろいろの用い方もあり、これは時間が長くなりますから何ですが、御推察願えると思いますが、もつといろいろな点で進むべきじやないか、こう論議をいたしたわけでありますが、一にかく秋落ち水田のうちでも、やはり鉄分を加えるといつたようなものは、これはすぐ効果が現われるものじやないか。酸性土壌についてもやはり石灰その他を用い炭カルも用いる。これもよく行くように検討が加つておると、こういうわけです。なおそのほかに客土をやつたりいろいろすることによつて秋落ち水田が矯正できるわけでありますが、こういうのは処方箋の中には勿論そういうものは入りますけれども、実行の面になりますと、土地改阜法がありますので、その面においてやつてもらうというので、この法案としては実行の面ではタツチしないということで参りまするので、この三十七億以外に、処方箋によつてそこでやつてもらうという面も相当出て来るのじやないか、こう思います。そのほかにいろいろの面もありまするが、他のいろいろの原因不良土といつたようなものにつきましても、これは検討が随分ついて、そして見通しがついて来るということと即応して進んで行かなきやならんかと思うのであります。  なお堆厩肥の問題をもう少しこの耕土培養というほうに関連してらんと奨励するいろいろな方法はないかと、先ほど島村さんからお話がありましたが、もう少し本当の意味耕土培養ということから外れやせんかと、思い違いが起つて来やしないかといつたようなお話も先ほどあつたわけでありますが、我々も初めそういうふうに考えておるのでありますが、併し堆厩肥のところまで実行の面においてすぐ取入れるということより、もつとこの点を進めつつ実行の面を更に拡大して行きたいと、かように考えておるわけであります。併し処方箋を作るときにおいては、先ほどこれに関連して島村さんのお話も御尤もと思うんでありまして、そしてこのいわゆる石灰を用いたり鉄分を持つておるものを投入するといつたようなことの、本質以上に重要な面は処方菱において十分これを調査し、又対策調査を行わしめて、そしてこの耕土培養の本当の精神、そこから還元しながら実行可能な面を先ず第一着手として進んで行こう。これは先ず第一着手の計画がこの三十七億と、こういうつもりでまあおるわけであります。  簡単に申上げて大変恐縮でありますが、さような考え方で進んでおります。
  60. 小林亦治

    ○小林亦治君 簡単じやなく大変詳しくおつしやつて頂いたのですが、そうするとこの三十七億五千六百万円ですか、来年度になり、再来年度になつて必要な場合にはなお相当な増額の見込があると、こういうふうに伺つておいてよろしいですか。
  61. 坂田英一

    衆議院議員坂田英一君) 秋落ち水田その他強酸性の分については、先ほど局長から申上げました通りの状況でありますが、そのほかのいろいろの不良土といつたような面につきましてこうしたらよかろうという、的確な技術的な方法が生まれて来るときには、それと睨み合せながらこれを拡大して行くということに進みたいのであります。ただ御説のように、昨日も農地局長からもこれに関連するお話がありましたが、開拓地につきましては、もろもろの施策を一貫してやつて行くという趣旨で以ちまして、特別の手厚いと申しますか、指導がなされておるわけであります。これをその一般の農耕地、一般の村と同じようにやるということになりますというと、そこに若干の不工合が出て来はしないかという点が恐れられておるのであります。例えて申しますれば、開拓地につきましては、協同組合も別であるといつたようなこともございます。或いは村の態勢から申しますると、開拓地に住んでおる人はいわば少数者であるというふうなことからして、開拓地の耕土培養がなおざりにされるという虞れがございますので、この法律の特例を開きまして、開拓地について従来のやり方が特に障害になるといつたようなことでは困りますので、その法律に定めた或る手続乃至は方法とは若干違つたことでやり得るというのが、開拓者にとつても、又開拓地の耕土培養事業を推進するためにも都合がよろしいのではないかということで、特例を政令によつて設け得るということにいたしたのであります。
  62. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 只今の小林さんの御質問の点で、農政局長の答弁で数字の点がちよつと省かれておりますから、私から念のために申し上げますが、既耕地については、御承知のように耕土培養予算は一億八千数百万円、開拓地については、本年度現に計上されておるものが三億三千四百万円でありますので、申上げておきます。  他に御質問もなければ質疑は終了したものと認めまして討論に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 御異議はないと認めまして、これより討論に入ります。本案につきまして御意見のおありのかたは、それぞれ賛否を明らかにして、お述べを願います。
  64. 小林亦治

    ○小林亦治君 私は反対するものではないのでありますが、ただ先ほど島村委員から非常に貴重な御意見があつたのでありまするが、かような法律が繁文縟礼的にいろいろな面からどんどん出るということになるというと、この結果というものは、国家全体から考えた場合に、どういうことに相成るかということを我々立法者は反省しなければならん、これが重要なんであります。つまりこの現在の各行政機関が財政当局、大蔵省なんです、これを取囲んおのおのセクト的になつておる結果がかような繁文縟礼的ないろいろなものが法律になつて参る。何かの新聞にも叩かれておつたんでありますが、将来はこの御飯のよそい方から、御馳走の盛り方から何から何まで全部これは法律になるだろうというようななかなかうまい風刺で以つて批評が書かれておつたのでありますが、そういう感なき能わずなんでありますが、このことを我々立法者も、行政当局もよく考えてみなければならんと思うのであります。法三章ということを必ずしも私どもは尊しとは思いませんが、かような法律がセクト的にどんどん出て参るということは、行政というものがだんだん弱まつて立法、つまり議会、国会というものが強ますという結果になるので、その点は結構なんでありますが、そうなるとこの内閣、行政府というものの機関というものは極く少数で間に合う。執行者だけで結構ということで、これは極端になると、そういうような結果になる。従つて国会は年中開いておらなければならない、こういう結果になるので、この点を一つ改革的に国家財政、その財政を取り囲むところの各執行機関の予算のやりくり、こういうことを抜本的に考えなければ、ただ場当たり的に一つ一つこんな法律を囲んで議論をするということよりももつと大きな考えを持たなければ、国政全般の上に妙なものができ上る、こういう考えを持つてつたので、さつき島村委員から非常に貴重な御意見に加えまして、セクト的なところの立法というものは、実は私どもは喜ばしくはないが、併し更に考えてみまして、なきに勝る、あつたほうがより適当だ、かような法律があつたほうが執行当局が予算の睨みも持つことになり、止むを得ないだろうと、こう考えて止むを得ず賛成するわけなんであります。  今後、我々はそういう大きな立法者といつたような考えを持つて根本法というものを作らなければならんと思います。まあ素人流に考えますと、大体今のこの法律というものは多過ぎる。十分の一でも結構だ。それでは責任のあるところのしつかりした行政機関を持たなければならない。その行政機関が弱いために、かようななくともよい当然のことが成文法化されなければ国政の運用をやつて行かれないというまずいことになる。十二歳の国家と言われたのですが、こんなことでは十二歳どころじやないのです。非常にこの法律がたくさん出るということは進歩じやなくて一つの退歩であるということを我々は反省しなければならんのであります。行政府というものは責任を持てない。責任を持たないから、力がないからかようなものを出さなければ政治の執行ができないのであります。そういうことを執行者も立法者も反省しながらやつて参らないというと、一つの技術者に落ちてしまつて、政治家ということにならないのであります。ここいう駄目を押しながら本法案に私は賛成するものなんであります。
  65. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 私は耕土培養法には賛成するものであります。  そこで今頃こういう法律が出なければならないその農業政策の情なさは実に遺憾に堪えないものがあるのであります。日本の農業政策は今頃になつてこういう法律を出さなきやならんということであります。そこで、而も政府でなしに議員提案でお出しになつておりますが、七ヵ年の計画でおやりにもつておりますが、稻の秋落ち酸性矯正でございます。酸性矯正はいろいろ島村さんや加賀さん、或いは小林さんから御意見が出まして、全く尤もの御意見が出されておりますが、これで酸性矯正が終つたとか、できたとかいうお考えを若しお持ちになりますと、肺病結核患者にストレプトマイシンを打つたと同様な結果になるのであります。我々は実際家でありまして、よくやつておりますが、これだけやつて若し酸性矯正ばかりやつておきますと、これはとんでもないことで、その時に例えば石灰があれは必要だと、こういう見方もできるのであります。併しながらその後はどうなるかということをよく考えなければならんのでありまして、政府が何というても、農家のほうでよく考えて、頭のある農家はなかなか自分のあとの施策にマツチしなければこの仕事はやらんと思います。併しながら知らん人は、そうかというのでやつたんじや大変なんです。そこで指導ということが大事だというので、これをやりまする時分にはよく、島村さんから御意見が出ましたような、その施策を十分に講じるようなことでなければいかんと思います。その点十分御注意願いたいと思いますが、その次は農政局の主管であります都道府県の農業委員会、これがだんだんと農業委員会意見を聞くことが多くなり、或いはそれがために農業委員が活動することが多くなる部面が相当に多いのでありますから、現在の農業委員会に対する手当では恐らく農業委員は活動できなくなる事態が来ると思いまするから、この点も農政局のほうでは十分農業委員会に対しまして経費の問題も考えておかなければならんと思いまするから、その点お願い申上げつまして、本案に賛成申上げます。
  66. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 他に御意見がなければ、討論は終了したものと認めて採決にいりたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこれより採決に移ります。耕土培養法案を原案通り可決することに賛成のかたの御起立を願います。    〔賛成者起立〕
  68. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 全会一致であります。従つて本案は原案通り可決することに決定をいたしました。  なお本会議における報告の内容、爾余の手続等は従来の慣例によることを御了承を願います。なお多数意見者の署名を願います。   多数意見者署名    西山 龜七 加賀 操    山崎  恒 岡村文四郎    瀧井治三郎 赤澤 與仁    島村 軍次 三橋八次郎    小林 亦治 鈴木 張平
  69. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは午後一時二十分まで一時間休憩をいたします。    午後零時二十分休憩   —————————————    午後二時十三分開会
  70. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこれより午前に引続いて農林委員会を再開いたします。  昨日御協議を願いました農林省設置法の一部を改正する法律案の修正に関する件でありますが、当委員会から内閣委員会への申入れは、休憩中の御懇談の趣旨に別つて決定をいたしたいと思いますので、さよう御了承をお願いいたします。なお案文の朗読は省略さして頂きます。速記をとめて。    〔速記中止〕
  71. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 速記始めて。それでは日程に従いまして。バターの輸入問題を議題に供したいと思います。農林大臣の出席を求めましたが、只今申上げたような事情で欠席になりましたので、畜産局長から事情を聽取しまして、対策を御協議願いたいと思います。最初に質問をそれでは岡村さん。
  72. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 だんだん会期が迫つて参りまして、今日は非常に遅れておりまして、大臣のおいでを願つて輸入のバターについてのことをお尋ねしようと思つておりましたが、今日は加減が悪くつて出席ができないというので止むを得ませんが、そこで畜産局長が出席になつておりますから、今までの経過をお聞きしたいと思いますが、そこで私がお尋ねをいたします肚を先に申上げませんと、その御答弁が食い違つていかんと思いまするから、考え方を申上げて、それによつて経緯をお伺いしたいと思います。  私は大体バターを輸入するということは全然不賛成でありまして、そこでどこが発案をしてどういう経緯になつてこれがきまつたのか、このきまつたところへ行つて断然ぶち破つてしまう、こういう決意を持つておりまするから、そのつもりでお話を願いませんと、単なる何ぼ入るかとか、或いはいつ入つてどうなるかというのでなしに、今までどこが一番最初にそういう発案をしてどこが取上げてどこが持つてつて閣議決定になつたかということをお聞きして、それによつてその一番の肝心なバター輸入に対する敵をとつちめてしまう、こういうのですから、そのつもりで御答弁願わなければいかんと思いますから、その経緯を深く御説明願います。
  73. 長谷川清

    政府委員(長谷川清君) バターの輸入問題に関しまする経緯について私の知つております範囲内について申上げたいと思います。御承知のように最近ポンド地域の輸入が不振でありますために、ポンドの滞貨が相当出て参りましたために、これを消化する一つの方法といたしまして、バターを輸入したらどうだという意見が通産省或いは経済安定本部等で約半年前くらいに持上りまして、農林省のほうにその話があつたわけであります。併し私たち農林省の立場で考えますると、この問題は、結局目下政府でいろいろ考えておりまする有畜農家の創設事業その他酪農振興の根本に触れる問題でありますので、いろいろ慎重に研究をいたしたのでありまするけれども、現在の状況におきまして、バターを入れるということは、今申上げましたような見地からみまして適当でないというふうに考えましたので、経済安定本部を中心にいたしまする会議に我々出て参りまして、その趣旨を申述べたのであります。事務的には一応農林省の考え方を聞いてくれたと考えておつたのでありまするが、この問題が閣議で論議をいたされまして、農林省の考えております点もわかりますけれども、一面又消費者の面から考えてみますると、安いバターが入ることによりましてバターの消費が増進することは、一面国民の食生活を改善する上に資する点があるのではないかと、従つて農家に与える影響を最小限度にとどめるということによつて、何か適当の方法でバターを入れることを考え、大体五百トン程度のものを輸入することをきめたいと、こういう趣旨の閣議でのお話合いが成立したように聞いておるのであります。従いまして事務的には、その方法についていろいろ検討を加えておるのでありまするが、現在の段階におきましては、この輸入いたされましたバターを学童給食或いは特定の病院等に特配をするという方法をとりまして、成るべく一般の市販を避けることによつて農家に与える影響を最小限度にくいとめるという方法について研究を各関係省の間でいたしておりますけれども、まだ最終的の結論が得られておりませんので、只今のところ具体的にバターを輸入いたしまする問題は進捗しておらないという事情であります。
  74. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 今局長から一応の経緯を承わりましたが、そこでこれは局長のそういうお考えかどうかちよつとわかりませんが、国内バターが高いということ、それからポンド地域のポンドが非常に余つたということ、そこでポンドが余つたからバターを入れて国内の高いバターを買えない者に振り向けたらいいじやないかというようなお話がございました。それでこれは我々は消費者に非常に有利になつてそうしてそれが実際の国のためになるというお考えなら話は別でありますが、バターそのものは、現在やつておりまする天然バターは成るほど今の価格は安くはございません。併しながらこれをあらゆる面に協力をしてその価格を下げるという方法をとる。それから人造パターを盛んに作つておりますが、それに対して非常に必要なポンド地域からコプラを入れて何も不都合はないと思つております。そこでコプラを入れますと、粕は飼料にして、その油で天然バターの三分の一強、半分以下のバターが幾らでも作られます。そこで問題は結核病のような、或いはその人の体質によつてバターを食べてそうして胃から腸へ行つてのその吸收力は、人造バターと天然バターの違う部分はあると思います。その部分の相違だけで、あとは人造バターはバターとして何にも遜色はございません。余りバターを食うことに上達しておらないかたは目をつぶつて食べれば相当食べられます。上等なもので一ポンド百六十円の、ハターは、決して天然バターか人造バターかわからんと私は思つております。私は始終食べておりますからわかりますが——。そういうわけで、日本の政策で、国内で止むを得ないというもの以外は輸入することはいけないということを農林大臣に話してあります。農林大臣も同感だと、いつでありましたか、日本が、再建をしてそうしてこれから弱い経済で立つて行かなきやならんのたが国内生産でできるものは安い高いを言わず万全の利用をし、止むを得ないものを輸入するのでなければならんということを申上げております。ところが大臣は、あなたの言う通りで、国内生産を一〇〇%利用して然る後に輸入を考えるべきだと、こういう御返事を頂いておりますが、今度の行き方は、だんだん話を聞きますと、本元は、農林省で何だか食糧庁の或る課長さんが食糧という立場から輸入しようというので立てた案がもとになつたということを囲いております。そこで業者というのは非常に徹底いたしておりますので、金を何とかして儲けようということについては、国内の規定も或いは酪農家の規定も決して顧みぬことはわかつております。併しながら日本の酪農が何とかして立上つて、そうして永久に日本の農業を酪農化しようとしておる矢先に、特に畜産局長は無家畜農家の解消の提唱をいたして骨を折つてもらつておりますが、それとはおよそ逆行した政策であり、私に言わせますと、たつて馬機を切つて反対しなければならないという立場にあると思つておりますが、併しながら局長を責めても止むを得ませんからそう責めはいたしませんが、通産省か安本かどつちがそうしたかを実ははつきりお聞きしたいのですが、若し通産省がそうならば糾弾をするし、安本がそうならば糾弾をいたしまするが、計画は安本が立ててそうして通産省にそれを持つてつたのじやあるまいかということを聞いておりまするが、長官に聞くとそれは知らん、おれは知らんと言うのでなかなか取りつく島がないのでありまするが、私が本当に聞きたいのは、前に申上げましたように、これ以上聞かなくても結構でありますが、どこが本当にやつたかというその首謀者を知りたいのであります。それによつて糾弾をする以外に途はございません。  そこで今聞くと又それが十分きまつておらんのでありますが、これは何とか抑えなければならんと思います。そこで逆に考えますと、あのアメリカのかちかちのバターを持つて来て少し食わして見たらいいのじやないか。そんなに馬鹿に安いわけでもないのだから、安いというならわかる、こうも言えましようが、それではいかんことで、どうしてもポンド地域からバターを入れなければ何にも入れるものがないというならばこれは別であります。そうではありません。もうコプラが欲しくててんてこまいをしているが入つて来ません。これが何よりのいい方策であるにもかかわらず、その方策をとつてないで、こういうことをとつたことは誠に遺憾でございまするが、私はこれにどこまでも反対をして、畜産局も農林省全体が一緒になつてこのバターの輸入に対しては万全の策を講じて、これを防ぐ方法を考えてもらいたいと思いますが如何でございますか。もう一度局長にお考えがあればお聞きしたいと思います。
  75. 長谷川清

    政府委員(長谷川清君) 先ほど申上げましたように事務的には通産省と安本とで案が相談の結果できたように承知しております。併しこの問題に対しまする私の考え方は、なぜ一体現在の国内のバターの値段が高いかという点を突詰めて見ますと、結局我が国における乳牛の数は少いということは基本的な原因をなしておるように思うのであります。そのために或いは収入の点におきましても、或いは工場の能率の点から申しましても、不必要なる費用が加算せられるということが現在の価格の高くなる原因でありますので、畜産局といたしましては、御承知のように今後大いに乳牛の増殖を私極的に奨励をする、そのために特にこれを、すでに御承知でありますように、本年度から濠州ニュージーランド、その方面からバターでなしに、そのもとである乳牛そのものを入れるということによりまして一日も早く日本の酪農が、数においても質においても外国の製品に劣らないような地位に持つて行くようにいたさなければならない、こういうふうな考え方でこの問題を処理して行きたいというふうに考えておるのであります。
  76. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 恐らく局長はさようであるだろうと考えておりましたが私の想像いたしておりますように私の考えておりますと同じことであります。そこで今の局長の御意見通りに進んで行かなければならん。進んで行こうと思つておりますから、国内のことについてはあらゆる政府が努力もし、施策を講じて、決して今の天然バターの価格が永久にどうにもならんものではございません。例えば北海道で申しますると、一番天然バターの価格に影響をいたしておりまするものは、集荷費でありますが、それは御承知のように今局長のお話のように牛の頭数が非常に少い。そうして集荷費が多くかかる、こういうのと生産費と両方で、それさえできれば片がつくということと、それに対する飼料を十分にすれば、決して原料の価格を低くする途はないのではございませんから、どうぞそのおつもりで進めてもらいたいと思います。私はもうこれで発言はやめますが、これから一つ安本、通産省にくい下つてそうしてこの方法を立ち切りたいと思いまするから、農林省が局長のお話のような方針でどこまでも一つ、今日は大臣が来てもらえば大臣に頭をうんと下げさして、そこでやつて行こうとも考えておりましたが、これは止むを得ません。で、局長は実際の仕事をする人で、私の申上げておることと、局長のお考えが合致いたしておりまするから、そのおつもりで今後お進みになつて、何とかして今度のバターを防いで、その代り一刻も早く牛を入れると、成るほど濠州の牛は非常に安くてその他の牛は高いのでありまするが、これも止むを得ませんから、手取り早いところからどんどん牛を入れる工作をしてそうして牛を殖やし、乳価を下げる方法を講じ、日本の需要者に対する価格も喜んでもらえるような価格にすることに全力を挙げまして、今度の輸入については、一回入れますと、なかなかあとが立切れんと思いまするから、どうしても立切つてもらいますように御努力を願いたいことをお願い申上げます。私の発言はこれで終ります。
  77. 島村軍次

    島村軍次君 この問題は、結局岡村さんの御意見に尽きると考えまするが、ただちよつと初耳なことは、このもとの計画が食糧庁で立てられたというようなことを岡村さんが発言されたのですが、その内容がそうであつたかどうか、内輪のことでありますが、その点について先ず伺つてみたいと思います。それから窮極するところ、喜産局長も大分力を入れておやりになつているようでありますが、お話のように乳牛をポンド地域からポンドの対策として入れるなら、このバターの輸入をやめて牛を入れたらいいじやないか、それから飼料が不足して困つているのだから、コプラを入れてそれを飼料に利用し、油をとつて行くと、こういうことに結論がなると思うのでありますが、そういう点がなぜバターの船入の阻止に役立たないか、あとからそういう問題を持つてつてもなお百つ、バターの輸入が阻止できないか、或いは特殊の用途に使うのであるからして、最小限度のものは入れると、併し併せて同時にやるのだという御答弁になるかも知れませんが、その間の事件をもうちよつとはつきりして、そして輸入計画がどの程度でどういうふうな予定でポンド対策としてのつまり数字的なバランスがどういうふうになるという問題についても、一つお答え願いたいと思います。
  78. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 食糧庁長沢一品課長に答弁をして頂きます。
  79. 長沢武

    説明員(長沢武君) 島村委員にお消えを申上げます。只今今回のバター輸入案は食糧庁のほうから本元が出たいうことのようだが、そのいきさ申せというお言葉でございましたが、これは何か岡村委員のほうで誤解をされているのじやないかと思うのであります。実体は食糧庁ではございません。私のこれはなすり合いの話じやない、実体を申上げるのでございますが、私の拝聴しておるところはむしろ通産省側からポンド対策として問題が生じまして更に安本側から食生活改善の面からこれは坂上げられた、それを食糧庁のほうに、並びに畜産局と共に相談を受けたという形になつております。で、当初私どものほうではバターの値段が下るということが粉食の普及上極めて望ましいことであることは勿論でありまするが、国内の酪農業の現状から考えまして、なお時期尚早という事務的な意見は通産側にも吐いておつた次第であります。安本側にも吐いておつた次第であります。現在我々の食糧庁の立場は丁度入るとしたならば酪農業に対する影響が如何にすれば最小限度かということについて非常に後始末役を受持ちまして苦心をしているところでありまして、そういう案が或いはそういう誤解を生じたのではないかと存じますが、一応弁明しておきます。
  80. 長谷川清

    政府委員(長谷川清君) 輸入計画の全体の数字的な問題につきましては実は詳細承知しておりませんが、乳牛とコプラの点につきましては、乳牛は大体本年度濠州及びニュージーランドからおのおの千頭ずつ合計二千頭程度輸入をいたしたいということで具体的に計画を進めております。なおコプラにつきましては、これは食糧庁のほうで現在計画されております数字は大体九万頭程度であるように聞いております。その点だけお答えいたしておきます。
  81. 島村軍次

    島村軍次君 私の申上げたのは閣議で取上げられて、ポンド対策として、ということが一般に伝えられておるのであるから、ポンド対策とこれを牛なり或いはコプラの輸入によつて、その問題がバターを輸入せずしても解消し得るという数字的の根拠がはつきりせんかと、こういうことを申上げておるので、あとで結構なんですから、同時にその対策はやがてこの、バターの輸入が特殊な用途に使用されるということだけにとどまるのか、或いは又それがどういうふうな影響を持つかということから、つまり我が国の酪農業に及ぼす関係がはつきりして来ると思うのであります。そういう問題についての今でなくていいと思いますが、あとではつきりした数字を聞かして頂きたいと思います。
  82. 長谷川清

    政府委員(長谷川清君) 通産省の係員のほうとも連絡をいたしまして資料その他を準備してお答えすることにいたしておきます。
  83. 島村軍次

    島村軍次君 私はもう一つこれに関連を持ちまして畜産局長が非常に畜産行政には熱心におやりになつておることには誠に敬意を表するのである。且つ今度の有畜農業の奨励に対しても積極的にやられまして、着々その歩が進んでおることは誠に感謝するところでありますが、私は農林大臣の諮問機関である、何と言いますか顧問の会議を開かれて食糧の五カ年計画、或いは又十カ年計画、而も食糧基本法というものを作ろうということは新聞紙上に出ております。又その事前において農地改良を中心とした計画が立てられて一般に公表されたこともあるのであります。ところが食糧の自給対策というものはひとり米麦だけの問題でなくして、土地改良だけの問題でないので、広くいわゆるオール食糧政策でなければならん。それには畜産対策というものが是非とも並行的に考えなければならんと私は深く信じておりますが、どうも有畜農業の奨励はやりましても、むしろ世間に対する宣伝というか、或いは博労に利用されて百姓が牛を買つたが高いものを押付けられたというような結果になるというようなことは折角国の行政として考えられたことがややもするとその目的を達成せんというようなそしりを受けんとしておる今日におきまして全体的な基本政策としての取上げ方が足らない結果ではないかと私は思うのでありまして、このバター輸入問題を契機として一つ是非とも至急に全体の食糧計画の中にやはり落農問題を大きく取上げてもらうことを是非ともやつて頂きたいと思うし、又これはひとり農林省だけの問題でなくして、我が国全体に及ぼす経済全体に関する大きな問題とも思うのでありまして、これは本日大臣がおいでになればその点もなお激励をいたしたいと思つてつたのでありますが、畜産局長の一応のお考え一つ承わりたいと思います。
  84. 長谷川清

    政府委員(長谷川清君) お話のように食糧の増産の基本的な問題といたしまして、米麦の増産或いは土地改良の問題以外に更に土地の生産力を積極的に維持培養するという意味からいたしましても、或いは又農家経済の安定を図るという意味から考えて見ましても、更には又これに対しまして一般国民の食生活の改善に寄与することができるというような意味合いからいたしましても畜産を飛躍的に増大いたさせなければならないという点につきましては私もその通りに考えておるものであります。実は農林省で現在顧問会議が設けられましてこの問題について種々検討が加えられておるのでありまするが、これは実は時間的に、先ず土地改良の問題を取上げるということでスタートせられまして、現在それが八、九分通り進んでおるのでございますが、それが終りましたならば引続いて畜産の問題を食糧増産の一環として取上げて頂こうということで事務的には実は畜産局で畜産振興十カ年計画という案を作りまして、農林省内の関係部局といろいろ相談をいたしておるのであります。これがまとまり、又顧問会議のほうが一応土地改良の問題がけりがつきましたならば引続いて畜産問題を取上げて頂きまして、農林省といたしましても土地改良の問題と畜産の問題とを一本の食糧増産基本方策とするという行き方で取上げて頂きたいというふうに考ていろいろ準備を進めておるような次第でありますので、又今後何かと正委員各位のお力添えを得なければならないと思いますのでよろしくこの機会に私のほうからもお願いを申上げておく次第であります。
  85. 小林亦治

    ○小林亦治君 このボンド消化のためにバターを買うということには私は反対なんです。その理由は今厖大な過剰ポンドを月の前において全部バターを買つてしまうわけではないでしようが、安い、バターを国内に提供するということならむしろさつき島村さんがおつしやつたように、これは有畜農家に力瘤を政府が今入れておるときなんでありますから牛を買つて一方又安い飼料を提供するということであれば有畜農家も創設され拡大せられて従つて安いバターができる、まあ自給自足ができる。ただ今このたくさん持て余しておるところのポンドのためにバターを買うというのはこれは到底やり切れるものではない、そういうふうに考えておるのであります。若しその大量のバターを日本で買上げるということになると、酪農経営者のほうにも打撃を与えることになり、政府の根本政策と相容れないところのバターの買入れと、こういうことになるので、結論はやはり島村委員がおつしやつたように私どもはその状態を憂えているので、何もこの際このバターをポンド消化のために買わなければならん義理合いはないのですから、お話の出たところのお気持はわかりますが、通産省なり或いは食糧庁なりこれはどつからでも同じことなんだ、そういう基本的な考え方からこれは私どもは反対なんであります。もう一辺それに対してあなたのお考えを質して見たいと思います。つまり要約しますると、ポンド消化のためとは言うが、恐らくこの持つておる手持ポンドの何百分の一、何千分の一くらいのものに過ぎない、そのためにポンドは大幅に消化せられるわけがないのであります。一方さようなことをすると折角政府がり奨励しておるところの酪農経営、無畜農家の解消、こういうところの重点が外れてまずいものになる。それだけのポンドがあるならむしろ乳牛の買入れ、或いは飼料の購入、それらを欠けておるところの農家に国策的に按配したほうが根本的な農政ができ上るのじやないかとそう思うので、それにはおよそ反対である。この案に対しては呑み込めない。従つてどもも腑に落ちないから反対すると、こういうことになるので、もう一辺一つ局長からそれらに対する考えを伺つて見たいと思います。
  86. 長谷川清

    政府委員(長谷川清君) 只今意見のありました通りに、実は畜産局長としても考えておる次第でありまして、酪農振興を一方に大いに進めつつあります際に、こういう問題が起りましたことは私といたしましては誠に遺憾に堪えないのであります。今後この問題を契機にいたしまして更に酪農の振興の必要性を強調すると共に地についた振興方策がとられるごとに努力をいたしたいというふうに考える次第であります。
  87. 加賀操

    ○加賀操君 私今後の畜産政策の確立の点から一言聞いておきたいと思いますが、先ほどからの話の経過で、バターを輸入するということが通産省ではポンドの処理、安本では安い栄養物をやりたいと、こういうことが基礎になつているようですが、大体安いバターが入つて来ると、こういうことをもつと根本的に考えまして、外国で生産しているバターにその国がその生産に対して助成政策をとつているかどうか、或いは価格政策をとつているかどうかと、こういう外国の事情を十分に確かめないで、そういう軽率な日本対策考えるということは非常に危険だと思うのです。今後それが本当に日本畜産政策を確立する点において外国の事情も十分に調べておかなきやいかんと思うのです。果して外国ではバターの生産に対し、もつと広い意味で言えば酪農の振興に対し国家が助成政策をとり、或いは価格政策をとり、それによつて外国に安いバターを出していることがあるかないかと、こういう点をお聞かせ願いたいと、こう思います。
  88. 長谷川清

    政府委員(長谷川清君) 甚だうかつな話を申上げて恐縮でありますが、実は今回の、バターの輸入問題に関連いたしまして、特に濠州のバターの輸出価格につきましては何らかの国家的の援助が加えられているのではないだろうかというような話がありましたので実は現在いろいろその事情を調べおりますけれども、まだ正確に事情は掴めておりません。幸いに濠州に牛を買いに数日前に私のほうの係官が参りましたので、その者に金じまして、いろいろの事情を調べて頂くようにお願いをしておるような事情であります。なお濠州以外の地域の問題につきましても更に努力をいたしまして、いろいろの資料を收集いたしたいというふうに考えておる次第であります。
  89. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 一言、今までお聞きになつたので、若干蛇足かも存じませんが、過剰しておるポンドの消化という目的で、目的がどうか知りませんが、そういうことがバターを輸入するということの一つの大きな理由に挙げられておるようですが、私は畜産行政に極めて御就任当時から熱心な畜産局長はこういう理由でバターが輸入されるということであつたとすれば、いち早くこれは実に私はチヤンスだつたと思う、ということはポンドが過剰しておるということであれば畜産の観点からして第二の理由の国内のバターの値段を引下げると、こういう理由に対しては、それならポンド域から安い飼料なり、或いは乳牛なり等々の農林政策を講ずれば、講ずるのには極めていい機会でもあつたろうし、むしろ通産、安本が畜産政策のために最もいい好餌を与えたというふうに私は考えております。従つてそういう構想からしていろいろ御苦心の手を打たれておると思うのですが、その手のうちを若干ここで御披瀝願いたいと、こう思うのです。
  90. 長谷川清

    政府委員(長谷川清君) 先ほどもお話申上げましたように、畜産振興を進めております途上にこの問題が起きましたことは、非常に残念に思うのでありまするが、又同時に只今お話のありましたように、この問題が起つたということを契機にいたしまして、一面には生産酪農者の関係においても、或いは又バターの製造業者の面におきましても、或いは又これを消費する関係の面におきましても、バターの問題、延いては畜産の問題が相当大きく認識をせられるという一つの機会を与えたということは事実であろうかと思うのでありまして、私たち一つの転機と申しますか、一つの機会と考えまして、これを一つの土台にして更に酪農の振興を一段と進めるように、而も具体的に成るべく早い機会に実現をするようにいたしたいということで、実は現在いろいろ計画を進めておるような事情でございますことを申上げておきたいと思います。
  91. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それでは折角ここに岡村さんも手ぐすねひいておられるようだが、安本や大蔵のかたが一人もお見えになつておらないということで、私も実は質問の矛先が鈍つておるので、不承々々で私は農林関係の皆さんにお尋ねせざるを得ない窮地をお察し願いたい、こう思うのです。渡部官房長が広い視野に立たれて折角ポンドが過剰だ過剰だと、こう言つてギヤーギヤー騒いでおるのですから一つ畜産局のほうでも十分御協力の上で、そんなにポンドが余つておるなら農林関係としては、先ず第一にはこれ、第二にはこれと、そういうおのずから計画或いはその調査等の機構も傘下にお持ちになつておるわけですから、資金計画なり、年次計画なり、或いは月別或いは旬別計画等において、直ちにこれにとつて変るべき要求が安本なりその他に出されておることと思うのですが、私は若干質問の範囲を拡げてひとり畜産という、そういう範疇に限らなくてもいいと思うのですが、そんなにポンドが余つているなら農業関係としてはさつきの九万ポンドのコプラと、乳牛二千頭、そのほかには何を一体要求されておられるか、何を計画しておいでになるのか、その辺のところをもう少し畜産局長のお考え一つ敷衍して頂きたい。
  92. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 過剰ポンドの処理の対策は、実は御承知のように、日本の国民経済全体で弱つておる問題でありまして、農林省関係の問題におきましても食糧、肥料、飼料が主なものでありますが、現在のところそれらのものを買いたいのは買いたいのでありますが、向うの輸出余力は一ぱいであるというようなものばかりでありまして、そこでこのバターの問題を恐らく通産省方面で、その当時あらゆるものにつきましてドルの輸入はめちやくちやになされた、例えば今でも残つておりますが、燐鉱石等についてはポンド圏よりもドル圏で輸入したほうが安いのであります。一トンにつき恐らく二、ドル安くなると思います。その安いやつを抑えて、具体的に言えばフロリダのやつでありますが、フロリダのを抑えてそれを全部ポンド圏に切替えると、こういうふうな説も出ております。たまたまバターの問題は数量的にも大きくないし、それから又丁底学校給食の問題がやかましくなつたときでありまして、事務的にまだ話の十分済まないときにばたばたと急速にきまつたような状態と私は承知しておるのであります。お話のポンド圏から買うものは極力有利に買うというので、殆んど今申上げたほかに小さい品目はまだ多少あると思いますが、大きい品目としてはできるだけ有利にポンド圏から買うという方針で進めております。
  93. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それでは、私の質問を終りますが、最後にこれは要望を申上げておきたいと思います。如何に事務的に整わないとしても折角芽を吹きかけた酪農振興政策がこのことになつて双葉の芽を摘まれるであろうということは、これはもう周知の事実であります。こういう大事な、而もチヤンスにばたばたとバターが輸入されるということは私は極めて不用意だと、こう思う。でなくても我々国会では大砲だとかバターだとか言つてばばた騒いでおるのですから、どうも国会の中まで実はバターの問題をかつぎ込まれて、そうして又会期幾ばくもないこういう貴重な時間にやるということについては若干私どもとしてはどうかと思うう節があるわけであります。従つてこの問題についてはもう喋々を要する必要がないと思うので、どうか畜産局長は折角畜産振興の十ヵ年計画は真剣にお立てになられたようですし、なお無家畜農家を解消するという大きな旗は極めて鮮明に掲げて先頭に立つて進んでおられるのですから、どうかその旗をあいまいにされるごとなく、而も掲げた旗を捲かれるようなことは断じて私はあつてはならぬと思うのですが、その下に一つ是非基本政策を強力に推進して頂きたいと思うわけです。なお最後にお願いしておきたいことは、まだやはりバターが高いという声も聞きますし、ポンドが過剰であるということについては只今の御説明で私はもうこれ以上お尋ねは申しませんが、バターが高いという声はまだ巷において消えておりませんので、その国産のバターがさつきの岡村委員のおつしやるようにひからびて、かちかちのやつが果して安いかうまいか、そういうこと等も十分一つ一般の認識を改めさせるような具体的な方途もお考え下すつて国産のバターは現在はこういう価格だ、輸入の価格と比較してこれだけ現実に高い。併しこういうふうにすればこの価格でできるんだ、そのためには一連の政策なり何なりきめて、わかりやすい啓蒙の方途をまだ私どもは十分でないと思う。国産のバターを、要するに輸入の、バター程度に生産をすれば誰でもこれは文句なしにこの問題はおのずから解消するわけでありますから、そのためにはさつきの加賀委員のおつしやつたようなやはりバターに対する財政資金の支出ということもこれは当然考えられて然るべきだろうし、そういうことで持つて行けば安本なり或いはその他においても私は今までの蒙が開かれて、畜産行政を推進する上にバターがいいきつかけになつたというふうにこれは農林省の総合政策の一環としてこの問題は是非一つ弱音を吐かないで、これは我々も及ばずながら生産者の立場に立つて強力にこれは推進もしようし、変な邪魔者が出て来ればとにかく徹底的にこいつはやるつもりでありますから、どうかその辺のところを一つ十分決意を新たになすつて、十分この問題については背後には相当の味方もあるということを御自覚の上でこれは強気でやつて頂きたい、こういうことを要望申上げておきます。
  94. 長沢武

    説明員(長沢武君) 只今までの畜産局長、官房長の答弁でいきさつは明らかになつたと思うのでありますが、ただ一点大事なところが御認識を誤たれますというと、又誤解の種になりますので最近の実情だけお含み置き願いたいと思います。この輸入の問題はすでに閣僚審議会において決定済みになつておりまして、我々としてはこの輸入についての如何に輸入するかという課題だけが与えられておるのであります。この阻止の方向については事務的には何ともしようがないのでありまして、なおバターそのものの輸入という問題、配給という問題になりますというと、まあ食糧庁の関係で私どもがまあ早く言えば直接その起案の責務を負うておるでありまするが、いろいろな今までのような、畜産局長からも言われたような事情もありましてなかなか名案が出ないのであります。ところがこの輸入の通産関係の幹事会のほうからは矢のような催促が毎回来ておりまして、先ほどまでおりましたが、経済課長が毎回もう少し待つてくれという陳弁に相努めておるわけであります。併しその幹事会の空気を拝聞いたしまするというと、もうすでにきまつた輸入の事実を農林事務当局は遷延策によつて抹殺するのでないか。不都合である。若し農林当局が、事務当局が起案を遅らせるならば幹事会そのもので通産省の通産的な立場から独自にやつてもいいというところまで追詰められております。明日その幹事会がございまして、実は今まで経済課長が出て毎度陳弁しておるのでありますが、経済課長だけでは防ぎきれないから当面の起案の責任者である食品課長もこれに出ていきさつを述べてくれ、どういう考え方で入れるのか、その入れ方についての今までの少くも持つておる方向を述べてくれというところまで実は迫詰められております。このまま推移すれば食糧庁といたしましても、農林省としてもそうでありますが、入れ方を発表する以外にはない、そういう現状でございますことを十分お含み下さるようにお願いしたいと思うのであります。
  95. 羽生三七

    委員長羽生三七君) この件につきましては実は関係の通産省或いは安本等からも出席を求めたいと思いましたが、この席で農林、通産のそれぞれの担任者がお互いに遠慮しながらものを言つたり、或いは妙な対立感情を醸成してもどうかと思いましたので、むしろ問題の所在を確かめて次の機会に適当なチヤンスを、適当な方法をとりたいと、こう思つたわけであります。そういう意味農林大臣の出席を、つまり閣議において多分通産、安本等から要請されてポンド過剰対策としての一手段として止むなく引受けさせられたであろう当の責任者農林大臣の出席を求めてその間の事情を聞こうと思つたのでありますが、いずれにいたしましても農林省ではその後始末を負わされておるというような形になつて来ておるということは否めない事実だと思います。その意味から今各委員の皆さまがたから御発言がありましたようにこの機会に日本の酪農対策を徹底的に確立してもらうということ、それから総合食糧計画の中に米麦だけでなしに動物蛋白を含めての日本の総合食糧計画というものが立案されるべきである。従つていわゆる食糧何ヵ年計画というようなものは、当然こういう動物蛋白をも含めてのものでなければならんという問題等々といろいろありますので、これらの問題は先ほど飯島さんからお話がありましたように、会期切迫の際で法案がまだ審議を尽しておらないのが幾つも残つておりますので、本日は残念でありますが、十分にこの問題に時間をさくことはできませんけれども、以上のような意味でできる限り速かなる機会にいま一度この委員会でこの問題を検討いたしたいと思いますので、さよう御了承を願いたいと思います。
  96. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 只今委員長お話は尤もでありまして、遺憾ながら今日はこれでおくより方法はないのでありますが、農林省の事務屋のお話を承わりますと、明日にも迫つておるということでございます。そこで日程に少し割込んで甚だいかんと思いまするがそう長く時間はとらんと思いますから、明日安本、通産を呼んでもらつて、そうしてポンド地域でポンドが余つておるから国内はどうなつてもよいと、こういう考えかどうか糺弾したいと思いますから、一つ明日お呼び頂きたいと思いますが、如何なものでございましようか。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  97. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは皆さんの御要望があれば、そういう取計らいをしたいと思いますが、御承知のように会期か延長になれば別でありますが、そうでない限りまだ農地法案並びに同施行法案殆んど一両日程度の審議状態でありまするので、皆さまが時間正確に御出席願つて相当御励行下さろということをお約束願えれば、勿論そういう取計らいをしたいと思います。そうでないとほかのものは皆駄目になつてしまう……。
  98. 山崎恒

    山崎恒君 この問題は事務当局じやもうどうにもしようがないと思うのです。よつてこの今岡村委員から話されましたように、当面の責任ある大臣に来て頂いて、日本の国策であるところのこの食糧対策関連いたしましてこの畜産業の対策についてよく我々の意のあるところを話合い、而も止むを得ず入れなければならんというところのこのバターは然らば国内品を圧迫したい程度に、どういう工合に消化されるかというような根本問題までもここでやはり一応釘をさしておくということが、やはり最後の我々のなすべき、この農林委員としての方策じやなかろうかと、かように思います。よつて成るべく早い機会にその責任ある大臣の出席を求めて、一つ我々の意見を聞いて頂くということを一つ重ねて我々から要求いたします。
  99. 羽生三七

    委員長羽生三七君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  100. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 速記をつけて。それでは御協議願いましたように、本件につきましては二十日に日を改めて御検討願うことにいたします。  次にやはり日程に載せてありました繭糸価格安定法施行令改正の件でありますが、これはお手許に今その改正案文をお配りいたしましたけれども、これはまあ説明等は省略することにしまして、前に皆さまの御協議によつてまとまつた成案が本文でありますのでで、一応これによつて御了承をお願いしたいと思うのであります。
  101. 片柳眞吉

    ○片柳眞君 この繭糸価格安定法の施行令の問題に関連いたしまして、実はこの間の米価審議会で実はこれとやや似た問題が起つたのであります。私も実は大体そういう感じを持つたのですが、この間改正いたしました食糧管理法の修正案がここで通つたわけですが、その施行法令が修正案の趣旨を必ずしも明確に現わしておらん、むしろ多少歪曲されて政令化されておるという問題でありまして、審議会では本法の趣旨に準じて政令化を再検討してほしいという、実は附帯決議が出ておりまして、これは或いは今度の国会はむずかしいとしますれば別でありますが、若し時間がありますれば、食糧管理法のこの間の改正案の施行政令の関係をも一つこの委員会で検討して頂ければよろしいと思うのであります。これは希望でありまするが申述べておきます。
  102. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 時間の繰合せを成るべくつげましてそういうことにしたいと思います。  ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  103. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 速記を始めて下さい。それでは本日はこの程度で散会いたします。    午後三時三十四分散会