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1952-06-16 第13回国会 参議院 農林委員会 第51号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月十六日(月曜日)    午前十時三十五分開会   —————————————   委員の異動 六月十三日委員小林孝平君辞任につ き、その補欠として大野木秀次郎君を 議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     羽生 三七君    理事            西山 龜七君            加賀  操君            山崎  恒君            岡村文四郎君    委員           池田宇右衞門君            宮本 邦彦君            赤澤 與仁君            片柳 眞吉君            三浦 辰雄君            三橋八次郎君            小林 亦治君            松永 義雄君   衆議院議員            坂田 英一君   政府委員    農林省農政局長 小倉 武一君    農林省農地局長 平川  守君    食糧庁長官   東畑 四郎君   事務局側    常任委員会專門    員       安楽城敏男君    常任委員会專門    員       中田 吉雄君   説明員    農林省農政局農    産課長     黒川  計君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○開拓者資金融通法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○耕土培養法案衆議院提出)   —————————————
  2. 羽生三七

    委員長羽生三七君) これより委員会開会いたします。それでは速記をとあて下さい。    午前十時三十六分速記中止    ——————————    午前十一時五十九分速記開始
  3. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは速記を始めて下さい。ではこの辺で暫時休憩いたします。    午後零時休憩    ——————————    午後二時一分開会
  4. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは午前に引続いて委員会を再会いたします。午後の日程は開拓者資金融通法の一部を改正する法律案及び耕土培養法案を議題にしたいと思います。前者は衆議院附帯決議の上通過し、又耕士培養法も同様に通過して参りましたので、今日からこちらで本審査になるわけであります。衆議院開拓者資金融通法の一部改正法案に対する附帶決議印刷文が余分がございませんので、御参考のために朗読をいたします。   開拓者貸金融通法の一部を改正して、開拓農民に対する中期資金貸付制度を創建し、その営農の基礎を確立しようとすることはもとより適切なる処置であるが、今後なお国の強力な保護育成を必要とする開拓地特殊性に鑑み、その金額を増加すると共に、貸付利率は極力これを引下げるよう努むべきである。   右決議する。  以上が衆議院附蔕決議であります。御参考までに朗読をいたしたわけであります。それでは質疑のなおおありのかたは続いてお願いいたします。
  5. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 今初めて考えるのでなしにもつとから考えておるのですが、單なる開拓者に対する資金取扱にとどまつて非常に疑義を持つものですから、今日中にお聞きしたいと思うのですが、この一時償還の請求ができるところの二項でもつてつて支拂いを怠つたときもできるということになつておるのですが、こういうことはこれは行わんことなんです。ですからその行わないことを書いて我々がこれを後生大事にほれと言つて審議することはおかしいのです。もともとから非常にやかましく言つて開拓者資金が大いに必要であるが、全額償還されるということは我々はとても望めない、だからそういう腹で拂わせにやならんが、行われんことだと言つているのですが、この法律は依然として生きておつた、これを一体どう取扱うのか。現在でも全額償還になつておりません。そこでそれなら一部償還でいいかというとこれはいかんのであります。ですからこういう法律を書いておかないで、ここに一にあるように貸付金償還を怠つたものは一時拂いを命ずると、こういつたのではゼスチユアのように書いておくのがいいのです。法律なんですから、行わんことを見ながらこれを置いたということは非常に遺憾だと思うのです。局長はどういうふうに思つているか一つお聞きしたいと思うのです。
  6. 平川守

    政府委員平川守君) 確かに、この善意償還をしようと思つてもできなかつたという場合に逆に一時にそれを取立てるということは実際問題としてできないかと思います。ただこの法律建前といたしましてはいわば懲罰的のような意味を持つているわけであります。善意でなしに悪意で怠つたという場合、特にまあ離農その他の場合があり得るわけでありますが、法律の立て方といたしましては、こういつた種類貸付金につきましては必ずこういう形になつておる。一応その形を踏襲しておるわけでありますが、実際の運営に当りましては、まだ善意償還を怠つている者に対して、こういう償還できなかつたという者に対して一時拂いを命ずるというようなことは運用はいたしておりません。
  7. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 現在入植をしておる状態を見ますると、農業に深い関心を持ち農業で実際に立つて行こうと思う人は恐らく入植するのじやなかつたろうと思うところへたくさん入つておられる、家だけは金を借りたり或いは助成があつて立派な家を建てておられるが、その状態を見ると私どもでさえもとてもこれは百姓はできん、如何に助成があるにしても助成というものは時期があつて幾らでもない。そういうことを考えるとこの書いてある二項が非常に僕にするとちよつと心配なんで、それはみんなが知つてつてその書いた額を拂うまいと思う人は誰もないと思うのです。併しながらもう携えない條件にあることははつきりしておる。ですからそういうものはよく調査をして、そこで役所のほうでもこれは当然これじや百姓はとてもやつても借りた金は抑えんという調査をしておくようでなければ、單なる怠つたから、拂おうと思つたんだろうが怠つたというようなことでは今のようによくわかつた人ばかりいればよいと思うのですが、そうでなくなると非常に又たくさん貸してあるので困るというようなことがあつてもいけないから、このほうは今見当だけじやいけますまいが、実際の実情をよく調査して金を融通をしてそれが償還が満つておる、ところがそれが当然だ、滯る、拂えないのが当然だという結論を下すくらいに親切に見てやつておくようでないと、入植者は非常なこの法律に催促されると困ると思いますから、その点がやつておられるようであるがまだまだ鈍いようで、入植の現状を今後十分に調査をしてどういう苦労をしてどういう土地に一体入つておる人があるかということをすでに調査をして、しつかり握つておいて貰うようにしてやつて貰うことを希望いたします。
  8. 加賀操

    加賀操君 只今岡村さんの御質問関係しておりますから、なお両局長が来てられますので私も強い希望といつたほうがいいと思いますが、大体今までも六十何億の金が出ておりますし、今後これはだんだんに殖えると思います。又その融通方法が大部分開拓協同組合を通じて行なつておると思います。只今のところ本省にむいても地方においても、開拓協同組合本当に親身になつてどつちの関係の人が指導をされているかよくわからないところがあるわけです。一例をとつてみますと、多くはないと思いますが、どうしても開拓農協のほうは基礎も弱いし経営者もなれておりません。悪意でやつているとは思いませんがときどき間違いが起きているわけです。現実に、そのときに地方におきまして、まあ県なら県におきまして始めは開拓関係の人が面倒を見ておられるのですが、こんがらかりますともうそのほうで手がつけられなくなつて協同組合本当の専門のほうが行つて跡始末をしてやらなければならないというふうになるわけです。その頃になりますともう大分手が延びますので非常に苦労しておるようですが、この点本省においてどちらでおやりになつてもかまいませんが、非常に弱い所ですから、本当に親身になつて農地局のほうでおやりになつてもよろしいし、或いは農政局のほうでおやりになつてもよろしいのですが、上から下まではつきり筋を通して責任をもつて指導し、間違いのないようにしてやつてほしいと思うのですが、一つ局長さんで御相談の上責任をもつて最下部まで徹底するように御指導願いたい。質問よりもむしろ強い希望でございますが、大体事情がわかれば一応聞いておきたいと思います。
  9. 平川守

    政府委員平川守君) 開拓者というものが或る程度年数をたつて一人前になるまでの間というものは、いろいろの面においてこの人を対象として世話をしなければならぬという色彩が非常に強いわけでありまして、そういう意味からもとより開拓者関係するところは農地局だけでなしに、農政局なり或いは畜産局なり或いは更に言えば農林省以外の省が所管するような分野まで相当仕事があるわけであります。併しこれをただ一般農家のように一般原則によつてそれぞれの部門に応じたところが世話をするということでは、どうしても世話が徹底を欠く憾みがあるという意味におきまして、農地局系統開拓者という対象に対して、又それが或る程度年数を経て一人前になるまでの間という程度において、幹事役のような意味世話をする。従いましてやや仕事一般農協なり或いは畜産なりの部門世話を受けるほうがいいような面につきましてはそちらのほうにお願いをいたしましてそちらの応援も求めると、こういう態勢をとつておるわけであります。お話のような場合もあろうかと思いますが、大体において開拓関係者中心になつて併し自分一人で何でもやるということでなしに、極力他のほうから応援を求められる部門については極力応援を求めるということで、中心になつて世話をするのは開拓関係と、こういう行き方にしております。現に農政局或いは畜産局その他の各部面からも随分応援を求めておりました。一応の体制としてはそういう行き方で、あとは事実上緊密な連絡をとつて協力体制ができるように努めるということにあろうかと存じております。
  10. 加賀操

    加賀操君 一言念を押しておきますが、今度協同組合法検査をしなければならぬことになつておるのですが、そういう検査は大体農地局系統でおやりになるのですか。農政局系統でおやりになりますか。
  11. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 開拓協同組合検査についてのお尋ねでございますが、これは開拓にとどまりませず、その他の各種の協同組合一般についても同様でございますが、検査自体はこれは協同組合系統でやるということが原則になつております。尤もその場合例えば金融関係といつたようなことになりますれば金融関係の人の応援を求めるとか、或いは恐らく開拓法の場合でありますれば開拓関係の人の応援を求めるということでやつておるのであります。今お尋ね開拓協同組合につきましては必ずしも検査が十分行つていないのではないかと思う。いわゆる常例検査といつたようなものが徹底していないのではないかという憾みが実はあるのであります。その理由といたしましては、一つ常例検査信用事業を営む者ということに重点をおいてやつているためではないかと思いますが、勿論県によりましてはそういうことにこだわりませず條例検査を全体の組合についてやつて行くということもやつておるようであります。何分特殊といつたのでは語弊がございますが、不便な所にございますせいであろうと思うのでありますが、一般組合よりは検査の範囲においても多少手薄であつたのが従来の実情じやないかというふうにも考えられますので、その点は一つ農地局とも打合せいたしまして、その辺の検査についても今後遺憾のないように一つ考えて行きたいとかように思つております。
  12. 小林亦治

    小林亦治君 先刻委員長がお読みになつた衆議院附帯決議なんですが、仮に本委員会でこの法案が採決せられるといたしましても、やはり同じような附蔕決議になろうかと思うのであります。そこで附蔕決議の内容である衆議院の例をとるのでありますが、将来金額増額利息引下げということについては当局大蔵省とも十分な予算折衝をせられなければならないと思うのでありますが、そこで将来増額せられる金額が大体どのくらいのものができ得るお見通しか、それから利息引下げについてもどの程度まで従来の我々の希望に副うような額まで引下げられ得るか、その点も政府が呑込まれておると思うのですが、はつきりしたところをお聞きし得るならば、これは本法案の審議も殆んど最終段階でありますので、お聞きしておきたいと思います。
  13. 平川守

    政府委員平川守君) この利息の問題につきましては現在までに大蔵省といろいろ折衝をしまして、結局国債利廻り原価程度までは止むを得ないのじやないかということで五分五厘という案を出しておるくらいでありますから、これを引下げるということについてはなかなか困難があろうかと存じます。私どもといたしましてはどの程度まで引下げられるかという数字見当と申上げるということは現在の段階では非常に困難であります。ただ開拓者というものの性質上できるだけ低利にということが望ましいわけでありますから、そういう方向に向つて努力は勿論いたしたいと思いますけれども、現在の大蔵省態度等から見まして、これを何分引下げるというようなことをここで申上げる程度に確信を持つことは困難であります。ただ金額のほうになりますと、これは先般も御質問がございましたように、成る程度資金運用部資金を加味するというようなことによつて、もう少し殖やすことはできないかというお話もございました。これも金額的にどの程度ということを申上げることはむずかしいのでありますが、開拓者のほうの需要状況とも睨合せまして、できるだけ殖やして参りたい。仮に先般お話がありましたような資金運用部資金一般会計の金を付け合せて五分五厘なりの金利で貸すという程度にすれば、預金部資金がどのくらい入るかということになりますれば、恐らく倍以上にこれが膨らむことができると思うのであります。  ただ先般も御説明申上げましたと思いますが、この金は五ヵ年間で返済することになつておりますが、二年間は無利子になつております。従いまして一般会計の金を今のような形で借りて本当利子特別会計として傭かると申しますか、そういう部分あとの三年分だけになるわけです。そういう点から制約を受けまするのでまあ預金部資金運用部資金と入れますれば倍或いはそれ以上になると思いますけれども、それによつて非常に大きな金額を期待することもできない状況であります。
  14. 小林亦治

    小林亦治君 そこでまあ私の場合もこれは一つ要望になつてしまうんですが、何とかこの金額増額も倍近くまでの努力の目標の見通しがおつきになるとおつしやるのですが、将来もつと大幅な増額ができるように御努力願うことと、かねて申上げた考え方からして由来開拓に要するところの資金というものは今日の日本としてはこれは国家負担において全部やるべきものが本当なんでありまして、そこにこの金を貸すということはこれ又まだ行政が足らんと思うのでありまして、やはりこの無償助成という建前がこれは本当なんでありますから、そういう理想境から見まするとこの法案なんかが本当のこの貧乏国家貧乏行政一つの現われなんでありまして、今申上げた原則が本来の開拓行政であるということに御認識願つて、遠い将来でなく近い将来にそういうことを本省が実現されるように努力して貰いたい。かような本省側の誠意が見えてこそ我々年来の主張であるところの第三次農地改革気持よくこれは引込め得るのであります。今までこれは数回伺つたところの当局のお考え方からすると改革的な、強く言えば革命的な農地改革がもう一遍近い将来に必要であるとさえ私どもは感ぜられるほどあなた方の頭が固いか、或いは従来の認識にこだわつておられるかという気持が強いのでありまして、どうかそういつた思い切つた改革或いは革新的ならしむるように、我々のこのいわば地から生えたところの世論というものも一つ胸深くお汲取願いたいとこういうふうに希望しまして、まあいろいろ注文はしましたけれども、諸般の事情がわかりましたので本法案に私は賛成しようと思つておりますので、何回も繰返して申上げた点を将来の農政参考に是非これはして貰うように心掛けて頂きたいと思います。これは要請なんでありますから、別に御答弁はいりません。
  15. 山崎恒

    山崎恒君 従来の貸付方法が非常に複雑であるというような点が開拓者農民から言われておる。というのはその土地開拓者協同組合全員個人保証を取つておると、こういう点があるようでありますが、それは事実であるかどうか、その点を一つお聞かせ願いたいと思います。
  16. 平川守

    政府委員平川守君) 取扱としましては保証人は二人以上ということに用いたしておるわけなんですが、ただ実際問題として全員つておるというところがあるようなお話でありますが、私どものほうとしては必ずしもそれを要請はしておりません。
  17. 山崎恒

    山崎恒君 そこでこの開拓者協同組合としては、いずれもこの入植者引揚者が大部分で拘ると、引揚者そのものの気分としては、やはりこの協同精神で全部の六十何人なり、七十人なりの開拓者がお互いが励まし合つて保証し合うというこの精神は、これはもう生かすべき点もあろうと思うのですが、そこにこの一般協同組合と違いまして、開拓者協同組合はすべていろいろものが不足であり、或いは手がないのも助け合つてそうした世話もするというような点からすると、一般の他の協同組合違つて、勿論この販売するものも少いし、購買するものも少いと、従つてこの開拓者協同組合事業そのものは、実際上においては或る程度この政府相当援護してやらないと伸びないと、かように思われるのですが、そういう点から行くと貴重なひまひま使つて個人保証連帯保証世話等もしなければならんという点からして、何らかの方法開拓者協同組合には特別の恩恵を、助成方法を講じて然るベきであると、かように私どもは思うのですが、多少のこの費用は、この貸付金等に対して従来の三分六厘五毛というのが今度五分五厘になるのですから、一件の貸付金に対して二分でも三分でも取扱手数料としてこの協同組合にこれを還元するというような方法を講ずることが非常にスムースに行くのじやないかと、こう思われるのですが、そうした意思があるかどうか一つその点を政府の所行をお聞かせ願いたい、こう思うのですが。
  18. 平川守

    政府委員平川守君) 開拓協同組合或いは開拓者に対しては特別に手厚い保護をする必要があるということはその通りであり、又この資金融通制度もそういう意味でできておるわけなんでありますけれどもお話手数料という点につきましては、今のところまだそこまで予算化したことを考えておりません。ただ実際問題といたしましては、協同組合現物融資等を受けます場合にその実費と申しますか、そういう程度のものは組合でとつておるという実例が多いようであります。但しこれは変則のことになりますので、私どものほうとして奨励いたしておるわけじやございません。でき得ることであれば、やはりそういう一種の事務質的のものを補給することができれば理想的であるとは考えております。只今のところまだそこまで至つておりません。
  19. 山崎恒

    山崎恒君 小林委員の先ほどの御意見等ありましたように、無論この引揚者が大部分でありますし、この引揚者は当然国家が何とか面倒を見なければならんというのは、これは社会通念であろうと思うのであります。そういう点からして、外地において相当の蓄積を持つた者も裸一貫で止むを得ず開拓地入植して開拓してまあ一応露命を繋ごうというような点等から考えますれば、これはもう当然国家がただの金を貸して面倒をみるという立場にならなければならん。こうした事情で止むを得ずこの利息をとる金を貸附けるのですから、而もこれを世話をする協同組合費用として、この枠内から幾部分でも協同組合に還元するということが望ましいと思うのですが、そうした点を一つ今後御考慮を願いたいと、これは希望として申上げておるのであります。
  20. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 先ほどから各仁からいろいろお話がありました利子の問題でございますが、開拓者資金のこの金は一般農林漁業資金年三分六厘三毛というものに比べまして、今般計画されましたのが年五分五厘というような利息をとることになつておるわけであります。このことにつきましては、この前この委員会片柳委員からも指摘せられましたように、無利子の金を使うというようなことになつておるのでありまして、又この事務費ども一般会計から負担いたしまして、そうして利子開拓民からとるということはどうも如何にも不合理なような感じがするのでありますが、このせめて一般資金三分六厘三毛までも引下げるというのが適当だと思うのでありますが、そこは政府のほうではどういうようにお考えになつていますか。
  21. 平川守

    政府委員平川守君) これは実は大蔵省の代弁をするような恰好になるわけなんでありますが、我々としましては、勿論この開拓者のことでもあり、できるだけ低利の金を出したいということでいろいろ折衝いたしておるわけであります。ただこの開拓者資金融通の出発の当時には、これはその資金源国債に仰いでおつたわけであります。当時は三分六厘五毛というものが一応この国債利廻り原価でありましたが、今日はその国債利廻り原価が五分五厘に上つておる。資金としてはやはり一応そういう資金源のことも考えて、現在はこのインベントリー・フアイナンスの問題として一般会計から出すということになつておりますけれども融通資金のことでありますから、やはりそういう国債原価というようなものを考えておきたいとこういうようなのがまあ大蔵省能度であります。従いましていろいろな種類貸付金国家資金による貸付というものは五分五厘を基準にしてまあ考えられるのだと、ただ開拓者の場合には、従来三分六厘三毛で長期の資金は貸しておるのでこれを五分五厘に引上げるということまではしないと、併し今度のこの中期資金は新しく従来なかつた一応三ヵ年を経過した開拓者に対する家畜導入資金であるからして、新らしい制度であるからして、そこでこれに対してはやはり五分五厘の現在の国債原価というものによる原則を適用したいというような、まあ大蔵省態度であるわけであります。これについてはできるだけ開拓者立場利子引下げ或いは資金源を殖やすことについての御要望があり、又私どももそういう方向に向つて努力をいたしたいと思いますが、現在のところ大蔵省のそういう考え方をこちらとしましても是認いたしましてともかくも現在の開拓者の一番必要としておることは先ずこの中期資金を得るということにあると、家畜を導入したくても三年たつて一応の資金融通を受けますと今度は資金を得られないと、そこで一般農家と同じような考え方で例の五分の利子の補給をする途がありますが、あれで借りるよりほかには三ヵ年後の開拓農家というものは資金を借りる途が閉されておるわけであります。それをせめてあれよりは低利であり又資金開拓者だけを対象としての二億数千万の資金源がプラスになるということでありますから、取りあえずそういう制度を開きたいということで、五分五厘の利子につきましてはまあ承認をいたしたという事情にあるわけであります。
  22. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 それから次の問題でございますが、従来行われております一般資金の二十七年度の予算は十五億円と了解しておりますが、それに間違いないかどうかということ。それから右の予算に対しましての資金需要はどのくらいに達しておるかということをお伺いしたいのであります。
  23. 平川守

    政府委員平川守君) 約十五億円であります。需要と申しましても実はこれはまあこれだけの資金源があるということで割当をいたしておりますので、それ以上に実は開拓者としては借りたいだろうと思いますけれども、その数字は出て参つておりません。でこの十五億の計算の基礎といたしましては、従来の入殖後三ヵ年間の開拓者の必要とする肥料、農機具、家畜等の一定の供給に対しまして価格のパリテイをかけまして、それによつて一定の数量の肥料、農機具等が購入できるようにという計算でできておるわけであります。それだけのことはこの十五億でできるはずであります。
  24. 羽生三七

    委員長羽生三七君) ちよつとまだ大分御質問続くようですから、丁度耕土培養法案の提案者が来ておりますのでその提案理由を聞きたいと思いますし、又十分や十五分くらいの間ですみそうならこれをすましてしまつてから提案理由を聞きたいと思いますが、どうですか。
  25. 小林亦治

    小林亦治君 今の委員長の発言に関してですが、まだ片柳さん御質問があるそうですが、大体もう出議したように思うのですが、先ず御採決願いたいと思うのです、この開拓者資金を。
  26. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 三橋さん続きますか。
  27. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 もう少しですが。
  28. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは三橋さんが終つて片柳さんがおすみになつてから今小林さんの御提案通りにしたいと思います。
  29. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 現在無利子資金十五億を以ちまして年三分六厘五毛の利子が取られておるわけでありますが、今仮に資金運用部資金を導入いたしまして、十五億の無利子資金運用部の資金とをプールして年三分六厘五毛の利子相当せしめるようにするというようにしますると、運用部資金のほうからはどれくらい導入し得ることができますか。又どれくらい導入したらそういうように下げることができますか。先ほど小林さんからもお話があつたようでございまするがその点一つ
  30. 平川守

    政府委員平川守君) 精密な計算をいたしておりませんが、恐らく倍以上とは存じます。ただ先ほど申しましたようにこの据置期間は無利子にいたしておりますことと、若しこの一般会計部分利子の金と運用部資金をまぜて、それで利子を賄なつて行くというような考え方を仮に取るといたしますと、現在この事務費のようなものは一般会計のほうに別に計上しておるのであります。そういうものをこの中で賄わなければならんという建前になるのじやなかろうか。そういう点も考えられますので、そう大きな金額増額は必ずしも望めないのじやないか。例えば農林漁業の長期融資のほうはそういう建前をとつておりまして、一般会計のほうからは無利子の金が入る、それから運用部のほうから六分の利子がつく金が入つてこれを貸付けをいたしておりますが、その代りには手数料的な事務費的のものはその会計で賄う、こういうような考え方になつておりますために、やはりあれは平均しますと六分くらいの利子になつておるようで、高いものと安いものとございますから、そういう点を考えますと恐らく倍くらいまではふやせるのじやなかろうかと思いますが、精密な計算はまたいたしておりません。
  31. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 開拓者農業経営の安定ということにつきましては、長期資金はもとより、短、中期資金の確保ということは極めて重要であり、今後の開拓者農業というものの成否にかかわつておることだと思うのでございます。そうしますると、今の十五億と更に資金運用部のほうから金を廻して貰いまして、その枠を拡大して更に資金の量を多くして農業経営を助長してやるというような将来の御計画は如何でございますか。
  32. 平川守

    政府委員平川守君) 私どもといたしましても、何かそういう方法を取りたいと考えておりますが、ただこれは全体の資金の枠の問題もありますので、はつきりとこれだけにするということを申上げかねるのでありまして、できる限り資金の枠をふやすということについては、今後とも努めて参りたいとかように考えます。
  33. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 今金の面の枠の拡大のことを勘案したのでありますが、この法案の第二條第二項の政令で定めるものというのは、昭和二十三年度以前に入植したものを予定しているようでありますが、これは短、中期資金本当に必要とする若に貸付することができるように、内容をもつと拡大してやる必要があると思いますが、その辺の御見解は如何でございますか。
  34. 平川守

    政府委員平川守君) 一応この入植後三年間は従来のこの三分六厘三毛の資金で長期に貸付をするという途が開かれておりますので、その三ヵ年間の期限の切れた、もはやこの融通広の適用を受け得ない農家に対して、中期資金貸付けるということになりますと、この政令の予定しております二十三年度以前の入植者ということで、その範囲の中から開拓者を選定してよろしいのじやないか、かように考えております。
  35. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 今般この一般の融資及び特別融資を通じ資金源の充実、今般の特別資金の利率を引下げること、第二條第二項の償還の問題は本法律案中心問題であり、この案の成否の鍵となつておると私は思うのでございます。従いましてこれらの点につきましては、十分大蔵省のほうと協議をして頂きましてこの問題の善処を特にお願いを申上げたいと思います。
  36. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 最後に簡單に御質問いたしますが、先ほどの小林委員の御趣旨私は全面的に賛成いたしますが、ただ農地局長の答弁のように実際上現在の五分五厘の利息引下げが困難であると、まあこれでいつて中期信用制度を確立すると、こういうようなお考えなり答弁でありましたが、そこで私はちよつとこういうような考え方がされてもいいんじやなかろうか、安く政府資金が出ればそれに越したことはございませんけれども、五分五厘で五年以内の金融になりますれば、これは、私は或る程度現在の農林中央金庫の機能でも私は貸し得るのじやなかろうか。そうなつて来れば一般会計で歳出で落して二億数千万円の金を五分五厘の金利をとつて貸すよりも、中期信用というものがどうしても必要でありますれば、むしろ丁度あの家畜導入資金考え方を拡充して、例えば中金で一割二分五厘で出してそれで五分五厘であれば七分の利子を補給するということになれば、ちよつと計算してみても七分で出れば二億五千万円の予算であれば三十億以上の金が出るわけです。ですから私は十年、二十年というような長期の金であればこれは直接政府資金の現在の金融機能で行くほかはないと思うのです。五年以内の中期信用になつて来れば、これは現在の中金の式になればそれでいいのじやないか。むしろ国民から血税をとつて二億五千万円を而も五分五厘で貸すということではこれは私は非常に趣旨としてもおかしいと思うのでございまして、中期信用がどうしても五分五厘以下に下げないということになりますれば、むしろそれに要する金を利子補給に使つたほうが、中金のためにも或いは三十億以上の融資が借り得るという点からも、そういう面がちよつと私は考え方であつていいのじやないか。これは今日答弁は直ぐさま要りませんけれども、そういう考え方はどうも皆さんがたの御意見を聞いているうちにそういうふうにも考えるので、これは或いは即答は要りませんが、是非これは一つ研究課題として政府当局でお取上げを願いたいと思います。以上であります。
  37. 平川守

    政府委員平川守君) ちよつとそれに関連してお答え申しておきますが、実は私どももそういう考えはもういいんじやないかという検討もいたしておるのでありまして、なお今後とも検討いたしてみたいと思いますが、ただ実際問題を見ておりますと、例えば一般農家に対する五分の利子補給でやはり家畜導入ができるわけでありますが、これを開拓者といえども申入れをしてちつとも差支えないことになつておりますが、実際問題を見ますとどうも開拓者というものがまだ中金等の信用において十分でないと申しますか、なかなか貸してくれないのが実情であります。そういう実情がありまするためにやはり資金面をどうも確保しておりませんと、理窟では確かにその通り貸してくれさえすればそれでいい計算になるのでありますけれども、実際問題としてなかなか中金が貸してくれないというところに問題がありまして、これは開拓者だけの一つ資金融通態勢ということに一応なつておりますから、将来若し或る程度開拓者の信用もつき又中金方面の理解もできて来るということになりますと、確かに資金の活用としてはそのほうが効率的であるように思います。
  38. 山崎恒

    山崎恒君 大体意見も出盡したようですからこの辺で一つ討論採決をすることに動議を提出いたします。
  39. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 只今山崎委員から法案の質疑も盡きたから討論採決に入つたらという御動議がございましたがよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは本案につきましては質疑も大体盡きたように思われますのでこれより討論採決を行いたいと思います。開拓者資金融通法の一部を改正する法律案について御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
  41. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 私は開拓者資金融通法の一部改正に対しまして賛成をいたしまするが、次のような希望なり條項を附して賛成をいたすものであります。  第一は、理論的には今回新しく貸しまするところの融資は、やはり旧利率と同様の年利三分六厘五毛で私は貸すべきものと思いますが、併しこの資金の融資を急ぐ関係もありまするので、将来この利率を低下することに政府努力をして貰いたいということが第一であります。  それから第二の点は、若しも五分五厘という利率が引下げ得ないと、而も中期金融の必要性を私は認あるものでありまするが、そういう場合には根本的にかような政府資金で貸すほうがいいか、或いは農林中金の機能を活用して或いは開拓者協同組合の機能を活用して、むしろ直接融資に廻す金を利子補給等の方途に振り替えるというようなことも、これは私は是非彼我研究をして頂きたい。以上の二つの希望條項を附しまして賛成をいたすものであります。
  42. 小林亦治

    小林亦治君 現在のこの日本の開拓が、引揚者とか或いは職を持たないところの次、三男、それから貧農階級が余りに多い、こういう三つの階級がひしめき合つておるところの状態に乗じて、政府が殆んどこれらのものの犠牲において開拓をなさんとしておる、甚だ以てけしからんことと思うのであります。政府の今何をなさなければならないかという重要なものは、先ず以てこの国内態勢の強化、生活の安定、それには食糧増産と、こういうことになつておる。若し日本に只今つておる引揚者、あふれておるところの次、三男、それから働いても喰えないところの貧農のこの三階級がなかつたとしたならば、政府はみずから何をおいても先ず開拓を断行しなければならない。然るにこれらの階級があふれておるところに乗じて殆んど只でやらんとするところのこの形勢が顕著なんで、その一つの現れが本法案にも顕著に見えておる。これらのものがなければ何よりも真先きた先ず歳出予算というものを開拓の方面に切換える、そうして政府みずからそれをなさなければならない。かかる困つておるところのどうにもならない階級が多いところに乗じて、奴隷労働によつて食糧増産ということを賄わんとするということは、如何にも資本家的であり封建的な考えであり、いわばこの国民の足許を見た政治を懐手でなさんとするところの一つの根性の現れなんだ。かかることは従来いろいろな議論の角度から申上げておるのでこのたびは縷々申上げることは差掛えたいと思うのでありますが、要するにこの開拓に投下すべきところの労働力なり或いは資本力なり、それらは挙げて国家みずからが無償負担しなければならないものである。仮にこの貸付ける場合でも、長期であつて而も無利息が、これはもう最高限度のところなんだ。ところが従来三分六厘五毛という枠があつたのでふります、これをも超えて五分五厘ということは、これは何としても只今申上げたところの考え方からはこれは反対なんであります。併しながら、この政府当局がない袖は振られずという御議論の下に縷々御見解がありましたし、なおこの非理想的な状態を我々の努力によつてできるだけ御期待に副えるという御誓約がありましたので、涙を呑んで本法案に賛成しようと思うものであります。以上であります。
  43. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 開拓者資金融通法の一部の改正には賛成なのでございます。小林委員片柳委員からも開拓者擁護のために御意見がございましたが、これはしばしば申上げておりますが、開拓をすれば借金になるのは当然であります、ところが今の開拓者というものは百姓に慣れない人が入つておるのが大多数でありまして、これは開拓をし、家を建て、道路を抜き、土地改良をしてそこで初めて入れてやる国家の義務があります。そうでないとそれを單なる希望に入つたというお考えが強いものですから、貸すとそいつを金利をとると、こういうことになつて来ておりますが、開拓というものは開拓に必要な金を借りた者は絶対拂われんことになつております。そこで開拓し上げたらその土地を借りたほうへ渡すか、或いはそうでなければそこにおれなくなるかどちらかになつて来るのは当然でありますが、今の六十億、七十億、八十億の金は一応今急には間に合いませんが、とかくこれは開拓地にくれるのだというくらいの腹を持つてやらなければならんと思います。殊に金利が五分五厘というようなことは誠に遺憾でありますから、一刻も早くどうせ貸しても無利子と、こういうふうなことで今の犠牲においてやる開拓者はして貰いませんと非常に憐れでございます。  それからその次はもう少し指導して貰いませんと、今現状に入つた姿そのままで、ただそこを開くのみに専念しておりますが、殆んど指導らしい指導はいたしておりません。これではただ日を長く費して成果は上つておりませんから、その受持つておる局では指導に専念して遺憾のないように一刻も早く引上げてでやることをお願い申上げまして賛成いたします。
  44. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 他に御意見もなければこれより本案の採決を行います。開拓者資金融通法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの御起立を願います。    〔賛成者起立〕
  45. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 全会一致であります。従つて本案は原案通り可決することに決定いたしました。  なお本会議における報告の要旨は従来の慣例によることをお許し願います。なお多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名      西山 龜七  加賀  操      山崎  垣  岡村文四郎     池田宇右衞門  宮本 邦彦      片柳 眞吉  三橋八次郎      小林 亦治  松永 義雄   —————————————
  46. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは引続いて耕土培養法案の提案理由の説明を求めることにいたします。衆議院の坂田議員から提案理由を説明して頂きます。
  47. 坂田英一

    衆議院議員(坂田英一君) 只今議題となりました耕土培養法案につきまして提案の理由を御説明申上げます。  米麦等の食糧を初め各種農産物の生産を増加いたしますことは、経済自立の基本要件でありますとともに、農家経済安定のため極めて重要な施策であることは今更申上げるまでもないところであります。  農産物の増産を図りますためには先ず以て農産物生産の基盤である農地の土壌、いわゆる耕土の生産力を培養すること、即ち土を作り、土を肥やさなければならないのでありまして、特に我が国のように過小の国土の中に過大の人口を養わねばならない国柄におきましてはその感をいよいよ強くするのであります。  農地の生産條件を改善するため、すでに農業土木的手段によつて土地改良が行われて来ているのでありますが、これと並行して、耕土特に生産力の低い不良耕土に対して、農地化学的手段によつてその化学的性質の改良を図りますことは極めて重要な事柄でありまして、これら両者相まつて初めて農地の生産力はその全きを期待し得ると考えられるのであります。  翻つて我が国耕土の実情を見ますと、自然的又は人為的の諸原因によりまして、酸性土壌、秋落水田土壤を初めとし、塩害地、泥炭地等各種の低位生産の不良耕土が広い範囲に分布し、更にますます拡大せんとする傾向にありまして、農業生産を著しく阻害し、農村窮乏の重大な原因をなしているのであります。従つてかかる不良耕土を改善し、国家資源としての土地肥沃度の涵養に努めますことは刻下の急務でありまして、かような事情に鑑み、ここに一貫した計画のもとにかかる不良耕土の解消を図らんとするのが本法律案を提出するに至りました理由であります。  以下この法律案の内容について概略御説明申上げます。  第一は耕土培養地域の指定でありまして、都道府県知事は農林大臣の指定に従つて、管内の農地についてその土壤の化学的性質、不良の程度、分布状況等に関する調査を行い、耕土培養を実施する必要があると認められる地域について、都道府県農業委員会の意見を聞き、農林大臣の承認を受けて耕土培養地域として指定することにより、耕土培養事業を集中的且つ効果的に遂行しようとするものであります。  第二は対策調査でありまして、前に述べましたところによつて指定された耕土培養地域を、その区域内に含む市町村の長は、市町村農業委員会の意見を聞いて、都道府県に対策調査の実施を請求することとしようとするのであります。ここで対策調査とは農地について耕土培養の要否及びその具体的な方法を明らかにするために行う細密な調査のことを言うのであります。  なお市町村長による対策調査の請求は、農業者又は農業団体が所定の條件従つて請求した場合においても行わなければならないこととしようとするのであります。  第三は耕土培養事業計画の樹立でありまして、市町村長はその請求によつて行われた対策調査の結果、耕土培養を実施する必要がある旨の指示並びに必要な勧告を受けたときは、その勧告に従い、市町村農業委員会の意見を聞き、且つ関係者の同意を得て、所定の内容によるその市町村の耕土培養事業の総合的計画を定めて、都道府県知事の承認を受けなければならないこととしようとするのであります。而して耕土培養事業はこの計画に準拠して行われることとなり、事業の施行者は市町村、耕土培養地を耕作する農業者又は農業団体となるのであります。  第四は補助金の交付、奨励措置又は指導監督等の助成でありまして、国は都道府県に対し、耕土培養地域指定のための調査、対策調査及び耕土培養事業指導に要する経費、並びに事業施行者が耕土培養において施用する物を購入するために、要する経費に対し、交付する都道府県の補助金に対して、補助金を交付するとともに、事業施行者、及び耕土培養において施用する物又は耕土培養の効果を確保するため施用を必要とする肥料の供給を行う者に対し、資金融通又は斡旋その他の奨励措置を講じ、併せて事業施行に関し必要な指導を行う等諸般の助成を行うこととせんとするのであります。  第五は開拓地に対する特例でありまして、開拓地特殊性に鑑みまして、開拓地に対しては政令によつて、地域の指定、対策調査及び耕土培養事業計画の設定等について特例を設けることができることといたしたのであります。  以上が本法律案の内容の大要であります。  何とぞ愼重御審議の上速かに御賛成を得られますよう切望する次第であります。
  48. 松永義雄

    ○松永義雄君 私の質問はむしろ資料の要求といつたもに近いと思うのですが、今提案の理由の説明のうち、自然的原因又は人為的の諸原因ということがあります。人為的の場合に塩害地、泥炭地等が上げられておるのですが、ただ細かいことを一つ参考にもなろうかと思うので、御承知かと思うのですが、国道線に浩つて田圃がある、そこを自動車が日に何千台と通つて砂塵を捲上げて、そしてその附近を真白にするといつても過言でないくらい稻に害を與えるという事実があるのであります。その点を質問し究明しようというのでなくて、自然的又は人為的の諸原因に基くことについて、この農芸化学的なもう少し具体的な説明をして頂くか資料を頂けば非常に早い。そういう趣旨で質問というかこれだけでは六法全書を見るようで実際のことはよくわかりませんから、もう少し具体的に追究できるようにさして頂きたい、こういう意味です。
  49. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 只今お尋ねにつきましては、資料として配布いたしました耕土培養対策に関する資料の十九頁を御覧頂きますと、不良土の原因と申しますか、名称別の面積が県別に載つております。大体自然的な原因のものが多いのでありますが、中にはむしろ人為的なものがございます。これにつきまして対策をどうすべきかということについては、ここに上げてあますいろいろな分類につきまして、具体的な対策が必ずしも未だ十分に確立されていないものも相当あるのであります。今回の法案で取上げられておりますのは、ここで上げられておる秋落水田と酸性土壤と、こういうことに差当りなつておるようであります。
  50. 松永義雄

    ○松永義雄君 これだけでも専門のかたはよくおわかりになられるかも知れないですが、もう少し農芸化学的に一つ話をしてもらうということが余り時間がとれて面倒たということならば、もうちよつと具体的にこういう場合にはどういう対策を講ずるのかといつたような方法一つ
  51. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 只今松永委員お話もございましたが、提案理由のほかに更に具体的な問題並びにその本当の狙いというようなものについて、更に詳細の説明を求めることにいたします。
  52. 黒川計

    説明員(黒川計君) それでは今回の法律対象になつております秋落田の問題と酸性土壤の問題について申上げたいと思います。秋落田の面積が全体を入れて約六十万町歩あるわけですが、そのうちの約四十万町歩が土の中の鉄分が不足している、或いは鉄分と硫黄分とのバランスが破れて硫黄分が勝つていると、こういうことによつて起るものであります。その原因といたしましては、勿論自然的な原因もあるわけでありますが、同時に人為的の原因も見逃しにできない問題であるわけであります。それではなぜ鉄分が不足しますと秋落になりますかということでありますが、大体稻が水田の中で養分を吸う場合を考えますときに、土の中に硫化水素がありますと、その硫化水素が稻の根をいためまして養分が吸えなくなると、こういう現象が起るわけであります。それで硫黄分がありますと、土の中でその硫黄が還元されまして硫化水素になります。例えば硫安とか或いは過燐酸石灰とか硫酸加里とか、こういう硫酸分を含んだ肥料、これは勿論硫黄分を含んでおるわけでありますが、それが水の張つた空気の少い状態におきましては還元されまして硫化水素になりまして、そのままでありますと稻が相当の被害を受けるわけであります。で普通の水田でありますと、土の中に鉄分が相当たくさんありましてその鉄分ができました硫化水素とくつつきまして硫化鉄というものになるわけであります。この硫化鉄は水には溶けない。従つて作物には害を及ぼさない性質のものであります。で鉄分が不足をいたしますとこの硫化水素が全部硫化鉄になり切れないで硫化水素として残つてくると、これが稻の根に害作用をするとこういうことになるわけです。こういうふうに鉄分が不足するような状態になりますと稻に害をするわけでありますが、同時にそういう状態なつた場合には、土の中の硫化水素が過剰にある場合には一度できた硫化鉄まで流してしまうと、こういうことでありまして、一度鉄分が不足しかけますと土の中の鉄分というものは急速に流れてしまうと、こういうことになりまいてますます秋落田が激しくなり、遂には秋落田の段階を更に超えまして根腐れをすると、夏の大体七月の半ば頃から八月にかけて根腐れを起しまして稻の全部が枯れてしまうと、こういうことにもなるわけであります。この対策といたしまして先ず鉄分を入れるというようなことがこの内容になつておるわけでありまして同時に鉄分を入れるばかりでなく、今後硫安とか或いは硫酸加里とか過燐酸石灰のような硫酸分を含んだ肥料をこういう田圃にはその改良後にはなるべく入れないように指導すると、こういうことがこの内容になつておるわけであります。  それからこの酸性土壤の問題でありますが、大体日本は非常に雨が多い関係から、土の中の石灰とか腐土とかそういういわゆるアルカリ分と申しますかそういう成分が流れてしまうわけであります。長い間雨に曝されておりましていわゆる開墾地等は非常に酸性が強くなつているのもそのためであります。普通の既耕地におきましても、開墾後特段のそういう措置をしていないために流れておるというようなことが非常に多いわけであります。これは自然的原因でありますが、そのほかに自然的原因として例えば酸性の灌漑水が入つたために酸性になると、或いは鉱毒水が入つて酸性になるとかいろいろの問題で自然的に酸性になる場合もありますが、人為的の問題といたしましては、大体最近非常に硫安とか硫酸加里とか塩化加里とかああいう酸性肥料が非常に使われることになつて、又都市の周辺等におきましては下肥が相当多量に使われるために酸性になると、こういうものもありまして、自然的原因と人為的原因によりまして非常にひどい酸性土壤が分布していると、こういうことでありまして、これらの土壤につきまして酸性の度合を計つてそれに応じた石灰を施す、又そういう土壤については土壌の特別の処理、例えば有機質肥料がそのほかに少い或いは燐酸肥料がそういう地蔕では割にききやすい。そういうこともありますのでそういうことも兼ねてこの改良をやつて行こう、こういうことであります。
  53. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 本日はこの程度で散会いたします。    午後三時二十一分散会