運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-06-04 第13回国会 参議院 農林委員会 第45号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月四日(水曜日)    午後一時四十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     羽生 三七君    理事            西山 龜七君            加賀  操君            山崎  恒君            岡村文四郎君    委員           池田宇右衞門君            北村 一男君            瀧井治三郎君            白波瀬米吉君            宮本 邦彦君            飯島連次郎君            片柳 眞吉君            島村 軍次君            三浦 辰雄君            小林 孝平君            三橋八次郎君            小林 亦治君            松永 義雄君   国務大臣    農 林 大 臣 廣川 弘禪君   政府委員    農林政務次官  野原 正勝君    農林省農政局長 小倉 武一君    食糧庁長官   東畑 四郎君   事務局側    常任委員会專門    員       安楽城敏男君    常任委員会專門    員       倉田 吉雄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農産物検査法の一部を改正する法律  案(衆議院提出) ○農業災害補償法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○農業災害補償法臨時特例法案内閣  提出衆議院送付) ○農業共済基金法案内閣提出、衆議  院送付)   —————————————
  2. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこれより農林委員会を開きます。最初に、本日の日程は農産物検査法の一部を改正する法律案、それから農業災害補償関係法案開拓者資金融通法の一部を改正する法律案議題にいたします。  最初農産物検査法の一部改正案につきまして、先日来問題となつている諸点につきまして、本日農林大臣出席を得ましたので、この際改めて御質疑を続行願いたいと思います。
  3. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 先般来本法案について問題になつている農産物検査手数料のことについて、大臣に二、三お伺いしたい。それは、この前の国会で、農産物検査法を通すときに、大体検査手数料の二十円というのは高過ぎるから、これをもつと引下げろという強い要望があつた。それに対して、これは十分考慮するからということで、漸くこの法律通つてかれこれ一カ年を経過して今日に至つておるわけでありますが、特に今度の麦の統制が撤廃をされるというこの現在の状況を目前に控えて、一般生産者の間では、この検査料自己負担に将来なるということを恐れて、この際是非検査手数料を引下げて欲しい。こう要望が、これは生産者の間では恐らく全国的に強い要望として今捲起つておるわけであります。それから先日来この委員会においても、各委員から検査手数料を是正するという問題が取上げられて参つておるわけでありますが、これは詳しいことを申すまでもなく、昭和七—九年あたりを例にとつてみると、一包装あたりに僅か最低二銭という検査料であつたのが、現在においては、米、麦の区別なしに一俵二十円ということになつて、千倍になつておるわけであります。こういう他の物価の値上りに比べてみても極端であるということが一点、もう一つは、米も麦も価格に比例すれば極めて不均衡な価格で、一率に二十円というきめ方、これについても再検討の余地があるということ、農産物関税等を例にとれば、いずれも従価で税率がきめられておるにもかかわらず、検査料に関してはそういう考慮が全然なされておらない。まあ全然というと若干言い過ぎかも知れないが、一番重要な農産物である米にしても、大麦にしても、小麦にしても、価格においては大きな差があるにもかかわらず、一率に二十円という比率できめられておる。これがこの検査手数料について、この機会是非とも是正を要望するという強い論点であります。これについては、冒頭申上げたように、この前の国会で、この検査法を通過せしむるときに、強い当委員会における要望を附して実はこの法案が通過しておる経緯にも鑑みて、農林大臣は、只今のような強い生産者からの要望に対してどうお考えになるか、この点を一つ伺いたい。
  4. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) お話通りであります。これは一カ年間決して我々努力しなかつたんじやないのでありますが、一生懸命努力をいたしておるのでありますが、なかなかなか相手をごませるまでに至つていないのであります。併し今度各地方からの陳情等を我々が直接聞いてみまして、無理からん点が十分ありまするので、諸般情勢をよく考えまして、慎重に検討いたして、希望に副うようにいたす考えであります。
  5. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 この際もう一、二、これは希望として附け加えておきたい。それは大臣も窮状を御承知のようでありますから、極めて簡結に申上げますが、この農産物検査手数料を引下げるという問題を追及することによつて折角通つた農産物検査、つまり国営検査を或いは地方に、これを昔のごとくに委譲するとか、或いは検査に従事している職員の数が減されるとかということは、これはどう考えても検査法趣旨に逆行することでありますから、我々の欲するところは、飽くまで農産物に関しては、特に麦類等統制から解除される、このことを考えて、或いは電報或いは電話等による極めて敏速な、而も正しい取引がなされなければならない現況から考えて、そういう検査法趣旨に悖るがごとき支障が起されることは、極めてこれは好ましくないところでありまするので、そういうことについては、或いは老婆心かも知れないが、これは農林大臣において嚴に注意をされて、我々の主張するところが逆にそういう方向に行かざるような注意一つ特にお願いを申添えておきたい、こう思うのであります。
  6. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 先ほど私諸般情勢といつたのは、実はそれを含んでおるのでありまして、どうも七百人八百人という人間に食い込んで来そうな形もありますし、それから府県営の問題についてもあるのでありまして、そういうことを愼重に考えて、あなたのおつしやるような線でいきたい、こう私考えております。
  7. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 大臣の御答弁で大体了解をいたすのでありますが、御答弁趣旨をこういうふうに私どもは理解をしてよろしいかどうか、お伺いしたいのでありますが、と申しますのは、この間通過をいたしました食糧管理法の一部改正案で、場合によつて食糧管理特別会計において、二重価格という関係が当然出て来るのでありまして、従来のような独立採算制一本槍という性格が崩れて参つて来ておるのでありまして、そうなつて来ると、只今検査料の問題も、その場合に当然これは吸収して処置できるのではないだろうかという意味理解してよろしいかどうか、それが第一点であります。  それからもう一つは、この食糧検査に要する費用をできるだけ手数料収入で賄つて行きたいという気持は私はわかるのでありまして、或いは行政整理という問題の予防線としても、私は理解ができるわけでありますが、ただ農産物検査趣旨が、勿論これは生産者の売る物を有利に売るという生産者のためもありまするけれども、併し半面においては、農産物を買う、或いは消費するところの需要者なり消費者の利益の面もあると思うのでありまして、そういう点から見て参ると、或いは一部は一般会計で持つてもよろしいという理窟も出て来るのではないかと思うのでありますが、要するに御答弁趣旨が、全体として二重価格制というものが場合によつては起り得るわけでありますが、そういう場合に、吸収して本問題を処理するという趣旨理解してよろしいかどうか、重ねてお伺いしたいと思います。
  8. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 占領中に強く線を出してきておつた独立採算、或いは又この特殊な保護助長というようなことを否定するような形がだんだん薄らいで参つてくるのが正当だと私は思つております。特に両院の御決議になりました、今回の食管特別会計における負担等を見ましても、それがよく現われて参つてきておるのでありますが、私たちは、この日本農業がやはり保護助長の線をもう少し強く出す必要があると考えておりますので、来年度の予算編成の当時においては、この点が十分私は現われて来るのじやないかと思つております。そういう点からも、十分考えたいと思つております。
  9. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 飯島委員片柳委員の御質問があつて大臣の御答弁があつて、大体了承されるのでございますが、検査料が高いというので一般に非常に困つておる。これに対する質問があつたのでありますが、先般当委員会で審議をされておりまする中で、一般会計で相当持つのが当然ではないか、こういうお話がありましたが、大分骨を折つてみたが、なかなか大蔵省が言うことをきかん、うまくいかん、こういうのでありますが、大蔵省は、もう自由にもなれば農産物の問題なんかどうでもいいのじやないか、これまで言うということについては実に我々心外に堪えません。そこでややもすると非常に危険性を持つておりますし、高いなら地方実地検査を行えばいいじやないか、何ぼならばできるというのが随分あります。これは万全の注意をしなければいかんと思うのですが、片柳さんのお説のように、生産者も成るほど生産物の品質の向上、価格の適正を図るために、実際に価値のある国営検査を受けて、そうして売出すことを希望し、需要者も業者も安心をして買えるものにして、初めて取引が円滑に行くわけでありまするから、農家保護助長という問題ばかりでなくて、重要な日本農産物を国で検査をし、そうして適正な価格なり品位を定めて売るということを重点にお考えになつて、そうして大蔵省にも説いてもらわんと、非常に生産者にしてみても批判の声が高くなるし、それでは政府自体としても困ると思います。その点を十分注意してもらいたいということと、この今食管会計の中に入つておりますが、一刻もこれは独立さしたほうが非常にいいのではなかろうか。たまたま食糧管理庁のいろいろな問題があつても、別途のものと考えなくてはならんものが、食糧統制しているがために農産物検査を行つておるのだという観念がありますから、それを一刻も早くなくするのに、やつぱりできるだけ早い機会農産物検査というものを独立してやられたほうが非常に検査の意義もあるし、農林省としても誤解を受けないことになると思いますが、その点どうお考えになつているかお聞きしたいと思います。
  10. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 前段のお話は、片柳さんの消費者、それから生産者両面とも見て行くというところに非常に味があることでありまして、これは全くその通りであります。單に売らんがための検査でなく、実際消費者のためになり、又生産者のためになるというところに味があるので、私はその点を決して何人にもごまかされないようにやりたいと思います。それから後段のこの農業生産物のそれ自体品位を向上し、食糧増産目途を達成するようにしたいというお考えでありますが、これは昨日の衆議院農林省設置法の議案がかかりました場合に、その意見が端的に現われておりまして、農産物検査一つの独立したものでなければならんという思想が現われております。全くその通り私は同感であるのであります。
  11. 山崎恒

    山崎恒君 只今のに関連して、岡村さんの質問で、大臣検査独立性という点については共鳴されておるようでありますが、現状からいたしまして、果して然らばできるかどうか、これは大半の検査制度は現在やりつ放しじやない、これはもうやはりそれだけの管理業務検査員そのものがやつておる。又供出の督励もやつておるというような点から行きますというと、思想はそうであつても、必らずしもそういう場合が一致しない、かように思いますが、どうでありますか。もう一回一つ……。
  12. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 現実と将来との違いでありまして、現状は全くあなたの御意見通りでありますが、将来は独立したものにしたいという思想が流れて来ておると、こういうことであります。
  13. 山崎恒

    山崎恒君 先ほど来から、又は当委員会といたしましても、この問題については二十円の検査料は高いという、これは大臣も認めておるわけでありますが、今回のこの予算編成に当つても、大臣大蔵省との折衝で非常に骨を折られておつたが、予算の獲得ができなかつたというようなこともはつきり認めておるわけでありまするが、この問題は、独立採算制ではつきり行くへきか、或いは一部一般予算から負担して、検査制度というものを国の要請する、又国民の食べるところの貴重な食糧検査であるが故に、一般会計から負担すべきだというような観念、この観念を、基本観念一つはつきりして今回は努力したが取れないが、次回はそういう二本建の観念一つ行きたいというような思想が、考えがあるかどうか、その点を一つはつきりとここでお示し願つて、そうするというと、自然とこの問題は解消するのじやないかと、こう思いますが……。
  14. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 先ほど片柳さんのお問いに対して、言外に渡らして置いたつもりでありますが、單に本会計からのみ行きますというと、人員整理というようなことにまで食い込まれるということを非常に私はこれは恐れておるのであります。でありまするから、両方にかけて行くほうがいいのじやないかという片柳さんの御意見に同意を表しておるようなわけでありまして、多分そういう方向で今後進まなければならんじやないかと、こう信じております。
  15. 小林亦治

    小林亦治君 念のために打つて置きますが、前の委員会で、一般国政の建前から十一條と二十條は反対だ、かように繰返して申上げたのでありますが、それに関連して只今大臣の御見解なんですが、私はいささか逆に考えておる。というのは、この農産物に関するところの行政というものは、これは単純なる行政ではないのであります。日本にとつて基本国策一つでありますから、大臣がおつしやるような独立採算でなくして、検査料とか、かようなものはこれはむしろ一般会計から独立採算ということを考慮に入れないで賄うへきものじやないか。従つてこの例えば十一條数料を下げても、さような観念からしまするというと、七百人の人員に対するところの影響というものは何もないことになる。それが本来のやはり国政の上から見たところの農産物行政やないかと、かように考えられますので、その点が大臣と私の考えが違うのでありますが、大臣は将来の独立採算ということを考えておられる、そういう思想が流れつつあるとおつしやるのですが、私の場合は逆なんであります。従来独立採算的な考えが流れて参つたのであるが、将来はそうでなくして、一般会計からなすべきものであると、こういうふうに考えておるのでありまして、その相違点を念のために一つお聞きしたいと思います。
  16. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) ちよつとあんたお聞き違いじやないかと思うのですが、私はあなたの言うように言つておると思うのですが、占領中は独立採算国家財政というものを極度に切詰められて参つたのでありますが、この間の両院決議なつた二重価格の端的に表して来たようなこういう思想が今後は出て来るのじやないか、来年度予算編成には、あなたのおつしやるような線が出て来るのじやないか、こういうふうに私申上げたのであります。
  17. 小林亦治

    小林亦治君 それでよくわかりましたが、そうすると結論といたしまして、この二十円ということは高いということはお認めになつておられるのですか。職員の増減に影響しないように将来これを下げる、或いは全廃して一般会計から賄えるようにすると、こういうようなお考え大臣の頭の中におありなんですか、将来の希望として申上げて置きたいのです。
  18. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 地方からのまじめな陳情のかたの声を聞いておりますと、そういうことが耳に響いて来るのであります。でありまするから、本年度の予算編成のときに私たちがとつた以上の強い信念を以て、あなたのおつしやるような意味を腹に置いて予算編成ができるのじやないか、こう申しておるのです。
  19. 加賀操

    加賀操君 大体本案につきましては、質問も出盡しましたし、農林大臣からも強い意思表示がありましたので、あとで松永さんが質問されるそうですが、それでこの質問打切つて、次の議題に入つて頂くようにお諮りを願いたいと思います。
  20. 松永義雄

    松永義雄君 簡単に一言大臣にお尋ねいたしたいと思うのです。只今、現段階という言葉はちよつとおかしいが、只今では、職員の首切りになるから、検査手数料を下げるわけに行かない、こういうような意味の御答弁であつたように拜聽しました。ややもするというと、農産物を値上げをすると労働者は困る。労働者生活を楽にしようとすると、農産物を引下げなければならん、こういう議論がしばしば行われているのであります。これは一般会計から持つて来るとか、こういつた形式的のことは、そんなことはそんなこととしておいて、例えば麦について、中間経費という言葉が今度は中間搾取という言葉に変つて行くのでありますから、検査料をきめるという場合に、ただ單に労働者の問題だけを対象にしてなされるのか、それとも労働者生活を楽にしてやらなければならない、農民のほうの手数料も、これも楽にしてやらなければならんということになると、どこかよそから金を持つて来る、こういうことになろうと思うのですが、その点は、もうよく大臣は御経験済みのことでありますから、お答えは十分おできになると思うのですが、ただその一点だけをお聞きしたいと思います。(笑声
  21. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) どうもその道の先輩から教えられるようなことで……、それはあなたのお説の通りで、決してその点の方程式は間違わんようにやる考えであります。(笑声
  22. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 御相談申上げますが、先ほど加賀委員からも議事進行についてお発言がございましたが、この本法律案につきましては、先ほど飯島委員の御意見の中に含まれておるごの検査手数料の高いことから来る農民の犠牲をできる限り軽減せよということで、大体御意見が代表されておると思うのであります。その問題を一般会計からの補填という形をとるか、独立採算制に将来固定したものとして行くのか等々、問題の所在はなかなか複雑でもあるし、どうもすこぶるむずかしいと思いますが、併し飯島委員を始め各委員皆様から御発言のあつた農民負担軽減を将来目途として、その基本的な諸問題について一層の御検討を加えてもらうと、そのことによつていい結果の得られる日を期待したいと思うわけですが、そういう意味で本法律案はこの辺で質疑を終了して、採決に入りたいと思いますが、如何でございますか……。それでは他に御発言もございませんようですから、質疑は終了したものと認めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこれより本案につきまして討論に入ります。御意見のおありのかたは、それぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
  24. 島村軍次

    島村軍次君 只今検査法中一部改正案に関しましては、この法案そのものに対する問題よりは、これに関連を持ついわゆる検査手数料の減額が当委員会において相当論議されたのでありまして、現在の国営検査制度は、昨年の決定の時に本委員会において強い要望もあり、検査手数料は、農民負担軽減目途として、将来速かにこれを引下げるという措置を講ずべきであるという第一の強い希望を附し、第二には、国営検査制度は将来これをますます強化すべきものでありまして、この制度自治体検査その他に移行するがごときことのないことを強く要望するためには、ここに国営検査制度の確立のために、一般会計よりも負担をするよう、政府において十分措置するという強い二つの條件を附して、本案賛成いたしたいと思います。
  25. 小林亦治

    小林亦治君 繰返して申上げましたように、本法案は、基本国策としては、十一條、第二十條、なかんずくこの両條文なんです。これは大反対なんです、この條文はですよ。ところが農林大臣の将来はという誠意ある御答弁によりまして、現段階の政策としては、無理にこれを下げさせれば、七百何十名という職員にも影響が参るという情ない情勢なんであります。将来かかることのないように、一般国政に引直すことを條件として、本法案をまあ止むを得ず賛成したいと思うのであります。大臣の答口弁上手にごまかされないように、どうか将来誠意ある改正論に持つてつて頂けるように御努力願つて、本法案賛成します。
  26. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 私もこの法案條件を附しまして賛成するものでございます。検査制度は、農産物価格保持の上から申しましても、又一般消費並びに取引関係からいたしましても、極めて重要なるものであり、特別会計でやるべき性質のものでないと思うのでございます。なお又将来はどうしても独立して、毅然として検査制度というものをやるべき性質のものでありまして、むしろこれは国民全体の見地から見まして、農家検査料負担させるということは不合理なことであることは申すまでもない事柄でございます。従いまして現在の法案にあります検査料というものは、農家負担としましては随分高いものだと言わなければならんのであります。農林委員会として、この値下を要求するのも当然のことだと思うのでございます。将来は、そういう大局的見地から申しまして、検査制度は独立した一つの機関として設けて頂くことと、なお検査費用も国の一般経費でやつて行くということが極めて重要だと思うのでありまして今直ちにそういうことを申上げましても、却つてその組織が壊れましたり、検査制度欠陷ができるというようなことでありますれば、忍んで将来を楽しみにして、この法案賛成するものでございます。どうぞ将来よろしく農民のそういう声に副うように、順次改正されますことを要望いたしまして、本案賛成するものでございます。
  27. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて、これより本案採決を行いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこれより採決に入ります。農産物検査法の一部を改正する法律案につきまして原案通り可決することに賛成のかたの御起立を願います。    〔賛成者起立
  29. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 全会一致でございます。従つて本案は、原案通り可決することに決定をいたしました。なお本会議における報告の内容等は、従来の慣例によることを御了承願います。なお多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     西山 龜七  加賀  操     山崎  恒  岡村文四郎    池田宇右衞門  瀧井治三郎     北村 一男  白波瀬米吉     宮本 邦彦  飯島連次郎     片柳 眞吉  島村 軍次     小林 孝平  三橋八次郎     小林 亦治  松永 義雄
  30. 羽生三七

    委員長羽生三七君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  31. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは速記を始めて下さい。   —————————————
  32. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは次に、農業災害補償法の一部を改正する法律案及びその他関係法案につきまして、特に問題となつておる諸点についての質疑を続行願うことにいたします。
  33. 松永義雄

    松永義雄君 その前に、議事進行というのはおかしいけれども、資料を請求いたしたいと思います。各共済連合会の集計した貸借対照表というものをお出し願いたい。それからこれは、普通の行き方とすれば、よその県の貸借対照表を請求すべきかも知れませんが、特に私の属しておる埼玉県の貸借対照表を御提出願いたい。
  34. 羽生三七

    委員長羽生三七君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  35. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 速記を始めて下さい。
  36. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 今度提出になつております農業共済基金法でございますが、基金についての趣旨はよくわかつておりますし、是非基金が必要なことは今更言うまでもなくて、早くにこの基金を持つべきだと思つてつたのでございます。ところが出た法律を見ますると、相互、即ち保險者と受けるほうと両方で基金を出し合つて三十億を作ることになつておるのでございますが、経過を聞きますと、なかなか面倒で、こうせざるを得なかつたようなことも承わつております。ところがこれは非常な重要な問題であり、こういうことばかりに限定をして考えることは非常に早計であり、そうあつてはならんと思つておりますが、現在の農村の状態と農業者の実態から考えてみまして、災害補償法は、農業に対する社会保障であるのであります。そこで政府から十五億ということでなくて、まだまだ出して来るべきだと思うのでありますが、案にはそうなつておりますが、この際下からこれを吸い上げて、そうして基金にせなければならんということはどういう観点から出て来たか、大臣にお伺いしたいと思います。
  37. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) あなたの御指摘のように、この基金を設定する上については、実は非常に事務当局も苦労いたしてやつておるのであります。これは現行法でやりまする場合には、やはりこういうような形にならざるを得ないのでありますが、私たちといたしましては、将来十分考えて、現在のあなたの御指摘のような、社会保障制度と匹敵するような、このものを国がもつと見て、そうして十分効果の挙るようにするのが本当だと思うのでありますが、現行法の建前上こういうふうにいたしておるような次第でございます。
  38. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 この金が補助金のように出しつ放しになるとか、又農家にこれが入つたなりで帰つて来ないという憂いがあるなら、これは別でございますが、融資をするのでありますから、政府のほうでも、この法案に何にもそれが載つておりませんが、融資をする方法さえ講じれば、如何に大蔵省が頑丈でも、又如何に大蔵大臣が頑張つておられても、話がわかると思うのです。私の心配いたしますものは、農業災害補償法なるものがやがては非常に影響を薄くされる一つの原動力にこれはなると思うのです。そこでますます影を濃くしようと思うのに、これでは農家のほうで金が出せるとか出せないとか、或いは十五億は少いとか多いとかいう問題じやございません。こういうことをすることが、あらゆる面にこれを察して影響があることがこれ自体でなしにできて来ると思うのであります。そこでどういう議論を立てられても、この金を被保險者自体から積立てて、そうして融資をするということにつきましてはどうしても納得が行かんのです。それでまだそれでも納得が行かないほかに、この金を運用をするために、法人を設けてそうしてやらなければならんという建前は、何かそこに一体ありはせんか。今まで政府が相当多額の資金を出して、そうして融資を行なつておりますが、ひとりこの金だけ、僅かな金額で別な法人を設けて、そうしてやらなければならんということについてはどうも納得ができないし、これは金額が多いとか少いとかということだけでなしに、我々は納得ができないし、下から、百姓が吊せないということや出せるという、そういう議論を待たずして、この問題はどうも合点が行かんし、どんなに考えても、私の心配は、食糧統制が外れるに従つて、そうして災害共済というものは妙な恰好にせられる運命にあるものだと心配されます。そこでこの際こういうことは一層お考え願つて、そうでなしにやつてもらうことを考えなければ、日本の零細農民のためにはならんのじやないか。私は十五億の金を下から出す力がないとは申上げません。そこでこの案で行きますると、被害を多く受けるところが多く負担をするのです。これは全国一律に、水田と麦、或いは養蚕に対して、一律にこれが行われるものならそれも多少の取柄もあると思います。ところがそうではないのであります。そうなると、被害を多く受けるところから基金を余計取る。こういう恰好ではなお更おかしいので、どうしても腑に落ちんと思うが、大臣も、腑に落ちないが、止むを得ないからこうしたのだというお話があるかも知れません。それでは困るのです。そういう御答弁ではいかんので、そうでなくて、何か肚の底になければならんと思うが、どうお考えになつておるか、もう一度お伺いしたい。
  39. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 私の説明で納得するかどうかわかりませんが、この法律が影が薄くなつて、この制度が将来消えるのだというような心配があるという話ですが、私はそう思つておりませんので、これはますます助長して、そうして充実さして行かなければならんということは、あなたと全く同じであります。ただ交渉過程、その他現行法等について、そういうふうにしたらよろしいということでやつたのでありまして、これも又御存じのように、十分折衝をして、非常な苦労を重ねておることはあなたはよく十分御存じだろうと思うのでありますが、併しあの交渉過程においては、どうしてもこれでなければならんというような状態になつたのでありまして、そこは一つ、私の答弁が足りないかも知れませんが、納得を行くようにして頂いて、将来私は、必ずこれがあなたの期待に副うように直せる時期が決して遠くないうちに来ると、こう信じておるような次第でございます。
  40. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 その次の御答弁がないのですが、僅かな金で別な組織をこしらえて、法人としてこれを扱わなければならんという理由がどこにあるのか、その点も一つお聞きしたい。
  41. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 基金でなくて考えるといたしますれば、一つ特別会計を設定するということが考えられるわけであります。特別会計の場合に、それでは工合が悪い点があるかと申しますと、一つ農家出資ということが全然認められない。特別会計農家出資をするということが工合が悪いのであります。それならば全部政府基金を出しまして、そうして特別会計を作つたらどうかということであれば、これは特別会計としては成立し得るものでありますけれども、その不足金の融通ということにつきましては、いろいろ諸経費その他から融資を得なければならんわけでありますが、特別会計ではその点が借入につきまして若干の制約を受ける。それから又貸出しにつきましても、又若干のいろいろな制約を受けるということで不便なわけであります。それから第二点といたしましては、特別会計でも基金でもなく、随時必要な資金を政府において適当な形で確保しておいて融資してやるとかいうことも考えられるわけであります。例えて言えば預金部資金に枠を設定してやるということも一応は考えられるわけでございますが、何しろ災害によつて生ずる不足金でございますので、あらかじめ年度初めにその金額を予定するということがなかなかむずかしいのであります。枠を設定することができましたといたしましても、そのために預金部から他のほうに流すべきフアンドが縮小されるという虞れも生じて参ります。それからこの貸出先が共済の連合会でございますので、預金部資金を直接に連合会に貸出し得るかどうかといつたようなことにつきましても、公共団体ではございませんので、若干の危惧がありまして、以上のような趣旨で止むを得ずと申しますか、一番よい方法が基金制度であるということになつたのであります。
  42. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 そうすると、今の局長のお話を承わりますと、農家の出資が入るから、別な法人を作つて運用したい、しなければならん。政府の出資ばかりならそれはなくてもやれるように聞えますが、そうかどうか、もう一度。
  43. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) その点だけで申しますれば、お尋ねの通りであります。
  44. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 大臣に、どうも先が心配だと、どうもこのままで行くとごまかされそうだという、こういう発言をしたところが、まあそういう心配はないじやないか。ますます農業災害の補償というものは旺盛にし、国が力を入れるべきだというお話でございますが、うつかりできんのでございます。自由党さんが内閣をいつもお持ちになつて廣川農林大臣がいつも農林大臣をしておられれば、それはそれで行けると思いますが、そうでないのであります。私が実は驚いたことがある。それはうつかりするとこういう結果になつたと思いますが、農業災害補償法によつて任意共済をやれるということにしたのであります。それはいいことだ。そうすると協同組合法によつてもやれるのだから、それはよかろう。こういうことになつてつたものでございますが、結果においてはとんでもないことになつた。ところが北海道で初めから任意事業は協同組合法によつてつておりますし、現在もそうでございますが、そのやつておりますことを政府が弾圧をしております。その証拠がちやんとございますが、これは二十四年だと思います。そこでその時の農林省の当局の考え方は、災害補償法によつてやらすので、農業協同組合にやらすのでないという観念で、それが今度は北海道でやつておりますから、これは全国的にそういうことを通牒が出たかと思つていたら、そうではないらしい。そこでこの農政局長の通牒は二十五年の三月、日にちはわかりませんが、そこで任意事業と災害補償法の事業を同じ所で人をかけ持つてつたらいかない。はつきりと区分をしなければいかん。こういう厳しい通牒を出しております。そこで私はその時に、全国に出ておるものだと考えておりましたところが、今はそうではございません。この間公聴会の結果でそれがわかつたのです。そうすると公聴会でここの協会の霜山さんのおつしやつておるところを見ると、一緒にやることが非常に都合がよいのだ、そうすることがよいという発言をいたしておりますし、農林省はそのつもりで指導されております。そうすると非常に片手落な指導になつておりまして、北海道が、政府の意思に反するから、どうあつてもあいつは彈圧してやれ、こういうことになつておるのであります。それは今の大臣のやつたことではありませんが、事務局、事務屋がいろいろ考えて、恐らく局長通牒の決裁を大臣がしたとは考えておりません。併しながらそういう厳しい通牒を出して、止むを得ず今度は愼重に割つて部屋を別にしてしまつて、そうしてその時の通牒には、今度災害共済の職員を採用する時分には、農林省の認可を受けよと、これまでやつたものです。そこで人を採用しようと思つてつたところが認可にならない。やつと認可を受けておる人が今おりますが、そういうわけで、まるで我々の法律を審議した時の考えとは全然違つております。ところがその結果が非常にまずくなつて、今、この間から局長にいろいろ食い下つでおりますが、さつぱりそれが返答もできないし、満足もできませんが、そういうわけで、これはうつかりしておりますと眉に唾をつけたのでなくて、心から本当に考え検討するのでなければやれない。それで北海道以外のわきの所でやるなら両方でもいいのだ。ところが北海道でやつておるやつは、任意と災害と両方をやるから、これは協同組合で両方やつたから、それは駄目だ、こういう甚だ不都合な手落ちな措置を農政局ではやつておるわけですが、そこで私は、その時には止むを得ないと思つたのですが、この間の公聴会の霜山さんのお話速記を見まするというと、一緒にやることが最も都合がいいのだ、こうおつしやりつておる。それを見るとまるでさかさまです。そういうことで役所がやりますから、大臣が、次官がいつもついておりませんから、そこで法律というものは、念には念を入れて本当によくやつておかないとこういう結果が出ると思う。そこで災害の補償の今の基金法にいたしましても、あなたが答弁ができないで、局長にお聞きになつておるが、そういう危つかしさではこれも駄目ではないか、苦い経験を嘗めておりますから、そこでそういうつもりでお伺いいたしておりますが、どうも我々ももともと法律通ではございません。法律通というものはそういう面倒なことを出すものであります。この間麦の統制撤廃の前に、向うから出て来た政府の案を見ますると、生産者の委託を受けたものによつて政府が買入れを要すると書いてある。その買入れを要するというので、全部買うのだ、なんぼあつても買うのだ、こういうお話でございました。我々のほうではそれはいけないというので、無制限ということが書いてあるなら、そうなるとわかりますが、政府お話では買入を要するというのを持つてつて、なんぼでも買うのだということをお話しをされて、それで説明をされておりましたが、それと同様で、全く法律というのはむずかしいのでして、我々素人にはわかりませんが、やはり先から先まで考えておかないと、前に話しましたが、北海道で彈圧するようなことになつた責任はここらにあります。ですから、これは容易なことではない。殊にこういう金銭の問題は、今まで話が出まして、十五億の五分の一、即ち三億円の又その下の一億ぐらい一応出して、それを通したらどうだというお話もございます。併しながらこの法律に書いてあるのは、通つた以上は、催促するこつちに権利があつて、出さなければならん義務が生じて来ますが、そういうわけだから、なかなかこれは容易でないので、だまされてはいかないから、そういうわけですから、この法律も念には念を入れて十分に研究してやらなければならんと思つておりますが、大臣はそこらまで御研究になつておやりになつておらんと思う。ですからこれは十分に、農村を非常に御心配になり憂えられておる大臣でございますから、十分に我々も検討し、これをこのまま呑んで行くことについては非常に危惧を持つております。前のお話のことは、まだまだあとに機会があるから、今日それを言つたのでは、これは別問題になつて来るようでいかんと思いますから余り申上げませんが、そういうわけですから、簡單にこれを呑むと、又農家にいつどういう迷惑をかけるようなことがないとも限らん、こういう心配を私はいたしております。大臣どうお考えになるか、私の言うことは、それはお前は間違つておるので、そんなことはない、農民が心配するならそれは間違いだ、こうは言えんと思います。
  45. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 私も法律家でないので、そこはちんぷんかんぷんですから、あなた以上に法律についてはわからないのでありますが、併し農林省というものは、農民のための農林省であります。その農林省がいやしくも農民の不為になるようなことは私はしないと思います。ただ問題になつておりまするこの北海道の共済組合と協同組合の問題、共済事業のことですが、これも私は決して悪意があつてつたんじやないと思うのでありますが、陰に隠れている親切な言葉を或いはあなた様はお汲み取り願えないかも知れません。併し若し不親切になるようなことがあれば、いつでもこれは斟酌して差支えないのであります。ただ内地のほうで、本州のほうで本当にあなたがたのほうと同じことをやつておれば、これは局長通牒なり、或いは次官通牒なりを出す場合には非常に楽であるかも知れませんが、特にあなたのほうは、協同組合が発達いたしておりますので、その発達してれるのに農林省が近いつかなかつたのじやないか、私はこう思うのでありますが、それも農林省勉強して、だんだん追いついて行くと思うのでありまして、決して農林省は、農民の不為になるようなことは決して私はしない、こう思つておりまするから、十分御信頼を願いたいと思います。次官或いは大臣なりというのはしよつ中変りますが、根本を流れる農林省の伝統の精神は断じて変るものではないのであります。御女心を願いたいと思います。
  46. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 今大臣お話を承わつて、私はその通りでなくてはならんと考えております。ところが、決して片手落ちのことはやるまい、それは勉強が足らなくて、そうなつたんだろう、こういうお話でございますが、そうではないのであります。そこでこの間も盛んにやつたんでございますが、通牒を出しておられるが、数回……、それを両方に同じようにお出しになるのなら、これはそのお話は通るのであります。やり方は別にして……。そこでそうでなくして、その後の四月二十七日の通牒なるものは、これはちよつとその通牒には疑義がありまするが、と申しますのは、占領下の通牒だから、それでやつておられる仕事をそのまま指示しておられる、やつておられることを……。そこで強く申上げますが、大臣よく御心配になつておられますように、今の農村は、私の考えが間違つておればこれは別でございますが、どうしても協同組合を何とかして相当に強い実力のある組合に育て上げなければ、これからの農村はなかなかやつて行けない。大都市の附近の農家はそうではございません。併しながら日本農家は、大都市の附近には少数でございまして、殆んど山間僻地にあるのが普通でございますが、何とかして協同組合を強くしなければならんという観念に私は燃えております。そこで去年いろいろ御努力願つて、再建整備の問題もやつてもらつておりますが、とてもあれでは協同組合の立て直しは不可能でございます。そこで問題は、有馬頼寧さんと千石興太郎さんが非常に御心配をされて、この農村の姿を見ればこのままではいけない、何とか農村の保険に対する、その金を農村に補助するようにしたい、こういうことを非常に我々は主張したのでございますが、その当時はそれが不可能で、そしておつたのが、今度協同組合法が変つて、共済事業としてできるようになつたのを幸いに、やらなければならんという考えは持つておりまするが、その実態はなかなかそこまで行つておりませんが、少しでも……、現在の日本全国の農村から一年に五百億くらいの金は出ております。それを少しでも農村に保留すること、一番経済の中心になるのは資金の問題でございますが、それを主にしてやらなければならんというのが考え方であるのでございますが、間違つておれば間違つておるとおつしやつてもらつて結構だと思います。そういうつもりでやつておるものですから、これは全然違うのです。私はこの間局長に、一体農林省の農政局長のこれはやるべき仕事かどうかということまで質問いたしたのであります。これは一回この間違つた通牒を見れば、これはそうも言えます。そこで一方的に指導をして、そうして北海道には災害共済と任意共済を一緒にやつたらだめだと、線を引くと言つて盛んにお叱りをこうむつておりますが、脇のほうでは一緒にやるほうがいいのだと言つておるのでありますから、それから見るとやはり弾圧と言える。而もそこで大臣よく御心配のような、最近どういうものですか、非常に火事が多いのでございます。ところが今日の協同組合の建物は、幾ら小さい協同組合でも、一旦火事があると大変でございます。ところが建前は、大臣が指示をして、その指示の価格によつて保険額をきめることになつております。ところが示した通牒を見ると、一棟三十万円と書いてありますが、これは恐らく農家のことだろうと思いますが、併しながら若しそれが農家のことであつて、協同組合の建物は百万なり、百五十万なり、或いは二百万でありますと、割合被害の少い農家の三十万の金が食われることなんです。ですから、いずれにしましても、今日はそういうことばかり言つてつたのでは、他の委員の邪魔になりますから、余り言いませんが、そういうわけで、決してあなたのお考えになつておりますような、本当に農村のためになる仕事がされておりません。そこでそういうわけですから、大臣が余り慢心をし過ぎて、おれの部下は何と言つても農村のためばかりを考えてやつておると思つたんでばちよつと違います。ですからそのおつもりで、あなたの部下があなたと同じような気持でやつてくれておると思つておられますと間違いが起りますから、その点はそうでなくて、時々目を光らせて、我々の言い分も聞いてもらわんといかんと思うのであります。今日はこれで打切りますが、そういうわけですから、今後気をつけて、一生懸命に農林大臣考えております、農村が如何にあるべきか、如何に農林省という役所は農村のためにやつておる役所であるかということを発揮するように、御指導願れんといかんと思います。
  47. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) お話の点よくわかるのですが、農林省の役人はそれは全く真面目にやつております。ただ外部の力が、非常に強い力が二つありますと、どつちをとつていいかわからない場合がたびたびあるようであります。これは近いうちに、私中に入つて調整をいたしたいと、こう思つております。(笑声)  それから資金の点につきましては、これは総合的に利用できるように、今も真劍にやつておるようなわけでありまするから、どうぞ御了承下さい。
  48. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 この基金法案で特に大臣に御質問いたしたいのですが、この問題は、要するに飽くまで出費でありまして、掛金の拂込みではないわけでありまして、対象が各連合会に融資をする財源を政府と民間とで半額ずつ出資をする、こういう建前になつておりまするが、そこで問題は、若し政府のほうで財政の事情が許しまするならば、これは全額を政府が出してもいいのではないだろうか、これは別段そのまま国の歳出に落ちてしまうわけではないのでありまして、やがて償還をされるわけでありまするから、而も農村方面では、或いは農協の再建整備でも相当の増資運動もやつておりまするし、勿論これは農家の挾い意味負担ではないわけでありまするけれども、併しこの際に一定の金を出すことは、やはり実質的には出資であつても、相当の負担になると思うのでありまして、問題は要するに、民間出資の十五億をどうしてもなければならんだろうかという点が実は我々の疑問にたつておるのであります。そこで何かこの基金を作るについては、今後の含みといいまするか、何か今後の楽しみがあるという意味において、十五億を苦しくても出すということでありますれば、これは私は納得がされるのではないかと思うのでありまするが、而も従来の事務当局の御答弁では、災害が多くして、最高の場合においてはこの三十億では到底足り得ない。最悪な場合を推算しますると、この倍額の六十億程度のものが場合によつては要るのだ、こういうことの答弁があつたわけでありまして、そうしますると、無理して民間で十五億を出し、国のほうから十五億を出資いたしましても、これでは足らんという場合が相当起り得るのでありまして、そういう答弁を聞きますると、この際民間で出すことは、何かしら今後の一つ政府の、まあ何といいまするか、政策についての一つの基本になるというような考え方も推測できるわけでありまするが、実はそのへんの答弁つは、事務当局からはないわけでありますが、勿論民間で出さないで、政府が全額出してもらえばそれに越したことはないと思いまするが、何かしら最悪の場合には六十億要るのだ、にもかかわらず三十億というところに今後の含みが、我々は一応推察をできるのでありまするが、そのへんが特に農林大臣としてどういうようなお考えであり、或いは大蔵当局ともお話がされておるかも知れませんが、そのへんの含みを一つこの機会にお示しをして頂ければ結構と思います。  それから続けて御質問をいたして参りますが、で、仮に民間で或る程度の出資をするといたしましても、この法案で参りますると、定款の定めるところによつて、五年以内に十五億の出資を完了しろと、こうなつておるのでありますが、これも事務当局にも質問いたしたわけでありまするが、この法人ができまして、五年以内に災害があつさも、あつた年でもかまわず、これを取るということは、これは非常にその趣旨にも反するものではないだろうか。片一方で保険金をもらつておりながら、片一方で出資をするということは、この制度趣旨からもちよつと矛盾があるのではないだろうか。にもかかわらず、第一回の拂込みを一億円にして、あとの残額は五年以内に拂込みを完了するというのは、多少これは考慮の余地があるのではないだろうか。具体的に言いますれば、災害の少い都市なり、災害の少い府県から最つて行くという考え方がされてもいいのではないかと思いまするが、それが第二点であります。  それから第三点も、これは政府当局から明確な御答弁を得たいということで留保をしておりまするが、民間の出資、これは飽くまで出資でありますので、出しつ放しの金ではないわけでありまして、脱退をすれば勿論拂戻しも受け得る規定になつておりまするが、ただ出資と称しながら、出資に対する利益があつた場合に、或る程度の利子なり配当をつけるという規定が全然ないのでありまして、そういうことがはつきりしますれば、これは出しつ放しの金ではないのだ。この基金に相当の利益があるならば、相当の利子なり配当もつくのだということが、これがはつきりしますれば、出しやすいということもあると思います。その規定が実はこの法案には全然ないのでありますが、以上の三点につきまして御質問いたします。
  49. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) この基金設定についての分担の問題でありますが、これは御指摘のように、六十億以上かかるということがあり得るということは想像でき得るのでありまして現在予定している以上に政府基金を出すように、実は我々は努力いたしておるのでありますが、まだその政治力の差で、実はそこまで行つていないのでありますが、必ずこれは、将来こういうふうに国家投入資金を殖やすように努力いたす考えであります。民間一般のかたから出して頂く十五億よりも多く政府が出すように努力いたしたい、こう思つております。それから第二の点は、非常に法律は冷たくできておりまするが、併し運用の妙を得て、これは温かくやつて行く方法があるのじやないか、こう私は考えるのであります。  それから第三は、これは全く出資でありまするので、配当なり或いは何か妙味があるのが当然じやないかというお話でありますが、これもやはり税金等の関係もありまするので、これは協同組合の関係にも関係いたしますが、税を飽くまでやはり取る建前になつておりまするので、この点の了解がまだついておりません。これは将来是非つけたいと、こう考えております。
  50. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 大臣の御答弁で、大体は私の質問に対してお答えがあつたと思いまするが、ただ今後基金政府側の出資の増で賄つて行きたいということは、非常に満足をするものでありますが、ただ基金として政府の出資が殖えない過程においても、非常な相当の災害がありまして、三十億では足らないという場合においては、基金の増額まで行かんその経過的な、過渡的な措置もあるのじやないか。政府貸金をその際出すというような、そういう二つの方法が私は起ると思うのでありまして、これにつきにましても一つ、もう十五億ということでありますが、もう恐らくぎりぎりの線と思うのでありまして、これ以上のものはできれば固定的に出資が政府の出資増で行きますれば結構でありますが、それが実現せん経過的の場合においても、政府資金で全部賄うというような方向で賄つて頂きたいと思うのですが……。
  51. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 御指摘の点も考えております。又それもでき得ると信じております。
  52. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 それから第二点の、法律は非常に冷厳にできておるが、運用でということでありますが、第十五條の第三項でありまするが、「定款の定めるところにより五年以内に出資の拂込をしなければならない。」これですと、余り温か味の出る余地がないと思うのでありますが、これが五年以内というのがなければ、これは御指摘の通りになると思いますが、重ねてお伺いいたします。
  53. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) これは私たち仄聞しておるところでは、本委員会において温かい血を加えて下さるのじやないかということを私案は聞いておるのでありまして、(笑声)これをさつき申上げたようなわけであります。
  54. 小林孝平

    小林孝平君 この三法案に直接関係ありませんけれども、間接的に関係がありますので、この機会大臣にお尋ねいたしたいのは、この單作地帶に対しまして、積雪寒冷單作地帯の振興法というものができまして、非常に特別の施設が加えられておるのでございまするけれども、こういう趣旨に基いて、最近この單作地帯が二毛作をやろうというので張切つてつておるわけです。特にこの單作振興法に基いて、土地改良をやりましたあどに二毛作をやり始めた所は、最近国税庁のほうでは、所得のあるところ課税するのは当然であるというので、課税の対象にするということを言つておるわけです。具体的には、高橋国税庁長官が先般新潟県に参りまして、この問題について何ら考慮する余地はない。二毛作をやつたら課税をする、こういう言明をしましたので、非常に衝撃を與えて、一部の農民は麦を青刈りにしても、課税の対象になるのではやめるというようなことで刈取つた例もあるのであります。そこで政府はこういう法律を作り、その他単作地帯には特別の考慮を拂わなければならないという従来からの方針に従えば、当然この単作地帯において、特に積雪寒冷地帯の單作地において新たに二毛作をやるのは、所得税の対象から暫くの間除外をするという所得税法の改正をやる必要があるのではないか。具体的には、この法律に基いて行なつた、土地改良をやつたあとに、二毛作をやつた場合は、三年乃至五年は掛金を免除する、或いはこういう土地でなくても、今まで二毛作をやらない所に新たに二毛作でやつた場合には、三年乃至五年課税しないというような除外例を設ける必要があるのじやないか。そこでこれは簡單に行きませんけれども、一つ農林大臣が積極的にこの必要を認めるかどうか、認めて、大蔵省に今後交渉される意思があるかないか、一つ承わつておきたいと思います。
  55. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) どうも国税庁というのは理屈のわからん所でして、何遍もいろいろな問題でぶち当つて行くのですが、ここは本当にそれは冷たいのでして、(笑声)大きく眼を見開いて見ますとよくわかりますが、積雪寒冷地帯に二毛作ができ得るようにするまでに、国家が投資をする資本というものを考えてもらえれば、それでその努力に対して、その努力から生れた収穫に対して、冷たい税金をかけるということはあり得ないはずなのでありますが、そういうことを国税庁長官が言つておるとすれば、農林省といたしましては、十分手を盡して、助長でき得るように熱意を以てやる考えであります。
  56. 小林孝平

    小林孝平君 農林大臣は国税庁だけを責められておりまするけれども、国税庁は所得のあるところ税金をかけるというのはこれは当然だから、そういうのでやるのでありますから、これは国税庁相手におやりになつても駄目で、大蔵省の主税局に交渉し、所得税法の改正をやるというふうにして頂かなければならんのですが、それをおやりなる意思があるかないかをお伺いします。
  57. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 勿論それは大蔵省の問題でありまして、端的に国税庁と言つたのでありますが、十分それは私のほうで準備をいたしまして、交渉いたしたいと思います。
  58. 島村軍次

    島村軍次君 直接に関係のない事項でありますが、農協再建整備の法建築の審議の過程におきまして、むしろこの際再建整備そのものの国家的のいろいろな助成、その他の施策は必要であるが、要するに農協は事業を進展せしむるものであつて、今回固定資産が固定化し、而して赤字を持つておる際には、事業を伸ばそうといたしりましても、なかなか事業資金が得られないので、この際政府のほうで、例えば府県でやつておる預託の制度をとるか、或いは一般会計或いは預金部等から相当の資金を出してもらいたいことを希望いたしておるのであります。それに対する大臣の率直な現在までの経過及び進行状況、お考え一つこの際承わりたいと思います。
  59. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) それは御指摘の通りでありまして、あの当時あなたと私は共同責任でありまするので、(笑声)そのあと引続いてこの問題は話しております。端的に言つて、金を用意しなければならんのでありまして、大蔵省にもこれは十分私話しております。裏話を言うとおかしな話でありますが、池田君のところへも十分それは各農協から深刻な陳情が行つておるようなわけでありまして、私はもつと多く金を用意して、そうしてこの農協の再建整備を真に助長して行く考えであります。
  60. 島村軍次

    島村軍次君 お覚悟のほど及び当時の経過、よく大臣御承知を願つて、お骨折りを願つておることは非常に有難いのですが、要するにこの問題は画龍点睛でありまして、この問題が解決せんと、農協の再建整備もなかなか困難である。一つ事務当局を督励されると同時に、政治的に早く一つ解決をして頂くことを希望いたします。在官でありますればお手伝いをいたしまするが、只今在官でありませんので、一つその点を特にこの席を借りまして、お骨折りを重ねて希望いたします。
  61. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 速記をとめて。    〔速記中止
  62. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 速記を始めて。
  63. 山崎恒

    山崎恒君 二、三質問意見を申上げたいと思いますが、先ほど岡村委員から、この災害共済制度の問題は、今後非常に心配だというようなお話があつたのでありますが、事実そういう点も私ども考えられるのですが、現在統制経済でありますれば、これはもう強制的に……、現在のこの法律は強制的でありますから、一層、今日まで政府の施策等相待ちまして来たのでありますが、今後この農業経営を円滑に助長して行こうということには、やはり大臣もお考えと思いますが、農業協同組合と災害共済組合、この二つの組合そのものが真に農家の福祉機関に相成らなければならないと、かように思うのであります。特に麦の統制がはずれ、或いは行く行くは主食の米についても統制がはずれるというようなことになりますというと、現状の農村の零細農というものは、ますます政府の施策が非常な力を持ちまして裏付けないというと、農村の疲弊はもう火を見るより明らかだと、かように思われるのであります。そこでこの共済事業の問題でありますが、共済事業も、私どもは概括的に考えまして、この農業政策がこの日本の指導方針に相成るような形になつて行く。これがまあ基本的な問題であろうと思う。そこでまあ先ほどもよく物識りの農林大臣は、達観して岡村さんの質問に対して御答弁なさつておるようでありますが、勿論共済組合の任意事業であるところのいわゆる保険金一戸当り三十万円というものは、これはもうほんの共済事業でありまして、一たび災害、火災等がありました場合には、三十万円では到底何もならん。併しながら一時の間に合せの費用だ、こういうような観点、それ以上の保険を附加することは、これはもう危険が伴う。又そうした大きな保険をせしめる機関としては、やはりこの特殊機関であるところの火災保険会社が領域を持つているというようなことから、妥当な価格で三十万円ということになつたと思うのでありますが、ただ岡村さんが心配しておる協同組合等々の建物或いは資産、こうしたものに対する保険金は、当然これは三十万円では目薬ほどのものであるというようなことから非常にその点を心配されておると、かように思うのでありますが、基本観念から行きまして、この任意共済そのものは、さような点から自由意思により農家が保険に加入する、こういうような問題でありまするが、協同組合等の建物等の保險に対する観念そのものは、これはもう当然もつと大きな保険をつけなければならん。併しながら岡村さんの心配しておる問題は、そうした保険金が、現在の協同組合等が疲弊しておる今日、その資金そのものがとにかく無事故であつた場合に、その領域の組合、或いは県なり道なりに保有されて運転さるべきものでなければならない。そういうような観念から非常に心配されておると思うのでありますが、現状のこの共済組合にいたしましても、恐らく協同組合の保険にいたしましても、北海道はどうか知りませんが、いずれ再保険契約というものをしなければこれは危險でありますので、政府自体も、この再保險という問題については相当監督指導をしておるはずであります。さような点からいたしまして、その資金そのものの固定ということは、なかなかその領域、区域内においての流用ということは、保険事業については骨ではないか。そうした点は、何か政府において別の方法がなければその金は止まつてしまう。かように思われる。そうした点について、政府に今後何かの施策があるかどうか、こうした点も一つお聞きしておきたいと思うのでありますが、それから次に、この共済組合と協同組合とのいろいろの領域の問題等がありますが、これは、将来において大臣がこの問題を特に重要視されておるようでありますが、これは日本農業政策上、現在協同組合も大事である、又共済組合も勿論農家の生産するところの生産物に対するところの保險事業であり、或いは共済組合の共済事業、或いは政府が共済組合連合会に対するところのいわゆる再保険事業というような段階の事業であり真するが故に、ますますこれは助長しなければならん。ただ基本的に疲弊しつつあるところの農家が、逐次その保険金そのものが増額されて行くというような点について非常に心配されておる。かような点から、私どもはこの保険料は、少くとも最小限度の保険料によつて運営さるべきだ、かように思いまするが、そうした問題について、農林大臣のやはり御意見大臣として伺つておきたいと思う。  それから次に基金法の問題でありますが、この問題は、先ほどどなたかからお話のあつた通りでありまして、現状ですらすでに二十八億円の赤字を各県が出しておる。これは昨年度、この二十八億円に対するところの利子補給というような問題を政府要望いたし、政府もそれを可といたしまして利子補給の予算を組んでおる。今度はその利子補給というものを削られてしまうというような、かような観点から、そこに生れたのがいわゆる基金法というような肩代りのものであると思うのでありますが、この基金法そのものによつて運行いたしましても、依然としてこの二十八億の赤字は消えないのであります。そこでいずれかの機会に、これは統制申の遺物でありまして、この二十八億円というものは、これは早く一つ政府が助勢して解消してもらいたいということを、再三団体も、又委員会におきましても、意見を具申しておりますが、その問題は、昨年はからずも最後の段階といたしまして、只今のような利子補給の面で一応解消されておりまするが、これを一つ何とか解消するように努力する大臣の御意図があるかどうか、その点を一つ併せて、以上三点をお聞きいたしたい。かように思います。
  64. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) この農業団体の再編成の問題は、もう新聞等も取上げて、隠しても講読に出しておるような段階に立至つておるようであります。又この占領中に再分配された、分割された団体に対しての批判が、農民の間からも盛んに声が出て参つて来ておるのであります。而も又この農民の最大の福祉法ともいうべき両組合法に対しましては、これは私たちも実際運用いたして参りまして、十分検討しなければならんと思つております。又これを十分に発動でき、而も又この農民の福祉を助長するようにやりたい、こう考えておるのであります。  それから又もう一つその次は、零細な金を積んだものを、その地方々々に留めて、これを農民の福祉のために使うことが大事である。こういうお話でありまするが、それは又その通りであります。でありまするから、私ども簡保の問題については、総額の半分を農村に返せ、こういうふうに私主張いたしておるようなわけでありまして、そうしてこの簡保の金等も農民に入れて、農民のために使つて行きたいと思うのであります。  それから又最も重大な再保険の問題については、これは非常に重大でありまするので、検討いたしております。これは案を近いうちに我々作りたいと、こう思つております。  それから戰争中の統制の犠牲といわれておる二十八億の問題でありますが、これの解消について、我々は熱意を以て今努力いたしておるようなわけであります。
  65. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 最後にもう一つだけお尋ねをいたしておきますが、この災害補償のできましたゆえんはよく御承知でございますから何ですが、私は災害補償法というものは、何物もそれに挟まらないで、真二つに割つて、そうしてどういう災害があつてどういう損害が生じようとも、半分は全部政府が代りにやつて、ほかに食い込んで行くということではいかん。一番大切なことは、どういう加入か、即ち強制加入のものと任意加入のものとがあるということを心配したのでありますが、そういうことは全然考えないで、どこまでも真二つに割つて、そうして災害補償において足らん分は、政府がどこまでもとつて行くということの考えをはつきりきめるようにお考え願いませんと、現在あります二十八億がああだこうだという問題ではありません。これは、年々歳々出て来るところの災害というものは決して、もうこれがある以上は、農家負担にされないで、それは政府が全部やつて行くんだ、こういう強い信念で大臣にやつてもらわんと、要らんことかも知れませんが、腹の底からそう思つておりますが、大臣もそうお考えになつておるか、一応お聞きしておきたいと思います。
  66. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 精神は全くその通りでありますが、現実がこれに伴わないのが非常に遺憾といたしておりますが、精神はその方向に進んでおります。
  67. 松永義雄

    松永義雄君 同じようなことを言うわけですが、東京都で火災保険事業をやると言つたら、大蔵省反対したということがある。それで共済事業を強制的にやるべきか、任意でやるべきかという点に触れるわけでありますが、これは立法の経過もあるでしようが、一体農林省としまして、先ほどお話のあつたように、農村の疲弊は、これから自由主義が進むに従つて増すばかり、こういう御心配がある。それについては私も同じ感じを持つているのであります。それでどうしても農村というものに対しては、その仕事の性質から来るのか、ややもすれば都会の商人にしてやられる、こういう傾向を持つておる。従つてそれに対して、保護指導する必要が生じて来る。で、その結論は、飛躍するかも知れませんが、これを農村の保険事業のところへ持つて行く場合に、一体農林省としまして、強制的にやつてつたほうがいいのか、任意的にやつてつたほうがいいのか。一体一つ法律の中で、任意も強制もあるというのは一体どういう意味なのか。農村の経済的事情に対するところのあなたのいわゆる感じというものについて、一つ関連してお話願えれば結構だと思います。
  68. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 今御指摘のように、共済事業といたしましては、強制的な共済事業と任意的な共済事業ど二通りあるのでありますが、それを今後どういうふうな方向へ持つて行くか。任意ということに重点をおいてやつたらよろしいのか。或いは強制といつたような方向で全体を持つてつたらいいのかというふうなことに関連するお尋ねだと思うのであります。この点につきましては、只今御指摘の通り農民の経済乃至その農業経営といつたようなものが確固たる地盤に立ち得るかどうかということにかかつていると思うのであります。こうした地盤にかかりまして、経営も非常に、とにかく企業としても成り立つといつたようなことでありますれば、これはだんだんとむしろ任意のほうに行くのが穏当だるり。そうでなくて、やはり農民経営が依然として平凡である、経営もなかなか零細であるといつたようなことになりますというと、現在むしろ任意であるようなものについても、社会保障といつたようなものを加味しておるし、一体強制と言つては語弊がありますが、いわゆる社会保障的な意味をもつと加えてやつて行くといつたようなことが必要になつて来ると思うのでありますが、私は、どちらに行くべきかという判断はちよつといたしかねますが、その点については、大臣もおられることでございますので、大臣一つ……。
  69. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) これは、人の生命に関するような、この疱瘡ですか、そういう人にやることがあるのでありますが、この生命に関することを知りながら、やはり人に強制することがある。特に農村のような経済力の非常に薄弱の所は、任意にばかり持つて行きますというと、大抵目前の現象に追われて、そうしてこれはしぶるというようなことになるのでありますが、物にもよりまするが、実際の方向は、私は或る程度強制がいいのではないかと思いますが、個々の物によつて大分違うのでありますが、近頃大分慣れて来て、この保険も全部が任意がいいのではないかというような考えも出ておるようでありますが、まだ私は、そこまで行くのは早いのではないか。もう少し強制して行つていいのではないか。こう考えているのですが、全般のものについての考えは、まだ私としても結論は出ていないのであります。
  70. 松永義雄

    松永義雄君 只今は、山崎さんからお話があつたように、統制が外されたら、農民の貧農が殖えて行くのではないか。こういうような趣旨言葉があつたと私としては解釈したのですが、そういう傾向に今向いつつある時なんですから、それに対してどうお考えで、すかと言うのです。局長は学者だから、一つお伺いしたい。
  71. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 経営が一般に零細化しているかということは、もう少し長い目で見ないとむずかしい問題だと思いますが、若し非常に経営が零細化しておりまして、従いまして企—業としてやつた程度のものにも、農業生産だけで行くということばやれないといつたような場合におきましては、どうしてもそこに或る程度の強制共済的な色彩がこれは加わるのは止むを得ないというように考えるのであります。これは何も赤字を救済するだけに限りませず、場合によりましては、農家の建物でありますとか、或いは更にこれは将来の問題かも知れませんが、その他の農家の保険といつたようなことについても、そういうことをこれは考えざるを得なくなりはしないかというふうに思います。併し事態がそういうふうに、だんだんと日本農業経済が困窮して参るものだというふうに私も考えませんので、今のところこの赤字その他に対する特別なものだけは強制でありまして、その他はおうむね任意で、任意強制としてやつて行くほうがこれは妥当であろうというふうに考えておるのであります。
  72. 松永義雄

    松永義雄君 最後に大臣にお尋ねするというか、希望を申述べておきたいと思います。それは、この農業予算の額が非常に少いこと、その他金融というか、政府出資というか、そういつた方面についても、鉱工業に対しては非常に莫大でありますが、然るに農村は少い。で、このこと自体がもうすでに農村が疲弊して行く大きな理由なんです。この予算のきめ方、或いは政府出資のあり方、一口に言えば農村の利益を高くして、以て鉱工業を中心にして日本の立つて行く途はどこにあるかというような点について、いろいろ議論があるでしようが、少なくとも農林予算は非常に少ない。これは大臣の悪口を言うようだけれども、心臓の大臣としては実に少ないと思います。幾多の必要を感せられて、事々にどうだとか、基金はどうだとか、こういう議論が出て来ることは、そのことの問題もあろうけれども、全体的に見て、この農村への予算面において、非常に配分が少いということから出て来る。少なくとも私はそういうふうに思う。あらゆる機会に、これは農村へ持つて行かなければ農村は立たない。すでに御承知の通りに、そのことによつて起る弊害は、ここでくどくとして言う必要はないと想う。そういうことになつてから対策を講じたらいいというのではいけないので、弊害を、そういうことを予想して、防止するということを考えなければいけない。予算が少いということは、あなたの努力が足りないということ…。
  73. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) これは、あなた実際親切なお言葉ですが、これは実にその通りです。どの点から言つても、農林予算が少いということは、これは国会も十分この点に力を注いでもらいたいと思うのであります。で、私たち閣内において、いつでも何かの問題というと、農林省と各省全部を相手にして喧嘩をするという形になつて来るのであります。このことが近頃やつとこれが経済人にわかつて参りまして、特に一万田君や、石川、荷見氏等が、この問題を非常に大きく取上げて参つております。今まで殆んど鉱工業一点張りのような連中が、この農林生産というものについて目を向けて、而もこれを外部に言葉を通して発表してくれるというようなことは、未だなかつたのであります。そういうようなことがどうして来たかというと、現在輸入している食糧の金の総支拂高と、正常貿易によつて輸出する総輸出受取勘定とを比べて行くというと、非常にこれは心配になるのであります。今なんか特殊な景気に俘かされて、武器の下請であるとか、或いは朝鮮の問題であるとかいうようなことで、ドルの勘定が少し入つておるようでありますが、それに加えてパンパンの金を一億予想しておるというようなこの経済の状態で行くことは、非常に私は間違つておることだと思つておるのであります。で、この農業の一番大事な土地改良、或いは又その他の農業土木事業費が公共事業費の中に入つて、その圧力で又細つて行くというようなことは、どうしても我々は考えなければならんので、来年度予算からは、農業生産費も全く一本の独立したものを打ち立てて行かなければならん段階に最早なつておると思うのであります。それから鉱工業方面のことを見ますというと、主に地下資源についても、非常に日本は足りないのであります。それから又一番珍重される希少物資について見ても、これは又足りないのでありまして、それから又戰争戰後を通じて、日本の工場における機械の老齢、又技術の低下等から見て参りまして、平和が来た場合に、果してあの品物で世界市場に出て競争できるかというと、非常に私はこれは心配だと思うのであります。その場合に、この食糧を外国から買つておる現在のこのままでいいかというと、重々いかんということになるのであります。農業に重点的にこれは国家資本を注入しなければならんのであります。まだ我々の力が足りませんので、非常に心配をいたしておりますが、来年度予算は、そういうような方向農業生産という一つの大きな部門を第一に掲げて行かなければならんもう段階である、こう考えておるわけであります。
  74. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 只今松永委員農林大臣の応答の中にありましたことを、実は当委員会で、先に農林政策の基本方針確立に関する決議案にもあの精神を盛つたつもりで、非常に当委員会としても努力しておる点であります。それから個人的でありますが、先般飯島委員から、農業基本法というようなものができれば一番いいのだというお話がございましたが、まあ会期切迫の際、当委員会でもそれを今ここで取上げて、直ちに成文化するということは困難でありますが、まあとにかくこの委員会でいろいろな法案が問題になる都度、結局その裏付けの予算のことが基本的な問題になりますので、委員会としても大いに努力をいたしますが、農林大臣にも一層一つ努力をお願いいたしておきたいと思います。
  75. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 只今大臣の御答弁に関連して、実は簡単にお聞きをしたいと思いますことは、これは実は畜産局長に近く出席をして頂きまして、細かい点を質問いたしたいと思つておりますが、実は今の御答弁なり、又御答弁はなくても、大体の従来の考え方から、実に我々が非常に予想外に思つておりますのは、バターの輸入問題でありまして、これは我々としては予想もできないような問題だと思うのでありまして、多少我々が今まで開きました範囲でも、なかなかこの問題は理解がしがたいのであります。折角或いは酪農の導入なり、その他随分御努力政府はされておるその矢先に、相当量のバターを外国から入れるということは、これは非常なシヨツクを業界にも與えてもおりますし、又我々も非常に理解に苦しむ次第であります。只今お話のありましたように、主要食糧だけでも四億二千万ドル近い外貨を使つており、お話のように、輸出だけで見れば、十三億僅かの輸出に、食糧だけでも四億ドル以上の外貨を使つておる。そういうような時に、勿論バターが欲しいことは勿論でありますけれども、併し片方で酪農の育成指導に随分政府も今年から熱心になつておる矢先に、こういうことをするということは、火に水を掛けるというような感じが私は非常にするわけでありまして、今まできまつたものは仕様がないと思いますが、当分私は見合すほうが適当ではないかと思いますが、これは、事務的には畜産局長に質問して見たいと思つておりますが、大臣に大きな方針として、これは今まできまつた分は止むを得ないとしても、当分これはやらないというお考えでありますか、その点お聞きしておきたいと思います。
  76. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 只今の御質問のその酪農の問題でございますが、特に輸入バターの問題は、先般岡村さんから御要望がありまして、そのために一日時間を割いてくれということで、実はこの農業災害補償法案三法案が上つたら、そのあとに、できれば大臣に畜産局長を同道して委員会へ出て償いて、若干の時間を費やしてやろうと思つてつたのでありまして、大臣がこの際出られないと言えば別ですが、余り長い時間も要しないと思いますので、もう一度差し繰つて出て頂くことにいたしまして、改めて検討をしたいと思いますが、如何ですか。
  77. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 結構です。
  78. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 今日の新聞を見ると、イギリスの東南アジア方面の最高弁務官がお見えになつて、まあいろいろと、日本政府と東南アジア方面の開発等についてお話合いがあると思うのですけれども、私はこの際大臣にお願をしたいことは、かねてから言つておるのですけれども、この際まあいろいろ考えられるうちの一つに、東南アジア方面のいわゆる伐木造林と申しますか、あれを進めてもらう何かこういう話合いをしてもらいたい。まああれは御承知の通りに、殆んどまあ米人と日本人が機械力を使つて、大々的に出す技術を持つておるのであつて日本のまあ御承知の通りの資金の状況ですから、この際あれを十分できておるものを以て伐つて利用する、そうして日本の資源の非常に不足しているのに間に合せるという問題が一つ。  それからそのあとにマニラ麻であるとか、或いはパルプ用材のようなものを植えるという問題をやはり日本人の手でやるように一つ話し合つて頂きたい。マニラ麻は、もう言うまでもございませんが、パルプ用材にいたしましても、闊葉樹の或る種のものは二、三年で伸びます。針葉樹は、これは十年足らずで又パルプになるというのでありますし、是非これは、それぞれの国民にとつても非常に仕合せを持ち来らすことでありますし、日本としては又望ましいことなんだし、この点を。  それから第三としては、ゴムとか、ココアとか、コーヒーというようなものを、やはり日本人のこの企業において、何らかのまあ制約があるかも知れませんけれども、やるというふうなことを話合つて一つこの点に御努力をこの際にお願いしたい。この点をお願いいたします。
  79. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) これは実は私どもも考えておりまして、今構想をまとめておるのでありますが、特にこの林業につきましては、日本国と米国が非常に発達をしておることは、あなたの専門的な目から見てもそうだろうと思うのでありますが、我々もその通り考えておるのでありまして、実はこれはやりたいと思つております。戰争前から、戰争中におきましても日本のこの林業知識が非常に南方に行つておるのであります。特にパルプ等に関しましては、藤原銀次郎あたりがすでに向うにおいて着手いたしておつた先例もあるのでありまして、私いつも藤原さんにあの当時のことを聞きまして、これを非常に再現いたしたいと思つておるのであります。資料をまとめて、外務省を通じて、その点のことも今聞いておるのでありますが、弁務官の来た序でに、先ず私はこれはやりたいと、こう思つておるようなわけであります。
  80. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 大臣に対する質問は、本日はこの程度でよろしうございますか……。それではこの程度にいたしまして散会いたします。    午後三時四十五分散会。