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1952-05-27 第13回国会 参議院 農林委員会 第40号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十七日(火曜日)    午後一時四十九分開会   —————————————   委員の異動 五月二十三日委員松浦清一君辞任につ き、その補欠として小林亦治君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    理事            山崎  恒君            西山 龜七君            加賀  操君    委員           池田宇右衞門君            瀧井治三郎君            北村 一男君            宮本 邦彦君            飯島連次郎君            片柳 眞吉君            島村 軍次君            三浦 辰雄君            三橋八次郎君            松永 義雄君            駒井 藤平君   政府委員    食糧庁長官   東畑 四郎君   事務局側    常任委員会專門    員       安楽城敏男君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農産物検査法の一部を改正する法律  案(衆議院送付)   —————————————
  2. 山崎恒

    理事山崎恒君) 只今から農林委員会を開きます。  本日は農産物検査法の一部を改正する法律案審議を始めたいと存じます。質疑に入ることといたします。
  3. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 農産物検査法によつて検査品目を拡げるということは、農産物優良確保のために大変よいことだと思うのですが、先般の行政整理におきまして地方検査員が、特に経験のあるものが整理されたと聞くのですが、それに対しましては、臨時に雇入れました人を以て検査に当てておる、こういうことを聞くのでありますが、果して地方検査員が本当の検査員と、それから臨時に雇入れまして検査をやつておるものとの割合がどういう工合になつておるものでございましようか。
  4. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 先般の行政整理検査職員行政整理をやつたのでありますが、「あわ」、「ひえ」、「そば」、澱粉等検査任意検査を国が委託を受けてやります場合においては、今日のような段階でありますので常置職員を置かず、延三千名の非常勤職員というものを置くということにいたしておるのであります。現在検査職員は約二万名程度であります。別に検査員としての定員というものはございませんで、全体としてのうちから検査員補助員を含めて約二万名おります。それに対しまして非常勤三千名を殖した、延でございます、そういうことでございます。
  5. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 三千人と申しますれば、二万人に対して三千人ですから、相当の数だと思うのでございますが、それで今まで通り経験を持つた検査員と同じような検査が施行できるかどうかというような確信をお持ちでございますか、どうか。
  6. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 非常勤職員は従来の検査官と同じような、とても能率的な業務はできないと思います。検査官を機動的に活用いたします補助としてこれを使わざるを得ない、こういうように実は考えておる次第であります。
  7. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 そうなつて来ますると、検査品目は増加し、一方においてはそういうような欠陷があるとしますと、今後のこの運営に当りましては特に一つ注意を願いまして、一般農家に迷惑のかからないように運用をお願いしたいと思うのでございます。それから先般成立いたしました主要農作物種子法につきまして当委員会におきまして審査の際に、米麦種子審査主要農作物種子法によつて行うのであります。又でき上つた米麦の現品につきましては本農産物検査法によつて行うことになつておるのでありますが、検査がかように二元化することは大変不適当なことと思うのでございますが、できるだけ近い機会にこの米麦検査主要農作物種子法案に一元化することができますれば非常に幸いだと思うのでございますが、この点につきまして政府はどういうように考えておりますか、又それにつきまして、どういう準備が進められておりますか、又このことを実現する時期は大体いつ頃でございますか、お伺いしたいと思います。
  8. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 米麦種子検査自体は圃場で審査をいたしませんと、でき上つたものの検査のみではその目的が達せられないという意味におきまして種子検査につきましては圃場検査というものを農政局のほうでやることになつたのであります。圃場審査した種子を更に俵に入れるときにおきましては、農産物検査の別途の検査をやるわけであります。その間の連絡につきましては、これは片一方は県でやります、米麦そのもの農産物検査法による検査は国でやるのであります。この間十分連絡をいたさなければならんということは了承いたしておるのでありますが、種子以外の一般米麦につきましては、我々といたしましては、圃場検査までの必要がないではないかという意味におきまして従来と同じような農産物検査法による検査でいいのではないかという考えを実は持つておるのであります。種子そのものにつきましては、特殊の性格から圃場審査をやり、その間の連絡ということを十分緊密にやつて参るという必要は十分了承しておりますが、別個の体系で行つて種子検査そのものにはじやまにならないのじやないかというように実は考えておるのでございます。
  9. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 県のほうと連絡をとらなければならんとおつしやいますが、当然のことでありますが、これは連絡と申しましても、検査が一元化になつておりますればいろいろな点においてスムーズに行くでしようけれども、二元検査におきましては連絡をとるといたしましても、具体的には一体どういうふうな連絡をとるということになるのでありますか。
  10. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 形式的には圃場審査したものには審査証明書を交付し、同時に俵に証票を付けるということによつて、明らかにこれは圃場審査を受けたということがわかるのであります。勿論技術的にはその現物等については圃場審査員というものと食糧検査員というものが常時密接に連絡をとつております。現物そのものには証明書或いは証票等を付けるということによりまして、明らかにそれが検査通つたということが検査員にもわかるということになるのであります。
  11. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 主要農作物種子法ができましたのちでございますので、折角農家優良種子を目途として増産をさせようというようなことであるのでございますから、この連絡は十分一つ具体的にお考えを願いまして、どこまでも農作物種子法の真意が徹底し、増産に寄與するようにお計らいが願いたいと思うのでございます。なお強制検査品目地方検査品目を調整いたしまして、地方検査品目の或る種のものを新らしく強制検査に移す計画はあるかないかということをお尋ねしたいと思うのであります。
  12. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 国の強制検査品目を追加する意図は只今のところございません。
  13. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 今回の法律改正によりまするこの予算的措置はできておりますかどうか。
  14. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 新らしい品目のうち「あわ」、「ひえ」、「そば」、澱粉、「はつか」、除虫菊、この品目につきましては、只今申上げました非常勤職員等手当等を入れまして六千九百万円の予算を組みまして、一般会計から食管特別会計に繰入れるということになつておるのでありまして、大麻、亜麻、「ちよ」麻、「みつまた」、「こうぞ」又は「わら」工品というものにつきましては、まだ予算的措置ができておりません。近い機会予算補正等がありました場合におきましては、こういうものの收入というものと見合いました歳入予算を組まざるを得ないというふうに実は考えておる次第であります。
  15. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 新たに追加せられましたこの品目検査手数料は一体どうなつておるのでありますか。
  16. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 検査手数料は実はまだ政令等で正式には決定しておりませんので、部内でいろいろ審議中でございますが、高いもので大体におきまして千分の四程度、十以下でございますが、安いものでは千分の一・三でございます。いろいろあるのでございますが、考え方といたしましては、従来條例等強制検査をやつておるのでありますが、そういう検査手数料よりは上げない、むしろ下るものもございます。そういう方針で個々のものにつきまして審査をいたしておるようであります。
  17. 加賀操

    加賀操君 只今予算のことが出ましたが、検査内容は別といたしまして、一方では検査料が非常に高い、こういう声がありますし、又一方では検査所経費が足りないので地元後援を多分にしておる、こういう現象が明らかにあるわけであります。それでこの問題につきましては、先に本法を制定する際に、本委員会で随分議論なつたところであります。併し政府のほうではその範囲内できめるから成るべく安くする、こういう言明をされたので、その條件の下に通した、こう覚えておるのであります。併し今表を見ますと、高い範囲の上の端まで行つておるようでございます。そうして一方では検査所経費が足りないから地元後援をしなければならん、これを考えて見ますと、この検査に使います経費及び收入は大体どういうふうになつておるかという概数を先ずお聞きしたいと思います。
  18. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 農産物検査に関します職員事務及び人件費收入との問題でありますが、米につきましては、今検査手数料はかかつておりません。麦につきましては、先般申上げました通りでございまして、非常に大きなものにしては、実は検査手数料をとつていないということになつております。その他の物資につきましては、先ほどの六千九百万円が大体該当するのでございます。その品目につきましては、先ほど申上げました通りでございますが、今回の品目中まだ予算的措置の済んでいないものもございます。実際問題といたしまして、検査手数料に書いてございますけれども、統制中であつたために手数料としての收入はなかつたわけでございます。農家の負担でも又なかつた、こういうことでございまして、麦だけにつきましては、先般申上げましたように一俵二十円とうことにいたしておる次第でございます。
  19. 加賀操

    加賀操君 只今の御説明で收入はない。そうすると、支出だけあるわけでありますが、その支出が少ないためにいろいろ不便が起きておるのではないかと思いますが、大体政府のほうでお調べになつておると思いますが、政府検査だけか、或いは食糧管理のほうも一緒になつておるか、よくわかりませんが、先ず検査のほうといたしまして、政府支出する経費と、それから実際に検査に要る全部の経費、これを大体抜取り的にでもお調べなつ数字がありましたら、お知らせを願いたいと思います。
  20. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 今の抜取りで一つ作りましてお示しをいたします。
  21. 加賀操

    加賀操君 詳しいことはその数字が出ましてから申上げますが、農産物検査法の第二十一條で、府県條例検査を命令しましてこの検査を国に委託する場合の検査料及びその経理方法ですが、第一番目に検査法に規定してありまする農産物検査した場合にはこれは問題はないと思いますが、農林規格法に規定してあるものを検査した場合の收入です。それから農林規格法によつて府県検査委託してやつた場合の検査料をどう経理してあるか、こういうことなどを先ずお伺いいたします。
  22. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 従来農産物検査法検査品目でございませず、農林規格法に基く規格によつて県條例を出しまして、国に委託しておるものはございます。今回そういう点は検査法追加品目として頂くことによつてはつきりとこれは国の收入になつて一般会計から特別会計に繰入れると経理はつきりするのでありますが、従来はその根拠につきまして、農林省設置法に基く食糧庁分掌事務という形で国が委託を受けました。従いまして県から県にあつた收入を一遍食糧庁が受けまして経理をしておつたということであります。このこと自体は余りいい方法では決してございません。従いまして今回の追加品目にそういう物資は加えてあります。現に加えてございますが、そういたしますと、これははつきりと條例強制検査のものを国に委託されました場合は、收入印紙を以てはつきりと国の收入になりまして、一般会計收入から特別会計のほうへ繰入れてもらうということになりまして、すつきりするわけであります。従来は遺憾ながら県から食糧事務所が金を受けまして経理をしておるという関係になつておる次第であります。
  23. 加賀操

    加賀操君 只今申上げました以外のもので、検査を好意的に国の検査所がやつていた場合には、そういう経理農林省では関係なかつたと、こう考えてよろしうございますか。
  24. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 農産物検査法に挙げてないものにつきまして、我々としましては国の農産物検査官が県の依頼を受けまして検査をしてその経理食糧事務所が受けるということは甚だよくない経理であると思いまして、成るべくそういうことはやめたいと思つております。又この追加品目以外にそういうものがあるかどうかはちよつとわかりませんが、成るたけそういうことは避けて参りたいと、こういうふうに実は思つております。
  25. 加賀操

    加賀操君 少し内容亘つて詳しくなりますが、聞くところによりますと、経費食糧事務所として出ておるのでありまして、その中に管理費検査費に分れると思いますが、その場合に現地においては管理費のほうが少いから、どうしても検査費のほうを食われる、こういう説が非常に多いのですが、食糧庁としては、そういう点をお考えになつて何か方法を講ぜられることがありますかどうか、お尋ねいたします。
  26. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 検査官なり検査官補というものは、現地におりまして絶えず実は動いておりますので、出張旅費等管理事務から見ますと若干多いのであります。管理事務そのものも非常にやはり出張する仕事がありますので、どういたしましても現地におるほうの事務が非常に忙しいのでありまして、そういうほうの仕事に要る金を若干は使うという関係でそういう問題が起ると存じます。我々は今後の仕事実態に応じまして経費そのものの適切を期しませんと、この問題は解決しないと思います。実態に即しまして今十分検討を加えつつあります。何分にも地区々々によつて大分事情が違いますので、中央で現地十分連絡をいたしまして解決を図つて行きたいと、こう思つております。
  27. 加賀操

    加賀操君 二、三実際について申上げますと、例えば北海道で何ぼ儉約いたしましても、普通の家庭でも三トンの石炭は要るわけです。事務所ですから三トンや五トンで足りるはずはないと思いますが、大体六カ月で四トン使いますと、こう仮定しましても、二トンくらいな経費しか燃料費は来ていないわけであります。それから備品にいたしましても、大体数はありますが、これは使えないものが非常に余計にあるわけであります。そういうような関係もありますし、建物なんかも多くは国のものでなしに借入れたものがありますが、その経費なども名目だけのところが非常に多いわけでございますが、こういう点は検査の権威から言いまして、どうも私は都合が悪いと思うわけであります。一番問題になりますのは、こういういろいろな経費が足りないものですから、先ずはつきりわかりやすく申しますれば、抜取り品を頂いたような、頂かんような工合検査所で使つておる、こういうのが大変多いのですが、法の建前から言えば返す、こういうことになつておるのであります。一応返してそれを寄付してもらつておるところなら、まだこれは理窟が立つと思いますが、そうでなしに了解を得たような程度で使いまして、あとで問題を起しておるような点がありますので、これは私御注意を申上げる程度にしておきたいと思います。次に質問いたしますのは大きな点ですが、先ほどから三橋さんからちよつと言われましたが、私は農産物品質上成果を挙げる点において、農産種苗法というものがこの間できましたのですが、その場合に政府が、少し強く申しますと、品種を限定することになります。そうしてそれに対して非常に多くの予算を以て種苗生産をする、生産された米麦は大体政府が買入れるという方針でありますので、こういう点を一貫されまして、検査の場合に少くとも第一着手に、政府が定めました優良品種というものは、検査のほうでもはつきり銘柄を付けて、格差を付けて、政府が最良の種苗生産目的を達成するようにしなければいかんと思いますが、食糧庁として種苗法で定めます品種検査の場合に明らかに優遇をして、これを政府買上げるような検査方法をおとりになるかどうか、その点をお伺いいたします。
  28. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 農産物種子格付、それを普及する場合においての格差の問題でありますが、いわゆる規格増産との問題でありまして、食糧庁としましては、従来は品種の歩留りという一つのことを以て格付をしておるのでありますが、或る品種を特に増産をするというような場合に、それにつきまして相当価格その他で考慮するということも、これは農業政策上必要なことであるというように勿論考えております。具体的に責任当局等におきまして、そういう品種のいいものを特に増産する場合に、検査そのものでそれを格付をするということのほかに、なお価格政策等を見る場合におきましては、我々といたしましても、十分これは協力をいたすべきであるというように実は考えておるのでありますが、具体的のケースによりまして考慮して行きたい、こういうふうに考えております。
  29. 島村軍次

    島村軍次君 先に国営検査の問題が前国会で取上げられまして、ここに統一的な検査法というものができたのでありますが、元来農産物検査はどこまでも生産増強農家本位考えるべきだと思うのでありますが、たまたま今回の検査法改正に当りまして、先国会当時問題になつておりましたが、食糧庁から切離して新たに独立した機関を設けるという議論衆議院においては前回希望決議になつておりますが、これに対する長官のお考えを先ず承わりたいと思うのであります。食糧長官は先に農政局長をおやりになつておりましたし、農政上の立場から考えますというと、理論的に私は独立すべきものだと考えますが、率直な一つ意見を承わりたいと思います。
  30. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 農産物検査というものが政府食糧の買入れ、売渡しという操作と別個に、これは特殊な重要な意義があることは十分了承いたしております。又検査手数料が果して独立採算制でやれるかどうかという問題についても相当御論議があつたのでございます。私といたしましては、農産物検査というものは島村さんのおつしやいましたように、これは将来は一つの独立した性格で、農家のためによき品質のもの及び商品を、又合理的に価値が出るように検査すべきであるということを十分了承いたしておりますが、主食統制中、農産物検査官が同時にこれは主食の買入れに関しましていろいろな仕事を今やつております。支拂証書の問題その他についてもやつておりますので、米の統制中これを特殊機構にやりました場合、その特殊機構のものを食糧庁から又お願いしたらいいじやないかという議論も立つと思いますが、今日の状況におきましては、まだ時期早尚という実は感がいたしております。考え方の根本につきましては私は異存はございません。
  31. 島村軍次

    島村軍次君 先に食糧管理食糧庁と、それから検査の問題とが同じ農林省の官庁であつて分れておつたものが、戦時中に一つ機関なつた経過から考えますというと、只今お話なつたような事務的な問題が相当主体理由になつてつたことと、まあ行政機構全体から見ますると、一つの統一したものというような意見も出るのでありますが、元来が食糧管理は従来流通過程における問題を主体にして食糧の不足した場合に対する措置主体理由になつてつたのでありますが、今後においてはお話通りに、これは独立した一つ機関として農家本位に、農政上の立場からこれを措置して行くということが私も適当であると思うのであります。只今お話のこの支拂証書等の問題については、これは細かい問題のようでありますが、誠に末端検査員としては非常に煩瑣な仕事であつて、今回の麦の統制の廃止に伴つて今後漸次にさような姿に、例えば米においても供出制度については更に検討を要するというような事態が漸次抬頭して来る際におきましては、一つのこの米麦管理という問題も自主的管理の方向に行くべき筋合だと思うのでありまして、政府買上げるものは、例えば農業協同組合等自主的管理を行わせるために、事務のほうをそれらに委託してやるということが事務簡素化土非常に適当であると私は思うのであります。従つて無駄な経費を省くということにも相成ると思うのでありまして、これらの点について十分な一つ調査を進めて頂きたいことを希望いたすのでありますが、現在の段階において、さような措置をすることが時期尚早という御意見はありましたが、至急に調査を進めて、これらの問題は事務簡素化と併せて考究すべきであると思うのであります。それに対する一つ意見も併せて承わりたいと思うのであります。
  32. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 麦等につきましては、島村さんのおつしやいましたように、成るたけこれは政府の買います場合、買受代行人、これは農協が大部分でございますが、そういう事務を代行して頂こう。勿論国の支拂いでございますので、支拂証書そのもの検査員が捺印をいたさざるを得ないのであります。具体的な事務そのものにつきましては、成るたけ代行をして頂くということに進めて参りたい、こういうふうに実は考えております。米等につきましては、もう少しよく検討いたしまして行く必要があります。なお末端等におけるいろいろな調査事務であるとか、いろいろな事務等につきましても、現地に即した調査をやるのに、管理事務職員が実はいないのでありまして、どうしても末端検査官のほうにお願いをしておるということもございます。その辺が共通的な仕事もまだやらしておるような事態でございます。もう少し事態の進行を待つてはつきりとした性格にしてはどうか、こういうふうに実は考えておる次第でございます。
  33. 島村軍次

    島村軍次君 長官の時期尚早というお話は、どういう根拠から時期尚早という見方をされておるのか、その点から一つ承わりたい。
  34. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 検査の非常な大きな部分米穀でございまして、米穀供出制がまだ続行されておりまして、検査買上ということになつております。買上事務そのもの管理事務になるのでございますから、管理事務そのもの末端職員というものは検査員がこれを代行しておる。支拂証書を切る事務等は、順次これは買受代行的な供出代行をやります農協等お願いをするわけであります。その他いろいろな調査でありますとか、現地事情等も、全部管理については未だ全部検査員を通じてやらしておるというような実態でございます。麦等供出制度が今回なくなりますので、若干性格がだんだん変つて参ります。本来の検査員らしい検査をやる性格が出て来たのであります。順次そういう形において訓練を積みました上でこれを切離し、管理事務管理事務としての体制、整備ができましたときに合理的な分割ができると、こういうふうに実は考えておるのであります。今の段階におきましては、まだ事務的な点から言いましても、もう少しこれは今の体制を崩さないほうがいいのではないか、こういうふうに実は考えておるのであります。
  35. 島村軍次

    島村軍次君 この前自由党の政策として米麦統制解除の問題が出たのでありますが、当時におきまして考えられたことは、この今日の供出制度というものに対して、非常に農家が苦心をしておる。而もその供出の割当が公平に末端に行くということがなかなか困難であつて従つて或る者は非常に残り、或る者は供出米を自分の自家用米から割いて出さなければならんというような事実が現に未だ残つておるというところから、従つてこれに伴ういわゆる自主管理という問題が主体になつて考えられたことだと思うのであります。むしろこの際私は麦の統制が解除されるという段階においては、将来只今お話なつたような、農政上の立場と、或いは又自主管理という考え方を織込んで行くという点から、早急にこの検査の問題、分離に関しての詳細なる一つ検討を加えて事務上の細かい点に至るまで一つ至急に立案して御検討を頂くことを希望いたしたいと思うのであります。これは希望でありますから、その程度にとどめまして、今回の麦の統制撤廃につきまして、併せて国営検査一般検査を行い、政府買上は更に受入検査を行うということになりますというと、二重検査になるということになるのであります。事務執行上或る程度まで止むを得んというような考え方もされるのでありますが、受ける農家から言えば、これは非常に煩瑣なことになり、且つこれを取扱う取扱者から言つても、同じ国営検査であつて、二つの検査を受けるということになるのであります。これに関して地方では相当議論が出ておりますが、これに関する何か便法及び事務的の簡素化方法について考えられておられるかどうか、一つ伺いたい。
  36. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 麦の統制が撤廃されました場合に、国が検査をやりましたものを直ぐ国に売られます場合は、これは両者が一致しまして、別に受入検査をいたす必要がないのであります。国に売られましてから後相当の期間が経もました場合に、時期によりますと、虫食いがありますとか、いろいろな問題がありまして、受入れの業務というものが、やはりこれは検査と申しておりますが、検收的な仕事がやはり必要かと考えます。我々としましては、それは全部やるんじやありませず、例えば梅雨時でありますとか、季節の悪いときにはいい倉庫に入つておりますものは検査後一カ月間はこれはやらなくてよろしい、或いは十一月以後、天候がよくなりました以後にとるものにつきましては、これはいい倉庫であるものはよろしい、いろいろな便法を講じまして、夏場非常に虫害等が多い場合、国会等のたびたびの御意見等もございまして、本年は政府指定倉庫等につきましても、燻蒸可能でない倉庫まで認めるということにいたしておりますので、非常に事故品等がありまして、二カ月も前に検査をしておつてそのままこれを認めるということも、別途食糧管理特別会計を預かるものとしてどうかと思いますので、若干時期の過ぎましたもの、時期の梅雨時、夏場のものにつきましては検收をやりたい、こう考えております。これは農産物検査法による検査ということではございませんで、政府買上げする現物をよく見たい、こういう検収をやりたい、こういうことでございます。さよう御了承を願います。
  37. 島村軍次

    島村軍次君 そうすると、二重検査でなくして検収ということに解釈してよろしうございますか。
  38. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) さよう御了承願います。
  39. 島村軍次

    島村軍次君 その点をいずれ事務所長会議をお開きになつてよくお話になるのであろうと思うのでありますが、受けるほうから申しますると、検收であつてもこれは同じような手数を受けるということになるのではないかと思うのです。この点は一つ十分事務簡素化と、そうして二重にならないように、実際問題としては一度に済むような方法を案出して頂きたいことを一つ希望申上げておきます。  それから次に倉庫の問題でありますが、本年度は倉庫は燻蒸をなし得ないようなものまでも指定倉庫にしたいというお考えのようでありますが、食糧管理全体の立場から言えば、末端事務所としては成るべく一括したいいものを売つて、減耗のないことを望みたいことは、これは当然であり、又さようにすることが職務に忠実なるゆえんであると思うのでありますが、現在まで食糧管理上非常に不足した場合には、末端農林省の指定倉庫というものをたくさん認めておつたのでありまして、当分の間現在認めておられる指定倉庫は全部これを保管管理をやらしめるという考え方で進んで頂きたいと思うのでありますが、その点に対する御意見一つ
  40. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 食糧管理面から申しますと、これは燻蒸可能な倉庫で、管理がしつかりしたところをしたいということを熱望するのでありますけれども、今年は倉庫等が整備しておりませんし、又農民そのものの御希望から言いましても、我々は島村さんの御質問の趣旨によりまして実施いたしたい、こういうふうに考えております。
  41. 島村軍次

    島村軍次君 もう一つ併せて承わつておきたいと思いますが、今回改正になりまする品目は、府県でやつてつたものを委託して検査を受けておられる面が相当あると思うのです。その場合には只今だんだんお話がありましたように、大概府県のほうから経費をとるか、或いは又手数料を代行してとつて、その範囲において事務の執行をやつておられる一例をお話申上げて見れば、長官よく御存じないと思うのですが、「はつか」のようなものは、従前「はつか」が相当輸出された時分には、同業組合等で自主検査をやつてつたものです。その時分には、極めて少額な経費で、而もサービスを非常に主体にしてやつてつた。そこで先般或る席へ出て見ますると、国営検査なつたということは非常によいが、どうもお役人であつて、例えば一の検査をするのに十人を要する、同業組合の検査の当時にはそれが十分の一で済んでおつた、一人でやつてつた。要するによく駈けずり廻つてつてつたと、こういうふうなことを聞くのでありまして、この点は将来の検査の執行に、特に品目がこういうふうに追加されたのでありますから、特別に注意をしてもらうことと、それから検査員自身がやはり生産者本位に働くということに嚴重なる示達を長官から出してもらう必要があると同時に、訓練の上に、又事務の能率の上にも、さような姿になることが国営検査というものに対する信用を増すゆえであると私は深く信ずるのであります。その点に対して希望を申上げて置きます。それからもう一つは、ここにある澱粉というものは、これは農産物と言えば農産物の中でありましようが、それから「はつか」とありますが、「はつか」についてはこれは取卸油を検査するというのでありますが、農産物でありますから、法律上もちよつとこれでいいでありますか、取卸油或いはできた「はつか」の買つたいわゆる形容を言うのであるか、そういう点については疑義はないのか、例えば、この法律だけを読んで見まして、ここにあるかも知れませんが、「はつか」油をやるのか、脳をやるのかというようなことに関係があるのか、その点に対する、これはどなたでも結構ですが、御答弁を願うことと、それから長官に特に伺いたいと思いますのは、農産物検査というものが食管法の関係の中でやられることになるのでありますが、先ほど私が独立すべきものであるという意見を出しました中には、現在やつておる輸出検査等の仕事を同じ農林省の出先官庁として別途にやられておるのであります。このほうについては別の意味があると思うのでありまするが、併し漸次品目が殖えて参りますというと、米麦のような食糧でないもので、加工品を漸次やるというようなことになりますと、例えばここにある「みつまた」であるとか、或いは「こうぞ」であるとかいうようなものも併せて検査をする、「みつまた」のようなものは、一応加工したものを検査するということであるか、或いは元を切つて来たものをそのまま、或いは黒皮そのものをやるのであるかというようなことがはつきりせんと思うのでありますが、従つてそれと同時に輸出品になるようなものの輸出検査を行うというような場合に、相当のこれは設備を以て科学的な検査をしておられるわけであります。むしろ私は輸出検査を現在農林省のやつておられることと、農産物検査というものは、多少の目的なり、その他違うところがありまするが、併し将来の機構改正には同一な方向に向つて行くべきじやないかと考えるのでありますが、その点に対するお考えを承わりたい。
  42. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 「はつか」につきましては、実は日本農林規格のまだ規格が集はできていないのでございます。至急これは規格を作るべきだと思いますが、規格につきましては、取卸油のほうをやるというように考えております。「みつまた」等につきましては、すでに日本農林規格ができておりまして、黒皮、未さらし、さらし、この三つでございます。なお輸出検査は、これは又検査の目標が輸出品等でありまして、若干性格が違うのであります。今日のところでは農産物検査法による検査、日本農林規格規格による農産物検査法による検査、この二つは食糧庁が今後やるのでありますが、その他の問題の検査そのものにつきましては、果して農産物検査官が適当であるかどうかにつきまして、もう少しよく検討いたさなければならん、こう考えるのであります。ただ事務その他の点につきまして、輸出検査のほうの職員等が足りません場合等につきまして、若干問題があることも了承いたしておりますが、この調整等につきましては、もう少しよく検討を加えて見なくちやならないのじやないかというように思つております。その他これに上げますもののうちの改正の重要なものは日本農林規格検査をいたすことになろうと思います。「はつか」につきましては、二、三日中に一つ規定を決定いたしたいという段取りになつております。
  43. 瀧井治三郎

    瀧井治三郎君 検査政府で一元化されておるように見えますが、実際は今島村委員さんのおつしやつたように輸出検査があり、或いは検査の中に委託検査が現在行われておるように思うのですが、そういうようなものを一日も早く一元化するというようなお考えがおありかどうか承わりたいと思います。もう一つ詳しく申上げれば、その例を馬鈴薯にとります。馬鈴薯にとりますが、馬鈴薯にとりますと、北海道では政府でその検査をする、そうして輸出をする中で種子検査は組合に委任してその組合がその検査をやつておるというのが実情でございます。これは非常に弊害が伴いますので、むしろやるからには一元的に政府でおやりになるのが、これが当然のことじやなかろうかと考えますので、それについて長官のお考えを承わりたいと思います。
  44. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 検査の統一という問題につきましては、先ほど島村さんの御質問に対してお答えしましたように、今日の段階におきまして、県のやつております検査、県のやつております検査條例で国に委託しておるもの、その他輸出の農産物検査という方式があるのでありますが、国に委託を受けました検査の中でも、特に北海道の馬鈴薯の問題があるのでありますが、種子馬鈴薯の検査等につきましても、食糧庁検査員の数等が、北海道全体から比べまして少いために、圃場の検査等は、これは勿論動植物検疫所がバイラス菌その他の問題はやつておるのでありますが、それ以後の問題になつて参りますと、北海道の條例で国が委託を受けてやるということになつておるのでありますが、実際問題としまして、国がそれだけの能力がございませんために、若干団体等にお願いをしておるというふうな実情でございます。こういうことにつきましては国自身の能率と充実を図つて漸次一元化するということ以外に今のところ解決の方法はないのでありますが、今日の職員等の能率化を図りまして、順次依頼を受けた以上、責任を持つた検査をいたしたいというように実は考えておる次第であります。
  45. 瀧井治三郎

    瀧井治三郎君 むしろ現在の場合におきましては、団体に検査をやらせるということは相当過去におきましても弊害が伴いますので、若しそういう場合があるなれば、仮に馬鈴薯とするなれば、北海道庁に代行をやらすというようなことが最も妥当、公平であろうと私は考えますのですが、これは希望といたしまして、一日も早く納得の行く公平妥当な方法一つ考え直しを願いたいと希望を申上げて置きます。
  46. 加賀操

    加賀操君 農産物規格を制定する場合でありますが、農産物検査法による規格の制定と農林指示規格による規格の制定の方法は違つているように思えるのですが、規格法によりますと、調査会にかけ、その規格を実施する場合において、関係者に非常な不利益がある場合には公聴会を開くという制度を置いておりますが、農産物検査法においては農林大臣が定めると、こう一項あるだけでありまして、非常に同じ規格においても制定の方法が違うのであり、この場合少くとも同業者の意見を聞くだけの方法は講じて置く必要があると思いますが、その点についてお考えをお伺いしたいと思います。
  47. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 農林規格を決定します場合において、農林規格調査会の審査を経てやるのでありますが、農産物検査は以前主として、これは統制中でございましたので、その間国で買上げるということによりまして、規格そのものが農林大臣が勝手にきめたということは、これは事実でございます。今日の段階におきまして、麦等統制が解けたのでありますが、我々としましても、農林規格、同じようにやはりこれは公けの審査会的なもので審査をよくいたしまして、規格を作るほうが最も合理的であるというように実は考えておるのでありまして、成るべく近い機会にそういう形の公けの審査会というものを作つて、合理的な御意見を聞いて規格を作りたいというように実は考えている次第であります。
  48. 加賀操

    加賀操君 小さい問題ですが、品目のうちに、かなり大きいものですが、燕麦が除かれているのですが、これは飼料であるという解釈の下に除かれましたかどうか。もう一つは、先ほど島村さんが話されましたが、「はつか」の検査ですが、私はどうしても検査はしなければならんと思つておりますが、ただ検査料相当に高い、こういうことは御承知でしようが、一罐で單位をきめてあります、只今の非常に下りました値段で計算いたしましても、大体一罐で四万円は入つているわけであります。それで検査をする場合に基準がありますが、この基準が一%違うごとに価格は一%違つておるわけであります。それで検査の際に一%の相違というものは、これはどつちでもなる、そうすると、一%違えば検査料がただになつたり、或いは検査料が倍になつたりするわけであります。それで農家といたしましては、この四百円の検査料が惜しいわけではありませんが、検査が不正確だ、こういう声が大変に多くて、実は私も納めかねておる点を十分御了承の上、得心の行く正確な検査を是非やつて頂きたい。これは希望ですから、十分に御研究の上完全な検査ができるように御盡力願いたい、かように思うわけであります。
  49. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 燕麦につきましては、加賀さんの御質問の趣旨によりまして、只今のところ検査をいたしていないのであります。「はつか」につきましては、農林規格のことはきまつておりませんけれども、一応法案では最高を抑えまして四百円ということになつておるのでありますが、別に四百円にきめるわけではございません。石油罐に入つておりますものの最高を抑えたのであります。規格等で罐等をはつきりいたしまして、罐に応じまして検査手数料を頂くことにいたします。まあ最高四%最低二・三%程度考えておるのであります。四百円かかるわけではございません。勿論この「はつか」そのものの検査につきましては、県から依頼を受けました場合は、これは十分やはり専門的な知識が要ると思います。我々は能力その他も十分研究した上で委任を受けることにいたしたらどうかと、こういうように実は考えておる次第であります。
  50. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 今度の改正の要点とはちよつと外ずれますが、折角の機会ですから、長官に一、二お伺いしたい。それは別の機会にも申上げたのですが、農産物検査法の第十一條によると、検査手数料についての規定があるわけですが、これは「二十円を、こえない範囲内において政令で定める」と、実はこういうことだつたので、私はこれに賛成したんだが、ところが「こえない範囲内」というのがすでに頭を打つてしまつておるわけです。これは高過ぎるという声は、もう恐らく全国共通の声なのでありまして、特に今度の麦の問題等をめぐつて、当委員会においてもこの問題は論議の焦点になつて来ておるというのは、すでに御承知の通り。この「こえない範囲内」というのを、つまり範囲内で以て引下げる意図なり、用意があるかどうか。
  51. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 実はこの法律ではいつも最高を抑えておるのでありまして、二十円を具体的に政令できめましたものは米と麦だけでございます。その他のものにつきましては、例えば「なたね」等につきましては五円ということになつておるのであります。麦等は先般も申上げましたように二十円、この政令によりますとかかるのでありますが、政府はそれだけの価格を値上げして買うので、実際は農家の負担にならない、米等はまだそれはとつておりませんので、二十円かけましても、実際はとつていないという状況であります。ただ二十円そのものをもつと下げるかという、こういう問題でございますが、これは麦等につきましては、大蔵省等ともいろいろ話合つた上のことでございますので、今俄かに私限りでこれをどうするかというわけには実は参らないのでございます。ただ検査手数料といたしましては、先ず千分の五程度を基準といたしまして、そのうちできめて参りたい。今後の新らしい品目等につきましては、すでに県が検査をいたしておる例がありますが、この検査手数料等も斟酌いたしまして、それ以上を超えないように願いたい、或いはそれ以下になるように取計らいたい、こういうように実は考える次第であります。
  52. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 この検査手数料に関しては、実は前の県が検査をしておつたときの価格と比べると、一つの事例をとつて申上げると、昭和九年に一俵において僅かに二銭であつたのが、只今はまあ千倍になつておる。こういう法外な検査手数料をよくぬけぬけととれるものだと思つて、実は私は憤慨というよりも、これは笑止の限りなんです。で、長官はいつも取るけれども返すということで、極めて老獪な答弁でごまかそうとしておるけれども、これはそういうわけには参らんのであります。麦はすでに自由になつた以上は、どこに売ろうと生産者の自由なんですが、政府以外に売つた場合にはまんまと二十円というものはとられてしまう、そういう見地からいたしまして、この二十円の検査手数料というものはひとり千倍、こういう倍率だけから言うわけでなしに、高いということに関しては、これはもう異口同音に認めておるところでありますので、特に米麦いずれも何ら差を付けないで、二十円というのもちよつとおかしいと思うし、それらの点についてどうも再考の余地が私はありはしないかと、こう思う。近くそういう意図があるとすれば、せめてこれの「一包装」について、例えば麦を例にとれば、極めて我々が常識的な計算をして見ても、先ず最大限五円くらいが適当であろう、こういうふうに考える。それを二十円で押通すというのは、如何に何でも図々し過ぎるように考えるわけであります。ここいらの意図を明らかに伺つておかないと、我々としても、そういう生産農家に対する答えようがないわけであります。その辺のところをもう一度はつきりと一つ回答ができるようなお答えの仕方を一つここで頂きたい。
  53. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 二十円の問題は食糧管理法の審査のときにも実は御質問を受けたのでありますが、私は二十円が安いとは決して思つておりません。二十円が相当農家の負担になろうと実は考えておるのでありますが、麦は幸い政府価格操作をやりますので、政府に売りますものは二十円高く買うということによつてその負担がなくなる、民間に参りますものは、これは二十円やはり負担がかかるのでありますけれども、政府価格が大体最低になろうと、こう思いますので、二十円だけは政府買上価格が上りますので、その限り農家の負担にはならないのじやないか、こういう実は考え方を持つておるのであります。絶対額としての二十円が高いか安いかとなりますと、決して安いということは申上げません。只今のところこれは予算等にもそういうようにきまつておりますので、これを五円にするという意図は今日のところございません。
  54. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それではもう一つ重ねて伺いますが、米と麦の検査料が同一絶対額であるということについては、どうも私どもは必ずしも適当でないと考えるので、これに差を付するという意図はないのでありますか。
  55. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 従価から申しますと、同じ六十キロでも米と麦は差がございますので、従価率から言うと、同じ二十円同士でおかしいじやないかという御議論も成り立つかと考えております。米がもう少し高いやつを、二十円を最高に抑えたという関係もありまして、こういうことに実はなつたのであります。二十円そのものの高い安いとなりますと、更に今後の米麦価そのものの関係において、十分検討いたさなければならないと思つております。今日のところ、我々といたしまして、これを五円ということを申上げる実はわけには参らないということを御了解をお願いいたしたい。
  56. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それではこれでもう質問を打切りますが、「二十円をこえない範囲」というのは、その範囲が米における二十円が私は最高の限度だと考える、そういう従価から類推をして逆算をして来れば、どう考えつて麦は下げざるを得ない。これは下げますと答えておるのと私は同じことだと思う。そういうことで私の質問は恐らく長官にとつては質問にならない愚問だと考えるわけですが、折角麦は統制も外れたわけですから、来年末までには必らずこれを超えない範囲という中において一つ下げて行くように十二分の研究と、それから措置お願いしたいと思つております。質疑を終ります。
  57. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 関連してちよつとお尋ねしますが、検査員手数料はわかつているが、検査員に対する給料、報酬の支給は全部国庫でやるんですか。
  58. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) さようでございます。
  59. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 然らばこの手数料はやはり国庫の收入となるのですか、地方庁の收入になるのですか。
  60. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 従来はこの追加品目については、県が條例で国に委託している場合におきましては一応県の収入になりまして、それを又国の食糧事務所が受けておつたのでありますが、その追加品目を加えてもらいまして、県がこの條例においてはつきり国に委託した場合においては、これは全部国の收入に入りまして、一般会計から特別会計に繰入れるという関係になると思います。
  61. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 今飯島委員からもお話があつたが、検査料は成るべく低廉でやるというところに検査の徹底と品質の改良を通じて増産に拍車をかけるということに相成るので、これは飯島委員の御意見は私は御尤もだと思う。実際を知つている飯島委員が真意を披瀝しているのだと思いますが、原案が上程された以上、この原案については是非の、又は肯定の問題は私はここで申上げません。申上げませんが、若し日本の食糧問題におきますところの政府の御方針通り増産品質の改良というような目標のために検査を行うならば、その検査目的達成に不便をなからしめるような御方針をとるのが当然であろうと、こう思います。そこで検査員の行動については、いわゆるやはり庭検査までやらせる親切さを持たせるのか、或いは集荷検査か、そのどちらの御方針をおとりになるのか、この点お伺いします。
  62. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 農産物検査は農民のためでありますので、池田さんのおつしやいました通り実施いたしたいと思うのでありますが、長い実は統制中でございましたので、農産物検査官そのものもだんだん若い人に変りまして、訓練が足りないということは重々了承いたしておりますが、将来はこれは勿論農民の検査官という性格から、すべてのものを判断して行く上において、只今のところ人員その他等もいろいろな物資に比べまして、検査以外のいろいろな仕事も実は附加えてやつておりますので、なかなか思う通りには参りません。順次そういう方向に持つて参りたいというように考えております。
  63. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 長官の御趣旨は非常に感銘しましたが、検査員に対しまして、少くとも自転車ぐらいは官費で支給して、統制を解除されたあらゆる農産物資の、何といつてもまだ絶対量不足の今日でございますから、品質の向上、増産をさせるためには、庭検査が適当と思う、この庭検査まで検査員をして農民の欲する線に沿えるようなお考え及び方針考えておりますか。少くとも地下足袋、自転車ぐらいは官費で支給するお考えがあるかどうかお聞きしておきます。これは最も必要なものです。
  64. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 食糧管理特別会計の中間経費等が非常に論議にかりましたので、政府としましても、事務費を極力今倹約いたして、必要な備品等につきましては順次整備して行かなければならんと考えておりますが、何分厖大な人数でありますので、それに自転車等の要求等も相当あるのでありますが、これを一台備え付けるためには実は莫大な金が要るので、希望の極く僅かより充実していない状況でありますが、一挙にこれを充実いたしますことは経費等から困難である、順次整備して行くという方針でやつております。
  65. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 折角検査法案を御提案になつたのだから、私はその目的を達成するために、御承知のごとく一線にあるものに十分なる活動のできる方法を講じてやるのが成績の上ることであつて、これが農民に対して親切であり、農民の検査に対する協力態勢を作るものでありますから、今までのところでは経費の都合上、そこまで廻りかねるという長官の御答弁でございますけれども、十分にこの点は大蔵当局にもよく折衝し、私をしてお願いするというか、強い希望と要望の点から申すならば、少くとも一線にある検査員には地下足袋や自転車ぐらいは供給いたしまして、いわゆる支給しまして検査の徹底を期し、農民に対しては検査に対する理解と協力態勢をますます増進して、増産品質の向上を図るということに一層御協力と申しますか、その御方針をおとり下さるように強く要望いたします。
  66. 松永義雄

    ○松永義雄君 重ねて同じようなことを聞くので恐縮ですが、検査というのは一体目的はどこにあるのか、農産物検査法第一條に規定してある……。
  67. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) どうも根本に問題が触れたようでありますが、検査目的法律第一條に非常にむずかしく書いてあるのでありますが、「農産物の公正且つ円滑な取引とその品質の改善とを助長し、」という目的になつておりますが、結局農家が作りました農産物を売ります場合に、それにつきまして公正な機関がこの価値を妥当に判断をする、格付をする、これは品質、銘柄、等級ということでございますが、品位の格付をする、そういうことによつてそれに相当する価格を農民が取得するためにやることでありまして、こういう物資につきまして、この際国が検査機関になつて検査したら最も公正であろうというので国営検査をやつておるわけであります。飽くまでこれは農家経済の発展と、その農産物が合理的に消費されることを期待するというのがその目的であります。
  68. 松永義雄

    ○松永義雄君 今の長官の御答弁によると、第一條の規定にぴつたりと合つておらないような感じがするのですが、「あわせて農家経済の発展と農産物消費の合理化とに寄與することを目的とする。」と記載してあつて、その前段のほうの目的がこの第一條の主たる目的であつて、農民個人というか、農家個人の利益ということだけでなくて、主として前段においては国家的の目的をここに含んでおるかのごとき規定になつていると私は解釈するのですが、如何ですか。
  69. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 検査が立派になりますと、勿論これは国民経済全体としても非常に利益になることでありますけれども、その帰結は個々の農家がやはり自分の生産したものを合理的な格付を受けまして、それ相当の価値で売るということによつて農家自身の個人の利益にも非常になることだと考えております。
  70. 松永義雄

    ○松永義雄君 その先は水掛論になるかも知れませんが、この第一條というのは、第一條に規定してある前段というものは、もとより農家の利益を守る結果を来たすのではあるけれども、国家的の目的を以てここに規定されておるということを私は理解するのであります。従つて延いてはこの手数料の問題に移つて来るのですが、第一條の規定から推して行けば、国家のために国家が国営検査をやるのですから、一々農民から手数料を請求したからとるとか、請求しなかつたからそのまま放つて置くということではなくして、当然国家が負担をしてやつて、そうしてこれは国家的目的に副うようにやつて行くことが然るべきである、こういうように考えますが、如何ですか。
  71. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 先ほども申しましたように、農産物検査が立派になりますと、これは流通その他の関係において国民経済的にも非常に利益になることでありますが、と同時に、それは農家自体が利益になることであるということによつて、若干の負担を農家お願いをいたしておるわけであります。
  72. 松永義雄

    ○松永義雄君 続いてお聞きしたいのですが、検査を受けないとすると、その農家は一体どういう不利益になるのですか。
  73. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 国の検査に権威がないという前提であればこれは別問題でありますが、権威があれば、その規格に合つたものは、それだけの価格で売れるということになりますと、検査を受けない場合に果してそれが売れました場合、その価値相当のもので売れるかどうかということにつきましては、今日農家自体はどうしても弱者的な立場にありますので、国がそれを検査をして、よりよき品物を高く出すと同時に、又それが品質改善の方向に助長することにもなる、この二つが兼ね合つております。検査そのものは農民の大きな利益になる、こういうことでやつておる次第であります。
  74. 松永義雄

    ○松永義雄君 そうすると、農民自身の場合、自由なる立場に置いておけば、農民は弱者だから不利益をこうむる、従つてここで農産物検査法という法律が制定されて、そうしてその第一條に、国家が進んで農民を保護しなければならない、こういうような規定まで設けて農民を保護しなければ、つまり国家の権力を加えて行かなければ農民自身の利益は守られないというふうに解釈してよろしいのですか。
  75. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 只今の日本の農民の実態から言えば国が検査をするのが一番いいのであります。名前は、強制検査でありますが、その検査自体の効果というものは農民自身の利益を決して侵害しないように、より多くの利益をもたらす、こういうふうに実は考えております。
  76. 松永義雄

    ○松永義雄君 その辺で大抵結論は出ておるて思いますが、今日の農民を自由に野放すということは、農民の生活を奪うものであるということの一端がこの法律によつて証明されておるということを我々は肯定しなければならん。そこで検査手数料の二十円を五円に減らせという議論が出て、重ね重ねこの手数料について問題になつた、農民のところへ行くというと、なぜ手数料をこんなに拂わなければならんかと、こう言つて農民は我々に対してこぼすのであります。これは一体農家経済が現在どういうふうであるかという一つの結論を出す証左となるのでありますが、あなたは農民は弱者であるとすでに肯定されておる。農民は経済的な弱者なんです。そういうものに対して、一体手数料ということは国家的な目的を持つておるんですから、だから手数料なんかとらないで、どんどん親切に検査してやつたらどんなものか、こういうことになつて来る。大蔵大臣と御相談しなければできないとかおつしやる、大蔵大臣と強力にこれは相談すべきであるというように結論がなつて行くのではないかというふうに考えるので、もう前々から幾多の同僚委員から質問されておると同じ結論なんですが、私はこれはただでどんどん検査をして行く。これは国家的な目的を持つているんですが、国家的の目的を持つているんだから、ただ單に農家という層に対する利益ばかりでなく、国家的な目的を持つているんだから、だからその点からして我々大勢から税金をとつて、そうして検査してやつたらどんなものか、こういうような結論に達する。それから先ほど池田委員から御質問があつたが一第十四條の庭先検査の問題でありますが、この第十四條には「食糧事務所長が定めて公示した場所のうち、その指定する場所において行う。」、こういう規定がある。ものによつてはすでに庭先で検査しておつた例もあるが、これ又予算関係或いは人的関係で、先ほど来詳細に御説明があつたから長官のお言葉を信じて、今日はその点は止むを得ないとして私は引下りますけれども、併しながらこれを国家的に見て、そうして農民の弱い立場考えるときに進んでそこまで世話をしてやるべきが当然ではないか、品質をよくするためには自由主義によつて飽くまで協力させなければならん、こう言つておるその言葉の裏から、検査をして政府の権力を加えて行けば、そうすればよくなるんだという又矛盾した言葉が出て来るということは、それは農民の実情というものはそういうものであるということを断定し得るのである。それは政府は進んでもう少し親切丁寧に農民を守つて行かなければ、農民というものはなかなか立つて行けない、それが現在農民の現状ではないかと思うのであります。昨日も話したんですが、すでに野菜の統制が外されて、そうして、我々消費者は今日朝から晩までキヤベツを食べさせられているのですが、そのキヤベツ一個は、農民が売るときには僅か一円五十銭である、そうして或る警察署長の話ですが、その署長の奥さんが買つて来るときにはそれが三円である。一体キヤベツは一反歩でどれくらいできるか、二千個くらいだろうという、詳しく計算して聞いて見なかつたのですけれども、大体の当て推量で以て、これは農家が困るんだなあ、こういうふうに我々は考えたのであります。野放しにするということは、如何にこの農民に対して非常な窮境に陥れているかということがもうすでに如実に現われている。こうした一体窮状に対して政府自体も、この改正法律案は議員提出にはなつておりますけれども、政府が併しそこまで世話をしてやらなければ農民は立たない。而も現実にそういう状態がもうすでに東京近郊の農家に起きている。だから仕事を頼むのだから、その手数料として検査料ぐらいは拂つたらいいじやないかということも一面の理論として成立つでしようけれども、あなた自身がすでに言われておるように農家は弱者だと、こういうような言葉、その一言によつて私は手数料なんかは全廃しなければならん状態でないかというふうに考える。恐らく同僚委員も同じ考えでおつしやられたと思います。繰返してこういうことを重ねて御質問いたすのもどうかと思うのですが、ただ私がそういうふうに考えているということをお伝えするために質問の形で申上げたのであります。
  77. 西山龜七

    ○西山龜七君 甘藷と馬鈴薯の検査料が二円ということにこれはなつておりますが、現在馬鈴薯、甘藷を検査しておる県もあると思いますが、現在やつておりまする料金と、この料金との均衡と言いましようか、その点はどういうことになつておりますか。
  78. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) ちよつと今資料を審査いたしましてお答え申上げます。
  79. 西山龜七

    ○西山龜七君 この今日配付になりました検査法手数料というところに料金が出ておりますが、今日おわかりにならなければ次回でも結構ですが、検査料の十一のところに出ております。
  80. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) 三七・五キログラム以上の包装のものが二円で、一八・七五キログラム以上三七・五キログラム未満のものが一円、甘藷、馬鈴薯を通じてそうなつております。
  81. 西山龜七

    ○西山龜七君 それが現在北海道或いは内地におきましても検査をしておる府県があると思いますが、その府県でやつておる料金とこれの均衡はどうなつておるかと、これをお伺いしておるわけです。
  82. 東畑四郎

    政府委員東畑四郎君) これは今の追加品目じやありませんで、前からやつておるのでありますが、その検査手数料は、従来県がやつておりますものよりは全部低めにしてある次第であります。具体的な計数につきましては、今調べておりますので……。
  83. 山崎恒

    理事山崎恒君) それでは本法律案はまだ衆議院のほうから送付されて来ておりませんので、本日衆議院のほうでは採決されるような予定だそうでございます。でありますので、明日これを衆議院から本付託になりましたら、この法律案を討論採決するか、或いは続いて開拓者資金融通法の一部を改正する法律案、この審議に入るというような予定をとつて頂いたらどうかと存じます。同時に衆議院のほうの農業災害補償法の三法案等を睨み合せまして、そのいずれかを明日御審議を願うということで、本日はこの程度で散会いたします。    午後三時二十五分散会