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1952-05-19 第13回国会 参議院 農林委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月十九日(月曜日)    午後二時十二分開会   —————————————   委員の異動 五月十六日委員田方進君辞任につき、 その補欠として北村一男君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     羽生 三七君    理事            西山 龜七君            加賀  操君            山崎  恒君            岡村文四郎君    委員            瀧井治三郎君            宮本 邦彦君            赤澤 與仁君            飯島連次郎君            片柳 眞吉君            島村 軍次君            三浦 辰雄君            小林 孝平君            三橋八次郎君            松永 義雄君   政府委員    農林政務次官  野原 正勝君    農林省農政局長 小倉 武一君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林省農政局農    業保険課長   久宗  高君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農業災害補償法の一部を改正する法  律案内閣送付) ○農業災害補償法臨時特例法案内閣  送付) ○農業共済基金法案内閣送付)   —————————————
  2. 山崎恒

    理事山崎恒君) 委員長見えませんので、これから委員会を開きたいと存じます。  農業災害補償法の三法案について本日御質疑願うことにいたします。
  3. 松永義雄

    松永義雄君 一点お伺いしたいのですが、今度災害共済対象一筆単位から農家単位へ移してその試験をやつてみようというようなお考えなんですが、それは一体どういう理由から発せられたものか、その点を一つお伺いいたしたいと思います。
  4. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 農家単位を実験的にやつてみようという理由でございますが、一つ共済金でございます。従来の一筆単位共済金でございますれば水田なら水田の全体が相当被害を受けましても、三割以下の被害であるから一銭の共済金も受けられない、ところが全体としてはさほど減収といつたようなことがないのに、たまたま一筆が非常な災害があるというと共済金が受けられる。それは農業生産の持続といつたような点から見まして、又共済制度精神から見ましても面白くないではないか、そこでそういうのを何とかしたらどうか。その点から申しますとどうしてもこれは或る程度農家単位といつたような考えかたをとり入れる必要があるということが第一点であります。  第二点といたしましては共済掛金の問題でございますが、一筆単位共済掛金の場合におきまするとどうしても掛金が高くならざるを得ない、今申しましたように一筆単位でございますので共済金を払うべき場合が非常に多くなります、従いましてどうしても農家負担が多くなる、掛金負担が多いというのも実は共済制度としては困るということは当然のことでございます。その点も何とか一つ措置したい。勿論国庫負担を増加するということも一つの方法でございましようが、それにもおのずから限度があるといたしますれば補償制度建前自体を改正するということでそういうことができないかというと、これもやはり農家単位という思想を入れて行きますことによつて或る程度改善ができやしないか、こういうことが農家単位を実験的にやつてみようという一つ理由でございます。
  5. 松永義雄

    松永義雄君 この農林時報の二月のには十分の一ぐらいと共済金額が書いてあるのです。農家単位になるとそんなに少くなるのですか。
  6. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 十分の一程度にもなるようなことはないとは保証できませんが、最近の調査、これはまあ非常に事例的な調査研究のあれでありますが、そういたしますと一筆単位の場合に比較しても必ずしも支払共済金が減らないという例も出ております。これは全国数府県選びましてそのうち又県の数が町村を選びましてデータを集合したものでございますが、それによりますと一筆単位に比較しまして約一割あまり共済金支払増額になつておるといつたような事例もございます。従いまして一概に十分の一程度までに減るというようなことは、これはなかなか断定は下せないように思います。共済金を全体として減らしたほうがいいということも我々考えておりません。ただ農家災害に対する補償として成るべく共済金自体も多いほうがいいことは当然でございますので、掛金関係と睨み合せて共済金額をきめ、従いまして支払共済金額もきまつて来るとかいうように考えておるのであります。
  7. 松永義雄

    松永義雄君 十分の一になると政府負担金はどれくらいにふえるということになりますか、十分の一、ここに書いてあるのですが。
  8. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 十分の一になりますれば、これは恐らく何か事例的のことではないかと思いますが、十分の一になる場合どの程度ふえるかということでございますが、政府のほうの負担は別段それによつてどの程度ふえるかという計算は実はいたしたことはございませんので、この場でどの程度掛金が減るかということを具体的に申上げることはむずかしいのです。今手許に農林時報どもつておりませんのでどういう数字かはつきり存じませんけれども、私ども調べまして十分の一になつた場合に一体掛金の勘定がどうなるかということは後刻計算いたしまして御答弁したいと思います。
  9. 松永義雄

    松永義雄君 僕の心配することは、かさねがさねここで意見がかわされましたように、農村というものは大体金銭収入が少くて金銭を我々都会の者以上に大切にする傾向を持つている。それでこの自由販売になつて来ると、野菜にしたつて今度まあ麦にしたつてどうなるかまあ別にしまして、もうすでに生産費に伴うような販売値段で以て買入れてもらえないというような現象がごく一部の区域でありますけれどもそういう声を聞くに至つているのです。そこへ持つて来てこの農家単位にいたしてそうして農家へ廻る金が少くなるという結果になりますと、そうするとまあつまり政府の出すべき金が少くなつて行くということになつて来ますと、農家共済保険精神からいつて、仮に只今御答弁のような理論が正しいといたしましても、農家には金がますます不足して来るということになるのであります。折角こうやつて共済制度を設けられて保護政策を行なつておるというのに、それに対して減額が生ずるようなそうした組織に変更して行くということは我々としては考えなければならんということになるのです。農林時報の二月号、農林省編集の雑誌にもやんと書いてある。それについてお尋ねをしたのです。これで終ります。
  10. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 連合会事業不足金が昨年は十八億余円ですけれども現在二十八億に達しておる。昨年度は補正予算におきましてこれが出ました。買入金に対しまして利子補給制度をお考えになりまして、国といたしましては相当助成的な施設を講ぜられたわけでありますが、今年度はその基金制度をおこしらえになるという意味から財政上の負担関係かとも思われますが、こういうことをおやりになりました理由なりいきさつをお伺いいたします。
  11. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 昨年度はお話のように利子補給をいたして参つたのであります。それにつきまして一般不足金につきまして金融によります場合に、その利子補給すべきかどうかということについては、根本的に考えまとやはりいろいろ考え方があると思うのであります。不足金とそれに必要な利子とを合せまして共済制度建前から一体それを最終的にどう処理するかということがやはり根本的の問題ではないかと存じます。そういたしますと不足金融資に伴う利子を必ずしも年々補給するということをいたしませんでも、その利子分も貸して行く、特に今回のような若し基金制度ができて参りますならば、元本のみならずその必要な利子といつたようなことも見て金融をつけて行く。そうしてその利子不足金とが積み重なつたものが一体最終的にどう処理すべきものであるかということにいたしたほうがよりいいのではないかという考え方を以ちまして、お話のように基金制度との関係において一応利子補給計算をいたしておらんのであります。
  12. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 次に水稲共済掛金標準率改訂に際しまして、先般の委員会におきましてはこれが算定に安全割増というものを御考慮に入れられまして、この保険経営合理化を図られるというようなお話であつたように承知いたしておるわけでございます。ところが農家負担国庫負担の区分の問題からいたしまして、この安全割増率というものは政府が背負つてほしいというような要望があつたことも事実でございますが、この安全割増というものをこの標準率から削除されておりますわけでありますが、この間のいきさつなりお考え方をこの際お尋ねいたします。
  13. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 共済制度乃至保険の合理的な運営といつたようなことから見ますと、或る程度安全割増というものを掛金率に加算するということが当然の要請になろうかと思うのであります。ところが今年水稲料率改訂をいたします場合に、先ず非常に問題となるのは国庫負担農家負担関係をどうするかということでございます。最終的にきまりましたのは、農家負担の対絶額はほぼ昨年通りにいたしまして、共済金額の上るということなどによりまする掛金率増額は、これは国庫負担とするということに相成つたのであります。その場合に安全割増を若しつけるといたしますと、やはり農家負担のほうも或いは国庫負担のほうも増額して参るということに相成るのであります。従いまして一つ負担の点から見て必ずしも安全割増をつけるということについて十分な了解を得るということが困難であるということが一点と、もう一つ基金制度ができまして安全割増は結局はこの共済金支払を円滑にするといつたような面もございますので、それが若し基金という形でもつて別制度としてできるということを考えてみますれば、強いて農家負担増額してまで安全割増をつけなくてもいいではないかというようなことを以ちまして、安全割増を今回は落しておるのであります。
  14. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 次に災害補償法に基きまして、この共済組合建物共済任意共済でやつておりますわけでございますが、一方又農業協同組合法に基きまして建物共済を農協でやつておられるわけなんでありますが、これの現状なりそれに対しまする政府の御指導をやつて来られた事柄、及び将来の指導方針につきましてこの際承わつておきたいと存じます。
  15. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 任意共済についての概略でございますが、二十六年度の概況を申上げますと、建物共済につきましては加入戸数農家のほうが百二十一万五千戸、団体のほうが二万六千四百戸になつておりまして、共済金額のほうは農家のほうが三百六十一億九千万円、それから団体のほうが六十六億程度に相成つております。数字的に申上げますと細かくなりますので若し御必要ならば印刷して差上げたいと思います。  協同組合との関係におきまして、いわゆる任意共済事業をどう持つて行くかという方針についてのお尋ねでございますが、任意共済につきましては、災害補償法に基きますのも、協同組合法に基きますのも、制度として見ますと必ずしも両方とも完備はいたしておらんように思うのであります。協同組合法関係で申しますると、共済事業の事業法的な関係が欠けており、補償法関係で申しますと再共済と申しますか、再再共済といつたような関係が抜けておる。両方とも必ずしも完備した制度に私はなつていないように考える。それで今後は、そういう補償制度として或いは共済制度としていずれの制度によるといたしましても、これもう少し完備するように考えなければならんというのが第一点でございます。  第三点といたしましては、それならば任意共済をやる基本的な団体として共済組合考えるか、或いは協同組合考えるかということでございますが、もともと協同組合もこれは非常に広汎な共同事業をやる建前にいたしております以上、これも任意共済をやり得るというのが当然だろうと思います。又他方共済組合のほうといたしますと、これは共済事業の発展の過程から申しましても業態自体から任意共済がだんだんと国家的な共済制度に変つて来たといつたような点もございますので、    〔理事山崎恒君退席、委員長着席〕  いわば強制的な共済に募集的な任意的な共済をつけ加えて行つて補償制度として完備して行きたいといつたような気持も十分わかります。従いましてここで私どもといたしましても団体として変更するというようなことはなかなか困難ではありますし、又実際現状に適しないのではないかというふうに思います。ただ任意共済につきましてこの共済事業として育成して行く、或いはそれが過ちないように監督して行くといつた点にいつてはこれはでき得べくんば共通の事業的な法規で以て規制をして行くといつたようなことがいいのではないかというふうに考えておるのであります。これは非常に先の話と申しますかまあ抽象的な話になりまして恐縮なのでありますが、現状に即して考えますならば、何と申しましても共済組合国家負担といつたような、いわば国家的な強制的な共済に重点が当然おかるべきであろうと思いますのでそういう方針で私どもは進みたいと思います。なお協同組合共済事業をいたします場合には、今申しましたような部面もございますので、この点について十分の当事者の注意、それから行政上の指導をいたしたいというふうに考えておるのであります。
  16. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 それから今度の有畜農家創設事業によりまする導入家畜に対しまする死亡、廃用共済の場合におきまして、これは特殊な条件の下におかれるわけでございますが、従つてこの保険に対しまする保険料の問題或いは対象問題等におきまして、特殊な考え方をめぐらさなければならんと存じておるわけでありますが、それらの点につきましてどのようにお考えになつていらつしやるか、お伺いいたしたいと思います。
  17. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 今回の有畜農業奨励に基きます家畜導入保険との関係でございますが、導入家畜についての融資関係から共済関係が出て参つておることはもう御指摘の通りでございます。その際に大規模に新らしい農家家畜導入されるということになりますと、当然危険率が増大するということが考えられる。又それは一般に承認されているところのようであります。ただその場合一体それでは危険率をどの程度増大してみたらよいかということが実は問題でございます。従来どういたしておつたかと申しますと、新らしい農家家畜を新らしく購入するといつた場合には引受を延期する、半年なり一年なりは引受をしないといつたような措置を講じたり、或いは共済金額を低くするといつたような措置で以て、いわば非常に、何と申しますかその場限りの対策を講じて来たわけであります。併し今回は融資との関係もございますので、そういう各組合のいわば自然発生的な対応策に任しておくというわけには参りません。即ち私どもといたしましては直ちに共済引受ける。その共済金額一般家畜と区別しないようにするということを指導したいと思つておるのでございます。そういうことの身代りと申しますか、それと関連いたしまして先行につきましても、これを絶対上げてはいけないということも非常に無理ではありますので、一割程度一般家畜よりは掛金を上げてもこれは止むを得ないではないか、従いまして、そういう二割、三割といつたようなことはこの際言わないで、一割ということで、これも確たる根拠があるわけでございませんが、一、二従来の例を調べました数字なんかを参照いたしまして、引上げる場合にも一割で我慢、いわゆる一割を限度とするといつたようなことで指導して行きたいと、かように考えております。
  18. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 只今の点でございますが、勿論政府が大きな施策として取上げられたこの導入計画でございまするので、只今お話がありましたような一割程度保険料を多く坂つてもよかろうというような指示をいたしたいというお話でございますが、やはり実態はそういうようなことにいたさなければならんと思いますが、そういうようなのはやはり国が面倒をみてやつて然るべきものだつたと思うわけなんでありますが、まあ遺憾ながらこの奨励施策にそういう面が織込まれておらないことを非常に遺憾と存ずるわけでございます。そういうような事柄につきましては、各単位組合におかれましては現在総会を開きつつありますし終つた所相当あろうと思いまするので、技術的な指導の面につきまして遺憾のないようにおやりを願つておきたいと存じます。  以上で質問終ります。
  19. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 二十二年、三年、四年、五年、六年、と大体五カ年で災害保険救済事業というものの掛金負担金、それに対するあらゆる面の金に対する基礎がきまつたと思います。そこでいろいろの案が出ておると思いますが、年次別の各県別の五年間の負担金額をお示し願います。
  20. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 県別のことになりますと、これは大変と申しますかここで数字をお示しすることも困難でございますし、総額といたしましては年次別掛金農家負担国庫負担というものを水稲陸稲等に或いは共済目的別数字を書きましたのを資料としてお配りしてございますが、なお県別が御必要ならば印刷して差上げたいと思いますが。
  21. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 重ねてお尋ねをしたいと思うのですが、その数字を知りたいということを申上げましたの、これは基金相当の金が要ることがあると思う、事務費のために。例えば各町村農業災害が成るたけないように防除その他をやつたり、家畜におきましてもいろいろな時期にあらゆる面で家畜衛生を普及をしそれに対する措置を講じているわけでございます。それで被害があればあるほどその部面はいろいろな負担が多いわけでございますが、今度の基金もそれと同様なことになつていると思います。これはこの間相当お話が申上げあるからいろいろおお考えができておると思うのですが、どうしてもこういうのでは我々は承服ができないのですが、何かその後お考えになつているのかどうか。
  22. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 災害がだんだん累増して参るといつたような対策といたしまして、基金といつたような制度では不十分ではないかというお尋ねと思うのでありますが、勿論これはいろいろの災害対策を講じました上で、なお且つ共済制度として出まするところの不足金についての融資の問題でございまして、お尋ねのようにこれを以てあらゆる事態に対処できるという考えは毛頭ございません。災害防除災害を未然に防止するということにつきましてはいろいろ対策があるのでありますが、私ども関係で申上げますと最も大きいのは病害虫の防除でございまして、その点につきましても二十七年度の予算は約十二億を計上いたしておりまして遺憾のないように措置をいたしております。なお、お尋ねの点に対してぼかしておるかも知れませんがお尋ねがあれば申上げたいと思います。
  23. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 法案が出ましてもこれは我々がきめることで政府はそれによつてやればいいので文句はないのですが、下から取るということにつきましては賛成できない。そうすると政府のほうでたとえ三十億という目標を定めましても現在二十八億の借金がある、そうすると初めから金はすでに足らないわけです。第一年次のが十八億何ぼでしたか十九億に足らない。それで金庫のほうではもう待つておる、それはどういう気持でおられるのか一応聞きたい。
  24. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) その点の御心配は至極御尤もなのであります。今まで出ました不足金が二十八億あるわけでございますから、今後の事態に備えるものとして基金考える場合も、この二十八億を無視して考えるわけには参りませんので、設立の当時から十分でないことは当然であります。ただ御承知の通り連合会不足金は一年を通じていわば固定的な債務として存在いたしておるのではございませんで、いわばこれは必ずしも健全な共済組合経営ではございませんが、掛金の前受をして借金を払つて行くということがこの最近の実は実情になつておるのであります。従いまして現在あります二十八億の不足金基金ができますれば、これは基金から貸付けるということで対処いたして行きますけれども、新らしい共済引受ができまするとそれによつて掛金が集まつて参りますので、連合会はそれによつて二十八億の基金に対する負債は返して行く。そういたしますと秋から来年の春にかけましては又基金のフアンドが或る程度充実して行くということになりまするので、勿論そのとき返された基金資本だけではやはり来年度において対象にできないと思います。今年基金ができませんけれども連合会に中金から国庫余裕金融資しておりますように、やはりそういつたような財政資金基金が借受けましてこの自己資本とプラスして、そうして災害に対処して行く、かように考えておるのであります。併しながらだんだんと不足金がそれでは累積して行く、来年の秋なり再来年の春にはどうなるかということになりますと、これはもうそのとき相当災害が起るということでありますれば、これは三十億では恐らく対処できないような事態に相成るかとも思います。やはりその場合も何らかの形で財政資金基金に流すといつた措置が必要になつて来るように考えるのであります。
  25. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 実際に運用に必要のある金でありますから心配されておるものでありますが、現に福島、山形、秋田、宮城のように災害があつたので陳情に来られたようでありますが、不幸にして年々歳々非常に災害があつてつておりますが、そこで各市町村負担金を取つておりますが、その負担金は現在は麦と水稲ですが、ところがその負担金というものは麦と水稲目標にして取つておるのじやないと思う。ですから全耕地にかけて農業のためにいろいろなことをしているのですから取つておりますが、そういう面からも考えてみると助成ではないのでありますから、政府のほうで五十や六十億の基金はちやんと積んでおいて、そうして災害があつて急に必要でそうして繋ぎ資金を借りるとか何とかいうことはもう話が非常に面倒でいかんのでありますから、これを五、六十億できれば百億ぐらい積む交渉をおやりになつたかならんのか、又将来そういう計画をされるか、関係の庁とどこまで協議をしたかお聞きしたい。
  26. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) これは勿論事務的な折衝の経過を申しますればいろいろ経過がございまして、私どもの一応の計算によりましてもここ四、五年間に最悪事態を想定すると六十億近くの基金が必要であるということになるのであります。ただ最悪事態でございますので一体それがいつ来るかということが予想されませんので、そういう不側な事態に備えるために国庫なり農家から出資を願うということもこれはなかなかむずかし問題でございます。従いまして差当りの問題として考えますと資本金としては三十億でいいのではないかということでかように考えておるのであります。なおこれは勿論この三十億も全部国庫からということも十分理由があると思いますけれども共済制度自体がこれによつて農家のほうも恩恵を受ける、勿論国家も当然のことでありますからやつておるわけでございますが、いわば共同的な制度になつておりますので、国におきましても少くとも元金につきましては半々出すということが、この制度自体を成立せしめるための措置として妥当ではないかというように考えられたのであります。
  27. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 私はあなたのお考えになつていることをお聞きしているのではないのです。関係各省とどういう協議をしてやつたかということを聞いているのです。あなたの考え方を聞いてもしようがない。僕の聞いているのは農林省関係各省とどういう協議をして落ち着いたのか、とても進めなかつたのか、どうしても半分は取られなければならなかつたのか。これをあなたのお考えでなくて、あなたのお考えならたくさんだ、局長のお考えでやつたら納まりがつかぬ、それをお聞きしている。
  28. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 折衝の経過は別段複雑なこともございませんので、当初から大体三十億あれば差当りの場合には行くのではないか、不足金自体の姿が将来の災害を予測しなければできないのでございますから、当初約三十億でもつて国と農家とが半々出すといつた制度でどうかといつた程度で交渉いたしまして、かようなことに話がきまつたのであります。
  29. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 これは御承知のように二十二年の十二月十五日にこの法律が初めて効力を発生したわけです。それから二十三年に法律の改正をし、次に二十四年に三回五月、六月、十二月、又二十五年の三回、三月、四月、五月、二十六年度には又改正しておる。これでは法律をいつも変えなければならないような、なるほど政治は現実でありますから現実のことをやるのは言うまでもありません、併しここまで来ればもう少し農業災害保険というものに対する観念は一掃して、そうして少し気の利いたものでなければならんと思う。それにはいつも言うように農業災害不足金なるもの或いは損失は政府が如何なるときでも全部抱える、政府のほうでやるのが本当だ。借りるのは仕方がないから借りたものは払えるものからやつて行く。借りたものの出道は政府がやがてやつてくれるというようなことでないと先ほど言つたように法律を一年に三回も改正しなければならん。なるほど最初から五カ年たつてみて五カ年の結果を見て本当の基礎の法律ができなければならんことになつております。そこで今度出たのが基金法だと思いますが、この基金法たるや実に中途はんぱで而もやつてみた結果、三十億を農業者から半分、政府が半分出そうというその考え方自体がこの間から言うように残念な考え方なんです。いくらお聞きしてもどことどこと交渉してどういうふうになつてというのではなくて、こういう考えだとかこれでいいと思つたというようなそんな考え方では解決がつかないのであります。そういう甘い考え方でなくして、ほかのものは別ですが災害補償に限つてはどういうことがあつても全部政府考えて行くということでないといかんと思います。農家のほうでは前に申上げましたように保険料は当然払う、そのほかに年々負担金を出してそうして災害の起らないように家畜も農作物もお互いに当面努力してやつているのでありますから、政府そのものは再保険でなしにそれ以上の心配も当然しなければならないのであり、これは何も不思議はないと思う。卑近な例を申しますと私の家は十町歩作つておりますがその負担金というものは五千円以上になります。それに馬は三才以上三百円、牛は生後十八カ月以上三百円、豚一頭百五十円、めん羊一頭百五十円払つておりますが、保険金がまだ一回ももらえません、まあこれは不幸中の仕合せでいいと思つております。併しお互いに助け合う意味だ。それでもまだ下から十五億取らなければならないというからこれは非常に残念で、もう少し研究をしもう少し調べて農業者が如何に苦心をして百姓をしているか、先ほど高等学校の先生が陳情に来ましたが、その先生の考え方も非常に残念な考え方でありまして、政府がこういう変な考え方をしているから農業者はいつも保険金をかけるだけで何にも利益がついておらん。それじや困ります。あなたはこの間共済事業だから十二億くらい出してもらつてもいいのだろうと言われました。こういうお話ですがそれはどうでもいい。併しながら今度の金は補助でありません。融資をする基金ですから当然そういうつもりで心配をして下さらなければならないものだ。どうしてもこれは繰り返して言うようにどつかで行き詰つてどうしても大蔵省が駄目だ、安本がいけないというのなら又話のしようがない、解決がつかないかと思いますが、我々多数の委員会のことでみんなが我我の要求に賛成しているかどうかわかりませんが、この参議院の農林委員会農家の不ためになる、農家負担になることは絶対に審議しない、通さないという建前で来ておりましたが、大分民主化されてそう一概にも言えません。(笑声)そうでなくてやはり元の通りにどんなことがあつても、百姓というあの農業をやつているなくてはならん人ですから農林省もそのつもりでやつてもらわないといけない。若しこれが不幸にして参議院を通らないということになつたらどうなりますか。我我のほうでは審議機関でどうきめようが勝手で何も政府にとやこう言われるわけはないのだからこれをぶつ切ればできるのでありますが、若し通らなかつたらどうなるかという心配はあなたはしていると思います。そこでこの案が通らないときにはどうなるかということをお考えになつていると思いますからそれをお教え願います。
  30. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 基金法案が通らない場合どういうことになるかということでございますが、私どもは通ることを希望いたしておりますし、又そうでなければ共済組合関係共済金支払が、やはり従来通りのような経過を辿つて遅れるとかいろいろなことが出て来るのではないかと思います。
  31. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 どうもだんだんけしからんことを聞くのですが、私は基金に反対するものではございません、少いと言つているのです。そこでこれが若し通らないとどうも融資もできませんし困つたことになるというお答えでしたが、そうでなくて基金というものは丸抱えに政府が抱えるもので農家から吸上げて来る十五億ではいけない、これは政府が当然基金の準備をすべきだ。今までのような行当りばつたりでは困るのであります。毎年々々非常に手数をかけて金を払つてかけるものなのですからそれでは困る。その代りスムースに必ず非常に金が出るのは当然である、そうでなくちやならん。どうもこれが通らんのじや困りますでは困ります。どうも融資に支障を来たしますというようなことを聞いているのではない。通らない場合にはこういう方法をとりますというようなことで今までのような行当りばつたりでは困る。できれば、今申したような年に三回も法律を改正するというようなことは如何に今の議員の頭がちつと足らないにしても(笑声)一年に三回も法律を変えるというような法律は作りたくない。そういうようなことをしないようにすればいいのであつて、どうすればいいかということなんですが要は金の問題が主なんです。基金さえ積んでおけば解決はつきます。ですからもう少し骨のある返事をし、骨のある話をしてもらわなければ我々のために働いている役所でありますから、仙人の気持にならないで農林省の農政局長がこういうふうにしてやつて行くのだ、これはこうやるのだ、これは政府として出したのだがこれが不幸にして通らないとすれば、こういう準備をいたしますというくらいのことがなければ、出したら皆通るなんという甘く見たら駄目なんです。あなたは御存じないかも知れないけれども前だつたらこの法律は絶対に通らないのですよ、私はその癖がついているから。もうてつぺんから通らない、最初から通りはしない。ほかの人は非常におとなしく非常に体裁よく言つておられるが、そうではない、初めからこれはだめだというのでかからんと。百姓の仕事は何でもそうなんです。一体ほかのこれが若し労働者団体ならどうなつているか。これがわれわれと押しかけて来て納まりがつかん。農家の人は非常におとなしくて温厚でまあ上からそういわれれば仕方がないという締めが非常に早い。そうですから我々は又それを知つているからどんなことがあつても代表としてどこまでもがん張つて農業者の不利になるようなことは十分に考えて行かなければならんと思つておりますから盛んにがん張つているのです。ですからもう少し骨のあることを聞きたい。今までは年年歳々先にも申し上げたように変えて来たのですけれども、何とかこれを変えないように五カ年たつまで我慢をしております、ということは五カ年がたたなければ、最初から保険の料率も十分でないし、すべてのものが十分でないからという前提においてやつたものですから五年の間は止むを得ない、併しながら五年たつて経験を積んだということになればそれで腹をきめなければならんが、その腹をきめたのが三千億の基金で下から十五億政府が十五億出して基金をつのつてそれで運用をしようと、而もその三十億のうちの十五億は農家のほうから五カ年で出す、それならそれだけでわきから融資を受けなくてもできるかというとそうでない。又中途はんぱなものをこしらえて相も変らんことを繰返すに違いない。ですから本当に担当する人がもう少し腹のある、もう少し信念のあることをしてもらわんといかんと思うし、もう少し骨のある意見を聞きたい。どうもお座なりに言われるからまあこう言つておけというのではなしに、これはこういうものであるから結果はこうなりますということがわかつておると思うから、もう少し聞き当りのある、我々が本当に声をからして叫んでおることに対するお答えには、もう少し納得の行くお答えをしてもらわんといかんと思うからそれをお聞きしたい。
  32. 羽生三七

    委員長(羽生三七君) 私からこの際ちよつとお尋ねしておきたいと思いますが、只今の岡村委員お尋ねは、農林大臣或いは政務次官からお答え願うのがむしろ適当だと思うのでありますが、この際私から政務次官にちよつとお尋ねしたいと思うのであります。それはこの農業共済基金法案は、先ほど来岡村さんの御発言のように、基金法案そのものが悪いというわけではないので、それは当然必要な法律ではあるが、この三十億の基金のうち十五億の農家負担というのを今日の種々なる情勢からして金額政府負担にする意思はないかということのお尋ねであるわけであります。それで農業災害補償法関係の運営如何によつて、余り農家負担がかさみますと、本法の運営といいますか本法の根本精神そのものが歪曲せられたり或いは又実際上運用が困難になつて、本法そのものに対する根本的な疑問が起つて来るような情勢になつて来ておるわけであります。それで普通社会における社会保障制度と同じように、農業部面における農業災害補償ということは好ましい制度であるし、又今後もこの合理的なる発展を我我は希望するわけでありますが、その負担の均衡がバランスを失しますと、本法の運営の根本的な問題にまで事態が発展すると考えられるわけであります。そういう意味でこの三十億のうちの十五億の農家負担というのが全額政府負担にしかねるということは、それは目下の財政上の事情によるのか、それとも農業災害補償というこの法律の精神農家がやはり半分なり或いは何分の一なり負担して当りまえだということから来ておるのか、その根本的な問題を一つ承わりたいと思うのであります。つまりできれば全額国庫負担にしたいのだが当面財政上の理由からそれができないというのか。それとも農業災害補償制度農家が一部分負担するのは当然であるという立場に立たれておるのか。若しそういう立場に立たれておるとするならば、先ほど岡村さんの言われるように、大蔵省に対して交渉するというようなことは自然なくなつて来るし、或いはそういう努力も非常に薄くなつて来ると思う。従つて、その根本的な問題についてこの際政務次官からのお答えを頂きたいと思います。
  33. 野原正勝

    政府委員(野原正勝君) 只今の御質問でありまするが、財政上の事情という点になりますれば僅か半額十五億のことでありますので、これは大蔵省とも十分折衝し、この共済基金法の重要な点を説明すれば私はできないことはないのではないかと考えております。ただ実は私もその経過の詳しい事情を存じませんので明快に申上げられないことは遺憾でありまするが、この共済基金の問題は連合会の運営上昇急にこれを処理するというような関係のものでありますので、これはやはり連合会の仕事の性質というふうなものと併せ考えると、まあ半官半民と申しては語弊がありまするが、やはり政府の仕事であると同時に連合会の責任であるというような点を併せ考え両方から持つというような考え方なつたということに伺つております。今まで委員会における極めて重要な御意見がございまして拝聴しておりますと、現在の農家の経済事情というようなものから考えて、これはできれば全額を国が持つというような、政府の責任においてもつと強い政策としてこれを出したほうがいいではないかと、少し徹底を欠いておるというようなふうな御主張と伺つておるわけであります。その点からこの基金法の扱い方につきましては今後十分検討しなければならないと思つつておりますが、現在のところ政府の出しましたこの法案提出に至りました経緯は、先低ど申しましたような共済組合というものの性格から見まして、一面においては政府施策であると同時にこれは農民の共済団体であると、両方が責任を分ち合うというかそういう形で行くと、二分の一ずつを負担するというような形が好ましいのではないかというような思想が基になつております。但し農村の経済の実態を全然考えずに直ちに半分を出せということは、非常に負担に堪えられない面があるという点からしまして、これを五カ年の問に半額に達するように、農家負担も一時に急激な負担がないようにという点も考えてまあ五年間で二分の一つの十五億に満たして行くと、取りあえずは一億程度の御出資を願つておくというような非常に穏健な立場で考えておると、そう農村の経済の実態も一応は十分考えつつこの法案は準備されたと考えております。まあ政府の立場からしますれば、一応そういう立場をとつて法案が出ましたので、この際ば一つこの法案を、政府の立場と申しますか見解につきまして一つ御了承を頂きまして、将来はこの問題に関する扱い方は一つ十分慎重に考えて、御主張のような線でもう少し強い政府施策としての徹底した行き方に改めるというか、そういう面で努力することにいたしたいと考えるわけであります。
  34. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 局長にお尋ねいたしますが、この基金の性格につきましては、昨日の委員会に局長お見えにならなかつたから課長から伺つたわけなんですが、私といたしましても、この基金の性格が損失を補填する意味のものであるといたしますと了承ができるわけなんでありますけれども保険支払という一時運転資金の積立造成ということに農民までが醵出をするということは、望ましいことではあろうと考えますけれども、現段階におきまする農家の実相から考えてみますと、あながちこれを半ば強制的に醵出せしめるということにつきましては納得が行かないわけなんであります。そういう意味から、この基金の性格上から、この制度の内容につきましては、私どもは国がこれを全額負担するか、若しくは借入金の融資斡旋を従来より熱心に、より親切にやつてやりさえすればいいのではないかというような気持もいたしますわけであります。そこから来まして一応これをそういうような点からいたしましては、私はまだ納得が行かないわけなんでありますが、一応基金制度というものを認めるということにいたしますと、この十二条及び十三条なんかによりまして、政府の出資の十五億の払込が完了いたしますと、設立の登記をいたしまして基金が発足するように存ぜられるわけであります。ところが十五条の会員の醵出の場合につきましては、これは一回の払込金は一億円を下つてはならないという三、四項から考えまして、農家基金を醵出いたしまする出資金を払込むことが成立の要件となつておらないように存ずるわけであります。従つて、十五億の農民の負担が望ましいといたしましても、政府の十五億円の基金の出資で一応この基金が発足して行くと、で農民の醵出というものが五億に達しなくてもこの基金は成立して運営がなされて行くと、極端なる場合においては農民からのものが一銭も醵出がなくてもこの基金は発生して行くというように感ぜられますわけでありますが、従いまして、この十五条の二、三の面から考えましてこの農家基金の出資金の払込を成立要件としておらない、こう私は解釈いたしますのですが、これは間違いありませんでしようか。
  35. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) その通りでございます。
  36. 松永義雄

    松永義雄君 この間政務次官にお尋ねしたときに、十五億円の基金というものは共済的の意味から来ているだとこういうようなお話で、これに対して課長は、一般保険料とは違つた意味を持つている、こういうような趣旨の御答弁を得たと承知いたしております。間違つていたら指摘して頂きたい。ところが今日政務次官は両方に責任を持つてもらう、政府及び農民側に責任を持つてもらうと、その責任ということは一体どういう意味かということなんですが、この災害というものは一体どういうところから原因が出て来ているのか、それを一つ簡単でいいですけれどもお聞きしたい。
  37. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 災害の生ずる理由と申しますとなかなかいろいろございます。勿論ほかの施設が足りないといつた面からそういう災害相当大きな部分を占めているということは当然予想せられるのであります。従いまして、この点から申しますと、掛金にいたしましても相当部分を国が負担するということも、これは当然の論拠として出て来るように思うわけであります。
  38. 久宗高

    説明員(久宗高君) 只今の御質問の中に、掛金とは違うのだという説明があつたがというお話でございましたが、この基金の出資は掛金とはやはり違うのでありまして、この前申上げましたように、落し普通の料率のほかに安全割増を加えるといつたような場合には、これは掛金として農家が出しますので農家の手から完全に離れるわけであります。ただ今度の基金の出資の場合には、徴収の方法につきましては強制的な要素が入つておりますが、それは飽くまでも農家との繋がりが切れていない金、つまり基金に対する出資という形になりますので、その点掛金とは違うという御説明をしたわけであります。
  39. 松永義雄

    松永義雄君 身近な例を一つ出してみますが、国営の或る結核療養所で最近ペニシリンとかいろいろな薬剤が非常に進歩して、そうしてそのために死亡率が、その結核療養所だけの死亡率ですが三分一くらいになつて葬儀屋はこぼしておると、こういう話を聞きましたが、ということは、災害に対して災害予防の施設を十分にするということについて、一体しなかつたということから来る災害がありはしないか。若しそうした施設が十分でないために災害が起つたとすれば、その災害に対して一体その施設について何かこう怠つておるようなことがあるかどうか。政府がその施設をしさえすれば災害はその施設の程度だけにこれを防げるのでなはいか。その施設を政府が怠けているのではないか、そういう点を一つお尋ねしたい。責任の問題であります。
  40. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 勿論、御指摘のように、戦争中並びに戦後にかけましての国土の荒廃ということが、恐らく保険事業から見ました場合に非常に被害の多くなつているということの重要なる原因であるということは、我々もさように考えております。
  41. 松永義雄

    松永義雄君 そうすると、その災害が起きるということについては、自然現象であるし、政府の予防施設が十分でないということから災害が起きるのであつて別に農民に怠慢があるのではないと、こういうふうに聞いておいていいわけですか。
  42. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 勿論この災害というものも非常に長期的に見ますと、これは今申しましたように、国と申しますな、域いは公共団体と申しますか、そういうところがなすべきことを怠つておる、或いはなすべきであつたがしなかつたといつたようなことによつて起る部分も、これはあると思います。併しそういう災害ばかりではなくて個々の農家措置或いは個々の村の措置といつたようなことで起り得ることも十分これは考えられるのであります。その辺の分析がどうであるかということになりますと、これはむずかしい問題でありますが、どの部分までがどうだということは、これは的確にはなかなか線が引けない問題ではないかというふうに考えるのであります。併し、おつしやる通りのようなことは、これは私どももあるというように考えております。
  43. 松永義雄

    松永義雄君 そうすると、それが半半だということになるのですか、十五億円では半々だということになるわけですか。
  44. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) その出資の場合の半々ということとは又若干今のお話は趣きが違つておるのでありまして、これは制度自体といたしまして、共済制度がいわば根本においては農家共済でございますが、それを国家が援助し、或いは国家の事業の一部を担当するというこができております関係上、その一環としての半々の出資をするということになつているのであります。従いまして被害に対する掛金負担とは若干趣きを異にするように考えます。
  45. 松永義雄

    松永義雄君 そこで農林省の説明は、農家に対する考えが我々と違うということなんです。農家は貧乏で以てこういうふうに施設をしたいと思つたつたなかなかできない。従来農林省予算というものは殆んど補助金の性質を帯びている。交付金ででも助けてやとるいう意味が主たる部分になつていると、こういうふうに解釈する。そこで農民が困つているのにかかわらず、而も仮に農民に多少の責任があるにしても、併しその大部分というものは政府というか国家に責任がある。自然から来る災害というものは、これは自然であつて国民全部が負わなければならんということになりましよう。けれども農林省予算が今までのように少しで、今年度は多くなつたと農林大臣は言つている。新たに又増産政策をやるというようなことを言つて、そして米麦の不足のごときは増産をやればいいのだとこの間述べた。それでは災害政策に対する予算はどれくらいだと言つたら、これは繰返すことになるのですが、ほかの省に比較して言うに足りない数字だ。そうしてそれは病気をなおすような十分な薬を与えないでおいて、病気が出て来たからその支払に困るからその資金として半分くらい出せといつたようなことは常識上無理じやないかというふうに我々は考える。こういう考え方が農民の窮状というものに対して感覚が鈍いということではないか、こういうことなんです、私の言いたいことは。ただこのことに限らずすべて農民に対しては政府保護政策というものは非常に少い、鉱山に対しては非常に多いのですよ。鉱山に対して、鉱業に対しては驚くべき金を出している。十五億とか、二十億とかじやありません、莫大な金ですよ。一桁や二桁じやないですよ。そういつた考え、農民に対する農林省考えは古い。だからそれを前々から皆さんがおつしやつておる。そこに気持がはつきりしておらんからこういうような数字が出て来る。そういう気持でなすつていらつしやつて十五億で切つたら僕は何にも言えない。そういつたことをやらないでおいて農村を馬鹿にしたような数字を立てるからそういうことでは農村が困つて来るだけだ。電燈代が高くなり、税金が高い。何もかも金銭支出が多くなる。農家が弱つてだんだん昔の姿に帰つて、そして農村窮状ということが必ず再び起つて来るということが、今日もうすでに現実に現われ又予想される。そういう際に、保険はこうだから私らみんなの責任だ、だから半分だなんて、大体貧乏にさしておいて、そうしてそこから金をとろうなんということは無理なことだ。一応あなたの言う通りに理窟だけは紙の上で考えられるけれども、全体のことを考えたら金はとれつこない。農家に何も責任がありやしない、災害に対しては。この災害を予防するような施設を十分やつておらないで、そうして起きた災害に対して保険料支払えといつたところで無理なことである。我々が保険料支払う能力があるなら、生命保険に入つて支払えと言うなら、それでは駄目だから簡易保険に入ると、そのように保険理論から言えばそれはお互いに助け合う精神だけれども、払えなくなるまで押付けられて、理論だから保険料を払えと言つたつて納められない。それを同じように農村が非常に困りつつある。その点の自覚がないといつでもこうした議論が必ず事ごとに起きるということであります。ちよつと私の気持を述べておきます。
  46. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 冒頭に私から質問したことと只今の御答弁との間で、更にはつきりしてもらいたいと思うことがあるのでありますが、私の理解するところでは、農家現状において十五億の出資をする能力があるかどうかは、これは私は十分検討を要する問題だと思いまするが、ただこの基金の出資のほうは、保険料であるとか或いは共済掛金とはこれは性格を異にしている。要するにこれは一回だけの出資でありまするし、それから基金の用途も損害を愼補するのではなくして、あくまで各府県の共済連合会融資に使うわけでありまするから性格は私は違うものと思うのであります。そこで私が冒頭に質問いたしましたのは、一体基金という法人の経理をする場合において、この出資に対して配当するかどうかという点を質問いたしたわけであります。結局基金の人件費、事務費等を或いは貸付金の金利等と関連して十五億の出資が仮にとれた場合において、一般の金利程度の配当を見ることがこの法案考えているかどうかということを私は質問いたしたのであります。それに対して農政局長から必ずしも明確でないという答弁でありました。将来は考えて行きたいというふうな答弁があつたのでありますが、その後の法案を一応更に読んでみますると、出資に対して配当をするという規定は河らないのだ。その意味では配当の保証がない出資は、これは結果においては出しつ放しの金と違わないというような感じも出て来るのであつて、而もこれは出資に対して配当すれば、関連的に政府からの十五億の出資に対しても配当するかしないかという問題がこれに関連的に出て来ると思うのであります。それでこの法案にはどうも民間出資に対しては配当の保証はないのでありまして、まあ一定の配当がついてもそれは現在の農家経済から負担能力があるかどうかは、これは松原さん、岡村さん等の御意見に基いて十分検討する余地があると思うのでありますが、一体出資に対して配当がされるかどうか。これが明確化されませんと、今までの説明の共済掛金と今度の出資とは違うのだということは観念的にわかつても実体的には区別がつかないということになる。その辺のはつきりした御答弁を願いたいと思います。
  47. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 尤もな御質問でございますが、その問題につきましては実は法人等に対する財政援助の制限に関する法律が別途あるのであります。その法律によりますと、政府出資と民間出資と区別しては相成らんということになつているのであります。従いまして、私ども考えといたしましては、農家側の出資に対しては配当したい、政府に対する出資は配当しないということで考えているものでありますからこの法律と矛盾をいたすのであります。従いましてこの法律に関する特別の例外を作るということは早急になかなかむずかしいという事情がございました。従いまして、農家に配当するということをむき出しに差当りは書かないほうが基金自体も従つて共済制度自体にも有利ではないかということになりまして配当のことは書いてございません。従いまして形式的にこの法律を読みますれば、これは政府出資にも民間出資にも配当しないということで御解釈を願いたいのであります。ただ今の法律が先ほど申しました財政援助の制限に関する法律の例外をおくことが認められますならば、これは私どもといたしましても、連合会側の出資については一層多額の配当はいたしたいというつもりでおります。これは適当な時期を見て法律の改正をお願いしたらどうかということを内々考えておつたところであります。
  48. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 その点が私は極めて重大な問題と思うのであります。ですから出資した共済掛金とは違うという点で私はむしろ政府の立場を援助する立場でおつたわけでございますが、この点がはつきり……非常に最近の機会において、これは出資であるからやはり少くとも利益が上ればそれ相応の配当をするというはつきりした政府方針がきまつておりませんと出資と言つたつて中身は出資でないので、出しつ放しの金とこれは違わないわけなんです。丁度政務次官もおいでになつておりまするが、これは農林大臣とも御相談を頂いてこれをはりきりいたしませんと肝腎のところがぼけてしまいまして、この法案の審議には非常に私は苦慮をいたすわけございます。これはまあ農林中金あたりの、今はそうでないと言いまするが、昔の農林中金法ではたしか政府出資と民間出資とございました。政府出資は無論これは無配にしておつた倒がたしかあると思いますから、十五億の出資負担能力があるかどうかは別に研究すべき問題でありますが仮にあつたとしても、配当保証がないということでは、これは名前は出資であつても実体は出資ではないと思いまするので、而もこれは占領も解けたわけでありまするから、さような法律も現在ではそう拘束される必要がないのではないかと思いまするが、その辺は本日ではあれでありましたら最近の機会に一つ責任のある御答弁を願いたいと思います。
  49. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 家畜導入資金の共済の料率のことでありますが、先ほど赤澤委員から種々お話があつたのでありますが、今回本年度から政府が実施しますところの、家畜導入のために有畜農家創設資金利子補給によつて新たに導入せられる家畜保険料率の引上げというようなものにつきましては、共済の料率が他のものよりも引上げられるというようなことがありまして、これが果して事実でありますかどうかお伺いしたい。
  50. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) さような方針でおります。一割程度上げるということを考えております。この根本に遡りまして、さような料率の引上げにつきまして、有畜農業奨励国家が何らかの形においてやるべきじやないかということも同感でございまして、そういうことでいろいろ議論もなされておつたのでありますが、現在に至りましては直ぐ同じというわけにも行きませんし、さればといつてそれをそのまま放置しておきますと、組合のほうで導入家畜共済の貸付をしぶるというような事態も心配されますので、却つて有畜農業奨励上支障があるということで、貸付金額は他の家畜なみにするということを一方で奨励しますと共に、最小限度一割程度の引上げはこの際認めるということで保証いたしたいというふうに考えておるのであります。
  51. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 そういうことになりますると、政府計画されておりまする有畜農家の創設事業というようなものに非常な支障が起るということは甚だ遺憾に存ずるのであります。料率を引上げなければならんというような原因につきましてはいろいろ問題があろうと思うのでありますが、その詳細を明日でも畜産局の係の人からお伺いしたいと思うのであります。委員長一つ畜産局のほうと御連絡のほどをお願いいたします。
  52. 羽生三七

    委員長(羽生三七君) 時間も大分経過したので閉会にしたいと思いますが、その前に私が一つ希望を申上げておくので、できれば今直ぐとは申上げませんが適当な機会に御返事を願いたいと思います。それは、この十五億の農家負担分を資金運用部資金あたりから融通して、それに対して政府利子補給だけで行くということをお考えになつておるかどうか。又なければ今後考えられる余地があるかどうか。これを一つ次の機会までに御検討願いたいと思います。それからもう一つは、農業共済保険特別会計があるのでありますからその別枠勘定定でやればできるのに、あえてこの厖大な基金法案というものを別にお作りになることはどういうわけであるか。これはもう散会いたしますから今直ぐお返事は要りませんが、次の機会に、特に前の資金運用部資金の運営で利子補給をしている、そういう考え方に御賛成願えるかどうか一つ御検討願いたいと思います。  本日はこの程度で散会いたします。    午後三時三十七分散会